JP2678205B2 - 2,6―及び2,5―ジクロルトルエンの分離方法 - Google Patents

2,6―及び2,5―ジクロルトルエンの分離方法

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JP2678205B2 JP15378489A JP15378489A JP2678205B2 JP 2678205 B2 JP2678205 B2 JP 2678205B2 JP 15378489 A JP15378489 A JP 15378489A JP 15378489 A JP15378489 A JP 15378489A JP 2678205 B2 JP2678205 B2 JP 2678205B2
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【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明はジクロルトルエン異性体混合物から、それに
含まれる2,6−及び2,5−ジクロルトルエンを分離する方
法に関するものである。
(従来技術及びその問題点) トルエンを核塩素化することによって、2,6−異性
体、2,5−異性体、2,4−異性体及び2,3−異性体からな
るジクロルトルエン異性体混合物が得られることは知ら
れている。これらのジクロルトルエン異性体のうち、2,
6−異性体は染料を初め、医薬、農薬等の中間体として
有用である。また、2,5−異性体も医薬、農薬、染料、
顔料等の原料として有用である。この2,6−異性体及び
2,5−異性体を得るには、ジクロルトルエン異性体混合
物からこれを選択的に分離回収することが必要である
が、各異性体の沸点が近似していることから、2,6−異
性体及び2,5−異性体を精留によって分離回収すること
は非常に困難である。
特開昭59−199642号公報には、ジクロルトルエン異性
体混合物から2,6−異性体を分離回収するために、ホー
ジャサイト型ゼオライト吸着剤を用い、ベンゼン置換体
の存在下に2,6−異性体をエクストラクト成分として分
離回収する方法が記載されているが、2,6−及び2,5−異
性体を同時に分離する方法については記載されていな
い。
本発明者らは、前記従来の吸着分離法について、その
実用性の評価をするために、鋭意追試実験を行ったとこ
ろ、確かに、トルエンやキシレン等のベンゼン置換体の
存在下での吸着処理においては、ホージャサイト型ゼオ
ライト吸着剤に対して、2,6−異性体は他の異性体より
も吸着されやすいことは確認された。しかしながら、ベ
ンゼン置換体の濃度が低くなると、2,6−異性体と2,3−
異性体との間の分離が著しく困難になることが知見され
た。
さらに、ホージャサイド型ゼオライト吸着剤に対する
ベンゼン置換体の吸着強度は非常に弱いことが確認され
た。従って、ベンゼン置換体を脱着剤として用いる時に
は、これを非常に多量に用いることが必要になり、エク
ストラクト中の脱着剤濃度が増加し、製品と脱着剤の分
離コストが増大するという問題点がある。しかも、ベン
ゼン置換体は2,6−ジクロルトルエンよりも沸点が低
く、これを蒸留塔で分離回収する時に、蒸留物として分
離回収する必要があるため、蒸留塔での熱負似が大きく
なり、コスト高になるという問題点もある。
以上のように、前記従来法においては、工業的実施に
際しての種々の問題点を含むことが明らかになった。
(発明の課題) 本発明は、ジクロルトルエン異性体混合物から2,6−
異性体及び2,5−異性体をそれぞれ高純度で分離し得る
工業的方法を提供することをその課題とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を
重ねた結果、意外にも、ジクロルトルエン異性体混合物
