JP2693229B2 - インクジェット記録装置およびインク吸引ポンプ - Google Patents

インクジェット記録装置およびインク吸引ポンプ

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JP2693229B2 JP13931989A JP13931989A JP2693229B2 JP 2693229 B2 JP2693229 B2 JP 2693229B2 JP 13931989 A JP13931989 A JP 13931989A JP 13931989 A JP13931989 A JP 13931989A JP 2693229 B2 JP2693229 B2 JP 2693229B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はインクジェット記録装置および該装置に用い
られるインク吸引ポンプに関する。
[従来の技術] この種の装置は、直接記録に係る構成以外にインクを
吐出して記録を行う方式に固有の構成を具える。
すなわち、記録データに応じて、ある吐出口で長時間
吐出が行われない場合や、装置自体が長期間使用されな
い場合には吐出口や吐出口に連通するインク液室内のイ
ンクが水分蒸発によって増粘し不吐出を起こすことがあ
り、また、吐出口が配設された吐出口面にインク液滴,
水滴あるいは塵埃等が付着し、これら付着物によって吐
出されるインク液滴が引っ張られ、その吐出方向が偏向
することもある。このため、インクジェック記録装置
は、不吐出や吐出方向の偏向を未然に防止するため、い
わゆる吐出回復系としての種々の構成を具える。
これら吐出回復系としては、不吐出を防止する構成と
して、所定のインク受容媒体にインクを吐出して増粘イ
ンク等を排除する予備吐出,吐出口やインク液室からイ
ンクを吸引して上記排除を行うインク吸引,さらには吐
出口面を密閉して吐出口からのインク水分蒸発を防ぐキ
ャッピングがある。
また、吐出方向の偏向を防止する構成として、吐出口
面をワイピングし、吐出口近傍に付着した塵埃,インク
液滴等を取除く構成がある。
一方、近年のインクジェット記録装置、とりわけ記録
ヘッドにあっては、その製造が半導体の成膜工程やマイ
クロ加工技術によって行われるようになり、より小型で
かつ廉価な記録ヘッドが実現されつつある。これによ
り、例えばインクタンクを一体とした使い捨てタイプの
記録ヘッドも提案されている。
この結果、装置自体も小型かつ廉価なものとし、ユー
ザにとってより手軽に用いることのできるインクジェッ
ト記録装置が望まれている。
[発明が解決しようとする課題] ところで、上述したインクジェット記録装置、特に小
型かつ廉価、さらには使い捨てタイプの記録ヘッドに対
応した装置を実現するには、解決すべき種々の課題があ
る。
これら課題は、主に上述した吐出回復のための構成に
存在し、予備吐出,インク吸引,さらにはキャッピング
のための装置を配設するためのスペースによって装置の
小型化が阻害されている。また、予備吐出や吸引による
廃インクを貯留するための廃インクタンクや、これに廃
インクを導くための吸引ポンプ,チューブ等のスペース
によっても装置の小型化は阻害される。
上記回復系の構成のうち、特にインク吸引を行う構成
は、従来、例えば第12図(A)に示すように、インク吐
出口面をキャッピングするキャップ100と、インクを吸
引するためのポンプ101と、キャップ100とポンプ101と
を連結するための連結チューブ102とから成っていた。
また、第12図(B)に示すように、ポンプ101は、ピス
トン103の軸の端面に、一方向弁104を設ける構成によっ
て、吸引および排出を行っていた。なお、この一方向弁
の周囲はゴム等の物質で形成されている。
しかしながら、上記従来の回復系では、キャップ100
からポンプ101までの連結チューブ102や、ポンプ101か
ら廃インクタンク105までのドレインチューブ106を必要
とするため、これら装置の構成が複雑になり、また、チ
ューブの配設のためのスペースが必要になるという問題
点があった。
また、チューブが存在することにより、チューブから
のインク水分の蒸発が多くなって、チューブ内や吐出口
近傍のインクが増粘し、最終的に固着する場合もあっ
た。
さらに、ピストン軸に一方向弁を設けるため端面の面
積をある程度必要とし、このためにピストンの径が大き
くなり最終的にポンプの規模が大きくなってしまうとい
う問題点を有していた。
