JP2670791B2 - アンチロック制御方法 - Google Patents

アンチロック制御方法

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JP2670791B2 JP63003222A JP322288A JP2670791B2 JP 2670791 B2 JP2670791 B2 JP 2670791B2 JP 63003222 A JP63003222 A JP 63003222A JP 322288 A JP322288 A JP 322288A JP 2670791 B2 JP2670791 B2 JP 2670791B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、右前輪および左後輪を一方の系統、左前輪
および右後輪を他方の系統とする交差配管型2系統ブレ
ーキ装置のブレーキ液圧の制御において、左右後輪の車
輪速度のセレクトハイによる速度と各前輪の車輪速度と
のセレクトローによる速度をそれぞれの系統速度とする
アンチロック制御方法に関する。
(従来技術) 一般に車両のアンチロック制御装置は、制動時におけ
る車両の操舵性、走行安定性の確保および制動距離の短
縮を目的として、車輪速度センサで検出された車輪速度
をあらわす電気信号にもとづいてブレーキ液圧の制御モ
ードを決定して電磁弁よりなるホールドバルブおよびデ
ィケイバルブを開閉し、これによりブレーキ液圧を加
圧、保持または減圧するようにマイクロコンピュータで
制御している。
第6図はこのようなアンチロック制御装置を備えた交
差配管型2系統ブレーキ装置の一例の構成を示す。図に
おいて、1は左前輪、2は右前輪、3は右後輪、4は左
後輪、5はブレーキペダル、6はマスターシリンダ、7
はディケイバルブDVおよびホールドバルブHVを備えたモ
ジュレータ(液圧調整器)である。また、8はプロポー
ショニングバルブ、9は車輪速度センサ(速度検出
器)、10はECU(電子制御回路)、11は右前輪と左後輪
を連結する液圧配管、12は左前輪と右後輪を連結する液
圧配管である。そして、上記ECU10は、各車輪スピード
センサ9からの信号を演算処理して、各ブレーキ系統ご
とに減圧信号DSおよび加圧信号HSをモジュレータ7に送
り、各系統のディケイバルブDVおよびホールドバルブHV
の開閉制御を行なっている。また、上記プロポーショニ
ングバルブ8は、各系統の液圧配管11、12の後輪側に設
けられ、各系統における後輪側のブレーキ液圧を前輪側
のブレーキ液圧よりも所定の割合で低くして、前輪側が
先行ロックに向うように後輪側のブレーキ液圧を調節す
るバルブである。
次に第7図は前述のようなアンチロック制御における
車輪速度Vw、車輪加減速度w、およびブレーキ液圧Pw
の変化と、ホールドバルブHVおよびディケイバルブDVを
開閉するための加圧信号HSおよび減圧信号DSを示す制御
状態図である。
第7図を参照すると、車両の走行中においてブレーキ
操作がなされていない状態では、ブレーキ液圧は加圧状
態になく、かつ加圧信号HSおよび減圧信号DSがともにOF
Fであるから、ホールドバルブは開、ディケイバルブは
閉の状態にあるが、ブレーキ操作に伴ってブレーキ液圧
Pwは時点t0から加圧されて急上昇し(通常モード)、こ
れにより車輪速度Vwは減少して行く。この車輪速度Vwに
対して一定の速度ΔVだけ低い速度差をもって追従する
擬似車輪速度Vtが設定されており、この擬似車輪速度Vt
は、車輪の減速度(負の加速度)wが時点t1において
所定の閾値、例えば−1.1Gに達すると、この時点t1から
アンチロック制御が開始される。そして時点t1以降は−
1.1Gの減速勾配θをもって直線的に減少して行くように
設定されている。そして車輪の減速度wが所定の最大
減速度−Gmaxに達した時点t2において加圧信号HSをONに
して加圧バルブを閉じ、ブレーキ液圧Pwを保持する。
このブレーキ液圧Pwの保持により車輪速度Vwはさらに
減少して、時点t3において車輪速度Vwと擬似車輪速度Vt
とが等しくなるが、この時点t3において減圧信号DSをON
にしてディケイバルブを開き、ブレーキ液圧Pwの減圧を
開始する。この減圧により、車輪速度は時点t4における
ローピーク速度Vlを境にして加速に転じるが、このロー
ピーク時点t4において、または減圧開始時点t3における
車輪速度Vaとローピーク速度Vlとの速度差Yの15%に相
