JP2674556B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機

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JP2674556B2 JP7087156A JP8715695A JP2674556B2 JP 2674556 B2 JP2674556 B2 JP 2674556B2 JP 7087156 A JP7087156 A JP 7087156A JP 8715695 A JP8715695 A JP 8715695A JP 2674556 B2 JP2674556 B2 JP 2674556B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、車両用交流発電機に関
し、特に爪状磁極を界磁回転子とする車両用交流発電機
に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ランデル型爪状磁極を界磁回転子
とする車両用交流発電機では、発電機の出力を向上させ
る一つの手段として、爪状磁極側面対向部間及び爪状磁
極と界磁コイルとの間での漏洩磁束が多いことに着目
し、この部分に鉄粉等の磁性材料を含んだ接着剤を充填
し、漏洩磁束と反対方向に着磁することにより前記漏洩
磁束を減らし、発電機の出力を向上させる技術が、例え
ば特開昭54−116610号にて提案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術におい
ては、鉄粉等の導電物質が巻線近傍に付着することによ
る耐圧の著しい劣化の生じる欠点や、充分な固着力を得
るため大量の接着剤を混合する必要があるため巻線電磁
石がフル励磁される際、これに対抗できる最低限の抗磁
特性も得がたく、また、均一な接着剤の充填も容易では
ないという不具合がある。 【0004】また、前記接着剤混練磁性体により爪状磁
極間の漏洩磁束は幾分減殺されるものの、界磁コイルが
接着剤で覆われて熱がこもり、その励磁力が低下する度
合いが大きく、結果としてほとんど出力向上が望めず、
また、永久磁石の起磁力もその熱により低下し、漏洩磁
束の減殺能力が低下するという問題がある。また、この
ような補助的な永久磁石を爪状磁極間に保持するには、
回転子の回転に伴う遠心力に耐えうる強固な構造が必要
である。その一方で、組み付け性に優れた構造をもつこ
とが特に車両用交流発電機のように大量生産性が求めら
れるものでは重要であった。 そこで本発明は、漏洩磁束
を低減して車両用交流発電機の出力向上を図るととも
に、爪状磁極間に保持された補助磁石の高い耐遠心力強
度を実現するとともに、爪状磁極間の複数の隙間に保持
される補助磁石の優れた組み付け性を実現することを目
的とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、出力コイルが巻回された電機子鉄心と、
この電機子鉄心の内周側に配置されて回転するランデル
型爪状磁極を含む回転子と、前記爪状磁極に界磁を供給
する界磁コイルとを備えた車両用交流発電機において、
隣接する前記爪状磁極の間の隙間に部分的に配置された
補助磁石を備え、前記界磁コイルにより前記爪状磁極を
磁化する巻線界磁磁気回路が構成されるとともに、前記
補助磁石により前記爪状磁極を前記巻線界磁磁気回路と
対向極性方向に磁化する補助磁石磁気回路が構成されて
おり、前記爪状磁極は、隣接する前記爪状磁極の間の隙
間が前記回転子の径方向外側で狭くなるように形成され
ており、前記補助磁石は、隣接する前記爪状磁極の間の
隙間に配置されて前記爪状磁極によって前記回転子の径
方向外側への移動を規制されているとともに、複数の前
記隙間にわたって配設された連結部材を介して連結され
ていることを特徴とする車両用交流発電機という技術的
手段が採用される。 【0006】 【作用】本発明の構成によると、隣接する爪状磁極の間
の隙間に部分的に配置された補助磁石により爪状磁極間
に生じる漏洩磁束が効果的に減少される。この結果、界
磁コイルの界磁により発生する発電機出力が向上され
る。しかも、隣接する前記爪状磁極の間の隙間が前記回
転子の径方向外側で狭くなるように前記爪状磁極が形成
されているため、この隙間に設けられる補助磁石の遠心
方向、すなわち回転子の径方向外側への移動が、本来的
に耐遠心力強度をもつ爪状磁極によって規制され、補助
磁石を爪状磁極間に保持しても高い耐遠心力強度をもっ
た構造を実現できる。しかも、複数の隙間に配置される
補助磁石は、複数の隙間にわたって配設された連結部材
によって連結されているため、ランデル型爪状磁極を構
成するに際し、複数の隙間に部分的に配置される補助磁
