JP2987683B2 - 除曇表面鏡及びその製造方法 - Google Patents

除曇表面鏡及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば浴室又は洗面所
等の水蒸気の多い場所或いは環境温度変化の大きい場所
などに設置された鏡がその表面に水蒸気が凝固結露して
曇るのを加温により除去又は防止する除曇ミラーに関
し、特に鏡本体部材の表面に鏡面加工を施して成る表面
鏡において該鏡本体部材の裏面側を直接的に加熱し、そ
の鏡の表面の曇りを短時間で除去すると共に均一に除去
することができ且つ安全な除曇表面鏡及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の除曇表面鏡は、本発明者
等のうちの一人が特願平7-84594号で提案しているよう
に、絶縁性材料で板状に形成されその裏面側に略全面に
わたって導電材料を一体的に形成した鏡本体部材と、こ
の鏡本体部材の裏面に所定の間隔をあけて設置されると
共に上記導電材料に接続され電源から電力を供給される
細長薄板状の電極と、上記鏡本体部材の表面に鏡面とな
るように形成された反射物質コートと、この反射物質コ
ートの表面にその全面を覆って形成された透明で硬い保
護コートとを組み合わせて成り、上記電極から鏡本体部
材の導電材料に通電することにより該導電材料を加熱す
るようになっていた。
【0003】ここで、上記鏡本体部材は、具体的には、
透明で厚さが3〜8mm程度の板状ガラスの裏面に、導電
材料を含浸又は膜付けすることにより薄膜状の導電膜を
一体的に形成した導電ガラスから成る。また、電極は、
上記鏡本体部材の導電膜に電力を供給するもので、例え
ば銀、銅、アルミニウムなどの導電性材料で細長い薄板
状に形成され、上記導電膜の面にて所定の間隔をあけて
両側端部に設置されている。さらに、反射物質コート
は、上記鏡本体部材の表面に形成されて鏡の反射面とな
るもので、例えば硝酸銀などの銀系物質を膜状に塗った
り、アルミニウムを蒸着膜付けしたりして形成されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の除曇表面鏡においては、鏡本体部材の表面に形成さ
れて鏡の反射面となる反射物質コートが、硝酸銀などの
銀系物質を膜状に塗ったり、アルミニウムを蒸着膜付け
したりして形成されていたので、上記鏡本体部材の裏面
にて導電膜の面に電極を設置するために該電極材料を例
えば400℃以上の高温で焼き付けると、その熱であまり
耐熱性の高くない銀系物質やアルミニウムが影響を受け
るものであった。すなわち、鏡本体部材の表面に形成さ
れた反射物質コートに、高温により反射物質が鏡本体部
材から剥離したり、膜クモリが生じたり、膜面に小さな
凹凸ができる膜ブツが生じたりすることがあった。従っ
て、鏡として最も重要な鏡面の仕上がりが良くなく、鏡
としては実用に供せないことがあった。
【0005】そこで、本発明は、このような問題点に対
処し、表面に反射物質コート及び保護硬質コートが形成
された鏡本体部材の裏面に電極材料を高温で焼き付けて
も、上記表面の反射物質コート及び保護硬質コートが熱
で影響を受けず、表面の鏡面の仕上がりがきれいな除曇
表面鏡及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第一の発明による除曇表面鏡は、透明な板状ガラス
の片面に導電材料を含浸又は膜付けすることにより薄膜
状の導電膜を一体的に形成した鏡本体部材と、この鏡本
体部材の裏面にて上記導電膜の面に所定の間隔をあけて
設置され電源から電力を供給される細長薄板状の電極
と、この電極の設置された鏡本体部材の裏面にて上記導
電膜の全面を覆って形成された無機質原料又は有機質原