を、ナフタレン又はそのアルキル置換体の存在下でフォ
ージャサイト型のナトリウム置換X型ゼオライトと接触
させて吸着処理する時には、2,6−体を強吸着成分とし
て他の異性体から選択性良く吸着分離し得るとともに、
その使用したナフタレン又はそのアルキル置換体は、そ
の吸着剤に対して適度の吸脱着性を有するとともに、そ
の沸点は2,6−ジクロルトルエンよりも高く、脱着剤と
してすぐれた特性を有することを見出した。また、この
ようにして2,6−異性体を分離した後の異性体混合物か
らは、同様の吸着分離処理により2,5−異性体を強吸着
成分として吸着分離し得ることも見出した。さらに、ジ
クロルトルエン異性体混合物中の2,6−及び2,5−異性体
を強吸着成分としてあらかじめ吸着分離し、次いで得ら
れた2,6−及び2,5−異性体混合物から2,6−異性体を強
吸着成分として分離することにより、2,6−及び2,5−異
性体をそれぞれ分離し得ることも見出した。本発明はこ
れらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、本発明によれば、第1プロセスとして、ジクロ
ルトルエン異性体混合物から2,6−及び2,5−ジクロルト
ルエンを分離するに際し、該混合物を2,6−異性体に選
択吸着性を示すゼオライト吸着剤及びナフタレン又はそ
のアルキル置換体からなる脱着剤を用いて吸着分離処理
し、2,6−異性体を含むエクストラクトと2,5−異性体を
含むラフィネートを得る第1段階と、該第1段階で得ら
れたラフィネートを、2,5−異性体に選択吸着性を示す
ゼオライト吸着剤及びナフタレン又はそのアルキル置換
体からなる脱着剤を用いて吸着分離処理し、2,5−異性
体を含むエクストラクトを得る第2段階とからなること
を特徴とする2,6−及び2,5−ジクロルトルエンの分離方
法が提供される。
また、本発明によれば第2プロセスとして、ジクロル
トルエン異性体混合物から2,6−及び2,5−ジクロルトル
エンを分離するに際し、該混合物を2,6−及び2,5−異性
体に選択吸着性を示すゼオライト吸着剤及びナフタレン
又はそのアルキル置換体からなる脱着剤を用いて2,6−
及び2,5−異性体をエクストラクトとして得る第1段階
と、該第1段階で得られたエクストラクトを、2,6−異
性体に選択吸着性を示すゼオライト吸着剤及びナフタレ
ン又はそのアルキル置換体よりなる脱着剤を用いて吸着
分離処理し、2,6−異性体を含むエクストラクトと、2,5
−異性体を含むラフィネートを得る第2段階からなるこ
とを特徴とする2,6−及び2,5−ジクロルトルエンの分離
方法が提供される。
本発明において用いる脱着剤は、ナフタレン又はその
アルキル置換体であり、次の一般式で示されるものを好
ましく用いることができる。
式中、R1及びR2は、水素又は低級アルキル基である。
低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基又はイソプロピル基等が挙げられる。
脱着剤の具体例としては、例えば、ナフタレン、メチ
ルナフタレン、ジメチルナフタレン、イソプロピルナフ
タレン、ジイソプロピルナフタレン、メチルイソプロピ
ルナフタレン等が挙げられる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(第1プロセス) 本発明の第1プロセスにおいて、前記脱着剤との関連
で用いる2,6−異性体に選択性吸着性を示す吸着剤は、
好ましくは、ホージャサイト型のナトリウム置換X型ゼ
オライト(以下、単にNa−X型ゼオライトともいう)で
ある。ナフタレン又はそのアルキル置換体を脱着剤とし
て用いる場合には、Y型ゼオライトを用いても、またナ
トリウム以外の金属置換ゼオライトを用いても、良好な
結果を得ることはできない。
また、2,6−異性体を分離した後の異性体混合物中の
