JP2806609B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2806609B2 JP20871690A JP20871690A JP2806609B2 JP 2806609 B2 JP2806609 B2 JP 2806609B2 JP 20871690 A JP20871690 A JP 20871690A JP 20871690 A JP20871690 A JP 20871690A JP 2806609 B2 JP2806609 B2 JP 2806609B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、インクジェット記録装置に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、紙、OHP用シートなどの記録媒体(以下記録用
紙または単に紙ともいう)に対して記録を行う記録装置
は、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載した形態で
提案されている。この記録ヘッドには、ワイヤードット
方式,感熱方式,熱転写方式,インクジェット方式によ
るものなどがある。
特にインクジェット方式は、記録用紙に直接インクを
噴射するものであるので、ランニングコストが安く、静
かな記録方法として、注目されている。
かかるインクジェット方式による記録装置において
は、記録ヘッドとして一般に微細な吐出口を配列したも
のが用いられるので、吐出口内方への気泡や塵埃の混入
が生じた場合、あるいはインク溶剤の蒸発に伴う増粘等
によってインクが吐出ないし記録に適さない状態となっ
た場合等において、インクをリフレッシュすることによ
りそれら吐出不良要因を除去する処理(吐出回復処理)
がなされるようにしている。
[発明が解決しようとする課題] このような吐出回復処理を行う手段の一形態として、
記録ヘッドの吐出口形成面を覆うことが可能なキャップ
と、このキャップに連通し吸引力を作用するポンプとを
設けたものがある。そして、キャップを吐出口形成面に
対向させた状態で吐出口方のインク吐出エネルギ発生素
子を駆動することによりインクを吐出させ、あるいはキ
ャップによって吐出口形成面を覆った状態で吸引力を作
用させて吐出口より吸引を行うことによりインクを強制
排出させて、インクとともに吐出口不良要因を除去せん
とするものである。
一方、装置の適宜の部位には、上記吐出回復処理によ
って生じた廃インクを貯留するための廃インクタンクが
設けられている。また、吐出回復処理によってキャップ
やポンプ、およびこれらを連通する廃インクチューブ等
を含む吐出回復装置に受容されたインクを廃インクタン
クへと導く処理を行うために、キャップを大気に開放し
た状態でポンプを作動させる所謂空吸引という動作が行
われることもある。これは、吐出回復処理によって吐出
回復装置内に受容されたインクを放置した場合、残留し
た廃インクの固化が生じたりキャップから外方に廃イン
クが漏洩するのを防止するために極めて有効な動作であ
る。
本発明の目的は、効率よく確実に空吸引を行い、吐出
回復処理時の廃インク、ないしは該処理によって吐出回
復装置内に受容した廃インクを確実に廃インクタンクへ
導入できるようにすることにある。
[課題を解決するための手段] そのために、本発明は吐出口からインクを吐出して記
録を行う記録ヘッドの前記吐出口より吸引を行うことに
より、前記吐出口からのインク吐出状態を良好にするた
めの吸引ポンプを具えたインクジェット記録装置におい
て、前記吸引ポンプはシリンダと該シリンダ内を往復動
するピストンとを有し、前記吸引ポンプによって前記吐
出口から前記シリンダ内に吸引された廃インクを該シリ
ンダ内から排出する経路に、廃インクを吸収するための
吸収体が配置されていることを特徴とする。
ここで、前記吸収体はポリオレフィン焼結体で形成さ
れていてもよい。
また、前記記録ヘッドはインクを吐出するために利用
されるエネルギを発生するエネルギ発生素子を有し、該
エネルギ発生素子はインクに膜沸騰を生じさせる熱エネ
ルギ発生素子でってもよい。
[作 用] 本発明によれば、吸引ポンプによって吐出口からシリ
ンダ内に吸引された廃インクをシリンダ内から排出する
経路に、廃インクを吸収するための吸収体を配置したこ
とにより、流入部側ないしはキャップに至る吸引経路側
に廃インクが逆流することが防止される。また、そのよ
うな吸収体を配設したことにより、これを廃インクタン
ク内の吸収体と結合、もしくは廃インクタンクに至る流
路内のインク吸収体と結合させれば、表面張力によって
廃インクが廃インクタンク内に導かれるので、逆流を一
層有効に防止できる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明す
る。
第1図は本発明の一実施例に関するインクジェット記
録装置の外観斜視図、第2図は、第1図に示した装置の
ケース等を除いた装置主要部の斜視図、第3図(A)お
よび(B)は同様に第1図に示した装置の主に排紙系を
示す図である。
第1図において、100はインクジェット記録装置を示
し、この装置100は、同図に示すように載置されて使用
される場合と、後述されるように垂直に載置されて、使
用される場合等があり、比較的小型なものである。
101は装置ケース、102は外蓋、103は内蓋であり、非
使用時等は内蓋103の上に外蓋102が重畳されて装置100
はコンパクトなものとなる。これにより、例えば記録装
置を専用の収納バックに入れ、ユーザーが持ち運びする
こともできる。
また、外蓋102は、同図に示すように記録紙40の給紙
ガイドとして兼用することができ、この場合、図中106
が給紙口となる。さらに、外蓋102は、後述されるよう
に排紙トレイとしても兼用することもできる。
上記いずれの場合にも、図中107が排紙口となる。
105は上蓋102の位置固定フック、また、104は操作キ
ー,表示部等である。
次に、第2図を参照して装置要部の構成を説明する。
図において、1はシャーシであり、紙等の記録媒体の
ガイドを兼ねた左側板1a,右側板1bが奥側に立設されて
いる。また、シャーシ1には後述するキャリアモータを
回動可能に支持するためのモータ取付穴が設けられてい
るが、図示は省略する。
1hは後述するリードスクリューを、軸方向および径方
向で支持するリードアームであり、軸受部(図示省略)
に軸支されている。
2はリードスクリューであり、リード溝2aが記録範囲
に相対して所定のピッチで形成されている。また、リー
ドスリュー2のキャリアホームポジション側には、キャ
ップおよび吐出回復を行う位置を設定するためのポジシ
ョン溝3bがスクリュー軸に垂直な断面の周りに沿って形
成されている。さらに、リード溝2aとポジション溝3bと
は導入溝3cにより滑らかに連続している。
リードスクリュー2の右端には軸2gが設けられるとと
もに左端側にも軸が設けられ、それぞれ、前側板1cおよ
びリードアーム1bに設けられた軸受部に嵌入され、それ
らに対して回転自在に支持される。3は上記溝3b,3cを
含み、リードスクリュー2の軸に設けられたリードプー
リであり、その端部にプーリ3aが設けられている。そし
て、そのプーリ3aにモータ11よりタイミングベルト13を
介して駆動力が伝達される。
また、リードスクリュー2の右端側の軸2gは、シャー
シ右側板1bとシャーシ1とに接続するガイド板1cの構溝
と摺動可能に係合し、板ばね10の押え部10aによりスラ
スト方向に押圧されると共に、さらに軸2gはガイド板1c
に設けられた軸に回動自在に軸支されたカム溝板50aの
カム溝と係合している。カム溝板50aの周囲には、かみ
合い歯が形成され、これと板ばね10のラチェット部10c
とがかみ合うことによりカム溝板50aを所望の回転位置
で掛止することができる。この結果、カム溝に係合する
軸2gは、ガイド板1cの構溝における位置が定められ、従
って、リードスクリュー2の装置右端での位置が定めら
れる。この構成は、後述の記録ヘッドとプラテンとのギ
ャップ調整に用いられる。
4はクラッチギヤであり、リードプーリ3に対して軸
方向に摺動自在に支持され、回転方向には第11図にて後
述されるリードプーリ3に設けられたキー部によって係
合しリードスクリュー2の回動力が伝達されるようにな
っている。5はクラッチばねであり、クラッチギヤ4を
リード溝方向に付勢する圧縮スプリングとしている。な
お、クラッチギヤ4が軸方向に所定の範囲内しか移動し
ないようにする規制部材がクラッチギヤ4とリードプー
リ3との間に形成されている。
6はキャリアであり、リードスクリュー2に摺動自在
に取り付けられる。6aはクラッチギヤ4の端面を押圧す
