JP2847702B2 - 半導体レーザ - Google Patents
半導体レーザInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、半導体レーザ、特にAlGaInP系の短波長半
導体レーザに関する。 〔発明の概要〕 本発明は、AlGaInP系の半導体レーザにおいて、p形
クラッド層のキャリア濃度を活性層に接する領域部分で
低濃度にすることによって、特性温度等の静特性と寿命
特性の双方を同時に向上できるようにしたものである。 〔従来の技術〕 AlGaInP形半導体レーザは実用的な600nm帯可視光半導
体レーザとして近年注目を集めている。このAlGaInP系
半導体レーザでは活性層に(AlyGa1-y)0.5In0.5P(0≦
y<1)を用い、クラッド層に活性層よりバンドギャッ
プの広い(AlxGa1-x)0.5In0.5P(0<x≦1)を用いて
構成される。 第7図は従来のAlGaInP系のダブルヘテロ(DH)構造
半導体レーザの一例を示す。この半導体レーザ(1)は
n−GaAs基板(2)上にMOCVD(有機金属気相成長)法
によりn−(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層(3)、
アンドープGa0.5In0.5P活性層(4)、p−(Al0.5G0.5)
0.5In0.5Pクラッド層(5)及びp−GaAsキャップ層
(6)を順次成長せしめ、次にキャップ層(6)の中央
部をストライプ状に残してp−AlGaInPクラッド層
(5)に達するように所要のイオンを注入してイオン注
入高抵抗層(7)を形成して構成される。(8)及び
(9)は夫々n−GaAs基板(2)の裏面及びキャップ層
(7)表面に形成した電極を示す。 第8図はかかるDH半導体レーザ(1)における不純物
ドーピング量即ちキャリア濃度の概略を示す。n−(Al
0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層(3)は約1.5μm厚で
キャリア濃度(n)が5×1017cm-3程度、p−(Al0.5G
0.5)0.5In0.5Pクラッド層(5)は約1.5μm厚でキャリ
ア濃度(P2)が1×1018cm-3程度、アンドープGa0.5In
0.5P活性層(4)の厚さは0.1μm程度である。n形ド
ーパントはH2Se、p形ドーパントはジメチル亜鉛(DM
Z)である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上述した従来のAlGaInP形半導体レーザ(1)におい
て、p形クラッド層(5)はキャリア移動度が小さく、
10〜20cm2/V・sec程度であるため低抵抗化を図るために
キャリア濃度を1×1018cm-3程度の高濃度のものを用い
ていた。このレーザでは閾値電流の温度依存が少なく即
ちIth∝exp(T/T0)(但し、Ithは閾値電流,TはCW動作
でのヒートシンクの温度、T0は特性温度)で表わされる
特性温度T0に関して150K前後と良好であったが、寿命が
非常に短く、実用に供することができない状況にあっ
た。 本発明は、上述の点に鑑み、特性温度T0や直列抵抗等
の静特性と、寿命特性の両者を同時に向上せしめた高信
頼性のある可視光半導体レーザを提供するものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者達は、寿命特性のよい高信頼性のあるAlGaIn
P系半導体レーザを得るにはダブルヘテロ構造における
p形クラッド層のドーパント(例えばZn)の量を出来る
だけ下げた方が良い事を見出した。この点を第3図乃至
第5図を用いて説明する。第3図の曲線(I)はMOCVD
法によって成長させたときのZnドープのp−(Al
0.5G0.5)0.5In0.5Pの正孔濃度と成長時に供給するp形
