JP2685778B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP2685778B2 JP63027668A JP2766888A JP2685778B2 JP 2685778 B2 JP2685778 B2 JP 2685778B2 JP 63027668 A JP63027668 A JP 63027668A JP 2766888 A JP2766888 A JP 2766888A JP 2685778 B2 JP2685778 B2 JP 2685778B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明はInxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)の
半導体材料を使用した半導体レーザ装置に関する。
(従来の技術) 近年、GaAs基板上に有機金属を用いた化学気相成長法
(以下、MOCVD法と略記する。)により形成したInxGayA
l1-x-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)を使用した可視半導体
レーザが注目されている。
ところで、半導体レーザの発振しきい値は動作電源の
減少,寿命特性の向上等の観点からも低いことが必要で
ある。レーザ発振のしきい値は、活性層からのキャリア
のもれによって決まり、特に有効質量の小さい電子のp
−クラッド層側へのもれを押えることが重要であると考
えられる。
従来より使用されているGa1-xAlxAs(0≦x≦1)を
使用したレーザ素子では、活性層と、p−クラッド層の
伝導帯におけるバンド不連続を十分に大きくすることが
できる。そして、このバンド不連続が活性層からp−ク
ラッド層への電子のもれを防ぐのに有効に働くため、発
振のしきい値の上昇に対する大きな問題とならなかっ
た。
しかし、本発明にかかるInxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,
0≦y≦1)材料は、従来使用されているGa1-xAlxAs
(0≦x≦1)材料にくらべ、伝導帯側のバンド不連続
が小さいという特徴を持っている。よって、バンド不連
続だけでは電子のp−クラッド側への漏れを十分に防ぐ
ことができず、この系においては有効なキャリアの閉じ
こめは困難であると考えられていた。
(発明が解決しようとする課題) 以上述べたようにInxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,0≦y
≦1)の半導体材料を用いたレーザにおいてはキャリア
の閉じこめが困難であり、レーザ発振のしきい値の低減
が難しい。
本発明は、活性層のキャリア濃度を制御することによ
り、キャリアのもれを防止し、しきい値の低減をはかる
ことを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明者らは研究の結果、InxGayAl1-x-yP(0≦x≦
1,0≦y≦1)材料を用いた半導体レーザのしきい値は
活性層のキャリア濃度によって大きく左右されることを
解明した。
この発明にかかる半導体レーザ装置は、GaAs基板上に
形成されたn型クラッド層,活性層,p型クラッド層から
なり、かつ前記GaAs基板上に略格子整合するように形成
されたInxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)からな
るダブルヘテロ接合構造部を含む半導体レーザ装置にお
いて、活性層の不純物濃度が5×1016cm-3以下であるこ
とを特徴とする。また、前記半導体レーザ装置における
p型クラッド層が、Znを不純物として含み,かつキャリ
ア濃度がZnドーピングによって得られる最大キャリア濃
度の1/2以下に設定されていることを特徴とする。さら
に、前記n型クラッド層が、Siを不純物として含み,か
つキャリア濃度が5×1017cm-3未満に設定されているこ
とを特徴とするものである。
この発明は叙上に基づきダブルヘテロ接合部の活性層
がInxGayAl1-x-yP(0<x<1,0<y≦1)で構成さ
れ、その不純物濃度が5×1016cm-3以下であって、前記
活性層を挟む一方のn型InxGayAl1-x-yP(0<x<1,0
≦y<1)クラッド層の不純物濃度が5×1017cm-3未満
に設定する。また、p型クラッド層がZnを不純物として
含み、かつキャリア濃度がZnドーピングによって得られ
る最大キャリア濃度の1/2以下に設定される。
叙上の如く設定し活性層のキャリア濃度を制御するこ
とにより、レーザ発振のしきい値の低減をはかることが
できた。
(作 用) 以上、説明してきたように、InxGayAl1-x-yP(0≦x
≦1,0≦y≦1)の半導体レーザにおいては、有効なキ
ャリアの閉じこめがむずかしく、発振のしきい値の低減
は困難であると考えられる。しかし、本発明者らの研究
の結果、活性層のキャリア濃度を制御することにより、
前記の問題を回避できることがわかった。これは、以下
に述べるような理由による。
InxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)を用いた半
導体レーザにおいて、活性層をIn0.5Ga0.5Pとし、p−
クラッド層ではAl組成(1−x−y)を十分に大きくす
ると活性層とp−クラッド層のエネルギーギャップは十
分に大きくなる。この場合には、ビルトインポテンシャ
ルがキャリアの障壁として作用することが考えられる。
