JP2696877B2 - 可視光透過性を有する熱線反射板 - Google Patents

可視光透過性を有する熱線反射板

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JP2696877B2 JP63030212A JP3021288A JP2696877B2 JP 2696877 B2 JP2696877 B2 JP 2696877B2 JP 63030212 A JP63030212 A JP 63030212A JP 3021288 A JP3021288 A JP 3021288A JP 2696877 B2 JP2696877 B2 JP 2696877B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は可視光透過性を有する熱線反射板に係り、特
に建築物あるいは自動車の窓ユニットとして有用な高可
視光透過率で熱線反射性能も高く、しかも低コストで製
造することができる熱線反射板に関する。
[従来の技術] 室外からの熱を遮断するとともに、室内の熱が外部に
逃げるのを防止して、室内温度を一定に保つための熱線
反射板は従来から知られている。
かかる熱線反射板はガラス等の透明基板表面に反応性
スパッタリングつまり酸素を含む雰囲気でのスパッタリ
ングによって金属酸化物層を第1層として形成し、この
第1層の表面に非酸化雰囲気でのスパッタリングによっ
て貴金属層を第2層として形成し、更にこの第2層の表
面に第1層と同様にして金属酸化物層を第3層として形
成することで製造されている。即ち、金属酸化物層の第
1層は、熱線反射層となるAg等の貴金属層の第2層に対
して屈折率の調整層として作用する層であって、また、
第3層の金属酸化物層は、第2層のAg等の貴金属層の酸
化、腐食を防止するための保護膜として作用する層であ
る。
しかしながら、第3図の金属酸化物層を形成するに
は、金属をターゲットとして酸化雰囲気において反応性
スパッタリングを行うため、このスパッタリングの際に
既に形成した貴金属からなる第2層を酸化し、もしくは
第2層が酸素をとり込むマイグレーションを生じ、熱線
反射機能が低下するという問題があった。
そこで、このような問題を解決するものとして、従
来、次の〜の熱線反射板が提案されている。
第4図に示す如く、ガラス基板11にZnOX層(350Å
厚さ)12、Ag層(90Å厚さ)13、Zn(30Å厚さ)14及び
ZnOX層(500Å厚さ)15を順次形成したもの。ZnOX層12,
15はZnターゲットを用いO2主体雰囲気にて反応性スパッ
タで形成し、Ag層13及びZn層14はアルゴンスパッタにて
形成する。
に類似の構成であって、ガラス基板上にZnO層(4
00Å厚さ)、Ag層(120Å厚さ)、Sn層(30Å厚さ)及
びZnO層(450Å厚さ)を順次形成したもの(J.Vac.Sci.
Technol.A5(1987)2709)。
第5図に示す如く、ガラス基板11にZnSnxOy層(340
Å厚さ)16、Ag層(90Å厚さ)13、ZnSn層(薄層)17及
びZnSnxOx層(430Å厚さ)18を順次形成したもの(特開
昭61−111940)。ZnSnxOy,ZnSnxOx層16,18はZnSnxター
ゲットを用い酸化性雰囲気にて反応性スパッタで形成
し、Ag層13及びZnSn層17はアルゴンスパッタにて形成す
る。
第6図に示す如く、ガラス基板11にSnO2又はIn2O3
層(40nm厚さ)19、Ag層(10nm厚さ)13、Al,Ti,Ta,Cr,
Mn又はZr層(2nm厚さ)20及びSnO2又はIn2O3層21を順次
形成したもの(特開昭59−165001)。
上記〜とは異なるタイプのもので、第7図に示
す如く、ガラス基板11上にAl2O3,ZnO,SnO2,Zn2O3等の金
属酸化物層22及びAg層13を形成し、その上に金属層を介
在させることなく、金属酸化物をターゲットとして低酸
素分圧雰囲気でスパッタすることにより金属酸化物層23
を形成したもの(特開昭62−41740)。
即ち、上記〜のうち、〜においては、Ag層の
上に適当な金属層を薄く形成し、この層によりAg層を保
護して後工程の金属酸化物層形成工程におけるAg層の酸
化、劣化を防止している。一方、においては、金属酸
化物ターゲットを用いることによりスパッタ雰囲気を低
酸素分圧雰囲気とし、Ag層の酸化、劣化を防止してい
る。
なお、特公昭47−16315号には、ガラス表面の金属膜
上に300〜3000Åの窒化珪素膜を形成して金属膜を保護
することが記載されている。