ドーパント原料DMZの流量との関係を示すものである。D
MZの低流量域では流量に比例して正孔濃度は増加する
が、6×1017cm-3程度から濃度の飽和傾向が見られる。
なお飽和しはじめるキャリア濃度はAl組成xの値によっ
て異なるが飽和が始まるDMZ流量はいずれも同じであ
る。第3図の曲線(II)はp−(Al0.5G0.5)0.5In0.5P層
中のSIMS(Secondary Ion Mass Spectro−metry)によ
り測定したZn濃度のDMZ流量依存性を示すものである。Z
n濃度はDMZの高流域でも飽和傾向を示さないことが認め
られる。 第4図はp−(Al0.5G0.5)0.5In0.5P層の室温(300k)
でのフォトルミネツセンスのバンド端付近の発光ピーク
強度の正孔濃度依存性を示したものである。上述の第2
図曲線(I)で見られた正孔濃度の飽和領域では発光ピ
ーク強度が急激に減少しており、結晶性が低下している
ことを示している。これは過剰なZn原子に関与した欠陥
で形成されているためと考えられる。実際のAlGaInP系
半導体レーザにおいて、活性層近傍のクラッド層中に、
その様な欠陥が存在すると光の吸収センターとなり、キ
ャリアの非発光再結合が起こり、それによって欠陥が増
殖することが考えられる。クラッド層中に生成された欠
陥において注入キャリアはトラップされ、活性層へのキ
ャリアの注入効率の低下を招き、閾値電流Ithは上昇す
る。また欠陥が電界、光などにより活性層内へ移動する
ことが起きても、発光効率の低下となり閾値電流Ithの
上昇がおき、劣化することが考えられる。そこで、(AxG
a1-x)0.5In0.5P(0<x≦1)系のp形クラッド層の正
孔濃度を結晶性の低下が起こらない低濃度にすれば、劣
化を引き起こす欠陥の形成が抑えられ寿命特性が上が
る。この正孔濃度は(AlxGa1-x)0.5In0.5P(0<x≦
1)系のp系クラッド層において、Al組成xに関係する
ものであり、Al組成xが0.5の場合には第4図から正孔
濃度は5×1017cm-3以下が好ましい。またAl組成xが0.
5より小さい場合、例えば実用限界である0.4の場合には
正孔濃度は6×1017cm-3以下が好ましい。またAl組成x
が0.5よりも大きくなるとZnのアクセプターレベルが深
くなる関係上、正孔濃度をより低濃度によする必要があ
り、例えばAl組成が1.0の場合、正孔濃度は2×1017cm
-3以下が好ましい。第5図はAlGaInP系DH半導体レーザ
の50℃寿命試験における平均寿命のp形(AlxGa1-x)0.5I
n0.5Pクラッド層成長時のDMZ流量依存性を示すものであ
る。同図中、(a)はp形クラッド層のAl組成xが0.5
の場合、(b)(c)(d)はAl組成xが0.7の場合で
ある。この図から明らかようにDMZ流量を下げることに
よって寿命は飛躍的に上昇し、同図(a)の場合には50
00時間程度の寿命が得られる。 一方、AlGaInP系半導体レーザにおいて、p形クラッ
ド層は比抵抗が高く素子の直列抵抗を下げるためにはキ
ャリア濃度を出来るだけ高くした方がよい。また、本発
明者達はレーザ素子の特性温度T0がp形クラッド層のキ
ャリア濃度に強く依存する現象を見出した。第6図は(A
lxGa1-x)0.5In0.5P/Ga0.5In0.5PDH半導体レーザのp形
クラッド層の正孔濃度に対する半導体レーザ素子の連続
発振(CW)でのT0の関係を示すグラフである。同図中、
符号(III)はp形クラッド層のAl組成xが0.5の場合、
符号(IV)はp形クラッド層のAl組成がxか0.7の場合
である。この第6図から閾値電流Ithの温度依存性が少
なく高温で安定に動作するレーザ素子即ち特性温度T0が
高いレーザ素子を得るには寿命特性とは反対にp形クラ
ッド層のキャリア濃度を出来るだけ高くしなければなら
ない。 しかして、本発明は、特性温度T0、直列抵抗等の静特