料から成る絶縁コートと、上記鏡本体部材の表面にて板
状ガラスの面に鏡面となるように形成された耐熱性物質
から成る反射物質コートと、この反射物質コートの表面
にその全面を覆って形成された耐熱性を有し無色透明で
硬い保護硬質コートとを組み合わせて成り、上記電極か
ら鏡本体部材の導電膜に通電することにより該導電膜を
加熱するようにしたものである。
【0007】また、上記反射物質コートは、クローム又
はニッケル又はチタンから成るものである。
【0008】さらに、上記反射物質コートと保護硬質コ
ートとの間、又は保護硬質コートの表面に、光線屈折率
の異なる物質をコートすることにより反射物質コートの
乱反射を抑える反射防止層を形成してもよい。
【0009】また、第二の発明による除曇表面鏡の製造
方法は、透明な板状ガラスの片面に導電材料を含浸又は
膜付けすることにより薄膜状の導電膜を一体的に形成し
た大寸の鏡本体部材を、スパッタリング装置のチャンバ
内に配置し、上記鏡本体部材の導電膜が形成された側と
は反対側の板状ガラスの表面に、耐熱性物質から成る反
射物質コート及び耐熱性を有し無色透明で硬い保護硬質
コート及び必要に応じて反射防止層をスパッタリング法
により形成し、その後上記各コートが形成された鏡本体
部材をスパッタリング装置のチャンバから取り出して各
種の鏡サイズに切断し、この個々の鏡サイズに切断した
鏡本体部材の裏面にて導電膜が形成された面に細長薄板
状の電極を所定の間隔をあけて配置し、これを高温で焼
き付けて上記導電膜に電極を接着固定し、その後この電
極が設置された鏡本体部材の裏面にて上記導電膜の全面
に無機質原料又は有機質原料から成る絶縁コートを形成
することよりなる。
【0010】
【作用】このように構成された除曇表面鏡は、透明な板
状ガラスの片面に導電材料を含浸又は膜付けすることに
より薄膜状の導電膜を一体的に形成した鏡本体部材の裏
面にて上記導電膜の面に所定の間隔をあけて設置された
電極から、上記鏡本体部材の導電膜に通電して該導電膜
を加熱することにより、上記鏡本体部材の裏面側に形成
された導電膜がヒータとして働き、上記鏡本体部材とそ
の表面に鏡面となるように形成された耐熱性物質から成
る反射物質コートとさらにその表面に全面を覆って形成
された保護硬質コートとの組み合わせから成る鏡の表面
を加温するように動作する。これにより、上記鏡本体部
材の裏面側を直接的に加熱し、該鏡本体部材を伝導した
熱により短時間で鏡の表面の結露を蒸発させて曇りを除
去すると共に、その曇りを均一に除去することができ、
且つ感電するおそれがなく安全である。
【0011】また、上記の除曇表面鏡の製造において
は、上記鏡本体部材の表面の反射物質コート及び保護硬
質コートが耐熱性物質から成るので、該鏡本体部材の裏
面に電極材料を高温で焼き付けても、上記表面の反射物
質コート及び保護硬質コートが熱で影響を受けることな
く、表面の鏡面の仕上がりがきれいな除曇表面鏡を提供
することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
詳細に説明する。図1は第一の発明による除曇表面鏡の
実施例を示す中央横断面図であり、図2は裏面側から見
た状態を示す斜視説明図である。この除曇表面鏡は、例
えば浴室又は洗面所等の水蒸気の多い場所或いは環境温
度変化の大きい場所などに設置された鏡がその表面に水
蒸気が凝固結露して曇るのを加温により除去又は防止す
るもので、図1に示すように、鏡本体部材1と、電極2
a,2bと、絶縁コート3と、反射物質コート4と、保
護硬質コート5とを組み合わせて成る。
【0013】上記鏡本体部材1は、除曇表面鏡の本体と
なると共にその裏面側がヒータとして働くもので、透明
で厚さが3〜8mm程度の板状ガラス6の裏面に、導電材
料を含浸又は膜付けすることにより無色透明で厚さが0.
