JP2667836B2 - ポリエステル混抄紙及びその製造方法 - Google Patents
ポリエステル混抄紙及びその製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野>
本発明は、高い紙力及び優れた風合いと柔軟性を兼備
し衛生材料、各種デイスポーザブル製品に用いられるポ
リエステル混抄紙及びその製造方法に関する。 <従来の技術 および発明が解決しようとする問題点> 従来から、優れた風合い、柔軟性および良好な寸法安
定性を有し、且つ低コストであることから複屈折率の低
い、いわゆる未延伸ポリエステル短繊維を用いたポリエ
ステル混抄紙が広く知られている。 しかし従来の未延伸ポリエステル短繊維は、湿式混抄
紙の乾燥程度の加熱により得られるポリエステル混抄紙
は優れた風合いを示すものの、その紙力は低く実用上充
分とは言えなかった。 紙力を高めるための方法として特公昭49−8809号公報
には、6〜0.1mmに切断した繊度1.2デニール以下の未延
伸ポリエステル短繊維を用いて湿式抄造し、その後加熱
・圧着を行う方法が記載されているが、この方法により
得られたポリエステル混抄紙は、紙力の点では充分満足
できるもののポリエステル混抄紙本来のソフトな風合い
が損われペーパーライクにならざるを得ないという欠点
がある。また加熱・圧着のための設備が必要であり、コ
ストアツプは避けられない。 更に特開昭57−82599号公報には1.3デニール以下の、
また特開昭57−82600号公報には0.9デニール以下の未延
伸ポリエステル短繊維を用いたポリエステル混抄紙の製
造方法がそれぞれ記載されているが、これら公報に示さ
れた未延伸ポリエステル短繊維を形成する重合体は極限
粘度0.6以上のものであり、前述の如く、湿式抄造時の
乾燥のみでは充分な紙力が得られない。 紙力を向上させる方法としては前述の加熱・圧着の
外、外種のバインダー類を用いる方法がある。例えば前
記特開昭57−82599号公報及び特開昭57−82600号公報に
は、ポリビニルアルコール系繊維状バインダーを混抄す
る方法が例示されている。しかし、これらの方法では、
得られたポリエステル混抄紙の紙力は高いものの、風合
いがペーパーライクで硬いものとなり、その用途は限定
されたものとなる。 <問題点を解決するための手段> 本発明は、これら従来のポリエステル混抄紙の欠点を
解消するものであり、すなわち特定の未延伸ポリエステ
ル短繊維を用いることにより湿式抄造後の乾燥のみで高
い紙力及び優れた風合いと柔軟性を兼備した新規なポリ
エステル混抄紙が得られることとなる。 具体的には本発明は、反復構造単位の大部分がポリエ
チレンテレフタレートからなり、かつその極限粘度が0.
50〜0.58であるポリエステルから成り、複屈折率が20×
10-3以下、繊度1.2デニール以下であるポリエステル短
繊維を10重量%以上含有することを特徴とするポリエス
テル混抄紙であり、更にその製造法は、上記ポリエステ
ル短繊維を10重量%以上含有する紙料を湿式抄造した
後、90℃以上で乾燥することを特徴とするものである。 本発明者らは、前記従来のポリエステル混抄紙の欠点
を解消し、優れた風合いと柔軟性を維持しながら通常の
湿式抄造後の乾燥(通常110℃〜130℃)のみで高い紙力
を得るべく、繊維を形成する重合体がポリエチレンテレ
フタレートである複屈折率の低い、いわゆる未延伸ポリ
エステル短繊維について鋭意研究を重ねた結果、該ポリ
エチレンテレフタレートの極限粘度に適正な範囲がある
ことを見出し、前記特徴を有する本発明のポリエステル
混抄紙およびその製造方法を発見するに至った。 すなわち本発明に用いる未延伸ポリエステル短繊維
は、溶融紡糸法により得られる極限粘度(以下[η]と
言う)0.50〜0.58のポリエチレンテレフタレート繊維を
実質的に延伸することなく複屈折率(以下Δnという)
を20×10-3以下に保持し、短繊維状に切断して得られる
ものである。 [η]は0.50〜0.58、好ましくは0.56〜0.50の範囲で
あり0.58より高くすると得られるポリエステル混抄紙の
紙力は低下し、一方、0.50以下では得られる未延伸ポリ
エステル短繊維の強力が急激に低下するためやはり紙力
が低下する。従来、ポリエステル混抄紙に用いる未延伸