性と寿命特性とを両立させるため、AlGaInP系の半導体
レーザにおいて、p形クラッド層のキャリア濃度を、活
性層に接する領域部分、即ち活性層から所定距離dまで
の領域部分で低濃度p1(p1≦6×1017cm-3)にし、所定
距離d以後の残りの領域部分で高濃度p2に設定して構成
する。 距離dとしては、300Å〜2000Å程度、好ましくは500
Å〜1000Åがよい。距離dが300Åより小さいと寿命が
悪くなり、2000Åより大きくなると高濃度領域の効果が
なくT0等の静特性が悪化する。 〔作用〕 前述した様にレーザ素子の寿命特性の劣化機構は活性
層に隣接した極く近傍でのp形クラッド層内のキャリア
濃度即ちドーパント量による結晶性の変化に強関連す
る。他方、特性温度T0や直列抵抗はP形クラッド層全体
のキャリア濃度に強く依存する。 本発明では、p形クラッド層において活性層に隣接し
た極く近傍即ち300Å〜2000Å程度の距離dの領域部分
のキャリア濃度を結晶性の低下がおこらない低濃度p
1(p1≦6×1017cm-3)となし、距離d以外の残りの領
域部分のキャリア濃度を高濃度p2に設定することによ
り、寿命特性が向上し、同時に特性温度T0、直列抵抗等
の静特性が向上する。 〔実施例〕 以下、図面を参照して本発明による半導体レーザの実
施例を説明する。 本例の半導体レーザ(12)は第1図に示すように基本
的な構造としては前述の第7図と同様であるが、特にp
形クラッド層(11)の正孔濃度を第2図に示すように設
定する即ち、本例においては、n−GaAs基板(2)上に
MOCVD法によりn−(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層
(3)、アンドープGa0.5In0.5P活性層(4)、Znのド
ープ量即ち正孔濃度を低濃度p1とし活性層から距離dだ
け隔てた後にZnのドープ量を上げ正孔濃度を高濃度p2と
して(第2図参照)2段階の正孔濃度分布を有したp−
(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層(11)及びp−GaAs
キャップ層(6)を順次成長せしめ、次にキャップ層
(6)の中央部をストライプ状に残してp−AlGaInPク
ラッド層(11)に達するように所要のイオンを注入して
イオン注入高抵抗層(7)を形成して半導体レーザ(1
2)を構成する。(8)及び(9)は夫々n−GaAs基板
(1)の裏面及びキャップ層(6)の表面に形成した電
極を示す。n−(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層
(3)は約1.5μm厚でキャリア濃度(n)が5×1017c
m-3程度、アンドープGa0.5In0.5P活性層(4)の厚さは
0.1μm程度、p−(Al0.5G0.5)0.5In0.5Pクラッド層(1
1)の厚さは約1.5μmである。n形ドーパントはH2Se、
p形ドーパントはジメチル亜鉛(DMZ)である。 そして、本実施例では特にp形クラッド層(11)にお
いて第2図に示す低濃度p1を長寿命が得られる1×1017
cm-3程度にし、高濃度p2を1×1018cm-3程度に設定す
る。低濃度p1の領域部分の距離dは500〜1000Å程度に
設定する。この範囲は寿命と特性温度T0の両立を達成で
きる好ましい範囲であることを実験的に見出した。 斯る構成によれば、特性温度T0や直列抵抗等の静特性
が従来と同程度の値を保ちつつ、50℃で5000時間以上安
定に動作する高信頼性の可視光半導体レーザを得ること
ができた。 尚、寿命特性に影響するp形クラッド層(11)の低濃
度領域のキャリア濃度p1は前述したようにAl組成xに関
係するもので、例えばAl組成xが0.4であれば、キャリ
ア濃度p1が6×1017cm-3以下が好ましく、Al組成xが0.
