JP2689399B2 - 建設土木機械における油圧駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建設土木工事に利用さ
れるパワーショベル等の建設土木機械における油圧駆動
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、建設土木工事において掘削作業
を行う建設土木機械として、エンジンに直結した油圧ポ
ンプから発生する高圧油で各作業部分の油圧モータ、油
圧シリンダを作動させて作業を行うパワーショベルが使
用されており、このパワーショベルを、図２に基づいて
説明する。

【０００３】図２において、（１）はパワーショベル本
体で、これはクローラ（２）上にキャブ（３）を旋回可
能に架設し、クローラ（２）に配設される第１の油圧モ
ータ（４）によりキャブ（３）をクローラ（２）に対し
360°全旋回するようにしたものである。（５）はパワ
ーショベル本体（１）のキャブ（３）に基端部を起伏自
在に装着させたブームで、これとキャブ（３）との間に
配設される第１の油圧シリンダ（６）によりキャブ
（３）に対し起伏動作する。（７）はブーム（５）の先
端部に基端部を揺動自在に装着させたアームで、これと
ブーム（５）との間に配設される第２の油圧シリンダ
（８）によりブーム（５）に対し揺動動作する。（９）
はアーム（７）の先端部に装着されたバケットで、これ
とアーム（７）との間にリンク（10）を介して配設され
る第３の油圧シリンダ（11）によりアーム（７）に対し
首振動作する。（12）は第１の油圧モータ（４）を操作
するための第１の主切換弁で、第１の油圧モータ（４）
に第１の一次配管（13）および第１の二次配管（14）を
介して接続される。（15）は第３の油圧シリンダ（11）
を操作するための第２の主切換弁で、第３の油圧シリン
ダ（11）に第２の一次配管（16）および第２の二次配管
（17）を介して接続される。（18）は第２の油圧シリン
ダ（８）を操作するための第３の主切換弁で、第２の油
圧シリンダ（８）に第３の一次配管（19）および第３の
二次配管（20）を介して接続される。（21）は第１の油
圧シリンダ（６）を操作するための第４の主切換弁で、
第１の油圧シリンダ（６）に第４の一次配管（22）およ
び第４の二次配管（23）を介して接続される。（24）は
エンジン（図示せず）に直結した油圧ポンプ（図示せ
ず）により高圧油を発生させている油圧源で、油タンク
（25）に配管（26）、第１の主切換弁（12）、第２の主
切換弁（15）、第３の主切換弁（18）、第４の主切換弁
（21）および配管（30）を介して接続される。また、各
主切換弁（12）（15）（18）（21）は、バルブ内部で接
続される。

【０００４】上記構成において、第１の油圧モータ
（４）、第３の油圧シリンダ（11）、第２の油圧シリン
ダ（８）および第１の油圧シリンダ（６）にそれぞれの
主切換弁（12）（15）（18）（21）を操作させて油圧源
（24）から高圧油を供給することにより、第１の油圧モ
ータ（４）、第３の油圧シリンダ（11）、第２の油圧シ
リンダ（８）および第１の油圧シリンダ（６）がそれぞ
れ作動され、これにより、パワーショベル本体（１）の
キャブ（３）の旋回動作、ブーム（５）の起伏動作、ア
ーム（７）の揺動動作およびバケット（９）の首振動作
が行われて目的場所の掘削作業を自在に行うことがてき
る。

【０００５】尚、図２中において、（39）は第１の主切
換弁（12）を切換操作するための第１の操作レバー、
（40）は第２の主切換弁（15）を切換操作するための第
２の操作レバー、（41）は第３の主切換弁（18）を切換
操作するための第３の操作レバー、（42）は第４の主切
換弁（21）を切換操作するための第４の操作レバーであ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記パワー
ショベルにおいては、バケット（９）以外の種々の先端
工具を必要に応じてアーム（７）の先端に取付けること
により掘削作業以外の作業も可能である。例えば、図３
に示すように、アーム（７）の先端に先端工具としてス
ーパーワークハンド（43）を取付けることにより、法面
のブロック積み作業等を行うことができる。

【０００７】上記スーパーワークハンド（43）は、アー
ム（７）の先端部に第３の油圧シリンダ（11）によりリ
ンク（10）を介して首振可能な支持体（44）を取付け、
この支持体（44）に主バケット（45）を旋回自在に支持
するとともに、この主バケット（45）に副バケット（4
6）を開閉自在に装着して、支持体（44）に配設される
第２の油圧モータ（47）により主バケット（45）を支持
体（44）に対し旋回動作させることにより、主バケット
（45）および副バケット（46）にブロック積み作業に最
適な位置および角度を確保させ、かつ、両バケット（4
5）（46）間に配設される第４の油圧シリンダ（48）に
より副バケット（46）を主バケット（45）に対し開閉動
作させることにより、両バケット（45）（46）でブロッ
クを掴み取るように構成されている。

