JP2671973B2 - ケーブル用リール装置 - Google Patents

ケーブル用リール装置

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JP2671973B2
JP2671973B2 JP32907294A JP32907294A JP2671973B2 JP 2671973 B2 JP2671973 B2 JP 2671973B2 JP 32907294 A JP32907294 A JP 32907294A JP 32907294 A JP32907294 A JP 32907294A JP 2671973 B2 JP2671973 B2 JP 2671973B2
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cable
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guide
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明生 川本
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Nihon Plast Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、互いに相対的に回転す
る部材間をケーブルにて接続するケーブル用リール装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の車体側に設けられた電気
部品と、正逆方向に回転するステアリングホイール側に
設けられた電気部品との間を、複数の芯線を並設したい
わゆるフラットケーブルにて電気的に接続するケーブル
用リール装置が知られている。
【0003】そして、このケーブル用リール装置は、ス
テアリングシャフトに嵌合する中空円環状のケース体を
備えている。また、このケース体は、車体側の部材に固
定される筒状の枠体と、この枠体の内側に設けられてス
テアリングホイールとともに回転する筒状の軸体とを、
互いに回転自在に組み合わせて構成されている。そし
て、フラットケーブルは、一端部が枠体に取り付けら
れ、他端部が軸体に取り付けられた状態で、これらの枠
体と軸体との間に形成されたケーブル収納部に収納され
ている。
【0004】しかしながら、軸体の周囲にフラットケー
ブルを一方向に巻き付けた状態を保って、このフラット
ケーブルを巻き戻したり、巻き締めたりする、いわゆる
クロックスプリング型のケーブル用リール装置では、フ
ラットケーブルの長さ寸法が大きくなり、製造コストが
上昇する問題を有している。
【0005】この点、例えば、米国特許第376345
5号明細書に記載されたケーブル用リール装置が知られ
ている。このケーブル用リール装置では、ケーブル収納
部に、複数のローラからなる案内体が収納されており、
この案内体に沿ってケーブルを略U字状に反転させ、案
内体の内周側と外周側とでフラットケーブルを反対方向
に巻回するようになっている。そして、このケーブル用
リール装置では、ステアリングホイールを一方向に回転
操作した状態で、フラットケーブルが案内体に沿ってU
字状に反転しながらこの案内体の内周側に引き込まれ、
軸体の外周部に巻き付けられる。また、ステアリングホ
イールを反対方向に回転操作した状態で、巻き戻された
フラットケーブルが案内体に沿ってU字状に反転しなが
ら案内体の外周側に押し出され、枠体の内周部に巻き付
けられるようになっている。そこで、上記のクロックス
プリング型のケーブル用リール装置に比べて、フラット
ケーブルの長さ寸法を短くすることができるようになっ
ている。
【0006】しかしながら、この米国特許第37634
55号明細書記載の構成では、部品点数が多くなるとと
もに、複数のローラ同士の当接により、異音が生じるな
どの問題を有している。
【0007】この点、例えば、特開平4−310445
号公報に記載されたケーブル用リール装置が知られてい
る。そして、このケーブル用リール装置は、複数のロー
ラを連結板で連結してなる案内体を備えている。また、
この案内体は、円環の一部にフラットケーブルが挿通す
る反転用挿通部を設けた平面略C字状をなし、軸体の周
囲に回転自在に配置されている。そして、この案内体で
は、各ローラを互いに離間した状態に保持することによ
り、異音の発生を防止しつつ、各ローラを円滑に回転さ
せ、フラットケーブルを円滑に移動させることを図って
いる。
【0008】しかしながら、この特開平4−31044
5号公報記載の構成では、部品点数が増加するととも
に、組立作業が煩雑になり、製造コストが上昇するとの
問題を有している。
【0009】また、この点、例えば、特開平5−565
43号公報に記載されたケーブル用リール装置が知られ
ている。このケーブル用リール装置では、案内体は合成
樹脂にて形成されているともに、フラットケーブルの周
面に沿って、帯状の滑性シートが配設されている。そこ
で、フラットケーブルと案内体となどの間に生じる摩擦
抵抗を低減させ、フラットケーブルを軸体に巻き付ける
動作と、フラットケーブルをこの軸体から巻き戻す動作
とを円滑に行うことを図っている。
【0010】しかしながら、この特開平5−56543
号公報記載の構成では、長手寸法の大きいフラットケー
ブルに沿って滑性シートを配設する必要があり、組み立
て作業が煩雑になるとともに、材料費が高くなり、製造
コストが上昇する。また、フラットケーブルと滑性シー
トとを2枚重ねた状態で捲回することになるため、ケー
ブル収納部のスペースを多く必要とし、枠体の径寸法が
大きくなるとの問題を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、米国特
許第3763455号明細書記載の構成では、部品点数
が多くなるとともに、複数のローラ同士の当接により、
異音が生じるなどの問題を有している。また、特開平4
−310445号公報記載の構成では、部品点数が増加
するとともに、組立作業が煩雑になり、製造コストが上
昇するとの問題を有している。さらに、特開平5−56
543号公報記載の構成では、長手寸法の大きいフラッ
トケーブルに沿って滑性シートを配設する必要があり、
組み立て作業が煩雑になるとともに、材料費が高くな
り、製造コストが上昇する。また、フラットケーブルと
滑性シートとを2枚重ねた状態で捲回することになるた
め、ケーブル収納部のスペースを多く必要とし、枠体の
径寸法が大きくなるとの問題を有している。
