JP2699472B2 - 磁気ディスク装置のスピンドルハブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、密封型磁気ディスク装置などに適用される
磁気ディスク装置のスピンドルハブに関するものであ
る。

（従来の技術） 密封型の磁気ディスク装置などでは、回転軸の先端部
分にスピンドルハブが形成され、このスピンドルハブの
周辺でスペーサを介在させつつ積層される複数枚の磁気
ディスクに対し回転軸の回りの位置決めが行われる。

第５図は、回転軸とスピンドルハブと磁気ディスクと
の相互の関係を示す平面図であり、１は回転軸、２はス
ピンドルハブ、３は磁気ディスクである。水平に配置さ
れたベアリングに保持されて直立する回転軸１の先端分
に同軸的に円柱形状のスピンドルハブ２が形成されてい
る。このスピンドルハブ２は、その外径が磁気ディスク
３の内径よりも僅かに小さな値に設定されることによ
り、磁気ディスク３を回転軸１のまわりに高精度で位置
決めする。磁気ディスクの動作には、極めて高い回転バ
ランスが要求されるが、この回転バランスは回転軸の回
りの磁気ディスクの位置決め精度に支配される。スピン
ドルハブの外径と磁気ディスクの内径との差、すなわち
スピンドルハブと磁気ディスクとの間隙で表現される位
置決め精度としては、通常、数十μｍ程度もの小さな値
が要求される。

（発明が解決しようとする問題点） 上述のように、スピンドルハブの外径と磁気ディスク
の内径との間に微小な寸法差を高精度で実現することは
製造公差の点から相当困難であり、この寸法差が大き過
ぎると位置決め精度が低下する。逆に、上記寸法差が不
足すると、磁気ディスクの装着時にスピンドルハブの外
周面との過大な摩擦によって磁気ディスクの内周面で摩
耗粉が発生する。この摩耗粉を完全に除去することは困
難で、密封型磁気ディスク装置では特に困難である。こ
のような残留摩耗粉がアクセス中に磁気ディスクの表面
と磁気ヘッドのコアとの間に挟まれて双方にスクラッチ
が発生したり、コアが磁気ディスクの表面にクラッシュ
され読み書きが不能になるなどの障害が発生する。

また、磁気ディスクの内周面やスピンドルハブの外周
面上に相互の接触時にバリが発生すると、磁気ディスク
とスピンドルハブがクラッシュし、以後の磁気ディスク
の着脱が困難になるなどの問題もある。

上記内径と外径の寸法差が不足の場合の摩耗粉やバリ
の発生を回避するために、第６図の平面図に例示するよ
うに、スピンドルハブの外周面で軸線方向に切り込みを
入れて歯車形状とし磁気ディスクの内周面との接触面積
を減少させる工夫も凝らされている。しかしながら、こ
のような工夫によっても摩耗粉やバリの発生を十分に防
止することは困難である。

（課題を解決するための手段） 本発明に係わる磁気ディスク装置のスピンドルハブ
は、円板形状の底部と、この底部から上方に延在される
円筒形状の円筒部と、この円筒部の軸線方向に沿ってか
つこの軸線の回りに対称に形成される複数個のスリ割り
と、この円筒部の内部に形成される螺子溝と、この螺子
溝に螺合される螺子とを備え、磁気ディスクの装着時に
は円筒部内の螺子の取り外しによりこの円筒部の外径を
収縮させ、装着時の摩耗粉の発生を有効に防止するよう
に構成されている。

以下、本発明の作用を実施例と共に詳細に説明する。

（実施例） 第１図と第２図は本発明の一実施例に係わる磁気ディ
スク装置のスピンドルハブの構成を回転軸との関連のも
とに示す平面図と正面図、第３図は第１図のＡ−Ａ′断
面図である。

スピンドルハブ10は、アルミニュウム合金などで形成
されており、円板形状の底部11と、この底部11から上方
に延在される円筒形状の円筒部12とを主体に構成されて
いる。このスピンドルハブ10の中心部分に形成された円
形状の開口には、スピンドルハブと同様にアルミニュウ
ム合金などで形成された回転軸20が焼き嵌めなどによっ
て圧入されている。この圧入により、スピンドルハブ10
と回転軸20とは両者の軸線を一致させつつ、すなわち同
軸的に、一体化されている。

