JP2691585B2 - アルカリ洗浄剤 - Google Patents

アルカリ洗浄剤

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルカリ洗浄剤に関し、更に詳細には、洗浄
効果に優れ、スタミナ性が向上し、電解洗浄時の通電特
性の改善、洗浄液状態の改善がなされ、かつ洗浄液の泡
沫量が減少するという種々の性能が飛躍的に改善された
アルカリ洗浄剤を提供するものである。
〔従来の技術及びその課題〕
従来より、アルカリ型洗浄剤は、酸の中和、油脂類の
鹸化及び電気伝導性を有する等の性質から動植物性油
脂、鉱物油、ワツクス、グリース、タンパク質及びカー
ボン等の強力な汚れの洗浄剤として工業的に有利に用い
られている。又、その利用される工業分野としては、金
属、金属−プラスチツク部品、ガラス等の洗浄処理分野
があり、該分野において幅広く使用されている。このア
ルカリ型洗浄剤には、汚れ成分の吸着及び汚れの劣化等
を防止するため、界面活性剤及び/又はキレート剤等の
各種ビルダーを併用することが一般的に行なわれてい
る。また、洗浄方法には、浸漬洗浄、スプレー洗浄、ブ
ラシ洗浄、電解洗浄等又はこれらを組合せた方法があ
り、これら方法により洗浄処理される。
しかしながら従来のアルカリ型洗浄剤は、未だ種々の
問題点を有しており、十分満足のゆくものではなかつ
た。特に昨今、処理能力の増強並びに省エネルギー対策
が進むにつれ、洗浄剤に対する性能要求が高まり、更に
は、洗浄工程の改善も必要となつている。この為、洗浄
剤の改善目標として、洗浄性の向上、洗浄液のスタミナ
性の向上、低温化洗浄性、電解洗浄時の通電特性の向
上、被洗浄物による洗浄液の持出量の軽減及び発泡によ
る洗浄液の流出防止等による原単位の低下、洗浄液の取
り扱いの簡易化等が挙げられ、上記性能すべてを満足す
る安定操業性の高いアルカリ洗浄剤が熱望されている。
特に、洗浄剤組成物中にその配合成分として、あるい
は混入汚れ成分に起因して直鎖脂肪酸もしくはその塩お
よび/又は直鎖脂肪酸エステルを含有した洗浄剤は、例
えば電解洗浄時の通電特性の悪化による安定操業性の低
下、洗浄液の持出量の増加および発泡による洗浄液の流
出量の増加等による原単位の高騰が問題視されており、
上記の洗浄剤に対する要望は、一層大きなものである。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者らは、このような要望を満足すべく
鋭意検討を重ねた結果、ある特定の分岐型スルフオン酸
もしくはその塩をアルカリ洗浄剤に添加もしくは含有さ
せる事により、上記要求性能を達成し得ることを見出し
本発明を完成するに至つた。
すなわち、本発明は、(a)アルカリ剤及び(b)式
(I)の分岐型スルフォン酸以外の界面活性剤とともに
次の式(I) RSO3M (I) (式中、Rは炭素数1〜14の分岐鎖を有する全炭素数8
〜24の分岐鎖脂肪族炭化水素基を示し、Mは水素原子、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭素数1〜4の脂肪
族アミン、アンモニア又はアルカノールアミンを示す) で表わされる分岐型スルフォン酸もしくはその塩(以
下、添加剤と称する)を含有することを特徴とするアル
カリ洗浄剤を提供するものである。
本発明の式(I)で表わされる分岐スルフオン酸とし
ては、9−オクタデセン、8−ヘキサデセン、7−テト
ラデセン、6−ドデセン、12−テトラエイコセン、11−
ドコセン、10−エイコセン等のインナーオレフイン(オ
レフインの位置には分布があるため、上記オレフインが
主成分である)をスルホン化することにより得られるゲ
ルベ型スルホン化物もしくはその塩、例えば、 等が挙げられる。
また、プロピレン、ブチレン等を多量化することによ
り得られるメチル分岐を数個保有するイソ型α−オレフ
イン例えばイソオクテン、イソノネン、イソドデセン、
イソヘキサデセン、イソオクタデセン、イソエイコセ
ン、イソテトラエイコセン等をスルホン化することによ
り得られる次の式(I′)、 (式中、R1は炭化水素基を、Mは水素原子、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、炭素数1〜4の脂肪族アミン、
アンモニア又はアルカノールアミンを示し、nは1〜5
の数を示す) で表わされるイソ型スルホン酸もしくはその塩も例示さ
れる。
また、その塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、炭素数1〜4の脂肪族アミン、アンモニアまたは
炭素数2〜10のアルカノールアミンのイオンであり、具
体例としては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プ
ロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、アンモニア、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、C2
C10のその他のアルカノールアミン、カリウム、ナトリ
ウム、カルシユウム、マグネシウム等のイオンが挙げら
れる。
(a)成分のアルカリ剤としては、水溶性のアルカリ
剤であり、具体例としては、カセイソーダ、カセイカ
リ:オルソ珪酸ソーダ、メタ珪酸ソーダ、一号珪酸ソー
ダ、二号珪酸ソーダ、三号珪酸ソーダ等の珪酸ソーダ;
トリポリリン酸ソーダ、オルソリン酸ソーダやメタリン
