JP2528983B2 - 湿式不織布並びにこれに使用される極細繊度ポリエステル繊維 - Google Patents

湿式不織布並びにこれに使用される極細繊度ポリエステル繊維

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JP2528983B2
JP2528983B2 JP1511110A JP51111089A JP2528983B2 JP 2528983 B2 JP2528983 B2 JP 2528983B2 JP 1511110 A JP1511110 A JP 1511110A JP 51111089 A JP51111089 A JP 51111089A JP 2528983 B2 JP2528983 B2 JP 2528983B2
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幹雄 田代
司 小林
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 1. 発明の分野 本発明は、ソフトな風合と強伸度特性に優れた湿式不
織布並びにそれを製造するのに好適な極細繊度ポリエス
テル繊維に関する。
2. 従来の技術 細繊度のポリエステル繊維を短く切断して湿式不織布
を製造する技術は、特開昭57−11209号公報,57−16916
号公報,57−139554号公報等に提案されて既に公知であ
る。これらの細繊度ポリエステル繊維を製造する場合、
通常の紡糸方法では紡糸口金当たりの繊維吐出量が少な
いため生産性が低下し、しかも繊維が細いために紡糸時
の繊維切れが多発して歩留りが悪化し、結果として製造
コストが上昇する問題があった。得られた不織布は柔軟
な風合は有しているものの、抄紙欠点が多くて満足すべ
き品質のものではなかった。
未延伸繊維をフロー延伸して細繊度ポリエステル繊維
を得る方法が、特公昭28−617号公報,36−20772号公報,
43−16670号公報,55−6734号公報,55−14171号公報等で
公知であるが、これによって得られた繊維を湿式不織布
に利用することは、未だに提案されていない。これはフ
ロー延伸によって得られた細繊度ポリエステル繊維は、
繊維同士が密着して開繊性が悪いため、抄紙工程におい
て、これが原因で品質上の欠点が発生し易いからであ
る。
一方、ポリエステル未延伸繊維自体を用いて湿式不織
布を製造することも公知である。しかし、通常の紡糸方
法で得られた未延伸繊維は、高々1デニール程度の細さ
が限度であり、それより細い繊維を得るには、例えば特
公昭63−17921号公報に提案されているように、紡糸時
に特殊な冷却装置を使用することが必要となり、しかも
紡出調子も悪く実用的ではない。
〔発明の概要〕
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、フ
ロー延伸によって湿式不織布に好適な極細繊度ポリエス
テル繊維を得る新規な方法を提供することを目的とす
る。
前述の目的は、5−ソジウムスルフォイソフタール酸
成分を含み、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ
ートである共重合ポリエステルとイソフタール酸成分を
含み、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートで
ある共重合ポリエステルとのブレンド、または5−ソジ
ウムスルフォイソフタール酸成分とイソフタール酸成分
とを含み、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレー
トである共重合ポリエステルを溶融紡糸して、0.5〜7
モル%の5−ソジウムスルフォイソフタール酸成分と0.
5〜10モル%のイソフタール酸成分とを含み、主たる繰
り返し単位がエチレンテレフタレートであり、固有粘度
が0.35〜0.50である共重合ポリエステルの未延伸糸を得
た後、5倍以上の延伸倍率でフロー延伸することを特徴
とする極細繊度ポリエステル繊維の製造方法によって達
成される。
この方法の変形として、フロー延伸後の前記極細繊度
ポリエステル繊維を更に1.05倍以上の延伸倍率でネック
延伸して、収縮性の高い繊維を得ることもできる。
ネック延伸後の前記極細繊度ポリエステル繊維を更に
湿熱下で2〜40%の制限収縮処理して、収縮性の低い繊
維に改質することもできる。
フロー延伸は、0.02〜5.0重量%のポリエーテル系ブ
ロック重合体を未延伸糸に施与した状態で行う。
このようにして得られたポリエステル繊維は、単糸繊
度が1デニール以下であり、好ましくは0.5デニール以
下、特に好ましくは0.3デニール以下である。
このポリエステル繊維の繊維断面は、周囲に突起を具
えた異形断面であることが望ましい。
本発明は、更に、この得られた極細繊度ポリエステル
繊維の持つ特性を生かした品質の良い湿式不織布を提供
することも、その目的の一つとする。
即ち、本発明のもう一つの態様は、前記フロー延伸の
みによって得られた前記極細繊度ポリエステル繊維(以
下Aタイプ繊維と称する),フロー延伸後にネック延伸
を行って得られた前記極細繊度ポリエステル繊維(以下
Bタイプ繊維と称する)並びにフロー延伸とネック延伸