当する量だけローピーク速度Vlから増加した速度Vb(=
Vl+0.15Y)にまで回復した時点t5において、減圧信号D
SをOFFとし、ディケイバルブを閉じてブレーキ液圧Pwの
減圧を終了し、ブレーキ液圧Pwを保持する。次に車輪速
度Vwは減圧開始時点t3における車輪速度Vaとローピーク
速度Vlとの速度差Yの80%に相当する量だけ増加した速
度Vc(=Vl+0.8Y)にまで回復した時点t6を経て時点t7
でハイピークに達するが、このハイピーク速度Vhに達し
た時点t7から再びブレーキ液圧Pwの加圧を開始する。こ
こでの加圧は、加圧信号HSを比較的小刻みにON・OFFす
ることにより、ブレーキ液圧Pwの加圧と保持とを交互に
反復し、これによりブレーキ液圧Pwを緩慢に上昇させて
車輪速度Vwを減少させ、時点t8(t3対応)から再び減圧
モードを発生させる。なお、時点t7から開始される最初
の加圧の時間T1(以下この時間T1における加圧を「ファ
ストビルド」という)は、時点t5とt6との間の期間ΔT
における平均加速度(Vc−Vb)/ΔTの算出にもとづく
路面摩擦係数μの判定によって決定され、その後、上記
ファストビルド時間T1が経過した時点tSから次の減圧開
始時点t8までの間においては、保持と加圧の繰り返しに
よる緩上昇(以下これを「スロービルド」という)が行
なわれるが、このスロービルドにおける保持時間T2また
は加圧時間T3は、これら保持または加圧の直前において
検出された車輪速度wにもとづいて決定される。以上
のようなブレーキ液圧Pwの加圧、保持および減圧の組合
せによって、車輪をロックさせることなく車輪速度Vwを
制御して車体速度を減少させることができる。
ところで、前述の第6図に示すように、左前輪1およ
び右後輪3を第1の系統CH1とし、右前輪2および左後
輪4を第2の系統CH2とする交差配管型2系統ブレーキ
装置において、左右後輪速度Vw2、Vw3のセレクトハイに
よる速度Vw5と左前輪速度Vw1とのセレクトローによる速
度を第1系統速度Vs1とし、上記速度Vw5と右前輪速度Vw
4とのセレクトローによる速度を第2系統速度Vs2として
アンチロック制御を行なう場合、次に述べるような利点
がある。すなわち、この車両が左右で摩擦係数μの異な
る左右スプリットμ路を走行するときに、同一系統に属
する前輪速度とその対角上の後輪速度とのセレクトロー
(対角セレクトロー)による速度を各系統速度とする制
御方法が、低μ路面側の前輪速度と後輪速度がともに各
系統速度とされて制動距離が伸びてしまうという問題点
を有するのに対し、左右後輪のセレクトハイによる速度
Vw5と各前輪速度Vw1、Vw4とのセレクトローでは、前輪
速度Vw1、Vw4が系統速度Vs1、Vs2として選択されるた
め、制動距離は短かくなる。
しかしながら、右前輪3および左後輪4の属する第2
系統CH2においては、その系統速度Vs2として低μ路面側
の右前輪速度Vw4が選択されて低いブレーキ液圧で制御
され、他方、左右後輪速度Vw2、Vw3のうちのセレクトハ
イによる速度となる高μ路面側の左後輪速度Vw2は上記
第2系統CH2の低いブレーキ液圧で制御されて実車体速
度と同等になるため、左前輪1および右後輪2の属する
第1系統CH1においては、通常は、系統速度Vs1として高
μ路面側の左前輪速度Vw1が選択されて高いブレーキ液
圧で制御されるようになる。
したがって、上記の方式で各系統速度を選択して2チ
ャンネル制御を行なう場合、左右スプリットμ路では、
高μ路面側の左前輪1の属するブレーキ系統CH1は高い
ブレーキ液圧で制御され、低μ路面側の右前輪2の属す
るブレーキ系統CH2は低いブレーキ液圧で制御されるこ
とになるので、高μ路面側の前輪が属するブレーキ系統
を、通常の高μ路におけると同一の加圧レート(上昇度
合)で加圧制御してスロービルド(緩加圧)を行なう
と、左右前輪1、3に加えられるブレーキ圧力の差が頻
繁にかつ急激に増加して、大きなヨーレイトが発生し、
運転者のハンドル修正が困難となるという問題があっ
た。
(発明の目的) そこで本発明は、左右スプリットμ路での走行中に制
動を行なう場合、左右後輪速度のセレクトハイによる速
度と各前輪速度とのセレクトローによる速度を各系統速
度とするアンチロック制御において、前述のようなヨー
レイトの発生を低減させることができるアンチロック制
御方法を提供することを目的とする。
(発明の構成) 本発明は、交差配管型2系統ブレーキ装置の各系統の