本発明は上述した問題点を解消するためになされたも
のであり、ピストンの端面を用いて弁機能を構成するこ
とによって吸引ポンプおよびその他の構成を小型化する
ことが可能な吸引ポンプにおいて、インクの粘着性等に
よりポンプの作動が不適切なものとなるのを防止したイ
ンクジェット記録装置およびインク吸引ポンプを提供す
ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] そのために本発明では、インク吸引ポンプを具え、記
録ヘッドの吐出口からインクを吸引し吐出口内のインク
を所定の状態に保つための吐出回復処理を行うインクジ
ェット記録装置において、インク吸引ポンプは、シリン
ダとシリンダ内を相対的に往復動作するピストンとを有
し、当該往復動作に伴ってインクの吸引および当該吸引
したインクの排出を行うインク吸引ポンプであって、吸
引にかかる動作では接触することによりインクの排出す
る経路を遮断し、排出にかかる動作では離隔することに
より所定の間隔を保ち当該排出の経路を形成する環状の
接触部を、ピストンの端面、または吸引の動作において
端面を押す押し部材の端面のいずれかに設けたことを特
徴とする。
[作 用] 以上の構成によれば、ピストンの端面を用いて弁機能
を構成する吸引ポンプにおいて、ピストンの端面と押し
部材の端面とが環状の線で接触することにより、吸引時
には、排出経路を断つうえでの密封性が良好となると共
に、排出時にはインクの粘着性にとらわれず速やかに離
間して排出経路を形成することができる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明の一実施例に係る液体噴射記録装置
(インクジェットプリンタ)を示す全体斜視図、第2図
(A)〜(C)はそのプリンタに配設される記録ヘッド
の吐出口形成面を良好にするための手段の各部を説明す
るための部分斜視図、第3図(A)は回復系の分解斜視
図、第4図はそのポンプ部の断面図である。
まず、第1図において、1はシャーシであり、紙等の
記録媒体のガイドを兼ねた左側板1a,右側板1bが奥側に
立設されている。また、右側端部には前側板1cが立設さ
れ、手前側にはキャリアガイド板1dが立設されている。
1eはキャリアをガイドするための長穴であり、後述する
キャリアガイドローラが嵌合し、摺動する。シャーシ1
には後述するキャリアモータを回動可能に支持するため
のモータ取付穴が設けられているが、図示は省略する。
1hは後述するリードスクリューを、軸方向および径方
向で支持するリードアームであり、軸受部(図示省略)
に軸支されている。
2はリードスクリューであり、リード溝2aが記録範囲
に相対して所定のピッチで形成されている。また、リー
ドスクリュー2のキャリアホームポジション側には、キ
ャップポジション設定用のキャップ溝3bおよび回復ポジ
ション設定用のポンプ溝3cが軸に垂直な断面の周りに沿
って形成され、これらキャップ溝3bとポンプ溝3cとは連
結溝3dにより滑らかに連続している。さらに、リード溝
2aとキャップ溝3bとも同様に導入溝3eにより滑らかに連
続している。
リードスクリュー2の右端には軸2gが設けられるとと
もに左端側にも軸が設けられ、それぞれ、前側板1cおよ
びリードアーム1bに設けられた軸受部に嵌入され、それ
らに対して回転自在に支持される。3は上記溝3b〜3eを
含み、リードスクリュー2の軸に設けられたリードプー
リであり、その端部にプーリ3aが設けられている。そし
て、そのプーリ3aにモータ11よりタイミングベルト13を
介して駆動力が伝達される。また、リードスクリュー2
の右端側の軸2gは、図示しない板ばね等によりスラスト
方向に押圧されている。
4はクラッチギヤであり、リードプーリ3に軸方向に
摺動自在に支持され、回転方向には図示しない回り止め
で係合してリードスクリュー2の回動力が伝達されるよ
うになっている。5はクラッチばねであり、クラッチギ
ヤ4をリード溝方向に付勢する圧縮スプリングとしてい
る。なお、クラッチギヤ4が所定の範囲内しか移動しな
いようにする規制部材がクラッチギヤ4とリードプーリ
3との間に形成されるが、図示を省略する。
6はキャリアであり、リードスクリュー2に摺動自在
に取り付けられる。6aはクラッチギヤ4の端面を押圧す
るための押圧部であり、キャリアの左側に一体に形成さ
れている。6bはキャリア6のホームポジション検出用の
検出片である。7はリードピンであり、リードスクリュ
ー2のリード溝2aに係合しており、キャリア6のガイド
