JP2677287B2 - ニッケル・モリブデン複硼化物基焼結体 - Google Patents
ニッケル・モリブデン複硼化物基焼結体Info
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Description
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明はNi・Mo複硼化物基焼結体、さらに詳しくは強
度・靭性ならびに耐熱衝撃性に優れたNi・Mo複硼化物基
焼結体、特に靭性に優れたNi・Mo複硼化物基焼結体に関
するものである。 [従来の技術] 従来から、金属硼化物を、その優れた性質、すなわ
ち、高融点・高強度・電気及び熱の良導性等を生かして
機械材料に利用しようとする試みが多くなされている。
特にTiB2やZrB2等の二硼化物は広範な研究がなされてお
り(日本金属学会報25、12(1986)1018)、一部では実
用化されている。しかしながら、金属硼化物は難焼結性
であるため、緻密でかつ高強度の焼結体が得難く、靭性
の点でも不十分である。 このため金属の鍛造加工や押出し加工用の金型といっ
た、強度と靭性、特に高靭性が要求される分野では、ほ
とんど実用化が進んでいない。 そこで硼化物を他の金属で結合して硼化物の特性を生
かしつつ、強度と靭性を付与しようとする提案(林、小
瀬、浜野窯業協会誌75(1967)84、B.Y.Yuriditskii e
t.al,Poroshkovaya.Metallurgiya No.4(232)1982.3
2)がなされており、無加圧焼結で緻密な焼結体を得て
いるが、その目的を達成できていない。 その理由は、本来靭性を付与すべく添加された金属が
硼化物と優先的に激しく反応し、たとえばFeはFe2B,FeB
12等、NiはNi2B,Ni4B3,NiB等の脆弱な硼化物を形成して
しまうためと考えられる。 この問題点を解決しようとしたものに特公昭56−1577
3などがあり、高強度の複硼化物サーメットを提案して
いる。しかし、これも結合金属が鉄ベースであることか
ら耐食性や耐酸化性に問題があり、硼化物の特性を十分
に活かしきっていない。 [発明の解決しようとする問題点] これらの点に鑑み、本発明者らは、Ni・Mo複硼化物を
硬質相とし、Ni合金を結合相とした、強度、靭性、耐食
性等に優れたサーメットを提案(特開昭63−143236)し
たが、さらに強度、靭性、耐熱衝撃性等の向上、特に強
度の向上に関して鋭意研究を重ねた結果、複硼化物から
なる硬質相の一部を特定の炭化物で置き換えることが効
果的であることを見い出し、本発明に至ったものであ
る。 [問題点を解決するための手段] すなわち、本発明のニッケル・モリブデン複硼化物基
焼結体は、Ni・Mo複硼化物(以下、Mo2NiB2と記す)お
よび/またはMoの一部がWに置換されたNi・Mo複硼化物
(以下、(Mo・W)2NiB2と記す)を硬質相とし、結合
部が主として、Ni−Mo合金からなる焼結体において、複
硼化物からなる硬質相の一部が周期律表4a、5aおよび6a
族遷移金属の炭化物の一種以上によって置き換えられて
おり、結合部の割合が10〜60重量%であり、炭化物が硬
質相の0.5〜35体積%を占めていることにより、無加圧
焼結でも容易に得られる緻密で、高強度の焼結体を提供
するものである。 本発明の焼結体を得るには、たとえば、MoB、WB、M
o、Niの各粉末及び4a、5aおよび6a族遷移金属の炭化物
を秤取し、回転ボールミルや振動ボールミル等を用い
て、エタノール等の有機溶媒中で混合、粉砕し、乾燥後
金型プレスやラバープレス等で加圧成形して、真空中、
または水素等の中性あるいは還元性雰囲気において、10
00℃以上の温度、多くの場合1200℃〜1500℃程度の温度
領域で焼結加熱すればよい。用いる原料粉は、必ずしも
上記のMoB粉、WB粉、Mo粉、Ni粉等の形である必要はな
く、Ni−B合金粉とMo粉、W粉およびNi粉との組み合わ
せ、あるいは、予め、アトマイズ法やその他の方法で作
成したMo2NiB2粉末および/または(Mo・W)2NiB2粉末
とNi粉、Mo粉との組み合わせ、またあるいは、Ni,Mo,W
等の単体金属粉末との組み合わせでもよく、これらの組
み合わせの原料粉に所定量の金属炭化物を添加すればよ
い。さらに原料粉はできる限り純度が高く、微細である
方が優れた特性を有する最終焼結体を得る上で有利であ
ることはいうまでもない。 上記原料粉末の成形体を焼成すると、昇温過程で原料
中のMo、Ni、B及びWの各成分が反応し、Mo2NiB2ある