ブレーキ液圧の制御を、左右後輪速度のセレクトハイに
よる速度と各前輪速度とのセレクトローによる速度を各
系統速度として行なうアンチロック制御方法において、
左右後輪の車輪速度を比較するとともにその速度差を求
め、この速度差が所定速度以上となった場合、低速側の
後輪の属する系統におけるブレーキ液圧を、上記加圧と
保持との反復によるブレーキ液圧の通常の階段状上昇度
合よりもさらに緩やかな階段状上昇度合をもって加圧す
るようにしたものである。
(発明の効果) 本発明によれば、左右スプリット路面と判定されたと
きは、高μ路面側の前輪の属する系統のブレーキ液圧の
加圧制御時におけるスロービルドを、通常よりも緩やか
な上昇度合(加圧レート)に設定するようにしたので、
左右各前輪間のブレーキの差が急激に増加することを防
止して、ヨーレイト発生を低減し、ハンドル修正を容易
にすることができる。
(実 施 例) 以下、本発明の一実施例を図面にもとづいて説明す
る。
第1図は、本発明の一実施例の実施に使用する2系統
アンチロック制御装置の構成ブロック図である。図にお
いて、21は左前輪速度センサ、22は左後輪速度センサ、
23は右後輪速度センサ、24は右前輪速度センサである。
これら車輪速度センサ21〜24の出力はそれぞれ車輪速度
演算回路25〜28に送られて演算され、各車輪速度Vw1〜V
w4をあらわす信号が得られる。そして左後輪速度Vw2と
右後輪速度Vw3のうちの高速側の車輪速度Vw5がハイセレ
クト回路29で選択されて、このセレクトハイによる速度
をあらわす信号がローセレクト回路30、31に送られる。
ローセレクト回路30および31では、上記セレクトハイに
よる速度Vw5と左前輪速度Vw1とのセレクトローによる速
度および上記セレクトハイによる速度Vw5と右前輪速度V
w4とのセレクトローによる速度がそれぞれ第1系統速度
Vs1および第2系統速度Vs2としてそれぞれ制御ロジック
回路32、33に送られる。
また、各車輪速度Vw1〜Vw4をあらわす信号は擬似車体
速度演算回路34に送られ、ここで4つの車輪速度Vw1〜V
w4のうちの最速の車輪速度が選択され(ハイセレク
ト)、さらにこの最速車輪速度の追従限界を±1Gに限定
した速度が擬似車体速度Vvとして算出され、上記制御ロ
ジック回路32、33に送られる。さらに、擬似車体速度演
算回路34の出力は擬似車体速度減速勾配判定回路35に与
えられている擬似車体速度Vvの減速勾配が判定される。
ここで判定された擬似車体速度Vvの減速勾配の値は路面
の摩擦係数μをあらわすものであり、この減速勾配をあ
らわす信号は上記の各制御ロジック回路32、33に送られ
る。
上記制御ロジック回路32、33は、各系統速度Vs1、Vs
2、擬似車体速度Vv、および擬似車体速度Vvの減速勾配
をあらわす信号にもとづいて各系統のホールドバルブお
よびディケイバルブをオン・オフ制御し、これによりア
ンチロック制御を行なう。
さらに、アンチロック制御におけるスロービルドの加
圧レート(上昇度合)を決定するスロービルド決定回路
36、37が設けられ、このスロービルド決定回路36、37
は、上記制御ロジック回路32、33の出力側とスイッチSW
1、SW2を介して接続されるとともに、上記回路32、33の
入力側と直接に接続されている。そして、上記スイッチ
SW1、SW2は、制御ロジック回路32、33からの出力によ
り、各系統別に、加圧開始点から減圧開始点までの期間
はONになり、それ以外の期間はOFFになるように制御さ
れている。
また、左右スプリットμ路か否かを判定するスプリッ
トμ路判定回路38が設けられ、このスプリットμ路判定
回路38は、車輪速度演算回路26、27からそれぞれ左右後
輪速度Vw2、Vw3をあらわす信号を受けて、左右後輪速度
Vw2、Vw3の速度差Vw2−Vw3が所定速度、例えば20km/h以
上となった場合をスプリットμ路と判定し、その出力を
上記スロービルド決定回路36、37に送る。上記スロービ
ルド決定回路36、37は、スロービルドにおける保持時間
と加圧時間とを交互に設定し、これによってスロービル
ドの加圧レートを決定するように構成されている。
次に第2図は、上記スプリットμ路判定回路38の動作
を示すフローチャートである。まずステップS1で左後輪
速度Vw2と右後輪速度Vw3とを比較し、Vw2≧Vw3のとき
は、ステップS2で左後輪速度Vw2と右後輪速度Vw3との速
度差が例えば20km/h以上か否かを判定する。そしてこの
