JP2685731B2 - エチレンスルフィドの脱水方法 - Google Patents

エチレンスルフィドの脱水方法

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JP2685731B2 JP8563795A JP8563795A JP2685731B2 JP 2685731 B2 JP2685731 B2 JP 2685731B2 JP 8563795 A JP8563795 A JP 8563795A JP 8563795 A JP8563795 A JP 8563795A JP 2685731 B2 JP2685731 B2 JP 2685731B2
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水分を含有するエチレ
ンスルフィド(硫化エチレン)から、該エチレンスルフ
ィドの重合を抑制しながら水分を除去する脱水方法に関
するものである。エチレンスルフィドは反応性に優れて
おり、医薬品、農薬、各種工業薬品、含硫黄ポリマー等
の原料として広範囲に用いられている有用な化合物であ
る。
【0002】
【従来の技術】エチレンスルフィドは、比重がほぼ1で
沸点が55℃の油状の化合物であり、公知の文献および本
願発明者等の知見を要約すると、以下に示すような性質
を備えている。即ち、水と混合しない。水と共沸す
る。常圧下での共沸温度は約51℃であり、共沸組成物
は、エチレンスルフィド:水が重量比で凡そ95:5であ
る。液体の状態で水と接触すると、次第に重合する。
つまり、水との直接接触に対して不安定である。そし
て、生成する重合物は、融点の高い白色の固形物とな
る。メルカプタン類と穏やかに反応して、開環付加物
を生成する。
【0003】従来より、エチレンスルフィドを合成する
方法は、例えば、米国特許 3,687,976号、米国特許 3,6
22,597号、英国特許 1,135,800号、オランダ特許 7,00
1,172号、オランダ特許 6,512,117号、J.Chem.Soc. (Se
ct C) 1252 (1969)等に開示されている。また、エチレ
ンスルフィドを工業的に製造する方法としては、2-メル
カプトエタノールを気相で接触脱水(分子内脱水)する
方法が提案されており、特開平5-202027号公報には、該
脱水反応に有用な触媒が開示されている。そして、特開
平5-339257号公報には、上記脱水反応で得られるエチレ
ンスルフィドを疎水性有機化合物を用いて捕集する捕集
方法が開示されている。
【0004】上記の捕集方法においては、エチレンスル
フィドは、未反応の原料である2-メルカプトエタノー
ル、副生成物であるスルフィド化合物類、および少量の
水と共に疎水性有機化合物の溶液として捕集される。
尚、上記の疎水性有機化合物は、取り扱いの容易さ等の
工業的な観点から、通常、エチレンスルフィドよりも沸
点の高い化合物が使用されている。
【0005】ところが、上記公報等の文献には、エチレ
ンスルフィドの製造方法は開示されているものの、得ら
れる反応混合物からエチレンスルフィドを安定的に単離
・精製する方法、つまり、エチレンスルフィドを回収す
る方法については何ら記載されていない。
【0006】さらに、前述のように、エチレンスルフィ
ドは、液体の状態で水と接触すると、次第に重合して白
色の重合物を生成するという性質を備えている。しかし
ながら、一般に、水分を含有するエチレンスルフィドか
ら、該エチレンスルフィドの重合を抑制しながら水分を
除去する方法については知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】つまり、上記公報等の
文献には、水分を含有するエチレンスルフィドから、該
エチレンスルフィドの重合を抑制しながら水分を除去す
る方法については何ら記載されていない。そこで、例え
ば、水分を含有するエチレンスルフィドから該水分を除
去する場合に、該エチレンスルフィドを蒸留塔を用いて
連続的に蒸留し、脱水された(乾燥した)エチレンスル
フィドを得ようとすると、エチレンスルフィドは水との
間で共沸組成物を形成する。このため、エチレンスルフ
ィドは、蒸留塔内や配管内等で次第に重合して融点の高
い重合物となる。即ち、上記の重合物が蒸留塔内や配管