穴(図示せず)にて案内されている。8はリードピンば
ねであり、キャリア6に一端が取り付けられており、他
端でリードピン7を押圧している。
9はキャリア6に搭載される記録ヘッドであり、本例
ではインク吐出を行うためのヘッドエレメント9aとイン
ク供給源をなすインクタンク9bとを一体化してキャリア
6に着脱可能としたカートリッジの形態を有し、インク
が消費されたとき等に交換可能な使い捨て型のものとし
てある。なお、ヘッドエレメント9aに配設されてインク
に吐出エネルギを作用させる吐出エネルギ発生素子とし
ては、電気熱変換体や電気機械変換体が用いられるが、
インク吐出口等の高密度実装化が可能であること、製造
工程が簡略であること等の理由により、前者を用いる。
10はキャリアコロであり、キャリア6の後端面側に回
転自在に取り付けられており、前述したシャーシ1の長
穴1eに回転自在に係合している。
11は、例えば、パルスモータよりなるキャリアモータ
であり、この前面および後面の下部に回動ピン11aがア
ライメントをとった状態で設けられており、それら回動
ピン11a(後面側のものは図示せず)がシャーシ1に設
けたモータ取付穴に回動自在に取り付けられている。そ
して、キャリアモータ11は、回動ピン11aを中心にして
回動可能に取り付けられている。11bはばね受けであ
り、キャリアモータ11に一体に形成され、後述するモー
タばね14を受けるべくモータ軸と平行に立設されてい
る。そしてそのばね受け部には円柱状の突起が形成さ
れ、コイル状のモータばね14の端部が固定されている。
12はモータプーリであり、キャリアモータ11のモータ
軸に固着している。13はタイミングベルトであり、モー
タプーリ12とリードスクリュー2の軸に設けたプーリ3a
との間に張架されている。モータばね14は、本例の構成
において圧縮ばねであり、リードアーム1hの一端と、キ
ャリアモータ11のばね受け11bとの間に取り付けられて
おり、これによってキャリアモータ11が図中A方向に回
動するように付勢されるようにすれば、タイミングベル
ト13に張力が与えられる。
15はセット軸であり、左側板1aに立設されて、吐出口
形成面を良好にするための手段や、キャップおよび吐出
回復に係る機構が取り付けられる。
第1図および第2図(A)〜(C)を用いて吐出口形
成面を良好にするための手段を説明する。
16はブレードレバーであり(第2図(A)参照)、ボ
ス部16aがセット軸15に回動自在に取り付けられる。16b
はアーム部、16cはフック部である。17は吐出口形成面
をぬぐうためのブレードであり、シリコンゴムやクロロ
プレン(CR)ゴム等の弾性部材で形成することができ
る。18はブレード軸であり、ブレード17を回転軸と平行
に中心部でクランプしており、ブレードレバー16に回動
自在に取り付けられている。また、18aは回動片であ
り、ブレード軸18と一体に形成されている。19はインク
キャリアであり、親水性の多孔質材料(プラスチック焼
結体,ウレタンフォーム等)で形成されており、ブレー
ドレバー16に固定されている。なお、ブレード17および
インクキャリア19は、後述するキャップと重畳する位置
に配置されている。
20はセットレバーであり、セット軸15に回動自在に取
り付けられる。20a,20bはセットレバー20に設けられた
停止歯,20cは同じくスタート歯,20dは同じく回動歯であ
り、スタート歯20cの歯厚は他の約半分としてある。20e
はアーム部であり、その一部を板厚方向に切欠くことに
より、セット面20fおよびリセット面20gが形成されてお
り、ブレードレバー16に取り付けられたブレード軸18の
回動片18aが嵌合されてこれを駆動するように組合わさ
れる。
21はタイミングギヤであり、シャーシ1に回動自在に
取り付けられている。
タイミングギヤ21は、第2図(B)に示すように外周
の一部に上述したセットレバー20の停止歯20a,20bと係
合するための停止カム21aが形成されている。また、一
部を欠歯にした駆動歯21b1,21b2,…が形成され、さらに
後述するキャップレバーを揺動させるためのキャップカ
ム21c〜21eが所定の位置に形成されている。加えて、後
述するポンプのピストンを押圧するためのピストンセッ
トカム21fがフェースカムとして形成され、またピスト
ンセットカム21fに対応し所定の間隔をおいてピストン
リセットカム21gが一体に形成されている。
22はインク吸収体ばねであり、シャーシ1の所定の位
置に固定され、第2図(C)に示すように、吸収体保持