【0012】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、製造コストを低減できるとともに円滑に作動する
ケーブル用リール装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のケーブル
用リール装置は、略筒状をなす枠部と、この枠部の内側
にこの枠部に対して相対的に正逆方向に回転可能に設け
られた軸部と、これら枠部と軸部との間に形成されたケ
ーブル収納部と、このケーブル収納部に位置し、前記軸
部の周囲に回転自在に配設された案内体と、この案内体
に形成された反転用挿通部と、前記ケーブル収納部に収
納され、一端部が前記枠部に接続され、他端部が前記軸
部に接続されるとともに、前記反転用挿通部を挿通し、
前記枠部および軸部の相対的な正逆方向の回転に伴い前
記軸部の外周と前記枠部の内周とに互いに反対方向に巻
回されるケーブルとを備えたケーブル用リール装置にお
いて、前記軸部には、前記案内体の内周側に位置して、
前記ケーブルの長手方向に沿った一側部が挿入される略
環状の溝部が設けられ、前記案内体には、前記溝部に対
向するケーブル案内部が設けられ、このケーブル案内部
には、前記反転用挿通部またはその近傍を除き、前記ケ
ーブルの長手方向に沿った他側部に対向してこのケーブ
ルの前記溝部からの離脱を阻止するケーブル押え部が設
けられたものである。
【0014】請求項2記載のケーブル用リール装置は、
請求項1記載のケーブル用リール装置において、案内体
のケーブル案内部には、ケーブル押え部から反転用挿通
部またはその近傍に向かって傾斜する傾斜面部が設けら
れたものである。
【0015】請求項3記載のケーブル用リール装置は、
請求項1または2記載のケーブル用リール装置におい
て、案内体には、少なくとも軸部に対向する内周側の傾
斜面部に隣接する部分に、内周側に向かって突出する突
部が設けられたものである。
【0016】請求項4記載のケーブル用リール装置は、
請求項1ないし3いずれか記載のケーブル用リール装置
において、枠部には、ケーブル収納部のケーブルの長手
方向に沿った一側部側を覆う底部が設けられ、この底部
には、溝部の開口部分の外周側の端部よりも突出するケ
ーブル摺接部が設けられたものである。
【0017】請求項5記載のケーブル用リール装置は、
請求項4記載のケーブル用リール装置において、案内体
は、底部から離間し、軸部に設けた案内体支持部に摺動
自在に吊り下げ支持されたものである。
【0018】請求項6記載のケーブル用リール装置は、
請求項1ないし5いずれか記載のケーブル用リール装置
において、軸部に設けた略環状をなす溝部に面した周面
の外径寸法よりも、案内体に軸部に対向して設けられた
略円筒状をなす内板部の内径寸法が大きく形成されたも
のである。
【0019】請求項7記載のケーブル用リール装置は、
請求項1ないし6いずれか記載のケーブル用リール装置
において、ケーブルの案内体の軸方向に沿った幅方向の
寸法は、溝部の開口部分の外周側の端部と反転用挿通部
またはその近傍のケーブル案内部との離間寸法以下であ
り、かつ、前記溝部の開口部分の外周側の端部とケーブ
ル押え部との離間寸法より大きいものである。
【0020】請求項8記載のケーブル用リール装置は、
請求項1ないし7いずれか記載のケーブル用リール装置
において、枠部には、案内体の外周側に位置して、ケー
ブルの長手方向に沿った一側部が挿入される略環状の外
側溝部が設けられ、前記案内体には、前記外側溝部に対
向する外側ケーブル案内部が設けられ、この外側ケーブ
ル案内部には、前記反転用挿通部またはその近傍を除
き、前記ケーブルの長手方向に沿った他側部に対向して
このケーブルの前記外側溝部からの離脱を阻止する外側
ケーブル押え部が設けられたものである。
【0021】
【作用】請求項1記載のケーブル用リール装置では、相
対的に正逆方向に回転する部材間に、このケーブル用リ
ール装置を配設して、各部材にそれぞれ枠部と軸部とを
接続することにより、これらの部材が、枠部と軸部との
間のケーブル収納部に収納されたケーブルにより接続さ
れ、このケーブルにより電力あるいは信号などが伝達さ
れる。そして、軸部を枠部に対して相対的に一方向に回
転した状態で、ケーブルは案内体の反転用挿通部を通っ
てU字状に反転しながら案内体の内側に引き込まれ、軸
部に設けられた溝部に長手方向に沿った一側部が挿入さ
れた状態で保持される。また、軸部を反対方向に回転し
た状態では、まず、ケーブルは溝部の内側で巻き戻さ
れ、U字状に反転しつつ案内体の反転用挿通部を通って
案内体の外側に繰り出される。そして、案内体のケーブ
ル案内部には、反転用挿通部またはその近傍を除き、ケ
ーブルの他側部に対向してこのケーブルの溝部からの離
脱を阻止するケーブル押え部が設けられているので、ケ
ーブルが巻き戻される際には、反転用挿通部またはその
近傍のケーブルのみが溝部から外周側に離脱し、ケーブ
ルの他の部分は、軸部に設けた溝部に保持された状態に
なる。そこで、ケーブルが案内体に摺接するのは、反転
用挿通部またはその近傍のみになり、ケーブルと案内体
との摩擦抵抗が低減され、ケーブルが案内体の反転用挿
通部から円滑に繰り出される。
【0022】請求項2記載のケーブル用リール装置で
は、請求項1記載の作用に加え、案内体のケーブル案内
部には、ケーブル押え部から反転用挿通部またはその近
傍に向かって傾斜する傾斜面部が設けられたので、この
傾斜面部に沿ってケーブルが円滑に溝部から挿脱され
る。
【0023】請求項3記載のケーブル用リール装置で
は、請求項1または2記載の作用に加え、案内体には、
少なくとも軸部に対向する内周側の傾斜面部に隣接する
部分に、内周側に向かって突出する突部が設けられたの
で、溝部から離脱したケーブルはこの突部に摺接し、案
内体とケーブルとの摩擦抵抗が低減される。また、この
突部は、溝部の縦壁に若干重なるようになっているの
で、ケーブルの噛み込みが防がれる。
【0024】請求項4記載のケーブル用リール装置で
は、請求項1ないし3いずれか記載の作用に加え、枠部
には、ケーブル収納部のケーブルの長手方向に沿った一
側部側を覆う底部が設けられ、この底部には、溝部の開
口部分の外周側の端部よりも突出するケーブル摺接部が
設けられたので、溝部から離脱するケーブルが溝部のエ
ッジ部に摺接することなく、円滑に溝部から挿脱され
る。
【0025】請求項5記載のケーブル用リール装置で
は、請求項4記載の作用に加え、案内体は、底部から離
間し、軸部に設けた案内体支持部に摺動自在に吊り下げ
支持したので、案内体の摺動抵抗が容易に軽減される。
