JP2687084B2 - 除曇ミラー - Google Patents

除曇ミラー

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JP2687084B2
JP2687084B2 JP5267758A JP26775893A JP2687084B2 JP 2687084 B2 JP2687084 B2 JP 2687084B2 JP 5267758 A JP5267758 A JP 5267758A JP 26775893 A JP26775893 A JP 26775893A JP 2687084 B2 JP2687084 B2 JP 2687084B2
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口 秀 雄 辰
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辰口工業硝子株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば浴室又は洗面所
等の水蒸気の多い場所或いは環境温度変化の大きい場所
などに設置された鏡がその表面に水蒸気が結露して曇る
のを加温により除去又は防止する除曇ミラーに関し、特
に短時間で鏡表面の曇りを除去すると共にムラなく均一
に除去することができる除曇ミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】浴室又は洗面所等の水蒸気の多い場所或
いは環境温度変化の大きい場所などに設置された鏡に水
蒸気を含んだ空気が接すると、その鏡の表面温度が水蒸
気の露点以下である場合は、上記接した水蒸気が冷却さ
れて結露し、上記鏡の表面が曇る。このような鏡表面の
曇りを除去し又は防止するために、従来から曇り防止ミ
ラーが提供されている。この種の曇り防止ミラーは、例
えば実開平3-106971号公報に記載されているように、ガ
ラスの裏面に反射物質を付着させた鏡の裏側の一部に、
ニクロム線を蛇行状に形成して絶縁パネル等に貼着した
防曇ヒータを配設して構成されていた。そして、洗面所
等で使用する際は、家庭用電源からスイッチを介して上
記防曇ヒータに通電することにより、ニクロム線を加熱
してこの温度で鏡の表面を加温し、これにより鏡表面に
接する空気の露点を上昇させて空気中の飽和水蒸気の量
を多くして、その表面に付着した結露を蒸発させて曇り
を除去するようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の曇り防止ミラーにおいては、上記防曇ヒータが鏡の
裏面に設けられていたので、ニクロム線に通電して加熱
してもその温度は厚さ3〜5mm程度のガラス自体を加温
した後、鏡の表面の温度が上昇し始めるものであった。
従って、鏡の表面温度が水蒸気の露点以上に上昇するの
に時間がかかり、鏡表面の曇りが完全に消えるのに例え
ば5〜6分以上もかかることがあった。これでは鏡の曇
りが消えるまで待てず、使用者は、タオル等で拭きとる
などしていた。また、上記防曇ヒータは、熱源として蛇
行状に形成されたニクロム線を使用していたので、鏡の
裏面をくまなく全面にわたってカバーすることはでき
ず、通電により加熱されたニクロム線の部分だけはよく
曇りが消えても、その他の部分や鏡の周辺部は曇りがあ
まり消えず、曇り除去にムラが生ずることがあった。こ
れでは曇り防止ミラーとしては、十分に機能していると
は言えないものであった。
【0004】そこで、本発明は、このような問題点に対
処し、短時間で鏡表面の曇りを除去すると共にムラなく
均一に除去することができる除曇ミラーを提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による除曇ミラーは、透明な板状ガラスの片
面に全面にわたって薄膜状の導電膜が形成された導電ガ
ラスと、この導電ガラスの導電膜の面に所定の間隔をあ
けて設置され電源から電力を供給される細長薄板状に形
成されると共にその断面積が電源からの電力の供給点よ
り遠くなるに従 って大きくなるように形成された電極
と、この電極の設置された導電ガラスの面にて上記導電
膜の全面を覆って形成された透明な絶縁コートと、上記
導電ガラスの板状ガラス側の面又は導電膜側の面に形成
された反射物質コートとを組み合わせて成り、上記電極
から導電ガラスの導電膜に通電することにより該導電膜
を加熱するようにしたものである。
【0006】
【作用】このように構成された除曇ミラーは、導電ガラ
スの導電膜の面に所定の間隔をあけて設置された電極か
ら上記導電膜に通電して該導電膜を加熱することによ