るための押圧部であり、キャリアの左側に一体に形成さ
れている。7はリードピンであり、リードスクリュー2
のリード溝2aに係合しており、キャリア6のガイド穴
(図示せず)にてその押圧方向が案内されている。8は
リードピンばねであり、キャリア6にその一端が取り付
けられており、他端でリードピン7を押圧している。
9はキャリア6に搭載される記録ヘッドであり、本例
ではインク吐出を行うためのヘッドエレメント9aとイン
ク供給源をなすインクタンク9bとを一体化してキャリア
6に着脱可能としたカートリッジの形態を有し、インク
が消費されたとき等に交換可能な使い捨て型のものとし
てある。なお、ヘッドエレメント9aに配設されてインク
に吐出エネルギを作用させる吐出エネルギ発生素子とし
ては、電気熱変換素子や電気機械変換素子が用いられる
が、インク吐出口等の高密度実装化が可能であること,
製造工程が簡略であること等の理由により、前者が好ま
しく用いられる。
6cはフックであり、キャリア6の一部に固定され、後
述されるようにキャリア6の移動において記録ヘッド9
のキャップ位置等で安定して停止するため用いられる機
構である。
51はキャリアガイド軸であり、キャリア6の後端部に
設けられたガイドピン6bと摺動可能に係合する。ガイド
軸51は、第4図にて後述されるように偏心した軸51aを
有し、これら軸51aはシャーシ1の端部に設けられる側
板51b,51cによって回動自在に軸支される。さらに、側
板51cによって軸支される軸51aの端部は、位置決めノブ
51dに固定され、ノブ51dに設けられた突起と側板51cに
設けられた穴51eとが係合することにより軸51の回転位
置が定められる。
第4図(A)および(B)に示すように、上述した構
成は、記録紙40の種類に応じて、記録紙40の記録面ヘッ
ドエレメント9aの吐出口との間隔を適切なものとするた
めのものである。すなわち、ノブ51dを手動で回転させ
ることにより、軸51を第4図(A)に示すように軸51a
とピン6bとの距離が最小の位置、また、第4図(B)に
示すように同距離が最大の位置に固定することができ
る。これに応じて、記録ヘッド9は、リードスクリュー
2を回動軸として回動し、記録紙40が比較的薄い普通紙
に対応した位置(第4図(A))、または、封筒等の比
較的厚い記録紙に対応した、間隔を大きくとった位置
(第4図(B))に固定される。
しかしながら、上述した構成は記録時の記録紙に対応
した構成である。すなわち、吐出回復処理時には第2図
の左端に示される回復処理系の位置まで記録ヘッド9を
移動させる。このとき、記録ヘッド9と回復系とは常に
所定の位置関係になければならない。従がって第4図
(A)または(B)に示した位置にかかわらず、吐出回
復処理時には、記録ヘッド9は一定の位置をとる必要が
ある。そのための構成を第5図(A)および(B)に示
す。
第5図(A)および(B)は、それぞれ第4図(A)
および(B)に対応した図を示している。
第5図(A)の場合、軸51とピン6bとの係合位置の高
さを変化させずに軸51aとピン6bとが係合可能となる。
このとき、その係合位置の高さを維持するために、台形
カム51gの平行面もピン6bに係合させるようにする。
第5図(B)の場合、記録ヘッド9が移動してピン6b
が軸51aに係合しようとするとき、ピン6bの係合位置の
高さは変化する。このため軸51にはテーパ部51fが設け
られており、これに応じて台形カム51gにはテーパ面が
設けられている。これにより、ピン6bの軸51(テーパ部
51f,軸51a)との係合位置の高さが変化するに伴なっ
て、その高さが維持される。
以上の構成により、記録ヘッド9が吐出回復系の位置
に至ったとき、常に所定の高さ、従って、回復系との所
定の位置関係を保つことができる。
なお、記録ヘッド9の回動固定位置は、上述のように
2つに限られるものでなく、その中間位置で固定し様々
な厚さの記録紙に対応させるようにすることもできる。
この場合には、ノブ51bの突起と側板51cの穴51eの係合
位置を増せばよい。
また、ノブ51bの回転は手動に限定されず、例えば用
いる記録紙に対応したキー入力に応じて紙送りモータ等
の駆動力を用いノブ51bを回転させることもできる。
再び、第2図を参照すると、11は、例えば、パルスモ
ータよりなるキャリアモータであり、この前面および後
面の下部に回動ピン11aがアライメントをとった状態で
設けられており、それら回動ピン11a(後面側のものは
図示せず)がシャーシ1上を移動可能な回復系ベース50
に設けたモータ取付穴に回動自在に取り付けられてい
る。もちろん、回動ピンが回復系ベース50に設けられ取
付け穴がモータ側に取り付けれていてもよい。そして、
キャリアモータ11は、回動ピン11aを中心にして回動可
能に取り付けられている。11bはばね受けであり、キャ
リアモータ11に一体に形成され、後述するモータばね14
を受けるべくモータ軸と平行に立設されている。そして
そのばね受け部には円柱状の突起が形成され、コイル状
のモータばね14の端部が固定さている。
12はモータプーリであり、キャリアモータ11のモータ
軸に固着している。13はタイミングベルトであり、モー
タプーリ12とリードスクリュー2の軸に設けたプーリ3a
との間に張架されている。モータばね14は、本例の構成
において圧縮ばねであり、リードアーム1hの一端と、キ
ャリアモータ11のばね受け11bとの間に取り付けられて
おり、これによってキャリアモータ11を図中A方向に付
勢し、タイミングベルト13に張力が与えられる。
15はセット軸であり、ベース50に固定される不図示の
側板に立設されて吐出口形成面を良好にするための手段
や、キャップおよび吐出回復に係るいわゆる回復系機構
が取り付けられる。
ところで、前述したように、この回復系機構と記録ヘ
ッド9との位置関係は重要である。例えば、記録ヘッド
9の吐出口面を拭うブレードの機能を良好に発揮する上
で吐出口面との位置関係は重要なものであり、また、吐
出口面のキャッピング機能を良好にする上でキャップと
吐出口面との間隔は重要である。従って、これら回復系
機構と記録ヘッド9との位置関係は常に一定に保たれる
ことが望ましい。
一方、記録ヘッド9は、リードスクリュー2を介して
その駆動力が伝達されることにより、リードスクリュー
2に沿って移動しながら記録を行う。このとき、記録紙
40と記録ヘッド9の吐出口との距離は、移動のどの位置
においても等しいことが望ましいことは明らかである。
従って記録ヘッド9の記録紙に対する距離を調整して、
記録ヘッドが記録紙に対して平行に移動できるような調
整機構を設けることができるが、この調整は上記回復系
との一定の位置関係を損なうこともあり得る。
そこで、本実施例では、キャリアモータ11および後に
記述される回復系機構が設けられた回復系ベース50をシ
ャーシ1に対して移動可能とする。このベース50の移動
と、前述したカム溝板50aによる調節によって、リード
スクリュー2の位置をその両端において調整し、記録ヘ
ッド9が記録紙40に対して平行に移動するようにする。
そのためのベース50における機構の詳細を第6図に示
す。
第6図は回復系ベース50の第2図とは反対の方向から
の斜視図であり、一部破断図で示す。
図において、50eはベース50の裏面側に設けた溝の側
面に固定されたガイド溝部材であり、この部材50eの溝
と、シャーシ1に固定したカギ型のガイド部材1kのガイ
ド部とが係合することにより、ベース50の移動方向が規
制され、またベース50のシャーシ1からの浮上りを防止
することができる。
上記機構において、第2図にその詳細が示されるよう
に、カム板50bをベース50に取付けた軸50dの廻りに回動
させることにより、そのカム面をシャーシ1のカム溝1
のいずれか一方の面に当接させながら当該面を押圧す
る。このとき、ベース50は、押圧力の反力によって、部
材50eと部材1kとによって案内される方向に移動する。
なお、上記カムの構成は、カム板に形成された所定の
カム溝と係合する軸を動作させることによりカム板を所
定軸廻りに回動させるようにしてもよい。
この移動に伴なって、ベース50に取付けられたキャリ
アモータ11とモータ11の駆動にかかる駆動系、すなわち
タイミングベルト13,プーリ3,12,リードフクリュー2
等、および同様にベース50に取付けられた回復系機構が
共に移動しながらリードスクリュー2の一端の位置が調
整される。
一方、リードスクリュー2の他端の位置調整は、カム
溝板を回動させることによって行う。
以上の調整によってリードスクリュー2を記録紙と平
行にすることができ、従って記録ヘッドが記録紙に対し
て平行に移動できるようになる。
なお、この調整は、記録装置の製造過程において組立
ロボットにより行われるものであるが、ユーザーサイド