5であればキャリア濃度p1は5×1017cm-3以下が好まし
く、Al組成xが1.0であればキャリア濃度p1は2×1017c
m-3以下が好ましい。また、静特性に影響するp形クラ
ッド層(11)の高濃度領域のキャリア濃度p2は高いほど
好ましい。例えば、Al組成xが0.5であれば、p2は1×1
018cm-3以上とするを可とする。 又、上例ではp形ドーパントとしてZnを用いたが、そ
の他Mgを用いた場合にも、同様に本発明を適用すること
ができる。 〔発明の効果〕 本発明によれば、AlGaInP系半導体レーザにおいて、
p形クラッド層のキャリア濃度を活性層に接する領域部
分で結晶性が低下しない低濃度に設定し、この低濃度に
設定する領域部分の厚さを300Å〜2000Å程度、キャリ
ア濃度を6×1017cm-3以下とすることにより、レーザ素
子における特性温度T0、直列抵抗等の静特性の向上と、
長寿命化の両立を達成することができる。従って高温で
長時間動作する高信頼性のある半導体レーザを提供する
ことができる。
導体レーザに関する。 〔発明の概要〕 本発明は、AlGaInP系の半導体レーザにおいて、p形
クラッド層のキャリア濃度を活性層に接する領域部分で
低濃度にすることによって、特性温度等の静特性と寿命
特性の双方を同時に向上できるようにしたものである。 〔従来の技術〕 AlGaInP形半導体レーザは実用的な600nm帯可視光半導
体レーザとして近年注目を集めている。このAlGaInP系
半導体レーザでは活性層に(AlyGa1-y)0.5In0.5P(0≦
y<1)を用い、クラッド層に活性層よりバンドギャッ
プの広い(AlxGa1-x)0.5In0.5P(0<x≦1)を用いて
構成される。 第7図は従来のAlGaInP系のダブルヘテロ(DH)構造
半導体レーザの一例を示す。この半導体レーザ(1)は
n−GaAs基板(2)上にMOCVD(有機金属気相成長)法
によりn−(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層(3)、
アンドープGa0.5In0.5P活性層(4)、p−(Al0.5G0.5)
0.5In0.5Pクラッド層(5)及びp−GaAsキャップ層
(6)を順次成長せしめ、次にキャップ層(6)の中央
部をストライプ状に残してp−AlGaInPクラッド層
(5)に達するように所要のイオンを注入してイオン注
入高抵抗層(7)を形成して構成される。(8)及び
(9)は夫々n−GaAs基板(2)の裏面及びキャップ層
(7)表面に形成した電極を示す。 第8図はかかるDH半導体レーザ(1)における不純物
ドーピング量即ちキャリア濃度の概略を示す。n−(Al
0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層(3)は約1.5μm厚で
キャリア濃度(n)が5×1017cm-3程度、p−(Al0.5G
0.5)0.5In0.5Pクラッド層(5)は約1.5μm厚でキャリ
ア濃度(P2)が1×1018cm-3程度、アンドープGa0.5In
0.5P活性層(4)の厚さは0.1μm程度である。n形ド
ーパントはH2Se、p形ドーパントはジメチル亜鉛(DM
Z)である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上述した従来のAlGaInP形半導体レーザ(1)におい
て、p形クラッド層(5)はキャリア移動度が小さく、
10〜20cm2/V・sec程度であるため低抵抗化を図るために
キャリア濃度を1×1018cm-3程度の高濃度のものを用い
ていた。このレーザでは閾値電流の温度依存が少なく即
ちIth∝exp(T/T0)(但し、Ithは閾値電流,TはCW動作
でのヒートシンクの温度、T0は特性温度)で表わされる
特性温度T0に関して150K前後と良好であったが、寿命が
非常に短く、実用に供することができない状況にあっ
た。 本発明は、上述の点に鑑み、特性温度T0や直列抵抗等
の静特性と、寿命特性の両者を同時に向上せしめた高信