酸ソーダ等のリン酸ソーダ類;等が挙げられる。
また、(b)成分の界面活性剤としては、 (1)例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリ
ン硫酸トリエタノールアミン、ラウリン硫酸アンモニウ
ム、ドデシルベンゼンスルフオン酸ナトリウム、アルキ
ルナフタレンスルフオン酸ナトリウム、ジアルキルスル
ホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン
アルキルフエニルエーテル硫酸ナトリウム、β−ナフタ
レンスルフオン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等の
アニオン型界面活性剤; (2)例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルアミノエーテル、ソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸モノー、ジーエステル等のノニオン型界面活性
剤; (3)例えば、アルキルアミンアセテート、アルキルア
ミン塩酸塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン型界面
活性剤; (4)例えば、アルキルジメチルアミンオキサイド、ア
ルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウ
ムベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
このうち、(2)のノニオン型界面活性剤としては、
次の一般式(II) R1−O−(CH2CH2O)n(CH2CH2CH2O)mH (II) (式中、R1はH、炭素数1〜18の直鎖脂肪族炭化水素
基、炭素数1〜12の分岐鎖脂肪族炭化水素基またはアル
キル基の炭素数が1〜12のアルキルフエニル基を示し、
nは0〜60、mは0〜60で且つn+mは1より大きい数
を示す) で表わされるものが好ましい。
これらの具体例としては、たとえば、ポリオキシエチ
レンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエ
ーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキ
シエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンパル
ミチルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテ
ル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキ
シエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンキシレニルエーテルポ
リオキシエチレンオクチルフエニルエーテル、ポリオキ
シエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンデシルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシ
ルフエニルエーテル、ポリオキシプロピレン、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンオクチルフエニルエー
テル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニル
フエニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンデシルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンドデシルフエニルエーテル、ポリオ
キシプロピレンオクチルフエニルエーテル、ポリオキシ
プロピレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシプロピ
レンデシルフエニルエーテル、ポリオキシプロピレンド
デシルフエニルエーテル、ポリオキシプロピレンブチル
エーテル等が挙げられる。
アルカリ洗浄剤に対する本発明添加剤の添加量は、0.
01〜30重量%(以下「%」で示す)であり、(a)及び
(b)の成分を含むアルカリ洗浄剤中の好ましい添加量
は0.1〜20%である。
アルカリ洗浄剤中における(a)成分の配合量は、0.
1〜50%であり、好ましくはpH10以上になるよう配合さ
れる。また、(b)成分の洗浄剤組成物に対する配合量
は、0.01〜30%である。
また、本発明において用いられるアルカリ洗浄剤に
は、より一層の洗浄効果等を向上させる目的で、有機キ
レート型ビルダーを配合することも可能である。斯かる
ものとしては、例えばグリシン、ニトリロ三酢酸、エチ
レンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エ
チレンジアミン二酢酸、イミノ二酢酸、トリエチレンテ
トラミン六酢酸、メタフエニレンジアミン四酢酸、ヒド
ロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ノルロイシンア
ミノ酢酸等のアルカリ金属塩若しくは低級アミン塩など
のアミノカルボン酸類;リンゴ酸、クエン酸、グルコン
酸、グルコヘプトン酸、粘液酸等のアルカリ金属塩若し
