JP2686136B2 - アルカリ蓄電池用カドミウム負極 - Google Patents

アルカリ蓄電池用カドミウム負極

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JP2686136B2 JP1080138A JP8013889A JP2686136B2 JP 2686136 B2 JP2686136 B2 JP 2686136B2 JP 1080138 A JP1080138 A JP 1080138A JP 8013889 A JP8013889 A JP 8013889A JP 2686136 B2 JP2686136 B2 JP 2686136B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、ニッケル−カドミウム蓄電池等に用いられ
るアルカリ蓄電池用カドミウム負極に関するものであ
る。
(ロ) 従来の技術 ニッケル−カドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池に使
用するカドミウム負極は、充放電サイクルを重ねていく
と、水酸化カドミウムや酸化カドミウム等のカドミウム
活物質が不活性化し、極板容量を低下させるという問題
がある。そして、この活物質の不活性化は、放電時に充
電状態の活物質である金属カドミウムの表面を、放電状
態の活物質である微細な水酸化カドミウムが緻密に覆
い、これにより電解液からの水酸イオンの供給を困難に
することに起因し、放電不能の金属カドミウムが蓄積す
ることに基づく。
上記問題を解決する方法として、特開昭61−158664号
公報では、極板表面への高分子被膜の形成が、また特開
昭61−158666号公報では、カドミウム活物質表面への高
分子被膜の形成が提案されている。また、上記公報で
は、高分子被膜としてポリビニルアルコールまたはメチ
ルセルロースを用いることを提案している。
上述のようにカドミウム極にポリビニルアルコールや
メチルセルロースを添加すると、放電時に金属カドミウ
ムが水酸化カドミウムに変化して析出する際に、水酸化
カドミウムが微細粒子として析出することを抑制でき、
比較的大きな粒子が析出する。このため、金属カドミウ
ムの表面を微細な水酸化カドミウムで緻密に覆われるこ
とが抑制でき、電解液の供給が容易になり、充放電サイ
クル特性が向上する。
しかしながら、この方法を用いた場合においても、充
放電サイクルの進行に伴うカドミウム活物質の不活性化
を充分に抑制することはできず、特に、ハイレート放電
という苛酷な条件下では、満足のいく性能を得ることは
できなかった。
(ハ) 発明が解決しようとする課題 本発明は前記せる問題に鑑みてなされたものであっ
て、充放電サイクルの進行に伴うカドミウム活物質の不
活性化をより一層抑制することにより、サイクル特性の
優れたアルカリ蓄電池用カドミウム負極を提供しようと
するものである。
(ニ) 課題を解決するための手段 本発明のアルカリ蓄電池用カドミウム負極は、重合度
が350〜1000のポリビニルピロリドンを添加したことを
特徴とするものである。
(ホ) 作用 ポリビニルピロリドンは、上記ポリビニルアルコール
及びメチルセルロースと同様に、カドミウム負極に添加
することにより、放電時に微細な水酸化カドミウムの生
成を抑制することができ、その効果は、ポリビニルアル
コール及びメチルセルロースよりも大きい。また、カド
ミウム負極が劣化し易いハイレート放電という苛酷な条
件下においても、充放電サイクルの進行に伴うカドミウ
ム活物質の不活性化を充分に抑制でき、優れたサイクル
特性が得られる。
このポリビニルピロリドンは、その重合度が350未満
になると、耐酸化性が悪くなり、分解して炭酸根を生成
する。そして炭酸根の増加は、電解液の導電性低下及び
カドミウムのデンドライトの成長促進等を引き起こし、
電池性能を低下させる。また、重合度が1000より大きく
なると、サイクル特性を低下させる。これに対し、重合
度が350〜1000のポリビニルピロリドンは、耐酸化性及
びサイクル特性の何れにも優れ、これをカドミウム負極
に添加した電池は最良の性能を発揮することが可能であ
る。
尚、多孔性ニッケル焼結基板に硝酸カドミウムなどの
活物質の塩溶液を含浸し、アルカリ処理、水洗、乾燥す
る活物質含浸工程を数回行なって所望量の活物質を基板
中に充填して作製する焼結式極板をカドミウム極とする
場合には、焼結式極板に水を含ませた状態でポリビニル
ピロリドン溶液を含浸すると、水より粘度の高いポリビ
ニルピロリドン水溶液が極板の孔中に浸透し易くなるの
で、極板内部までポリビニルピロリドンが添加でき有効
である。
(ヘ) 実施例 以下に、本発明に関する実験及び実施例と比較例との
対比に言及し、詳述する。
[実験1] ニッケル焼結基板に硝酸カドミウム水溶液を含浸し、
乾燥した後、アルカリ処理するという一連の活物質充填
操作を5回繰り返すことにより、所望の活物質を充填し
た極板を作製した。こうして作製した極板に、夫々水を
含ませた後、種々の重合度のポリビニルピロリドン水溶
液に浸漬し、乾燥することにより、活物質1gに対し、ポ
リビニルピロリドン2mg相当を添加したカドミウム負極
を作製した。
次いで、上述のようにして作製したカドミウム負極
を、夫々焼結式ニッケル正極と組み合わせて、公称容量
1200mAHの電池を作製した。
上記電池を20℃の温度において、400mAの電流で1週
間充電するという過充電試験を行なった。第1図は、こ
の結果を示す図であり、負極に添加したポリビニルピロ
リドンの重合度と、電池内の電解液中の炭酸根量との関
係を示している。
第1図から明らかなように、重合度が350より小さく
なると電解液中の炭酸根量が多くなり、重合度が350以