02〜0.5μmの薄膜状の導電膜7を一体的に形成した導電
ガラスから成る。このような導電ガラスは、板状ガラス
6の片面に、例えばスズ(Sn)などの導電性原料を微
粉末にして溶融液状にしたものを貼着したり、スプレイ
コートなどにより塗布したり、又はロールコート法によ
って付着させたりして導電膜7を形成して製造される。
あるいは、板状ガラスの製造工程において、フロートラ
イン上でスズ(Sn)の水槽上面に溶融ガラスを連続的
に流す工程の中でCVD法(化学的気相成長法)によ
り、板状ガラス6の片面に極薄の酸化スズ膜(SnOx)
からなる導電膜7を一体的に形成して製造してもよい。
この場合は、上記酸化スズ膜からなる導電膜7は、厚さ
が例えば300〜3000Å程度でほとんど透明となると共
に、安定でかつ均一であるので、本発明の鏡本体部材1
としての導電ガラスとしては、上記CVD法により製造
するのが好ましい。そして、このCVD法により製造さ
れた導電ガラスの導電膜7のシート抵抗は、例えば10〜
1000Ω/□である。従って、このようなシート抵抗を有
する導電膜7に電流を流すことにより、上記導電膜7は
発熱しヒータとして機能することとなる。
【0014】上記鏡本体部材1の裏面にて導電膜7の面
には、電極2a,2bが設けられている。この電極2
a,2bは、上記鏡本体部材1の導電膜7に電力を供給
するもので、例えば銀、銅、アルミニウムなどの導電性
材料で細長い薄板状に形成され、上記導電膜7の面にて
所定の間隔をあけて図2に示すように両側端部に設置さ
れると共に、図示外の電源から電力を供給されるように
なっている。このため、図2に示すように、上記電極2
a,2bの端部にはそれぞれリード線8a,8bが接続
されており、これらのリード線8a,8bの端部に設け
られたプラグ9を例えば交流100V又は240Vなどの商用
電源に接続するようになっている。なお、上記リード線
8a又は8bの途中には、電源投入のためのスイッチ1
0が設けられている。また、上記リード線8a又は8b
の途中には、前記導電膜7による加熱温度を一定とする
ためにサーモスタットを有する温度制御回路を付加して
もよい。さらに、交流100V又は240Vなどの商用電源に
直結することなく、リード線8a,8bの途中に変圧器
を挿入して電源電圧を昇圧するようにしてもよい。さら
にまた、上記リード線8a,8bの途中に電力供給の時
間制限用としてのタイマーを挿入してもよい。
【0015】上記電極2a,2bの設置された鏡本体部
材1の裏面にて導電膜7の面には、図1に示すように、
絶縁コート3が設けられている。この絶縁コート3は、
上記鏡本体部材1の導電膜7による感電の防止を図るも
ので、本発明者等のうちの一人が平成7年5月25日の特
許出願(整理番号070525A)中で提案している「コーテ
ィング用組成物」などの無機質原料から成り、上記導電
膜7及び電極2a,2bの全面を覆ってスプレイコート
法又はロールコート法によって薄い被膜状(例えば40〜
80μmの厚さ)に形成されている。或いは、絶縁性フィ
ルムをラミネートしたり又は物理的に組付けて、上記絶
縁コート3を形成してもよい。なお、上記絶縁コート3
の更に裏面側には、鏡の取付部位などの設置面11に取
り付ける際の絶縁を確実にするため、有機質原料又は無
機質原料から成る各種の絶縁層12を設けてもよい。こ
の絶縁層12としては、例えばエポキシ系、アクリル系
などの有機質塗料又は無機質塗料などがある。
【0016】上記鏡本体部材1の表面にて板状ガラス6
の面には、反射物質コート4が鏡面となるように形成さ
れている。この反射物質コート4は、上記鏡本体部材1
の表面に形成されて鏡の反射面となるもので、例えば40
0℃以上の高温にも耐える耐熱性物質から成り、具体的
にはクローム(Cr)又はニッケル(Ni)又はチタン
(Ti)などの金属から成る。この耐熱性物質を上記鏡
本体部材1の表面に被覆するには、例えばスパッタリン
グ法を用いて上記板状ガラス6の表面に薄膜状に形成す
ればよい。このような耐熱性物質から成る反射物質コー
ト4を形成することにより、前記電極2a,2bを鏡本