ポリエステル繊維を形成する重合体としてのポリエステ
ルテレフタレート[η]に関しては、未延伸ポリエステ
ル繊維を紡出する際の紡糸性を確保しながら繊維の強力
を高くして、得られるポリエステル混抄紙の紙力を向上
させる点で0.6以上の比較的高い水準が適当と考えら
れ、[η]を低くすることは繊維の強力を低下せしめ、
従って紙力も低くするものと考えられて来た。しかし本
発明者らは、従来用いられて来た[η]より相当低い、
前記本発明で規定する範囲に紙力を最大にする範囲が存
在することを見出した。 本発明に用いられる未延伸ポリエステル短繊維は、反
復構造単位の大部分、具体的には85モル%以上、好まし
くは95モル%以上、さらに好ましくは実質的に全部がエ
チレンテレフタレートからなる。該ポリエステルのエチ
レングリコールに基づく単位の一部がジエチレングリコ
ールまたは1,4−ブタンジオールに基づく単位で置換さ
れていてもよい。またテレフタル酸に基づく単位の一部
がイソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等のジカルボ
ン酸(他に官能基を有さないジカルボン酸)に基づく単
位で置換されていてもよい。しかしながら、その量は少
量(例えば15モル%まで)に限られる。特に注意すべき
はペンタエリスリトール、トリメシン酸の如き3官能性
以上のエステル形成性官能基を有する成分あるいはナト
リウム−5−スルホイソフタル酸ジメチルの如き増粘効
果を有する成分を含んでいるものは好ましくない。 また充分な紙力を得るために本発明で用いるポリエス
テル短繊維は、前述の如く紡出後実質的に延伸しない、
いわゆる未延伸ポリエステル繊維であるが、その延伸の
程度はΔnによって限定され、本発明で言う実質的に延
伸しないということを程度で表わせば、Δnが20×10-3
以下で規定される。Δnが20×10-3を越えると例え前記
[η]が本発明で規定する範囲にあつても得られるポリ
エステル混抄紙の紙力は充分でない。またその繊度につ
いても1.2デニール以下でなければ充分な紙力が得られ
ない上、紙の風合いが粗剛となり、好ましくない。 更に繊度については上述の[η]との間に相乗効果が
あり、本発明の範囲内に於ては以下述べる実験例で明か
な如く紙力に対して予期せぬ極めて優れた効果を見出し
た。 <実施例> 繊度が0.5デニールで繊維長が5mmである延伸後ポリエ
ステル繊維60重量%と、[η]が本発明の範囲である0.
51、0.54及び本発明の範囲外である0.46、0.60のポリエ
チレンテレフタレートからなり、かつ通常の方法により
熔融紡糸して、繊度0.9〜1.5デニール、Δn18×10-3の
未延伸ポリエステル繊維を4mmに切断した短繊維40重量
%を混合してスラリーを調製し、短網型湿式抄造機を用
いて該スラリーを抄紙後ヤンキー型ドライヤーを通じて
110℃で乾燥し、20g/m2のポリエステル混抄紙を得た。 上記未延伸ポリエステル短繊維の繊度と紙力の関係を
第1図に示す。この図より驚くべきことに、特定の範
囲、すなわち本発明で規定する範囲の[η]及び繊度に
於て極めて優れた紙力を示すことがわかる。それに対し
て従来用いられて来た0.6以上の比較的高い[η]のポ
リエチレンテレフタレートからなる未延伸ポリエステル
短繊維の場合には、紙力は低く、さらに繊度を細くする
ことによる効果も極めてわずかである。 尚、本発明で用いる未延伸ポリエステル短繊維の繊維
長に関しては特に制限はなく、混抄する紙料の種類や湿
式抄造する際の機械的条件等により適宜選定すればよい
が、好ましくは2〜5mmである。また通常ポリエステル
繊維中に添加される艶消剤、帯電防止剤、消臭剤、芳香
剤あるいは消臭剤等の添加剤が添加されていてもよく、
更に捲縮がかけられていてもよい。 以上述べた本発明のポリエステル混抄紙に用いられる
未延伸ポリエステル短繊維のポリエステル混抄紙中の含
有量は10重量%以上である必要がある。10重量%以下で
は充分な紙力が得られない。 本発明のポリエステル混抄紙の構成成分は、上述の未
延伸ポリエステル短繊維の外は、通常の紙料として用い
られる各種パルプ、ポリアミド系、ポリエステル系、ポ
リビニルアルコール系等の合成繊維、セルローズ系等の
再生化学繊維、麻、三椏等の天然繊維等を適当な繊維長