【0026】請求項6記載のケーブル用リール装置で
は、請求項1ないし5いずれか記載の作用に加え、軸部
に設けた略環状をなす溝部に面した周面の外径寸法より
も、案内体に軸部に対向して設けられた略円筒状をなす
内板部の内径寸法が大きく形成されたので、溝部に挿入
されたケーブルは案内体に接触せず、案内体とケーブル
との摩擦抵抗が低減される。
【0027】請求項7記載のケーブル用リール装置で
は、請求項1ないし6いずれか記載の作用に加え、ケー
ブルの案内体の軸方向に沿った幅方向の寸法は、溝部の
開口部分の外周側の端部と反転用挿通部またはその近傍
のケーブル案内部との離間寸法以下であり、かつ、溝部
の開口部分の外周側の端部とケーブル押え部との離間寸
法より大きく設定されたので、ケーブルは、反転用挿通
部またはその近傍でのみ溝部から離脱可能になり、他の
部分では、溝部から離脱しないように確実に保持され
る。
【0028】請求項8記載のケーブル用リール装置で
は、請求項1ないし7いずれか記載の作用に加え、枠部
には、案内体の外周側に位置して、ケーブルの長手方向
に沿った一側部が挿入される略環状の外側溝部が設けら
れ、案内体には、外側溝部に対向する外側ケーブル案内
部が設けられ、この外側ケーブル案内部には、反転用挿
通部またはその近傍を除き、ケーブルの長手方向に沿っ
た他側部に対向してこのケーブルの外側溝部からの離脱
を阻止する外側ケーブル押え部が設けられたので、案内
体の外周側においても、ケーブルは外側溝部と外側ケー
ブル案内部の間で位置が規制され、異音の発生が抑制さ
れる。また、この外側溝部に挿入されるケーブルと案内
体の外周面とが摺接することがなく、ケーブルに設けた
絶縁性フィルムのけずれが防がれる。
【0029】
【実施例】以下、本発明のケーブル用リール装置の一実
施例の構成を図面を参照して説明する。
【0030】図1ないし図3において、11はケースで、
このケース11は、それぞれ例えば共重合ポリアセタール
などの合成樹脂にて一体形成したロータ12、案内体とし
てのスペーサ14、ドレインリング15、ステータ16、リテ
ーナリング17、ケーブルカバー18などを組み合わせて略
中空円環状に構成されている。そして、このケース11の
内側には、環状をなすケーブル収納部21が形成され、こ
のケーブル収納部21に、ケーブルとしてのフラットケー
ブル22が収納されて、ケーブル用リール装置が構成され
ている。
【0031】そして、このケーブル用リール装置は、例
えば、自動車のステアリングシャフトに嵌合された状態
で、ステアリングホイール本体と、いわゆるコンビネー
ションスイッチとの間に装着されている。また、ステア
リングホイール本体は、ステアリングシャフトの上端部
に取り付けられ、ステアリングシャフトとともに回転す
るようになっている。一方、コンビネーションスイッチ
は、ステアリングシャフトの外側に設けられたステアリ
ングコラムに嵌合して車体側に取り付けられている。そ
して、このケーブル用リール装置のフラットケーブル22
により、ステアリングホイール本体に設けられたエアバ
ッグ装置、ホーンスイッチ、定速走行装置(ASCD)
の操作スイッチ、およびオーディオ装置の操作スイッチ
などの電気部品と、車体側に設けたバッテリー、衝撃セ
ンサ、ホーン装置、定速走行装置、およびオーディオ装
置などの電気部品とが、電気的に接続されるようになっ
ている。
【0032】また、このステアリングシャフトは、自動
車の操向伝導装置に接続されており、この操向伝導装置
のギア比などに応じて、例えば、中立位置から左右方向
にそれぞれ2回転から2.5回転ほど回転操作できる。
すなわち、いわゆるロックトゥロックで、最大4回転か
ら5回転ほど回転操作できるようになっている。
【0033】そして、フラットケーブル22は、例えば、
2本から9本などの複数の導線を平行に配置して絶縁性
のフィルムなどにて一体的に被覆したもので、柔軟で、
なおかつ若干の弾性を有する帯状に形成されている。ま
た、このフラットケーブル22の両端部には、それぞれ合
成樹脂などにて形成された変換コネクタ23が接続されて
いる。そして、この変換コネクタ23には、複数のリード
線24の一端部が接続されている。さらに、このリード線
24の他端部に、それぞれそれぞれステアリングホイール
本体およびコンビネーションスイッチに設けた接続コネ
クタ25が接続されるようになっている。
【0034】また、ロータ12には、図1ないし図4に示
すように、略円板状をなす上板部31と、この上板部31の
中央部に形成された円孔32の縁部から下側に突設された
略円筒状をなす軸部33とが形成されている。そして、こ
の上板部31の上面には、両側一対の係合爪35,35を有し
た上部ケーブル保持部36が形成されている。また、この
上板部31の外周部からは、ステアリングホイール本体の
下部を覆うカバー体などに固定される上部取付部37,38
が突設されている。さらに、この上板部31には、同心状
に配置された弾性変形可能な舌片部41が複数形成され、
各舌片部41からは、それぞれ下側に向かってスペーサ案
内突部42が突設されている。また、この上板部31の外周
部からは、ロータ側ストッパ取付部43が突設されてい
る。
【0035】そして、軸部33には、略平板状をなす内周
側ケーブル導出部44が形成され、この内周側ケーブル導
出部44の一側部に、溝状をなす内周側挿通部45が形成さ
れている。また、軸部33の外周部の上部には、案内体支
持部46が複数突設されている。そして、各案内体支持部
46は、軸部33の周方向に沿った円弧状をなし、外側下部
の角部に傾斜面47が形成されている。なお、各案内体支
持部46の上方に位置して、上板部31には、金型を抜くた
めの円弧状をなす開口部48が形成されている。さらに、
この軸部33の外周部の下部には、内周側に向かって凹設
された嵌合段部49が形成されている。そして、この軸部
33の下端部からは、複数のリテーナ係合爪50が突設され
ている。
【0036】また、ドレインリング15は、略円環状をな
し、軸部33の嵌合段部49に嵌合するリング本体部53と、
このリング本体部53の外周側に形成されたリング外壁部
54と、これらリング本体部53とリング外壁部54との間に
位置する上側に開口した溝部55とが一体に形成されてい
る。そして、リング本体部53は、リング外壁部54よりも
高さ寸法が大きいとともに、内周側ケーブル導出部44が
係合する両側一対の切欠部56が形成されている。さら
に、これらリング本体部53とリング外壁部54との上端部
は、溝部55の底部に向かって傾斜するように形成されて
いる。
