JP2534159B2 - Ni−Mo−W系複硼化物サ−メット焼結体とその製造方法 - Google Patents
Ni−Mo−W系複硼化物サ−メット焼結体とその製造方法Info
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- JP2534159B2 JP2534159B2 JP2132502A JP13250290A JP2534159B2 JP 2534159 B2 JP2534159 B2 JP 2534159B2 JP 2132502 A JP2132502 A JP 2132502A JP 13250290 A JP13250290 A JP 13250290A JP 2534159 B2 JP2534159 B2 JP 2534159B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はアルミニウムの押出型やアルミニウムのダイ
カスト型などの用途に適するNi−Mo−W系複硼化物焼結
体、さらに詳しくは強度、硬度および靱性に優れた緻密
なNi−Mo−W系複硼化物サーメット焼結体に関するもの
である。
カスト型などの用途に適するNi−Mo−W系複硼化物焼結
体、さらに詳しくは強度、硬度および靱性に優れた緻密
なNi−Mo−W系複硼化物サーメット焼結体に関するもの
である。
[技術の背景] 先に本発明者らは、強度、硬度、靱性ならびに耐熱衝
撃性に優れたNiのMoとWからなる複硼化物焼結体を特開
昭63−143236に開示し、さらに600℃〜1000℃付近まで
の高温度域における強度を向上せしめるのに、複硼化物
の硬質相の一部を4a、5aおよび6a族の遷移金属の金属窒
化物で置き換えることが有効であることを見出し、特開
平1−131071(以下、先行発明という)として開示して
いる。その後の研究の結果、焼結体の肉厚が30mm程度よ
り厚い場合、焼結体の内部に気孔が残留する傾向がある
のを認め、その原因の究明と改善対策を検討し、複硼化
物硬質相の一部を置換するために配合された窒化物の一
部分が焼結中に分解する傾向があり、分解して生成した
窒素ガスが気孔の残留の原因となっているものと考え
た。
撃性に優れたNiのMoとWからなる複硼化物焼結体を特開
昭63−143236に開示し、さらに600℃〜1000℃付近まで
の高温度域における強度を向上せしめるのに、複硼化物
の硬質相の一部を4a、5aおよび6a族の遷移金属の金属窒
化物で置き換えることが有効であることを見出し、特開
平1−131071(以下、先行発明という)として開示して
いる。その後の研究の結果、焼結体の肉厚が30mm程度よ
り厚い場合、焼結体の内部に気孔が残留する傾向がある
のを認め、その原因の究明と改善対策を検討し、複硼化
物硬質相の一部を置換するために配合された窒化物の一
部分が焼結中に分解する傾向があり、分解して生成した
窒素ガスが気孔の残留の原因となっているものと考え
た。
本発明は先行発明による焼結体の優れた強度、硬度、
靱性ならびに耐熱衝撃性を損うことなく、厚肉の焼結体
の焼結不良、特には肉厚30mm以上を有する焼結体の内部
に残留する気孔を無くした緻密な焼結体を得ようとする
ものである。
靱性ならびに耐熱衝撃性を損うことなく、厚肉の焼結体
の焼結不良、特には肉厚30mm以上を有する焼結体の内部
に残留する気孔を無くした緻密な焼結体を得ようとする
ものである。
[発明の構成] 本発明のNi−Mo−W系複硼化物サーメット焼結体は、
Ni−Mo−W系複硼化物を硬質相とし、結合相が主として
Ni、MoおよびWの合金からなる焼結体であって、硬質相
および結合相中にTaおよび/またはNbが固溶されてお
り、結合相中にTaが1〜25重量%および/またはNbが1
〜35重相量%固溶した相対密度が99.9%以上の緻密な焼
結体とされていることを特徴とする。
Ni−Mo−W系複硼化物を硬質相とし、結合相が主として
Ni、MoおよびWの合金からなる焼結体であって、硬質相
および結合相中にTaおよび/またはNbが固溶されてお
り、結合相中にTaが1〜25重量%および/またはNbが1
〜35重相量%固溶した相対密度が99.9%以上の緻密な焼
結体とされていることを特徴とする。
本発明のNi−Mo−W系複硼化物サーメット焼結体で
は、結合相中に含まれるTaの量が1〜25重量%および/