判定が「YES」のときはステップS3に行って左前輪と右
後輪の属する系統CH1のスプリットフラッグをONにし、
この判定が「NO」のときはステップS4に行って上記系統
CH1のスプリットフラッグをOFFのままにする。
一方、ステップS1でVw2<Vw3と判定されたときは、ス
テップS5で右後輪速度Vw3と左後輪速度Vw2との速度差が
例えば20km/h以上か否かを判定する。この判定が「YE
S」ならステップS6に進み右前輪と左後輪の属する系統C
H2のスプリットフラッグをONにし、この判定が「NO」の
ときはステップS7で上記系統CH2のスプリットフラッグ
をOFFのままにする。
このように上記スプリットμ路判定回路38は、左右の
各後輪速度間の速度差が20km/h以上になったときにスプ
リットμ路と判定し、それをあらわす信号を、低速度側
の後輪に属する系統の制御ロジック回路に接続されたス
ロービルド決定回路に送っている。
このようなスプリットμ路判定方法を採った理由は下
記のとおりである。すなわち、交差配管型の2チャンネ
ル制御で、左右後輪速度Vw2、Vw3のセレクトハイによる
速度Vw5と各前輪速度Vw1、Vw4とのセレクトローによる
速度を各系統速度とするアンチロック制御では、例えば
第6図に示すような左右スプリットμ路を走行する場
合、左前輪と右後輪の属する系統CH1は高μ路側の左前
輪速度Vw1が系統速度Vs1とされ、そのため高いブレーキ
液圧で制御されるので低μ路側の右後輪速度Vw3はロッ
クしてしまう。これに対し、右前輪と左後輪の属する系
統CH2は、低μ路側の右前輪速度Vw4が系統速度Vs2とさ
れ、そのため低いブレーキ液圧で制御されるので高μ路
側の左後輪速度Vw2は実車体速度と同等になる。このた
め、上記のような左右の後輪速度Vw2、Vw3の速度差Vw2
−Vw3が所定速度例えば20km/h以上であることを判定す
ることにより、左右スプリットμ路であることが判定で
きるのである。
第3図は、前記スロービルド決定回路36、37の動作を
示すフローチャートであり、本実施例における、ブレー
キ液圧の制御状態を示す第4図を参照しつつ説明する。
第4図の加圧開始点t7においては、ホールドバルブが
OFFとされ、また、擬似車体速度Vvの減速勾配から路面
の摩擦係数μが判定されてこれにもとづいてファストビ
ルド時間T1が設定され、さらに、タイマーはT=0にリ
セットされる。そして、第1図のスイッチSW1、SW2がON
とされ、スロービルド決定回路36、37が、制御ロジック
回路32、33からの出力を受けて作動を開始する。
まずステップS11でファストビルド中か否かを判定す
る。第4図の時点t7からはこの判定は「YES」となるの
でステップS12に進み、時点t7からの経過時間Tがファ
ストビルド時間T1と一致したか否かを判定し、T=T1と
なった第4図の時点からtSからは、この判定は「YES」
となるのでステップS13に進む。このステップS13ではス
プリットフラッグがONか否かを判定し、この判定が「N
O」のときは、ステップS14でスロービルド保持時間T2を
そのときの路面判定にもとづいて算出した値kに設定す
る。またこの判定が「YES」のときは、ステップS15でス
ロービルド保持時間T2を上記値kの例えば3倍の値3kに
設定する。そしてステップS16に進み、モードをスロー
ビルド保持モードにし、ステップS17でディケイバルブ
はOFFのままでホールドバルブをONにしてブレーキ液圧
を保持し、ステップS18でタイマーをリセットしてステ
ップS11に戻る。
このスロービルド保持モードにおいては、ステップS1
1の判定が「NO」となるのでステップS19に進み、スロー
ビルド加圧モードか否かを判定し、ここではこの判定が
「NO」となるので、ステップS20でスロービルドの保持
開始時点からの経過時間TがステップS14またはS15で設
定されたスロービルド保持時間T2と一致したか否かを判
定する。そしてT=T2となったときはステップS21でそ
のときの路面判定に応じてスロービルド加圧時間T3を設
定し、ステップS22でモードをスロービルド加圧モード
にする。そしてステップS23でディケイバルブはOFFのま
までホールドバルブをOFFにしてブレーキ液圧の加圧を
行なうとともにステップS24でタイマーをリセットし、
ステップS11に戻る。
次にステップS11からステップS19へ進む。このスロー
ビルド加圧モードにおいては、ステップS19の判定は「Y
ES」となるので、ステップS25でスロービルド加圧開始
