JP2671487B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法

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JP2671487B2 JP9837189A JP9837189A JP2671487B2 JP 2671487 B2 JP2671487 B2 JP 2671487B2 JP 9837189 A JP9837189 A JP 9837189A JP 9837189 A JP9837189 A JP 9837189A JP 2671487 B2 JP2671487 B2 JP 2671487B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、耐衝撃性、成形加工性、耐熱性、耐薬品性
および表面外観性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する
ものである。
[従来の技術] ゴム強化スチレン系樹脂(ABS、AES、AAS、MBS樹脂)
は、優れた耐衝撃性、成形加工性を有し、汎用熱可塑性
樹脂として広く使用されている。しかし、耐薬品性、耐
熱性が十分ではなく、苛酷な条件下では使用が制限され
ている。
また、芳香族ポリエステル樹脂(以下ポリエステルと
略称する)は、優れた機械的性質、電気的性質、耐薬品
性、耐熱性、低吸湿性、加工性などを有しており、エン
ジニアリングプラスチックとして広く使用されている
が、耐衝撃性に劣るという欠点がある。
ポリエステルの耐衝撃性を改良するために、ABS樹脂
とのブレンドが提案されている(例えば特開昭56-14546
号公報、特開昭57-117556号公報、特開昭57-137350号公
報、特開昭60-36558号公報、特開昭60-123550号公報な
ど)。
また、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物や不飽和カ
ルボンアミドを他の単量体と共にゴム状重合体にグラフ
ト共重合してなるグラフト共重合体とポリエステルとの
ブレンドも提案されている(例えば特開昭49-97081号公
報、特開昭59-138256号公報、特開昭60-144349号公報、
特開昭60-262847号公報、特開昭61-130366号公報な
ど)。
また、ポリエステルとジエン系重合体との混合物にエ
ポキシ樹脂を添加する方法も提案されている(特開昭59
-149951号公報)。
[発明が解決しようとする課題] しかし、これまでに一般的に提案された方法では相溶
性、機械的物性および流動性などのトータルバランスの
面で十分に満足できる組成物は得られていない。
たとえば、ABS樹脂とポリエステルとの単なるブレン
ドでは相溶性が悪く、耐衝撃性をはじめとする機械的性
質も著しく低い。
また、ポリエステルと反応性あるいは親和性のある官
能基を有する単量体を他の単量体と共にゴム状重合体に
グラフト共重合した前記グラフト共重合体とポリエステ
ルのブレンドの場合、耐衝撃性は改善できるが、相溶性
が悪く成形品の表面状態が悪いので実用性に乏しい。
また、ポリエステルとジエン系重合体との混合物にエ
ポキシ樹脂を添加した場合は、エポキシ樹脂が局在化し
て硬化するために本質的に流動性が悪くなる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行っ
た結果、全く新しい事実を見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ABS樹脂の成形加工性を損なう
ことなく、ポリエステルの耐薬品性、耐熱性および表面
外観性を合せ持ち、かつABS樹脂以上の耐衝撃性を持つ
樹脂組成物を得ることを課題とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記課題を解決するために次の構成をと
る。
(A) (a) ゴム質重合体5〜80重量部に (b) 芳香族ビニル系単量体、20〜90重量%、シアン
化ビニル系単量体および/または不飽和カルボン酸アル
キルエステル系単量体80〜10重量%ならびにこれらと共
重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%からなる単
量体混合物95〜20重量部をグラフト重合してなるグラフ
ト共重合体(A成分およびB成分の和に対して)1〜99
重量%、および (B) 芳香族ポリエステル樹脂(A成分およびB成分
の和に対して)1〜99重量%からなる組成物に対し (C) 金属水酸化物水溶液が下記式(I)および(I
I)を満足するような比率で添加されたことを特徴とす
る熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法。
(ここで、xは金属水酸化物水溶液中の水のモル数、
yは金属水酸化物水溶液中の金属水酸化物モル数、mは
(A)中のシアン化ビニル系単量体および/または不飽
和カルボン酸アルキルエステル系単量体残基の(A)+
(B)からなる組成物中におけるモル数を表わす。) (A)グラフト共重合体に(C)金属水酸化物水溶液
を加え溶融混練した後、(B)芳香族ポリエステル樹脂
と混合することを特徴とする前記の熱可塑性樹脂組成物
の製造方法である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明で用いられる(A)グラフト共重合体の構成成
分である(a)ゴム質重合体としては、ガラス転移温度
が0℃以下のものが好適であり、具体的には、ポリブタ
ジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリ
ロニトリル−ブタジエン)などのジエン系ゴム、ポリイ
ソプレン、ポリクロロプレン、ポリアクリル酸ブチルな
どのアクリル系ゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエ
ンモノマ三元共重合体などのゴム質重合体を使用でき
る。特にブタジエンまたはブタジエン共重合体が好まし
い。
(b) 芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α
−メチルスチエン、ビニルトルエン、o−エチルスチレ
ン、o−p−ジクロロスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましく、これらは一種または二種以上を
用いることができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙
げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体として
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸クロロ
メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、
メタクリル酸クロロメチル、アクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタ
クリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−
ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジルなどのα,β−不飽和カルボン酸アルキ
ルエステル類が挙げられるが、特にメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチルが好
ましい。
また、共重合可能な他のビニル系単量体としては、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)
アクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸な
どのα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類、N−メチル
マレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−シクロヘ
キシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−
クロロフェニルマレイミドなどのα,β−不飽和カルボ
ン酸のイミド化合物類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ルなどのカルボン酸ビニルエステル類などを挙げること
ができる。
また、グラフト共重合体(A)は、(a)ゴム質重合
体5〜80重量部、好ましくは7〜75重量部、より好まし
くは10〜70重量部に単量体混合物95〜20重量部、好まし
くは93〜25重量部、より好ましくは90〜30重量部を公知
の重合法、例えば、ゴム質重合体ラテックスの存在下に
前記した割合の単量体混合物と重合開始剤を連続的に供
給して乳化グラフト重合する方法などによって得ること
ができる。
グラフト共重合体における(a)ゴム質重合体の割合
が5重量部未満では得られる樹脂の耐衝撃性が劣り、80
重量部を越える場合はゴム質重合体が分散不良となり、
成形品の外観を損なうため実用的でない。
また、(b)単量体混合物中の芳香族ビニル系単量体
の割合が20重量%未満の場合は成形加工性が悪く、90重
量%越える場合は得られる樹脂の耐衝撃性および耐薬品
性が低下するため好ましくない。
また、シアン化ビニル系単量体および/または不飽和
カルボン酸アルキルエステル系単量体の割合が10重量%
未満では、得られる樹脂の耐衝撃性が劣り好ましくな
い。また、80重量%を越える場合は共重合体の熱安定性
が著しく低下し、色調の悪い成形品となるため好ましく
ない。
また、全熱可塑性樹脂組成物中の(a)の含有量が1
〜60重量%の範囲であることが好ましく、特に3〜55重
量%、さらに5〜50重量%の範囲であることが好まし
い。さらに、樹脂組成物中のジエン系ゴムの重量が15重
量%以上、特に15〜25重量%であるならば、樹脂組成物
の耐衝撃性がグラフト共重合体組成物および芳香族ポリ
エステル樹脂の各単独のそれに比較して飛躍的に向上す
る。
本発明で用いる芳香族ポリエステル樹脂(B)とは、
芳香環を重合体の連鎖単位に有するポリエステルで、芳
香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導
体)とジオールとを主成分とする重縮合反応により得ら
れる重合体ないし共重合体である。
ここでいう芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、2,2′−ビフェニルジカルボン
酸、3,3′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニ
ルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−
ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4′−ジフェニ
ルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノ
キシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、2,5−アセトラセ
ンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,
4′−p−ターフェニレンジカルボン酸2,5−ピリジンジ
カルボン酸などが挙げられ、テレフタル酸が好ましく使
用できる。
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使
用してもよい。なお少量であれば、これらの芳香族ジカ
ルボン酸と共に、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン
ジオン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シク
ロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸を一
種以上混合して使用することができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールなど、お
よびそれらの混合物などが挙げられる。なお少量であれ
ば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリ
エチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどを1種以上共重
合せしめてもよい。
具体的な芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス
(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレートな
どのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート
などの共重合ポリエステルが挙げられる。これらのう
ち、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテ
レフタレートが好ましく使用できる。
本発明において使用する芳香族ポリエステルは、0.5
%のo−クロロフェノール溶液を25℃で測定した相対粘
度が、1.15〜3.0、特に1.3〜2.5のものが好ましい。相
対粘度が1.15未満の場合には得られる成形品の衝撃強度
が低く、3.0より大きい場合には成形品表面の光沢が劣
るため好ましくない。
本発明で用いる(C)金属水酸化物としては、次式
(III)で表わされるものが好ましい。
M(OH)またはM(OH)2 (III) (ここで、Mは元素周期律表第2〜6周期で第I〜II
族の金属を表わす。) 具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、
水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等を挙げること
ができるが、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが
好ましい。これらは単独ないし二種以上を組み合わせて
使用することができる。
上記(C)を樹脂成分中に添加するにあたっては、
(C)の樹脂成分中における分散性を考慮し、水溶液で
添加することが好ましい。
また、(C)水溶液の適正濃度は1〜45重量%であ
り、2〜45重量%がより好ましく、3〜40重量%がさら
に好ましい。濃度が45重量%越える場合には、金属種に
よっては溶解発熱量がかなり大きく、しかも溶解時間が
長くなるため好ましくない。
一方、濃度が1重量%未満の場合には、樹脂組成物中
に必要な金属水酸化物の量を溶解するために必要となる
水の量が多すぎるため好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるグラフト共重合
体(A)および芳香族ポリエステル樹脂(B)の配合割
合は、(A)が1〜99重量%、好ましくは5〜90重量
%、さらに好ましくは3〜90重量%であり、(B)が1
〜99重量%、好ましくは10〜95重量%、さらに好ましく
は10〜70重量%割合である。(A)が1重量%未満およ
び(B)が99重量%を越えた場合には、得られる樹脂組
成物の耐衝撃性に劣り、(A)が99重量%越えた場合お
よび(B)が1重量%未満では、耐薬品性および金型転
写性に劣るため好ましくない。
また、樹脂組成物中における金属水酸化物水溶液の添
加量は、前記式(I)および(II)を満足する必要があ
る。すなわち、(A)中のシアン化ビニル系単量体およ
び/または不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体
残基に対して、水分換算で0.02〜0.5モル比であり、金
属水酸化物換算で5×10-3〜0.2モル比である。
この金属水酸化物水溶液を添加することにより、樹脂
成分中のニトリル基および/またはエステル基が加水分
解され、生じたカルボキシル基は金属水酸化物により中
和される。ここで、添加する金属水酸化物水溶液の量
が、水分換算で0.02モル比未満の場合には、カルボキシ
ル基の生成量が少ないため、グラフト共重合体と芳香族
ポリエステル樹脂の相溶性が不十分である。一方、0.5
モル比を越える場合には、グラフト共重合体成分がゲル
化しやすく、表面状態の良好な成形品は得られない。
また、該水溶液の添加量が金属水酸化物換算で5×10
-3モル比未満の場合には、カルボキシル基の中和量が少
ないため、十分な耐熱性を示す樹脂組成物が得られず好
