JP2688756B2 - 地下管路の補修装置及び補修工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は、マンホール相互間の地下に電気通信用ケー
ブル等を配線するためのケーブル引込用管路を形成した
複数列の地下管路のうち、空管となっている管体の管継
手部およびその前後の管内面を、布設状態のまま管内面
より補修する地下管路の補修工法に関する。

【従来の技術】

従来、マンホール相互間の地下に布設されていて、電
気通信用ケーブル等を布設するための地下管路は、通常
複数本の管体を、マンホール等の堅穴間にわたって、上
下に複数段、左右に複数列集合配列して道路下などの地
下に布設して管路を構成してなるもので、布設すべきケ
ーブル等を、空管路となっている任意の管路を選んで引
込み布設する方式が採られている。 ところで、既設の地下管路の管体は、鋼管または鋳鉄
管を管継手部により接続したものであり、この管継手部
内に経年により錆が発生して管内に拡がり、「こぶ状」
になって管の有効径を小さくせばめたり、あるいはシー
ル材の劣化および配管上を通行する車両の荷重や振動、
地震等により管継手部の接合状態が変化して、継手部に
間隙が生じ、水や土砂等の異物が侵入し管路を閉塞する
ので、新たにケーブルを布設しようとしても挿通不能に
陥ることがあることから、近時、その地下管路の空管を
布設状態のまま管内面より補修することが考えられてい
る。 この管体の補修工法には、例えば特開昭61−103569号
公報に示すように、管内面に補修用樹脂と、これを後方
より押動して行くピグ装置とを挿入し、上記ピグ装置を
牽引索で牽引し、ピグ外周と管内壁面との間隙より所定
粘度に調合したライニング樹脂をピグ後方へ流出させる
ことにより管内面に所定厚さの樹脂ライニング層を形成
してなるもの、あるいは特開昭61−149691号、同61−14
9692号公報に示すように、管体の内面に気密に接して摺
動する置換ピグ等を牽引することにより、ピグの前側に
配した樹脂を後方より押動しながら管継手部の間隙内に
樹脂を充填するようにしたもの等が提案されている。

【発明が解決しようとする問題点】

ところで、従来方法による管体の補修工法では、所定
長さの補修区間内における管内面ライニング工法と、管
継手部内の樹脂充填工法とが、それぞれ単独で行なわれ
るものであり、管継手部の樹脂充填工法と、その前後の
管内面の部分ライニング工法とを同時に行なうことは不
可能であり、それぞれ単独に行なうため、複雑な装置を
必要とし、作業工数が多大であり、経費も増大する等の
問題があった。

【発明の目的】

本発明は、上述した問題点を解決すべく提案されたも
のであり、地下管路の空管を布設状態のまま管内面を補
修する場合、管継手部の間隙に樹脂充填する手段と管継
手部の前後の管内面にライニング層を形成する手段とを
具備し、マンホール相互間の補修区間内における管継手
部への樹脂充填とその前後の管内面への部分ライニング
補修とを一回の動作で同時に行なうことを目的とする。

【問題点を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本発明によれば、まず地
下管路補修装置として、管継手部に搬送されて後部から
供給される補修用樹脂を管継手部の間隙内に充填する置
換ピグと、該置換ピグの後方に設置され、内部のピスト
ンピグの摺動によって、補修用樹脂を上記置換ピグに供
給すると共に側面の樹脂流出口から上記置換ピグ後方に
樹脂を流出させる樹脂注入シリンダと、該樹脂注入シリ
ンダの後方に配置して、上記置換ピグの後方に流出した
樹脂によって上記管継手部前後の所定範囲の管体内面に
所定厚のライニング層を形成するライニングピグとを備
え、上記ピストンピグの後方は上記ライニングピグと所
定間隔を保持して連着されると共に、上記ピストンピグ
の前方には上記置換ピグを貫通して上記管体の一方から
牽引する第１の牽引索が固着され、上記ライニングピグ
の後方には上記管体の他方から牽引する第２の牽引索が
装着されてなることを特徴とする。 また、上記地下管路補修装置を用いた地下管路補修工
法として、上記第２の牽引索を管体の他方の開口側から
牽引して上記ライニングピグ及び補修用樹脂の充填した
上記樹脂注入シリンダが装着された上記置換ピグを上記
管体内に挿入し、上記置換ピグが補修すべき管継手部に
到達したことを検知すると、上記第２の牽引索の牽引を
停止させて、上記ライニングピグから上記第２の牽引索
を取り外し、次ぎに、上記第１の牽引索を牽引して上記
ピストンピグを上記樹脂注入シリンダ内で摺動させて上
記置換ピグに樹脂を供給すると共に該置換ピグの後方に
樹脂を流出させ、更に、上記第１の牽引索を牽引するこ
とによって上記置換ピグ共々上記ライニングピグを移動
させて上記置換ピグ後方に流出した樹脂によって上記管
継手部前後の所定範囲に所定厚のライニング層を形成す
ることを特徴とする。