2,5−異性体に選択的吸着性を示す吸着剤としては、IA
族金属カチオンから選ばれた少なくとも1種のカチオン
で置換されたホージャサイト型ゼオライトが用いられ
る。この場合IA族金属としては、Li、Na、K等がある。
なお、吸着剤の選択吸着性に関しては、同一吸着剤で
あっても、吸着処理する原料混合物の組成や吸着処理条
件によって、その選択吸着性は変化する。例えば、前記
した2,5−異性体に選択吸着性を示す吸着剤は、2,5−及
び2,6−異性体を含む混合物に対しては、2,5−及び2,6
−異性体に選択吸着性を示す吸着剤として用いることが
できる。
この第1プロセスの各吸着分離処理に用いられる操作
温度は室温〜350℃、好ましくは50〜250℃であり、操作
圧力は大気圧〜50kg/cm2G、好ましくは大気圧〜40kg/cm
2Gである。吸着分離系は、気相に保持することも可能で
あるが、液相に保持するのが好ましい。
この第1プロセスにおいて、2,6−異性体に選択性を
示す吸着剤を用いる第1段階の吸着分離処理では、脱着
剤として用いるナフタレン又はそのアルキル置換体は、
吸着溶媒として作用し、2,6−異性体を他の異性体に比
して選択性良く吸着剤に吸着させる。本発明者らの研究
によれば、ジクロルトルエン異性体混合物をナフタレン
又はそのアルキル置換体の存在下でNa−X型ゼオライト
と接触させる時には、2,6−異性体を基準とした他の異
性体の相対分離係数β(2,6/i)は、ナフタレン又はそ
のアルキル置換体の広範囲の濃度にわたって大きな値を
示すことが見出された。従って、本発明によれば、ジク
ロルトルエン異性体混合物から、2,6−異性体を容易か
つ高純度で分離回収することができる。一般に、吸着分
離方法を工業的に有利に行うには相対分離係数は2以上
であることが必要とされている。本発明の場合、2,6−
体に対する他の異性体の相対分離係数β(2,6/i)の値
はいずれも2より大きい。
また、本発明者らの研究によれば、ナフタレン又はそ
のアルキル置換体のNa−X型ゼオライトに対する吸着強
度及び脱着強度は、2,6−ジクロルトルエンに比べ、そ
れぞれ強すぎもせずかつ弱すぎることもなく、しかも沸
点は2,6−ジクロルトルエンよりも高く、脱着剤として
非常にすぐれた特性を有することが見出された。従っ
て、本発明の場合には、脱着剤として用いるナフタレン
又はそのアルキル置換体の使用割合は少なくてすみ、吸
着分離工程から得られるエクストラクト中の脱着剤濃度
を低く抑えることができる。しかも、脱着剤の沸点が製
品の沸点よりも高く、エクストラクトの蒸留処理に際し
ては、製品よりも多量に存在する脱着剤を蒸留物として
分離する必要がないことから、蒸留塔の熱負荷が少なく
てすむ。一般に、吸着分離を工業的に有利に実施する場
合、脱着剤の相対分離係数は0.5〜3の範囲にあること
が必要であるとされているが、本発明で用いる脱着剤の
相対分離係数β(2,6/D)の値は、いずれもこの範囲に
ある。
更に、本発明で規定される脱着剤を使用すると、吸着
剤の吸着容量が脱着剤としてベンゼン置換体を使用した
時よりも大きくなり、吸着剤所要量がより少なくてもよ
いという利点がある。
なお、本明細書中で言う2,6−異性体を基準とした各
異性体の相対分離係数β(2,6/i)及び脱着剤の相対分
離係数β(2,6/D)は、それぞれ次の式で表わされる。
β(2.6/i)=k(2.6)/k(i) (II) β(2.6/D)=k(2.6)/k(D) (III) 前記式中、k(2.6)、k(i)及びk(D)は、そ
れぞれ、2,6−ジクロルトルエン、2,6−ジクロルトルエ
ン以外のジクロルトルエン異性体(i)及び脱着剤につ
いての固液平衡定数を示し、これらは次式で定義され
る。
第1のプロセスにおいては、2,6−異性体を吸着分離
する第1段階の吸着分離処理で得られたラフィネート
