JP2668870B2 - 縦継目溶接管の熱処理方法と装置 - Google Patents

縦継目溶接管の熱処理方法と装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、オーステナイト系、フェライト系又はオ
ーステナイト・フェライト系のステンレス鋼から成る管
が縦継目の溶接後に熱処理されるときの縦継目溶接管の
熱処理方法と、この方法を実施するための装置とに関す
る。 [従来の技術] 例えば水蒸気コンデンサのためのステンレス鋼から成
る管は、縦継目の溶接後、応力の低減と溶接プロセスの
際に発生する溶離(合金組成分の分離)の低減とのため
に熱処理を加えられる。このことは例えばシュライトホ
フ(K.Schleithoff)及びシュミッツ(F.Schmitz)著の
論文「ステンレス鋼から成るコンデンサ用管−運転経験
と材料開発(Konden−satorrohre aus nichtrostenden
Staehlen−Be−triebserfahrungen und Werkstoffentwi
cklung)」、ファウゲーベー クラフトウェルクステヒ
ニク(VGB Kraftwerkstechnik)、第61巻、第9号、第7
30ページ、1981年9月、に記載されている。熱処理は一
般に連続熱処理炉の中で保護ガスのもとに、材質に応じ
て950℃ないし1100℃の温度と数分の持続時間とで行わ
れる。他の熱処理方法も用いられる。 しかしながら温度と持続時間との最適の値が得られな
いことにより、基本的な問題が生じる。すなわち管は所
望の高い温度にまで上げられると形状不安定となるの
で、管は熱処理の持続時間が比較的長いと変形し、重力
の作用でつぶれる。従って例えば溶接継目の範囲で耐食
性を決定する元素であるクロム又はモリブデンの、最適
の固溶化熱処理と溶離の低減とは従来の方法では達成で
きない。従って溶接継目は熱処理による改善にもかかわ
らず、基本材料より幾分劣った腐食特性を有するおそれ
がある。従って溶接継目においてもなおそれぞれ所望の
腐食特性を保証するために、例えば基本材料のモリブデ
ン含有量が本来必要な値より多く選択される。しかしな
がら経済的な観点から高価なモリブデンの含有量を減ら
すことが望ましい。 特に壁の薄い管の場合に、高温でのハンドリング過程
又は搬送過程により別の問題が発生する。そこでは変
形、特に例えばうず電流測定による後の品質検査を困難
にするか又は妨げるような凹凸が発生する。 [発明が解決しようとする問題点] この発明は前記の欠点を回避しながら、溶接継目が基
本材料の腐食特性に近づくように、縦継目溶接管の溶接
継目を熱処理することを目的とする。 [問題点を解決するための手段] この目的はこの発明に基づき、特許請求の範囲第1項
に記載の方法と特許請求の範囲第9項に記載のこの方法
を実施するための装置とにより達成される。有利な実施
態様はそれぞれ特許請求の範囲第2項ないし第8項及び
第10項以下に記載されている。 後に図面により詳細に説明するように、この発明の基
本的な思想は溶接継目と熱影響域のみを固溶化熱処理す
ることにある。この熱処理は溶接ラインの内部又は外部
で行うことができる。その際例えばモリブデンを含有す
る高合金ステンレス鋼の場合には1200℃又は1300℃以上
にも及ぶ温度が溶接継目範囲及び熱影響域に設定でき、
これらの温度は最適化された固溶化熱処理とクロム溶離
又はモリブデン溶離の更に良好な補償とを導く。残りの
範囲の管壁温度は、溶接ライン、加工ライン及び熱処理
ライン、成形ラインにおける問題のない処理が可能なよ
うに、しかしながら加工プロセスにより生じた応力が除
去されるように、低く設定される。管の大部分を固溶化
熱処理に必要な高い温度にまで上げる必要がないことに
より、管の安定性が維持され、重力又は搬送装置の影響
で望ましくない変形が発生するおそれがない。この発明
による熱処理は、温度ばかりでなく持続時間をも従来の
方法に比べて明らかに高めることができる。検査可能な
壁の薄い管の製作も同様に可能である。 所望の選択的熱処理は部分的な加熱及び/又は部分的
な冷却により達成できる。所望の持続時間によっては部