石を容易に組み付けることが可能になる。 【0007】 【実施例】以下、本発明を図に示す実施例について説明
する。本発明において、車両用交流発電機としての基本
構成は従来の発電機と同一であるので、以下本発明の特
徴とする構成について説明する。まず、図1は本発明に
なる車両用交流発電機の前提となる永久磁石を各爪状磁
極間に個別に配設する構成を示す爪状磁極部の円周方向
部分断面、図2は図1図示の矢印A方向から見た上面模
式図、図3は図1の車両用交流発電機の回転子を示す部
分縦断面側面図、図4は車両用交流発電機の出力の特徴
を説明する特性図である。これらの図において、爪状磁
極1の両側に略つば状突部5を形成してあり、このつば
状突部外径面は回転子外径面と同一面となっており、こ
のつば状突部5の内径側に永久磁石係合部5´を有し、
永久磁石3はこの係合部5´と爪状磁極側面部4とに接
着剤により係合固着されている。永久磁石3は、回転子
外径面より外径側に張り出すことなく、また爪状磁極内
径面1´よりも内径側に張り出すことなく設けられてお
り、軸方向に関しても爪状磁極先端より張り出すことな
く配設されている。そして、図3に示すように、永久磁
石3と界磁コイル2との間には、径方向に所定の間隙を
有する通風用空間9が設けられており、永久磁石3を設
けた際にこもりやすい熱の放散を積極的に行ない、永久
磁石3と界磁コイル2とを十分に冷却している。なお、
界磁コイル2は回転軸8の周囲に設けられた筒状部10
の外周囲に巻装配置されている。さらに、図1に示すよ
うに、永久磁石3の外周面が爪状磁極1の外周面より内
側となるように両者を段違いに配設して、回転軸方向に
延びる第2の通風用空間9´を形成しており、永久磁石
が外周側でも良好に冷却される。また、永久磁石3は回
転軸に対し周方向に着磁容易軸、径方向に着磁困難軸を
有するような異方性を有し周方向に磁気の強い方向性を
持ち、図1に示す如く、各爪状磁極に本来の巻線により
発生する磁極性と同極性が表れるよう、交互にN,S極
とされている。さらに前述の永久磁石3が係合するつば
状突部5及び永久磁石3は、容易に製造できる程度の粗
い寸法精度となっており、接着剤6で相互に接着、固定
されている。また、この永久磁石3の磁気力について
は、界磁コイル2の励磁電流を零とし、永久磁石励磁の
みにした場合に発電機最高回転数において最大出力を取
出すとき、車両常用負荷(車両運転中に発電機に接続さ
れている負荷)の需要値とほぼ等しく、かつこれを越え
ることがないようにその励磁力を調整してある。 【0008】界磁コイル2の励磁電流が零で、回転子の
励磁力が永久磁石3の励磁のみの場合には、永久磁石の
磁束の大半は爪状磁極1を短絡回路として回転子内部で
循環し、循環しきれないわずかな磁束が電機子鉄心に向
かい、これにより発電作用を及ぼす。このときの発電出
力電流特性は図4にて実線で示す通りであり、発電機使
用回転域での出力電流IM により車両常用負荷IL の大
半をまかなえるため、負荷が常用負荷のみの場合は励磁
電流はわずかでよい。また永久磁石のみによる発電機出
力が車両常用負荷需要値を越えることがないので、蓄電
池電圧も励磁電流制御で確立せられるところの所定値以
上に上昇することはないので、本実施例ては永久磁石に
よる残留磁束を弱める、可逆励磁可能な専用のレギュレ
ータが不要となる。なお、図4の特性は出力電圧が1
3.5V一定の場合で、点線は界磁コイル2による磁束
と永久磁石3による磁束とが加わり合うことによる発電
機出力電流特性を示す。コイル励磁が加わると永久磁石
磁束は鉄心を循環しきれなくなり、回転子鉄心の磁束と
相加わって電機子に向かう。すなわち、永久磁石3と巻
線界磁コイル2の両方の磁束が相加わって発電に作用す
ると共に、永久磁石3及び界磁コイル2の冷却性も悪化
せず、大幅な出力アップ効果が認められる。例えば、図
10は100Aクラスの車両用交流発電機の爪状磁極間
に異方性フェライト磁石を介在してテストした例であ
り、1500rpm付近で約2倍もの出力アップ効果が
認められた。 【0009】なお、図5〜図8は図1の永久磁石3の他
の形状を示す爪状磁極部の円周方向部分縦断面図または
要部上面図で、図5では永久磁石3は爪上磁極側面間全
部には配設されておらず、配設されている永久磁石3は
弾性を有する磁石で、所定の締め代、変形量による反力
によって爪状磁極側面間に支持、固定されている。図6
は爪状磁極部の部分上面図で、各爪状磁極側面間に狭持
固定する永久磁石3の大きさを各側面間毎に異ならせた
ものである。これらは永久磁石3の励磁力の調整を配設
する永久磁石3の数、設け方によって行うようにしたも
のである。 【0010】図7は爪状磁極側面部を凹字状にしてつば
状突部5が形成されている。また、図8は爪状磁極側面
部4が実質的につば状突部5を形成するようにθ>0°