は、それに含まれる2,5−異性体を分離するために、第
2段階の吸着分離処理に付されるが、ここで用いる吸着
剤は、前記した如き2,5−異性体に選択吸着性を示すも
のであり、また、脱着剤はナフタレン又はそのアルキル
置換体である。第1段階の吸着分離処理により得られた
ラフィネートは、2,6−異性体を含まず、2,3−異性体、
2,4−異性体及び2,5−異性体を含む。2,3−異性体は、
ゼオライト吸着剤に対しては、2,5−異性体とやや類似
する吸着性を示すので、2,5−異性体のみを高純度で分
離するには、高段数の吸着分離塔が必要となる。一方、
2,3−異性体は、他の異性体に比べて沸点が高く、蒸留
分離が可能であるという特性を有する。従って、これら
のことから、2,5−異性体を高純度で得るには、原料で
あるジクロルトルエン異性体混合物のうちから、又は第
1段階で得られたラフィネートのうちからあらかじめ2,
3−異性体を蒸留により処理しておくのが工業的に有利
である。また第2段階の吸着分離処理で2,5−異性体と
ともに、2,3−異性体を少量(2,5−異性体と2,3−異性
体との合計量に対し、0〜30重量%)含むエクストラク
トを得、このエクストラクトから2,3−異性体を蒸留分
離することも有効な方法である。
(第2プロセス) 本発明の第2プロセスでは、第1段階の吸着分離処理
において、2,6−異性体と2,5−異性体とを強吸着成分と
して分離し、2,6−異性体と2,5−異性体を含むエクスト
ラクトを得、次いでこのエクストラクトを、第2段階の
吸着分離処理において、2,6−異性体を強吸着成分とし
て分離し、2,6−異性体を含むエクストラクトと、2,5−
異性体を含むラフィネートを得る。
この第2プロセスにおいて、第1段階では、2,6−異
性体と2,5−異性体に対して選択吸着性を示す吸着剤が
用いられるが、このような吸着剤としては、IA族金属カ
チオンから選ばれた少なくとも一種のカチオンで置換さ
れたホージャサイト型ゼオライトが用いられる。また、
第2段階では、2,6−異性体に選択吸着性を示す吸着剤
が用いられるが、このような吸着剤としては、前記第1
プロセスで示したものが用いられる。各段階の脱着剤と
しては、前記したナフタレン又はそのアルキル置換体が
用いられる。さらに、各段階の吸着分離処理における操
作条件も、前記した第1プロセスにおけると同様の条件
が用いられる。
この第2プロセスにおいても、2,3−異性体は2,5−異
性体と同様の吸着性を示すことから、第1階で得られる
エクストラクトには、2,6−異性体及び2,5−異性体とと
もに2,3−異性体が混入し、そして、この混入した2,3−
異性体は、第2段階で得られる2,5−異性体を含むラフ
ィネートに移行する傾向を示す。従って、高純度の2,5
−異性体を得るには、原料であるジクロルトルエン異性
体混合物のうちから又は第1段階で得られたエクストラ
クトのうちからあらかじめ2,3−異性体を蒸留分離して
おくのが工業的に有利である。また、第2段階で得られ
た2,5−異性体を含むラフィネートから2,3−異性体を蒸
留分離することも有効な方法である。
本発明における前記吸着分離処理は、いずれも、クロ
マト分取法や擬似移動床法等の従来公知の技術に従って
実施することができる。このような吸着分離技術におい
ては、強吸着成分と脱着剤とからなるエクストラクトが
得られ、強吸着成分以外の異性体と脱着剤とからなるラ
フィネートが得られる。これらのエクストラクト及びラ
フィネートは、蒸留処理に付され、それぞれの成分に分
離され、そして分離された脱着剤は再び循環使用され
る。
次に、擬似移動床方式による吸着分離技術についてさ
らに詳述すると、この吸着分離技術は、基本的操作とし
て次に示す吸着操作、濃縮操作、脱着操作及び脱着剤回
収操作を連続的に循環して実施される。