り、上記導電ガラスの片面に全面にわたって形成された
導電膜がヒータとして働き、上記導電ガラスと反射物質
コートとの組み合わせからなる鏡の表面を全面にわたり
加温するように動作する。これにより、短時間で鏡表面
の結露を蒸発させて曇りを除去すると共に、ムラなく均
一に除去することができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
詳細に説明する。図1は本発明による除曇ミラーの実施
例を示す中央横断面図であり、図2は正面側から見た状
態を示す斜視説明図である。この除曇ミラーは、例えば
浴室又は洗面所等の水蒸気の多い場所或いは環境温度変
化の大きい場所などに設置された鏡がその表面に水蒸気
が結露して曇るのを加温により除去又は防止するもの
で、図1に示すように、導電ガラス1と、電極2a,2
bと、絶縁コート3と、反射物質コート4とを組み合わ
せて成る。
【0008】上記導電ガラス1は、鏡本体となると共に
その片面がヒータとして働くもので、透明で厚さが3〜
5mm程度の板状ガラス5の片面に、薄膜状で透明性を有
する導電膜6が一体的に形成されている。このような導
電ガラス1は、板状ガラス5の片面に、例えばスズ(S
n)などの導電性原料を微粉末にして溶融液状にした
のを塗布したり、又はロールコート法によって付着させ
たりして導電膜6を形成して製造される。あるいは、板
状ガラスの製造工程において、フロートライン上でスズ
(Sn)の水槽上面に溶融ガラスを連続的に流す工程の
中でCVD法(化学的気相成長法)により、板状ガラス
5の片面に極薄の酸化スズ膜(SnOx)からなる導電膜
6を一体的に形成して製造してもよい。この場合は、上
記酸化スズ膜からなる導電膜6は、厚さが例えば300〜3
000Å程度でほとんど透明となると共に、安定でかつ均
一であるので、本発明の導電ガラス1としては、上記C
VD法により製造するのが好ましい。そして、このCV
D法により製造された導電ガラス1の導電膜6のシート
抵抗は、例えば10〜1000Ω/□である。
【0009】ここで、上記シート抵抗とは、極めて薄い
部材又は殆ど電気を通さないガラス、プラスチック等の
表面に導電薄膜を付けた場合に電流はその表層部にのみ
流れて母材の方には流れないので、この表層部にのみ電
流が流れるときの単位面積当たりの電気抵抗を表す表面
抵抗のことを言う。このシート抵抗の単位は、一般に言
う体積固有抵抗Ωcmと区別するために、単位面積当たり
の電気抵抗ということからこれを記号化して、Ω/sq
(オームスクエァ)又はΩ/□と表している。上記表面
抵抗は、部材の表面特性を表す指標であるが、この数値
が小さいと電気が通りやすく、大きいと通りにくくな
る。従って、このようなシート抵抗を有する導電膜6に
電流を流すことにより、上記導電膜6は発熱しヒータと
して機能することとなる。
【0010】上記導電ガラス1の導電膜6の面には、電
極2a,2bが設けられている。この電極2a,2b
は、上記導電ガラス1の導電膜6に電力を供給するもの
で、例えば銀、銅、アルミニウムなどの導電性材料で細
長い薄板状に形成され、上記導電膜6の面にて所定の間
隔をあけて図2に示すように両側端部に設置されると共
に、図示外の電源から電力を供給されるようになってい
る。また、上記電極2a,2bは、図3に示すように、
その断面積が図示外の電源からリード線7a,7bを介
して供給される電力の供給点より遠くなるに従って大き
くなるように形成されている。すなわち、リード線7
a,7bによる電力の供給点に近い図3(a)に示すB
−Bの位置では、同図(b)に示すように電極2a,2
bの断面積は比較的小さく形成され、上記電力の供給点
から遠い図3(a)に示すC−Cの位 置では、同図
(c)に示すように電極2a,2bの断面積は大きく形
成されている。その断面積の変化は、電力の供給点から
の距離に比例して所定の割合で大きくするようになって
いる。これは、電極2a,2bが長くなると、電源の接
続側とそれより離れた側とで電位が降下して電流の流れ
方が変化し、離れた側における電流が少なくなるので、
断面積を一定の割合で大きくして導電率を高くし、一定
の電流が流れるようにするものである。なお、上記電極
2a,2bの断面積の変化は、該電極部材の厚みを変え
てもよいし、幅を変えてもよい。
【0011】そして、図2に示すように、上記電極2
a,2bの端部にはそれぞれリード線7a,7bが接続
されており、これらのリード線7a,7bの端部に設け
られたコンセント8を例えば交流100V又は240Vなどの
商用電源に接続するようになっている。なお、上記リー