の後に制限収縮処理を行って得られた極細繊度繊維(以
下Cタイプ繊維と称する)の少なくとも1種類を15mm以
下の繊維長に切断して得られた短繊維を、必要に応じて
これら以外の繊維(以下他の繊維と称する)に10重量%
以上配合した原料を用いて、湿式抄紙されたことを特徴
とする湿式不織布である。
前記本発明繊維は、Aタイプ,Bタイプ,Cタイプの中の
任意の2種類が20/80〜80/20の割合で混合されているこ
とが望ましい。
必要に応じて混入される前記他の繊維は、レギュラー
タイプのポリエステル繊維,木材パルプ並びにガラス繊
維のいずれかであることが望ましい。
又、これら不織布は、湿式抄紙後に165℃以上の温度
でカレンダー加工されることが望ましい。
このように、本発明の極細繊度ポリエステル繊維は、
原料として特殊な共重合ポリエステルを使用しているの
で、紡糸後に高倍率のフロー延伸が可能となり、繊維同
士の密着が無く、開繊性並びに水中分散性が良好とな
り、湿式不織布の製造に好適である。
従って、この繊維を用いて湿式抄紙工程によって製造
された不織布は、均一な地合を有し、機械的強伸度に優
れると共に、ソフトな風合と隠蔽性に富んだ高品質のも
のとなる。
図面の簡単な説明 以下、図面に示す好適実施例に基づいて、本発明を更に
詳細に説明する。
第1図〜第6図は、本発明の極細繊度ポリエステル繊
維の繊維断面の例を示す拡大断面図である。
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明においては、フロー延伸性を向上させるため
に、特定の組成の共重合ポリエステルを用いている。
即ち、従来の、例えば5−ソジウムスルフォイソフタ
ール酸成分のみを含んだポリエチレンテレフタレートを
紡糸して得られた未延伸糸をフロー延伸した場合、得ら
れた製品は繊維同士の密着性が少ない好ましいものとな
るが、延伸温度や延伸強度の僅かな変動によってもロー
ラー巻き付きや断糸を生じ易く、5倍以上の高延伸倍率
でのフロー延伸工程では安定した生産が期待できなかっ
た。一方、イソフタール酸成分を含むポリエチレンテレ
フタレートの場合は、フロー延伸性は良好であり、得ら
れた繊維の機械的強度も高いが、フロー延伸時に繊維同
士の密着が多く、これを不織布用に使用した場合には、
繊維の水中分散性が不良となり、得られた不織布の品質
を悪化させる欠点があった。
本発明者等は、フロー延伸性の向上と繊維同士の密着
の防止の両方の目的を達するには、5−ソジウムスルフ
ォイソフタール酸成分とイソフタール酸成分とを特定の
組成比率で含有するポリエチレンテレフタレートを用い
ると顕著な効果があることを見出した。この5−ソジウ
ムスルフォイソフタール酸成分とイソフタール酸成分
は、同時にポリエチレンテレフタレートに共重合させた
ものでもよく、別々に共重合させたものをブレンドした
ものであってもよい。
ここで5−ソジウムスルフォイソフタール酸成分は0.
5〜7モル%含まれることが必要であり、特に2.5〜6モ
ル%の範囲が好ましい。0.5モル%未満ではフロー延伸
性が極端に悪化し、一方、7モル%を越えても同様にフ
ロー延伸性に悪影響がある。0.5〜7モル%の範囲で
は、イソフタール酸成分を0.5〜10モル%併せ用いるこ
とにより、フロー延伸性の向上と繊維の密着防止が可能
となり、最終製品である湿式不織布の機械的強度を向上
させる。イソフタール酸成分については、特に2〜6モ
ル%の範囲が好ましく、0.5モル%未満ではフロー延伸
性が極端に悪く、逆に10モル%以上に多くなっても同様
にフロー延伸性が悪化し、5−ソジウムスルフォイソフ
タール酸成分が含まれていたとしても繊維同士の密着が
発生する。
本発明におけるポリエステルは上述の改質成分を含
み、且つ固有粘度(ブレンドしたものの場合はその組成
で測定した値)が0.35〜0.50の範囲にあることが必要で
ある。この範囲を外れた場合にはフロー延伸性が悪化し
て5倍以上の倍率でのフロー延伸は不可能となる。
本発明においては、上に述べた共重合ポリエステルを
通常の方法で溶融紡糸して未延伸糸となす。繊維断面は
円形,非円形のいずれでもよいが、フロー延伸をより円
滑に行うためには、繊維同士の接触摩擦を減らすような
非円形(異形)断面の方が好ましい。第1図〜第24図に
示すような、繊維の表面にシャープな突起を有する断面
形状の繊維を湿式不織布の構成繊維として使用した場合
には、これらの突起が拭き取り効果を発揮するので、得
られた不織布はワイピング材として好適である。
この未延伸繊維の形態としては、多数のフィラメント
が糸状に集合したマルチフィラメント,一本の繊維から
なるモノフィラメント,又は太い繊維束状のトウの形の
いずれでもよい。
本発明の極細繊度ポリエステル繊維を得る方法の第1
段階は、前記共重合ポリエステルを溶融紡糸して得られ
た未延伸糸繊維をフロー延伸することである。
このフロー延伸工程は、通常70〜100℃,好ましくは7
8〜95℃の温水浴(油剤を含有してもよい)中で行われ
る。この温度範囲においては、分子配向を伴わないフロ
ー延伸が行われる。
前述の通り、本発明の未延伸繊維はフロー延伸性が良
好であり、5倍以上のフロー延伸倍率で安定して処理す
ることが可能であり、得られた繊維は構成繊維同士の密
着が少ない分散性の優れたものである。
前記フロー延伸処理に際して、未延伸繊維に対してポ