においても、例えば長期間、装置を使用した後等の修理
等でこの調整を行ってもよい。
次に、第2図および第7図(A)〜(C)を参照して
回復系機構の1つである吐出口形成面を良好にするため
の手段を説明する。
16はブレードレバーであり(第7図(A)参照)、ボ
ス部16aがセット軸15に回動自在に取り付けられる。16b
はアーム部、16cはフック部である。17は吐出口形成面
をぬぐうためのブレードであり、シリコンゴムやクロロ
プレン(CR)ゴム等の弾性部材で形成することができ
る。18はブレード軸であり、ブレード17を回転軸と平行
に中心部でクランプしており。ブレードレバー16に回動
自在に取り付けられている。また、18aは回動片であ
り、ブレード軸18と一体に形成されている。19はインク
キャリアであり、親水性の多孔質材料(プラスチック焼
結体,ウレタンフォーム等)で形成されており、ブレー
ドレバー16に固定されている。なお、ブレード17および
インクキャリア19は、後述するキャップと重畳する位置
に配置されている。
20はセットレバーであり、セット軸15に回動自在に取
り付けられる。20a,20bはセットレバー20に設けられた
停止歯,20cは同じくスタート歯,20dは同じく回動歯であ
り、スタート歯20cの歯厚は他の約半分としてある。20e
はアーム部であり、その一部を板厚方向に切欠くことに
より、セット面20fおよびリセット面20gが形成されてお
り、ブレードレバー16に取り付けられたブレード軸18の
回動片18aが嵌合されてこれを駆動するように組合わさ
れる。
21はタイミングギヤであり、不図示の支持部材によっ
てベース50に回動自在に取り付けられている。
タイミングギヤ21は、第7図(B)に示すように外周
の一部に上述したセットレバー20の停止歯20a,20bと係
合するための停止カム21aが形成されている。また、一
部を欠歯にした3種類の駆動歯21b1,21b2,21b3が形成さ
れ、さらに後述するキャップレバーを揺動させるための
キャップカム21cが所定の位置に形成されている。加え
て、後述するポンプのピストンを押圧するためのピスト
ンセットカム21fがフェースカムとして形成され、また
ピストンセットカム21fに対応し所定の間隔をおいてピ
ストンリセットカム21gが一体に形成されている。
22はインク吸収体ばねであり、ベース50の所定の位置
に固定され、第7図(C)に示すように、吸収体保持部
22aと、後述するポンプを回動するためのばね部22bとを
有している。23はインク吸収体であり、前述したインク
キャリア19と同様に親水性の多孔質材料で形成されてい
る。このインク吸収体23には前述したブレード17が当接
する清拭部23aが形成されており、さらに下部には前述
したインクキャリア19が当接してインクの受け渡しを行
う吸収面23bが形成されている。なお、インク吸収体ば
ね22の吸収体保持部は上方に若干の弾性力をもって付勢
されており、図示しないストッパにより所定の位置に係
止されている。そのため、前述したインクキャリア19が
当接したときには、インク吸収体23はインク吸収体ばね
22をたわませて下方に変位し、当接状態が確保されるよ
うになっている。
次に、主として第8図および第9図を参照して回復系
機構の1つである回復系ユニットについて述べる。
第8図(A),(B)および第9図において、24はシ
リンダであり、円筒状のシリンダ部24aと、後述するピ
ストン吸収体241,流路吸収体242を保持するためのシリ
ンダ流路24bとを有しており、後述する流路吸収体242が
嵌入される部分には一部突起24cを軸方向に延在形成
し、流路吸収体の外周とシリンダ流路内径との間に軸方
向の空隙が形成されるようにしている。24dはキャップ
レバー受けであり、後述するレバーシールが嵌入される
ように形成されている。また、24eはインク流路であ
り、シリンダ部24a内の所定の位置に開口している。24f
は回動レバーであり、シリンダ24に一体に形成され、前
述したインク吸収体ばね22のばね部22bにより回動力が
付与される。なお、この回動力を与えるのに引張コイル
ばね等を用いてもよい。
241は第9図中ピストン右側のシリンダ内のインク排
出部側に設けた吸収体(以下ピストン吸収体という)で
あり、前述したインクキャリア19と同様に、親水性の多
孔質材料(ポリオレフィン等の微粒子粒を焼結したもの
や、ウレタンフォーム等)で形成されており、前述した
シリンダ24のシリンダ流路24bに嵌入されている。この
ピストン吸収体241はシリンダ24に固着されていてもよ
いし、逆に遊嵌状態でもよい。ピストン吸収体241に
は、後述するピストン軸の端部形成より若干寸法の大き
い略円すい状の開口部241a、前述したシリンダ流路24b
に嵌入する支持部241b、および空気抜き241cが形成され
る。
242は流路吸収体であり、前述したシリンダ流路24bに
嵌入され、一端部はピストン吸収体241の端面に接し、
他端部は後述する廃インク吸収体に確実に接触するよう
に、シリンダ24の端面より若干突出するように全長が設
定されている。流路吸収体242はメラミンフォームやウ
レタンフォーム等の弾性を有する連通孔をもった多孔質
体で形成される。
25はシリンダキャップであり、シリンダ24の端部に圧
入または溶着等で固着されている。25aはレバーガイド
であり前述したシリンダ24のキャップレバー受け24dと
対向した位置に配置される。26はシリンダ241に嵌入さ
れるピストンシールであり、その内径を若干小として後
述するピストン軸と所定の圧接力が得られるようにす
る。また、表面に潤滑塗装を施してピストン軸の摺動力
が低減されるようにしてもよい。
27はピストン軸であり、動作軸27a,ピストン押え27b,
ピストン受け27c,および連結軸27dが形成されており、
さらにインク流路となる溝27fが連結軸27dに沿って形成
されている。27gは回り止めであり、動作軸27aに溝とし
て形成される、また動作軸27aの端面には軸受部27hが設
けられている。
28はピストンであり、NBRやCR等のゴムを用いて、円
筒状にかつ、シリンダ24の内径より所定量大きく形成さ
れて、シリンダ24に挿入されたときは適度に圧縮された
状態となる。また外周面と、端面のピストン軸27のピス
トン押え27bと接触する面は、平滑にするのが望ましい
が、1本または数本のリブを設けてシール性を確保して
いもよい。ピストン28の全長はピストン軸27の連結軸27
dより所定量短く形成されており、軸方向に若干の遊び
が生じるようになっている。
42はポンプ室である。29はピストン押圧ローラであ
り、ピストン軸27の端部に回動自在に取付けられる。30
はピストン復帰ローラであり、同様にピストン軸27の端
部に回動自在に取付けられる。31はそれらローラの軸で
ある。
32はキャップレバーであり、回転軸32a,インクガイド
32bおよびレバーガイド32cが形成されている。また、そ
の先端部には後述するキャップのチューブ部に挿入され
る円筒部32dが中央にインク流路用の孔を形成した状態
で設けられ、また後述するキャップホルダの球面状の凹
部と当接するための凸形の球面状ガイド面32eが前面に
形成されている。さらに、側面には、一部を円筒面状に
した横係止面32fおよび略半円形状の段差部である縦係
止面32gが、対向側面と対をなして設けられている。ま
た、インク流路32hが前述した円筒部32dよりレバー内部
を通り、途中で直角に曲がってインクガイド32bの中心
を通り、その端面に開口している。なおインクガイド32
bの下側には切欠32gが設けてある。
33はレバーシールであり、インクガイド32bが嵌入さ
れるとともにキャップレバー受け24d内に圧入される。3
3aは連通穴であり、インクガイド32bの切欠き32gとイン
ク流路24eとを連通する。
34はキャップホルダであり、キャップレバー32の横係
止面32f,縦係止面32gと係合するフック部34aが対向した
位置に設けられる。また、キャップレバー32のガイド面
32eと当接できるように球面状の凹部を有したホルダー
ガイド部34bが形成される。34cは後述するキャップ取付
用の開口部である。
35はキャップであり、シール面35a,キャップ内の残存
インクを集めるためのスリット形状の溝部(以下スリッ
トという)35b,および吸引のための吸引口35cが下部に
設けられ、後方には内部をインク流路としたチューブ部
35dが形成されている。なお、本例では、スリット356は
キャップ内壁面の中央部上下方向にほぼ全域に設けら
れ、吸引口35cはスリット幅と同じ幅をもって長円形に
形成されている。また、スリット35bが設けられる内壁
面には、シール面35aの設けられた側壁部との境界から
スリット35bに至る部分に向けてテーパ面を形成してい