分的な加熱で十分であるが、しかしながらもし持続時間
が比較的長いとき熱伝導又は放射により管の残りの部分
が過大に加熱される場合には、熱処理すべきでない管範
囲の冷却により補完することがいつでも可能である。 部分的な加熱のためには種々の方法を用いることがで
き、例えば赤外線放射体、レーザ又は管の中に誘導され
る電流を用いることができる。 材料の腐食特性を改善する上には窒素の含有量は十分
高いことが望ましいが、一方材料の溶接性を良好にする
ためには窒素の含有量は少ないことが好ましい。特許請
求の範囲第8項に基づき、材料の溶接後、窒素又は窒素
化合物の適切な分圧を有する雰囲気中で本発明による熱
処理をすることにより材料の窒素含有量を高くすること
ができる。その結果管又は溶接継目の腐食特性は著しく
改善される。 前記方法を実施するための適切な装置は特許請求の範
囲第9高以下に記載されている。 [実施例] 次にこの発明に基づく装置の一実施例を示す図面によ
り、この発明を詳細に説明する。 第1図に示す縦継目溶接管1の断面は管のこの発明に
とって重要な範囲を示す。ここで個々の領域は正しい尺
度では示されていない。溶接継目2は一般に加工のとき
管1の上面に置かれる。溶接継目は熱影響域3により囲
まれ、この熱影響域の中では溶接過程のために変質と不
均一とが残っている。管の残りの範囲は変質していない
基本材料から成り、しかしながらその際安全のために、
熱処理の際に熱影響域3の外側の範囲4を含めるのが好
ましい。なぜならば熱影響域3の正確な広がりは必ずし
も知られていないからである。 第2図においては縦継目溶接管1の部分的な熱処理の
ための装置が示されている。溶接継目2はそれを囲む熱
影響域3と共にここでも一般に管の上側に置かれる。最
大限の熱処理は溶接継目2、熱影響域3及び付加の範囲
4に及ぶべきであるが、一方管の残部は比較的低い温度
で応力除去焼なましされる。高い熱処理温度の故に、熱
処理すべき管1は続く腐食を避けるために、熱処理の間
保護ガスのもとにあるのが好ましい。この実施例では熱
処理すべき管1は石英ガラス管5の内部に置かれ、その
際両者の間の空間9は保護ガスで満たされる。1個又は
複数個の赤外線放射体6が石英ガラス管5の上方に配置
され、放射束を集束する反射器8をケース7の中に備え
ている。放射束を集束する反射器は例えば放射物の断面
を有することができ、その焦点又は焦点線の中に赤外線
放射体6が置かれる。しかしながら他の集束要素例えば
赤外線を通すレンズ系などを用いることもできる。赤外
線は、部分的に熱処理すべき管の所望の範囲を照射し加
熱するように集束される。ブラインドの使用又は管1の
残りの壁の補助的な冷却により、所望の部分的な熱処理
がほぼ任意の持続時間にわたって実施でき、しかしなが
らその際相応の熱処理ラインでの連続的方法による熱処
理を優先すべきである。 この発明により縦継目溶接された耐食性の管に対して
例えばモリブデン含有量の少ないステンレス鋼の使用が
可能となり、また例えば0.3mmないし0.5mmの壁厚を有す
る薄肉管の製作も可能となる。
【図面の簡単な説明】 第1図は縦継目溶接管の断面図、第2図はこの発明に基
づく装置の一実施例の断面図である。 1……管、2……縦継目、3……熱影響域、5……石英
ガラス管、6……赤外線放射体、8……反射器。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.オーステナイト系、フェライト系又はオーステナイ
    ト・フェライト系のステンレス鋼から成る管(1)が縦
    継目(2)の溶接後に熱処理されるときの縦継目溶接管
    の熱処理方法において、管(1)と溶接継目(2)と熱
    影響域(3)の範囲でのみ固溶化熱処理されると同時
    に、管(1)の残りの範囲は前記固溶化熱処理の温度よ
    り低い温度で熱処理されることを特徴とする縦継目溶接
    管の熱処理方法。 2.モリブデンを含有する高合金ステンレス鋼が1100℃
    より高い温度で、望ましくは1250℃より高い温度で熱処