【作用】

上記手段による地下管路の補修装置及び補修工法で
は、マンホール相互間の地下に布設された空管の一端側
開放口から他端側開放口に挿通された牽引索に、管内に
挿入されるライニングピグと、後部に樹脂注入シリンダ
を設置した置換ピグとを連着し、上記ライニングピグと
樹脂注入シリンダ内に樹脂を注入した置換ピグとを一旦
他端側開放口に牽引して置換ピグを補修すべき管継手部
に位置させた後、他端側の牽引索を外して一端側の牽引
索を逆方向に牽引いて、管継手部の間隙内に置換ピグを
介して樹脂充填シリンダ内の樹脂を充填するとともに、
上記ライニングピグの前方に流出した樹脂をライニング
ピグにより管継手部の前後にライニングしてなるもので
あり、管継手部の間隙内に樹脂を充填する工法と、管継
手部前後の管内面にライニング層を形成する部分ライニ
ング工法とが一回の動作で同時に行なうことが可能であ
る。

【実 施 例】

以下、本発明による実施例を添付した図面に基づいて
詳細に説明する。 第１図は本発明による補修施工の一区間を概略的に示
す要部の断面図、第２図は地下管路の補修工法を示す要
部の断面図であり、図において、符号１は補修対象の地
下管路である。 この地下管路１は、通常50mm〜100mm径の鋼管または
鋳鉄管を複数の管継手部13により所定長さＬに接続して
なるものであり、複数本の管が所定の布設間隔で上下，
左右に集合配列され、マンホールA,Bに亘って地下に布
設された地下管路を形成している。 この地下管路１には、これに電気通信用ケーブルが挿
通、布設されるものであるが、複数列の管路のうち、ケ
ーブルの挿通されていない空管路を補修するものであ
る。 上記地下管路１の空管を補修するに際しては、地下管
路１の両端開放口11,12となるマンホールA,Bの相互間を
１区間の補修単位Ｌとして両端開放口11,12にそれぞれ
ガイド管6,7が接続され、各マンホールA,Bの地上に、そ
れぞれガイド管6,7を介して地下管路１内に挿通される
牽引索14,15のウインチ装置8,9を装備した作業車21,22
が配置される。 すなわち、上記ガイド管6,7側より挿通された牽引索1
4および15の先端はそれぞれ滑車23,24を介して迂回させ
られて作業車21,22のウインチ装置8,9に巻取られてお
り、牽引索15の末端は、ガイド管６側より管内に挿入さ
れるライニングピグ２の後側均し部2aに着脱自在に固着
される。 また、上記ライニングピグ２の前部には、ライニング
ピグ２に続いてガイド管６より管内に挿入される置換ピ
グ３の後部に設置された樹脂注入シリンダ４内を摺動す
るピストンピグ５が所定の間隔11を保持して連結索16に
よって連着されている。 さらに、上記樹脂注入シリンダ４内を摺動するピスト
ンピグ５の前側には、ウインチ装置８からガイド管６を
通り置換ピグ３を貫通して挿通される牽引索14が固縛さ
れており、上記牽引索15を巻取るウインチ装置９側が駆
動されるときは、牽引索14を巻取るウインチ装置８は自
由回転するようになっている。 ここで、上記ライニングピグ２は、硬質スポンジなど
で成形された胴体の外周面に放射状の突条が長手方向に
多数突設されており、後部には管内壁面との間の間隙を
適正に保持した均し部2aを有するものであるから、上記
ライニングピグ２を牽引索４により前方に牽引すること
によって、前方に配された樹脂により管内面に所定厚さ
のライニング層を形成することができる。 また、上記置換ピグ３は、第３図に示すように、管内
に気密に接する円柱状のピグ本体20を有し、樹脂の置換
機能を具備させる必要から、そのピグ本体20の外周部に
は進行方向に向けて連通開口する条溝17を、ピグの左右
外周壁に形成し、これに平行するように、ピグ本体20に
は置換用条溝18が、ピグの上下外周壁に形成されてい
る。そして、上記置換用条溝18からは置換ピグ３の後端
に開通する通路19が連通されている。 一方、上記置換ピグ３の後部には、補修区間Ｌ内に存