頼性のある可視光半導体レーザを提供するものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者達は、寿命特性のよい高信頼性のあるAlGaIn
P系半導体レーザを得るにはダブルヘテロ構造における
p形クラッド層のドーパント(例えばZn)の量を出来る
だけ下げた方が良い事を見出した。この点を第3図乃至
第5図を用いて説明する。第3図の曲線(I)はMOCVD
法によって成長させたときのZnドープのp−(Al
0.5G0.5)0.5In0.5Pの正孔濃度と成長時に供給するp形
ドーパント原料DMZの流量との関係を示すものである。D
MZの低流量域では流量に比例して正孔濃度は増加する
が、6×1017cm-3程度から濃度の飽和傾向が見られる。
なお飽和しはじめるキャリア濃度はAl組成xの値によっ
て異なるが飽和が始まるDMZ流量はいずれも同じであ
る。第3図の曲線(II)はp−(Al0.5G0.5)0.5In0.5P層
中のSIMS(Secondary Ion Mass Spectro−metry)によ
り測定したZn濃度のDMZ流量依存性を示すものである。Z
n濃度はDMZの高流域でも飽和傾向を示さないことが認め
られる。 第4図はp−(Al0.5G0.5)0.5In0.5P層の室温(300k)
でのフォトルミネツセンスのバンド端付近の発光ピーク
強度の正孔濃度依存性を示したものである。上述の第2
図曲線(I)で見られた正孔濃度の飽和領域では発光ピ
ーク強度が急激に減少しており、結晶性が低下している
ことを示している。これは過剰なZn原子に関与した欠陥
で形成されているためと考えられる。実際のAlGaInP系
半導体レーザにおいて、活性層近傍のクラッド層中に、
その様な欠陥が存在すると光の吸収センターとなり、キ
ャリアの非発光再結合が起こり、それによって欠陥が増
殖することが考えられる。クラッド層中に生成された欠
陥において注入キャリアはトラップされ、活性層へのキ
ャリアの注入効率の低下を招き、閾値電流Ithは上昇す
る。また欠陥が電界、光などにより活性層内へ移動する
ことが起きても、発光効率の低下となり閾値電流Ithの
上昇がおき、劣化することが考えられる。そこで、(AxG
a1-x)0.5In0.5P(0<x≦1)系のp形クラッド層の正
孔濃度を結晶性の低下が起こらない低濃度にすれば、劣
化を引き起こす欠陥の形成が抑えられ寿命特性が上が
る。この正孔濃度は(AlxGa1-x)0.5In0.5P(0<x≦
1)系のp系クラッド層において、Al組成xに関係する
ものであり、Al組成xが0.5の場合には第4図から正孔
濃度は5×1017cm-3以下が好ましい。またAl組成xが0.
5より小さい場合、例えば実用限界である0.4の場合には
正孔濃度は6×1017cm-3以下が好ましい。またAl組成x
が0.5よりも大きくなるとZnのアクセプターレベルが深
くなる関係上、正孔濃度をより低濃度によする必要があ
り、例えばAl組成が1.0の場合、正孔濃度は2×1017cm
-3以下が好ましい。第5図はAlGaInP系DH半導体レーザ
の50℃寿命試験における平均寿命のp形(AlxGa1-x)0.5I
n0.5Pクラッド層成長時のDMZ流量依存性を示すものであ
る。同図中、(a)はp形クラッド層のAl組成xが0.5
の場合、(b)(c)(d)はAl組成xが0.7の場合で
ある。この図から明らかようにDMZ流量を下げることに
よって寿命は飛躍的に上昇し、同図(a)の場合には50
00時間程度の寿命が得られる。 一方、AlGaInP系半導体レーザにおいて、p形クラッ
ド層は比抵抗が高く素子の直列抵抗を下げるためにはキ
ャリア濃度を出来るだけ高くした方がよい。また、本発
明者達はレーザ素子の特性温度T0がp形クラッド層のキ
ャリア濃度に強く依存する現象を見出した。第6図は(A
lxGa1-x)0.5In0.5P/Ga0.5In0.5PDH半導体レーザのp形
クラッド層の正孔濃度に対する半導体レーザ素子の連続
発振(CW)でのT0の関係を示すグラフである。同図中、
符号(III)はp形クラッド層のAl組成xが0.5の場合、
符号(IV)はp形クラッド層のAl組成がxか0.7の場合
である。この第6図から閾値電流Ithの温度依存性が少