ド線7a又は7bの途中には、電源投入のためのスイッ
チ9が設けられている。また、上記リード線7a又は7
bの途中には、前記導電膜6による加熱温度を一定とす
るためにサーモスタットを付加してもよい。さらに、交
流100V又は240Vなどの商用電源に直結することなく、
リード線7a,7bの途中に変圧器を挿入して電源電圧
を昇圧するようにしてもよい。さらにまた、上記リード
線7a,7bの途中に電力供給の時間制限用としてのタ
イマーを挿入してもよい。
【0012】上記電極2a,2bの設置された導電ガラ
ス1の面には、絶縁コート3が設けられている。この絶
縁コート3は、上記導電ガラス1の導電膜6による感電
の防止を図るもので、例えばシリコーン、ケイ素樹脂、
アクリル系樹脂、ガラス膜などの透明な絶縁性材料又は
無機質原料などで薄い被膜状に形成され、上記電極2
a,2bの設置された導電ガラス1の面にて上記導電膜
6及び電極2a,2bの全面を覆って貼着、塗布などに
より設けられている。或いは、絶縁性フィルムをラミネ
ートしたり又は物理的に組付けて絶縁コート3を形成し
てもよい。
【0013】前記導電ガラス1の板状ガラス5側の面す
なわち非導電膜の面には、反射物質コート4が設けられ
ている。この反射物質コート4は、上記導電ガラス1の
片面に形成されて鏡の反射面となるもので、例えば水銀
を膜状に塗ったり、アルミニウムを蒸着膜付けしたりし
て形成されている。そして、この反射物質コート4の裏
面側には、反射物質コート4が剥がれないように保護す
る反射物質保護材10が塗られている。この反射物質保
護材10としては、紅殻又は樹脂系の塗料などがある。
このように構成された除曇ミラーは、図1において、反
射物質コート4及び反射物質保護材10を例えば洗面化
粧ユニット又は洗面所ユニット、浴室ユニットにおける
取付部位あるいはその他の適宜の取付部位などの設置面
11に面し、絶縁コート3が形成された面を矢印Aのよ
うに向いて使用する使用者側に向けて、上記設置面11
に取り付けられる。
【0014】上記のように構成された除曇ミラーを使用
するには、例えば洗面化粧ユニットなどの設置面11に
取り付けた状態で、温水等の使用により鏡表面が曇った
ら、図2において予めコンセント8が図示外の商用電源
に接続されている状態でスイッチ9をオンとする。する
と、リード線7a,7bを介して電極2a,2bに電力
が供給され、これらの電極2a,2bから図1に示す導
電ガラス1の導電膜6に通電される。これにより、上記
導電膜6の全面に電流が流れ、この導電膜6は発熱して
ヒータとして働く。そして、この導電膜6の温度で鏡の
表面に位置する絶縁コート3を直接加温し、その表面に
付着した結露を短時間に蒸発させて均一に曇りを除去す
ることができる。このとき、図1からも明らかなよう
に、矢印Aのように向いて使用する使用者側には、鏡表
面の全面に絶縁コート3が形成されているので、仮に接
触したとしても感電するおそれはない。なお、上記スイ
ッチ9を予めオンとして上記導電膜6に常時通電してお
けば、温水等の使用により鏡表面が曇るのを防止するこ
とができる。
【0015】図4は本発明の除曇ミラーにおける電極2
a,2bの設置状態の変形例を示す正面説明図である。
図4(a)は、導電ガラス1の上辺部及び下辺部にそれ
ぞれ電極2a,2bを設置した状態を示す。図4(b)
は、導電ガラス1の両側辺部から上辺部又は下辺部にか
けて略L字形にそれぞれ電極2a,2bを設置した状態
を示す。図4(c)は、導電ガラス1の周囲を取り囲む
ように一方の電極2aを設置すると共に、上記導電ガラ
ス1の中心部に他方の電極2bを設置した状態を示す。
そして、図4(d)は、例えばドア又は窓と同程度の大
きさの大形ミラーに適用する場合の一例を示しており、
導電ガラス1の長手方向の側辺部及びこの側辺部の途中
から直角内側に入り込む形状の電極2a,2bを対向状
に配置した状態を示す。このようにすると、大形ミラー
であっても、導電膜6の全面に効果的に電力を供給する
ことができる。
【0016】図5は本発明の除曇ミラーにおける導電ガ
ラス1と、電極2a,2bと、絶縁コート3と、反射物
質コート4との組み合わせ状態の変形例を示す中央横断
面図である。図5(a)は、図1に示すと同様に反射物
質コート4が導電ガラス1の裏面側に位置する裏面鏡の
場合であるが、電極2a,2bを覆う絶縁コート3を上
記反射物質コート4に接し、導電ガラス1の板状ガラス
5を鏡の表面として組み合わせた状態を示す。この場合
は、設置面11側の安全が確保できるときは、絶縁コー
ト3を省略してもよい。図5(b)は、設置面11側に
導電ガラス1を配置し、その前面側に電極2a,2b及