時点からの経過時点TがステップS21で設定されたロー
ビルド加圧時間T3と一致したか否かを判定し、T=T3に
なった時点でステップS13に進み、以後は上記のスロー
ビルド保持モードにおける動作とスロービルド加圧モー
ドにおける動作とが繰り返され、次の減圧開始点で第1
図のスイッチSW1、SW2がOFFとされ、スロービルドは中
止される。
このように、走行路面がスプリットμ路と判定された
ときは、スロービルド保持時間を通常の3倍とすること
により、第4図に実線で示されているように、図に点線
で示された通常のスロービルドと比べてより緩やかな加
圧レートを有するスロービルドが行なわれる。
第5図は、ブレーキ液圧のスロービルドによる液圧パ
ターンを示す図で、点線は従来から行なわれていた通常
のスロービルドによる液圧パターンを、実線は本実施例
に係る、スプリットμ路と判定されたときのスロービル
ドによる液圧パターンを示している。図のように、スプ
リットμ路と判定されたときは、スロービルド保持時間
を、高μ路と判定されたときのスロービルド保持時間の
例えば3倍程度に設定することにより、通常よりもより
緩やかな加圧レートを有するスロービルドを行なうこと
ができる。
以上説明したように、本実施例によれば、左右スプリ
ットμ路と判定された場合に、高μ路側の前輪の属する
系統のアンチロック制御において、スロービルド(緩加
圧)を、通常よりも緩やかな加圧レートに設定すること
により、左右のフロントのブレーキ力の差が急激に増加
することを防止して、ヨーレイトの発生を低減させるこ
とができる。
なお、上述の実施例においては、走行路面がスプリッ
トμ路と判定された場合、加圧時間は変えずに保持時間
のみを長くしてスロービルドを行なっているが、これに
代り、保持時間は変えずに加圧時間のみを短かくしてス
ロービルドを行なってもよく、あるいは、加圧時間を短
かくし、かつ保持時間を長くしてもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に適用されるアンチロック制
御装置の構成ブロック図、第2図は本実施例に係るスプ
リットμ路判定方法を示すフローチャート、第3図は本
実施例に係るスロービルド決定方法を示すフローチャー
ト、第4図は本実施例に係るスロービルドにおけるブレ
ーキ液圧の変化を示す制御状態図、第5図は本実施例に
係るスロービルドによる液圧パターンを説明するための
図、第6図はアンチロック制御装置を備えた交差配管型
2系統ブレーキ装置の概略構成図、第7図は従来のアン
チロック制御方法によるブレーキ液圧の制御状態図であ
る。 21〜24……車輪速度センサ 25〜28……車輪速度演算回路 29……ハイセレクト回路 30、31……ローセレクト回路 32、33……制御ロジック回路 34……擬似車体速度演算回路 35……擬似車体速度減速勾配判定回路 36、37……スロービルド決定回路 38……スプリットμ路判定回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 勝也 埼玉県羽生市東5丁目4番71号 曙ブレ ーキ工業株式会社開発本部内 (56)参考文献 特開 昭61−160342(JP,A) 特開 昭61−218463(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】交差配管型2系統ブレーキ装置を有する車
    両における左右後輪の車輪速度のセレクトハイによる速
    度と右前輪速度とのセレクトローによる速度を一方の系
    統速度とし、上記セレクトハイによる速度と左前輪速度
    とのセレクトローによる速度を他方の系統速度としてブ
    レーキ液圧の制御を行ない、加圧開始点から減圧開始点
    までの間は、ブレーキ液圧の加圧と保持とを交互に反復
    してブレーキ液圧を階段状に上昇させるようにしたアン
    チロック制御方法において、 上記左右後輪の車輪速度を比較するとともにその速度差
    を求め、 この速度差が所定速度以上となった場合、低速側の後輪
    の属する系統におけるブレーキ液圧を、上記加圧と保持
    との反復によるブレーキ液圧の通常の階段状上昇度合よ
    りもさらに緩やかな階段状上昇度合をもって加圧するよ
    うにしたことを特徴とするアンチロック制御方法。
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