【0037】一方、ステータ16には、図1ないし図3に
示すように、中央に円孔60を形成した略円板状をなす下
板部61と、この下板部61の外縁部から上側に突設された
略円筒状をなす枠部62とが一体に形成されている。そし
て、下板部61には、底部64と、この底部64の内周側の下
部に連接するロータ接続部65とが形成されている。そし
て、底部64の上面には、外周部に、平面状をなす環状平
面部66が形成されているとともに、この環状平面部66の
内周側に連接して、滑らかに上側に向かって膨出するケ
ーブル摺接部67が形成されている。そして、このケーブ
ル摺接部67の上端部は、溝部55の底部よりも高い位置に
形成され、さらに、溝部55のリング外壁部54の上端部よ
りも高い位置に形成されている。
【0038】なお、この底部64の下面側には、補強用の
リブ68が放射状をなして複数形成されている。また、ロ
ータ接続部65は、上面が平滑な平面状をなし、下面には
同心状をなす環状凹溝69が形成されている。
【0039】そして、ステータ16の枠部62の外周側に
は、外周側ケーブル導出部72が設けられている。そし
て、この外周側ケーブル導出部72には、平面状をなす上
側基部73と、この上側基部73の下側に形成された下側基
部74と、これら上側基部73および下側基部74の両側に形
成された一対の側板部75,75と、これら側板部75,75か
ら突設された相対向する係合爪76,76とが形成されてい
る。また、上側基部73の一側部には、外周側挿通部77が
形成されている。さらに、側板部75,75の側部には、水
平板状をなす両側一対の台座部78,78が形成され、各台
座部78には、それぞれ上下に連通する各孔状の係合孔79
が形成されている。また、枠部62の外周側には、ステー
タ側ストッパ取付部80が形成されている。
【0040】また、ケーブルカバー18は、断面略コの字
状をなすカバー本体81が形成されている。そして、この
カバー本体81には、ステータ16の係合爪76,76に係合す
る両側一対の角孔状をなす係合孔部82,82が形成されて
いる。さらに、このカバー本体81の上端部からは、両側
に向かって水平板状をなす取付片部84,84が形成されて
いるとともに、各取付片部84から上側に向かって、ステ
ータ16の係合孔79に係合する係合爪85,85が突設されて
いる。また、カバー本体81の上端部からは板状をなすカ
バー板部86が突設されている。
【0041】さらに、リテーナリング17には、略円環状
をなすリング本体91と、このリング本体91の中央部に形
成した円孔92の縁部から上側に突設された筒状部93とが
形成されている。そして、リング本体91の内周側には、
ロータ11から突設したリテーナ係合爪50が係合する複数
のロータ取付溝95が形成されているとともに、ロータ11
の内周側ケーブル導出部44の内側に対向する略矩形板状
の内周側ケーブルカバー部96が立設されている。また、
リング本体91の外周側には、ステータ16のロータ接続部
65の下面に摺動自在に嵌合するステータ支持部97が形成
されている。そして、このステータ支持部97には、ロー
タ接続部65の環状凹溝69に摺動自在に嵌合する円環状の
環状突部98が形成されている。
【0042】また、スペーサ14には、図1、図2、図5
および図6に示すように、中央部に円孔101 を形成した
天板部102 が形成されている。そして、この天板部102
の下側には、略円筒状をなす内板部104 と、この内板部
104 の外周側に位置する外板部105 とが、同心状をなし
て形成されている。さらに、このスペーサ14には、これ
ら内板部104 の内周側と外板部105 の外周側を連通する
反転用挿通部106 が形成されている。そして、この反転
用挿通部106 は、周方向に相対向する突設面部107 と凹
設面部108 とに囲まれ、略円弧状に形成されている。ま
た、これら突設面部107 と凹設面部108 とは、それぞれ
内板部104 および外板部105 に連続する滑らかな曲面状
に形成されている。
【0043】さらに、天板部102 の下面には、内板部10
4 の内周側に沿って、ケーブル案内部111 が形成されて
いる。そして、このケーブル案内部111 には、反転用挿
通部106 の凹設面部108 側から全周の約3分の2にわた
って形成されたケーブル押え部112 と、このケーブル押
え部112 の先端部から反転用挿通部106 の突設面部107
側にわたって形成された傾斜面部114 とが形成されてい
る。そして、このケーブル押え部112 は、天板部102 の
下面から所定寸法だけ突設され、傾斜面部114は、この
ケーブル押え部112 の下面と天板部102 の下面とを滑ら
かに連接するようになっている。
【0044】また、このスペーサ14の内板部104 の内周
面の傾斜面部114 に隣接する部分、突設面部107 、およ
び外板部105 の全周には、スペーサ14の軸方向すなわち
上下方向を長手方向とする突部としての突条116 が、複
数所定間隔で形成されている。
【0045】さらに、天板部102 の外周縁部117 は、下
方に向かって屈曲されているとともに、天板部102 の上
面には、円孔101 と同心状の環状をなす環状凹溝118 が
形成されている。
【0046】次に、このケーブル用リール装置の組み立
て動作を説明する。
【0047】まず、ロータ12の軸部33に、下側からスペ
ーサ14を嵌合し、ロータ12の案内体支持部46の上側に、
スペーサ14の天板部102 の内周側の縁部を摺動自在に係
止して、スペーサ14をロータ12に回転自在に支持する。
なお、この状態で、スペーサ案内突部42と環状凹溝118
とが摺接あるいはわずかな間隔を介して対向し、スペー
サ14の径方向および軸方向のがたつきが抑制される。
【0048】次いで、ロータ12の上部ケーブル保持部36
の係合爪35,35間に、フラットケーブル22の変換コネク
タ23を係合して装着するとともに、この変換コネクタ23
から導出されているフラットケーブル22を軸部33の内周
側ケーブル導出部44に沿って下方に屈曲させ、さらに、
フラットケーブル22の幅方向に向かってほぼ直角に折り
曲げ、内周側挿通部45を通じて軸部33の外周側に導入す
る。
【0049】そして、このフラットケーブル22を、スペ
ーサ14の反転用挿通部106 に挿入した状態で、軸部33の
下部の嵌合段部49にドレインリング15を嵌合して取り付
ける。この状態で、スペーサ14に対してロータ12を回転
させると、フラットケーブル22は、スペーサ14の内周側
に引き込まれ、下部がドレインリング15の溝部55に挿入