に切断したもの或は適度に叩解したものを単独あるいは
二者以上混合して用いることが可能であり、その種類に
特に制限はなく、得られるポリエステル混抄紙の用途に
応じて適当に選択すればよい。 次に本発明のポリエステル混抄紙の製造方法について
述べる。 抄紙は通常の湿式抄造法でよく、抄紙機も短網式、長
網式或は円網式等従来から用いられているものでよく、
特に制限はない。またその乾燥方式も特に制限はない
が、ヤンキー式、多筒式の如く接触型のものが好まし
い。乾燥温度は本発明のポリエステル混抄紙の紙力を発
揮させるために90℃以上が必要であり、好ましくは110
℃以上である。90℃未満では風合いはソフトで良好なも
ので得られるものの、紙力が実用上不足する。本発明で
用いる未延伸ポリエステル繊維は通常の乾燥温度、すな
わち90〜140℃の温度で優れた風合いと柔軟性さらに充
分なる紙力を紙に与える。 <実施例> 以上述べた本発明のポリエステル混抄紙及びその製造
方法について、以下の実施例により更に具体的に説明す
る。 実施例1〜3 繊度0.5デニール;繊維長5mmの延伸後ポリエステル繊
維60重量%と、紡糸後の[η]がそれぞれ0.51、0.54、
0.57であるポリエチレンテレフタレートを通常の方法に
より熔融紡糸して得た繊度が1.0デニールで、Δnが18
×10-3で、さらに繊維長が4mmである未延伸ポリエステ
ル短繊維40重量%を混合してスラリーを調製し、短網型
湿式抄紙機を用いて該スラリーを抄紙後ヤンキー型ドラ
イヤーを通して110℃で乾燥し、20g/m2のポリエステル
混抄紙を得た。 比較例1〜5 紡糸後の[η]がそれぞれ0.46、0.60、0.63であるポ
リエチレンテレフタレートを用い、繊度1.0デニール、
Δn18×10-3、繊維長4mmである未延伸ポリエステル短繊
維を用いた外は実施例1〜3と同様の方法で20g/m2のポ
リエステル混抄紙を得た。また実施例2と同じポリエチ
レンテレフタレートを用いて得た未延伸ポリエステル短
繊維の繊度を1.5デニールにしたものおよび抄紙後の乾
燥温度を85℃としたものに関しても同様に行ないポリエ
ステル混抄紙を得た。 実施例1〜3、及び比較例1〜5で得たポリエステル
混抄紙の物性等を第1表に示す。 第1表から明かな如く、本発明の実施例によるポリエ
ステル混抄紙は紙力が高く、尚且つソフトな風合いを有
するものであつた。 尚、本発明の各種特性値の測定方法は次の如くであ
る。 [η]:フエノールとテトラクロルエタンの等重量混合
溶剤にポリエチレンテレフタレート繊維を溶解し、30℃
にて測定した。 Δn:日本光学製偏光顕微鏡を用いてナトリウム光源ラン
プを使用してBerekコンペンセーター法からレタデーシ
ヨンを求めて算出した。 紙の裂断長:JIS P−8113による。 紙の剛軟度:JIS L−1096(45゜カンチレバー法)によ
る。 <発明の効果> 本発明のポリエステル混抄紙は、以上述べた如く高い
抄紙後紙力と優れた柔軟性および風合いを兼備してお
り、おむつや生理ナプキンの表皮材、濡れテイシユ、使
いすてキツチンクロス、紙おしぼり等の用途に最適であ
る。
し衛生材料、各種デイスポーザブル製品に用いられるポ
リエステル混抄紙及びその製造方法に関する。 <従来の技術 および発明が解決しようとする問題点> 従来から、優れた風合い、柔軟性および良好な寸法安
定性を有し、且つ低コストであることから複屈折率の低
い、いわゆる未延伸ポリエステル短繊維を用いたポリエ
ステル混抄紙が広く知られている。 しかし従来の未延伸ポリエステル短繊維は、湿式混抄
紙の乾燥程度の加熱により得られるポリエステル混抄紙
は優れた風合いを示すものの、その紙力は低く実用上充
分とは言えなかった。 紙力を高めるための方法として特公昭49−8809号公報
には、6〜0.1mmに切断した繊度1.2デニール以下の未延
伸ポリエステル短繊維を用いて湿式抄造し、その後加熱
・圧着を行う方法が記載されているが、この方法により
得られたポリエステル混抄紙は、紙力の点では充分満足
できるもののポリエステル混抄紙本来のソフトな風合い
が損われペーパーライクにならざるを得ないという欠点
がある。また加熱・圧着のための設備が必要であり、コ
ストアツプは避けられない。 更に特開昭57−82599号公報には1.3デニール以下の、