リエステル・ポリエーテル系ブロック共重合体を付与す
る。これによって、更にフロー延伸効果と繊維同士の密
着防止効果が向上する。それのみならず、得られた繊維
を湿式抄紙して不織布を得る際に、繊維に付着している
このブロック共重合体によって、繊維の水中分散性が良
好となり、製品の品質が向上する。このような効果を生
じる理由としては、該ブロック共重合体は微小な粒子と
して繊維表面に分散して付着しているので、フロー延伸
時に隣接する繊維間においてコロのような役目を果たし
て摩擦を減殺するものと推定される。このブロック共重
合体は温水浴中では微粒子として水中に分散するので、
ポリエステル繊維のフロー延伸に必要な前記範囲の高温
に加熱された場合でも、凝集するようなことはない。こ
のことも前記効果をもたらす一つの要因と思われる。
このブロック共重合体は、ポリエステル未延伸繊維が
紡糸された直接にオイリング装置によって付与される
か、又はフロー延伸工程の温水浴中に含ませてこれに付
与されることが望ましい。
このブロック共重合体の具体例としては、テレフター
ル酸及び/又はイソフタール酸及び又はメタソジウムス
ルフォイソフタール酸又はそれらの低級アルキルエステ
ル,低級アルキレングリコール並びにポリアルキレング
リコール及び/又はポリアルキレングリコールモノエー
テルからなるポリエステル/ポリエーテルブロック共重
合体であり、例えばテレフタール酸−アルキレングリコ
ール−ポリアルキレングリコール,テレフタール酸−イ
ソフタール酸−アルキレングリコール−ポリアルキレン
グリコール,テレフタール酸−アルキレングリコール−
ポリアルキレングリコールモノエーテル,テレフタール
酸−イソフタール酸−アルキレングリコール−ポリアル
キレングリコールモノエーテル,テレフタール酸−メタ
ソジウムスルフォイソフタール酸−アルキレングリコー
ル−ポリアルキレングリコール,テレフタール酸−イソ
フタール酸−メタソジウムスルフォイソフタール酸−ア
ルキレングリコール−ポリアルキレングリコール等であ
る。
フロー延伸時の繊維同士の密着防止のためには、テレ
フタレート単位と,イソフタレート単位及び/又はメタ
ソジウムスルフォイソフタレート単位の合計との比は、
100:0〜50:50(モル比)の範囲にあることが望ましい。
このブロック共重合体を付与されたポリエステル繊維の
水中分散性を向上させるためには、この比は90:10〜50:
50の範囲にすることが特に望ましい。
このブロック共重合体において、通常、テレフタレー
ト単位とイソフタレート単位又はメタソジウムスルフォ
イソフタレート単位の合計と,ポリアルキレングリコー
ル単位との比は、2:1〜15:1(モル比)であり、フロー
延伸時の繊維同士の密着の発生防止効果並びに繊維の水
中分散性を更に向上させるためには、3:1〜8:1(モル
比)の範囲が好ましい。
このブロック共重合体の製造に用いられるアルキレン
グリコールは、エチレングリコール,プロピレングリコ
ール,テトラメチレングリコール,デカメチレングリコ
ール等の、炭素数が2〜10個のアルキレングリコールで
あり、ポリアルキレングリコールは、通常、平均分子量
が600〜12,000、好ましくは1,000〜5,000の範囲にある
ポリエチレングリコール, ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール
共重合体,ポリエチレングリコール・ポリテトラメチレ
ングリコール共重合体,ポリプロピレングリコール等の
他、ポリエチレングリコール等のモノメチルエーテル,
モノエチルエーテル,モノフェニルエーテル等が好まし
い。しかし、繊維の水中分散性向上の点からは、ポリエ
チレングリコールのモノエーテル類が特に好ましい。
このブロック共重合体の平均分子量は、使用するポリ
アルキレングリコールの分子量にもよるが、通常、2,00
0〜20,000の範囲、好ましくは3,000〜13,000の範囲にあ
る。平均分子量が前記範囲を外れている場合には、これ
を付与された未延伸繊維のフロー延伸性,水中分散性並
びに繊維同士の密着防止効果の点で不十分となる。又、
このブロック共重合体の重縮合の際に、分子量調節用に
使用されるポリアルキレングリコールは、モノメチルエ
ーテル,モノエチルエーテル,モノフェニルエーテルの
ような片方の末端基が封鎖されたものが望ましい。
又、このブロック共重合体は、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテルホスフェートのアルカリ金属
塩,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサル
フェートのアルカリ金属塩及び/又はこれらのアンモニ
ウム塩,アルカノールアミン塩等の界面活性剤を用いて
水中に分散せしめられる。このブロック共重合体の使用
量は、本発明のポリエステル繊維に対して0.02〜5.0重
量%の範囲であり、好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲で
ある。
このようにして得られた本発明のフロー延伸ポリエス
テル繊維(Aタイプ繊維)は、40〜70%の範囲の高い沸
水収縮率を示し、湿式抄紙によって不織布を製造するの
に適した1デニール以下の単糸繊度を有する。0.05〜0.