る。しかし受容インクを良好に捕集できるのであれば、
スリットの本数,形状はどのように定めることもでき
る。例えば、吸引口から放射状に形成されてもよい。ま
た、吸引口が必ずしもスリット内になくてもよい。
35eはフランジ部であり、キャップホルダ34に取付け
たときの外れ止め部材となる。チューブ部35dは前述し
たキャップレバー32の円筒部32dに挿入される。なお、
キャップ35をキャップホルダ34に取付け、その状態でキ
ャップレバー32に対し取付けを行うと、チューブ部35d
でキャプレバー32のインク流路32hと連結し、キャップ
ホルダ34がホルダガイド部34bによりイコライズすると
ともに、フック部34aがキャップレバー32の縦係止面32g
と係合して外れ止めになる。なお、キャップがヘッド吐
出口形成面にイコライズするとき、チューブ部35dの変
形、もしくはキャップレバー32の円筒部32dとの相対移
動を伴うので、イコライズが円滑に行われる。
なお、第8図(C)および(D)は、それぞれ、キャ
ップ35を上方から見たとき、および側方から見たときの
当該イコライズ状態を示す図である。
本例では、キャップ側インク連通部であるチューブ部
35dは弾性を有するものとし、キャップレバー側インク
連通部である円筒部32dはチューブ部35dの弾性に対し剛
性とみなしうる材料で形成した。従って、非キャップ状
態におけるレバー32に対するキャップ35の保持精度、す
なわちヘッド吐出口形成面に対するキャップ35の面精度
はキャップレバー円筒部32dによって確保され、キャッ
プ時におけるヘッド吐出口形成面に対するキャップ35の
イコライズはチューブ部35dの変形によって許容され
る。
これに対し、キャップ,キャップレバー双方の連通部
を弾性部材とした場合には、保持性およびイコライズ性
の双方を十分に満足する上で両連通部の弾性率を考慮し
なければならないことになり、材料選択の幅が狭く、設
計上不利である。一方、キャップ側連通部を剛体、キャ
ップレバー側連通を弾性部材とした場合には、キャップ
側連通部とキャップ本体とが別体の部材となり、これら
を結合してキャップを構成することになるので製造上不
利であり、さらには、キャップを保持しかつキャップに
キャッピング力を付与するべきレバー側連通部が弾性を
有すると保持精度の点で問題が生じることになる。
さらに本例では、保持精度およびイコライズ性がキャ
ップホルダ34およびキャップレバー32の構成に関連して
一層良好なものとなる。すなわち、ホルダーガイド部34
bの球面凹部とレバー32の凸形球面状ガイド面32eとが当
接しているため、キャップ35が吐出口形成面に接触する
とき、ホルダ34ないしキャプ35は球面に沿って変位する
とともに、ホルダ34なフック部34aおよびレバー32の
縦,横係止面32g,32fは外れ止めとしての機能を果たし
つつ、上記球面に沿った変位を許容するからである。ホ
ルダーレバー間の取付け部に関して単にその外れ止めだ
けの機能を付与する場合には、取付け部の寸法精度や経
時変化に起因して吐出口形成面に対するキャップの面出
し精度が不良となり(特に、イコライズ性を考慮して上
記球面接触面に潤滑剤を塗布したような場合には一層こ
れが甚だしい)、イコライズも不完全となるおそれがあ
るが、本例によればそのような不都合が生じない。
さて、再び第2図を参照するに、36は紙等の記録媒体
を搬送するための紙送りローラであり、例えばアルミニ
ウムの引抜き管に表面に弾性塗料(ウレタン樹脂,アク
リル樹脂等)を塗布して形成することができる。また、
このローラ36はその外表面において記録媒体の被記録面
を規制するプラテンとして機能するとともに、その内部
を廃インクの貯留部としている。37はローラ36の内部に
設けた廃インク吸収部であり、塩化ビニル等のプラスチ
ックで薄く形成した管にポリエステル綿等の吸収材料を
充填し、軸方向にインクの吸収が良い構成としている。
なお、廃インク吸収部37内にはシリンダ24の廃インク管
24が挿入されるが、ベース50の動きに伴なって回復系機
構が動いて持される。また、吸収材料の繊維自体は樹脂
や金属の非吸液材料であることが好ましいが、わずかに
吸液性でもよい。
ここで、紙との摩擦によって発生する静電気によって
紙送りローラ36が帯電し、放電が生じて回路素子を破壊
することを防止するために、紙送りローラ(以下PFロー
ラともいう)36を例えばプリンタのシャーシ(金属製)
を介して接地する方法について、第23図(A),(B)
を用いて述べる。
第23図(A),(B)において、361はPFローラキャ
ップであり、ギヤ361aと軸361bとをプラスチック材料等
で一体に形成したもので、前述したアルミ間でなるPFロ
ーラ36に圧入、またはカシメ、または接着等により固着
される。また、361cは廃インク吸収体37が所定の位置よ
りPFローラキャップ361側に移動しないように内周に複
数本設けられたストッパであり、PFローラキャップ361
に一体に形成されている。
さらに、PFローラキャップ361には後述するPFローラ
接地部材(PFローラアース)を取付けるための穴361dを
2個形成してあり、その中間部に突起部361eが軸361b端
部より所定量突出して形成されている。361fは廃インク
吸収体37からの蒸発を促進するための大気開放穴であ
る。362はPFローラアースであり、SUS等の弾性のある金
属線で形成し、前述したPFローラキャップ361の穴361d
にU字部362aが挿入され、先端部362bがPFローラ36の内
面に所定の圧力で接触するように途中に所定の曲げ部を
設けてある。
なお、PFローラキャップ361の突起部361eは前述した
板ばね10のスラスト押圧部10bとPFローラアース362とが
当接しやすくするために、PFローラアース362を突出し
た位置に固定させるために設けたものである。
38はフッ素樹脂,カーボン繊維混入材等よりなる紙押
え板であり、第3図にて詳述されるように4つの部分に
分けられて、シャーシ1に取り付けられる。また、紙押
え板38の押圧力を解除するための軸38Aの一端にはギア3
8Bが固定され、他端は軸38Aを軸支する軸受け38Cと係合
する。軸受38cはシャーシ1に固定される。なお、ギア3
8Bにはリリースレバーのギア部が噛合しているがここで
は図示されない。39は紙送りモータであり、紙送りロー
ラ36と所定比の減速機構を介して連結している。
40は紙,フィルム等の記録紙である。
次に、以上の構成についてその動作を説明する。
まず、通常の記録動作時には、キャリアモータ11の軸
の回転によりタイミングベルト13を介してリードスクリ
ュー2が回転するので、リード溝2aに係合したリードピ
ン7によりキャリア6が印字桁方向に記録紙40に沿って
走査される。ここで、キャリアモータ11はモータばね14
により付勢されているので、タイミングベルト13は常に
張られており、良好な伝動がなされる。
キャリア6の移動の際、起動時および停止時に慣性力
が働くが、キャリアモータ11の重さがこの慣性力を吸収
するのでモータばね14にかかる荷重は少なくてすみ、モ
ータの回転にかかる負荷も少なくてすむ。また、このば
ねに関連してエアダンパあるいは油圧ダンパ等を設けれ
ば、キャリア6の起動・停止時にモータ11のローラの振
動による騒音が低減できる。このモータの重量,キャリ
ア部分の重量およびモータばねダンパの係数を適切に選
定すればロータのオーバーショートを少なくすることが
でき、低騒音化が可能となる。
次に、第10図〜第16図を参照して本実施例の非記録時
における動作を説明する。
第10図は各部の動作タイミングを示すタイミングチャ
ートであり、モータ11に与えるパルス数によって図示の
ような各部の動作タイミングを定めることができる。
第11図は、上述したクラッチギア4とタイミングギア
21の詳細な構成を示す斜視図であり、クラッチギア4
は、そのキー溝4dがリードスクリュー2のキー部2hと係
合することにより、リードスクリュー2上を摺動し、か
つ共に回転する。また、クラッチギア4は、ばね5によ
ってキャリア6方向に付勢されており、通常、記録時に
はリードスクリュー2の溝2iによって所定位置にあって
リードスクリュー2と共に回転する。記録ヘッド9がホ
ームポジションに移動するときには、これに伴なってク
ラッチギア4はキャリア6に押されてタイミングギア21
と係合し始める。
クラッチギア4は、スタート歯4c1と通常の駆動歯4c2
を有し、スタート歯4c1と駆動歯4c2とはクラッチギアの
幅方向に異なる位置に形成される。また、駆動歯4c2
ギアの全周にわたって同様に形成されるものではなく、
その一部に曲面部4bを有する部分がある。さらに、クラ
ッチギア4の端部には全周にわたって、つば4aが形成さ
れている。