スピンドルハブ10の円筒部12の軸線方向に沿ってかつ
この軸線の回りに対称に４個のスリ割り13,14,15,16が
形成されている。更に、円筒部12の内部には、螺子溝17
が形成されると共に、この螺子溝17に螺合される螺子18
が備えられる。

第４図は、第１図乃至第３図に示した本発明の一実施
例のスピンドルハブを備えた密封型磁気ディスク装置の
主要部分を示す断面図である。

底部のベースプレート33に水平に固定されたベアリン
グ31によって、先端部分にスピンドルハブ10の形成され
た回転軸20が直立して保持されている。この密封型磁気
ディスク装置の組立ては、カバー34を取り外した状態で
行われる。

まず、スピンドルハブ10の円筒部12の内部に形成され
た螺子溝17から螺子18が取り外される。この状態で、円
筒部12の外側に、スペーサ41,42,43,44を介在させつつ
磁気ディスク51,52,53,54が順次積層されてゆく。この
積層時には、螺子18が取り外されていることから、スリ
割り13〜16の存在によって円筒部12が内傾し、僅かなが
ら内側に収縮する。円筒部12のスリ割りがその軸線の回
りに対称に形成されているため、この軸線のまわりにほ
ぼ均一な収縮が生じる。この収縮量は、前述のように数
10μｍ程度の微小な内径と外径との差と同等程度の微小
量で十分であり、これによって積層中の磁気ディスクの
内周面からの摩耗粉やバリの発生はほぼ完全に防止され
る。

この磁気ディスクの積層が終了すると、位置決め部12
の内部に形成されている螺子溝17に螺子18が螺合され
る。この螺子18の螺合によって、スリ割りの形成によっ
て僅かながら収縮していた位置決め部12が均一に膨張し
て原型に復帰し、所定の位置決め精度が実現される。こ
の磁気ディスクの積層が終了すると、カバー34が冠着さ
れ、密封型の磁気ディスク装置が完成する。

以上、円筒形状の位置決め部に４個のスリ割りを形成
する例を説明したが、回転軸のまわりに対称に任意の個
数形成することができる。

（発明の効果） 以上詳細に説明したように、本発明に係わる磁気ディ
スク装置のスピンドルハブは、位置決め部の延在方向に
沿ってかつ回転軸の回りに対称に形成される複数個のス
リ割りと、この位置決め部の内部に形成される螺子溝
と、この螺子溝に螺合される螺子とを備え、磁気ディス
クの装着時のみスピンドルハブの外径を収縮させる構成
であるから、装着時の摩耗粉やバリの発生を有効に防止
でき、磁気ディスク装置の信頼性を大幅に向上できると
いう効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本発明の一実施例に係わる磁気ディス
ク装置のスピンドルハブの構成を回転軸と共に示す平面
図と正面図、第３図は第１図のＡ−Ａ′断面図、第４図
は第１図乃至第３図に示した実施例のスピンドルハブを
備えた密封型磁気ディスク装置の主要部分を示す断面
図、第５図と第６図は従来のスピンドルハブを回転軸や
磁気ディスクと共に示す平面図である。 10……スピンドルハブ、11……円板形状の底部、12……
円筒形状の位置決め部、13〜16……スリ割り、17……螺
子溝、18……螺子、20……回転軸、31……ベアリング、
32……モータ、33……ベースプレート、34……カバー、
41〜44……スペーサ、51〜54……磁気ディスク。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気ディスク装置の回転軸の先端部分にお
   いてスペーサを介在させつつ積層される複数枚の磁気デ
   ィスクに対し前記回転軸のまわりの位置決めを行うスピ
   ンドルハブであって、 円板形状の底部と、この底部から上方に延在される円筒
   形状の円筒部と、この円筒部の軸線方向に沿ってかつこ
   の軸線の回りに対称に形成される複数個のスリ割りと、
   この円筒部の内部に形成される螺子溝と、この螺子溝に
   螺合される螺子とを備えたことを特徴とする磁気ディス
   ク装置のスピンドルハブ。