いは(Mo・W)2NiB2などを主結晶とする複硼化物を生
成し、次に、これらの複硼化物と、Ni及びMoを主成分と
する残りの相が共晶反応を起こし、液相を生ずる。この
液相の生成による液相焼結のため、相対密度がほぼ100
%の緻密な焼結体が得られる。本発明の焼結体の特徴
は、この液相焼結にもあり、通常の固相焼結では得難い
高密度の焼結体が短時間で容易に得られる。本発明の複
硼化物基焼結体の場合、焼結後の、主にNiとMoからなる
結合部と、硬質相の割合は、結合部が10〜60重量%、複
硼化物が40〜90重量%とされ、好ましくは結合部が15〜
30重量%、複硼化物が70〜85重量%とされる。本発明に
おいて、結合部と複硼化物の割合を上記の値とする理由
は、結合部が10%未満であると、強度と靭性が十分に大
きくなく、結合部が60重量%を超えると硬度や高温強度
(耐熱性)の低下があり、焼結時に変形が生じるため好
ましくない。 好ましい添加炭化物は、4a、5aおよび6a族遷移金属の
炭化物から選ばれる1種以上で、これらの炭化物の添加
により、室温から高温(〜1000℃)までの温度範囲で強
度の向上が見られ、特に室温から中温域(〜600℃)に
おける温度の向上が顕著である。また、炭化物の添加量
が増加すると硬度も増加する。このような強度や硬度の
向上効果は、上記の炭化物のいずれでも認められたが、
これらの中でも、TaC、NbC、WCまたはMo2Cが特に秀でて
いる。 添加する炭化物の量は、複硼化物と合わせた硬質相中
での比(原料配合時における組成比)で、0.5〜35体積
%において、好ましくは1〜25体積%において強度の向
上効果が顕著である。 添加炭化物の量を上記のように限定した理由は、炭化
物が複硼化物と合わせた硬質相中における比で0.5体積
%より少ないと、焼結体の強度向上効果が十分認められ
ず、35体積%より多いと強度と靭性、特に靭性が低下す
るためである。 炭化物添加により強度が向上する理由は次のように考
えられる。すなわち、添加した炭化物の一部、あるいは
大部分は、焼結中に金属と炭素の各元素に分解し、結合
相及び硬質相中に固溶し、これらの元素の固溶強化作用
によって焼結体の強度が向上しているものと考えられ
る。さらに炭化物の添加により、焼結体の組織が著しく
変化し、特に複硼化物の硬質相粒子の粒径が微細化する
ことから、複硼化物の粒子の微粒化が焼結体の強度の向
上に寄与していると考えられる。 炭化物の添加方法としては、単純な炭化物として添加
してもよいし、たとえば(Ta・Nb)Cのような複炭化物
の形で添加しても同様の効果が認められる。なお、本発
明焼結体において、そのほかの成分は可及的に含まれな
いことが望ましいが、目的を損なわない程度の分量含ま
れていても差し支えない。 [実施例] 以下、実施例により、発明を詳細に説明する。 実施例(1) MoB粉末(純度99.5%、平均粒径4.5μm)49重量%、
WB粉末(純度99.5%、平均粒径3.5μm)9重量%、TaC
粉末(純度99.5%、平均粒径1.1μm)5重量%、Mo粉
末(純度99.9%、平均粒径0.78μm)4重量%、カーボ
ニルニッケル粉末(純度99.6%、平均粒径2.8μm)33
重量%からなる原料粉末を秤取後、振動ミルを用いて、
エタノール中で24h混合・粉砕した。スラリーを真空乾
燥後、2ton/cm2の圧力で静水圧プレス成形を行い、成形
体を10-3torrの真空中において、1250℃で1時間焼成し
た。得られた焼結体の組織は、Ni、Mo、Ta及びCからな
る結合部中に、平均粒径2.5μm程度のMo2NiB2及び(Mo
・W)2NiB2と 同2μm程度のTaCが均一に分散したものであった。ま
た、この焼結体の相対密度は99.9%であり、焼結体の機
械的性質は、3点曲げ強度が室温で200kg/mm2、800℃で
185kg/mm2、室温の破壊靭性値K1Cは18MN/m3/2(ノッチ
角90゜のシェブロンノッチ法による)、室温のビッカー
ス硬度は1170(kg/mm2)、800℃では890(kg/mm2)であ
った。 実施例(2)〜(7) 実施例(1)と同様のプロセスで、表1に実施例
(2)〜(7)として示す焼結体を得た。得られた焼結
体の組織はMo2NiB2、(Mo・W)2NiB2及び添加炭化物か
らなる硬質相を、主としてNiとMoからなる合金の結合部
がとり囲んだ形態を示し、炭化物の添加効果により(Mo
・W)2NiB2及びMo2NiB2は、炭化物無添加のものより微
粒化していた。 比較例(1)〜(4) 実施例(1)と同様のプロセスで、表1に比較例