(1)吸着操作:ジクロルトルエン異性体混合物が吸着
剤と接触し、強吸着成分としての特定の異性体Aが選択
的に吸着され、弱吸着成分である他の異性体Bが、ラフ
ィネート流れとして脱着剤とともに回収される。
(2)濃縮操作:特定の異性体Aを選択的に吸着した吸
着剤は後で述べるエクストラクトの一部と接触させら
れ、吸着剤上に残存している弱吸着成分が追い出され強
吸着成分としての異性体Aが濃縮される。
(3)脱着操作:濃縮された異性体Aを含む吸着剤は、
脱着剤と接触させられ、異性体Aが吸着剤から追い出さ
れ、脱着剤を伴なってエクストラクト流れとして回収さ
れる。
(4)脱着剤回収操作:実質的に脱着剤のみを吸着した
吸着剤は、ラフィネート流れの一部と接触し、吸着剤に
含まれる脱着剤の一部が脱着剤回収流れとして回収され
る。
第1図に擬似移動体による吸着分離装置の模式図を示
す。この図において、1〜16は吸着剤の入った吸着室で
あり、相互に連結されている。17は脱着剤供給ライン、
18はエクストラクト抜出ライン、19は原料混合物供給ラ
イン、20はラフィネート抜出ライン、21はリサイクルラ
インを示す。図面に示した吸着室1〜16と各ライン17〜
20の配置状態では、吸着室1〜3で脱着操作、吸着室4
〜8で濃縮操作、吸着室9〜13で吸着操作、吸着室14〜
16で脱着剤回収操作がそれぞれ行われている。
このような擬似移動床では、一定時間間隔ごとに、バ
ルブ操作により、各供給及び抜出ラインを液流れ方向に
吸着室1室分だけそれぞれ移動させる。従って、次の吸
着室の配置状態では、吸着室2〜4で脱着操作、吸着室
5〜9で濃縮操作、吸着室10〜14で吸着操作、吸着室15
〜1で脱着剤回収操作がそれぞれ行われるようになる。
このような操作を順次行うことによって、ジクロルトル
エン異性体混合物の擬似移動床による吸着分離処理が達
成される。なお、図面においては、吸着室は16個に特定
されているが、この吸着室の数は限定されるものではな
いことを留意すべきである。
本発明において用いるジクロルトルエン異性体混合物
は、2,6−異性体及び2,5−異性体とともに、他の異性体
の少なくとも1種を含むものである。一般には、トルエ
ンの塩素化物を蒸留処理して得られるジクロルトルエン
留分が原料として用いられる。
(発明の効果) 本発明によれば、ジクロルトルエン異性体混合物か
ら、それに含まれる2,6−異性体及び2,5−異性体を高純
度でかつ効率よく、しかも経済的に有利に分離回収する
ことができる。
(実施例) 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
参考例1 Na−X型ゼオライト吸着剤は、市販リンデ13X(1/1
6″ペレット成形体)を粉砕し、40〜80メッシュに粒度
をそろえた細粒品を用いた。Na−Y型ゼオライト吸着剤
は、東ソー社製のNa−Y型ゼオライト(SiO2/Al2O3=5.
5)の粉末に、バインダーとしてアルミナゾルを用いて
成形した直径0.1〜0.25mmの顆粒品を用いた。
それらの吸着剤のNaを他の金属カチオンで交換した吸
着剤は、それらの吸着剤を各種の金属硝酸塩水溶液でイ
オン交換処理して調製した。イオン交換処理は、固液化
10で、約90℃で2時間放置し、この操作を3回くり返し
て行った。イオン交換後の吸着剤は、100℃で乾燥後、4
50℃で3時間焼成した。
参考例2 参考例1の方法で調製したNa−X型ゼオライト吸着剤
のジクロルトルエン異性体及び脱着剤(溶媒)の各相対
分離係数を測定するために、内容積30ccのオートクレー
ブ内に、あらかじめ350℃で2時間脱水処理したNa−X
型ゼオライト吸着剤を4g、及びジクロルトルエン異性体
混合物と脱着剤を所定の割合で混合したものを8g充填
し、120℃で2時間ときどき撹拌しながら放置した。原
料として用いたジクロルトルエン異性体混合物の組成を