【０００８】ところで、上記スーパーワークハンド（4
3）を先端工具としてパワーショベルのアーム（７）の
先端部に取付けてブロック積み作業を行う場合、スーパ
ーワークハンド（43）には第２の油圧モータ（47）およ
び第４の油圧シリンダ（48）が配設されているため、こ
の第２の油圧モータ（47）および第４の油圧シリンダ
（48）を制御するための油圧系統を、パワーショベルに
既存の油圧系統に増設させる必要がある。

【０００９】上述したように、パワーショベルに既存の
油圧系統に、スーパーワークハンド（43）の第２の油圧
モータ（47）および第４の油圧シリンダ（47）を制御す
るための油圧系統を増設させると、パワーショベルに既
存の第１〜第４の操作レバー（39）〜（42）以外に、ス
ーパーワークハンド（43）の第２の油圧モータ（47）お
よび第４の油圧シリンダ（48）を操作するための第５お
よび第６の２つの操作レバーが増設されることになり、
このような操作レバーの増設は、オペレータの操作レバ
ーの持ち替えを行う動作につながるため、操作の慣熟に
時間を要するという問題があった。

【００１０】本発明は、従来の上記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、増設させた油
圧系統の油圧アクチュエータを既存の操作レバーで操作
し得る建設土木機械における油圧駆動装置を提供しよう
とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、エンジンに直結した油圧ポンプから発生す
る高圧油を各作業部分の油圧アクチュエータに主切換弁
を介して供給させる建設作業機械の油圧駆動装置におい
て、上記既存の油圧アクチュエータと主切換弁を接続す
る一次配管および二次配管の途中にそれぞれ電磁切換弁
を配設し、この両電磁切換弁を増設の油圧アクチュエー
タにそれぞれ配管を介して接続するとともに、主切換弁
の操作レバーに上記両電磁切換弁を切換える押釦スイッ
チを装設したものである。

【００１２】

【作用】本発明によれば、主切換弁で制御された高圧油
を既存の油圧アクチュエータに供給させている状態で、
操作レバーに装設した押釦スイッチにより両電磁切換弁
を切換えると、主切換弁で制御された高圧油は両電磁切
換弁を介して増設の油圧アクチュエータに供給される。
従って、操作レバーを増設せずに油圧アクチュエータの
み増設することが可能である。

【００１３】

【実施例】図１は本発明に係る建設土木機械における油
圧駆動装置を、パワーショベルのアーム先端部にスーパ
ーワークハンドを取付ける場合に適用した実施例の概略
構成図である。尚、以下の記述において、従来の説明の
図２および図３と同一部材は同一符号を付し、重複する
事項に関しては説明を省略する。

【００１４】図１において、（49）は第１の一次配管
（13）の途中に配設された第１の電磁切換弁で、第２の
油圧モータ（47）に第５の一次配管（50）を介して接続
される。（51）は第１の二次配管（14）の途中に配設さ
れた第２の電磁切換弁で、第２の油圧モータ（47）に第
５の二次配管（52）を介して接続される。（53）は第１
の操作レバー（39）の握り部分に装設された第１の押釦
スイッチで、第１の電磁切換弁（49）の第１ソレノイド
（54）と第２ソレノイド（55）および第２の電磁切換弁
（51）の第３ソレノイド（56）と第４ソレノイド（57）
に電気的に接続され、この第１の押釦スイッチ（53）を
オンすると、第１の電磁切換弁（49）の第１ソレノイド
（54）および第２の電磁切換弁（51）の第３ソレノイド
（56）が励磁し、また、第１の押釦スイッチ（53）をオ
フすると、第１の電磁切換弁（49）の第２ソレノイド
（55）および第２の電磁切換弁（51）の第４ソレノイド
（57）が励磁する。（58）は第２の一次配管（16）の途
中に配設された第３の電磁切換弁で、第４の油圧シリン
ダ（48）に第６の一次配管（59）を介して接続される。
（60）は第２の二次配管（17）の途中に配設された第４
の電磁切換弁で、第４の油圧シリンダ（48）に第６の二
次配管（61）を介して接続される。（62）は第２の操作
レバー（40）の握り部分に装設された第２の押釦スイッ
チで、第３の電磁切換弁（58）の第５ソレノイド（63）
と第６ソレノイド（64）および第４の電磁切換弁（60）
の第７ソレノイド（65）と第８ソレノイド（66）に電気
的に接続され、この第２の押釦スイッチ（62）をオンす
ると、第３の電磁切換弁（58）の第５ソレノイド（63）
および第４の電磁切換弁（60）の第７ソレノイド（65）
が励磁し、また、第２の押釦スイッチ（62）をオフする
と、第３の電磁切換弁（58）の第６ソレノイド（64）お
よび第４の電磁切換弁（60）の第８ソレノイド（66）が
励磁する。