体部材1の裏面に400℃以上の高温で焼き付けても、そ
の熱により影響を受けることはない。
【0017】上記鏡本体部材1の表面に形成された反射
物質コート4の表面は、その全面が例えば400℃以上の
耐熱性を有すると共に無色透明で硬い保護硬質コート5
で覆われている。この保護硬質コート5は、上記板状ガ
ラス6の表面に形成された反射物質コート4が剥がれた
り、傷付かないように保護するもので、例えば酸化ケイ
素(SiOx)又は酸化チタン(TiOx)などから成り、
反射物質コート4上に例えば0.2〜1μm程度の厚さの被
膜を形成した後は無色透明で高い硬度(例えばJIS K-54
00-8.4による鉛筆硬度で9H以上)を発揮するものとさ
れている。なお、上記保護硬質コート5は、耐熱性を有
し無色透明で硬ければよく、絶縁性を有する必要はな
い。
【0018】このように構成された除曇表面鏡は、図1
において、絶縁層12を例えば洗面化粧ユニット又は洗
面所ユニット、浴室ユニットにおける取付部位あるいは
その他の適宜の取付部位などの設置面11に面し、反射
物質コート4及び保護硬質コート5が形成された面を矢
印Aのように向いて使用する使用者側に向けて、上記設
置面11に取り付けられる。なお、この場合、上記設置
面11側の安全が確保できるときは、前記絶縁コート3
を省略してもよい。
【0019】上記のように構成された除曇表面鏡を使用
するには、例えば洗面化粧ユニットなどの設置面11に
取り付けた状態で、温水等の使用により鏡表面が曇った
ら、図2において予めプラグ9が図示外の商用電源に接
続されている状態でスイッチ10をオンとする。する
と、リード線8a,8bを介して電極2a,2bに電力
が供給され、これらの電極2a,2bから図1に示す鏡
本体部材1の裏面側の導電膜7に通電される。これによ
り、上記導電膜7の全面に電流が流れ、この導電膜7は
発熱してヒータとして働く。そして、この導電膜7の温
度で鏡の表面に位置する反射物質コート4及び保護硬質
コート5を加温し、その表面に付着した結露を短時間に
蒸発させて均一に曇りを除去することができる。このと
き、図1からも明らかなように、矢印Aのように向いて
使用する使用者側には、鏡本体部材1としての導電ガラ
スの板状ガラス6側が面しているので、仮に接触したと
しても感電するおそれはなく安全である。なお、上記ス
イッチ10を予めオンとして上記導電膜7に常時通電し
ておけば、温水等の使用により鏡表面が曇るのを防止す
ることができる。
【0020】図3は本発明の除曇表面鏡における電極2
a,2bの設置状態の変形例を示す裏面説明図である。
図3(a)は、鏡本体部材1の上辺部及び下辺部にそれ
ぞれ電極2a,2bを設置した状態を示す。図3(b)
は、鏡本体部材1の両側辺部から上辺部又は下辺部にか
けて略L字形にそれぞれ電極2a,2bを設置した状態
を示す。図3(c)は、鏡本体部材1の周囲を取り囲む
ように一方の電極2aを設置すると共に、上記鏡本体部
材1の中心部に他方の電極2bを設置した状態を示す。
そして、図3(d)は、例えばドア又は窓と同程度の大
きさの大形ミラーに適用する場合の一例を示しており、
鏡本体部材1の長手方向の側辺部及びこの側辺部の途中
から直角内側に入り込む形状の電極2a,2bを対向状
に配置した状態を示す。このようにすると、大形ミラー
であっても、導電膜7の全面に効果的に電力を供給する
ことができる。
【0021】図4は、図1に示す実施例の変形例を示す
中央横断面図である。この変形例は、上記鏡本体部材1
の側端面にもこれをカバーするように絶縁コート3′を
形成したものである。この場合は、上記絶縁コート3′
の電気絶縁性により、鏡の側端部側の感電防止を図るこ
とができる。
【0022】図5は本発明の第二の実施例を示す中央横
断面図である。この実施例は、鏡本体部材1の表面側に
て、反射物質コート4と保護硬質コート5との間に反射
防止層13を形成したものである。この反射防止層13
は、光線屈折率の異なる物質をコートすることにより上
記反射物質コート4の表面における乱反射を抑えるもの
で、例えば酸化ケイ素(SiOx)又は酸化チタン(Ti
