JP2700268B2 - 炭素繊維強化プラスチック平面板の定着方法及び定着装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜従来の技術＞ 一般にPC構造物の緊張材には、断面円形のPC鋼線、PC
鋼より線、PC鋼棒が用いられている。

又、これらの緊張材を定着するには、緊張板の緊張端
に特殊な定着具を取り付け、油圧ジャッキ等で緊張して
定着している。

＜本発明が解決しようとする問題点＞ 上記した従来のPC工法には次のような問題点がある。

＜イ＞定着具のセットや油圧管理には、高度の熟練技術
が要求されるから、専門の技能を有する作業員が必要で
ある。

＜ロ＞又、最近は金属製の緊張材に代えて、軽量で腐食
せず、引張性能が高くかつ伸びが少ない炭素繊維を利用
する技術の研究開発が進められている。

しかし炭素繊維を用いる場合問題となるのは、炭素繊
維の定着技術である。

従来のようなコーン部材で把持したのでは、炭素繊維
が剪断するので、そのまま採用することはできない。

そのため、炭素繊維に適した把持手段及び定着方法の
提案が望まれている。

＜本発明の目的＞ 本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的
は誰でも簡単な操作で以て炭素繊維強化プラスチック平
面板を緊張して定着できる、炭素繊維強化プラスチック
平面板の定着技術を提供することにある。

＜本発明の構成＞ 本発明は、緊張材として平板状の炭素繊維（炭素繊維
強化プラスチック平面板）を採用すると共に、これを定
着するための定着装置を使用する。

以下、各部材について説明する。

＜イ＞炭素繊維強化プラスチック平面板 本発明では緊張材として、断面が円形ではなく、矩形
の炭素繊維強化プラスチック平面板１を使用する。

炭素繊維強化プラスチック平面板１は折り曲げが可能
であって、形成長さに制限を受けない。

尚、炭素繊維強化プラスチック平面板１の特性及び形
状は、その用途や使用目的によって最適なものを選択し
て使用する。

＜ロ＞固定具 炭素繊維強化プラスチック平面板１をコンクリート構
造物の内部や端面に固定するためには固定具２が必要で
ある。

本発明では帯状の炭素繊維強化プラスチック平面板１
を使用するから、固定具２も一定の長さの平面部分を有
する器具を使用する。

例えば固定具２の一例を第２図を基に説明すると、固
定具２は一対のＵ字板21、21と、これらを締結するボル
ト22とよりなる。

各Ｕ字板21は、例えば溝型鋼を短く切断して底板23
と、底板23の両側に形成した壁板24とを有する。

両Ｕ字板21の底板23の背面は炭素繊維強化プラスチッ
ク平面板１を挟持する面となる。

ボルト22は各Ｕ字板21の底板23の中央の炭素繊維強化
プラスチック平面板１を跨ぐ位置に複数設置し、各Ｕ字
状21をバランス良く加圧する。

炭素繊維強化プラスチック平面板１に固定具２を取り
付けるには、一対のＵ字板21の間隔を広げておいた間
に、壁板24と直交する方向から炭素繊維強化プラスチッ
ク平面板１を挿入する。

そしてＵ字板21と炭素繊維強化プラスチック平面板１
との間に接着剤を塗布した後、ボルト22を締めて三者を
一体に拘束する。

＜ハ＞定着装置 第１図に定着装置の全体図を示す。

定着装置は、炭素繊維強化プラスチック平面板１を把
持する固定具２と、炭素繊維強化プラスチック平面板１
の両側で平行に固定した受圧ボルト31と、受圧ボルト31
に貫通させた当板32と、受圧ボルト31に螺着して当板32
の位置決めを行う位置決めナット33と、当板32から一体
に延びる延長板34と、延長板34の上部に当接して引張力
を付与するシリンダ35で構成する。

予めコンクリート構造物内に埋設した炭素繊維強化プ
ラスチック平面板１の緊張端に窪みを凹設しておく。

窪みの一測には支持板36を固定すると共に、支持板36
に受圧ボルト31、31の頭部側を固定しておく。

当板32は、受圧ボルト31、31とばか穴を介して受圧ボ
ルト31の長手方向に沿って移動可能に設ける。

本実施例では当板32が門形を呈しているが、炭素繊維
強化プラスチック平面板１の貫通を許して、固定具２に
当接できる構造であればよい。

延長板34は、支持板36に設置したシリンダ35からの伸
長力を受けたときに、転倒せずにこの力を当板32に伝え
られる構造であればよいから、当板32と一体構造である
か、或は分離可能な構造であるかは特に問題としない。