[発明が解決しようとする課題] 上記〜の構成のうち、〜では、Ag層の上に金
属層を形成するため、この金属層が光を吸収し、赤外線
反射性能が悪くなる。また、可視光透過性能等の光学性
能も低下し、製品性能が悪くなる。しかも、その製造に
あたって、金属層形成のためのスパッタ用ターゲットが
必要となり、設備が大型化する上に、金属層形成のため
に工程数が増加し、また、金属層形成工程の不活性雰囲
気からその上の金属酸化物層形成工程の酸化性雰囲気へ
の切り換えにおいて、雰囲気ガスのクロスコンタミを防
ぐ設備、操作が必要となるなどの不具合がある。
一方、前記のものでは、このような問題はないもの
の、金属酸化物ターゲットは金属ターゲットよりも成形
が困難である上に、金属酸化物ターゲットのスパッタに
必要なRF電源(高周波)は電源価格が高いため、電源コ
ストも高くつき、結果的に製造コストが高騰するという
欠点がある。また、DC(直流)スパッタが可能な酸化物
ターゲットは金属酸化物の精密な組成制御が必要となる
ことから、ターゲット価格が高いという問題がある。
更に、〜のいずれの構成においても、最上層の金
属酸化物層によるAg層の保護効果は十分なものとはいえ
ず、耐食性、耐久性が低いという問題もあった。
特公昭47−16315号の窒化珪素膜は可視光透過率が低
いことが種々の実験の結果認められた。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、可視光透過率
が高く、熱線反射性能に優れ、耐食性、耐久性も高く、
しかも、低コストで容易に製造可能な熱線反射板を提供
することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の可視光透過性を有する熱線反射板は、可視光
透過性を有する基材と、該基材上に形成された貴金属よ
りなる熱線反射層と、該熱線反射層上に形成されたアル
ミニウム(Al)を主体とする金属又はアルミニウムと珪
素(Si)を主体とする金属の酸窒化物よりなる被覆層と
を有することを特徴とする。
本発明においては、該基材と熱線反射層との間に金属
の酸化物、窒化物又は酸窒化物よりなる透明誘電体層が
形成されていても良い。
[作 用] Alを主体とする金属又はAlとSiを主体とする金属の酸
窒化物よりなる被覆層は、金属ターゲットを用い、酸素
を含まないあるいは極微量の酸素を含む不活性ガス又は
窒素ガス雰囲気中、DC電源にて反応性スパッタにより容
易に形成することができる。
このように、スパッタ雰囲気を酸素不存在又は微量存
在の不活性ガス又は窒素ガス雰囲気とすることができる
ので、貴金属よりなる熱線反射層の酸化、劣化防止のた
めの金属層を形成する必要がない。従って、金属層形成
に伴なう装置設備の大型化、工程数増加、金属層による
光学性能の低下の問題が解消される。
また、金属ターゲットを用い、DCスパッタにより形成
できることから、ターゲット価格、電源価格を低くおさ
えて、製造コストの低廉化が図れる。
しかも、Al又はAlとSiの合金酸窒化物は極めて優れた
保護作用を奏することから、下層の熱線反射層が確実に
保護され、製品の耐食性、耐久性は著しく高められる。
ところで、Al又はAlとSiの合金窒化物、酸窒化物は、
屈折率調整機能をも備える透明電極体である。このた
め、本発明において、基材と熱線反射層との間に金属の
窒化物又は酸窒化物よりなる透明誘電体層を形成した場
合には、その屈折率調整機能により、可視光透過率をよ
り高めることができる。この屈折率調整はもちろん金属
酸化物層によっても行い得る。
また、本発明において、被覆層の上に金属酸化物より
なる透明誘電体層を形成した場合には、より耐食性、耐
久性が高められる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例について説明す
る。
第1図〜第3図は各々、本発明の熱線反射板の一実施
例を示す断面図である。
第1図に示す熱線反射板1は、可視光透過性を有する
基材2、基材2上に形成された貴金属よりなる熱線反射
層3及び、熱線反射層3上に形成されたAl又はAlとSiを
主体とする金属の酸窒化物よりなる被覆層4よりなるも
のである。
本発明においては、第1図に示す構成に加え、更に、
第2図に示す如く、基材2と熱線反射層3との間に金属
の酸化物、窒化物又は酸窒化物よりなる透明誘電体層
(下地層)5を形成したものとすることができる。
また、被覆層4の上に金属酸化物よりなる透明誘電体
層(保護層)(第3図の6)を形成したものとすること
ができ、第3図に示す如く、更に、上記下地層5及び保
護層6の両層を形成したものとすることもできる。