表−1に示す。
また、吸着平衡時の液相組成をガスクロマトグラフィ
ーにより定量分析するため、基準物質としてジクロルト
ルエン異性体混合物中にあらかじめ20wt%のn−ノナン
を混ぜて用いた。n−ノナンは上記吸着条件下では、ゼ
オライトの吸着特性に関し実質上不活性な物質である。
吸着剤と接触させ吸着平衡に達した時の液相混合物の組
成をガスクロマトグラフィーにより分析し、ジクロルト
ルエン異性体及び脱着剤の相対分離係数をそれぞれ求め
た。その結果を表−2に示す。
なお、表−2中に示した脱着剤濃度は、仕込液中のジ
クロルトルエン異性体と脱着剤の合計量に対する脱着剤
の重量%を示す。
ナトリウム置換X型ゼオライトからなる吸着剤とナフ
タレン又はそのアルキル置換体からなる脱着剤を用いる
と、2,6−体以外のジクロルトルエン異性体の相対分離
係数β(2,6/i)が2以上の値を有するので、ジクロル
トルエン異性体中から2,6−ジクロルトルエンを選択的
に吸着分離することが可能である。また脱着剤の相対分
離係数β(2,6/D)もすべて0.5〜3以内にあり、ナフタ
レン又はそのアルキル置換体は、脱着剤としての吸着強
度も適切であり、沸点も各ジクロルトルエン異性体より
も5℃以上高く、脱着剤の所要量及び回収という面から
も、非常に効果的であることが明らかである。
参考比較例1 参考例2に用いたと同じNa−X型ゼオライト吸着剤
と、参考例に示した方法でイオン交換して得た0.2Ag−N
a−X型ゼオライト吸着剤を用い、脱着剤としてm−キ
シレン、p−キシレン及びp−クロルトルエンを使用し
て参考例2と同一条件でそれらの相対分離係数を測定し
た。その結果を表−3に示す。
なお、表−3中に示した0.2Ag−Na−X型ゼオライト
吸着剤は、Na−X型吸着剤に含まれるNaカチオンの20当
量%を含む硝酸銀溶液でイオン交換したことを示す。
表−3から明らかなように、本発明で特定した以外の
脱着剤を使用した場合には、脱着剤の吸着強度は非常に
弱く、β(2,6/D)の値はすべて3以上になってしま
い、吸着剤に吸着された2,6−ジクロルトルエンを脱着
回収するのがむずかしく、大量の脱着剤の使用が必要と
なる。また、脱着剤の沸点も各ジクロルトルエン異性体
より低いので、エクストラクトから脱着剤の蒸留による
回収の際に蒸留塔塔頂より大量の脱着剤を回収すること
になり、エネルギー面からも非常に不利となる。更に、
吸着容量に関しても、本発明で用いる吸着剤/脱着剤系
では0.17〜0.18g/gであるのに対し、この参考比較例で
示した吸着剤/脱着剤系では0.13〜0.15g/gと小さい。
従って、吸着分離操作で必要となる吸着剤量が多くなる
という不利がある。
参考比較例2 参考例1の方法に従って各種の硝酸塩水溶液でイオン
交換した吸着剤を調製した。この吸着剤を用い、脱着剤
としてβ−メチルナフタレンを用い、脱着剤濃度60wt%
で参考例2と同一条件でそれらの相対分離係数を測定し
た。その結果を表−4に示す。
なお表−4において、単一金属カチオン成分のみを示
した吸着剤は、その金属カチオンが吸着剤に含まれるカ
チオンの90当量%以上を占めていることを示す。
表−4から明らかなように、Na−X型以外の吸着剤を
使用した場合には、β(2,6/i)の値は2以下がほとん
どで、ジクロルトルエン異性体から2,6−ジクロルトル
エンを選択的に吸着分離することが困難であると同時
に、脱着剤の相対分離係数(β2,6/D)がすべて0.5以下
であり、脱着剤の吸着強度が強すぎてしまい、吸着剤の
吸着容量のほとんどが脱着剤で占められることになり、
2,6−ジクロルトルエンの吸着分離が実質的にできない
ことになる。
実施例1 (第1吸着分離処理) 参考例1で示したNa−X型ゼオライト吸着剤を用い
て、脱着剤としてβ−イソプロピルナフタレンを用い、