Ox)などから成り、高い硬度を有している。このよう
にすると、上記反射防止層13により反射物質コート4
の表面における乱反射が抑えられるので、鏡としての反
射率を向上することができる。なお、上記反射防止層1
3は、高い硬度を有しているので、反射物質コート4と
保護硬質コート5との間に限られず、上記保護硬質コー
ト5の表面にて最外層に形成してもよい。また、図5の
実施例においても、図4に示すと同様に、上記鏡本体部
材1の側端面にもこれをカバーするように絶縁コート
3′を形成してもよい。
【0023】図6は本発明の第三の実施例を示す中央横
断面図である。この実施例は、鏡本体部材1の表面側に
て、反射物質コート4と保護硬質コート5との間に複数
層の反射防止層13a,13bを形成したものである。
この場合は、例えば酸化ケイ素(SiOx)又は酸化チタ
ン(TiOx)などの酸素イオンのイオン価を少しずつ変
化させた物質を複数層に形成することにより、鏡として
の反射率を更に向上することができる。なお、上記複数
層の反射防止層13a,13bは、2層だけに限られ
ず、3層以上に形成してもよい。このときの層構造とし
ては、SiOxとTiOxとを交互に配列してもよい。ま
た、上記反射防止層13a,13bは、高い硬度を有し
ているので、反射物質コート4と保護硬質コート5との
間に限られず、上記保護硬質コート5の表面にて最外層
に形成してもよい。また、図6の実施例においても、図
4に示すと同様に、上記鏡本体部材1の側端面にもこれ
をカバーするように絶縁コート3′を形成してもよい。
【0024】なお、以上の説明においては、鏡本体部材
1の正面形状は総て矩形として示したが、これに限ら
ず、三角形、多角形又は円形等のいずれの形状であって
もよい。さらに、上記鏡本体部材1は、平板状のものに
限らず、凸曲面又は凹曲面などの曲面状、或いは直角な
どの適宜の角度に折り曲げた折曲げ状のものであっても
よい。さらにまた、鏡の用途としては、浴室又は洗面所
等で使用するものに限らず、水分の多い雰囲気中で使用
し水蒸気の凝固結露による曇りの除去又は防止を必要と
するものなら、どのような用途の鏡にも適用することが
できる。
【0025】図7は、上記のように構成された除曇表面
鏡の関連発明としての製造方法の工程を示す説明図であ
る。まず、図示外の板状ガラスの製造工程において、透
明な板状ガラスの片面に導電材料を含浸又は膜付けする
ことにより薄膜状の導電膜を一体的に形成した大寸の鏡
本体部材1′を製造する(図7(a)参照)。これは、図
1に示す鏡本体部材1となる元の材料である。上記鏡本
体部材1′は、スパッタリング装置のチャンバの横幅に
合わせて、その横幅Bが約100インチ(約2.54m)程度
とされ、長さCが約160インチ(約4.06m)程度とされ
ている。
【0026】次に、図7(a)に示すように製造された
大寸の鏡本体部材1′を、図示外のスパッタリング装置
のチャンバ内に配置する。そして、上記チャンバ内を所
定の圧力まで真空排気し、この真空容器内で放電させ
て、上記鏡本体部材1′の導電膜7(図1参照)が形成
された側とは反対側の板状ガラス6の表面に、400℃以
上の耐熱性物質から成る反射物質コート4をスパッタリ
ング法により形成すると共に、その上面に同じく400℃
以上の耐熱性を有し無色透明で硬い保護硬質コート5を
同じくスパッタリング法で形成する。さらに、必要に応
じて、図5に示す反射防止層13又は図6に示す複数層
の反射防止層13a,13bをスパッタリング法により
形成する。
【0027】その後、上記のように鏡本体部材1′の表
面に各コート4,5及び必要に応じて反射防止層13又
は13a,13bが形成された材料を上記スパッタリン
グ装置のチャンバから取り出し、図7(b)に示すよう
に、製品としての各種の鏡サイズ14a,14b,14
c,14d,14eにそれぞれ切断する。これは、スパ
ッタリング装置で鏡本体部材1′の表面に反射物質コー
ト4や保護硬質コート5をスパッタリング法により形成
するのは、多額の費用がかかることから、大寸の鏡本体
部材1′の状態で一括形成し、その後に個々の鏡サイズ