部22aと、後述するポンプを回動するためのばね部22bと
を有している。23はインク吸収体であり、前述したイン
クキャリア19と同様に親水性の多孔質材料で形成されて
いる。このインク吸収体23には前述したブレード17が当
接する清拭部23aが形成されており、さらに下部には前
述したインクキャリア19が当接してインクの受け渡しを
行う吸収面23bが形成されている。なお、インク吸収体
ばね22の吸収体保持部は上方に若干の弾性力をもって付
勢されており、図示しないストッパにより所定の位置に
係止されている。そのため、前述したインクキャリア19
が当接したときには、インク吸収体23はインク吸収体ば
ね22をたわませて下方に変位し、当接状態が確保される
ようになっている。
次に、主として第3図(A)および第4図を参照して
回復系ユニットについて述べる。
第3図(A)および第4図において、24はシリンダで
あり、円筒状のシリンダ部24aと、後述するピストン軸
をガイドするガイド部24bとを有しており、ガイド部24b
には軸方向に一部を切欠くことによりインク流路24cを
形成してある。24dはキャップレバー受けであり、後述
するレバーシールが嵌入されるように形成されている。
また、24eはインク流路であり、シリンダ部24a内の所定
の位置に開口している。24fは回動レバーであり、シリ
ンダ24に一体に形成され、前述したインク吸収体ばね22
のばね部22bにより回動力が与えられる。24gは廃インク
管であり、シリンダ24に一体に形成されるとともに、そ
の先端部を鋭角状にカットすることにより後述する廃イ
ンク吸収体に挿入し易くしてある。24bは廃インク管24g
内に形成されたインク流路である。
25はシリンダキャップであり、シリンダ24の端部に圧
入される。25aはレバーガイドであり、前述したシリン
ダ24のキャップレバー受け24dと対向した位置に配置さ
れる。
26はシリンダ24に嵌入されるピストンシールであり、
その内径を若干小として後述するピストン軸と所定の圧
接力が得られるようにする。また、表面に潤滑塗装を施
して、ピストン軸の摺動力を低減するようにしてもよ
い。
27はピストン軸であり、動作軸27a,ピストン押え27b,
ピストン受け27c,連結軸27d,およびガイド軸27eが形成
されており、さらにインク流路となる溝27fが連結軸27d
およびガイド軸27eに沿って形成されている。27gは回り
止めであり、動作軸27aに溝として形成される。また、
動作軸27aの端面には、軸受部27bは設けられている。
28は本発明の一実施例にかかる発泡ウレタンやゴム等
の弾性材料で形成されるピストンであり、その詳細を第
3図(B)に示す。
第3図(B)において、28cは、ピストン28の一方の
端面28bに同端面と同心円状に設けられたシールリブで
あり、その横断面は半円状をなす。シールリブ28cは、
後述されるようにピストン28とピストン押え27bとが係
合して動作する際に直接ピストン押え27bに当接する部
位であり、全体として線で当接することによりその密封
性が良好となると共に、ピストン押えから離間する際に
インクの粘着性に影響されず速やかに離間することがで
きる。
42はポンプ室である。29はピストン押圧ローラであ
り、ピストン軸27の端部に回動自在に取り付けられる。
30はピストン復帰ローラであり、同様にピストン軸27の
端部に回動自在に取り付けられる。31はそれらローラの
軸である。
32はキャップレバーであり、回転軸32a、インクガイ
ド32bおよびレバーガイド32cが形成されている。また、
先端部には凸形の球面状をしたシール面32dが形成され
ている。また、後述するキャップホルダの爪が係合する
ための係合部32eが上下一対の部材として設けられてい
る。さらに、インク流路32fが、シール面32dよりレバー
内部を通り、途中で直角に曲ってインクガイド32bの中
心を通り、その端面に開口している。なお、インクガイ
ド32bの下側には切欠32gが設けてある。
33はレバーシールであり、インクガイド32bが嵌入さ
れるとともに、キャップレバー受け24d内に圧入され
る。33aは連通穴であり、インクガイド32bの切欠32gと
インク流路24eとを連通する。
34はキャップホルダであり、キャップレバー32の係合
部32eと係合するフック34aが対向した位置に設けられ
る。34bは後述するキャップ取付用の開口部である。
35はキャップであり、通常のインクの乾燥を防ぐため
の密閉キャップ35aが形成され、またこれに隣接して吸