また特開昭57−82600号公報には0.9デニール以下の未延
伸ポリエステル短繊維を用いたポリエステル混抄紙の製
造方法がそれぞれ記載されているが、これら公報に示さ
れた未延伸ポリエステル短繊維を形成する重合体は極限
粘度0.6以上のものであり、前述の如く、湿式抄造時の
乾燥のみでは充分な紙力が得られない。 紙力を向上させる方法としては前述の加熱・圧着の
外、外種のバインダー類を用いる方法がある。例えば前
記特開昭57−82599号公報及び特開昭57−82600号公報に
は、ポリビニルアルコール系繊維状バインダーを混抄す
る方法が例示されている。しかし、これらの方法では、
得られたポリエステル混抄紙の紙力は高いものの、風合
いがペーパーライクで硬いものとなり、その用途は限定
されたものとなる。 <問題点を解決するための手段> 本発明は、これら従来のポリエステル混抄紙の欠点を
解消するものであり、すなわち特定の未延伸ポリエステ
ル短繊維を用いることにより湿式抄造後の乾燥のみで高
い紙力及び優れた風合いと柔軟性を兼備した新規なポリ
エステル混抄紙が得られることとなる。 具体的には本発明は、反復構造単位の大部分がポリエ
チレンテレフタレートからなり、かつその極限粘度が0.
50〜0.58であるポリエステルから成り、複屈折率が20×
10-3以下、繊度1.2デニール以下であるポリエステル短
繊維を10重量%以上含有することを特徴とするポリエス
テル混抄紙であり、更にその製造法は、上記ポリエステ
ル短繊維を10重量%以上含有する紙料を湿式抄造した
後、90℃以上で乾燥することを特徴とするものである。 本発明者らは、前記従来のポリエステル混抄紙の欠点
を解消し、優れた風合いと柔軟性を維持しながら通常の
湿式抄造後の乾燥(通常110℃〜130℃)のみで高い紙力
を得るべく、繊維を形成する重合体がポリエチレンテレ
フタレートである複屈折率の低い、いわゆる未延伸ポリ
エステル短繊維について鋭意研究を重ねた結果、該ポリ
エチレンテレフタレートの極限粘度に適正な範囲がある
ことを見出し、前記特徴を有する本発明のポリエステル
混抄紙およびその製造方法を発見するに至った。 すなわち本発明に用いる未延伸ポリエステル短繊維
は、溶融紡糸法により得られる極限粘度(以下[η]と
言う)0.50〜0.58のポリエチレンテレフタレート繊維を
実質的に延伸することなく複屈折率(以下Δnという)
を20×10-3以下に保持し、短繊維状に切断して得られる
ものである。 [η]は0.50〜0.58、好ましくは0.56〜0.50の範囲で
あり0.58より高くすると得られるポリエステル混抄紙の
紙力は低下し、一方、0.50以下では得られる未延伸ポリ
エステル短繊維の強力が急激に低下するためやはり紙力
が低下する。従来、ポリエステル混抄紙に用いる未延伸
ポリエステル繊維を形成する重合体としてのポリエステ
ルテレフタレート[η]に関しては、未延伸ポリエステ
ル繊維を紡出する際の紡糸性を確保しながら繊維の強力
を高くして、得られるポリエステル混抄紙の紙力を向上
させる点で0.6以上の比較的高い水準が適当と考えら
れ、[η]を低くすることは繊維の強力を低下せしめ、
従って紙力も低くするものと考えられて来た。しかし本
発明者らは、従来用いられて来た[η]より相当低い、
前記本発明で規定する範囲に紙力を最大にする範囲が存
在することを見出した。 本発明に用いられる未延伸ポリエステル短繊維は、反
復構造単位の大部分、具体的には85モル%以上、好まし
くは95モル%以上、さらに好ましくは実質的に全部がエ
チレンテレフタレートからなる。該ポリエステルのエチ
レングリコールに基づく単位の一部がジエチレングリコ
ールまたは1,4−ブタンジオールに基づく単位で置換さ
れていてもよい。またテレフタル酸に基づく単位の一部
がイソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等のジカルボ
ン酸(他に官能基を有さないジカルボン酸)に基づく単
位で置換されていてもよい。しかしながら、その量は少
量(例えば15モル%まで)に限られる。特に注意すべき
はペンタエリスリトール、トリメシン酸の如き3官能性
以上のエステル形成性官能基を有する成分あるいはナト