内等で生成し蓄積すると、これら蒸留塔や配管等が閉塞
し、連続的に蒸留することが困難になる。また、該重合
物の生成により、エチレンスルフィドの損失が生じる。
【0008】また、例えば各種脱水剤を用いてエチレン
スルフィドから水分を除去する方法も考えられるが、前
述のように、エチレンスルフィドは反応性に優れてい
る。従って、上記脱水剤との接触によるエチレンスルフ
ィドの重合反応や副反応等が生じ易い。さらに、毒性を
有するエチレンスルフィドが付着した脱水剤の廃棄方法
等の後処理問題を招来する。つまり、各種脱水剤を用い
る方法は、工業的に実施困難な種々の問題点を有してい
る。
【0009】従って、水分を含有するエチレンスルフィ
ドから該水分を除去する脱水方法が切望されている。即
ち、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので
あり、その目的は、水分を含有するエチレンスルフィド
から、該エチレンスルフィドの重合を抑制しながら水分
を効率的に除去し、これにより、乾燥したエチレンスル
フィドを安定的に得ることができる新規な脱水方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、新規な
エチレンスルフィドの脱水方法を提供すべく鋭意検討し
た結果、水分を含有するエチレンスルフィドを蒸留塔を
用いて連続的に蒸留する際に、エチレンスルフィドより
も沸点の高い疎水性有機化合物を共存させ、エチレンス
ルフィドの一部と共に水を留出させる一方、エチレンス
ルフィドと疎水性有機化合物との混合物を缶出させるこ
とによって、該エチレンスルフィドの重合反応を抑制し
ながら、水分を効率的に除去することができ、これによ
り、乾燥したエチレンスルフィドを安定的に得ることが
できることを見い出して、本発明を完成させるに至っ
た。
【0011】即ち、請求項1記載の発明のエチレンスル
フィドの脱水方法は、上記の課題を解決するために、水
分を含有するエチレンスルフィド、および、エチレンス
ルフィドよりも沸点の高い疎水性有機化合物を蒸留塔に
供給しながら連続的に蒸留し、エチレンスルフィドの一
部と共に水を留出させる一方、エチレンスルフィドと疎
水性有機化合物との混合物を缶出させることを特徴とし
ている。
【0012】請求項2記載の発明のエチレンスルフィド
の脱水方法は、上記の課題を解決するために、請求項1
記載のエチレンスルフィドの脱水方法において、上記エ
チレンスルフィドおよび疎水性有機化合物を蒸留塔の塔
頂部に供給しながら、還流操作を行わないで蒸留するこ
とを特徴としている。
【0013】請求項3記載の発明のエチレンスルフィド
の脱水方法は、上記の課題を解決するために、水分を含
有するエチレンスルフィドと、エチレンスルフィドより
も沸点の高い疎水性有機化合物とを含む溶液を蒸留塔に
供給しながら連続的に蒸留し、エチレンスルフィドの一
部と共に水を留出させる一方、エチレンスルフィドと疎
水性有機化合物との混合物を缶出させることを特徴とし
ている。
【0014】請求項4記載の発明のエチレンスルフィド
の脱水方法は、上記の課題を解決するために、請求項3
記載のエチレンスルフィドの脱水方法において、上記溶
液を蒸留塔の塔頂部に供給しながら、還流操作を行わな
いで蒸留することを特徴としている。
【0015】請求項5記載の発明のエチレンスルフィド
の脱水方法は、上記の課題を解決するために、請求項3
または4記載のエチレンスルフィドの脱水方法におい
て、上記疎水性有機化合物と同一の疎水性有機化合物
を、蒸留塔に連続的に供給することを特徴としている。
【0016】請求項6記載の発明のエチレンスルフィド
の脱水方法は、上記の課題を解決するために、請求項
1、2、3、4または5記載のエチレンスルフィドの脱
水方法において、蒸留塔の缶出液を蒸留することにより
エチレンスルフィドを単離することを特徴としている。
【0017】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかるエチレンスルフィドの脱水方法において、蒸留操
作の対象となる溶液は、水分を含有するエチレンスルフ
ィド、並びに、水分を含有するエチレンスルフィドと、
エチレンスルフィドよりも沸点の高い疎水性有機化合物
とを含む混合溶液である。上記の混合溶液は、例えば、