2デニールの範囲の非常に細い繊維として安定して紡出
することも可能である。このフロー延伸によって得られ
たこの繊維は、延伸前の未延伸繊維と同程度の分子配向
度しか持たないので、従来から不織布のバインダとして
使用されていた未延伸繊維の代わりに、同じ用途に使用
される。特に不織布の後加工工程に高温熱プレスが組み
込まれている場合等には、接着効果が高まって好まし
い。
このようにAタイプ繊維それ自体で本発明の不織布用
途に使用可能であが、フロー延伸後にこれを更にネック
延伸することによって、機械的強伸度に優れた繊維とす
ることが可能である(Bタイプ繊維)。このネック延伸
工程は、通常のポリエステル繊維の製造に採用されてい
る条件と同じでよく、フロー延伸後の繊維は55〜95℃の
温水浴中で1.05倍以上、好ましくは1.5〜5倍程度に延
伸される。得られたBタイプ繊維は未延伸繊維に比して
高い引っ張り強度と低い伸度を示し、後工程での取扱は
容易となるが、その熱に対する収縮性には余り改善が見
られず、依然として高い熱収縮率を示す。従って、熱収
縮を必要としない及び/又は嫌う用途には適さない。
ネック延伸されたポリエステル繊維の熱安定性を高め
るためには、繊維を弛緩状態で熱処理すればよいことは
知られている。しかし、この熱処理によって繊維同士が
膠着する傾向があり、本発明の目的とする湿式抄紙によ
る不織布の製造の場合には、繊維の分散性が悪化して品
質の良い製品が得られない欠点があった。本発明者等
は、湿熱状態で2〜40%の範囲の制限収縮処理を行え
ば、繊維同士の付着の問題が生ぜずに繊維の沸水収縮率
を40%以下に制御することが可能なことを見出した。即
ち、未延伸繊維に対して前述のフロー延伸とネック延伸
を施した後、50〜95℃の温度に保たれた温水浴中で制限
収縮処理を行うことにより、熱収縮性の改善されたCタ
イプ繊維が得られる。
このようにして得られた本発明のA,B,Cタイプのポリ
エステル繊維は、通常の方法で得られたポリエステル繊
維に比して、引っ張り強度やモジュラスが低いレベルに
あるが、そのために返って風合が極めて柔軟となり、こ
れを用いて作られた不織布も手触りの柔らかいものとな
る。
因みにフロー延伸工程を経たこれらの各繊維は、通常
の方法で得られたポリエステル繊維より約10%程度低い
引っ張り強度を示し、1デニール当たり5g以下の値とな
る。又、その比重は、通常のポリエステル繊維より軽
く、1.250〜1.375の範囲にある。
フロー延伸によって得られたこれらの本発明のポリエ
ステル繊維(その後にネック延伸や制限収縮処理を行っ
た繊維を含む)は、その単糸繊度が1デニール以下であ
って柔軟な風合を有し、従って、これから得られた不織
布もまた柔軟な手触りを有する。特に単糸繊度が0.5デ
ニール以下の場合にこの特徴は顕著に発現する。
嵩高性が必要な場合には、ネック延伸処理後の本発明
ポリエステル繊維に捲縮処理を施し、20個/25 mm以下の
捲縮を付与してもによい。この捲縮数が前記数値より多
くなると、抄紙時の水中分散性が不良となり、得られた
不織布の品質を低下させる。
本発明のポリエステル繊維は、15 mm以下の繊維長に
切断して短繊維化される。15 mm以上の繊維長では、水
中分散性が悪いので好ましくない。この繊維長は短い程
水中分散性が向上して不織布品質に良い影響を与える
が、余り短い場合,例えば3 mm以下に切断したような場
合には、切断時のカッターと繊維との摩擦熱によって、
繊維同士が付着する傾向を有する。これは特にフロー延
伸のみを行って得られた繊維の場合に著しい。ポリエス
テル・ポリエーテル系のブロック共重合体を未延伸繊維
に付与してフロー延伸して得られた本発明繊維の場合に
は、繊維間に介在しているこのブロック共重合体が切断
時の繊維同士のの密着を防止すると共に、抄紙時の水中
分散性を高める。
前に述べたように、このブロック共重合体は、水分散
液の形でフロー延伸前又はフロー延伸中に未延伸繊維に
対して付与することが望ましいが、上の目的のためには
前述の方法で得られた本発明繊維をカッターによって短
繊維化する前に、これに付与してもよい。
未延伸繊維をフロー延伸して得られたAタイプ繊維か
ら得られた短繊維は、水中分散性が良好で且つ密着性を
有するので、他の繊維と混合して湿式抄紙方式によって
不織布を製造した場合、斑がなく、接着強力,伸度,隠
蔽性に優れたものとなる。
未延伸繊維をフロー延伸し、次いでネック延伸して得
られたBタイプ繊維から得られた短繊維は、高い単糸強
力と低い伸度を示す機械的特性に優れたものとなるの
で、情報プリンタ用紙,粘着ラベル,壁紙,フィルタ,
ワイパ,タオル,化粧紙等の製造に適している。
未延伸繊維にフロー延伸とネック延伸を施し、更に制
限収縮処理を行って得られたCタイプ繊維から得られた