またはNbの量が1〜35重量%であり、好ましくはTaの含
有量が5〜20重量%、Nbの含有量が3〜10重量%とされ
る。
は、結合相中に含まれるTaの量が1〜25重量%および/
またはNbの量が1〜35重量%であり、好ましくはTaの含
有量が5〜20重量%、Nbの含有量が3〜10重量%とされ
る。
本発明のNi−Mo−W系複硼化物サーメット焼結体の他
の好ましい態様では、焼結体の肉厚が30mm以上である。
の好ましい態様では、焼結体の肉厚が30mm以上である。
本発明のNi−Mo−W系複硼化物サーメット焼結体の他
の好ましい態様では、焼結体中に結合相を14〜70重量%
であり、焼結体中央部の曲げ強度が170kg/mm2以上であ
る。
の好ましい態様では、焼結体中に結合相を14〜70重量%
であり、焼結体中央部の曲げ強度が170kg/mm2以上であ
る。
本発明のNi−Mo−W系複硼化物を硬質相とし、結合相
が主としてNi、MoおよびWの合金からなるサーメット焼
結体の製造方法は、硬質相および結合相中に固溶せしめ
るTaおよび/またはNbの原料として、Ta粉、Nb粉、Ta−
B合金粉、Nb−B合金粉、Ta−Ni合金粉およびNb−Ni合
金粉から選ばれる一種以上の粉末を用い、結合相中にお
けるTaの含有率が1〜25重量%、Nbの含有率が1〜35重
量%となるようにTaおよび/またはNbの原料を配合す
る。
が主としてNi、MoおよびWの合金からなるサーメット焼
結体の製造方法は、硬質相および結合相中に固溶せしめ
るTaおよび/またはNbの原料として、Ta粉、Nb粉、Ta−
B合金粉、Nb−B合金粉、Ta−Ni合金粉およびNb−Ni合
金粉から選ばれる一種以上の粉末を用い、結合相中にお
けるTaの含有率が1〜25重量%、Nbの含有率が1〜35重
量%となるようにTaおよび/またはNbの原料を配合す
る。
即ち本発明は、Ni−Mo−W系複硼化物((Mo1-xWx)2NiB
2)を硬質相とし、結合相が主としてNi、MoおよびWの合
金からなる焼結体において、硬質相および結合相中にTa
および/またはNbを固溶せしめたことにより高強度、高
硬度、高靱性で耐熱衝撃性にすぐれているとともに、焼
結性が良好で緻密なサーメット焼結体を提供するもので
ある。
2)を硬質相とし、結合相が主としてNi、MoおよびWの合
金からなる焼結体において、硬質相および結合相中にTa
および/またはNbを固溶せしめたことにより高強度、高
硬度、高靱性で耐熱衝撃性にすぐれているとともに、焼
結性が良好で緻密なサーメット焼結体を提供するもので
ある。
本発明のサーメット焼結体を得るには、例えばMoB、W
B、MoおよびNiの各粉末にTa粉、Nb粉、Ta−B合金粉、N
b−B合金粉、Ta−Ni合金粉、Nb−Ni合金粉の中から選
ばれる1種以上の粉末を秤量して加え、回転ボールミル
や振動ボールミル等を用いて、エタノール等の有機溶媒
中で混合粉砕し、乾燥後、金型プレスやラバープレス等
を用いて加圧成形し、好ましくは真空中等の減圧雰囲気
中において、1100℃〜1500℃で焼結する。用いる原料粉
末は必ずしも上記のMoB粉、WB粉、Mo粉およびNi粉の形
である必要はなく、例えばNi−B合金粉とMo粉、W粉お
よびNi粉との組合せ、あるいは予めアトマイズ法やその
他の方法で合成したMo2NiB2粉末や(Mo1-xWx)2NiB2粉末
とNi粉末、Mo粉末等との組合せ、更にはNi、Mo、W等の
単体の金属粉末とB粉末の組合せ等でもよく、これらの
組合せの原料粉末にTa粉、Nb粉、Ta−B粉、Nb−B粉、
Ta−Ni粉、Nb−Ni粉の中から選ばれる1種類以上の粉末
を所定量配合すればよい。
B、MoおよびNiの各粉末にTa粉、Nb粉、Ta−B合金粉、N
b−B合金粉、Ta−Ni合金粉、Nb−Ni合金粉の中から選
ばれる1種以上の粉末を秤量して加え、回転ボールミル
や振動ボールミル等を用いて、エタノール等の有機溶媒
中で混合粉砕し、乾燥後、金型プレスやラバープレス等
を用いて加圧成形し、好ましくは真空中等の減圧雰囲気
中において、1100℃〜1500℃で焼結する。用いる原料粉
末は必ずしも上記のMoB粉、WB粉、Mo粉およびNi粉の形
である必要はなく、例えばNi−B合金粉とMo粉、W粉お
よびNi粉との組合せ、あるいは予めアトマイズ法やその
他の方法で合成したMo2NiB2粉末や(Mo1-xWx)2NiB2粉末