上記従来のエチレンスルフィドの製造方法によって得ら
れる反応液を蒸留し、エチレンスルフィドと水とを含む
留出液に疎水性有機化合物を混合することによって容易
に得ることができる。上記の反応液としては、具体的に
は、例えば、2-メルカプトエタノールを気相で接触脱水
することにより得られるエチレンスルフィドを、疎水性
有機化合物にて捕集した捕集溶液(特開平5-339257号公
報参照)、エチレンスルフィドをアルキルメルカプタン
やチオアミド化合物等の公知の安定剤の共存下、疎水性
有機化合物溶液とした保存溶液等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。
【0018】上記の疎水性有機化合物は、エチレンスル
フィドよりも沸点が高く、かつ、エチレンスルフィド等
に対して不活性な化合物であればよく、特に限定される
ものではない。該疎水性有機化合物としては、具体的に
は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、プソイド
クメン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化
水素類;フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、
クロロベンゼン、クロロトルエン等の含ハロゲン芳香族
化合物類;ヘキサン、デカン、イソオクタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;
クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、フル
オロシクロヘキサン等の含ハロゲン脂肪族化合物類;ジ
プロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、フェニルメ
チルエーテル等のエーテル化合物類;3-ヘキサノン、2-
ヘプタノン、シクロヘキサノン、フェニルメチルケトン
等のケトン化合物類;酢酸フェニル、安息香酸メチル等
のエステル化合物類等が挙げられる。上記例示の化合物
のうち、取り扱いの容易さ等の工業的な観点から、芳香
族炭化水素類や脂肪族炭化水素類がより好ましく、蒸留
操作の容易さから、エチレンスルフィドとの沸点差が比
較的大きい炭素数6以上の炭化水素類が特に好ましい。
【0019】上記の溶液から水分を連続的に除去し、エ
チレンスルフィドを単離する方法、つまり、脱水方法に
ついて以下に説明する。先ず、水分を含有するエチレン
スルフィドからの該水分の除去に好適に用いられる蒸留
装置の一例について、図1を参照しながら、説明する。
【0020】図1に示すように、上記の蒸留装置は、蒸
留塔1および凝縮器2等から構成されている。上記の蒸
留塔1は、多段式の蒸留塔であり、還流操作を行わない
で、つまり、還流比を実質的に0に設定して溶液を連続
的に蒸留し、該溶液に含まれる水分を完全に追い出す。
即ち、エチレンスルフィドから水分を除去する。
【0021】蒸留塔1の塔頂部近傍は、配管3を介して
例えば溶液供給タンク(図示せず)と接続されると共
に、配管4を介して例えば疎水性有機化合物供給タンク
(図示せず)と接続されている。蒸留塔1の塔頂部は、
配管5および凝縮器2を介して例えば留出液貯蔵タンク
(図示せず)と接続されている。また、蒸留塔1の塔底
部は、配管6を介して例えば精留塔(図示せず)と接続
されている。
【0022】上記蒸留塔1の塔頂部近傍には、配管3を
通して溶液が連続的に供給されると共に、配管4を通し
て疎水性有機化合物が連続的に供給される。そして、蒸
留塔1は、エチレンスルフィドの一部と共に水を留出液
として留出する一方、エチレンスルフィドと疎水性有機
化合物との混合物を缶出液として缶出する。
【0023】上記の凝縮器2は、配管5の所定位置に配
設されており、蒸留塔1から留出するガス(留出液)を
凝縮して液化する。
【0024】溶液供給タンクは、その内部に所定量の上
記溶液を常時貯留し、蒸留塔1に該溶液を供給する。疎
水性有機化合物供給タンクは、その内部に所定量の疎水
性有機化合物を常時貯留し、蒸留塔1に該疎水性有機化
合物を供給する。留出液貯蔵タンクは、上記の留出液を
貯留する。精留塔は、上記の混合物を精留し、エチレン
スルフィドを留出液として留出する一方、疎水性有機化