第1図に示した如き擬似移動床方式の連続吸着分離装置
を用いて表−1に示すジクロルトルエン異性体混合物を
吸着分離処理した。この場合、各吸着室の容積は70mlで
あり、その数は16個である。吸着剤は、内容積70mlのカ
ラム吸着室1〜16に充填し、ライン19から原料混合物を
15ml/HRで供給し、ライン17より脱着剤を189ml/HRで供
給した。ライン18よりエクストラクトを73ml/HRで抜き
出し、ライン20からラフィネートを131ml/HRで抜き出し
た。この間288秒間隔で原料及び脱着剤の各供給ライン
及びエクストラクト、ラフィネートの各抜出ラインを同
時に液流れ方向に吸着室1室分だけそれぞれ移動させ
た。2,6−ジクロルトルエンはエクストラクトから得ら
れ、その2,6−ジクロルトルエンの純度は脱着剤フリー
ベースで99wt%、回収率は100wt%であった。
一方、ラフィネートの成分組成は、脱着剤フリーベー
スは、次表に示す通りであった。
参考例3 実施例1の連続吸着分離操作で得られたラフィネート
成分より蒸留により脱着剤を除去し、表−6に示したジ
クロルトルエン異性体混合物を得た。
このジクロルトルエン異性体混合物を原料とし、参考
例2と同様な方法によりNa−X型ゼオライト吸着剤を用
いて相対分離係数の測定を行なった。その結果を表−7
に示した。
実施例2(第2吸着分離処理) 実施例1の表−5に示した原料混合物からの2,5−ジ
クロルトルエンの吸着分離を第1図に示した擬似移動床
式連続吸着分離装置を用いて実施した。
分離操作においては、参考例2に示したナトリウム置
換X型ゼオライト吸着剤及び脱着剤としてβ−イソプロ
ピルナフタレンを用いた。吸着剤は内容積70mlのカラム
吸着室1〜16に充填し、ライン19から原料を25ml/HRで
供給し、ライン17より脱着剤を149ml/HRで供給した。ラ
イン18よりエクストラクトを90ml/HRで抜き出し、ライ
ン20からラフィネートを84ml/HRで抜き出した。この間3
05秒間隔で原料及び脱着剤の各供給ライン及びエクスト
ラクト、ラフィネートと各抜出しラインを同時に液流れ
方向に吸着室1室分だけそれぞれ移動させた。2,5−ジ
クロルトルエンは、エクストラクトから得られ、その2,
5−ジクロルトルエンの純度は脱着剤フリーベースで99w
t%、回収率は89wt%であった。
一方、ラフィネートの成分組成は、脱着剤フリーベー
スで、次表に示す通りであった。
実施例3 表−1に示した成分組成のジクロルトルエン異性体混
合物1.5を内径20mm、高さ2000mmのマクマホンパッキ
ングを充填した回分式蒸留塔により蒸留処理した。蒸留
時の圧力は25mmHg、還流比30とした。この蒸留処理の結
果、2,3−異性体を含まない次表に示す成分組成の蒸留
分が得られることが確認された。
次に、表−7に示した成分組成のジクロルトルエン異
性体混合物を原料として用いた以外は同様にして実施例
1の第1吸着分離処理を行ない、次いで得られたラフィ
ネートを原料として用いて実施例2で示した第2吸着分
離処理を行った。その結果、第1吸着分離処理で得られ
たエクストラクト中の2,6−異性体濃度は、脱着剤フリ
ーベースで99.1重量%であった。また、第2吸着分離処
理で得られたエクストラクト中の2,5−異性体濃度は、
脱着剤フリーベースで98.7重量%であった。
実施例4 (第1吸着分離処理) 実施例1の第1吸着分離処理において、吸着剤として
Li−X型ゼオライトを用いた以外は同様にして表−1に
示した成分組成の原料の吸着分離処理を行った。この第
1吸着分離処理で得られたエクストラクトの成分組成
は、脱着剤フリーベースで次表に示す通りであった。
(第2吸着分離処理) 前記第1分離吸着分離処理で得られたエクストラクト
を原料として、吸着剤として、参考例1に示したNa−X
型ゼオライトを用いた以外は前記第1吸着分離処理と同