とNi粉末、Mo粉末等との組合せ、更にはNi、Mo、W等の
単体の金属粉末とB粉末の組合せ等でもよく、これらの
組合せの原料粉末にTa粉、Nb粉、Ta−B粉、Nb−B粉、
Ta−Ni粉、Nb−Ni粉の中から選ばれる1種類以上の粉末
を所定量配合すればよい。
一般的にこれらの原料粉末はできる限り純度が高く微
細である方が優れた特性を有するサーメット焼結体を得
る上で有利であることは言うまでもない。
細である方が優れた特性を有するサーメット焼結体を得
る上で有利であることは言うまでもない。
これらの原料を用いた成形体を焼結する際、昇温過程
で成形体中の各成分が反応してM3B2(Mは主としてMo、
WおよびNiでありこれに固溶する副成分としてTaおよび
/またはNbを含む)タイプの複硼化物を形成し、次にこ
の複硼化物とNi、MoおよびWを主成分とし、副成分とし
てTaおよび/またはNbを含有する残りの金属相が共晶反
応を起し液相を生ずる。成形体はこの液相焼結によって
容易に相対密度がほぼ100%の緻密な焼結体となる。
で成形体中の各成分が反応してM3B2(Mは主としてMo、
WおよびNiでありこれに固溶する副成分としてTaおよび
/またはNbを含む)タイプの複硼化物を形成し、次にこ
の複硼化物とNi、MoおよびWを主成分とし、副成分とし
てTaおよび/またはNbを含有する残りの金属相が共晶反
応を起し液相を生ずる。成形体はこの液相焼結によって
容易に相対密度がほぼ100%の緻密な焼結体となる。
本発明によるサーメット焼結体の製造方法では、先行
発明によるサーメット焼結体のように、窒化物を添加し
ないので、先行発明によるサーメット焼結体に見られ
た、窒化物の一部分が分解して発生する窒素ガスを原因
とする気孔の形成もなく、緻密で特性の優れたサーメッ
ト焼結体となり、特に焼結体の肉厚が30mmを超えても、
内部まで緻密な焼結体となる。
発明によるサーメット焼結体のように、窒化物を添加し
ないので、先行発明によるサーメット焼結体に見られ
た、窒化物の一部分が分解して発生する窒素ガスを原因
とする気孔の形成もなく、緻密で特性の優れたサーメッ
ト焼結体となり、特に焼結体の肉厚が30mmを超えても、
内部まで緻密な焼結体となる。
本発明において、結合相および硬質相中に固溶せしめ
る金属元素としてTaおよび/またはNbが選ばれるのは、
TaやNbが結合相中に固溶するときの固溶強化能が大き
く、焼結体の強度向上に寄与する効果が大きいためであ
る。
る金属元素としてTaおよび/またはNbが選ばれるのは、
TaやNbが結合相中に固溶するときの固溶強化能が大き
く、焼結体の強度向上に寄与する効果が大きいためであ
る。
次に固溶せしめるTaやNbの供給原料としてTa粉、Nb
粉、Ta−B粉、Nb−B粉、Ta−Ni粉、Nb−Ni粉の中から
選ばれる1種類以上の粉末を選ぶ理由は、これらの原料
がMoB、WB、Ni、Mo等の他の原料粉末と比較的反応しや
すく、結合相や硬質相中に溶け込みやすいこと、および
先行発明で用いられた窒化物と異なり焼結時に気孔の原
因となるようなガスの放出がないことなどが挙げられ
る。
粉、Ta−B粉、Nb−B粉、Ta−Ni粉、Nb−Ni粉の中から
選ばれる1種類以上の粉末を選ぶ理由は、これらの原料
がMoB、WB、Ni、Mo等の他の原料粉末と比較的反応しや
すく、結合相や硬質相中に溶け込みやすいこと、および
先行発明で用いられた窒化物と異なり焼結時に気孔の原
因となるようなガスの放出がないことなどが挙げられ
る。
結合相中に含まれるTaおよび/またはNbの量を各々1
〜25重量%、1〜35重量%としたのは、これらの量より
含有量が少ないと強度などの特性の向上効果が充分得ら
れず、またこれらの量より含有量が多いと逆に強度の低
下が認められるためである。
〜25重量%、1〜35重量%としたのは、これらの量より
含有量が少ないと強度などの特性の向上効果が充分得ら
れず、またこれらの量より含有量が多いと逆に強度の低
下が認められるためである。
得られる焼結体の特性から見て、結合相中に含まれる
Taおよび/またはNbの量は各々5〜20重量%、3〜10重
量%とするのがより好ましい。
Taおよび/またはNbの量は各々5〜20重量%、3〜10重
量%とするのがより好ましい。
さらに好ましくは、TaやNbとともに結合相中に含有さ
れるMoとWの合計量を10〜35重量%とすると、Taおよび