【００１５】次に、本発明装置によるスーパーワークハ
ンド（43）の動作要領について説明する。

【００１６】先ず、スーパーワークハンド（43）をブロ
ック積み作業に最適な位置および角度を確保させるため
に旋回する場合は、第１の操作レバー（39）を握り乍ら
その握り部分に装設した第１の押釦スイッチ（53）をオ
ンすることにより、第１の電磁切換弁（49）の第１ソレ
ノイド（54）および第２の電磁切換弁（51）の第３ソレ
ノイド（56）を励磁させて第１の電磁切換弁（49）およ
び第２の電磁切換弁（51）を平行位置から交差位置に切
換えると、第１の一次配管（13）と第５の一次配管（5
0）が第１の電磁切換弁（49）を介して接続されるとと
もに、第１の二次配管（14）と第５の二次配管（52）が
第２の電磁弁（51）を介して接続される。この状態で、
第１の操作レバー（39）により第１の主切換弁（12）を
遮断位置から交差位置、或いは、平行位置に切換えるこ
とにより、油圧源（25）からの高圧油を第１の主切換弁
（12）を通過した後、第１の一次配管（13）、第１の電
磁切換弁（49）および第５の一次配管（50）、或いは、
第１の二次配管（14）、第２の電磁切換弁（51）および
第５の二次配管（52）を介して第２の油圧モータ（47）
に供給させ、この第２の油圧モータ（47）によりスーパ
ーワークハンド（43）を任意の方向に旋回させてブロッ
ク積み作業に最適な位置および角度を確保することがで
きる。

【００１７】また、上記のように、第１の操作レバー
（39）により第１の主切換弁（12）を遮断位置から交差
位置、或いは、平行位置に切換えた状態で、第１の押釦
スイッチ（53）をオフすると、第１の電磁切換弁（49）
の第１ソレノイド（54）および第２の電磁切換弁（51）
の第３ソレノイド（56）が消磁され、これと同時に、第
１の電磁切換弁（49）の第２ソレノイド（55）および第
２の電磁切換弁（51）の第４ソレノイド（57）が励磁さ
れるため、第１の電磁切換弁（49）および第２の電磁切
換弁（51）が交差位置から平行位置に切換わり、第１の
主切換弁（12）を通過した後の高圧油が第１の一次配管
（13）、或いは、第１の二次配管（14）を介して第１の
油圧モータ（４）に供給され、この第１の油圧モータ
（４）によりパワーショベル本体（１）のキャブ（３）
をクローラ（２）に対して任意の方向に旋回することが
できる。

【００１８】このように、第１の操作レバー（39）を握
り乍らその握り部分に装設した第１の押釦スイッチ（5
3）をオン・オフすることにより、第１の操作レバー（3
9）で第１の油圧モータ（４）および第２の油圧モータ
（47）を操作することができるから、第１の油圧モータ
（４）と第２の油圧モータ（47）の操作を切換えるにあ
たって操作レバーの持ち替えを行う必要がない。

【００１９】次に、スーパーワークハンド（43）の副バ
ケット（46）をコンクリートブロックを挟圧保持するた
めに開閉動作する場合は、第２の操作レバー（40）を握
り乍らその握り部分に装設した第２の押釦スイッチ（6
2）をオンすることにより、第３の電磁切換弁（58）の
第５ソレノイド（63）および第４の電磁切換弁（60）の
第７ソレノイド（65）を励磁させて第３の電磁切換弁
（58）および第４の電磁切換弁（60）を平行位置から交
差位置に切換えると、第２の一次配管（16）と第６の一
次配管（59）が第３の電磁切換弁（58）を介して接続さ
れるとともに、第２の二次配管（17）と第６の二次配管
（61）が第４の電磁弁（60）を介して接続される。この
状態で、第２の操作レバー（40）により第２の主切換弁
（15）を遮断位置から交差位置、或いは、平行位置に切
換えることにより、油圧源（25）からの高圧油を第２の
主切換弁（15）を通過した後、第２の一次配管（16）、
第３の電磁切換弁（58）および第６の一次配管（59）、
或いは、第２の二次配管（17）、第４の電磁切換弁（6
0）および第６の二次配管（61）を介して第４の油圧シ
リンダ（48）に供給させ、この第４の油圧シリンダ（4
8）によりスーパーワークハンド（43）の副バケット（4
6）を開閉動作させて主バケット（45）とでコンクリー
トブロック等を挟圧保持することができる。