合物を缶出液として缶出する。即ち、精留塔は、エチレ
ンスルフィドを単離・精製する。
【0025】尚、蒸留装置には、上記各種装置の他に、
例えば、熱交換器やポンプ(何れも図示せず)等、蒸留
操作に必要な種々の装置がさらに設けられている。
【0026】次に、上記構成の蒸留装置を用いたエチレ
ンスルフィドの脱水方法について説明する。
【0027】先ず、溶液供給タンクから蒸留塔1の塔頂
部近傍に溶液を連続的に供給すると共に、疎水性有機化
合物供給タンクから蒸留塔1の塔頂部近傍に疎水性有機
化合物を連続的に供給する。蒸留塔1に供給された溶液
および疎水性有機化合物は、連続的に蒸留され、エチレ
ンスルフィドの一部と水とが留出液として塔頂から留出
される。また、残りの(つまり、大部分の)エチレンス
ルフィドと、疎水性有機化合物とが缶出液として塔底か
ら缶出される。蒸留塔1においては、その塔頂部近傍に
溶液が供給され、還流比を実質的に0に設定して溶液を
連続的に蒸留し、該溶液に含まれる水分を完全にかつ速
やかに追い出す。このため、蒸留塔1における水の滞留
時間を短くすることができるので、該蒸留塔1内におけ
るエチレンスルフィドの重合反応、即ち、重合物の生成
を抑制しながら、水分を効率的に除去することができ
る。
【0028】蒸留塔1における留出液の組成、つまり、
上記両者の組成比は、蒸留塔1での蒸留条件、例えば、
塔頂の温度、塔底の温度、および塔の段数等により決定
される。換言すれば、蒸留塔1での蒸留条件を適宜変更
することにより、留出液および缶出液の組成を変えるこ
とができる。また、蒸留塔1での蒸留は、常圧下或いは
減圧下で実施することができる。尚、蒸留塔1の留出液
には、疎水性有機化合物は殆ど含まれていない。
【0029】続いて、蒸留塔1の缶出液を精留塔に連続
的に供給する。精留塔に供給された缶出液は、連続的に
精留され、エチレンスルフィドが留出液として塔頂から
留出される一方、疎水性有機化合物が缶出液として塔底
から缶出される。精留塔では、一般的に実施されている
精留操作が行われる。尚、精留塔における蒸留条件、例
えば、塔頂の温度、塔底の温度、塔の段数、および還流
比等は、特に限定されるものではない。
【0030】以上の蒸留操作を行うことにより、溶液か
ら該水分が効率的に除去され、乾燥したエチレンスルフ
ィドが安定的に得られる。
【0031】次に、混合溶液からの水分の除去に好適に
用いられる蒸留装置の一例について、図2を参照しなが
ら、説明する。
【0032】上記の蒸留装置は、配管3・4(図1)を
備える代わりに、図2に示すように、配管7を備えてい
る。つまり、蒸留塔1の塔頂部近傍は、配管7を介して
例えば混合溶液供給タンク(図示せず)と接続されてい
る。そして、上記蒸留塔1の塔頂部近傍には、配管7を
通して混合溶液が連続的に供給される。混合溶液供給タ
ンクは、その内部に所定量の上記混合溶液を常時貯留
し、蒸留塔1に該混合溶液を供給する。蒸留装置のその
他の構成は、図1の蒸留装置と同一である。
【0033】次に、上記構成の蒸留装置を用いたエチレ
ンスルフィドの脱水方法について説明する。
【0034】先ず、混合溶液供給タンクから蒸留塔1の
塔頂部近傍に混合溶液を連続的に供給する。蒸留塔1に
供給された混合溶液は、連続的に蒸留され、エチレンス
ルフィドの一部と水とが留出液として塔頂から留出され
る。また、残りの(つまり、大部分の)エチレンスルフ
ィドと、疎水性有機化合物とが缶出液として塔底から缶
出される。以下の蒸留操作は、上述した(図1の)蒸留
装置と同一である。
【0035】以上の蒸留操作を行うことにより、混合溶
液から該水分が効率的に除去され、乾燥したエチレンス
ルフィドが安定的に得られる。尚、蒸留装置は、図1お
よび図2に示す構成にのみ限定されるものではなく、種
々の構成とすることができる。例えば、図2に示す構成
の蒸留装置において、混合溶液が含有する疎水性有機化
合物と同一の疎水性有機化合物を連続的に供給する配管
(図示せず)を、蒸留塔1に設けてもよい。つまり、蒸
留塔1に、混合溶液と疎水性有機化合物とを連続的に供
給しながら、蒸留操作を行うこともできる。
【0036】以上のように、本発明にかかるエチレンス
ルフィドの脱水方法は、水分を含有するエチレンスルフ
ィド、および、疎水性有機化合物を蒸留塔1に供給しな