＜作用＞ 次に、炭素繊維強化プラスチック平面板１の定着方法
について説明する。

＜イ＞固定具の取り付け（第３図） コンクリート構造物に凹設した窪み内に、緊張予定の
炭素繊維強化プラスチック平面板１の端部が露出してい
る。

そこで、当板32に炭素繊維強化プラスチック平面板１
の端部を貫通した後、炭素繊維強化プラスチック平面板
１の端に前記した要領で固定具２を固定する。

＜ロ＞緊張（第４図） 第１図に示したシリンダ35を伸長して、当板32に引張
力を与える。

すると、当板32が図面の右側へ移動することに伴い、
固定具２も一緒に移動する結果、炭素繊維強化プラスチ
ック平面板１に引張力が付与される。

当板32は一対の受圧ボルト31、31にガイドされて移動
するが、位置決めボルト33、33は受圧ボルト31、31にそ
のまま残る。

＜ハ＞定着 次に、受圧ボルト31、31を当板32に当接するまで回転
して移動する。

この間、炭素繊維強化プラスチック平面板１に導入し
た引張力はシリンダ35が支持することになる。

位置決めナット33、33の移動が完了したら、第１図の
シリンダ35を収縮する。

炭素繊維強化プラスチック平面板１の戻ろうとする力
は、シリンダ35に代わって、位置決めナット33及び受圧
ボルト31を経てコンクリート構造物で支持される。

従って、シリンダ35を収縮しても、炭素繊維強化プラ
スチック平面板１に導入した引張力はそのまま維持され
る。

＜ニ＞埋め殺し 最後にシリンダ35を撤去して、固定具２や当板32の露
出するコンクリート構造物の窪み内にモルタル等を充填
する。

固定具２や当板32類は埋め殺しとなる。

＜本発明の効果＞ 本発明は以上説明したようになるから次の効果が得ら
れる。

＜イ＞炭素繊維強化プラスチック平面板の定着作業に特
別な熟練技術を必要としないので、誰でも簡単に作業を
行える。

＜ロ＞一対のＵ字板の間隔を広げておいた間に、炭素繊
維強化プラスチック平面板を挿入してボルト締めするだ
けの簡単な操作で、炭素繊維強化プラスチック平面板を
損傷させずに固定具を取り付けできる。

この際、炭素繊維強化プラスチック平面板とＵ字板の
接触面間に接着剤を介在してボルトで締結すると、拘束
力が一段と増す ＜ハ＞炭素繊維の有する軽量で腐食しないという利点を
コンクリート構造物に有効に活用することができる。

＜ニ＞従来の円形断面を有する棒状のPC鋼棒では折り曲
げることができない。

これに対して炭素繊維が薄い平面板であるから、折り
曲げが可能であるから、運搬や格納のための容積を小さ
くでき、運搬の手間もかからず経済的である。

又、炭素繊維強化プラスチック平面板が薄い板体であ
るから、現場でロールから所望の長さに切断していくら
でも製造できるという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係る定着装置の全体図 第２図：固定具の斜視図 第３図：炭素繊維強化プラスチック平面板に固定具を取
り付けときの定着装置の平面図 第４図：炭素繊維強化プラスチック平面板の緊張時にお
ける定着装置の平面図 第５図：炭素繊維強化プラスチック平面板の定着時にお
ける定着装置の平面図

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】断面矩形の炭素繊維強化プラスチック平面
   板を使用し、 炭素繊維強化プラスチック平面板と交差する方向に受圧
   面を有する固定具を、コンクリート構造物の凹部内に露
   出する炭素繊維強化プラスチック平面板の緊張端に取り
   付け、 固定具を介して引張力を炭素繊維強化プラスチック平面
   板に付与し、 固定具の移動を拘束した状態で凹部内に固結材を充填し
   て定着する、 炭素繊維強化プラスチック平面板の定着方法。
2. 【請求項２】炭素繊維強化プラスチック平面板の両面を
   把持する固定具と、 炭素繊維強化プラスチック平面板の両側で平行に固定し
   た受圧ボルトと、 受圧ボルトを貫通させた当板と、 受圧ボルトに螺着して当板の位置決めを行う位置決めナ
   ットと、 当板から上方へ延びる延長板と、 延長板の上部に当接して引張力を付与するシリンダとか
   らなる、 炭素繊維強化プラスチック平面板の定着装置。