【００２０】また、上記のように、第２の操作レバー
（39）により第２の主切換弁（12）を遮断位置から交差
位置、或いは、平行位置に切換えた状態で、第２の押釦
スイッチ（53）をオフすると、第３の電磁切換弁（49）
の第５ソレノイド（54）および第４の電磁切換弁（51）
の第７ソレノイド（56）が消磁され、これと同時に、第
３の電磁切換弁（49）の第６ソレノイド（55）および第
４の電磁切換弁（51）の第８ソレノイド（57）が励磁さ
れるため、第２の電磁切換弁（49）および第４の電磁切
換弁（51）が交差位置から平行位置に切換わり、第２の
主切換弁（12）を通過した後の高圧油が第２の一次配管
（13）、或いは、第２の二次配管（14）を介して第３の
油圧シリンダ（４）に供給され、この第３の油圧シリン
ダ（４）によりスーパーワークハンド（43）をアーム
（７）に対し首振動作することができる。

【００２１】このように、第２の操作レバー（40）を握
り乍らその握り部分に装設した第２の押釦スイッチ（6
2）をオン・オフすることにより、第２の操作レバー（4
0）で第３の油圧シリンダ（11）および第４の油圧シリ
ンダ（48）を操作することができるから、第３の油圧シ
リンダ（11）と第４の油圧シリンダ（48）の操作を切換
えるにあたって操作レバーの持ち替えを行う必要がな
い。

【００２２】尚、上記説明はパワーショベルのアーム
（７）の先端部にスーパーワークハンド（43）を取付け
る場合の実施例であって、本発明はこれに限定されるも
のではなく、パワーショベル以外の建設作業機械にも適
用が可能であり、また、スーパーワークハンド（43）以
外の油圧アクチュエータを具備する先端工具を取付ける
ことも可能である。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、建設作業機械に既存の
主切換弁の制御機能をそのまま増設の油圧アクチュエー
タに利用できるから、操作レバーを増設せずに制御可能
な油圧アクチュエータを数量を増加することができ、操
作性の向上に顕著な効果が発揮される。従って、例え
ば、パワーショベルのアーム先端部にスーパーワークハ
ンドを取付けてコンクリートブロック積み作業を行う場
合でも、オペレータはいちいち操作レバーを持ち替える
手間がなくなり、短時間で操作を慣熟することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の建設土木機械における油圧駆動装置の
一実施例を示す概略構成図である。

【図２】パワーショベルの油圧駆動装置の概略構成図で
ある。

【図３】アーム先端部にスーパーワークハンドを取付け
たパワーショベルの概略構成図である。

【符号の説明】

１ パワーショベル本体 ２ クローラ ３ キャブ ４ 第１の油圧モータ ５ ブーム ６ 第１の油圧シリンダ ７ アーム ８ 第２の油圧シリンダ ９ バケット 10 リンク 11 第３の油圧シリンダ 12 第１の主切換弁 13 第１の一次配管 14 第１の二次配管 15 第２の主切換弁 16 第２の一次配管 17 第２の二次配管 18 第３の主切換弁 19 第３の一次配管 20 第３の二次配管 21 第４の主切換弁 22 第４の一次配管 23 第４の二次配管 24 油圧源 25 油タンク 39 第１の操作レバー 40 第２の操作レバー 41 第３の操作レバー 42 第４の操作レバー 43 スーパーワークハンド 44 支持体 45 主バケット 46 副バケット 47 第２の油圧モータ 48 第４の油圧シリンダ 49 第１の電磁切換弁 50 第５の一次配管 51 第２の電磁切換弁 52 第５の二次配管 53 第１の押釦スイッチ 58 第３の電磁切換弁 59 第６の一次配管 60 第４の電磁切換弁 61 第６の二次配管 62 第２の押釦スイッチ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンに直結した油圧ポンプから発生
   する高圧油を各作業部分の油圧アクチュエータに主切換
   弁を介して供給させる建設作業機械の油圧駆動装置にお
   いて、 上記既存の油圧アクチュエータと主切換弁を接続する一
   次配管および二次配管の途中にそれぞれ電磁切換弁を配
   設し、この両電磁切換弁を増設の油圧アクチュエータに
   それぞれ配管を介して接続するとともに、主切換弁の操
   作レバーに上記両電磁切換弁を切換える押釦スイッチを
   装設したことを特徴とする建設土木機械における油圧駆
   動装置。