本発明において、可視光透過性を有する基材2として
は、ガラス又はプラスチック等の透明基板を用いること
ができる。
基材2上に形成する熱線反射層3を構成する貴金属と
しては、銀(Ag)、金、銅、パラジウム、ロジウム等が
用いられるが、これらのうち、特にAgが最適である。こ
の熱線反射層3の厚さは、通常50〜300Å、好ましくは8
0〜150Å程度とされる。
また、熱線反射層3上に形成する被覆層4を構成する
Al又はAlとSiの合金酸窒化物としては、具体的には、サ
イアロン等が挙げられる。この被覆層4の厚さは、厚い
程保護効果が高くなることから、5Å以上、特に10Å以
上とするのが好ましい。しかしながら、過度に厚くして
も保護効果に大差はなく、経済的に不利となることか
ら、コスト面から1μm以下とするのが好ましい。通常
の場合、被覆層4の厚さは、この被覆層4の上に金属酸
化物の保護層6を形成しない場合には300〜600Å程度と
され、金属酸化物の保護層6を形成する場合には、この
層6により保護効果が得られることから、10〜50Å程度
にまで薄くすることが可能となる。
本発明において、第2図に示す如く、基材2と熱線反
射層3との間に、金属の窒化物又は酸窒化物よりなる下
地層5を形成する場合、この金属の酸窒化物としては、
被覆層4を構成するAl又はAlとSiの合金酸窒化物を採用
するのが、製造上有利である。なお、この下地層5は、
従来より用いられているZnO等の金属酸化物層やAl又はA
lとSiを主体とする合金等の金属窒化物層であっても良
い。このような下地層5の厚さは、十分な屈折率調整機
能が得られる厚さであれば良く、一般には100〜600Å程
度、好ましくは200〜400Å程度の厚さに形成する。
本発明において、被覆層4の上に更に金属酸化物より
なる保護層6を形成する場合、保護層6の金属酸化物と
しては、従来より一般に保護層として用いられている。
Bi2O3,ZnO,TiO2,In2O3−SnO2,SnO2等の金属酸化物を用
いることができる。この保護層6の厚さは、被覆層4の
厚さ等によっても異なるが、一般には100〜600Å、好ま
しくは400〜500Å程度に形成する。
本発明の熱線反射板は、後述する第8図に示すような
スパッタ装置を用い、順次所定の雰囲気にてスパッタリ
ングを行なうことにより容易に製造することができる。
この際、Al又はAlとSiの合金酸窒化物よりなる層は、Al
又はAlとSiの合金ターゲットを用いDC電源により容易に
スパッタすることができるが、RF電源を用いてスパッタ
しても良い。
以下、製造方法及び特性を示す実施例及び比較例を挙
げて、本発明をより具体的に説明する。
比較例1 第8図に示すスパッタ装置(米国AIRCOSOLAR PRODUC
TS社製、モデルILS−1600)を用いて、スパッタを行な
った。
第8図に示す装置は、その本体31内部に基材の搬送コ
ンベア32が延在し、アースされたスパッタ室37と入込室
36とが仕切られており、仕切部にはゲート弁33が設けら
れている。スパッタ室37にはガス流量調整器35a,35b,35
cによりAr,O2又はN2が計量供給可能とされており、ま
た、スパッタ室37内に設けられた陰極34a,34b,34cには
それぞれ高周波DC電源38又はRF電源39が切換印加可能と
されている。図中、40a,40bは真空ポンプへの排気管で
ある。基材は入込室36より搬送コンベア32により搬送さ
れ、陰極34a〜34cの下方を通過する過程で、陰極34a〜3
4cに取り付けたターゲットによりそれぞれ順次スパッタ
層が形成される。
このような装置を用い、陰極34bに99.99%純度のAgタ
ーゲットを、陰極34aに99.9%純度のAlターゲットを装
着した。基材としては、洗剤洗浄後よく純水でリンスし
乾燥させた3mm厚のソーダライムガラスを用いた。入込
室36に基材をセットし、入込室36を高真空に排気したの
ち、ゲート弁33を開けた。スパッタ室37の真空度が5×
10-6Torr以下になるまで真空排気し、窒素ガスをスパッ
タ室37の圧力が3×10-3Torrになるように調整しながら
スパッタ室37に導入した。
まず、陰極34aのAlターゲットにDC電力2.4KWを印加
し、搬送コンベアで基材をスパッタ陰極34aの下を等速
で通過させ250Åの窒化アルミニウム膜をガラス上に形
成した。次に導入ガスをArに切替え、陰極34bのAgター
ゲットにDC電力0.4KWを印加して、基材を陰極34bの下を
通過させ、90ÅのAg層を第2層として形成した。最後に
第1層と同様な方法で搬送コンベアのパラメータだけを