くは低級アミン塩などのオキシカルボン酸型キレートビ
ルダーが挙げられる。
〔発明の効果〕 後記実施例に示す如く、アルカリ剤、アルカリ剤と界
面活性剤、もしくはアルカリ剤、界面活性剤とキレート
剤から成るそれぞれ3種洗浄剤に本発明添加剤を添加す
ることにより、これら洗浄剤の要求性能を十分に満足せ
しめる結果を得た。すなわち、上記3種洗浄剤に添加剤
をそれぞれ添加した場合、添加後の洗浄剤の洗浄性は、
添加前のそれに比べ向上した。また、スタミナ性におい
ても同様の結果を得た。電解洗浄時の通電特性に関して
は、添加剤の有無の差は明らかで、添加剤の結果により
大きく向上されることが確認できた。また、本発明添加
剤のその他効果として、汚れ成分の洗浄液への混入によ
る洗浄液の増粘現象を抑制することができた。このこと
より、洗浄液状態の改善、被洗浄物による洗浄液の持出
量の軽減、発泡による洗浄液の流出防止、低温化洗浄
性、洗浄液取り扱い簡易化等の種々要求性能も本発明の
アルカリ洗浄剤添加剤により満足させることが可能とな
つた。
〔実施例〕
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、
本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
なお、以下の実施例においては、下記に示す薬剤を第1
表の組成で配合した洗浄剤基剤を用い、これに本発明添
加剤を0.5%添加して洗浄剤組成物とした。
(薬剤) (1)アルカリ剤: カセイソーダ(95% 試薬一級) オルソ珪酸ソーダ(95% 試薬一級) (2)界面活性剤: アニオン型界面活性剤:ナフタレンスルフオン酸ホル マリン縮合物のナトリウム塩 ノニオン型界面活性剤:ノニルフエノールエチレンオ キサイド9モル付加物 カチオン型界面活性剤:ステアリルアミンアセテート (3)キレート型ビルダー:エチレンジアミン四酢酸 (洗浄剤基剤組成) (本発明添加剤) イソノナンスルホン酸 イソドデカンスルホン酸 ゲルベ型オクタデカンスルホン酸 ゲルベ型ドコサンスルホン酸 実施例1 洗浄性評価: トリクロロエチレン溶剤により脱脂したステンレスパ
イプに潤滑剤0.2gをパイプ表面に均一付着させ、60℃で
2時間保温放置したものをテストピースとし、第2表に
示す洗浄剤基剤及び添加剤の組合せで調製した洗浄剤組
成物を用い、下記条件で浸漬洗浄した。その後、テスト
ピースを流水中で30秒間水洗し、温風乾燥を施した。上
記により処理されたテストピース表面の残留油分をトリ
クロロエチレン溶剤により抽出し、その抽出油の重量を
測定し、次式により脱脂率を求め評価した。この結果も
第2表に示す。
(テスト条件) ステンレスパイプ:SUS 304 TPD 潤滑剤 :鉱油+合成エステル(市販品) 洗浄剤濃度:第1表記載 洗浄剤温度:60℃ 洗浄時間 :5分 洗浄液攪拌:500rpm 実施例2 スタミナ性評価: 実施例1と同一の条件により、パイプ処理数10、50及
び100本目の洗浄性を評価した。
なお、第3表中、*印は洗浄液混入油分による再付着
を示す。
実施例3 電解洗浄時の通電性テスト: 電解洗浄時の通電性の低下は電極(陽極)の腐食によ
ると考えられている。この為、通電性評価は電極の腐食
量、つまり電極の重量減少量により評価した。この結果
を第4表に示す。
(評価条件) 電 極:ステンレス鋼板(SUS−430) 電極部面積:10mm×50mm:5cm2 洗浄液濃度:実施例1と同じ 洗浄液温度: 80℃ 添加剤濃度:実施例1と同じ 電流密度 :100A/dm2 電解時間 :60分 実施例4 各洗浄液に市販の牛脂を1%添加し、その後80℃で2
時間攪拌し、十分鹸化反応させたものをテストサンプル
とした。このサンプル液に鋼板を5秒間垂直に浸漬し、
その後20秒間空中で垂直に放置した。上記処理を施した
鋼板に付着した洗浄液量を測定し、洗浄液の持出量評価
とした。また、同一洗浄液を200ml共栓付きメスシリン
ダーに50ml入れ、手で20回強振し、その後1分後の泡沫
量を測定した。この結果を第5表に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−127696(JP,A) 特開 昭62−4791(JP,A) 特開 昭60−161728(JP,A) 特開 昭61−296098(JP,A) 特開 昭60−55098(JP,A) 特開 昭52−135312(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)アルカリ剤及び(b)式(I)の分
    岐型スルフォン酸以外の界面活性剤とともに次の式
    (I) RSO3M (I) (式中、Rは炭素数1〜14の分岐鎖を有する全炭素数8
    〜24の分岐鎖脂肪族炭化水素基を示し、Mは水素原子、
    アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭素数1〜4の脂肪
    族アミン、アンモニア又はアルカノールアミンを示す)
    で表わされる分岐型スルフォン酸もしくはその塩を含有
    することを特徴とするアルカリ洗浄剤。
  2. 【請求項2】pHが10以上である特許請求の範囲第1項記
    載のアルカリ洗浄剤。
  3. 【請求項3】界面活性剤がノニオン型界面活性剤である
    特許請求の範囲第1項又は第2項記載のアルカリ洗浄
    剤。
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