リウム−5−スルホイソフタル酸ジメチルの如き増粘効
果を有する成分を含んでいるものは好ましくない。 また充分な紙力を得るために本発明で用いるポリエス
テル短繊維は、前述の如く紡出後実質的に延伸しない、
いわゆる未延伸ポリエステル繊維であるが、その延伸の
程度はΔnによって限定され、本発明で言う実質的に延
伸しないということを程度で表わせば、Δnが20×10-3
以下で規定される。Δnが20×10-3を越えると例え前記
[η]が本発明で規定する範囲にあつても得られるポリ
エステル混抄紙の紙力は充分でない。またその繊度につ
いても1.2デニール以下でなければ充分な紙力が得られ
ない上、紙の風合いが粗剛となり、好ましくない。 更に繊度については上述の[η]との間に相乗効果が
あり、本発明の範囲内に於ては以下述べる実験例で明か
な如く紙力に対して予期せぬ極めて優れた効果を見出し
た。 <実施例> 繊度が0.5デニールで繊維長が5mmである延伸後ポリエ
ステル繊維60重量%と、[η]が本発明の範囲である0.
51、0.54及び本発明の範囲外である0.46、0.60のポリエ
チレンテレフタレートからなり、かつ通常の方法により
熔融紡糸して、繊度0.9〜1.5デニール、Δn18×10-3の
未延伸ポリエステル繊維を4mmに切断した短繊維40重量
%を混合してスラリーを調製し、短網型湿式抄造機を用
いて該スラリーを抄紙後ヤンキー型ドライヤーを通じて
110℃で乾燥し、20g/m2のポリエステル混抄紙を得た。 上記未延伸ポリエステル短繊維の繊度と紙力の関係を
第1図に示す。この図より驚くべきことに、特定の範
囲、すなわち本発明で規定する範囲の[η]及び繊度に
於て極めて優れた紙力を示すことがわかる。それに対し
て従来用いられて来た0.6以上の比較的高い[η]のポ
リエチレンテレフタレートからなる未延伸ポリエステル
短繊維の場合には、紙力は低く、さらに繊度を細くする
ことによる効果も極めてわずかである。 尚、本発明で用いる未延伸ポリエステル短繊維の繊維
長に関しては特に制限はなく、混抄する紙料の種類や湿
式抄造する際の機械的条件等により適宜選定すればよい
が、好ましくは2〜5mmである。また通常ポリエステル
繊維中に添加される艶消剤、帯電防止剤、消臭剤、芳香
剤あるいは消臭剤等の添加剤が添加されていてもよく、
更に捲縮がかけられていてもよい。 以上述べた本発明のポリエステル混抄紙に用いられる
未延伸ポリエステル短繊維のポリエステル混抄紙中の含
有量は10重量%以上である必要がある。10重量%以下で
は充分な紙力が得られない。 本発明のポリエステル混抄紙の構成成分は、上述の未
延伸ポリエステル短繊維の外は、通常の紙料として用い
られる各種パルプ、ポリアミド系、ポリエステル系、ポ
リビニルアルコール系等の合成繊維、セルローズ系等の
再生化学繊維、麻、三椏等の天然繊維等を適当な繊維長
に切断したもの或は適度に叩解したものを単独あるいは
二者以上混合して用いることが可能であり、その種類に
特に制限はなく、得られるポリエステル混抄紙の用途に
応じて適当に選択すればよい。 次に本発明のポリエステル混抄紙の製造方法について
述べる。 抄紙は通常の湿式抄造法でよく、抄紙機も短網式、長
網式或は円網式等従来から用いられているものでよく、
特に制限はない。またその乾燥方式も特に制限はない
が、ヤンキー式、多筒式の如く接触型のものが好まし
い。乾燥温度は本発明のポリエステル混抄紙の紙力を発
揮させるために90℃以上が必要であり、好ましくは110
℃以上である。90℃未満では風合いはソフトで良好なも
ので得られるものの、紙力が実用上不足する。本発明で
用いる未延伸ポリエステル繊維は通常の乾燥温度、すな
わち90〜140℃の温度で優れた風合いと柔軟性さらに充
分なる紙力を紙に与える。 <実施例> 以上述べた本発明のポリエステル混抄紙及びその製造
方法について、以下の実施例により更に具体的に説明す
る。 実施例1〜3 繊度0.5デニール;繊維長5mmの延伸後ポリエステル繊
維60重量%と、紡糸後の[η]がそれぞれ0.51、0.54、
0.57であるポリエチレンテレフタレートを通常の方法に
より熔融紡糸して得た繊度が1.0デニールで、Δnが18
×10-3で、さらに繊維長が4mmである未延伸ポリエステ
ル短繊維40重量%を混合してスラリーを調製し、短網型