タイミングギア21は、第7図(B)に示したように、
スタート歯21b1,および位置の異なる2種類の駆動歯21b
2,21b3を有し、これら歯21b1,21b2,21b3は、ギア21の幅
方向に異なった位置に形成される。
第12図(A)〜(C),および第13図(A),(B)
は、それぞれクラッチギア4とタイミングギア21との係
合状態を示す図である。
通常の記録時には、第12図(A)および第13図(A)
に示すような係合状態にある。但し、このとき、第13図
(A)において、リードピン7はこの位置になく、ま
た、インク吸収体33の上部に図示はされないがブレード
17およびインクキャリア19が位置している。
このとき、クラッチギア4はリードスクリュー2の回
動に伴なって回動するが、スタート歯4c1とスタート歯2
1b1が係合する位置関係にはない(第13図(A)参
照)。このため、タイミングギア21は回動せず、しかも
タイミングギア21の左端部の駆動歯21b2およびつば21h
がクラッチギア4のつば4aとわずかな隙間を隔てて当接
可能な位置関係にあるため、タイミングギア21はどちら
方向にも回転することができない。
これにより、タイミングギア21に何らかの回動力が作
用したり、あるいは人為的な力が作用しても不用意には
回転せず、回復系機構の動作位置の誤差が生じることな
どを防止することができる。
記録ヘッド9がホームポジション方向へ移動し、キャ
リア6がクラッチギア4を押すと、クラッチギア4とタ
イミングギア21との位置関係は最終的に第13図(B)に
示すようになる。この過程で、スタート歯4c1と21b1
は係合可能な位置関係となる(但し、このときリードピ
ン7は未だこの位置にない)。
次に、リードピン7が溝3cから溝3bへ移動するのに伴
なって、クラッチギア4は第12図中右廻りに回転し、そ
の位置関係は、第12図(A)から同図(C)に示す状態
へと順次変化する。このとき、スタート歯4c1と21b1
が係合するまでは、第11図に示した非歯合部としての曲
面部4bがタイミングギア21に最も近接して当面するよう
な位置にあるため、不用意にタイミングギアが動いて他
の駆動歯どうしが最初に係合することはない。
これにより、クラッチギア4とタイミングギア21との
ギアのかみ合いは、常にスタート歯どうしで始まり、従
って、タイミングギア21の回転が常に正しい位置から開
始される。
この結果、タイミングギア21を介して駆動される回復
系機構の動作が正確になる。
また、クラッチギア4およびタイミングギア21の取付
精度をそれ程高くする必要がない等の利点が得られる。
なお、第7図(B)に示したようにタイミングギア21
の駆動歯のうちその位置を異ならせる駆動歯21b3は、上
記曲面部4bが再びタイミングギア21に当面する際に係合
する駆動歯である。すなわち、通常の駆動歯21b2と同じ
位置にこれら駆動歯があると、曲面部4bと当接してしま
うため、その位置をずらして駆動歯どうしを係合させ
る。
また、駆動歯どうしが係合して、タイミングギア21が
回転している間は、キャリア6に取付けられたフック6c
がタイミングギア21の側面を摺動する。
これにより、例えば所定の歯どうしが噛合する前にリ
ードピン7が溝3bを離れることによって記録ヘッド9が
ホームポジションから離れるのを防止することができ
る。これは、記録ヘッド9がホームポジションにあって
一連の回復処理を行う際にリードスクリューは2回転す
るため、リードピン7が溝3cへ移動する場合であるから
である。
なお、上例では一連の回復処理をリードスクリューの
2回転で行うようにしたが、これに限定されるものでは
なく、任意の回転を設定することができ、これによりク
ラッチ機構等の設計上の自由度を増すことができる。
第14図(A)〜(D)はブレード17等に係る機構の順
次の動作状態を示す説明図、第15図(A)〜(C)はキ
ャップ35に係る機構の順次の動作状態を示す説明図、第
16図(A)および(B)は廃インクをローラ36内の廃イ
ンク収容部37に導入するための機構の動作を説明するた
めの説明図であり、これら図と上述した第12図および第
13図を参照して動作を説明する。
まず、キャリア6がホームポジション方向(矢印B方
向)に移動する。このとき、第13図(A)に示すよう
に、リードピン7はリード溝2aに係合しており、ヘッド
エレメント9aの吐出口9cはインクキャリア19(第14図
(A)参照)と対向した位置にある。ここで、この位置
でヘッドエレメント9aの吐出エネルギ発生素子のすべて
を駆動して吐出動作(以下予備吐出という)を行い、若
干増粘したインク等がその吐出力で吐出され、この予備
吐出による回復動作を終了できる。また、通常記録の途
中で未使用の吐出口のインクが増粘するのを防ぐために
定期的に行う予備吐出もこの位置で行う。なお、第14図
(A)は同位置の周辺の側面図である。
さらに、第13図(B)に示すように、リードスクリュ
ー2を回転してキャリア6をB方向に移動すると、押圧
部6aによりクラッチギヤ4が押圧され、同じくB方向に
移動してそのスタート歯4c1がタイミングギヤ21のスタ
ート歯21b1と係合可能な位置となる。その後、クラッチ
ギヤ4はリードスクリュー2と同期して回転し、スター
ト歯どうしが係合してタイミングギヤ21は第14図(B)
に示すようにD方向に回転する。一方、リードピン7は
導入溝3cからポジション溝3bに入り込んでいるので、リ
ードスクリュー2が回転してもキャリア6は移動しな
い。
タイミングギヤ21がD方向に回転すると、そのギヤ部
とセットレバー20のギヤ部とが噛合しているので、セッ
トレバー20はE方向に回動し始める。このときまで、ブ
レードレバー16はフック部16cがシャーシの爪部に係合
しているためセットレバー20のみが回転し、ブレードレ
バー16は停止しているが、やがて、セットレバー20のセ
ット面20fはブレード軸18の回動片18aを押し下げつつF
方向に回動するので、ブレード17はG方向に回転して吐
出口面と係合可能な状態にセットされる。
さらにタイミングギヤ21がD方向に回転すると、ブレ
ードレバー16のフック部16がシャーシのつめ部からはず
れセットレバー20とブレードレバー16もさらに回転し、
第14図(C)に示すようにブレード17によってヘッド9
の吐出口面を清拭する。このとき、ブレード17の清拭に
よって除去されるインク液等は、一方向のみ、すなわち
この場合下方のみに排除され、この排除されたインク液
等はインクキャリア19の上部において吸収または保持さ
れる。また、このときインクキャリア19はインク吸収体
23と接触し始める。さらにセットレバー20が回転すると
第14図(D)に示すように、インクキャリア19およびブ
レード17はインク吸収体23の清拭部23aの面と摺動する
ため予備吐出時にインクキャリア19に受容されたインク
や、吐出口形成面からブレード17にぬぐわれた塵埃等が
清拭部23aによって受けられるとともに、吐出口面に付
着していたインク滴も吸収される。これにより、インク
キャリア19のインク吸収能力は長期間その能力を保持す
ることができる。
さらにタイミングギヤ21はD方向に回動するが、セッ
トレバー20の停止歯20a,20bと、タイミングギヤ21の停
止カム21aとが対向して接するので、セットレバー20の
回動が規制されるのと同時に、タイミングギヤ21の駆動
歯が欠歯部分になるので、回動させる力も働かない。
上述したように、ブレードおよびブレードによって除
去されるインク液等を保持する吸収体を、予備吐出時の
インク受けと同一のものとしたので装置を小型化し、こ
れら回復動作の時間を短縮することができる。
タイミングギヤ21がさらに回動すると、当初はタイミ
ングギア21のキャップカム21cが第8図に示したキャッ
プレバー32cの回転軸32aを規制しているので、第15図
(A)に示すようにキャップ35はヘッドエレメント9aの
吐出口面から離れた位置に停止している。次に、タイミ
ングギヤ21がさらにD方向に回動するとキャップカム21
cから外れるため、規制状態が解除されるので、第15図
(B)に示すように、シリンダ24の回動レバー24fはイ
ンク吸収体ばね22のばね部22bにより付勢されて、シリ
ンダ24がF方向に回動し、キャップ35のキャップ部35a
が吐出口面に圧接し、キャップ動作が終了する。なお、
第13図(B)はこのときの上面図を示すものである。
さて、以上がノズル面の清拭とキャップ動作であり、
通常はここで停止して次の記録信号の入力に応じて以上
の動作を逆に行い、記録動作に入るわけである。
次に予備吐出によっても吐出状態が良好とならなかっ
たような場合等に行われる吸引回復動作について述べ
る。
これを起動するときには、キャップ位置からさらにタ
イミングギヤ21を回動させ、キャップカム21fによりキ