ましくない。さらに、0.2モル比を越える場合には樹脂
組成物の加工性に劣るため、これも好ましくない。
適量の金属水酸化物水溶液を添加することにより、高
分子相溶化剤を配合することなく、アクリロニトリル−
スチレン系樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の相溶性が向
上し、耐衝撃性などの機械物性に優れた樹脂組成物が得
られる。本発明は、該二種の樹脂の新規な相溶化技術で
あり、無機化合物の添加のみという点で大幅なコストダ
ウンが達成される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法として
は、以下の方法などが推奨される。
すなわち、グラフト共重合体(A)に金属水酸化物水
溶液(C)を添加し、高速撹拌機などを用いて均一混合
した後、十分な混練能力のある単軸または多軸の押出機
で溶融混練する。このときの混練温度は、グラフト共重
合体の溶融粘度、熱安定性を考慮すると170〜280℃が好
ましい。
170℃未満では、グラフト共重合体の溶融粘度が高す
ぎて作業性が悪く、一方280℃を越える場合には、グラ
フト共重合体中のゴム成分が熱劣化するため、耐衝撃性
に優れた樹脂組成物は得られず共に好ましくない。
また、該混練時にはベント付押出機を用い、押出機に
取り付けられた排気口から発生ガスを脱気しながら混練
することが、作業性の面から好ましい。
このようにして得られた溶融混合物は、ペレット化し
十分な乾燥を行った後、芳香族ポリエステル樹脂と溶融
混練され、最終的な熱可塑性樹脂組成物に導かれる。こ
の段階での溶融混練ペレットの乾燥は重要であり、乾燥
不十分の場合は、最終的な樹脂組成物の耐衝撃性、耐熱
性が低下する。
上述したように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、製
造時に2段階の溶融混練が必要である。グラフト共重合
体、芳香族ポリエステル樹脂、金属水酸化物水溶液を一
括混合し溶融混練を行ったならば、芳香族ポリエステル
樹脂が加水分解を受けるため、本発明の優れた樹脂組成
物を得ることはできない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、他の熱可塑性重合
体、例えば、スチレン/アクリロニトリル共重合体、α
−メチルスチレン/アクリロニトリル共重合体、α−メ
チルスチレン/スチレン/アクリロニトリル共重合体、
スチレン/アクリルアミド共重合体、ポリメタクリル酸
メチルなどを混合することによって、溶融流動性、耐熱
性および耐衝撃性のバランスを一層向上させることも可
能である。
例えば、グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体濃
度の高い場合には、スチレン/アクリロニトリル/メタ
クリル酸メチル共重合体などの上記共重合体の一種以上
を添加する。
また、目的に応じて顔料や染料、ガラス繊維、金属繊
維、金属フレーク、炭素繊維などの補強剤や充填剤、熱
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、
可塑剤、帯電防止剤および難燃剤などを添加することも
できる。
[実施例] 以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳
しく説明する。
耐衝撃性の評価として、1/2″アイゾット衝撃強さをA
STM D256-56に従って測定した。成形加工性の評価とし
て、溶融粘度を高化式フローテスターにより樹脂温度25
0〜280℃、荷重50kgの条件下で測定した。耐熱性の評価
として、ビカット軟化温度をASTM D-1525に従って測定
した。耐薬品性は、射出成形した角板をメタノールおよ
びガソリンに23℃で24時間浸漬して角板表面を目視で観
察した。表面外観性は、成形品表面の光沢度を測定し
た。
なお、以下の部数および%はそれぞれ重量部および重
量%を表わす。
参考例 次の処方により、グラフト共重合体A−1〜A−3を
製造した。
A−1:ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.25μ、
ゲル含率80%)60部(固形分換算)の存在下で、スチレ
ン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40
部を乳化重合した。
得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソー
ダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト
共重合体(A−1)を調製した。
A−2:A−1で使用したポリブタジエンラテックス40部
(固形分換算)の存在下で、メタクリル酸メチル15%、
スチレン65%、アクリロニトリル20%からなる単量体混
合物60部を乳化重合した後、A−1と同様にしてパウダ
ー状のグラフト共重合体(A−2)を調製した。
A−3:ポリブタジエンゴム(“ジエン"NF35A、旭化成
(株)製)20部をスチレン70部とアクリロニトリル10部
に溶解した後、塊状重合してグラフト共重合体(A−
3)を調製した。
実施例1〜9、比較例1〜5 参考例で製造したA−1〜A−3に、金属水酸化物水
溶液を表−1の比率に従って添加し、ヘンシェルミキサ
ーで混合後、ベント付40mmφ押出機を用いて、シリンダ
温度220℃にて押出し、ペレット化した。
得られたペレットを80℃で10時間以上熱風乾燥した
後、表−1の配合割合で芳香族ポリエステル樹脂(PET
J-025、三井ペット樹脂(株)製ポリエチレンテレフタ