び絶縁コート3を配置し、この絶縁コート3の前面側に
反射物質コート4を配置して組み合わせ、この反射物質
コート4を鏡の表面とする表面鏡を構成した状態を示
す。図5(c)は、同図(b)に示すと同様に表面鏡の
場合であるが、設置面11側に電極2a,2bを覆う絶
縁コート3を配置し、導電ガラス1の板状ガラス5の前
面側に反射物質コート4を配置して組み合わせた状態を
示す。この場合も、設置面11側の安全が確保できると
きは、絶縁コート3を省略してもよい。
【0017】なお、以上の説明においては、絶縁コート
3は、電極2a,2bの設置された導電ガラス1の面に
て導電膜6及び電極2a,2bの全面を覆って形成した
ものとしたが、本発明はこれに限らず、絶縁コート3は
導電膜6の面のみを覆って形成され、電極2a,2bの
部分は他の絶縁性材料(例えばゴムなど)で別個にカバ
ーして絶縁するようにしてもよい。また、導電ガラス1
の正面形状は総て矩形として示したが、これに限らず、
三角形、多角形又は円形等のいずれの形状であってもよ
い。さらに、上記導電ガラス1は、平板状のものに限ら
ず、凸曲面又は凹曲面などの曲面状であってもよい。さ
らにまた、鏡の用途としては、浴室又は洗面所等で使用
するものに限らず、水分の多い雰囲気中で使用し水蒸気
の結露による曇りの除去又は防止を必要とするものな
ら、どのような用途の鏡にも適用することができる。
【0018】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されたので、
導電ガラスの導電膜の面に所定の間隔をあけて設置され
た電極から上記導電膜に通電して該導電膜を加熱するこ
とにより、上記導電ガラスの片面に全面にわたって形成
された導電膜がヒータとして働き、上記導電ガラスと反
射物質コートとの組み合わせからなる鏡の表面を全面に
わたり加温することができる。これにより、短時間で鏡
表面の結露を蒸発させて曇りを除去すると共に、ムラな
く均一に除去することができる。特に、図1及び図5
(b)に示す実施例の場合は、ヒータの働きをする導電
ガラスの導電膜が鏡の表面の直近に位置しているので、
鏡表面を短時間に加温することができ、例えば30秒〜1
分以内で曇りを完全に除去することができる。また、上
記導電膜は導電ガラスの片面の全面にくまなく形成され
ているので、電極からの通電によりその導電膜が全面に
わたって一様に加熱され、鏡の表面を周辺部まで均一に
曇り除去をすることができる。さらに、上記電極の断面
積が電源からの電力の供給点より遠くなるに従って大き
くなるように形成されているので、電極が長くなった場
合でも、電源より離れた側において断面積を一定の割合
で大きくして導電率を高くし、一定の電流が流れるよう
にすることができる。このことから、電極の長手方向に
均一な電流が流れ、導電ガラスの導電膜を均一に加熱し
て、大形ミラーであっても曇り除去の効果を略均一とす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による除曇ミラーの実施例を示す中央
横断面図である。
【図2】 上記除曇ミラーを正面側から見た状態を示す
斜視説明図である。
【図3】 上記除曇ミラーの電極の断面積の変化状態を
示す説明図である。
【図4】 本発明の除曇ミラーにおける電極の設置状態
の変形例を示す正面説明図である。
【図5】 本発明の除曇ミラーにおける導電ガラスと電
極と絶縁コートと反射物質コートとの組み合わせ状態の
変形例を示す中央横断面図である。
【符号の説明】
1…導電ガラス 2a,2b…電極 3…絶縁コート 4…反射物質コート 5…板状ガラス 6…導電膜 10…反射物質保護材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な板状ガラスの片面に全面にわたっ
    薄膜状の導電膜が形成された導電ガラスと、この導電
    ガラスの導電膜の面に所定の間隔をあけて設置され電源
    から電力を供給される細長薄板状に形成されると共にそ
    の断面積が電源からの電力の供給点より遠くなるに従っ
    て大きくなるように形成された電極と、この電極の設置
    された導電ガラスの面にて上記導電膜の全面を覆って形
    成された透明な絶縁コートと、上記導電ガラスの板状ガ
    ラス側の面又は導電膜側の面に形成された反射物質コー
    トとを組み合わせて成り、上記電極から導電ガラスの導
    電膜に通電することにより該導電膜を加熱するようにし
    たことを特徴とする除曇ミラー。
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