ャップレバー32を押圧して第15図(C)に示すようにキ
ャップ35を吐出口形成面より若干に離隔させる。
タイミングギヤ21がさらにD方向に回転すると、再び
キャップカム21fより外れるので、キャップ部35aは吐出
口面に圧接する。
さて、ポンプ動作について述べるに、前述した密閉キ
ャップが終了した後に回復動作に入ると吸引動作に入る
ことになる。
このとき、まず、タイミングギヤ21の回動によりピス
トンセットカム21gがピストン軸27に取り付けられたピ
ストン押圧ローラ29を押すので、ピストン軸27は第16図
(A)に示すようにH方向に移動する。そしてピストン
28はピストン押え27bにより押圧されてH方向に移動
し、ポンプ室42は負圧状態となる。
また、シリンダ24のインク流路24eはピストン28によ
り閉塞されているので、ポンプ室42の負圧が高まるのみ
でピストン28は移動可能な状態である。一方、前述した
再キャップの後に第16図(A)に示すように、インク流
路24eが開くので、キャップ35の吸引口35bよりヘッド9
のインクが吸引される。吸引されたインクはキャップレ
バー32の内部に形成されたインク流路32fを通り、レバ
ーシール33の連通穴を通り、さらにシリンダ24のインク
流路24eを通って、ポンプ室42に流入する。
この時、従来では第24図(A)に示すようにキャップ
35の下部にインクがとり残されてしまうことがある。ま
た、吸引口をキャップ下端部側に偏倚させて設けること
も考えられるが、プリンタを縦置きにした場合に第24図
(B)に示すように、吸引口の上部にインクが残留して
しまう。
それに対して本実施例のキャップでは、下端縁側に偏
倚させて吸引口35cが設けられるとともに、これに関連
してインク捕集用のスリット35bを設けたので(第8図
(A)参照)、第24図(C)に示すように、表面張力で
スリットにインクを集め、下部の吸引口で残存インクを
吸引できる。従って、プリンタが横置きで使用されるも
のであっても、縦置きで使用されるものであっても、キ
ャップの性能の劣化がない。なお、スリット35bの幅は
細いほどインクの引張り力が強くなるが、0.4〜0.7mmで
良好な結果が得られた。
さらにタイミングギヤ21が回動すると、再びキャップ
カム21hによりキャップ35が吐出口面より若干離れ、ポ
ンプ室の残存負圧により吐出口面,キャップ部35a内の
インクが吸引されてこれら部分のインクの残留をなく
す。
次に、タイミングギヤ21を逆方向(第14図(D)中矢
印Iで示す方向)に回動させると、ピストンリセットカ
ム21iがピストン復帰ローラ30を引っ張り、第16図
(B)に示すように矢印J方向にピスト軸27を移動させ
る。このとき、ピストン28はピストン軸27のピストン受
け27cが接してから移動するので、ピストン28の端面28b
とピストン押え27bと間に間隙Δlが生じる。
しかして、ピストン軸27およびピストン28の移動によ
り、ポンプ室42内に吸引されている廃インクは、前述し
た間隙Δlを通り、ピストン軸の溝27fを通り、シリン
ダ24のインク流路24cを通り、さらに廃インク管24gを通
って廃インク吸収体37の中央付近に排出される。なお、
このとき、ピストン28の動作初期にシリンダ24のインク
流路24eはピストン28により閉塞されるので、キャップ
方向に廃インクが逆流することはない。
なお、ポンプ動作が終了すると、ピストン28がさらに
移動して、シリンダ24のインク流路24eの閉塞は行わな
くなるが、キャップ35から大気までの連通経路に廃イン
ク吸収体37が存在し、キャップ内部は湿潤な雰囲気に保
たれるため、インクの蒸発はほとんど行われず、吐出口
ないしは液路が乾燥することはない。
また、シリンダ24内に残存するインクは、ピストン吸
収体241に捕集され、さらに表面張力により流路吸収体2
42を介して廃インク吸収体37に導かれるため、シリンダ
24内の残存インクがキャップ方向に逆流することが防止
される。
なお、かかる逆流防止等の構成は第9図にのみ限られ
ず、例えば第25図(A)〜(C)のように構成すること
もできる。
まず、同図(A)はピストン吸収体241を延長して、
廃インク吸収体37に直接当接するようにしたもの、すな
わち流路吸収体242を一体化したものである。
次に、同図(B)は、ピストン吸収体241の軸方向の
ずれを規制するべく、シリンダ24の端面に内側を向いた
爪24gを設け、ピストン吸収体241を差し込むとそこに食
い込んで抜け止めとなるようにしたものである。また、
同図(C)は、同様にピストン吸収体241の抜け止め用
に、弾性材料で形成した薄板に爪を数カ所設けてなる止
め具24mをあとからピストンリングに挿入して固定する
ようにしたものである。
第17図は以上の予備吐出ないし吸引回復のシーケンス
をまとめて示すものである。ただし、図ではブレード17
がワイピンク可能な状態(セット状態。第14図(B)参
照)で待機し、ワイピングの後にブレード17が吸収体23
に対して傾く状態(リセット状態。第14図(A)参照)
となり、その後セットレバー20が元の位置に復帰する直
前にブレード17がワイピング可能なセット状態とされる
シーケンスについて示している。
なお、回復動作は、例えば3日以上電源ONされなかっ
た場合に次に電源ONした直後に1度行うものとすること
ができる。また、適宜の起動スイッチの操作に応じて行
われるものでもよい。
また、ブレードによるワイピングはキャップ閉直前,
印字開始直前に行う他、印字中は約60秒に1回吐出口配
列方向(縦方向)に拭くものとすることができる。
さらに、予備吐出は、例えば、 (1)電源ON時 50発×64吐出口(500Hz) (2)印字開始直前 50発×64吐出口(500Hz) (3)印字中 約12秒間毎に15発×64吐出口(500Hz) とすることができる。
なお、ヘッドに対するブレード侵入量は0.7±0.3[m
m]、吸収体に対するブレード侵入量1.15±0.6[mm]と
することができる。ただし、待期状態では、ブレードが
吸収体に接していないフリーの状態であることが望まし
い。
また、吸引圧力−4〜−6[mAq](このときキャッ
プ圧接力60[g]以上)であり、インク吸引量は0.1
(+0.04,−0.025)[cc]程度である。
次に、第3図(A)および(B)を参照して、本実施
例装置の記録から排紙に到る記録紙搬送機構について説
明する。
これら図において38は上述したようにフッソ樹脂,カ
ーボン繊維混入材料等よりなる紙押え板であり、給紙さ
れる記録紙に押圧力を作用させることによって記録ヘッ
ド9の吐出口面と記録紙とが所定間隔を有するようにな
る。この紙押え板38の押圧力は、ばね板38Dの弾性力に
よっている。この機構の詳細を第18図(A)および
(B)に示す。
第18図(A)は、紙押え板38が紙送りローラに押圧力
を作用している状態の図である。この場合、円周の一部
を直線的に切欠いたD字形状を有し、紙押え板38と回転
方向に摺動可能な軸38Aの切欠き部がばね部38Dの端部38
Fと当面する位置にあり、このとき、紙押え板の端部38E
は、ばね板38Dにより図中上方へ付勢力を受ける。これ
により、紙押え板38は軸38Aを中心に時計方向へ回転し
ようとし紙送りローラ36へ押圧力を作用させる。
一方、第18図(B)は、紙押え板38による押圧力の作
用を解除した状態を示す。この場合、軸38Aが回転し、
軸38Aの円弧部が端部38Fを押圧する。このとき、ばね板
38Dは全体的に図中下方へ押下げられている。この結
果、端部38Eはばね板38Dから付勢力を受けない。
この付勢力が解除された状態では、軸38Aと紙押え板3
8とはある程度の摩擦力を有して係合しているため紙押
え板38が大きくその回転位置を変化させることはない。
これにより、紙押え板38の押圧力を解除する必要が生じ
たときにも、紙押え板によって記録ヘッドの移動等を妨
げることがない。
また、上記した紙押え機構は、限られたスペースの中
で紙送りローラ36による記録紙の搬送を適切に行うのを
妨げない程度の押圧力を与えることが可能な機構であ
る。
すなわち、紙押え板そのものには弾性部材を用いず
に、押圧力は通常デッドスペースとなる装置底部シャー
シ1上に沿って配した板ばねによって発生させるため、
板ばねの長さの調整による押圧力設定の自由度が増し、
かつ紙押え部材を小型なものとすることができる。
なお、板ばね38Dは不図示の固定部材によってシャー
シ1に取付けられている。
第3図(A)および(B)を再び参照すると、60は記
録された記録紙を廃止するための排紙ローラ、61は排紙
ローラ60によって搬送される記録紙に押圧力を与え記録
紙の排紙方向を規制しかつ搬送力を生じさせるための拍
車である。
62は、排紙ローラ60と紙送りローラ36との中間部に配