単繊維は、熱に対する寸法安定性が通常の低収縮繊維と
同じ程度に改善されているので、これを用いて製造され
た不織布は熱処理を受けても収縮斑を生じない。
これらの本発明によるポリエステル短繊維は、共通す
る特色である柔軟な風合が製品の品質に生かせる範囲、
即ち10重量%以上、好ましくは30重量%以上の割合で他
の繊維に配合して湿式不織布の製造に用いられる。
前述の通り、これらの繊維の単糸繊度は1デニール以
下、好ましくは0.5デニール以下である。このように細
い繊維を使用すると、製品である不織布中の構成繊維本
数が多くなるので、繊維同士の絡み合いが密になり、強
度や伸度等の機械的特性が向上し、フィルタとして必要
な特性である隠蔽性も良好となる。更に繊維同士の間隙
に起因する毛管現象によって吸水性も高くなる他、繊維
の曲げ剛性の低下によって柔軟な風合が得られる。
これらの繊維の表面に前記ポリエステル・ポリエーテ
ルブロック共重合体が付着している場合には、湿式抄紙
時に繊維の水中分散性が一層良好となるため、得られた
不織布の品質、特に強伸度や隠蔽性が飛躍的に向上す
る。このブロック共重合体は本発明のポリエステル繊維
との親和性が良好なので、抄紙工程を通過しても、な
お、0.03〜0.15重量%程度は繊維表面に残存しており、
得られた不織布の品質、特にその吸水性や手触りの柔軟
性が改善される。
本発明ポリエステル繊維が、第1図〜第6図に示すよ
うな、表面に突起を有する異形断面を有する場合、この
突起が掻き取り作用を行うので、得られた不織布をワイ
ピングクロスとして好適なものとなる。
本発明のポリエステル繊維を用いて湿式不織布を製造
する場合、目的に応じて、前記各タイプの繊維の中の少
なくとも2種類を混ぜて使用することが望ましい。この
混合使用によれば、各繊維の保有する特性がバランスよ
く発現した優れた不織布を得ることができる。
この混合比率は、A/B,B/C,C/Aのいずれの組合せにお
いても20/80〜80/20の重量比の範囲が好ましく、40/60
〜60/40の範囲が特に好ましい。
この本発明のポリエステル繊維に混合される他の繊維
としては、例えば、フロー延伸工程を経ずに製造された
所謂レギュラータイプの高配向ポリエステル繊維,ポリ
ビニールアルコール繊維,アクリル繊維,ポリオレフィ
ン繊維,ポリアミド繊維,ポリ塩化ビニール繊維等の合
成繊維、レーヨン等の再生繊維、ガラス繊維等の無機質
繊維、及び木材パルプ等の天然繊維が挙げられる。これ
らの中でも、木材パルプ又はガラス繊維を主体とし、こ
れに本発明のポリエステル繊維を混合した湿式不織布
は、後者の繊維を混ぜない場合に比して、極めて大きな
機械的強度を有する。これは本発明繊維を構成するポリ
エステル共重合体が耐水性に優れ、且つ木材パルプやガ
ラス繊維に対して親和性に富んでいるためと推定され
る。
本発明の湿式不織布は、必要に応じて更にカレンダー
ローラー等によるホットプレス加工を行ってもよく、こ
れによって不織布の機械的強度が更に増大する。特に、
165℃以上の高温で加工れさた場合、不織布は多数の微
細孔を有するフィルム状になる。この製品は、ポスタ
ー,封筒,カード等の商業印刷分野や地図,書籍,剥離
用紙,包装用紙,電気絶縁材料等の分野等の、従来は湿
式不織布とポリエチレンフィルムとの積層体が使用され
ていた分野において使用できる。
以上、詳述したように、本発明のポリエステル繊維を
原料として得られた湿式不織布は、従来の製品に比して
ソフトな風合,高い機械的強度,良好な吸水性を示す。
これの用途としては、PPC用紙,連続伝票用紙,熱転写
記録紙,インクジェットカラー記録紙等の情報プリンタ
用紙;粘着ラベル、シール、粘着テープ、壁紙、装飾
材、食品包装紙;エアクリーナー,オイルフィルター,
エアフィルター,液体濾過用フィルター,家庭用フィル
ター(ティーバック,コーヒーフィルター,油漉し紙,
掃除機フィルター)等の各種フィルター;防錆紙、防虫
紙、紙おむつ、使い捨てワイパー、医療ペーパー、化粧
紙等が挙げられ、特にきめの細かい薄物に好適である。
〔実施例〕
以下、実施例によって、本発明の利点並びに特徴は更
によく理解されよう。
これらの実施例において、繊維及び不織布の各特性値
は次のやり方で測定された。
1.フロー延伸性…フロー延伸時の単糸切れやローラー巻
き付きの発生の状況を、優,良,不良の三段階で評価し
た。
2.水分散性…繊維を水に対して0.5重量%混入して分散
させ、その分散状態を目視によって優,良,可,不可の
四段階で評価した。
3.風合…抄紙・乾燥・熱処理加工した後の不織布
(紙)を手触りによる官能検査によって、同種の実験グ
ループ内で設定した基準品に対する相対評価によって判
定した。
因みに、それぞれのグループにおける基準品は、実験