引用の吸引キャップ35bが形成されている。吸引キャッ
プ35bには吸引口35cが形成され、キャップ内でインク流
路を曲げ、その中心部を介してキャップホルダ34方向に
開口している。
35dはフランジ部であり、キャップホルダ34に取り付
けた時の外れ止めになる。また、フランジ部35dはキャ
ップレバー32のシール面32dと同じ曲率を有した凹形の
球面状をしたキャップシール部35eが形成され、キャッ
プレバー32に押圧した場合に中央の開口部のみが連通し
て他はシールされるようになっている。そして、シール
部(32d,35e)は球面状であるのでキャップ部材のエコ
ライズ機能は優れたものであり、吐出口形成面に段差が
ある場合(第24図(B),(C)参照)でもその段差を
即座に吸引して安定した密閉状態を保つことができる。
さて、再び第1図を参照するに、36は紙等の記録媒体
を搬送するための紙送りローラであり、例えばアルミニ
ウムの引抜き管に表面に弾性塗料(ウレタン樹脂等)を
塗布して形成することができる。また、このローラ36は
その外表面において記録媒体の被記録面を規制するプラ
テンとして機能するとともに、その内部を廃インクの貯
留部としている。37はローラ36の内部に設けた廃インク
吸収部であり、塩化ビニル等のフラスチックで薄く形成
した管にポリエステル綿等の吸収材料を充填し、軸方向
にインクの吸収が良い構成としてある。なお、廃インク
吸収部37内にはシリンダ24の廃インク管24gが挿入さ
れ、固定される。また、吸収材料の繊維自体は樹脂や金
属等の非吸液材料であることが好ましいが、わずかに吸
液性でもよい。
38は紙押え板であり、シャーシ1に取り付けられる。
39は紙送りモータであり、紙送りローラ36と所定比の減
速機構を介して連結している。
40は紙,フィルム等の記録媒体である。
41はキャリアのホームポジションを検出するための検
出器であり、本例では透過型のフォトインタラプタを用
いて構成してある。すなわち、キャリア6の検出片6bが
光路をさえぎることにより、キャリアの位置が検出でき
る。
次に、以上の構成についてその動作を説明する。
まず、通常の記録動作時には、キャリアモータ11の軸
の回転によりタイミングベルト13を介してリードスクリ
ュー2が回転するので、リード溝2aに係合したリードピ
ン7によりキャリア6が印字桁方向に記録媒体40に沿っ
て走査される。ここで、キャリアモータ11はモータばね
14により付勢されているので、タイミングベルト13は常
に張られており、良好な伝動がなされる。
キャリア6の移動の際、起動時および停止時に慣性力
が働くが、キャリアモータ11の重量が慣性となるのでモ
ータばね14の荷重は少なくてすみ、モータ負荷も少なく
てすむ。また、このばねに関連してエアダンパあるいは
油圧ダンパ等を設ければ、キャリア6の起動・停止時に
モータ11のロータの振動による騒音が低減できる。この
モータの重量,キャリア部分の重量およびモータばねダ
ンパの係数を適切に選定すればロータのオーバーシュー
トを少なくすることができ、低騒音化が可能となる。
次に、第5図〜第9図を参照して本実施例の非記録時
における動作を説明する。なお、第5図は各部の動作タ
イミングを示すタイミングチャートであり、モータ11に
与えるパルス数によって図示のような各部の動作タイミ
ングを定めることができる。また、第6図(A)〜
(C)はホームポジション付近にある各部の順次の動作
状態を示す説明図、第7図(A)〜(D)はブレード17
等に係る機構の順次の動作状態を示す説明図、第8図
(A)〜(C)はキャップ35に係る機構の順次の動作状
態を示す説明図、第9図(A)および(B)は廃インク
をローラ36内の廃インク収容部37に導入するための機構
の動作を説明するための説明図である。
まず、キャリア6がホームポジション方向(矢印B方
向)に移動し、ホームポジション検出器41により検出が
なされる(この位置は記録時のラップアップ時のスター
ト位置と一致させてもよい)。このとき、第6図(A)
に示すように、リードピン7はリード溝2aに係合してお
り、ヘッドエレメント9aの吐出口9cはインクキャリア19
(第7図(A)参照)と対向した位置にある。ここで、
この位置でヘッドエレメント9aの吐出エネルギ発生素子
のすべてを駆動して吐出動作(以下予備吐出という)を
行い、若干増粘したインク等がその吐出力で吐出され、
この予備吐出による回復動作を終了できる。また、通常
記録の途中で未使用の吐出口のインクが増粘するのを防
ぐために定期的に行う予備吐出もこの位置で行う。な