がら連続的に蒸留し、エチレンスルフィドの一部と共に
水を留出させる一方、エチレンスルフィドと疎水性有機
化合物との混合物を缶出させる。また、本発明にかかる
脱水方法は、上記エチレンスルフィドおよび疎水性有機
化合物を蒸留塔1の塔頂部近傍に供給しながら、還流操
作を行わないで蒸留する。さらに、本発明にかかる脱水
方法は、水分を含有するエチレンスルフィドと、疎水性
有機化合物とを含む混合溶液を蒸留塔1に供給しながら
連続的に蒸留し、エチレンスルフィドの一部と共に水を
留出させる一方、エチレンスルフィドと疎水性有機化合
物との混合物を缶出させる。また、本発明にかかる脱水
方法は、上記の混合溶液を蒸留塔1の塔頂部近傍に供給
しながら、還流操作を行わないで蒸留する。その上、本
発明にかかる脱水方法は、上記の疎水性有機化合物と同
一の疎水性有機化合物を、蒸留塔1に連続的に供給す
る。
【0037】これにより、蒸留塔1における水の滞留時
間を短くすることができるので、該蒸留塔1内における
エチレンスルフィドの重合反応、即ち、重合物の生成を
抑制しながら、水分を効率的に除去することができる。
【0038】また、本発明にかかる脱水方法は、蒸留塔
1の缶出液を蒸留することによりエチレンスルフィドを
単離する。これにより、エチレンスルフィドを精製する
ことができる。
【0039】従って、上記の脱水方法を行うことによ
り、エチレンスルフィドの重合反応を抑制しながら、水
分を効率的に除去することができ、これにより、乾燥し
たエチレンスルフィドを安定的に得ることができる。
【0040】
【作用】上記の脱水方法によれば、水分を含有するエチ
レンスルフィド、および、エチレンスルフィドよりも沸
点の高い疎水性有機化合物を蒸留塔に供給しながら連続
的に蒸留し、エチレンスルフィドの一部と共に水を留出
させる一方、エチレンスルフィドと疎水性有機化合物と
の混合物を缶出させる。また、上記エチレンスルフィド
および疎水性有機化合物を蒸留塔の塔頂部に供給しなが
ら、還流操作を行わないで蒸留する。さらに、上記の脱
水方法によれば、水分を含有するエチレンスルフィド
と、疎水性有機化合物とからなる溶液を蒸留塔に供給し
ながら連続的に蒸留し、エチレンスルフィドの一部と共
に水を留出させる一方、エチレンスルフィドと疎水性有
機化合物との混合物を缶出させる。また、上記溶液を蒸
留塔の塔頂部に供給しながら、還流操作を行わないで蒸
留する。その上、上記疎水性有機化合物と同一の疎水性
有機化合物を、蒸留塔に連続的に供給する。これによ
り、蒸留塔における水の滞留時間を短くすることができ
るので、該蒸留塔内におけるエチレンスルフィドの重合
反応、即ち、重合物の生成を抑制しながら、水分を効率
的に除去することができる。
【0041】また、上記の脱水方法によれば、蒸留塔の
缶出液を蒸留することによりエチレンスルフィドを単離
する。これにより、エチレンスルフィドを精製すること
ができる。
【0042】従って、上記の脱水方法を行うことによ
り、エチレンスルフィドの重合反応を抑制しながら、水
分を効率的に除去することができ、これにより、乾燥し
たエチレンスルフィドを安定的に得ることができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0044】〔実施例1〕図1に示す蒸留装置を用い
て、水分を含有するエチレンスルフィドから該水分を連
続的に除去した。溶液として、水分を 0.2重量%含有す
るエチレンスルフィドを用い、疎水性有機化合物として
トルエンを用いた。
【0045】蒸留塔1として、内径30mmのガラス管に、
充填物として5mmφのステンレス製ディクソンパッキン
グを回収部に40cm充填したものを用いた。そして、蒸留
塔1を常圧で操作した。このとき、蒸留塔1における還
流比は、還流操作を行っていないので実質的に0であ
る。
【0046】蒸留塔1に供給した溶液の単位時間当たり
の供給量(以下、溶液供給速度と称する)は、 400g/
hrであった。また、蒸留塔1に供給した疎水性有機化合
物の単位時間当たりの供給量(以下、疎水性有機化合物
供給速度と称する)は、 300g/hrであった。
【0047】その結果、蒸留塔1から留出した留出液の
単位時間当たりの留出量(以下、留出速度と称する)
は、水が 0.8g/hr、エチレンスルフィドが38g/hr、
トルエンが2g/hrであった。また、蒸留塔1から缶出