1〜19のグループにおいては実験6の製品、実験20〜24
のグループにおいては実験24の製品、実験25〜29のグル
ープにおいては実験25の製品、実験30〜36のグループに
おいては実験31の製品を選定した。
4.地合…前記不織布の外観の均一性を目視による官能検
査によって、普通と良好の二段階で評価した。
5.強度…JIS−P−8113に準じ、定速緊張型引っ張り試
験機を用いて不織布の縦方向並びに横方向の破断強度を
測定し、その平均値を求めた。
6.伸度…JIS−P−8113に準じ、定速緊張型引っ張り試
験機を用いて不織布の縦方向並びに横方向の破断伸度を
測定し、その平均値を求めた。
7.密度…JIS−8118に準じ、不織布の坪量と厚さを測定
して、次式から密度を計算した。
密度(g/cm3)=坪量(g/m2)/{厚さ(mm)×1000} 因みに、密度が高い程、隠蔽性が良好である。
8.吸水度…JIS−P−8141のクレム法(Clemm's Metho
d)に準じ、不織布の縦方向と横方向に沿って試験片を
作製し、これの一端を水に浸し1分間に試験片が吸い上
げた水の高さを測定し、両者の平均値を求めた。
9.ワイピング性…たばこの煙をガラス板に48時間定着さ
せて汚れのサンプルとした。一方、不織布の試験片を20
0gの重量を有する10cmφ×5cmのプラスチック円筒面に
巻き付けて前記汚れの上に載せ、該円筒を回転させない
ようにして、20cmのストロークでガラス板上を1往復だ
け滑らせて、該試験片によって汚れを拭き取った。この
拭き取りの前後のガラス板上の汚れを目視によって判定
して、ワイピング効果の良否を評価した。
10.絶縁耐性(BVD)…JIS−C−2110に準じ、ステンレ
ス鋼の電極を用いて、温度20℃、湿度65%の条件下で不
織布の絶縁破壊電圧を測定した。
実施例1 5−ソジウムスルフォイソフタール酸及びイソフター
ル酸を種々の割合で共重合した固有粘度が0.4のポリエ
チレンテレフタレート系ポリエステルを原料とし、これ
を290℃の温度で溶融し、孔数が900個の口金を通じて27
0℃の温度で紡糸した。紡糸油剤としてポリエステル・
ポリエーテル系ブロック共重合体の分散液(以下オイル
Xと称する)を付与して、速度900m/分で引取って未延
伸繊維を得た。
前記オイルXは、テレフタール酸/イソフタール酸/
エチレングリコール/ポリエチレングリコールブロック
共重合体(テレフタレート単位:イソフタレート単位=
70:30、テレフタレート単位+イソフタール単位:ポリ
エチレングリコール単位=5:1、ポリエチレン分子量=
2,000、ブロック共重合体の平均分子量=10,000)と界
面活性剤POE(10モル)ノニルフェニルエーテルサルフ
ェートカリウム塩とを80:20の割合で配合した有効成分1
0%の水性分散液であった。
同じ条件で、紡糸油剤のみをPOE(10モル)ノニルフ
ェニルエーテルサルフェートカリウム塩(以下オイルY
と称する)に変更して未延伸繊維を得た。
これらの未延伸繊維によってトウを形成し、延伸後の
トウ繊度が60万デニールとなるように、90℃の温水浴中
で種々の延伸倍率でフロー延伸して、単糸繊度の異なる
各種のトウを得た。この温水浴には、それぞれの未延伸
繊維の紡糸時に使用した紡糸油剤と同じオイルX又はY
を0.3%の濃度となるように添加した。
次に、延伸後のトウをフロー延伸時と同じオイルを混
入した浸漬浴中を通過させ、オイXの場合には0.4重量
%の、オイルYの場合には0.2重量%の有効成分をトウ
に付着させた。こうして得られたトウを種々の繊維長に
切断して、第1表に挙げられたポリエステル繊維A−1
〜A−11を得た。この中には、前述のAタイプのポリエ
ステル繊維とこれの対照となる本発明外の繊維が含まれ
る。
この表から明らかなように、本発明の範囲でない共重
合ポリエステルを原料とする対照品のA−7,A−9〜A
−11の場合には、フロー延伸性が不良で糸切れが多発
し、安定した操業ができなかった。又、イソフタール酸
成分のみを共重合したポリエステルを原料としたA−8
の場合には、フロー延伸性には問題が無かったが、得ら
れた繊維は互いに密着し合って、水中分散性の悪いもの
であった。
又、20mmの繊維長を有するA−3の場合にも、水中分
散性に問題があり、湿式不織布の製造には適さないもの
であった。
これらに対して、本発明に含まれるA−1,2,4,5,6
は、フロー延伸性、水中分散性共に問題のない優れたも
のであった。特に、オイルXを使用したものは、オイル
Yを使用したものに比して更に良好な結果を示した。
実施例2 5−ソジウムスルフォイソフタール酸4モル%を共重
合した固有粘度が0.35のポリエチレンテレフタレート
と、イソフタール酸8モル%を共重合した固有粘度が0.