お、第7図(A)は同位置の周辺の側面図である。
さらに、第6図(B)に示すように、リードスクリュ
ー2を回転してキャリア6をB方向に移動すると、押圧
部6aによりクラッチギヤ4が押圧され、同じくB方向に
移動してタイミングギヤ21の駆動歯21bに噛合する。ク
ラッチギヤ4はリードスクリュー2と同期して回転する
のでモータ11の駆動に伴って、タイミングギヤ21は第7
図(B)に示すようにD方向に回転する。一方、リード
ピン7は導入溝3eからキャップ溝3cに入り込んでいるの
で、リードスクリュー2が回転してもキャリア6は移動
しない。
タイミングギヤ21がD方向に回転すると、そのギヤ部
とセットレバー20のギヤ部とが噛合しているので、セッ
トレバー20はE方向に回動し始める。このときまで、ブ
レードレバー16はフック部16cがシャーシの爪部に係合
しているためセットレバー20のみが回転し、ブレードレ
バー16は停止しているが、やがて、セットレバー20のセ
ット面20fはブレード軸18の回動片18aを押し下げつつF
方向に回動するので、ブレード17はG方向に回転して吐
出口形成面と係合可能な状態にセットされる。
さらにタイミングギヤ21がD方向に回転すると、セッ
トレバー20とブレードレバー16もさらに回転し、第7図
(C)に示すようにヘッド9の吐出口形成面を清拭す
る。このとき、ブレード17の清拭によって除去されるイ
ンク液等は、一方向のみ、すなわちこの場合下方のみに
排除され、この排除されたインク液等はインクキャリア
1aの上部において吸収または保持される。また、このと
きインクキャリア19はインク吸収体23と接触し始める。
さらにセットレバー20が回転すると第7図(D)に示す
ように、インクキャリア19およびブレード17はインク吸
収体23の清拭部23aの面と摺動するため予備吐出時にイ
ンクキャリア19に受容されたインクや、吐出口形成面か
らブレード17にぬぐわれた塵埃等が清拭部23aによって
受けられるとともに、吐出口形成面に付着していたイン
ク滴も吸収される。これにより、インクキャリア19のイ
ンク吸収能力は長期間その能力を保持することができ
る。
さらにタイミングギヤ21はD方向に回動するが、セッ
トレバー20の停止歯20a,20bと、タイミングギヤ21の停
止カム21aとが対向して接するので、回動が規制される
のと同時に、タイミングギヤ21の駆動歯が欠歯部分にな
るので、回動させる力も働かない。
上述したように、ブレードおよびブレードによって除
去されるインク液等を保持する吸収体を、予備吐出時の
インク受けと同一のものとしたので装置を小型化し、こ
れら回復動作の時間を短縮することができる。
タイミングギヤ21がさらに回動すると、当初はキャッ
プカム21cがキャップレバー32cの回転軸32aをい規制し
ているので、第8図(A)に示すようにキャップ35はヘ
ッドエレメント9aの吐出口形成面から離れた位置に停止
している。次に、タイミングギヤ21がさらにD方向に回
動するとキャップカム21cから外れるため、規制状態が
解除されるので、第8図(B)に示すように、シリンダ
24の回動レバー24fはインク吸収体ばね22のばね部22bに
より付勢されて、シリンダ24がF方向に回動し、キャッ
プ35の密閉キャップ35aが吐出口形成面に圧接し、キャ
ップ動作が終了する。なお、第6図(B)はこのときの
上面図を示すものである。そしてこの時、キャップの押
圧力によりシール面32dとキャップシール部35eも密着し
てシールされる。
さて、以上がノズル面の清拭とキャップ動作であり、
通常はここで停止して次の記録信号の入力に応じて以上
の動作を逆に行い、記録動作に入るわけである。
次に予備吐出によっても吐出状態が良好とならなかっ
たような場合等に行われる吸引回復動作について述べ
る。
これを起動するときには、キャップ位置からさらにタ
イミングギヤ21を回転させ、キャップカム21bによりキ
ャップレバー32を押圧して第8図(C)に示すようにキ
ャップ35を吐出口形成面より弱化に離隔させる。
次に、リードピン7が連結溝3dを通り、ポンプ溝3cに
移るので、キャリア6がB方向に所定量(キャップ溝と
ポンプ溝との距離)移動する。
タイミングギヤ21がさらにD方向に回転すると、再び
キャップカム21dより外れるので、キャップ35は吐出口
形成面に圧接する。このとき記録ヘッド9が移動してい
るので、吸引キャップ35bで吐出口形成面がッキャップ
される(第6図(C)参照)。
本実施例においては、第6図に示すように吐出口形成