した缶出液の単位時間当たりの缶出量(以下、缶出速度
と称する)は、エチレンスルフィドが 362g/hr、トル
エンが 298g/hrであり、水は含まれていなかった。ま
た、上記条件での蒸留操作を約 100時間連続して実施し
たが、蒸留塔1内におけるエチレンスルフィドの重合反
応、即ち、重合物の生成は認められなかった。
【0048】上記の結果から明らかなように、蒸留塔1
においては、溶液中の水分の全てがエチレンスルフィド
の一部および少量のトルエンと共に留出液として留出さ
れたことがわかる。尚、蒸留塔1の缶出液を蒸留するこ
とにより、エチレンスルフィドを簡単に単離・精製する
ことができた。
【0049】〔実施例2〕実施例1と同様の蒸留装置を
用いて、水分を含有するエチレンスルフィドから該水分
を連続的に除去した。溶液として、水分を 0.2重量%含
有するエチレンスルフィドを用い、疎水性有機化合物と
してメシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)を用い
た。尚、蒸留の条件等は、実施例1と同様である。
【0050】溶液供給速度は、 400g/hrであった。ま
た、疎水性有機化合物供給速度は、200g/hrであっ
た。その結果、留出速度は、水が 0.8g/hr、エチレン
スルフィドが45g/hr、メシチレンが 0.5g/hrであっ
た。また、缶出速度は、エチレンスルフィドが 355g/
hr、メシチレンが 199.5g/hrであり、水は含まれてい
なかった。また、上記条件での蒸留操作を約 100時間連
続して実施したが、蒸留塔1内におけるエチレンスルフ
ィドの重合反応、即ち、重合物の生成は認められなかっ
た。
【0051】上記の結果から明らかなように、蒸留塔1
においては、溶液中の水分の全てがエチレンスルフィド
の一部および少量のメシチレンと共に留出液として留出
されたことがわかる。尚、蒸留塔1の缶出液を蒸留する
ことにより、エチレンスルフィドを簡単に単離・精製す
ることができた。
【0052】〔実施例3〕図2に示す蒸留装置を用い
て、水分を含有するエチレンスルフィドから該水分を連
続的に除去した。溶液として、水 0.1重量%、エチレン
スルフィド45.6重量%、および、疎水性有機化合物とし
てのトルエン54.3重量%からなる混合溶液を用いた。
尚、蒸留塔1の構成は、実施例1の蒸留装置と同様であ
る。また、蒸留の条件等は、実施例1と同様である。
【0053】蒸留塔1に供給した混合溶液の単位時間当
たりの供給量は、 700g/hrであった。その結果、留出
速度は、水が 0.7g/hr、エチレンスルフィドが35.7g
/hr、トルエンが 1.6g/hrであった。また、缶出速度
は、エチレンスルフィドが 283.5g/hr、トルエン 37
8.5g/hrであり、水は含まれていなかった。また、上
記条件での蒸留操作を約 100時間連続して実施したが、
蒸留塔1内におけるエチレンスルフィドの重合反応、即
ち、重合物の生成は認められなかった。
【0054】上記の結果から明らかなように、蒸留塔1
においては、溶液中の水分の全てがエチレンスルフィド
の一部および少量のメシチレンと共に留出液として留出
されたことがわかる。尚、蒸留塔1の缶出液を蒸留する
ことにより、エチレンスルフィドを簡単に単離・精製す
ることができた。
【0055】上記実施例1〜3の結果から明らかなよう
に、本実施例にかかる脱水方法を行うことにより、エチ
レンスルフィドの重合反応を抑制しながら、水分を効率
的に除去することができ、これにより、乾燥したエチレ
ンスルフィドを安定的に得ることができることがわか
る。
【0056】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のエチレンスルフ
ィドの脱水方法は、以上のように、水分を含有するエチ
レンスルフィド、および、エチレンスルフィドよりも沸
点の高い疎水性有機化合物を蒸留塔に供給しながら連続
的に蒸留し、エチレンスルフィドの一部と共に水を留出
させる一方、エチレンスルフィドと疎水性有機化合物と
の混合物を缶出させる方法である。
【0057】本発明の請求項2記載のエチレンスルフィ
ドの脱水方法は、以上のように、上記エチレンスルフィ
ドおよび疎水性有機化合物を蒸留塔の塔頂部に供給しな