なく高温で安定に動作するレーザ素子即ち特性温度T0が
高いレーザ素子を得るには寿命特性とは反対にp形クラ
ッド層のキャリア濃度を出来るだけ高くしなければなら
ない。 しかして、本発明は、特性温度T0、直列抵抗等の静特
性と寿命特性とを両立させるため、AlGaInP系の半導体
レーザにおいて、p形クラッド層のキャリア濃度を、活
性層に接する領域部分、即ち活性層から所定距離dまで
の領域部分で低濃度p1(p1≦6×1017cm-3)にし、所定
距離d以後の残りの領域部分で高濃度p2に設定して構成
する。 距離dとしては、300Å〜2000Å程度、好ましくは500
Å〜1000Åがよい。距離dが300Åより小さいと寿命が
悪くなり、2000Åより大きくなると高濃度領域の効果が
なくT0等の静特性が悪化する。 〔作用〕 前述した様にレーザ素子の寿命特性の劣化機構は活性
層に隣接した極く近傍でのp形クラッド層内のキャリア
濃度即ちドーパント量による結晶性の変化に強関連す
る。他方、特性温度T0や直列抵抗はP形クラッド層全体
のキャリア濃度に強く依存する。 本発明では、p形クラッド層において活性層に隣接し
た極く近傍即ち300Å〜2000Å程度の距離dの領域部分
のキャリア濃度を結晶性の低下がおこらない低濃度p
1(p1≦6×1017cm-3)となし、距離d以外の残りの領
域部分のキャリア濃度を高濃度p2に設定することによ
り、寿命特性が向上し、同時に特性温度T0、直列抵抗等
の静特性が向上する。 〔実施例〕 以下、図面を参照して本発明による半導体レーザの実
施例を説明する。 本例の半導体レーザ(12)は第1図に示すように基本
的な構造としては前述の第7図と同様であるが、特にp
形クラッド層(11)の正孔濃度を第2図に示すように設
定する即ち、本例においては、n−GaAs基板(2)上に
MOCVD法によりn−(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層
(3)、アンドープGa0.5In0.5P活性層(4)、Znのド
ープ量即ち正孔濃度を低濃度p1とし活性層から距離dだ
け隔てた後にZnのドープ量を上げ正孔濃度を高濃度p2と
して(第2図参照)2段階の正孔濃度分布を有したp−
(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層(11)及びp−GaAs
キャップ層(6)を順次成長せしめ、次にキャップ層
(6)の中央部をストライプ状に残してp−AlGaInPク
ラッド層(11)に達するように所要のイオンを注入して
イオン注入高抵抗層(7)を形成して半導体レーザ(1
2)を構成する。(8)及び(9)は夫々n−GaAs基板
(1)の裏面及びキャップ層(6)の表面に形成した電
極を示す。n−(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pクラッド層
(3)は約1.5μm厚でキャリア濃度(n)が5×1017c
m-3程度、アンドープGa0.5In0.5P活性層(4)の厚さは
0.1μm程度、p−(Al0.5G0.5)0.5In0.5Pクラッド層(1
1)の厚さは約1.5μmである。n形ドーパントはH2Se、
p形ドーパントはジメチル亜鉛(DMZ)である。 そして、本実施例では特にp形クラッド層(11)にお
いて第2図に示す低濃度p1を長寿命が得られる1×1017
cm-3程度にし、高濃度p2を1×1018cm-3程度に設定す
る。低濃度p1の領域部分の距離dは500〜1000Å程度に
設定する。この範囲は寿命と特性温度T0の両立を達成で
きる好ましい範囲であることを実験的に見出した。 斯る構成によれば、特性温度T0や直列抵抗等の静特性
が従来と同程度の値を保ちつつ、50℃で5000時間以上安
定に動作する高信頼性の可視光半導体レーザを得ること
ができた。 尚、寿命特性に影響するp形クラッド層(11)の低濃
度領域のキャリア濃度p1は前述したようにAl組成xに関
係するもので、例えばAl組成xが0.4であれば、キャリ
ア濃度p1が6×1017cm-3以下が好ましく、Al組成xが0.