された状態で、軸部33の周囲に巻き付けられる。
【0050】さらに、スペーサ14の外周側に残ったフラ
ットケーブル22を、ステータ16の外周側ケーブル導出部
72の外周側挿通部77に内周側から挿入する。そして、外
周側ケーブル導出部72の外周側に導出されたフラットケ
ーブル22を、フラットケーブル22の幅方向に向かってほ
ぼ直角に折り曲げ、変換コネクタ23を係合爪76,76間に
係合して保持する。
【0051】続いて、ステータ16をロータ12の下側から
組み合わせるとともに、ロータ12の軸部33の下端部にリ
テーナリング17を嵌合し、軸部33から突設したリテーナ
係合爪50をリテーナリング17のロータ取付溝95に挿入係
合して、ロータ12にリテーナリング17を固定する。この
状態で、ステータ16は、それぞれロータ12に取り付けら
れたドレインリング15とリテーナリング17との間に摺動
自在に挟持され、ロータ12に対して回転自在に支持され
る。
【0052】最後に、ステータ16の外周側ケーブル導出
部72の外側に、ケーブルカバー18を係合して取り付け、
変換コネクタ23を覆うことにより、ケーブル用リール装
置の組み立て作業が終了する。
【0053】なお、この状態で、軸部33と枠部62との間
に形成されたケーブル収納部21に収納されたフラットケ
ーブル22は、スペーサ14の反転用挿通部106 を挿通し、
この反転用挿通部106 に沿って略U字状に彎曲して折り
返された状態で、軸部33の外周面とスペーサ14の内板部
104 の内周面との間に捲回されているとともに、枠部62
の内周面と、スペーサ14の外板部105 の外周面との間に
捲回されている。
【0054】すなわち、フラットケーブル22は、上側か
ら見て、スペーサ14の内側では、内周側から外周側に向
かって反時計回り方向に捲回されているとともに、スペ
ーサ14の外側では、内周側から外周側に向かって時計回
り方向に捲回されている。
【0055】また、ドレインリング15のリング外壁部54
の内径寸法をL1 とし、スペーサ14の内板部104 の内径
寸法をL2 とすると、L1 <L2 の関係にあり、ドレイ
ンリング15の溝部55に挿入されたフラットケーブル22
は、スペーサ14に摺接しないようになっている。
【0056】そして、フラットケーブル22の上下方向の
幅寸法をL3 、リング外壁部54の上端部からケーブル押
え部112 までの離間寸法をL4 、リング外壁部54の上端
部から天板部102 までの離間寸法をL5 とすると、L3
>L4 、かつ、L3 ≦L5 となっており、フラットケー
ブル22は、スペーサ14の反転用挿通部106 の近傍以外で
は、溝部55から外れて外周側に膨らむことがないように
なっている。
【0057】さらに、スペーサ14の内板部104 および外
板部105 の上下方向の長さ寸法は、ケーブル収納部21の
上下方向の長さ寸法の半分程度であり、スペーサ14の内
板部104 および外板部105 の下端部が、ステータ16の底
部64に摺接しないようになっている。
【0058】そして、このように構成されたケーブル用
リール装置は、ステータ16を車体側のコンビネーション
スイッチに固定するとともに、ロータ12をステアリング
ホイールのボスプレートなどに固定した状態で、ステア
リング装置に機械的に設置されるようになっている。
【0059】なお、このケーブル用リール装置は、自動
車の所定の位置に装着される以前の輸送時などには、ロ
ータ12のロータ側ストッパ取付部43と、ステータ16のス
テータ側ストッパ取付部80とが、互いにストッパフィル
ム119 により連結され、ロータ12とステータ16とが互い
に回転しないように保持されている。
【0060】次に、本実施例の動作を説明する。
【0061】まず、ステアリングホイールを、上側(乗
員側)から見て、時計回り方向に最大限回転操作した状
態では、フラットケーブル22は、ロータ12の軸部33に引
っ張られて、外周側から内周側に向かって時計回り方向
に巻き締められ、長さ方向の大部分が溝部55に挿入され
ている。
【0062】そして、この状態から、ステアリングホイ
ールを反時計回り方向に回転操作すると、まず、フラッ
トケーブル22は、ロータ12の軸部33の回転にともないス
ペーサ14の内側で巻き戻されて膨らみ、この軸部33と一
体に回転するドレインリング15のリング外壁部54の内周
面に押し付けられる。
【0063】さらに、ステアリングホイールを反時計回
り方向に回転操作すると、フラットケーブル22は、スペ
ーサ14の反転用挿通部106 を通ってこのスペーサ14の外
側に繰り出される。この際、フラットケーブル22は、反
転用挿通部106 の突設面部107 の近傍以外では、ケーブ
ル押え部112 により上下位置が規制されるため、溝部55
に挿入された状態で保持されるが、反転用挿通部106 の
突設面部107 の近傍では、傾斜面部114 に沿って上方へ
の移動が許容されているとともに、ステータ16の底部64
により上側に持ち上げられ、リング外壁部54を乗り越え
ることができる。
【0064】そして、フラットケーブル22は、反転用挿
通部106 にて略U字状に彎曲されながら、スペーサ14の
外側に繰り出され、自らの弾性により、ステータ16の枠
部62の内周側に押し付けられて巻き付けられる。なお、
スペーサ14は、ロータ12に吊り下げ支持されているた
め、負荷を受けない限りロータ12とともに回転する。
【0065】さらに、ステアリングホイールを回転操作
して、反時計回り方向に最大限回転操作した状態では、
フラットケーブル22の大部分が、ステータ16の枠部62の
内周側に押し付けられ、外周側から内周側に向かって反
時計回り方向に巻き付けられる。
【0066】また、この状態から、ステアリングホイー
ルを時計回り方向に回転操作すると、フラットケーブル
22は、ロータ12の軸部33に引っ張られ、この軸部33の外
周部に巻き付けられていく。この際、フラットケーブル
22は、スペーサ14の反転用挿通部106 を通り、リング外
壁部54を乗り越えて、スペーサ14の内側に引き込まれ、
傾斜面部114 に沿って下方に押し下げられて、溝部55に
挿入される。また、このフラットケーブル22は、この反
転用挿通部106 の凹設面部108 を押動して、スペーサ14
を時計回り方向に回転させる。
【0067】そして、ステアリングホイールを、時計回
り方向に最大限回転操作した状態では、フラットケーブ
ル22は、ロータ12の軸部33の外周部に大部分が巻き締め
られた状態に復帰する。
【0068】このように、本実施例のケーブル用リール