在する補修すべき管継手部13の間隙内に充填する樹脂量
と、管継手部13の前後の管路内を所定範囲に亘って内面
ライニングするに必要な樹脂量とを充分に貯えることが
できる樹脂注入シリンダ４が設置されており、この樹脂
注入シリンダ４内にあらかじめ充填された樹脂Ｃによっ
て、シリンダ４内を摺動するピストンピグ５はシリンダ
４の最後端部に押し付けられている。 また、上記樹脂注入シリンダ４の前方には、置換ピグ
３の後端に開通する通路19が開口しており、しかも樹脂
注入シリンダ４の前方外周面には適正な穴径を有する樹
脂流出口4aが複数個穿設されている。 上記ガイド管７側のウインチ装置９により牽引索15を
牽引して、ガイド管６側よりライニングピグ２および置
換ピグ３を管内に挿入する場合、上記樹脂注入シリンダ
４内には、あらかじめ所定の粘度に調合された補修用樹
脂Ｃが注入されているものであり、例えば主剤と硬化剤
からなる２液タイプの樹脂で、補修区間Ｌの範囲に存在
する補修すべき管継手部13の間隙内に充填する樹脂量
と、管継手部前後の所定範囲を内面ライニングするに充
分な樹脂量とが注入されている。 次いで、上述したように構成された本発明の補修装置
により地下管路の補修工法の作業順序について説明す
る。 まず、マンホールA,Bの相互間に布設されている補修
区間Ｌ内の地下管路１のうち、補修対象の空管の両端開
放口11,12には、それぞれガイド管6,7が接続され、ガイ
ド管７側より挿通された牽引索15をウインチ装置９を介
して巻取ることにより、ライニングピグ２と、これに連
着され、樹脂注入シリンダ４を設置した置換ピグ３とが
ガイド管６より管内に挿入される。このとき、上記置換
ピグ３に設置した樹脂注入シリンダ４内には、予め所定
量の補修用樹脂Ｃが充填されている。 また、牽引索15を牽引すると、ピストンピグ２につづ
いて、樹脂注入シリンダ４内のピストンピグ５が牽引さ
れ、置換ピグ３も一体に移動し、ピストンピグ５に固着
された牽引索14は、置換ピグ３を貫通してガイド管６側
のウインチ装置８に繰り出し自在に巻き付けられてい
る。 上記牽引索15の巻取りによって、置換ピグ３が地下管
路１内の管継手部13に到達したことを検知すると、直ち
にウインチ装置９の巻取り動作を停止させ、ライニング
ピグ２の後部均し部2aに固着されている牽引索15を取り
外し、ウインチ装置８を駆動させて、牽引索14を巻取
る。 上記牽引索14を巻取ることにより、樹脂注入シリンダ
４内のピストンピグ５が引っ張られるが、置換ピグ３は
牽引索14に対してフリーであるから、ピストンピグ５に
より樹脂注入シリンダ４内の樹脂圧を高め、樹脂注入シ
リンダ４内の樹脂Ｃを置換ピグ３の通路19より条溝18を
通って管継手部３の間隙内に充填する。このとき、上記
管継手部13の間隙内に存在する空気は条溝17を通って置
換ピグ３の前方に排出され、間隙内の周囲に均等に樹脂
が充填されるとともに、樹脂注入シリンダ４の樹脂流出
口4aより流出した樹脂Ｃがライニングピグ２と前方に配
されるので、ピストンピグ５に連着されたライニングピ
グ２の移動によって管継手部13の後部側内面に所定厚さ
のライニング層が形成される。 続いて、管継手部13の間隙内に樹脂が充填された後
は、牽引索14を巻取ることにより、樹脂圧が高まり、置
換ピグ３が一体に移動して前進し、後部に連着されたラ
イニングピグ２により管継手部13の内面および前部側内
面に所定厚さのライニング層が形成される。 こうして、本発明による管体の補修工法では、ライニ
ングピグ２と樹脂注入シリンダ４を設置した置換ピグ３
とを連着した牽引索15を巻取り、上記置換ピグ３が管継
手部13に到達したところで、牽引索14を逆方向に巻取る
ことにより、上記管継手部13の間隙内に樹脂を充填する
工法と、管継手部前後の管内面の部分ライニング補修工
法とが同時に行なうことが可能である。