(1)〜(4)として示す焼結体を得た。得られた焼結
体の組織はMo2NiB2及び(Mo・W)2NiB2からなる硬質相
を主としてNiとMoからなる合金の結合部がとり囲んだ形
態を示していた。 [発明の効果] このように、本発明のNi・Mo複硼化物基焼結体は、高
密度と高強度に加えて高靭性を兼ね備えており、さらに
十分な硬度、耐熱衝撃性および耐酸化性を有している材
料であるため、各種金型や機械構成部材、特に、高耐熱
性を要求されるこれらの部材に最適であるばかりか、耐
食性、導電性にも本質的に優れているため、高温耐食部
材、電極等の広い用途にも使用でき、硼化物の特質をま
さに有効に発揮しうることを可能となしたものであっ
て、その実用的価値は多大である。
度・靭性ならびに耐熱衝撃性に優れたNi・Mo複硼化物基
焼結体、特に靭性に優れたNi・Mo複硼化物基焼結体に関
するものである。 [従来の技術] 従来から、金属硼化物を、その優れた性質、すなわ
ち、高融点・高強度・電気及び熱の良導性等を生かして
機械材料に利用しようとする試みが多くなされている。
特にTiB2やZrB2等の二硼化物は広範な研究がなされてお
り(日本金属学会報25、12(1986)1018)、一部では実
用化されている。しかしながら、金属硼化物は難焼結性
であるため、緻密でかつ高強度の焼結体が得難く、靭性
の点でも不十分である。 このため金属の鍛造加工や押出し加工用の金型といっ
た、強度と靭性、特に高靭性が要求される分野では、ほ
とんど実用化が進んでいない。 そこで硼化物を他の金属で結合して硼化物の特性を生
かしつつ、強度と靭性を付与しようとする提案(林、小
瀬、浜野窯業協会誌75(1967)84、B.Y.Yuriditskii e
t.al,Poroshkovaya.Metallurgiya No.4(232)1982.3
2)がなされており、無加圧焼結で緻密な焼結体を得て
いるが、その目的を達成できていない。 その理由は、本来靭性を付与すべく添加された金属が
硼化物と優先的に激しく反応し、たとえばFeはFe2B,FeB
12等、NiはNi2B,Ni4B3,NiB等の脆弱な硼化物を形成して
しまうためと考えられる。 この問題点を解決しようとしたものに特公昭56−1577
3などがあり、高強度の複硼化物サーメットを提案して
いる。しかし、これも結合金属が鉄ベースであることか
ら耐食性や耐酸化性に問題があり、硼化物の特性を十分
に活かしきっていない。 [発明の解決しようとする問題点] これらの点に鑑み、本発明者らは、Ni・Mo複硼化物を
硬質相とし、Ni合金を結合相とした、強度、靭性、耐食
性等に優れたサーメットを提案(特開昭63−143236)し
たが、さらに強度、靭性、耐熱衝撃性等の向上、特に強
度の向上に関して鋭意研究を重ねた結果、複硼化物から
なる硬質相の一部を特定の炭化物で置き換えることが効
果的であることを見い出し、本発明に至ったものであ
る。 [問題点を解決するための手段] すなわち、本発明のニッケル・モリブデン複硼化物基
焼結体は、Ni・Mo複硼化物(以下、Mo2NiB2と記す)お
よび/またはMoの一部がWに置換されたNi・Mo複硼化物
(以下、(Mo・W)2NiB2と記す)を硬質相とし、結合
部が主として、Ni−Mo合金からなる焼結体において、複
硼化物からなる硬質相の一部が周期律表4a、5aおよび6a
族遷移金属の炭化物の一種以上によって置き換えられて
おり、結合部の割合が10〜60重量%であり、炭化物が硬
質相の0.5〜35体積%を占めていることにより、無加圧
焼結でも容易に得られる緻密で、高強度の焼結体を提供
するものである。 本発明の焼結体を得るには、たとえば、MoB、WB、M
o、Niの各粉末及び4a、5aおよび6a族遷移金属の炭化物
を秤取し、回転ボールミルや振動ボールミル等を用い
て、エタノール等の有機溶媒中で混合、粉砕し、乾燥後
金型プレスやラバープレス等で加圧成形して、真空中、
または水素等の中性あるいは還元性雰囲気において、10
00℃以上の温度、多くの場合1200℃〜1500℃程度の温度
領域で焼結加熱すればよい。用いる原料粉は、必ずしも
上記のMoB粉、WB粉、Mo粉、Ni粉等の形である必要はな
く、Ni−B合金粉とMo粉、W粉およびNi粉との組み合わ
せ、あるいは、予め、アトマイズ法やその他の方法で作
成したMo2NiB2粉末および/または(Mo・W)2NiB2粉末
とNi粉、Mo粉との組み合わせ、またあるいは、Ni,Mo,W
等の単体金属粉末との組み合わせでもよく、これらの組
み合わせの原料粉に所定量の金属炭化物を添加すればよ