がら、還流操作を行わないで蒸留する方法である。
【0058】本発明の請求項3記載のエチレンスルフィ
ドの脱水方法は、以上のように、水分を含有するエチレ
ンスルフィドと、エチレンスルフィドよりも沸点の高い
疎水性有機化合物とを含む溶液を蒸留塔に供給しながら
連続的に蒸留し、エチレンスルフィドの一部と共に水を
留出させる一方、エチレンスルフィドと疎水性有機化合
物との混合物を缶出させる方法である。
【0059】本発明の請求項4記載のエチレンスルフィ
ドの脱水方法は、以上のように、上記溶液を蒸留塔の塔
頂部に供給しながら、還流操作を行わないで蒸留する方
法である。
【0060】本発明の請求項5記載のエチレンスルフィ
ドの脱水方法は、以上のように、上記疎水性有機化合物
と同一の疎水性有機化合物を、蒸留塔に連続的に供給す
る方法である。
【0061】また、本発明の請求項6記載のエチレンス
ルフィドの脱水方法は、以上のように、蒸留塔の缶出液
を蒸留することによりエチレンスルフィドを単離する方
法である。
【0062】これにより、エチレンスルフィドの重合反
応を抑制しながら、水分を効率的に除去することがで
き、乾燥したエチレンスルフィドを安定的に得ることが
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるエチレンスルフィド
の脱水方法に好適に用いられる蒸留装置の概略の構成を
示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例におけるエチレンスルフィド
の脱水方法に好適に用いられる他の蒸留装置の概略の構
成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 蒸留塔 2 凝縮器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 ▲隆▼一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒 機能開発研究所内 (72)発明者 松本 行弘 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 姫路製造所内 (72)発明者 梶原 輝久 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 プロセス開発 研究所内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水分を含有するエチレンスルフィド、およ
    び、エチレンスルフィドよりも沸点の高い疎水性有機化
    合物を蒸留塔に供給しながら連続的に蒸留し、エチレン
    スルフィドの一部と共に水を留出させる一方、エチレン
    スルフィドと疎水性有機化合物との混合物を缶出させる
    ことを特徴とするエチレンスルフィドの脱水方法。
  2. 【請求項2】上記エチレンスルフィドおよび疎水性有機
    化合物を蒸留塔の塔頂部に供給しながら、還流操作を行
    わないで蒸留することを特徴とする請求項1記載のエチ
    レンスルフィドの脱水方法。
  3. 【請求項3】水分を含有するエチレンスルフィドと、エ
    チレンスルフィドよりも沸点の高い疎水性有機化合物と
    を含む溶液を蒸留塔に供給しながら連続的に蒸留し、エ
    チレンスルフィドの一部と共に水を留出させる一方、エ
    チレンスルフィドと疎水性有機化合物との混合物を缶出
    させることを特徴とするエチレンスルフィドの脱水方
    法。
  4. 【請求項4】上記溶液を蒸留塔の塔頂部に供給しなが
    ら、還流操作を行わないで蒸留することを特徴とする請
    求項3記載のエチレンスルフィドの脱水方法。
  5. 【請求項5】上記疎水性有機化合物と同一の疎水性有機
    化合物を、蒸留塔に連続的に供給することを特徴とする
    請求項3または4記載のエチレンスルフィドの脱水方
    法。
  6. 【請求項6】蒸留塔の缶出液を蒸留することによりエチ
    レンスルフィドを単離することを特徴とする請求項1、
    2、3、4または5記載のエチレンスルフィドの脱水方
    法。
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