レート)と混合した。
この混合物をベント付40mmφ押出機により、シリンダ
温度260℃にて押出し、それぞれペレット化した後、各
ペレットについて成形温度260℃、金型温度80℃の条件
で射出成形に供し、各試験片を作成した。それについて
物性の評価を行い、結果を表−1に併せて示した。
実施例10〜18、比較例6〜8 芳香族ポリエステル樹脂として、PBT-1200S(ポリブ
チレンテレフタレート、東レ(株)製)を用い、押出温
度を250℃、成形温度を250℃、金型温度を60℃とした以
外は、実施例1〜9と同様の条件で行った。配合組成お
よび物性の測定結果を表−2に示した。
実施例および比較例より次のことが明らかである。
すなわち、本発明により得られたものは、いずれも耐
衝撃性、成形加工性、耐熱性、耐薬品性および表面外観
性に優れている。それに対して金属水酸化物換算の添加
量が少ないもの(比較例1)は、耐熱性に劣るため好ま
しくない。また、水分換算の添加量が多いもの(比較例
2、6)では、溶融粘度が高く成形加工性に劣り、かつ
表面外観も悪い。さらに、金属水酸化物をペレット状で
添加したもの(比較例3、7)および添加しないもの
(比較例4、8)では、耐衝撃性および/または耐熱性
に劣るため、これも好ましくない。
[発明の効果] 本発明の熱可塑性成形材料は、グラフト共重合体
(A)、芳香族ポリエステル樹脂(B)および金属水酸
化物水溶液(C)を特定の割合で配合しており、特に適
切な濃度の金属水酸化物水溶液の適量の存在のため、
(A)および(B)の相溶性が極めて良好である。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化スチレ
ン系樹脂と同等の成形加工性、耐衝撃性と芳香族ポリエ
ステル樹脂の耐熱性、耐薬品性を併せ持つため、それら
の性質を生かした種々の成形品に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67:02) (C08L 55/02 67:02) (C08L 67/02 51:04) (C08L 67/02 55:02)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) (a) ゴム質重合体5〜80重量
    部に (b) 芳香族ビニル系単量体、20〜90重量%、 シアン化ビニル系単量体および/または不飽和カルボン
    酸アルキルエステル系単量体80〜10重量%ならびに これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%
    からなる単量体混合物95〜20重量部を グラフト重合してなるグラフト共重合体(A成分および
    B成分の和に対して)1〜98重量%、 (B) 芳香族ポリエステル樹脂(A成分およびB成分
    の和に対して)1〜99重量%ならびに (C) 金属水酸化物水溶液が下記式(I)および(I
    I)を満足するような比率で添加されたことを特徴とす
    る熱可塑性樹脂組成物。 (ここで、xは金属水酸化物水溶液中の水のモル数、y
    は金属水酸化物水溶液中の金属水酸化物モル数,mは
    (A)中のシアン化ビニル単量体および/または不飽和
    カルボン酸アルキルエステル系単量体残基の(A)+
    (B)からなる組成物中におけるモル数を表わす。)
  2. 【請求項2】(A) (a) ゴム質重合体5〜80重量
    部に (b) 芳香族ビニル系単量体、20〜90重量%、 シアン化ビニル系単量体および/または不飽和カルボン
    酸アルキルエステル系単量体80〜10重量%ならびに これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%
    からなる単量体混合物95〜20重量部を グラフト重合してなるグラフト共重合体(A成分および
    B成分の和に対して)1〜98重量%、 (B) 芳香族ポリエステル樹脂(A成分およびB成分
    の和に対して)1〜99重量%ならびに (C) 金属水酸化物水溶液が下記式(I)および(I
    I)を満足するような比率で添加して混合することを特
    徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 (ここで、xは金属水酸化物水溶液中の水のモル数、y
    は金属水酸化物水溶液中の金属水酸化物モル数,mは
    (A)中のシアン化ビニル単量体および/または不飽和
    カルボン酸アルキルエステル系単量体残基の(A)+
    (B)からなる組成物中におけるモル数を表わす。)
  3. 【請求項3】(A)成分、(B)成分および(C)成分
    の混合が、(A)グラフト共重合体に(C)金属水酸化
    物水溶液を加え溶融混練した後、(B)芳香族ポリエス
    テル樹脂を混合するものである特許請求の範囲第2項記
    載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】金属水酸化物水溶液の濃度が1〜45重量%
    であることを特徴とする特許請求の範囲2または3記載
    の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】金属水酸化物が元素周期律表第2〜6周期
    で、第I〜II族の金属の水酸化物であることを特徴とす
    る特許請求の範囲2〜4いずれかに記載の熱可塑性樹脂
    組成物の製造方法。
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