ビルトインポテンシャルは、活性層とp−クラッド層の
間の空乏層に存在するが、空乏層の位置は活性層とp−
クラッド層の各々のキャリア濃度によって大きく変化す
る。活性層のキャリア濃度がp−クラッド層のキャリア
濃度にくらべ大きくなると、空乏層のほとんどはp−ク
ラッド層中に存在する。このような場合にビルトインポ
テンシャルは、活性層中からp−クラッド層中への電子
のもれを防止するためには有効に働かない。逆に活性層
のキャリア濃度が十分に低い場合には空乏層は活性層中
にほとんど存在し、ビルトインポテンシャルにより電子
が閉じこめられる。このように、活性層のキャリア濃度
が電子のもれに大きく作用し、しきい値に影響を与える
と考えられる。実際に、第1図に示したようにレーザ発
振のしきい値電流は活性層の濃度が5×1016cm-3以上に
なると急激に上昇することがわかった。
(実施例) 以下、本発明の詳細を図示の実施例によって説明す
る。
第2図は本発明の一実施例にかかる半導体レーザの概
略構造を示す断面図である。図中、1はn−GaAs基板で
あり、この基板1上には、層厚0.5μmのn−GaAsバッ
ファ層2,層厚0.6μmのn−In0.5Ga0.15Al0.35P−クラ
ッド層3,層厚0.1μmのIn0.5Ga0.5P活性層4,層厚0.6μ
mのp−In0.5Ga0.15Al0.35P−クラッド層5,層厚0.05
μmのp−In0.5Ga0.5Pキャップ層6が順次積層形成さ
れており、このキャップ層6はその一部ストライプ状部
が層厚1.2μmのp−GaAsコンタクト層8と接し、他の
部分は層厚0.6μmのn−GaAsブロック層7で被覆さ
れ、かつ、このブロック層7上は前記キャップ層6に接
した前記p−GaAsコンタクト層8の連続部で被覆されて
いる。さらに、前記p−GaAsコンタクト層8上には層厚
0.3μmのp+−GaAsコンタクト層9が積層被着されてい
る。
叙上の第2図に示すような構造は、減圧型MOCVD法に
より成長したものである。成長条件としては、基板温度
730℃、反応管内圧力25Torr、成長速度3μm/hである。
成長の手順としては、1〜7までの各層を成長し、スト
ライプ状の溝を形成した後、p−GaAsコンタクト層8と
p+−GaAsコンタクト層9を再成長している。ここで、p
−クラッド層の不純物としてはZnを用い、活性層のキャ
リア濃度はp−クラッドのキャリア濃度を変化させて、
活性層中へのZnの拡散を変化させることにより制御して
いる。n−クラッド層の不純物としてはSiを用いている
が、SiはZnにくらべはるかに拡散係数が小さく、活性層
中へのSiの拡散は無視することができる。つまり、n−
クラッドのキャリア濃度は活性層のキャリア濃度に影響
を与えることはなく、本実施例では活性層のキャリア濃
度はp−クラッド層からのZnの拡散によって決まってい
る。第2図に示した各層のキャリア濃度はバッファ層が
5×1017cm-3,n−クラッド層が1×1017〜1×1018c
m-3,p−クラッド層が5×1016〜5×1017cm-3,キャッブ
層が7×1017cm-3,ブロック層が4×1018cm-3,p−コン
タクト層が2×1018cm-3,p+−コンタクト層が1×1019c
m-3である。ここで、キャリア濃度はC−V法により測
定を行っている。
第1図に活性層のキャリア濃度とレーザ発振のしきい
値電流との関係を示す。ここで、n−クラッド層のキャ
リア濃度は4×1017cm-3,レーザのストライプ幅は7μ
m、共振器長は300μmとした。活性層のキャリア濃度
が5×1016cm-3以下のときは、しきい値電流が50mA以下
となった。尚、実験ではキャリア濃度が5×1015cm-3
ではしきい値電流が低減することが確認された。また、
これらの素子は40℃,3mWにおいて1000時間以上にわたり
安定に動作した。しかし、活性層のキャリア濃度が5×
1016cm-3を越えるとしきい値は急激に上昇し、100mAを
はかるにこえる値となった。これらの結果から、活性層
のキャリア濃度により、キャリアのもれが大きく作用さ
れ、レーザのしきい値に多大な影響を与えることが明確
になった。よって、しきい値を低減し、長寿命,高信頼
性を有するInxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)の
レーザデバイスを作製するためには活性層のキャリア濃
度を5×1016cm-3以下にすることが非常に重要であるこ
とがわかる。
次に活性層のキャリア濃度の制御方法について述べ
る。第3図にIn0.5Ga0.15Al0.35PのZnのドーピング特
性を示す。ドーピングソースとしては、ジメチル亜鉛
(以下DMZと略称)を使用している。DMZの供給量(III
族原料のモル流量とDMZのモル流量の比)が1以下の場
合には、供給量に比例してキャリア濃度が増加するが1
をこえるとキャリア濃度は5×1017cm-3で飽和する。こ
のようにドーピングカーブが飽和し始めるDMZ供給量よ
り多い量のDMZを供給する条件でp−クラッド層のドー
ピングを行うと、成長中に活性層へのZnの拡散が急激に
起こり、活性層のキャリア濃度は1×1017cm-3以上とな
った。
ドーピングカーブがDMZの供給量に対してリニアな所
ではZnの拡散が小さく、p−クラッドのキャリア濃度を
最大キャリア濃度の半分以下にするとZnの拡散がほとん
どおこらず活性層のキャリア濃度は1×1016cm-3以下と
なった。実際に、n−クラッド層のキャリア濃度を4×
1017cm-3,p−クラッド層のキャリア濃度を2×1017cm-3