60のポリエチレンテレフタレートとを混合し、混合物中
の5−ソジウムスルフォイソフタール酸成分及びイソフ
タール酸成分が第2表に記載された割合となるようにブ
レンドした原料を使用し、これを実施例1と同じ条件で
紡糸して未延伸トウを得、これをフロー延伸した後、切
断して第2表の繊維A−12〜A−15を得た。
これから明らかなように、ブレンド組成物中の5−ソ
ジウムスルフォイソフタール酸成分とイソフタール酸成
分との割合が本発明の範囲内にあるもの(A−12,A−1
3)は、フロー延伸性並びに水中分散性とも優れた結果
を示した。
実施例3 実施例1のA−1〜A−6の場合と同じ原料を使用し
て同じ条件で紡糸して未延伸トウを得、これを種々の延
伸倍率でフロー延伸し、次いで65℃の温水浴中でネック
延伸を行い、得られた延伸トウを切断して第3表の本発
明のBタイプの繊維B−1〜B−4を得た。特に繊維B
−4は紡糸の際に十字型の紡糸孔を有する口金を使用し
たので、繊維の断面は第1図に示すような形状をしてい
た。
実施例4 実施例3と同じ条件で未延伸トウを得、これをネック
延伸した後に90℃の温水浴中で制限収縮処理を施し、次
いで切断して第4表の本発明のCタイプの繊維C−1〜
C−3を得た。
実施例5 固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートチップを
300℃で溶融し、3,000個の紡糸孔を有する口金を通じて
紡糸し、1000m/分の速度で引き取り、単糸繊度が1.1デ
ニールで太さが120万デニールの未延伸トウとなした。
これに65℃の温水浴中で2.6倍のネック延伸を施し、次
いで140℃の雰囲気中で自由収縮させ、単糸繊度0.5デニ
ールの延伸トウを得た。このトウを5mmの長さに切断し
て、第5表に示すレギュラータイプのポリエチレンテレ
フタレート繊維R−1となした。なお、紡糸・延伸時に
は前記オイルYが使用された。
又、延伸前の前記未延伸トウを5mmの長さに切断し
て、別の繊維R−2を得た。
これらの繊維R−1,R−2は、実施例1〜4で得られ
た各繊維に混合されて湿式不織布の原料となるものであ
る。第5表から明らかなように、これらの繊維の水中分
散性は、本発明のA,B,C各タイプのポリエステル繊維に
比較してやや劣るものの、実用上は支障のないレベルに
あった。
実施例6 実施例1〜5で得られた各種の繊維、並びに木材パル
プ,ガラス繊維を種々の割合で混合して湿式不織布用の
原料を調製した。これを繊維濃度が0.4重量%以下にな
るように水中に分散し、円網抄紙機に供給し、次いでヤ
ンキードライヤーによって120℃の温度で乾燥・熱処理
し、坪量50〜80g/m2の湿式不織布となした。
なお、実験37〜40においては、乾燥熱処理後の不織布
に、更に、200℃の温度、200 kg/cmの圧力、1.9 m/分の
速度でカレンダー加工を施した。
各実験における繊維の配合割合及び得られた不織布の
物性を第6表に示す。
実験1〜9によれば、フロー延伸処理を経た1デニー
ル以下の単糸繊度を有する本発明のポリエステル繊維を
混合した湿式不織布は、均一な地合とソフトな風合を有
し、機械的強度が改善されると共に吸水性も良好となっ
ている。特に単糸繊度が0.2デニールのAタイプ繊維を
混合した実験1の不織布は、強度、吸水性共に卓越して
いる。これに対して、単糸繊度が1.2デニールのAタイ
プ繊維を混合した実験4、或いはフロー延伸を経ていな
いポリエステル繊維を混用しない実験6,7の不織布は風
合が硬く、強度,吸水性共低い値を示している。実験9
においては、接着性を有する繊維R−2が、接着性のな
い本発明のCタイプの繊維とレギュラータイプのポリエ
チレンテレフタレート繊維R−1とをうまく接合して、
Cタイプ繊維の特徴が不織布中で生かされ、強度,吸水
性に優れたものとなっている。
実験10〜14は、前記A,B,Cタイプの繊維のいずれか2
種のみで不織布を構成した例である。この場合、Aタイ
プ繊維が入っている本発明の不織布はいずれも高い強伸
度を示している点が特徴的である。
実験15〜19は、本発明のA,B,Cタイプの繊維のいずれ
か2種と、他の繊維としてレギュラータイプのポリエチ
レンテレフタレート繊維とを混用した例である。
実験20〜24は、木材パルプを原料として使用した場合
の例であり、本発明の繊維が混用されている本発明の不
織布は柔軟な風合が有し、強度も高いことが判る。
実験25〜27は、他の繊維として平均直径が0.5μmの
ガラス繊維(マイクロウール)を使用した例を示す。
実験28と29は、本発明の各タイプの繊維をいずれも混
ぜないでガラス繊維を湿式抄紙した例であり、接着性が
不足していずれも抄紙不能であった。
実験30〜36は、フロー延伸を経た本発明の各タイプの
繊維をレギュラータイプのポリエチレンテレフタレート
繊維と混用して得られた不織布のワイピング性能を比較
した例である。これによれば、本発明繊維を10重量%以
上混ぜた不織布は、優れたワイピング性能を示すことが
判る。特に、第1図に示す繊維断面を有する繊維を使用
した実験4の不織布は卓越した性能を示した。
実験37〜40は、本発明のAタイプとBタイプの繊維を
レギュラータイプのポリエチレンテレフタレート繊維と
種々の割合で混ぜた例を示し、抄紙後にカレンダー加工
された不織布の絶縁耐圧を測定した。これによれば、本