装置によれば、ステアリングホイールを正逆方向に回転
操作した状態で、フラットケーブル22をケーブル収納部
21の内部に正逆方向に捲回できるため、中心軸の周囲に
フラットケーブル22を一方向に巻き付けた状態で、この
フラットケーブル22を巻き締めたり、巻き戻したりする
構成のケーブル用リール装置に比べて、フラットケーブ
ル22の長さ寸法を大幅に短くして、製造コストを低減す
ることができる。
【0069】また、ケーブル収納部21に収納したスペー
サ14により、フラットケーブル22を、ロータ12の軸部33
の外周部と、ステータ16の枠部62の内周部とに分離して
巻き付けることができるため、フラットケーブル22を円
滑に移動させ、ケーブル用リール装置を安定して回転さ
せることができる。
【0070】そして、ロータ12の軸部33と一体に回転す
る溝部55を設け、スペーサ14の内周側に位置するフラッ
トケーブル22の下部をこの溝部55に挿入するとともに、
スペーサ14の外周側に位置するフラットケーブル22の下
部は、ステータ14に形成した底部64の環状平面部66上に
支持するようにしたため、通常の使用時においてロータ
12を回転する際には、フラットケーブル22の下部は反転
用挿通部106 を挿通する反転部分の下部が底部64に摺接
するのみになり、フラットケーブル22のロータ12および
ステータ16への摺接を低減して、フラットケーブル22を
円滑に移動させ、巻き乱れを防止することができる。
【0071】さらに、フラットケーブル22の反転部分の
下部が摺接する底部64には、弧状に膨出してリング外壁
部54の上側に突出するケーブル摺接部67を形成したた
め、溝部55から離脱するフラットケーブル22が溝部55の
外周側のエッジ部(角部)に摺接することがなく、フラ
ットケーブル22を溝部55から円滑に挿脱できるととも
に、フラットケーブル22のロータ12およびステータ16へ
の摺接をさらに低減して、フラットケーブル22を円滑に
移動させることができる。
【0072】また、スペーサ14の内周側に位置するフラ
ットケーブル22の下部は、ロータ12の軸部33と一体に回
転する溝部55に挿入するようなっており、このリング外
壁部54の内径寸法は、スペーサ14の内板部104 の内径寸
法より小さく設定されているため、ロータ12が回転し、
スペーサ14の内周側に位置するフラットケーブル22が外
周側に膨らんだ際にも、このフラットケーブル22はリン
グ外壁部54の内周面に押し付けられる状態で保持され、
スペーサ14の内板部の内周面に全体的に押し付けられる
ことがない。そこで、スペーサ14とフラットケーブル22
との摩擦抵抗を低減して、ケーブル用リール装置を円滑
に作動させることができる。
【0073】さらに、スペーサ14のケーブル案内部111
には、反転用挿通部106 およびその近傍を除いて、ケー
ブル押え部112 を形成し、フラットケーブル22の上下方
向の寸法は、溝部55の上端部と反転用挿通部106 近傍の
ケーブル案内部111 との離間寸法以下とし、かつ、溝部
55の上端部とケーブル押え部112 との離間寸法より大き
く設定したため、フラットケーブル22は、反転用挿通部
106 およびその近傍でのみ溝部55から外周側に離脱可能
になり、他の部分では、フラットケーブル22が溝部55か
ら外周側に離脱しないように確実に保持することができ
る。そこで、フラットケーブル22がスペーサ14に摺接す
るのは、反転用挿通部106 の近傍のみになり、フラット
ケーブル22とスペーサ14との摩擦抵抗を低減し、フラッ
トケーブル22およびスペーサ14を円滑に移動させること
ができる。
【0074】そして、スペーサ14のケーブル案内部111
には、ケーブル押え部112 から反転用挿通部106 に向か
い、上方に傾斜する傾斜面部114 を設けたため、この傾
斜面部114 に沿ってケーブルを円滑に溝部55から挿脱で
き、ケーブル用リール装置を円滑に作動させることがで
きる。
【0075】また、スペーサ14には、フラットケーブル
22に摺接する部分である外板部105と、突設面部106
と、内板部104 の傾斜面部114 に摺接する部分とに、そ
れぞれ上下方向を長手方向とする突条116 を形成したた
め、フラットケーブル22をこの突条116 に摺接させ、フ
ラットケーブル22とスペーサ14との摩擦抵抗を低減し、
フラットケーブル22およびスペーサ14を円滑に移動させ
ることができる。そして、内側に突設した突条116 を、
溝部55のリング外壁部54上に重なるようにすることによ
り、ドレインリング15とステータ16の底部64との間にフ
ラットケーブル22が噛み込むことを防止することができ
る。
【0076】また、スペーサ14は、ロータ12の軸部33に
設けた案内体支持部46に係止して摺動自在に吊り下げ支
持したため、スペーサ14をステータ16の底部64から離間
させることができ、スペーサ14の摺動抵抗を容易に軽減
させることができる。さらに、このスペーサ14は、負荷
を受けない限りロータ12とともに回転するため、特に、
フラットケーブル22を巻き戻す際に、フラットケーブル
22がスペーサ14を押動する必要がなく、巻き乱れや座屈
などの発生を防止して、ケーブル用リール装置の作動を
円滑にすることができる。
【0077】そして、上記のように、スペーサ14などの
各部材を合成樹脂により形成した簡略な構造で、フラッ
トケーブル22およびスペーサ14を円滑に移動させること
ができるため、従来のように、案内体に複数のローラを
軸支し、あるいは、滑性シートなどを用いる必要がな
く、部品点数を削減できるとともに作業性を向上でき、
ケーブル用リール装置の製造コストを低減できるとも
に、ケーブル用リール装置を小型化することができる。
【0078】なお、上記の実施例では、ステータ16の底
部64の上面を滑らかに膨出させてケーブル摺接部67を形
成したが、例えば、図7に示すように、同心状をなす2
条のの円環状のケーブル摺接部122 を突設することもで
きる。また、このケーブル摺接部122 は、1条でも良
く、あるいは、3条以上形成することもできる。
【0079】また、スペーサ14に形成する突部は、スペ
ーサ14の軸方向を長手方向とする突条116 に限られず、
スペーサ14の周方向を長手方向とする突条や、スペーサ
14の周方向と傾斜する方向を長手方向とする突条を形成
しても良い。さらに、この突部は、球面状をなす略突部
や、略円錐台状をなす突部とすることもできる。また、
これら突部は、必要に応じて省略してもよく、また、ス
ペーサ14の内板部104の全長にわたって形成し、あるい