い。さらに原料粉はできる限り純度が高く、微細である
方が優れた特性を有する最終焼結体を得る上で有利であ
ることはいうまでもない。 上記原料粉末の成形体を焼成すると、昇温過程で原料
中のMo、Ni、B及びWの各成分が反応し、Mo2NiB2ある
いは(Mo・W)2NiB2などを主結晶とする複硼化物を生
成し、次に、これらの複硼化物と、Ni及びMoを主成分と
する残りの相が共晶反応を起こし、液相を生ずる。この
液相の生成による液相焼結のため、相対密度がほぼ100
%の緻密な焼結体が得られる。本発明の焼結体の特徴
は、この液相焼結にもあり、通常の固相焼結では得難い
高密度の焼結体が短時間で容易に得られる。本発明の複
硼化物基焼結体の場合、焼結後の、主にNiとMoからなる
結合部と、硬質相の割合は、結合部が10〜60重量%、複
硼化物が40〜90重量%とされ、好ましくは結合部が15〜
30重量%、複硼化物が70〜85重量%とされる。本発明に
おいて、結合部と複硼化物の割合を上記の値とする理由
は、結合部が10%未満であると、強度と靭性が十分に大
きくなく、結合部が60重量%を超えると硬度や高温強度
(耐熱性)の低下があり、焼結時に変形が生じるため好
ましくない。 好ましい添加炭化物は、4a、5aおよび6a族遷移金属の
炭化物から選ばれる1種以上で、これらの炭化物の添加
により、室温から高温(〜1000℃)までの温度範囲で強
度の向上が見られ、特に室温から中温域(〜600℃)に
おける温度の向上が顕著である。また、炭化物の添加量
が増加すると硬度も増加する。このような強度や硬度の
向上効果は、上記の炭化物のいずれでも認められたが、
これらの中でも、TaC、NbC、WCまたはMo2Cが特に秀でて
いる。 添加する炭化物の量は、複硼化物と合わせた硬質相中
での比(原料配合時における組成比)で、0.5〜35体積
%において、好ましくは1〜25体積%において強度の向
上効果が顕著である。 添加炭化物の量を上記のように限定した理由は、炭化
物が複硼化物と合わせた硬質相中における比で0.5体積
%より少ないと、焼結体の強度向上効果が十分認められ
ず、35体積%より多いと強度と靭性、特に靭性が低下す
るためである。 炭化物添加により強度が向上する理由は次のように考
えられる。すなわち、添加した炭化物の一部、あるいは
大部分は、焼結中に金属と炭素の各元素に分解し、結合
相及び硬質相中に固溶し、これらの元素の固溶強化作用
によって焼結体の強度が向上しているものと考えられ
る。さらに炭化物の添加により、焼結体の組織が著しく
変化し、特に複硼化物の硬質相粒子の粒径が微細化する
ことから、複硼化物の粒子の微粒化が焼結体の強度の向
上に寄与していると考えられる。 炭化物の添加方法としては、単純な炭化物として添加
してもよいし、たとえば(Ta・Nb)Cのような複炭化物
の形で添加しても同様の効果が認められる。なお、本発
明焼結体において、そのほかの成分は可及的に含まれな
いことが望ましいが、目的を損なわない程度の分量含ま
れていても差し支えない。 [実施例] 以下、実施例により、発明を詳細に説明する。 実施例(1) MoB粉末(純度99.5%、平均粒径4.5μm)49重量%、
WB粉末(純度99.5%、平均粒径3.5μm)9重量%、TaC
粉末(純度99.5%、平均粒径1.1μm)5重量%、Mo粉
末(純度99.9%、平均粒径0.78μm)4重量%、カーボ
ニルニッケル粉末(純度99.6%、平均粒径2.8μm)33
重量%からなる原料粉末を秤取後、振動ミルを用いて、
エタノール中で24h混合・粉砕した。スラリーを真空乾
燥後、2ton/cm2の圧力で静水圧プレス成形を行い、成形
体を10-3torrの真空中において、1250℃で1時間焼成し
た。得られた焼結体の組織は、Ni、Mo、Ta及びCからな
る結合部中に、平均粒径2.5μm程度のMo2NiB2及び(Mo
・W)2NiB2と 同2μm程度のTaCが均一に分散したものであった。ま
た、この焼結体の相対密度は99.9%であり、焼結体の機
械的性質は、3点曲げ強度が室温で200kg/mm2、800℃で
185kg/mm2、室温の破壊靭性値K1Cは18MN/m3/2(ノッチ
角90゜のシェブロンノッチ法による)、室温のビッカー
ス硬度は1170(kg/mm2)、800℃では890(kg/mm2)であ
った。 実施例(2)〜(7) 実施例(1)と同様のプロセスで、表1に実施例
(2)〜(7)として示す焼結体を得た。得られた焼結
体の組織はMo2NiB2、(Mo・W)2NiB2及び添加炭化物か
らなる硬質相を、主としてNiとMoからなる合金の結合部