/またはNbによる固溶強化の効果がさらに高まり、強度
や靱性等の特性がさらに向上する。
れるMoとWの合計量を10〜35重量%とすると、Taおよび
/またはNbによる固溶強化の効果がさらに高まり、強度
や靱性等の特性がさらに向上する。
原料中に配合されたMoとWは、本発明の複硼化物サー
メット焼結体の焼結過程では、先ず優先的に複硼化物の
成形に利用され、余剰のMoとWが結合相中に固溶すると
いう傾向を示す。
メット焼結体の焼結過程では、先ず優先的に複硼化物の
成形に利用され、余剰のMoとWが結合相中に固溶すると
いう傾向を示す。
結合相中にMoとWが10〜35重量%固溶されている場
合、MoとWの好ましい固溶割合はMoが70〜95重量%、W
が5〜30重量%である。複硼化物サーメット焼結体の中
のWの含有量を余りに増すことは、焼結体の比重を大き
くすることになり、この点からWの含有量は余り多くし
ないほうが良い。
合、MoとWの好ましい固溶割合はMoが70〜95重量%、W
が5〜30重量%である。複硼化物サーメット焼結体の中
のWの含有量を余りに増すことは、焼結体の比重を大き
くすることになり、この点からWの含有量は余り多くし
ないほうが良い。
焼結体中に占める結合相の割合を14〜70重量%とする
のが好ましいのは、結合相の量が14重量%より多いと優
れた強度と靱性、特に靱性が優れた焼結体が得られるか
らであり、また結合相の割合が70重量%を超えると硬度
の低下傾向が認められるからである。
のが好ましいのは、結合相の量が14重量%より多いと優
れた強度と靱性、特に靱性が優れた焼結体が得られるか
らであり、また結合相の割合が70重量%を超えると硬度
の低下傾向が認められるからである。
本発明の複硼化物サーメットの製造方法において、成
形体の焼結は、好ましくは10-2torr以下の真空中で行
う。このことは焼結の初期において原料粉末に吸着され
ているガス成分等の放出に都合が良く、緻密な焼結体が
得やすくなる他、アルゴンなどのガスを消費しない点で
も好ましいためである。
形体の焼結は、好ましくは10-2torr以下の真空中で行
う。このことは焼結の初期において原料粉末に吸着され
ているガス成分等の放出に都合が良く、緻密な焼結体が
得やすくなる他、アルゴンなどのガスを消費しない点で
も好ましいためである。
[実施例] 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 MoB粉末(B含有量10.3%、平均粒径4.5μm)47重量
%、WB粉末(B含有量5.5%、平均粒径3.5μm)8重量
%、Mo粉末(純度99.9%、平均粒径0.8μm)7重量
%、Ni粉末(純度99.6%、平均粒径2.8μm)33重量
%、Ta粉末(純度99.7%、平均粒径15μm)5重量%を
秤量して合わせ、振動ミルを用いてエタノール媒体中で
24時間混合粉砕した。得られたスラリーを減圧下で乾燥
後2トン/cm2の圧力で静水圧プレス成形を行い、これ
を約10-3torrの真空中において1275℃の温度で1時間焼
結し50mm×50mm×50mmの立方体形状の焼結体を得た。
%、WB粉末(B含有量5.5%、平均粒径3.5μm)8重量
%、Mo粉末(純度99.9%、平均粒径0.8μm)7重量
%、Ni粉末(純度99.6%、平均粒径2.8μm)33重量
%、Ta粉末(純度99.7%、平均粒径15μm)5重量%を
秤量して合わせ、振動ミルを用いてエタノール媒体中で
24時間混合粉砕した。得られたスラリーを減圧下で乾燥
後2トン/cm2の圧力で静水圧プレス成形を行い、これ
を約10-3torrの真空中において1275℃の温度で1時間焼
結し50mm×50mm×50mmの立方体形状の焼結体を得た。
得られた焼結体の相対密度は99.9%以上であった。こ
の焼結体の、中央部から3mm×3mm×30mmの曲げ試験片を
切出し、室温における3点曲げ強度を測定したところ19
5kg/mm2であった。また、焼結体の中央部から切り出し
た3mm×3mm×30mmの試験片についてシェブロンノッチ法
により破壊靱性値を測定したところ、18MN/m3/2であ
り、ビッカース硬さは1000kg/mm2であった。また、用い
た原料粉末の組成と平均粒径を第1表にまとめて示し
た。
の焼結体の、中央部から3mm×3mm×30mmの曲げ試験片を
切出し、室温における3点曲げ強度を測定したところ19