は凹設面部108 に形成することもできる。
【0080】また、上記の実施例では、溝部55を形成し
たドレインリング15をロータ12の軸部33に嵌合し、この
溝部55がロータ12とともに回転するようにしたが、この
溝部55は、ロータ12に一体に形成することもできる。さ
らに、上記の実施例では、フラットケーブル22を案内す
る溝部55およびケーブル案内部111 をスペーサ14の内周
側にのみ形成したが、これらの溝部55およびケーブル案
内部111 を、スペーサ14の外周側にも形成することがで
きる。
【0081】例えば、図8に示すケーブル用リール装置
は、フラットケーブル22の他、主として、ロータ131 、
ステータ132 、およびスペーサ133 の3部材により形成
されている。そして、ロータ131 には、略円柱状をなす
軸部135 とともに円環状の溝部136 が一体に形成されて
いる。また、ステータ132 には、上端部の外周部に、ス
ペーサ133 の天板部137 の外周縁部を摺動自在に係合保
持する複数の係合爪138 が形成されている。そして、ス
テータ132 と、このステータ132 に係合保持されたスペ
ーサ133 との間に、ロータ131 が摺動自在に係合保持さ
れている。
【0082】そして、このスペーサ133 の天板部137 の
下面には、内板部141 と外板部142とが形成されている
とともに、これら内板部141 と外板部142 とを連通する
反転用挿通部143 が形成されている。そして、内板部14
1 の内周側に、内側ケーブル案内部144 が形成されてい
るとともに、外板部142 の外周側には、外側ケーブル案
内部145 が形成されている。そして、内側ケーブル案内
部144 には、反転用挿通部143 の近傍を除いて、下側に
突出する内側ケーブル押え部146 が形成されているとと
もに、外側ケーブル案内部145 には、下側に突出する外
側ケーブル押え部147 が形成されている。また、これら
ケーブル案内部144 ,145 には、各ケーブル押え部146
,147 から天板部137 の下面に滑らかに連続する傾斜
面部が形成されている。
【0083】さらに、この実施例のステータ132 には、
外板部142 の外周側に位置し、枠部151 の内周側に沿っ
て、外側溝部152 が形成されている。
【0084】そこで、この実施例では、反転用挿通部14
3 を通じて外板部142 の外周側に繰り出されたフラット
ケーブル22は、下部が外側溝部152 に挿入されるととも
に、上部が外側ケーブル押え部147 により位置規制され
るようになっている。
【0085】そして、本実施例のケーブル用リール装置
によれば、溝部136 をロータ131 に一体に形成するなど
して、部品点数を最小限に抑制し、製造コストを低減で
きるとともに、フラットケーブル22の上下方向のがたつ
きを防止して、フラットケーブル22を円滑に移動させる
ことができ、異音の発生などを低減することができる。
また、この外側溝部152 に挿入されるフラットケーブル
22とスペーサ133 の外板部142 の外周面とが摺接するこ
とがなく、フラットケーブル22に設けた絶縁性フィルム
のけずれを防ぐことができる。
【0086】また、上記の各実施例では、ケーブルとし
て複数の導線を並設したフラットケーブル22を用いた
が、絶縁チューブ内に複数の導線を収納した略円柱状の
電線を用いることもでき、また、導線の代わりに、光フ
ァイバーなどを用いることもできる。
【0087】
【発明の効果】請求項1記載のケーブル用リール装置に
よれば、案内体のケーブル案内部には、反転用挿通部ま
たはその近傍を除き、ケーブルの他側部に対向してこの
ケーブルの溝部からの離脱を阻止するケーブル押え部が
設けたため、ケーブルは溝部の内側で巻き戻され、U字
状に反転しつつ案内体の反転用挿通部を通って案内体の
外側に繰り出される際には、反転用挿通部またはその近
傍のケーブルのみが溝部から外周側に離脱し、ケーブル
の他の部分は、軸部に設けた溝部に保持された状態にな
る。そこで、ケーブルが案内体に摺接するのは、反転用
挿通部またはその近傍のみになり、ケーブルと案内体と
の摩擦抵抗を低減し、ケーブルを案内体の反転用挿通部
から円滑に繰り出して、ケーブルの巻き乱れを防止し、
ケーブル用リール装置の作動を円滑にすることができ
る。また、構造が簡単なため、製造コストを低減するこ
とができる。
【0088】請求項2記載のケーブル用リール装置によ
れば、請求項1記載の効果に加え、案内体のケーブル案
内部には、ケーブル押え部から反転用挿通部またはその
近傍に向かって傾斜する傾斜面部を設けたため、この傾
斜面部に沿ってケーブルを円滑に溝部から挿脱でき、ケ
ーブル用リール装置の作動を円滑にすることができる。
【0089】請求項3記載のケーブル用リール装置によ
れば、請求項1または2記載の効果に加え、案内体に
は、少なくとも軸部に対向する内周側の傾斜面部に隣接
する部分に、内周側に向かって突出する突部を設けたた
め、溝部から離脱したケーブルをこの突部に摺接させ、
案内体とケーブルとの摩擦抵抗を低減して、ケーブル用
リール装置の作動を円滑にすることができる。また、こ
の突部は、溝部の縦壁に若干重なるようになっているた
め、ケーブルの噛み込みを防ぐことができる。
【0090】請求項4記載のケーブル用リール装置によ
れば、請求項1ないし3いずれか記載の効果に加え、枠
部には、ケーブル収納部のケーブルの長手方向に沿った
一側部側を覆う底部を設け、この底部には、溝部の開口
部分の外周側の端部よりも突出するケーブル摺接部を設
けたため、溝部から離脱するケーブルが溝部のエッジ部
に摺接することなく、円滑に溝部から挿脱することがで
きる。
【0091】請求項5記載のケーブル用リール装置によ
れば、請求項4記載の効果に加え、案内体は、底部から
離間し、軸部に設けた案内体支持部に摺動自在に吊り下
げ支持したため、案内体の摺動抵抗を容易に軽減させる
ことができ、ケーブル用リール装置の作動を円滑にする
ことができる。
【0092】請求項6記載のケーブル用リール装置によ
れば、請求項1ないし5いずれか記載の効果に加え、軸
部に設けた略環状をなす溝部に面した周面の外径寸法よ
りも、案内体に軸部に対向して設けられた略円筒状をな
す内板部の内径寸法を大きく形成したため、溝部に挿入
されたケーブルは案内体の内周に接触せず、案内体とケ
ーブルとの摩擦抵抗を低減して、ケーブル用リール装置
の作動を円滑にすることができる。
【0093】請求項7記載のケーブル用リール装置によ
れば、請求項1ないし6いずれか記載の効果に加え、ケ
ーブルの案内体の軸方向に沿った幅方向の寸法は、溝部