(飽和濃度の約2/5)以下としたとき活性層のキャリア
濃度は1×1016cm-3以下となり、このときのレーザ発振
のしきい値は45mAであった。(ストライプ幅は7μm,共
振器長は300μmとした。活性層のキャリア濃度は5×1
016cm-3以下であればしきい値は50mAとなるが、良好な
信頼性及び再現性を得るためには1×1016cm-3以下であ
ることが望ましい。以上の結果により、p−クラッド層
のドーパントとしてZnを用いた場合には、キャリア濃度
をZnドーピングによって得られる最大濃度の半分以下、
すなわち2.5×1017cm-3以下にすることにより、活性層
へのZnの拡散を抑制することができ、レーザ発振しきい
値の低減をはかることができる。
これまで述べたように、InxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,
0≦y≦1)材料を用いた半導体レーザ装置において、
活性層のキャリア濃度を5×1016cm-3以下に制御するこ
とがしきい値を低減するためには非常に重要である。さ
らに、本発明者らによる系統的な実験結果より、n−ク
ラッド層のキャリア濃度が上記の半導体レーザ装置の信
頼性に多大な影響を与えていることがわかった。第4図
に40℃3mWのレーザの通電試験における通電時間と動作
電流の関係を示す。ここで、p−クラッド層のキャリア
濃度は2×1017cm-3、活性層のキャリア濃度は1×1016
以下であり、レーザのストライプ幅は7μm、共振器長
は300μmとした。n−クラッド層のキャリア濃度が5
×1017cm-3をこえると、初期の通電によって急激に動作
電流が上昇し、安定な連続発振は不可能になった。しか
し、n−クラッド層のキャリア濃度が5×1017cm-3未満
であれば、動作電流はほぼ70mAで安定しており、これら
の素子は1000時間以上にわたり安定に動作した。よっ
て、InxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)材料を用
いた半導体レーザ装置において、p−クラッド層の不純
物としてZnを用いキャリア濃度をZnドーピングによって
得られる最大キャリア濃度の半分以下(2.5×1017cm-3
以下)とし、n−クラッド側の不純物としてSiを用いキ
ャリア濃度を5×1017cm-3未満とすれば、低しきい値で
高信頼な可視レーザを提供できることがわかった。
〔発明の効果〕
以上、説明したように本発明によれば、InxGayAl
1-x-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)材料を用いたダブルヘ
テロ接合部を有し、このダブルヘテロ接合部の活性層が
InxGayAl1-x-yP(0<x<1,0<y≦1)で構成され、
その不純物濃度が5×1016cm-3以下であって、前記活性
層を挟む一方のn型InxGayAl1-x-yP(0<x<1,0≦y
<1)クラッド層の不純物濃度が5×1017cm-3未満とす
ることにより、レーザの発振のしきい値を低減すること
ができる。さらに、n−クラッドのキャリア濃度を5×
1017cm-3未満にすることにより、長寿命,高信頼性を有
する半導体レーザ装置を実現することが可能となり、本
発明の有用性は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は活性層のキャリア濃度とレーザ発振のしきい値
の関係を示す特性図,第2図は本発明の一実施例に係る
半導体レーザ装置の概略を示す断面図,第3図はDMZ供
給量とキャリア濃度の関係を示す特性図,第4図は通電
時間と動作電流の関係を示す特性図である。 1……n−GaAs基板、 2……n−GaAsバッファ層、 3……n−InGaAlPクラッド層、 4……InGaP活性層、 5……p−InGaAlPクラッド層、 6……p−InGaPキャップ層、 7……n−GaAsブロック層、 8……p−GaASコンタクト層、 9……p+−GaAsコンタクト層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 正行 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式 会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭51−54384(JP,A) 特開 昭56−38884(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GaAs基板上にInxGayAl1-x-yP(0≦x≦1,
    0≦y≦1)からなるダブルヘテロ接合部を有し、この
    ダブルヘテロ接合部の活性層がInxGayAl1-x-yP(0<x
    <1,0<y≦1)で構成され、その不純物濃度が5×10
    16cm-3以下であって、前記活性層を挟む一方のn型InxG
    ayAl1-x-yP(0<x<1,0≦y<1)クラッド層の不純
    物濃度が5×1017cm-3未満であることを特徴とする半導
    体レーザ装置。
  2. 【請求項2】p型クラッド層が、Znを不純物として含
    み、かつキャリア濃度がZnドーピングによって得られる
    最大キャリア濃度の1/2以下に設定されていることを特
    徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
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