14a〜14eに切断することにより製造コストを低下
させるためである。
【0028】次に、上記個々の鏡サイズ14a〜14e
に切断した鏡本体部材について、図7(c)に示すよう
に、一つの鏡本体部材のサイズ14aの裏面にて導電膜
7が形成された面に細長薄板状の電極2a,2bを所定
の間隔をあけて配置し、これを例えば400℃以上の高温
で焼き付けて上記導電膜7に接着固定する。このとき、
上記鏡サイズ14aの部材の表面に形成された反射物質
コート4及び保護硬質コート5(図1参照)は400℃以
上の耐熱性物質から成るので、上記電極2a,2bの高
温焼き付けにより影響は受けない。このような電極2
a,2bを各鏡サイズ14a〜14eの裏面について、
個々に焼き付けて接着固定する。
【0029】その後、上記のように電極2a,2bが設
置された鏡本体部材のサイズ14aについて、図7
(d)に示すように、上記鏡本体部材1(14a)の裏
面にて導電膜7が形成された面の全面に、無機質原料又
は有機質原料から成る絶縁コート3をスプレイコート法
又はロールコート法によって薄い被膜状に形成し、約16
5℃で乾燥する。更に必要に応じて、上記絶縁コート3
の裏面側に有機質原料又は無機質原料から成る各種の絶
縁層12を設けてもよい。このような絶縁コート3及び
絶縁層12を各鏡サイズ14a〜14eの裏面につい
て、個々に形成する。このような工程により、第一の発
明による除曇表面鏡が製造される。そして、このような
製造方法によれば、表面の鏡面の仕上がりがきれいで製
造コストを低下することができる除曇表面鏡を提供する
ことができる。
【0030】なお、上述の図7(a),(b)の工程と
は逆に、先に大寸の鏡本体部材1′を個々の鏡サイズ1
4a〜14eに切断し、その後個々の鏡サイズ14a〜
14eに切断された鏡本体部材1をスパッタリング装置
のチャンバ内に入れ、上記個々の鏡サイズ14a〜14
eの鏡本体部材1の板状ガラス6の表面に、反射物質コ
ート4及び保護硬質コート5をスパッタリング法により
形成しもよい。製造コストの上昇を無視してもよい場合
は、このような工程で製造してもよい。また、図7
(d)の工程において、鏡の設置面11側の安全が確保
できる場合などは、絶縁コート3を形成する工程を省略
してもよい。
【0031】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されたので、
透明な板状ガラスの片面に導電材料を含浸又は膜付けす
ることにより薄膜状の導電膜を一体的に形成した鏡本体
部材の裏面にて上記導電膜の面に所定の間隔をあけて設
置され電極から、上記鏡本体部材の導電膜に通電して該
導電膜を加熱することにより、上記鏡本体部材の裏面側
に形成された導電膜がヒータとして働き、上記鏡本体部
材とその表面に鏡面となるように形成された耐熱性物質
から成る反射物質コートとさらにその表面に全面を覆っ
て形成された保護硬質コートとの組み合わせから成る鏡
の表面を加温することができる。これにより、上記鏡本
体部材の裏面側を直接的に加熱し、該鏡本体部材を伝導
した熱により短時間で鏡の表面の結露を蒸発させて曇り
を除去すると共に、その曇りを均一に除去することがで
き、且つ感電するおそれがなく安全である。
【0032】また、上記の除曇表面鏡の製造において
は、上記鏡本体部材の表面の反射物質コート及び保護硬
質コートが耐熱性物質から成るので、該鏡本体部材の裏
面に電極材料を高温で焼き付けても、上記表面の反射物
質コート及び保護硬質コートが熱で影響を受けることな
く、従来のような膜クモリや膜ブツの発生を防止するこ
とができる。また、鏡本体部材の表面への反射物質コー
トや保護硬質コートのスパッタリング法による形成は、
大寸の鏡本体部材の状態で一括形成し、その後に個々の
鏡サイズに切断するので、スパッタリング法による費用
を効率化することができる。従って、本発明の製造方法
によれば、表面の鏡面の仕上がりがきれいで製造コスト
を低下することができる除曇表面鏡を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明による除曇表面鏡の実施例を示す中