    理されることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    方法。 3.フェライト系のステンレス鋼の溶接継目範囲(2)
    が950℃より高い温度で熱処理されることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の方法。 4.熱処理温度が5秒より長く、望ましくは約25秒の間
    維持されることを特徴とする特許請求の範囲第1項ない
    し第3項のいずれか1項に記載の方法。 5.管(1)が選択的熱処理のために溶接継目(2)と
    熱影響域(3)とを除く管(1)の残りの範囲が部分的
    に冷却されることを特徴とする特許請求の範囲第1項な
    いし第4項のいずれか1項に記載の方法。 6.管(1)が赤外線放射体(6)又はレーザにより部
    分的に加熱されることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項ないし第5項のいずれか1項に記載の方法。 7.管(1)が誘導コイルを用いて管(1)内に誘起さ
    れる電流により部分的に加熱され、場合によっては同時
    に管(1)の他の部分域が補助的に冷却されることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項ないし第5項のいずれか
    1項に記載の方法。 8.固溶化熱処理に使用される温度の最高値において溶
    接継目(2)の範囲における溶接した窒素の含有量が0.
    2%、望ましくは0.3%ないし0.4%を超え、かつ材料の
    溶解限度を超えないような部分圧で窒素又は窒素を遊離
    する化合物を含む雰囲気中で、熱処理が実行されること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第7項のいず
    れか1項に記載の方法。 9.管(1)の部分的な加熱により溶接継目(2)と熱
    影響域(3)との範囲に対してのみ管(1)の固溶化熱
    処理を行うと共に管(1)の残りの範囲に前記固溶化熱
    処理の温度より低い温度の熱処理を行う手段が設けられ
    ていることを特徴とするオーステナイト系、フェライト
    系又はオーステナイト・フェライト系のステンレス鋼か
    ら成る縦継目溶接管の熱処理装置。 10.1個又は複数個の赤外線放射体(6)を有し、適
    切な集束手段(8)特に放物線の断面を有する鏡面によ
    り、赤外線放射体の放射が管(1)の溶接継目(2)と
    熱影響域(3)とに集中されることを特徴とする特許請
    求の範囲第9項記載の装置。 11.熱処理すべき管(1)が保護カバー(5)の中に
    保持され、保護カバーがその内部には保護ガスを送り込
    み可能であり、かつ少なくとも赤外線放射のための部分
    域では光をよく通すことを特徴とする特許請求の範囲第
    10項記載の装置。 12.誘導コイルを有し、このコイルがその形状及び/
    又は適切に配置された遮蔽体により溶接継目(2)と熱
    影響域(3)との範囲に大電流を発生できることを特徴
    とする特許請求の範囲第9項記載の装置。 13.冷却装置が設けられ、この冷却装置が管(1)の
    溶接継目(2)及び熱影響域(3)以外の範囲を冷却す
    ることを特徴とする特許請求の範囲第9項ないし第12項
    のいずれか1項に記載の装置。 14.熱処理のときに管の周囲に窒素又は窒素を遊離す
    る化合物の定められた部分圧を発生させるための手段を
    有することを特徴とする特許請求の範囲第9項ないし第
    13項のいずれか1項に記載の装置。
JP62007965A 1986-01-21 1987-01-16 縦継目溶接管の熱処理方法と装置 Expired - Lifetime JP2668870B2 (ja)

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DE3601670.5 1986-11-18
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