変え陰極34aのAlターゲットにより500Åの窒化アルミニ
ウム層を形成した。
得られた試料を装置外に取り出し、光学特性を測定し
たところ、JISR 3106−1985の測定法で、可視光透過率
83.9%,膜面側の放射率0.13であった。また膜面、ガラ
ス面の反射色はいずれも淡い青色であり、膜面側の反射
色は2゜視野D65光に対するCIEL,a,b座標でL=24.0a=
−1.5b=−11.6であった。
この試料を30℃相対湿度80%の恒温恒湿器に入れ劣化
テストを行ったところ、5日経過しても直径80μm以上
の腐食斑点は1ヶ/mm2未満であった。この状態で直径80
μm以上の腐食斑点が1ヶ/mm2以上形成されるに要する
日数(耐久日数)は9日であった。
なお、本比較例における窒化アルミニウム層の形成と
同様の条件でシリコンウェハ上に窒化アルミニウム単層
膜を形成し、膜分析を行なったところ、偏光解析法で63
3nmの波長での屈折率を測定するとnは1.83、kは0.005
以下であり、透明な膜が形成されていることが確認され
た。RBSにより組成分析を行なうと、組成比はAl:N:O=4
8:40:12であり、また、ESCAによるとAlは主としてNと
結合しており、窒化アルミニウム主体の膜が形成されて
いることが確認された。
比較例2 搬送コンベアのパラメータを変えたこと以外は比較例
1と同様にしてガラス/窒化アルミニウム(400Å)/Ag
(120Å)/窒化アルミニウム(400Å)の3層構成の試
料を作成した。
この試料の340nm〜2μmの反射スペクトルおよび340
nm〜25μmの透過スペクトルを第9図及び第10図に示
す。
この試料のJIS R 3106−1985による可視光透過率
は78.5%、可視光透過率は膜面側で10.7%であった。ま
た、日射透過率は50.1%、膜面側の日射反射率は39.3
%、膜面側の放射率は0.05であった。
また、この試料の面積抵抗を4端子法で測定したとこ
ろ、5.5Ω/□であった。
比較例3 各陰極にセットするターゲット及び投入電力、導入ガ
スを下記の通りとして、搬送コンベアのパラメータを調
節することにより、第1表に示す3層構造の試料を作製
した。
得られた試料について比較例1と同様に性能評価を行
ったところ、第1表に示す通り、可視光透過率63.0%、
膜面の放射率0.84のヘーズ率の大きな膜しかできなかっ
た。また、SIMS分析の結果Ag層と酸化亜鉛層の相互拡散
が生じていたことがわかった。
比較例4 投入電力、導入するガスを下記の通りとしたこと以外
は、比較例3と同様にして、第1表に示す4層構造の試
料を作製した。
得られた試料について比較例1と同様に性能評価を行
ったところ、第1表に示す通り、可視光透過率81.8%、
膜面放射率0.12の淡い青色反射色をもつ試料が得られた
が、比較例1と同様の劣化テストでは、1日結果しただ
けで1ヶ/mm2以上の数の直径80μm以上の大きさの腐食
斑点が観察された。
比較例5 各陰極にセットするターゲット及び投入電力、導入ガ
スを下記の通りとして、搬送コンベアのパラメータを調
節することにより、第1表に示す3層構造の試料を作製
した。
得られた試料について比較例1と同様に性能評価を行
ったところ、第1表に示す通り、可視光透過率75%以上
の試料を得ることができなかった。分析してみるとSiの
スパッタ膜の屈折率がn=1.65であり、組成比N:O=1:3
であることがわかった。
実施例1 モル組成比がSi:Al:O:N=11:1:1:15で粒界結合相とし
て8重量%の酸化イットリウムを含むサイアロン(Siと
Alの酸窒化物)の焼結体ターゲットとAgターゲットを用
い、導入ガス、投入電力を下記の如くとし、搬送コンベ
アのパラメータを変えて、比較例1と同様にして、第1
表に示す3層構造の試料を作製した。
得られた試料について比較例1と同様に性能評価を行
ったところ、第1表に示す通り、著しく良好な性能を示
した。
比較例6 モル組成比がAl:Si=87.9:12.1(不純物0.1重量%以
下)のAl−Si焼結体ターゲットとAgターゲットを用い、
導入ガス、投入電力を下記の如くとし、搬送コンベアの
パラメータを変えて、比較例1と同様にして、第1表に
示す3層構造の試料を作製した。
得られた試料について、比較例1と同様に性能評価を
行い、結果を第1表に示した。
比較例7 窒化Al−Si形成雰囲気をN2+15%O2+10%Arとし、搬
送コンベアのパラメータを変えて、比較例6と同様にし
て、第1表に示す3層構造の試料を作製した。
得られた試料について、比較例1と同様に性能評価を
行い、結果を第1表に示した。