央横断面図である。
【図2】上記除曇表面鏡を裏面側から見た状態を示す斜
視説明図である。
【図3】上記除曇表面鏡における電極の設置状態の変形
例を示す裏面説明図である。
【図4】図1に示す実施例の変形例を示す中央横断面図
である。
【図5】本発明の第二の実施例を示す中央横断面図であ
る。
【図6】本発明の第三の実施例を示す中央横断面図であ
る。
【図7】上記除曇表面鏡の関連発明としての製造方法の
工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1′…鏡本体部材 2a,2b…電極 3,3′…絶縁コート 4…反射物質コート 5…保護硬質コート 6…板状ガラス 7…導電膜 11…設置面 12…絶縁層 13,13a,13b…反射防止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−100043(JP,A) 特開 平7−14668(JP,A) 特開 平6−183787(JP,A) 特開 昭48−30945(JP,A) 実開 昭51−38599(JP,U) 実開 平2−28658(JP,U) 実開 平1−121295(JP,U) 実開 昭64−29602(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47G 1/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な板状ガラスの片面に導電材料を含
    浸又は膜付けすることにより薄膜状の導電膜を一体的に
    形成した鏡本体部材と、この鏡本体部材の裏面にて上記
    導電膜の面に所定の間隔をあけて設置され電源から電力
    を供給される細長薄板状の電極と、この電極の設置され
    た鏡本体部材の裏面にて上記導電膜の全面を覆って形成
    された無機質原料又は有機質原料から成る絶縁コート
    と、上記鏡本体部材の表面にて板状ガラスの面に鏡面と
    なるように形成された耐熱性物質から成る反射物質コー
    トと、この反射物質コートの表面にその全面を覆って形
    成された耐熱性を有し無色透明で硬い保護硬質コートと
    を組み合わせて成り、上記電極から鏡本体部材の導電膜
    に通電することにより該導電膜を加熱するようにしたこ
    とを特徴とする除曇表面鏡。
  2. 【請求項2】 上記反射物質コートは、クローム又はニ
    ッケル又はチタンから成ることを特徴とする請求項1記
    載の除曇表面鏡。
  3. 【請求項3】 上記反射物質コートと保護硬質コートと
    の間、又は保護硬質コートの表面に、光線屈折率の異な
    る物質をコートすることにより反射物質コートの乱反射
    を抑える反射防止層を形成したことを特徴とする請求項
    1又は2記載の除曇表面鏡。
  4. 【請求項4】 透明な板状ガラスの片面に導電材料を含
    浸又は膜付けすることにより薄膜状の導電膜を一体的に
    形成した大寸の鏡本体部材を、スパッタリング装置のチ
    ャンバ内に配置し、上記鏡本体部材の導電膜が形成され
    た側とは反対側の板状ガラスの表面に、耐熱性物質から
    成る反射物質コート及び耐熱性を有し無色透明で硬い保
    護硬質コート及び必要に応じて反射防止層をスパッタリ
    ング法により形成し、その後上記各コートが形成された
    鏡本体部材をスパッタリング装置のチャンバから取り出
    して各種の鏡サイズに切断し、この個々の鏡サイズに切
    断した鏡本体部材の裏面にて導電膜が形成された面に細
    長薄板状の電極を所定の間隔をあけて配置し、これを高
    温で焼き付けて上記導電膜に電極を接着固定し、その後
    この電極が設置された鏡本体部材の裏面にて上記導電膜
    の全面に無機質原料又は有機質原料から成る絶縁コート
    を形成することを特徴とする除曇表面鏡の製造方法。
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