面に対し吐出口9cが記録領域側に偏倚しており、吸引を
伴わない通常キャップ時は第6図(B)で示すようにキ
ャップ35の全面が完全に吐出口形成面に対向しているの
で、キャップ35の各リブ部に対する圧力は減少する。し
かしこのときは、外気との密閉性を保つだけでよいた
め、乾燥防止に支障はなく、空隙では10g程度の押圧力
で密閉できる。また、リブ部のつぶれが少ないためキャ
ップ内容積の減少がわずかで済み、キャップ時のインク
メニスカスの後退が発生しない利点がある。
さらに、回復処理時のキャップは第6図(C)のよう
に、通常キャップ部分が吐出口形成面より外れるため、
圧力が回復用キャップのリブ部のみにかかり、密閉性が
向上し、従って負圧によるリークの防止が確実となる。
なお、このとき、キャップによるキャップ内容積の減少
によりメニスカスが後退しても吸引動作によって復帰す
るので問題が生じない。
さて、ポンプ動作について述べるに、前述した密閉キ
ャップが終了した後に回復動作に入ると吸引動作に入る
ことになる。
このとき、まず、タイミングギヤ21の回動によりピス
トンセットカム21fがピストン軸27に取り付けられたピ
ストン押圧ローラ29を押すので、ピストン軸27は第9図
(A)に示すようにH方向に移動する。そしてピストン
28はピストン押え27bにより押圧されてH方向に移動
し、ポンプ室42は負圧状態となる。ピストン28の外周お
よびピストン押え27bとの接触面にはスキン層があるの
で、発泡材の連通穴を通ってインクが漏洩することはな
い。
また、シリンダ24のインク流路24eはピストン28によ
り閉塞されているので、ポンプ室42の負圧が高まるのみ
でピストン28は移動可能な状態である。一方、前述した
再キャップの後は第9図(A)に示すように、インク流
路24eが開くので、第6図(C)に示すようにキャップ3
5の吸引口35cよりヘッド9のインクが吸引される。吸引
されたインクはキャップレバー32の内部に形成されたイ
ンク流路32fを通り、レバーシール33の連通穴を通り、
さらにシリンダ24のインク流路24eを通って、ポンプ室4
2に流入する。
さらにタイミングギヤ21が回動すると、再びキャップ
カム21eによりキャップ35が吐出口形成面より若干離
れ、ポンプ室の残存負圧により吐出口形成面,吸引キャ
ップ35b内のインクが吸引されてこれら部分のインクの
残留をなくす。
次に、タイミングギヤ21を逆方向(第7図(D)中矢
印Iで示す方向)に回動させると、ピストンリセットカ
ム21gがピストン復帰ローラ30を引っ張り、第9図
(B)に示すように矢印J方向にピスト軸27を移動させ
る。このとき、ピストン28はピストン軸27のピストン受
け27cが接してから移動するので、ピストン28の端面28b
とピストン押え27bと間に間隙Δlが生じる。
しかして、ピストン軸27およびピストン28の移動によ
り、ピンプ室42内に吸引されている廃インクは、前述し
た間隙Δlを通り、ピストン軸の溝27fを通り、シリン
ダ24のインク流路24cを通り、さらに廃インク管24gを通
って廃インク吸収体37の中央付近に排出される。なお、
このとき、ピストン28の動作初期にシリンダ24のインク
流路24eはピストン28により閉塞されるので、キャップ
方向に廃インクが逆流することはない。
第10図は本発明の第2の実施例を示すピストンの斜視
図である。同図に示すように、本例では端面28bにおい
てシールリブ28cに加えてその外周部にシールリブ28fを
設ける。これにより、インク吸引時の弁作用における密
封性が向上する。
第11図は本発明の第3の実施例にかかるピストン押え
とピストンとの係合状態を示す側断面図である。同図に
示すように、本例ではピストン押え27bの端面に環状を
なすシールリブ27cを設け、ピストン28の端面は平面と
する。
この実施例によれば、ピストン押え27bを介してピス
トン28を押す際には、リブ27cがピストン28の端面と当
接するので、リブ27cの端面への食い込み量が少なくて
済み、ピストン動作時の位置関係が安定する。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように本発明によれば、ピス
トンの端面を用いて弁機能を構成する吸引ポンプにおい
て、ピストンの端面と押し部材の端面とが環状の線で接
触することにより、吸引時には排出経路を断つうえでの
密封性が良好となると共に、排出時にはインクの粘着性
にとらわれず速やかに離間して排出経路を形成すること
ができる。