され、紙送りローラ36の回転を排紙ローラ60に伝達する
ための伝達ローラである。これら回転の伝達は、相互が
当接することによる摩擦力によって行われる。排紙ロー
ラ60は、その形状が両端部と中間部とでは半径の異なる
円筒形であり、伝達ローラ62は排紙ローラ60の径の小さ
な方の中間と当接する。従って、記録紙の搬送を行う径
の大きな方の両端部では、紙送りローラ36の周速よりや
や大きな周速で回転する。この結果、排紙の際には記録
紙を引っ張りぎみに搬送することになり、記録面を良好
に形成することができる。
なお、伝達ローラ62および拍車61の回転軸には、それ
ぞれ適切な弾性係数を有するコイルばねを用いる。その
機構の詳細を拍車61の場合を例にとり第19図を参照して
説明する。
第19図において、61Aはコイルばねよりなり拍車61の
中心を通ってその両側に延在する軸であり、拍車61とは
互いに回動自在に係合する。103Bは回転軸61Aの両端を
軸支する軸支部材であり、第1図に示した内蓋103の一
部として形成される。軸支部材103Bは軸61Aをその軸方
向に摺動可能に軸支する。103Cは拍車61の回転軸方向お
よびこれと垂直な方向への動きを規制するための規制部
材であり、拍車61の両側に設けられる。規制部材103Cも
軸支部材103Bと同様に内蓋103の一部として形成され
る。
上記構成することにより、軸61Aは拍車61を軸支する
と共に、その曲げ弾性力によって拍車61の排紙ローラ60
への押圧力を得る。
内蓋103は、第3図(A)に示すようにその後端部に
ばね部材103Aを有し、ケース101との反作用によって排
紙ローラ方向への押圧力を受ける。この押圧力と回転軸
61Aの弾性力との相互作用によって拍車61は適切な押圧
力を排紙ローラ60に作用させる。
また、内蓋103が上記押圧力を受けることにより、第
3図(A)に示すように内蓋103の固定部材103Dと排紙
ローラ60の回転軸60Cとの係合が確実になる。この結
果、拍車61と排紙ローラ60との位置関係は常に一定に保
たれる。もしくは、回転軸60Cを掛止する部材などに突
きあてて固定することにより内蓋の精度にかかわらず精
度のよい関係を保てる。
伝達ローラ62においても、コイルばねよりなる回転軸
62Aの機能は同様であり、軸62Aの弾性力によって、紙送
りローラ36および排紙ローラ60への当接力を得ている。
排紙ローラ60は、前述したように、その中間部の径が
両端部より小さな形状である。この構成の詳細を第20図
に示す。
第20図において、60Aは、ゴム材よりなるカバー部材
であり、60Dは中間部を両端部より径を小とした円筒形
状の芯部材である。芯部材60Dに、パイプ形状のカバー
部材60Aを被覆することによって、排紙ローラ60を形成
する。
この結果、このような形状をゴム部材等によって一体
に成形せずに済み、比較的容易かつ廉価に排紙ローラを
得ることができる。
なお、排紙ローラ60の一端に連続して設けられる溝部
60Bは、排紙ローラ60によって記録紙が排紙される際
に、その終端部を掛止することができ、記録紙の位置が
ずれたときなど、その排紙を確実なものとすることがで
きる。
なお、芯部材60Dの形状は上記に限られず、例えば溝
部60Bの形状をそのまま延長した形状で、中間部を小さ
くしたものであってもゴム材の被覆によって円筒形状を
得ることもできる。
次に、本例インクジェット記録装置を立てて用いる場
合について第21図および第22図を参照して説明する。
装置を立てて用いる場合としては、これら図に示され
るようにオートフィーダ200と共に用いる場合や、封筒
等の厚紙を装置裏側の給紙口から給紙する場合がある。
オートフィーダを用いるような通常の記録紙の場合、
上蓋102を排紙された記録紙のスタッカとして用いるこ
とができる。この際、第1図に示したように上蓋102を
給紙の紙ガイドとして用いる場合とは異なる角度で固定
する。
上蓋102をスタッカとして用いる場合の条件は以下の
ようになる。
すなわち、排紙された記録紙が自身のこしの強さであ
る程度空中を搬送され最初に上蓋102ないしは既に積層
された記録紙に接する位置を上蓋102の上端部102A近傍
となるようにする。これにより、排紙される記録紙が既
に積層された記録紙等上を摺動するのが記録紙先端部に
限られ、摺動を極力避けることができ、未定着インクに
よる記録紙の汚れを防止できる。
このための構成としては、排紙方向、すなわち本例の
場合、紙送りローラ36と排紙ローラ60の共通接線の近傍
に上端部102Aが位置し、下端部102Bが下がっていること
が要件となる。
さらに、上端部102A上で停止した記録紙の後端が完全
に排紙されたとき、その位置で下降し摺動なく積層され
るようにする。
このための構成としては、上蓋102の排紙方向の長さ
(上端102Aから下端102Bまでの長さ)が要件となり、通
常よく用いられる記録紙を用い、本例のようにほぼ水平
に排紙される場合、その長さは記録紙の長さの60%〜90
%、より好ましくは70%〜80%となる。
なお、記録装置の構成、あるいは使用条件が異なり排
紙方向が上記と異なる場合には、上記第1の要件を考慮
しつつスタッカの長さを定めるようにすればよい。
また、第21図および第22図に示される108は、巻込み
防止片であり、積層される記録紙が給紙口106へ入り込
むのを防止できる。
(その他) なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中で
もバルブジェット方式の記録ヘッド、記録装置において
優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば
記録の高密度化,高精細化が達成できるからであり、記
録パターンによって一層定着の遅速が生じることが予測
されるからである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特
許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示され
ている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この
方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいず
れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合
には、液体(インク)が保持されているシートや液路に
対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対
応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少な
くとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱
変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用
面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対
一対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有
効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介
して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴
を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時
適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優
れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第446335
9号明細書,同第4345262号明細書に記載されているよう
なものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率
に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載され
ている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うこと
ができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示さ
れているような吐出口,流路,電気熱変換体の組合せ構
成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が
屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許
第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用い
た構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の
電気熱変換体に対して、共通するメリットを電気熱変換
体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公
報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応
させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた
構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記
録ヘッドの形態がどのようなものであっても、記録を確
実に効率よく行いうるからである。
加えて、上例のようなシリアルタイプのものであって
装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接
続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在
のチップタイプの記録ヘッド、あるいは上例のような記
録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプ
の記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数につい
ても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けら
れたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに
対応して複数個数設けられるものであってもよい。
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態
としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力末
端として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写
装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の
形態を採るものであってもよい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、吸引ポンプに
よって吐出口からシリンダ内に吸引された廃インクをシ
リンダ内から排出する経路に、廃インクを吸収するため
の吸収体を配置したことにより、流入部側ないしはキャ
ップに至る吸引経路側に廃インクが逆流することが防止
される。また、そのような吸収体を配設したことによ
り、これを廃インクタンク内の吸収体と結合、もしくは
廃インクタンクに至る流路内のインク吸収体と結合させ
れば、表面張力によって廃インクが廃インクタンク内に
導かれるので、逆流を一層有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るインクジェット記録装置の一実施
例を示す外観斜視図、 第2図は、第1図に示した装置の主要部を示し、カバー
をはずした状態の斜視図、 第3図(A)は第1図に示した装置の主に排紙系を示す
斜視図、 第3図(B)は第3図(A)に示した図の側面図、 第4図(A)および(B)はそれぞれ記録紙に対応する
記録ヘッドの一実施例を示す側面図、 第5図(A)およ4び(B)はそれぞれ記録紙に対応し
たホームポジションでの記録ヘッドの一実施例を示す背
面図、 第6図は回復系機構を搭載したベースのシャーシに対す
る係合状態の一実施例を示す一部破断斜視図、 第7図(A)〜(C)は記録ヘッドに対するブレードお
よびインクキャリア部の一実施例を示す部分斜視図、 第8図(A)および(B)はそれぞれ記録ヘッドに対す
る吸引回復系の一実施例を示す分解斜視図およびそのキ
ャップ部周辺の断面図、 第8図(C)および(D)はそれぞれキャップのイコラ
イズ状態を示す上面図および側面図、 第9図は本例に係る吸引回路系における吸引ポンプ周辺
の断面図、 第10図は実施例に係る各部の動作タイミングを示すタイ
ミングチャート、 第11図は回復系機構に駆動力を伝達するためのクラッチ
機構の一実施例を示す斜視図、 第12図(A)〜(C)は第11図に示したクラッチ機構に
おけるクラッチギアおよびフックとタイミングギアとの
係合状態を示す側面図、 第13図(A)および(B)は第12図と同様の正面図、 第14図(A)〜(D)はブレードおよびインクキャリア
部の順次の動作を説明するための側面図、 第15図(A)〜(C)はキャップ部の順次の動作を説明
するための側面図、 第16図(A)および(B)は吸引回復を行うためのポン
プ部の動作を説明するための側断面図、 第17図は本例(一部他の実施例)に係る予備吐出ないし
吸引回復処理時のシーケンスを説明するタイミングチャ
ート、 第18図(A)および(B)は、紙押え板の押圧動作機構
の一実施例を示す側面図、 第19図は、排紙系における拍車の支持状態の一実施例を
示す斜視図、 第20図は排紙ローラの一実施例を示す正面図、 第21図は本例装置の使用状態の他の例を示す斜視図、 第22図は第21図に示した状態の側断面図、 第23図(A)および(B)は紙送りローラを接地するた
めの構成の一例を示す断面図および斜視図、 第24図(A)および(B)は従来構成に係るキャップに
おいて生じるインク残留状態を説明するための斜視図、 第24図(C)は本例に係るキャップを採用した場合の効
果の説明図、 第25図(A)〜(C)は吸引回路系におけるポンプの他
の3例を示す断面図である。 1……シャーシ、 2……リードスクリュー、 2a……リード溝、 3a……リードプーリ、 3b……ポジション溝、 3c……導入溝、 4……クラッチギヤ、 5……クラッチばね、 6……キャリア、 6c……フック、 7……リードピン、 9……記録ヘッド、 9a……ヘッドチップ(吐出エレメント)、 9b……インクタンク部、 9c……吐出口、 9d……吐出口形成面、 11……キャリアモータ、 13……タイミングベルト、 15……セット軸、 16……ブレードレバー、 17……ブレード、 19……インクキャリア、 20……セットレバー、 21……タイミングギヤ、 22……インク吸収体ばね、 23……インク吸収体、 24……シリンダ、 241……ピストン吸収体、 242……流路吸収体、 27……ピストン軸、 28……ピストン、 29……ピストン押圧ローラ、 32……キャップレバー、 32f……横係止面、 32g……縦係止面、 34……キャップホルダ、 34a……フック部、 34c……ホルダーガイド部、 35……キャップ、 35b……スリット、 35c……吸引口、 35a……キャップ部、 36……紙送りローラ(PFローラ)、 361……PFローラキャップ、 362……PFローラアース、 37……廃インク吸収体部、 38……紙押え板、 40……記録紙、 50……ベース、 51……ガイド軸、 60……排紙ローラ、 61……拍車、 62……伝達ローラ、 100……インクジェット記録装置、 102……上蓋、 103……内蓋。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吐出口からインクを吐出して記録を行う記
    録ヘッドの前記吐出口より吸引を行うことにより、前記
    吐出口からのインク吐出状態を良好にするための吸引ポ
    ンプを具えたインクジェット記録装置において、 前記吸引ポンプはシリンダと該シリンダ内を往復動する
    ピストンとを有し、前記吸引ポンプによって前記吐出口
    から前記シリンダ内に吸引された廃インクを該シリンダ
    内から排出する経路に、廃インクを吸収するための吸収
    体が配置されていることを特徴とするインクジェット記
    録装置。
  2. 【請求項2】前記吸収体はポリオレフィン焼結体で形成
    されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジ
    ェット記録装置。
  3. 【請求項3】前記記録ヘッドはインクを吐出するために
    利用されるエネルギを発生するエネルギ発生素子を有
    し、該吐出エネルギ発生素子はインクに膜沸騰を生じさ
    せる熱エネルギ発生素子であることを特徴とする請求項
    1または2に記載のインクジェット記録装置。
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