【発明の効果】

以上詳細に説明したように、本発明による地下管路の
補修は、マンホール相互間の補修区間内における管継手
部への充填樹脂と、その管継手部前後の管内面への部分
ライニング補修とを一回の動作で同時に行なうものであ
り、それぞれ単独に実施されていた従来の手段に比して
装置が簡単であり、作業工数が大幅に削減され、経済的
である。 また、本発明による補修では、補修区間内の管継手部
に充填される樹脂量と、その前後の管内面にライニング
される樹脂量とを、あらかじめ置換ピグに一体に設けら
れた樹脂注入シリンダ内に注入されており、置換ピグや
ライニングピグの前方に余分な樹脂を配する必要がな
く、樹脂量に無駄がなく経済的であるとともに、樹脂を
押動させる置換ピグやライニングの牽引抵抗を小さく、
確実な管体の補修が実施される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による補修施工の一区間を概略的に示す
要部の断面図、第２図は地下管路の補修工法を示す要部
の断面図、第３図は本発明による置換ピグの構造を示す
斜視図である。 １……地下管路、２……ライニングピグ、2a……均し
部、３……置換ピグ、４……樹脂注入シリンダ、4a……
樹脂流出口、５……ピストンピグ、6,7……ガイド管、
8,9……ウインチ装置、11,12……両端開放口、13……管
継手部、14,15……牽引索、16……連結索,17,18……条
溝、19……通路、20……ピグ本体、21,22……作業車、
A,B……マンホール。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中河 敏男 神奈川県大和市代官３丁目18番地の４ 株式会社ハッコー開発技術研究所内

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】マンホール相互間の地下に布設され、空管
   となっている管体の両端開放口の一方から他方へ挿通さ
   れ、上記管体の管継手部及びその前後所定範囲の管体内
   面を補修する地下管路の補修装置であって、 管継手部に搬送されて後部から供給される補修用樹脂を
   管継手部の間隙内に充填する置換ピグと、 該置換ピグの後方に設置され、内部のピストンピグの摺
   動によって、補修用樹脂を上記置換ピグに供給すると共
   に側面の樹脂流出口から上記置換ピグ後方に樹脂を流出
   させる樹脂注入シリンダと、 該樹脂注入シリンダの後方に配置して、上記置換ピグの
   後方に流出した樹脂によって上記管継手部前後の所定範
   囲の管体内面に所定厚のライニング層を形成するライニ
   ングピグとを備え、 上記ピストンピグの後方は上記ライニングピグと所定間
   隔を保持して連着されると共に、上記ピストンピグの前
   方には上記置換ピグを貫通して上記管体の一方から牽引
   する第１の牽引索が固着され、上記ライニングピグの後
   方には上記管体の他方から牽引する第２の牽引索が装着
   されてなることを特徴とする地下管路の補修装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の地下管路の補修装置を用い
   た地下管路補修工法であって、 上記第２の牽引索を管体の他方の開口側から牽引して上
   記ライニングピグ及び補修用樹脂の充填した上記樹脂注
   入シリンダが装着された上記置換ピグを上記管体内に挿
   入し、 上記置換ピグが補修すべき管継手部に到達したことを検
   知すると、上記第２の牽引索の牽引を停止させて、上記
   ライニングピグから上記第２の牽引索を取り外し、 次ぎに、上記第１の牽引索を牽引して上記ピストンピグ
   を上記樹脂注入シリンダ内で摺動させて上記置換ピグに
   樹脂を供給すると共に該置換ピグの後方に樹脂を流出さ
   せ、 更に、上記第１の牽引索を牽引することによって上記置
   換ピグ共々上記ライニングピグを移動させて上記置換ピ
   グ後方に流出した樹脂によって上記管継手部前後の所定
   範囲に所定厚のライニング層を形成することを特徴とす
   る地下管路の補修工法。