比較例8 Al−Siターゲットによるスパッタ時の導入ガスをN2
25%O2+10%Arとしたこと以外は比較例7と同様にして
第1表に示す3層構造の試料を作製した。
得られた試料について比較例1と同様に性能評価を行
ったところ、第1表に示す通り、部分的にAgが酸素でお
かされており、この部分は放射率が0.6以上の値となっ
ていた。
比較例9 第8図に示す装置において、Al,Agターゲットに更にS
nターゲット(純度99.99%)を追加取り付けし、ターゲ
ット、導入ガス、投入電力を下記の如くとし、搬送コン
ベアのパラメータを変えて、比較例1と同様にして、第
1表に示す4層構造の試料を作製した。
得られた試料について、比較例1と同様に性能評価を
行い、結果を第1表に示した。
比較例10 比較例1において、窒化Alの第1層を形成しなかった
こと以外は同様にして、第1表に示す2層構造の試料を
形成した。
得られた試料について比較例1と同様に性能評価を行
ったところ、第1表に示す通り、可視光透過率が約5%
低く、可視光反射率が約5%高い以外は比較例1の試料
と同等の性能を示した。
比較例11 基材として3mm厚のポリカーボネート板を用い、高真
空排気後スパッタ処理前に110℃、30分間のベーキング
を行なったこと以外は比較例1と同様の方法で、第1表
に示す3層構造の試料を作製した。
得られた試料について、比較例1と同様に性能評価を
行い、結果を第1表に示した。
比較例12 各陰極にセットするターゲット及び投入電力、導入ガ
スを下記の通りとして、搬送コンベアのパラメータを調
節することにより、第1表に示す3層構造の試料を作製
した。
得られた試料について比較例1と同様に性能評価を行
ったところ、第1表に示す通り、可視光透過率が75%以
下であり、劣化テストの結果も比較例1に比べ劣ってい
た。なお、本比較例と同様の窒化珪素形成条件にて、シ
リコンウエハ上に窒化珪素単層膜を形成し、これを分析
したところ、偏光解析法により測定した屈折率(λ=63
3nm)はn=1.92,k=0.06であり、RBSによる組成分析結
果は、Si:N:O:Ar=42:46.5:18:0.5であり、ESCAとIR分
析によるとSiの結合状態はSi−Nが主体であることが確
認された。
第1表より、本発明の熱線反射板は光学的性能及び耐
腐食性、耐久性が著しく優れていることが明らかであ
る。
[発明の効果] 以上詳述した通り、本発明の可視光透過性を有する熱
線反射板は、 可視光透過性率が著しく高い。
熱線反射率が著しく高い。
耐食性に著しく優れる。
製造設備の小型化、工程の簡素化が図れる。
製造にあたり、ターゲットコスト、電源コストの低
廉化が図れる。
等の優れた効果を有する。従って、本発明によれば、光
学特性、耐久性に優れた熱線反射板であって、低コスト
で容易に製造可能な熱線反射板が提供される。
本発明において、基材と熱線反射層との間に金属の酸
化物、窒化物又は酸窒化物よりなる透明誘電体層を形成
した場合には、可視光透過性能等の光学特性をより高め
ることができる。
また、被覆層の上に金属酸化物よりなる透明誘電体層
を形成した場合には、耐食性、耐久性をより高めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は各々本発明の実施例に係る熱線反射板
を示す断面図、第4図〜第7図は各々従来例を示す断面
図、第8図は本発明の熱線反射板の製造に好適なスパッ
タ装置を示す構成図、第9図及び第10図は、実施例2で
得られた熱線反射板の反射スペクトル及び透過スペクト
ルを示すグラフである。 1……熱線反射板、2……基材、 3……熱線反射層、4……被覆層、 5……下地層、6……保護層。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可視光透過性を有する基材と、該基材上に
    形成された貴金属よりなる熱線反射層と、該熱線反射層
    上に形成されたアルミニウムを主体とする金属又はアル
    ミニウムと珪素を主体とする金属の酸窒化物よりなる被
    覆層とを有する可視光透過性を有する熱線反射板。
  2. 【請求項2】前記基材と熱線反射層との間に金属の酸化
    物、窒化物又は酸窒化物よりなる透明誘電体層が形成さ
    れている特許請求の範囲第1項に記載の可視光透過性を
    有する熱線反射板。
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Cited By (4)

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