上では炭酸根量はほぼ一定量に抑えられている。
[実験2] 実験1と同様にして、種々の重合度のポリビニルピロ
リドンを添加し、極板容量が3000mAHのカドミウム負極
を作製した。こうして作製した負極を、同寸法の焼結式
ニッケル極2枚の間にセパレータを介して挟み込み、試
験用電池を得た。
上記電池を、1000mAの電流で4.8時間充電した後、300
0mAの電流で放電し、電池電圧が0.8Vになった時点で放
電する停止するという条件で、充放電を繰り返した。こ
の結果を、第2図に示す。第2図はポリビニルピロリド
ンの重合度と負極の放電容量比との関係を示す図であ
り、放電容量比は1サイクル目の放電容量に対する10サ
イクル目の放電容量で示している。
第2図より、重合度が1000を超えると放電容量比が小
さくなっていくことがわかる。
[実験3] 実験1における所望の活物質を充填した極板に水を含
ませた後、重合度400のポリビニルピロリドン水溶液に
浸漬し、乾燥することにより、活物質1gに対しポリビニ
ルピロリドン2mg相当を添加したカドミウム負極を作製
した。この負極を、焼結式ニッケル正極と組み合わせ
て、公称容量1200mAの電池Xを得た。
また、上記電池Xにおいて、極板に水を含ませず、そ
の他は同様にして電池Yを得た。
上記電池X及びYを、夫々120mAの電流で16時間充電
した後、10Aの電流で放電し、電池電圧が1.0Vになった
時点で放電を停止するという条件で充放電を繰り返し、
サイクル特性を調べた。第3図にこの結果を示す。
第3図より、電池Xは、電池Yより優れたサイクル特
性を示すことがわかる。電池Xは、極板をポリビニルピ
ロリドン水溶液に浸漬する時点で、極板の孔中に水を含
んでおり、水より粘度の高いポリビニルピロリドン水溶
液は水と混ざり孔中に容易に浸透していく。このように
して、極板内部にまでポリビニルピロリドンを添加でき
るため、活物質の不活性化抑制に対し大きな効果が得ら
れているものと考えられる。これに対して、電池Yで
は、極板の孔中は空気であり、ポリビニルピロリドン水
溶液と空気の置換が行われ難く、このためポリビニルピ
ロリドンが極板表面に偏在することにより、極板内部の
活物質に影響を及ぼし難くなっていると考えられる。
次いで、本発明の実施例と、比較例との対比を行な
う。
(実施例) 実験1において、ポリビニルピロリドンの重合度を40
0とし、他は同様にして公称容量1200mAHの本発明電池A
を作製した。また、同様にして、ポリビニルピロリドン
の重合度を800として本発明電池Bを作製した。
(比較例) 実験1においてポリビニルピロリドンの重合度を100
とし、他は同様にして公称容量1200mAHの比較電池Cを
作製し、同様にしてポリビニルピロリドンの重合度を20
00として比較電池Dを作製した。また、実験1において
ポリビニルピロリドンを添加せずにカドミウム負極を作
製し、その他は同様にして比較電池Eを得た。
上記電池A〜Eを、夫々120mAの電流で16時間充電し
た後、10Aの電流で放電し、電池電圧が1.0Vになった時
点で放電を停止するという条件で、充放電を繰り返し、
サイクル特性を調べた。第4図に、この結果を示す。
尚、この試験は、極端なハイレート放電であるので、未
放電の金属カドミウムの蓄積が生じ易く、負極の放電容
量が正極の放電容量より小さくなるいわゆる負極支配に
なり易い。したがって、得られた結果は負極の特性を示
していると言える。
第4図より、本発明電池A及びBは、比較電池C〜E
に比べ優れたサイクル特性を示すことがわかる。比較電
池Cでは、本発明電池とほぼ同等の性能を示している
が、250サイクル付近から劣化がはじまっている。これ
は、重合度100のポリビニルピロリドンの分解により炭
酸根が増加し、電解液の電導度が低下したためと考えら
れる。また比較電池D及びEは、サイクル初期より本発
明電池A及びBより放電容量が劣っている。
以上の実験及び実施例と比較例との対比より、重合度
350〜1000のポリビニルピロリドンをカドミウム負極に
添加することで、最適の電池性能が得られることがわか
る。
(ト) 発明の効果 本発明によれば、カドミウム負極に重合度350〜1000
のポリビニルピロリドンを添加しているので、未放電の
金属カドミウムの蓄積によるカドミウム活物質の不活性
化を抑制でき、サイクル特性に優れたアルカリ蓄電池を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はポリビニルピロリドンの重合度と電解液中の炭
酸根量との関係を示す図、第2図はポリビニルピロリド
ンの重合度と負極の放電容量比との関係を示す図、第3
図及び第4図はサイクル特性図である。 A,B……本発明電池、C,D,E……比較電池。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合度が350〜1000のポリビニルピロリド
    ンを添加したことを特徴とするアルカリ蓄電池用カドミ
    ウム負極。
JP1080138A 1989-02-09 1989-03-29 アルカリ蓄電池用カドミウム負極 Expired - Lifetime JP2686136B2 (ja)

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US07/476,927 US4990414A (en) 1989-02-09 1990-02-08 Cadmium negative electrode for use in an alkaline storage cell and its manufacturing method

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