発明繊維を10重量%以上混用した場合には、高い絶縁耐
圧を示すことが判る。これは不織布の組成が均一であ
り、表面の微細孔が少ないことに起因するものと推定さ
れる。
〔発明の効果〕 以上、詳述したように、本発明によれば、特定の成分
構成の共重合ポリエステルを原料として使用してフロー
延伸性に優れた未延伸繊維を得、これにフロー延伸を施
して得られた繊維を切断して短繊維となし、これを所定
の割合で他の繊維に混合して湿式不織布用の原料となし
ている。こうして得られた不織布は、従来の同種の不織
布に比して格段に柔軟な風合を具え、均一な地合と機械
的強伸度に優れたものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−282500(JP,A) 特開 昭56−332(JP,A) 特開 昭53−65417(JP,A) 特開 昭62−250300(JP,A) 特開 昭63−182471(JP,A) 特公 昭56−33487(JP,B2) 特公 昭61−6882(JP,B2)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】5−ソジウムスルフォイソフタール酸成分
    を含み、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート
    である共重合ポリエステルとイソフタール酸成分を含
    み、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであ
    る共重合ポリエステルとのブレンド、または5−ソジウ
    ムスルフォイソフタール酸成分とイソフタール酸成分と
    を含み、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート
    である共重合ポリエステルを溶融紡糸して、0.5〜7モ
    ル%の5−ソジウムスルフォイソフタール酸成分と0.5
    〜10モル%のイソフタール酸成分とを含み、主たる繰り
    返し単位がエチレンテレフタレートであり、固有粘度が
    0.35〜0.50である共重合ポリエステルの未延伸繊維を得
    た後、0.02〜5.0重量%のポリエステル・ポリエーテル
    系ブロック重合体を前記未延伸繊維に施与し、5倍以上
    の延伸倍率でフロー延伸することを特徴とするポリエス
    テル繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】フロー延伸後の前記ポリエステル繊維を更
    に1.05倍以上の延伸倍率でネック延伸することを特徴と
    する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】フロー延伸後の前記ポリエステル繊維を更
    に1.05倍以上の延伸倍率でネック延伸し、これを更に湿
    熱下で2〜40%の制限収縮処理することを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】単糸繊度が1デニール以下である、請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の方法で得られた極細繊度
    ポリエステル繊維。
  5. 【請求項5】単糸繊度が0.5デニール以下である、請求
    項4に記載の極細繊度ポリエステル繊維。
  6. 【請求項6】断面が表面に突起を有する異形断面であ
    る、請求項4に記載の極細繊度ポリエステル繊維。
  7. 【請求項7】請求項4に記載された、フロー延伸のみに
    よって得られた前記極細繊度ポリエステル繊維(以下A
    タイプ繊維と称する)、フロー延伸後にネック延伸を行
    って得られた前記極細繊度ポリエステル繊維(以下Bタ
    イプ繊維と称する)並びにフロー延伸とネック延伸の後
    に制限収縮処理を行って得られた前記極細繊度ポリエス
    テル繊維(以下Cタイプ繊維と称する)から選ばれる少
    なくとも1種類を15mm以下の繊維長に切断して得られた
    短繊維を、必要に応じてこれら以外の繊維(以下他の繊
    維と称する)に10重量%以上配合した原料を用いて、湿
    式抄紙されたことを特徴とする湿式不織布。
  8. 【請求項8】前記Aタイプ繊維、Bタイプ繊維およびC
    タイプ繊維のうちの任意の2種類が20〜80〜80/20の割
    合で混合されていることを特徴とする請求項7に記載の
    湿式不織布。
  9. 【請求項9】必要に応じて混入される前記他の繊維が、
    レギュラータイプのポリエステル繊維、木材パルプまた
    はガラス繊維のいずれかであることを特徴とする請求項
    7に記載の湿式不織布。
  10. 【請求項10】湿式抄紙後に165℃以上の温度でカレン
    ダー加工されたことを特徴とする請求項7に記載の湿式
    不織布。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013122102A (ja) * 2011-12-12 2013-06-20 Teijin Ltd 湿式不織布

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