この結果、ポンプの吸引および排出動作を良好に行う
ことが可能となる。
また、接触部にインクやグリス、あるいは塵埃等が付
着しポンプの動作が阻害されるなどといった不良が発生
し難くなり、さらに排出時において記録ヘッド側へのイ
ンクの逆流が発生しないので、信頼性の高い吸引ポンプ
およびインクジェット記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るインクジェットプリンタの一実施
例を示す斜視図、 第2図(A)〜(C)は記録ヘッドに対するブレードお
よびインクキャリア部の一実施例を示す部分斜視図、 第3図(A)および(B)は本発明の一実施例にかかる
それぞれ吸引ポンプの分解斜視図および吸引ポンプにお
けるピストンの斜視図、 第4図は第3図に示した吸引ポンプの断面図、 第5図は実施例に係る各部の動作タイミングを示すタイ
ミングチャート、 第6図(A)〜(C)は予備吐出時,キャップ時および
吸引回復時における記録ヘッドとそれら処理に供される
部材との位置関係を説明するための平面図、 第7図(A)〜(D)はブレードおよびインクキャリア
部の順次の動作を説明するための側面図、 第8図(A)〜(C)はキャップ部の順次の動作を説明
するための側面図、 第9図(A)および(B)は吸引回復を行うためのポン
プ部の動作を説明するための側断面図、 第10図は本発明の他の実施例にかかるピストンの斜視
図、 第11図は本発明のさらに他の実施例にかかるピストンと
ピストン押えとの係合状態を示す側断面図、 第12図(A)および(B)はそれぞれインクジェット記
録装置における吸引ポンプの一従来例を示す外観斜視図
および従来ポンプにおけるピストンの斜視図である。 24……シリンダ、 27……ピストン軸、 27b……ピストン押え、 28……ピストン、 27c,28c,28f……シールリブ。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インク吸引ポンプを具え、記録ヘッドの吐
    出口からインクを吸引し吐出口内のインクを所定の状態
    に保つための吐出回復処理を行うインクジェット記録装
    置において、 前記インク吸引ポンプは、シリンダと該シリンダ内を相
    対的に往復動作するピストンとを有し、当該往復動作に
    伴って前記インクの吸引および当該吸引したインクの排
    出を行うインク吸引ポンプであって、 前記吸引にかかる動作では接触することにより前記イン
    クの排出する経路を遮断し、前記排出にかかる動作では
    離隔することにより所定の間隔を保ち当該排出の経路を
    形成する環状の接触部を、前記ピストンの端面、または
    前記吸引の動作において該端面を押す押し部材の端面の
    いずれかに設けたことを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  2. 【請求項2】シリンダと該シリンダ内を相対的に往復動
    作するピストンとを有し、当該往復動作に伴ってインク
    の吸引および当該吸引したインクの排出を行うインク吸
    引ポンプであって、 前記吸引にかかる動作では接触することにより前記イン
    クの排出する経路を遮断し、前記排出にかかる動作では
    離隔することにより所定の間隔を保ち当該排出の経路を
    形成する環状の接触部を、前記ピストンの端面、または
    前記吸引の動作において該端面を押す押し部材の端面の
    いずれかに設けたことを特徴とするとするインク吸引ポ
    ンプ。
  3. 【請求項3】前記環状の接触部は、前記ピストンの端面
    に該端面と同心円状に設けられたリブであり、該リブの
    断面は半円形であることを特徴とする請求項1または2
    に記載のインクジェット記録装置またはインク吸引ポン
    プ。
  4. 【請求項4】前記環状の接触部は、前記押し部材の端面
    に前記ピストンの端面と同心円状に設けられたリブであ
    り、該リブの断面は半円形であることを特徴とする請求
    項1または2に記載のインクジェット記録装置またはイ
    ンク吸引ポンプ。
  5. 【請求項5】前記記録ヘッドは熱エネルギーを利用して
    インクを吐出することを特徴とする請求項1に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
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