様にして第2吸着分離処理を行った。この第2吸着分離
処理で得られたエクストラクト中の2,6−異性体濃度
は、脱着剤フリーベースで99.0重量%であり、2,6−異
性体の回収率は99.1重量%であった。一方、ラフィネー
ト中の2,5−異性体濃度は脱着剤フリーベースで97.1重
量%であり、2,5−異性体の回収率は99.5重量%であっ
た。また、このラフィネートには2,3−異性体が2.5重量
%含まれていたが、このものは蒸留により、2,5−異性
体から分離することができた。
実施例5 実施例4において、前記表−9に示した成分組成のジ
クロルトルエン異性体混合物を原料として用いた以外は
同様にして2段階の吸着分離処理を行った。その結果、
第1吸着分離処理で得られたエクストラクト中の2,6−
異性体及び2,5−異性体の各濃度は、脱着剤フリーベー
スで、それぞれ46.3重量%及び53.7重量%であった。ま
た、第2吸着分離処理で得られたエクストラクト中の2,
6−異性体濃度は、脱着剤フリーベースで99.1重量%で
あり、ラフィネート中の2,5−異性体濃度は、脱着剤フ
リーベースで99.0重量%であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は擬似移動床による吸着分離装置の模式図であ
る。 1〜16……吸着室 17……脱着剤供給ライン 18……エクストラクト抜出ライン 19……原料混合物供給ライン 20……ラフィネート抜出ライン 21……リサイクルライン 22……ポンプ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジクロルトルエン異性体混合物から2,6−
    及び2,5−ジクロルトルエンを分離するに際し、該混合
    物を2,6−異性体に選択吸着性を示すゼオライト吸着剤
    及びナフタレン又はそのアルキル置換体からなる脱着剤
    を用いて吸着分離処理し、2,6−異性体を含むエクスト
    ラクトと2,5−異性体を含むラフィネートを得る第1段
    階と、該第1段階で得られたラフィネートを、2,5−異
    性体に選択吸着性を示すゼオライト吸着剤及びナフタレ
    ン又はそのアルキル置換体からなる脱着剤を用いて吸着
    分離処理し、2,5−異性体を含むエクストラクトを得る
    第2段階とからなることを特徴とする2,6−及び2,5−ジ
    クロルトルエンの分離方法。
  2. 【請求項2】ジクロルトルエン異性体混合物から2,6−
    及び2,5−ジクロルトルエンを分離するに際し、該混合
    物を2,6−及び2,5−異性体に選択吸着性を示すゼオライ
    ト吸着剤及びナフタレン又はそのアルキル置換体からな
    る脱着剤を用いて2,6−及び2,5−異性体をエクストラク
    トとして得る第1段階と、該第1段階で得られたエクス
    トラクトを、2,6−異性体に選択吸着性を示すゼオライ
    ト吸着剤及びナフタレン又はそのアルキル置換体よりな
    る脱着剤を用いて吸着分離処理し、2,6−異性体を含む
    エクストラクトと、2,5−異性体を含むラフィネートを
    得る第2段階からなることを特徴とする2,6−及び2,5−
    ジクロルトルエンの分離方法。
  3. 【請求項3】該吸着分離処理を行なう前に、予め、原料
    ジクロルトルエン混合物より2,3−異性体を蒸留により
    除去することを特徴とする請求項1又は2の方法。
  4. 【請求項4】該吸着分離処理より得られた2,6−異性体
    及び2,5−異性体留分より2,3−異性体を蒸留により除去
    することを特徴とする請求項1又は2の方法。
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