5であればキャリア濃度p1は5×1017cm-3以下が好まし
く、Al組成xが1.0であればキャリア濃度p1は2×1017c
m-3以下が好ましい。また、静特性に影響するp形クラ
ッド層(11)の高濃度領域のキャリア濃度p2は高いほど
好ましい。例えば、Al組成xが0.5であれば、p2は1×1
018cm-3以上とするを可とする。 又、上例ではp形ドーパントとしてZnを用いたが、そ
の他Mgを用いた場合にも、同様に本発明を適用すること
ができる。 〔発明の効果〕 本発明によれば、AlGaInP系半導体レーザにおいて、
p形クラッド層のキャリア濃度を活性層に接する領域部
分で結晶性が低下しない低濃度に設定し、この低濃度に
設定する領域部分の厚さを300Å〜2000Å程度、キャリ
ア濃度を6×1017cm-3以下とすることにより、レーザ素
子における特性温度T0、直列抵抗等の静特性の向上と、
長寿命化の両立を達成することができる。従って高温で
長時間動作する高信頼性のある半導体レーザを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による半導体レーザの一例を示す構成
図、第2図はそのダブルヘテロ構造のキャリア濃度分布
図、第3図は(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P層の正孔濃度及びZ
n濃度のDMZ流量依存性を示すグラフ、第4図は(Al0.5Ga
0.5)0.5In0.5P層の室温でのフォトルミネッセンスのバ
ンド端付近の発光ピーク強度の正孔濃度依存性を示すグ
ラフ、第5図はAlGaInP系DH半導体レーザの50℃寿命試
験における平均寿命のp形クラッド層成長時のDMZ流量
依存性を示すグラフ、第6図は(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P
/Ga0.5In0.5PDH半導体レーザのp形クラッド層の正孔
濃度に対する素子の特性温度T0の関係を示すグラフ、第
7図は従来の半導体レーザの構成図、第8図はそのダブ
ルヘテロ構造のキャリア濃度分布図である。 (2)はn−GaAs基板、(3)はn形クラッド層、
(4)は活性層、(5)(11)はp形クラッド層、
(6)はキャップ層、(7)はイオン注入高抵抗層、
(8)(9)は電極である。
図、第2図はそのダブルヘテロ構造のキャリア濃度分布
図、第3図は(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P層の正孔濃度及びZ
n濃度のDMZ流量依存性を示すグラフ、第4図は(Al0.5Ga
0.5)0.5In0.5P層の室温でのフォトルミネッセンスのバ
ンド端付近の発光ピーク強度の正孔濃度依存性を示すグ
ラフ、第5図はAlGaInP系DH半導体レーザの50℃寿命試
験における平均寿命のp形クラッド層成長時のDMZ流量
依存性を示すグラフ、第6図は(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P
/Ga0.5In0.5PDH半導体レーザのp形クラッド層の正孔
濃度に対する素子の特性温度T0の関係を示すグラフ、第
7図は従来の半導体レーザの構成図、第8図はそのダブ
ルヘテロ構造のキャリア濃度分布図である。 (2)はn−GaAs基板、(3)はn形クラッド層、
(4)は活性層、(5)(11)はp形クラッド層、
(6)はキャップ層、(7)はイオン注入高抵抗層、
(8)(9)は電極である。
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭63−43387(JP,A)
特開 昭64−82587(JP,A)
特開 昭63−17586(JP,A)
特開 昭63−245987(JP,A)
特開 平1−145882(JP,A)
Journal of Crysta
l Growth 77(1986)P.374
−379
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
H01S 3/18
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.AlGaInP系の半導体レーザであって、 p形クラッド層のキャリア濃度が、活性層に接する領域
で低濃度に設定された層を有し、 上記低濃度に設定された層の厚さは300Å〜2000Å程度
であり、 上記低濃度に設定された層のキャリア濃度は6×1017cm
-3以下であることを特徴とする半導体レーザ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62332386A JP2847702B2 (ja) | 1987-12-29 | 1987-12-29 | 半導体レーザ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62332386A JP2847702B2 (ja) | 1987-12-29 | 1987-12-29 | 半導体レーザ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01175279A JPH01175279A (ja) | 1989-07-11 |
JP2847702B2 true JP2847702B2 (ja) | 1999-01-20 |
Family
ID=18254387
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62332386A Expired - Lifetime JP2847702B2 (ja) | 1987-12-29 | 1987-12-29 | 半導体レーザ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2847702B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01189188A (ja) * | 1988-01-25 | 1989-07-28 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体レーザ素子 |
JPH0449691A (ja) * | 1990-06-18 | 1992-02-19 | Mitsubishi Electric Corp | 可視光レーザダイオード |
JPH05291686A (ja) * | 1992-04-14 | 1993-11-05 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 半導体レーザ |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2555282B2 (ja) * | 1986-08-08 | 1996-11-20 | 株式会社東芝 | 半導体レ−ザ装置及びその製造方法 |
JPS6482587A (en) * | 1987-09-25 | 1989-03-28 | Sumitomo Electric Industries | Quantum well type semiconductor laser |
-
1987
- 1987-12-29 JP JP62332386A patent/JP2847702B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Journal of Crystal Growth 77(1986)P.374−379 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01175279A (ja) | 1989-07-11 |
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