湿式抄紙機を用いて該スラリーを抄紙後ヤンキー型ドラ
イヤーを通して110℃で乾燥し、20g/m2のポリエステル
混抄紙を得た。 比較例1〜5 紡糸後の[η]がそれぞれ0.46、0.60、0.63であるポ
リエチレンテレフタレートを用い、繊度1.0デニール、
Δn18×10-3、繊維長4mmである未延伸ポリエステル短繊
維を用いた外は実施例1〜3と同様の方法で20g/m2のポ
リエステル混抄紙を得た。また実施例2と同じポリエチ
レンテレフタレートを用いて得た未延伸ポリエステル短
繊維の繊度を1.5デニールにしたものおよび抄紙後の乾
燥温度を85℃としたものに関しても同様に行ないポリエ
ステル混抄紙を得た。 実施例1〜3、及び比較例1〜5で得たポリエステル
混抄紙の物性等を第1表に示す。 第1表から明かな如く、本発明の実施例によるポリエ
ステル混抄紙は紙力が高く、尚且つソフトな風合いを有
するものであつた。 尚、本発明の各種特性値の測定方法は次の如くであ
る。 [η]:フエノールとテトラクロルエタンの等重量混合
溶剤にポリエチレンテレフタレート繊維を溶解し、30℃
にて測定した。 Δn:日本光学製偏光顕微鏡を用いてナトリウム光源ラン
プを使用してBerekコンペンセーター法からレタデーシ
ヨンを求めて算出した。 紙の裂断長:JIS P−8113による。 紙の剛軟度:JIS L−1096(45゜カンチレバー法)によ
る。 <発明の効果> 本発明のポリエステル混抄紙は、以上述べた如く高い
抄紙後紙力と優れた柔軟性および風合いを兼備してお
り、おむつや生理ナプキンの表皮材、濡れテイシユ、使
いすてキツチンクロス、紙おしぼり等の用途に最適であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、未延伸ポリエステル繊維の[η]および繊度
を種々変えた場合に、得られる紙の紙力を示したもので
ある。
を種々変えた場合に、得られる紙の紙力を示したもので
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭57−139554(JP,A)
特開 昭57−82600(JP,A)
特開 平1−104823(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.反復構造単位の大部分がエチレンテレフタレートか
らなり、かつその極限粘度が0.50〜0.58であるポリエス
テルから成り、複屈折率が20×10-3以下、繊度1.2デニ
ール以下であるポリエステル短繊維を10重量%以上含有
することを特徴とするポリエステル混抄紙。 2.反復構造単位の大部分がエチレンテレフタレートか
らなり、かつその極限粘度が0.50〜0.58であるポリエス
テルから成り、複屈折率が20×10-3以下、繊度1.2デニ
ール以下のポリエステル短繊維を10重量%以上含有する
紙料を湿式抄造した後、90℃以上で乾燥することを特徴
とするポリエステル混抄紙の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62271480A JP2667836B2 (ja) | 1987-10-26 | 1987-10-26 | ポリエステル混抄紙及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62271480A JP2667836B2 (ja) | 1987-10-26 | 1987-10-26 | ポリエステル混抄紙及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01118700A JPH01118700A (ja) | 1989-05-11 |
JP2667836B2 true JP2667836B2 (ja) | 1997-10-27 |
Family
ID=17500630
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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-
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