5kg/mm2であった。また、焼結体の中央部から切り出し
た3mm×3mm×30mmの試験片についてシェブロンノッチ法
により破壊靱性値を測定したところ、18MN/m3/2であ
り、ビッカース硬さは1000kg/mm2であった。また、用い
た原料粉末の組成と平均粒径を第1表にまとめて示し
た。
実施例2〜14、比較例1〜7 TaやNbの供給原料の種類および配合量を変え、焼結体
の寸法以外の処方については実施例1と同様の条件で焼
結体を作製して特性を調べたところ、第2表(実施
例)、第3表(比較例)に示す結果を得た。
の寸法以外の処方については実施例1と同様の条件で焼
結体を作製して特性を調べたところ、第2表(実施
例)、第3表(比較例)に示す結果を得た。
実施例1〜14および比較例1、5〜7はTaやNbの供給
原料としてTaやNbの窒化物を使用していないことによ
り、50mm×50mm×50mmの厚肉ブロックを焼結しても内部
に気孔が残留せず、相対密度はいずれの焼結体も99.9%
以上となり、これら焼結体の中央部から切り出した試験
片について強度、硬度および靱性を測定したところ、本
発明の焼結体ではいずれも高いレベルの値が得られた。
原料としてTaやNbの窒化物を使用していないことによ
り、50mm×50mm×50mmの厚肉ブロックを焼結しても内部
に気孔が残留せず、相対密度はいずれの焼結体も99.9%
以上となり、これら焼結体の中央部から切り出した試験
片について強度、硬度および靱性を測定したところ、本
発明の焼結体ではいずれも高いレベルの値が得られた。
比較例1はTaやNbを結合相中に含有しない試料であ
る。この場合の相対密度は99.9%以上であり、中央部ま
で緻密に焼結されているが、強度、硬度、靱性の測定値
はいずれも低い値を示した。
る。この場合の相対密度は99.9%以上であり、中央部ま
で緻密に焼結されているが、強度、硬度、靱性の測定値
はいずれも低い値を示した。
比較例2および3はTaNの形でTaを添加した試料の薄
肉品と厚肉品の特性を示しているが、比較例2の薄肉品
の場合と比べると比較例3の厚肉品の強度、硬度、靱性
の差が著しいことがわかる。比較例4はNbNの形でNbを
添加した試料であるが、相対密度が低く十分な強度、硬
度、靱性が得られていない。
肉品と厚肉品の特性を示しているが、比較例2の薄肉品
の場合と比べると比較例3の厚肉品の強度、硬度、靱性
の差が著しいことがわかる。比較例4はNbNの形でNbを
添加した試料であるが、相対密度が低く十分な強度、硬
度、靱性が得られていない。
比較例5は、結合層中のNbの重量%を多くした場合で
あるが曲げ強度と靱性が相対的に小さくなっている。
あるが曲げ強度と靱性が相対的に小さくなっている。
比較例6、7はWを含まないサーメット焼結体であ
り、相対するWを含む焼結体と比べると、強度、硬度お
よび靱性が相対的に小さいことが分かる。
り、相対するWを含む焼結体と比べると、強度、硬度お
よび靱性が相対的に小さいことが分かる。
以上のように本発明のNi−Mo−W系複硼化物サーメッ
ト焼結体では、肉厚が30mm以上ある焼結体の場合にも、
窒化物の形でTaやNbを添加した焼結体(先行発明による
焼結体)と比較して焼結体中央部での気孔の残留がなく
均質であり、高い強度、硬度、靱性等の特性を保有して
いる。したがってアルミニウムの押出し成形用ダイスや
アルミニウムのダイカスト成形用金型等の金型類など、
大型で厚肉の素材を必要とし、さらに高強度、高硬度、
高靱性が要求される用途で優れた性能と耐久性を示す材
料を提供するものであり、その産業上の利用効果は多大
である。
ト焼結体では、肉厚が30mm以上ある焼結体の場合にも、
窒化物の形でTaやNbを添加した焼結体(先行発明による
焼結体)と比較して焼結体中央部での気孔の残留がなく
均質であり、高い強度、硬度、靱性等の特性を保有して
いる。したがってアルミニウムの押出し成形用ダイスや
アルミニウムのダイカスト成形用金型等の金型類など、
大型で厚肉の素材を必要とし、さらに高強度、高硬度、
高靱性が要求される用途で優れた性能と耐久性を示す材
料を提供するものであり、その産業上の利用効果は多大
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−19441(JP,A) 特開 昭62−196353(JP,A)
