JP2676544B2 - タイヤトレツド用ゴム組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、氷上摩擦性能（アイススキッド性能）の改
良されたタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。

〔従来の技術〕

従来より積雪寒冷地において冬期時に自動車が走行す
る場合には、タイヤにスパイクを打ち込んだスパイクタ
イヤを用いるか又はタイヤの外周にタイヤチェーンを装
着して、雪上路や凍結路での安全性を確保している。し
かしながら、スパイクタイヤやタイヤチェーンを装着し
たタイヤでは、道路の摩耗や損傷が発生し易く、それが
粉塵となって公害を引き起こし、これが大きな環境問題
となっている。

このような安全問題と環境問題とを解決するために、
スパイクやチェーンを使用せず、雪上および氷上におけ
る制動性および駆動性能を有したスタッドレスタイヤが
現在急速に普及しつつある。

かかるスタッドレスタイヤの氷上における制動性、駆
動性能を改良するために従来から種々の提案が試みられ
ている。例えば、特開昭55−135149号公報、特開昭58−
199203号公報、特開昭60−137945号公報に開示されてい
るように、トレッドゴムに軟化剤や可塑剤を多量配合し
たゴム組成物を用いることにより低温時の硬さを下げて
低温特性を改良する方法等が知られているが、軟化剤、
可塑剤を多量配合すると氷上性能は改良されるものの、
一般路での耐摩耗性が大幅に低下したり、多量配合され
た軟化剤、可塑剤のためにゴムの発熱性が増加し、タイ
ヤが走行中にセパレーシヨンを誘起し易い等の欠点があ
る。また、特開昭60−44538号公報、特開昭59−142236
号公報、特開昭53−133248号公報には、トレッドゴム組
成物に高硬度ゴムを配合して分散させたり、無機質の粒
子や有機質の単繊維を配合して分散させたりして、氷上
路面との摩擦力を改良する方法が開示されているが、こ
の場合、分散物の硬さ不足から期待されるスパイク効果
が十分に発揮できない。また、ゴム組成物そのものに通
常よく使用される発泡剤を配合し、ゴム組成物自身を発
泡させることも考えられるが、やはり耐摩耗性が低下し
てしまい好ましくない。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は、スパイク効果を十分に発揮できる、氷上摩
擦性能の改良されたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供
することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

このため、本発明は、原料ゴム100重量部に対し、カ
ーボンブラック40〜90重量部、および平均粒径2mm以下
の多孔質物質を４〜30重量部配合してなるタイヤトレッ
ド用ゴム組成物を要旨とするものである。

以下、この手段につき詳しく説明する。

（１） 原料ゴム。

通常のゴムを用いれば、特に限定されるものではない
が、好ましくは、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ
ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン含有
量０〜28重量％のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム或
いはこれらのブレンドが用いられる。

（２） カーボンブラック。

通常のトレッド用として使用されるものであればよ
く、その種類は限定されるものでない。カーボンブラッ
クの配合量は、原料ゴム100重量部に対して40〜90重量
部である。40重量部未満では補強性に劣り、耐摩耗性が
低下する。一方、90重量部を超えると発熱が高くなり、
好ましくない。

（３） 多孔質物質。

特定されるものではないが、例えば、スポンジ、皮、
多孔質中空糸（現在、例えば浄水器に使用されてい
る）、ガラスバルーン、シラスバルーンなどである。

多孔質物質の配合量は、原料ゴム100重量部に対して
４〜30重量部である。４重量部未満では氷上摩擦力の向
上をはかることができず、一方、30重量部を超えると耐
摩耗性が低下するからである。

この多孔質物質の形状は、棒状、立方体状、粒状或い
はこれらに類似した形態のもので、平均粒径は2mm以
下、好ましくは1mm以下である。2mmを超えるとトレッド
部の耐摩耗性が著しく低下するからである。

（４） 本発明のゴム組成物には、上記の原料ゴムおよ
び配合剤以外に、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助
剤、老化防止剤等の配合剤が適宜添加されていてもよ
い。なお、本発明のゴム組成物から上記多孔質物質を除
いた配合物（すなわち、マトリックス）の加硫後の硬度
は、JIS Hs ＠25℃55〜70である。

ところで、氷雪路面ではタイヤの走行時の摩擦熱によ
り氷の融解が起こり、タイヤ踏面と氷の間にたえず水膜
が介在する状態となるため、摩擦力が著しく低下してし
まう。このような状況のもとで摩擦力を高めるには、水
膜を短時間で除去することが必要となる。本発明のゴム
組成物をタイヤトレッドに用いた場合には、トレッド中
に多孔質物質が混在してそれがトレッド表面に部分的に
表われているために、該多孔質物質により水膜を吸い取
って路面から短時間のうちに該水膜を除去することがで
きる。これにより、路面の摩擦係数（ミュー）が大とな
る。

以下に実施例および比較例を示す。

〔実施例、比較例〕

表１に示される配合内容（重量部）の本発明のゴム組
成物（実施例１〜４）と本発明外のゴム組成物（比較例
１〜５）を加硫して（加硫条件;150℃×25分）、氷上摩
擦力および耐摩耗性を下記により評価した。この結果を
表１に示す。表１から、本発明のゴム組成物が氷上摩擦
性能（氷上摩擦力）および耐摩耗性に優れていることが
判る。

氷上摩擦力： プリティッシュポータブルスキッドテスターを使用。
蒸溜水を用いて調整した氷上路面（路面温度−８℃）、
サンプル温度−５℃にて実施。比較例１を100として指
数表示。指数大なるほど摩擦力は大。

耐摩耗性： ピコ式摩耗試験機を用い、荷重10lbにて実施。比較例
１を100として指数表示。指数大なるほど耐摩耗性は良
好である。

〔発明の効果〕 以上説明したように本発明によれば、原料ゴムに特定
量のカーボンブラックと特定量の多孔質物質を配合して
なるゴム組成物は氷上路面での摩擦力を向上させること
ができる。したがって、本発明のゴム組成物は、特に雪
氷路面走行用のタイヤトレッド材料として好適に用いら
れる。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】原料ゴム100重量部に対し、カーボンブラ
   ック40〜90重量部、および平均粒径2mm以下の多孔質物
   質を４〜30重量部配合してなるタイヤトレッド用ゴム組
   成物。