なるテーパ状に形成されており、異方性永久磁石3は符
号7で示す円弧状磁場成形異方性を有する如く形成され
ている。なお、上記異方性永久磁石3は樹脂にて形成さ
れてもよい。 【0011】次に、本発明の一実施例について上述の前
提となる構成と異なる部分について説明する。図9
(a)、(b)はその部分断面図であり、爪状磁極1の
側面間に配設される各永久磁石3が帯状の連結部材31
により回転子の円周方向に連結されている。また、連結
部材31は各爪状磁極1の径方向内周側に当接するよう
に配設され各永久磁石を連結保持している。 【0012】この構成により、各永久磁石3に回転子の
回転に伴う大きな遠心力が加わっても、連結部材31の
保持作用によって、耐遠心力強度が増加する。また、各
永久磁石を爪状磁極間に組み付ける際、複数の永久磁石
を同時に組み付けることができる。この実施例において
も、界磁コイル2と永久磁石3との間には通風用空間9
が設けられており、永久磁石3を効果的に冷却してい
る。 【0013】 【発明の効果】本発明の構成によると、隣接する爪状磁
極の間の隙間に部分的に配置された補助磁石により爪状
磁極間に生じる漏洩磁束を効果的に減少させることがで
き、発電機出力を向上させることができる。しかも、隣
接する前記爪状磁極の間の隙間に部分的に設けられる補
助磁石を高い耐遠心力強度をもって保持することができ
る。しかも、複数の隙間に部分的に配置される補助磁石
を容易に組み付けることが可能になる。このように本発
明によると、車両用交流発電機の出力向上を実現できる
とともに、簡単な構成で高い耐遠心力強度と、優れた組
み付け性との両立を図ることができる。 【0014】また、永久磁石の外周に第2の通風用空間
を形成することにより、永久磁石の冷却性をより向上で
きる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の前提となる車両用交流発電機の構成を
示す爪状磁極の円周方向部分縦断面図である。 【図2】図1図示の矢印A方向から見た上面模式図であ
る。 【図3】図1図示の車両用交流発電機の部分断面側面図
である。 【図4】図1図示の車両用交流発電機の特性を説明する
特性図である。 【図5】図1における車両用交流発電機の他の永久磁石
を示す部分縦断面図である。 【図6】図1における車両用交流発電機のさらに他の永
久磁石を示す要部上面図である。 【図7】図1における車両用交流発電機のさらに他の永
久磁石を示す要部縦断面図である。 【図8】図1における車両用交流発電機のさらに他の永
久磁石を示す要部縦断面図である。 【図9】本発明になる車両用交流発電機の一実施例を示
し、(a)は要部縦断面図、(b)は断面側面図であ
る。 【図10】図1図示の車両用交流発電機の発電特性の一
例を示す特性図である。 【符号の説明】 1 爪状磁極 2 界磁コイル 3 永久磁石 9 通風用空間 9´ 第2の通風用空間 10 筒状部 31 連結部材

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.出力コイルが巻回された電機子鉄心と、この電機子
    鉄心の内周側に配置されて回転するランデル型爪状磁極
    を含む回転子と、前記爪状磁極に界磁を供給する界磁コ
    イルとを備えた車両用交流発電機において、 隣接する前記爪状磁極の間の隙間に部分的に配置された
    補助磁石を備え、 前記界磁コイルにより前記爪状磁極を磁化する巻線界磁
    磁気回路が構成されるとともに、前記補助磁石により前
    記爪状磁極を前記巻線界磁磁気回路と対向極性方向に磁
    化する補助磁石磁気回路が構成されており、 前記爪状磁極は、隣接する前記爪状磁極の間の隙間が前
    記回転子の径方向外側で狭くなるように形成されてお
    り、 前記補助磁石は、隣接する前記爪状磁極の間の隙間に配
    置されて前記爪状磁極によって前記回転子の径方向外側
    への移動を規制されているとともに、複数の前記隙間に
    わたって配設された連結部材を介して連結されているこ
    とを特徴とする車両用交流発電機。 2.前記爪状磁極は、径方向外側につば状凸部を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用交流発電機。 3.前記補助磁石は、永久磁石であることを特徴とする
    請求項1記載の車両用交流発電機。 4.前記連結部材は前記爪状磁極の内周側に配置されて
    おり、前記補助磁石は前記連結部材によって前記回転子
    の円周方向に沿って連結され、径方向内側への移動を規
    制されていることを特徴とする請求項1記載の車両用交
    流発電機。
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