Claims (7)
- 【請求項1】Ni−Mo−W系複硼化物を硬質相とし、結合
相が主としてNi、MoおよびWの合金からなる焼結体であ
って、硬質相および結合相中にTaおよび/またはNbが固
溶されており、結合相中にTaが1〜25重量%および/ま
たはNbが1〜35重量%固溶した相対密度が99.9%以上の
緻密な焼結体とされていることを特徴とするNi−Mo−W
系複硼化物サーメット焼結体。 - 【請求項2】請求項1において、結合相中に固溶してい
るTaの量が5〜20重量%であるNi−Mo−W系複硼化物サ
ーメット焼結体。 - 【請求項3】請求項1または2において、結合相中に固
溶しているNbの量が3〜10重量%であるNi−Mo−W系複
硼化物サーメット焼結体。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1つにおいて、焼
結体の肉厚が30mm以上であるNi−Mo−W系複硼化物サー
メット焼結体。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1つにおいて、焼
結体中に結合相を14〜70重量%含み、かつ焼結体中央部
の曲げ強度が170kg/mm2以上であるNi−Mo−W系複硼化
物サーメット焼結体。 - 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1つにおいて、結
合相中にMoとWが合計量で10〜35重量%固溶しており、
この合計量中のWの割合が5〜30重量%であるNi−Mo−
W系複硼化物サーメット焼結体。 - 【請求項7】Ni−Mo−W系複硼化物を硬質相とし、結合
相が主としてNi、MoおよびWの合金からなる焼結体を製
造するに際し、硬質相および結合相中に固溶せしめるTa
および/またはNbの原料として、Ta粉、Nb粉、Ta−B合
金粉、Nb−B合金粉、Ta−Ni合金粉およびNb−Ni合金粉
から選ばれる一種以上の粉末を用い、結合相中のTaの含
有量が1〜25重量%および/またはNbの含有量が1〜35
重量%となるようにTaおよび/またはNbの原料を配合し
たものを焼結することを特徴とするNi−Mo−W系複硼化
物サーメット焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2132502A JP2534159B2 (ja) | 1990-05-24 | 1990-05-24 | Ni−Mo−W系複硼化物サ−メット焼結体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2132502A JP2534159B2 (ja) | 1990-05-24 | 1990-05-24 | Ni−Mo−W系複硼化物サ−メット焼結体とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0428840A JPH0428840A (ja) | 1992-01-31 |
JP2534159B2 true JP2534159B2 (ja) | 1996-09-11 |
Family
ID=15082866
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2132502A Expired - Fee Related JP2534159B2 (ja) | 1990-05-24 | 1990-05-24 | Ni−Mo−W系複硼化物サ−メット焼結体とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2534159B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3025601B2 (ja) * | 1993-04-28 | 2000-03-27 | 旭硝子株式会社 | 鍛造加工用金型およびその製造方法 |
-
1990
- 1990-05-24 JP JP2132502A patent/JP2534159B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0428840A (ja) | 1992-01-31 |
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