の開口部分の外周側の端部と反転用挿通部またはその近
傍のケーブル案内部との離間寸法以下であり、かつ、溝
部の開口部分の外周側の端部とケーブル押え部との離間
寸法より大きく設定されたため、ケーブルは、反転用挿
通部またはその近傍でのみ溝部から離脱可能になり、他
の部分では、溝部から離脱しないように確実に保持され
るため、ケーブルと案内体との接触部分を最低限とし
て、案内体とケーブルとの摩擦抵抗を低減させ、ケーブ
ル用リール装置の作動を円滑にすることができる。
【0094】請求項8記載のケーブル用リール装置によ
れば、請求項1ないし7いずれか記載の効果に加え、枠
部には、案内体の外周側に位置して、ケーブルの長手方
向に沿った一側部が挿入される略環状の外側溝部を設
け、案内体には、外側溝部に対向する外側ケーブル案内
部を設けるとともに、この外側ケーブル案内部には、反
転用挿通部またはその近傍を除き、ケーブルの長手方向
に沿った他側部に対向してこのケーブルの外側溝部から
の離脱を阻止する外側ケーブル押え部を設けたため、案
内体の外周側においても、外側溝部と外側ケーブル案内
部の間でケーブルの位置を規制し、異音の発生を抑制す
ることができる。また、この外側溝部に挿入されるケー
ブルと案内体の外周面とが摺接することがなく、ケーブ
ルに設けた絶縁性フィルムのけずれを防ぐことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケーブル用リール装置の一実施例を示
す断面図である。
【図2】同上ケーブル用リール装置の分解斜視図であ
る。
【図3】同上ケーブル用リール装置の斜視図である。
【図4】同上ケーブル用リール装置のロータの斜視図で
ある。
【図5】同上ケーブル用リール装置の案内体の斜視図で
ある。
【図6】同上ケーブル用リール装置の案内体の説明図で
ある。
【図7】本発明のケーブル用リール装置の他の実施例を
示す一部の断面図である。
【図8】本発明のケーブル用リール装置のさらに他の実
施例を示す断面図である。
【符号の説明】
14 案内体としてのスペーサ 21 ケーブル収納部 22 ケーブルとしてのフラットケーブル 33 軸部 46 案内体支持部 55 溝部 62 枠部 64 底部 67 ケーブル摺接部 104 内板部 106 反転用挿通部 111 ケーブル案内部 112 ケーブル押え部 114 傾斜面部 145 外側ケーブル案内部 147 外側ケーブル押え部 152 外側溝部

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略筒状をなす枠部と、 この枠部の内側にこの枠部に対して相対的に正逆方向に
    回転可能に設けられた軸部と、 これら枠部と軸部との間に形成されたケーブル収納部
    と、 このケーブル収納部に位置し、前記軸部の周囲に回転自
    在に配設された案内体と、 この案内体に形成された反転用挿通部と、 前記ケーブル収納部に収納され、一端部が前記枠部に接
    続され、他端部が前記軸部に接続されるとともに、前記
    反転用挿通部を挿通し、前記枠部および軸部の相対的な
    正逆方向の回転に伴い前記軸部の外周と前記枠部の内周
    とに互いに反対方向に巻回されるケーブルとを備えたケ
    ーブル用リール装置において、 前記軸部には、前記案内体の内周側に位置して、前記ケ
    ーブルの長手方向に沿った一側部が挿入される略環状の
    溝部が設けられ、 前記案内体には、前記溝部に対向するケーブル案内部が
    設けられ、このケーブル案内部には、前記反転用挿通部
    またはその近傍を除き、前記ケーブルの長手方向に沿っ
    た他側部に対向してこのケーブルの前記溝部からの離脱
    を阻止するケーブル押え部が設けられたことを特徴とす
    るケーブル用リール装置。
  2. 【請求項2】 案内体のケーブル案内部には、ケーブル
    押え部から反転用挿通部またはその近傍に向かって傾斜
    する傾斜面部が設けられたことを特徴とする請求項1記
    載のケーブル用リール装置。
  3. 【請求項3】 案内体には、少なくとも軸部に対向する
    内周側の傾斜面部に隣接する部分に、内周側に向かって
    突出する突部が設けられたことを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のケーブル用リール装置。
  4. 【請求項4】 枠部には、ケーブル収納部のケーブルの
    長手方向に沿った一側部側を覆う底部が設けられ、この
    底部には、溝部の開口部分の外周側の端部よりも突出す
    るケーブル摺接部が設けられたことを特徴とする請求項
    1ないし3いずれか記載のケーブル用リール装置。
  5. 【請求項5】 案内体は、底部から離間し、軸部に設け
    た案内体支持部に摺動自在に吊り下げ支持されたことを
    特徴とする請求項4記載のケーブル用リール装置。
  6. 【請求項6】 軸部に設けた略環状をなす溝部に面した
    周面の外径寸法よりも、案内体に軸部に対向して設けら
    れた略円筒状をなす内板部の内径寸法が大きく形成され
    たことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のケ
    ーブル用リール装置。
  7. 【請求項7】 ケーブルの案内体の軸方向に沿った幅方
    向の寸法は、溝部の開口部分の外周側の端部と反転用挿
    通部またはその近傍のケーブル案内部との離間寸法以下
    であり、かつ、前記溝部の開口部分の外周側の端部とケ
    ーブル押え部との離間寸法より大きいことを特徴とする
    請求項1ないし6いずれか記載のケーブル用リール装
    置。
  8. 【請求項8】 枠部には、案内体の外周側に位置して、
    ケーブルの長手方向に沿った一側部が挿入される略環状
    の外側溝部が設けられ、 前記案内体には、前記外側溝部に対向する外側ケーブル
    案内部が設けられ、この外側ケーブル案内部には、前記
    反転用挿通部またはその近傍を除き、前記ケーブルの長
    手方向に沿った他側部に対向してこのケーブルの前記外
    側溝部からの離脱を阻止する外側ケーブル押え部が設け
    られたことを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載
    のケーブル用リール装置。
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