がとり囲んだ形態を示し、炭化物の添加効果により(Mo
・W)2NiB2及びMo2NiB2は、炭化物無添加のものより微
粒化していた。 比較例(1)〜(4) 実施例(1)と同様のプロセスで、表1に比較例
(1)〜(4)として示す焼結体を得た。得られた焼結
体の組織はMo2NiB2及び(Mo・W)2NiB2からなる硬質相
を主としてNiとMoからなる合金の結合部がとり囲んだ形
態を示していた。 [発明の効果] このように、本発明のNi・Mo複硼化物基焼結体は、高
密度と高強度に加えて高靭性を兼ね備えており、さらに
十分な硬度、耐熱衝撃性および耐酸化性を有している材
料であるため、各種金型や機械構成部材、特に、高耐熱
性を要求されるこれらの部材に最適であるばかりか、耐
食性、導電性にも本質的に優れているため、高温耐食部
材、電極等の広い用途にも使用でき、硼化物の特質をま
さに有効に発揮しうることを可能となしたものであっ
て、その実用的価値は多大である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.Ni・Mo複硼化物および/またはNi・Mo・W複硼化物
を硬質相とし、結合部が主としてNi,Mo合金からなる焼
結体において、該複硼化物からなる硬質相の一部が周期
律表4a、5aおよび6a族遷移金属の炭化物の一種以上によ
って置き換えられており、結合部の割合が10〜60重量%
であり、炭化物が硬質相の0.5〜35体積%を占めている
ことを特徴とする高強度、高靭性のニッケル・モリブデ
ン複硼化物基焼結体。 2.硬質相の一部がTaC、NbC、WCおよびMo2Cから選ばれ
る一種以上の炭化物で置き換えられている特許請求の範
囲第1項記載の焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62288448A JP2677287B2 (ja) | 1987-11-17 | 1987-11-17 | ニッケル・モリブデン複硼化物基焼結体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62288448A JP2677287B2 (ja) | 1987-11-17 | 1987-11-17 | ニッケル・モリブデン複硼化物基焼結体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01131070A JPH01131070A (ja) | 1989-05-23 |
JP2677287B2 true JP2677287B2 (ja) | 1997-11-17 |
Family
ID=17730342
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62288448A Expired - Fee Related JP2677287B2 (ja) | 1987-11-17 | 1987-11-17 | ニッケル・モリブデン複硼化物基焼結体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2677287B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5323838A (en) * | 1992-07-08 | 1994-06-28 | Asahi Glass Company Ltd. | Injection sleeve for die casting and a method of casting an aluminum or an aluminum alloy part |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5918458B2 (ja) * | 1980-11-27 | 1984-04-27 | 工業技術院長 | M↓2b↓5型ホウ化物を含有したホウ化物系サ−メット材料 |
JPS62196353A (ja) * | 1986-02-24 | 1987-08-29 | Toyo Kohan Co Ltd | 高耐食性硬質焼結合金 |
-
1987
- 1987-11-17 JP JP62288448A patent/JP2677287B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01131070A (ja) | 1989-05-23 |
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