JP2012067408A - 湿式ポリエステル不織布 - Google Patents

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【課題】本発明は剛性の高いポリエステル不織布に関するものである。
【解決手段】上記課題は繊維形成性成分と熱接着性成分とからなる熱接着性複合繊維であり、熱接着性成分および繊維形成性成分が共に融点230℃以上のポリエステルからなり、少なくとも該熱接着性成分が表面に露出するように両成分が複合化された熱接着性複合繊維であって、熱接着性成分のポリエステルの複屈折率が、0.03以下、繊維形成性成分の複屈折率が0.1以上である熱接着性複合繊維とポリエステルを主成分とする主体繊維から構成され、下記(1)〜(2)の要件を同時に満足することを特徴とするポリエステル不織布によって解決することができる。
(1)主体繊維と上記熱接着性繊維との重量比が80/20〜20/80の範囲内である。
(2)目付けが、5〜100g/mの範囲内である。
【選択図】なし

Description

本発明は、剛性に優れたポリエステル紙に適する湿式ポリエステル不織布に関する。
近年、機械的特性、耐熱性、寸法安定性等に優れ、かつコスト優位性の高いポリエステルを原料として使用した不織布が、分離膜やフィルター等の支持体として広く用いられている。このような不織布においては、一般的に未延伸繊維をバインダー繊維として用い、繊維集合体に熱圧加工を施すことで、繊維間を結合させて、その強度を保持させている。
例えば、分離膜支持体として用いられる湿式不織布は、その1面に半透膜液を塗膜する過程で湾曲する問題があるため、剛性が要求される。しかしながら、前述のような未延伸繊維をバインダー繊維として用いる場合、未延伸繊維は、一般的に繊維配向・結晶化度が低く、繊維弾性率が低いために、不織布剛性への寄与は小さい。このような未延伸繊維をバインダー繊維として一定割合混合することは、要求される紙剛性の向上には不利である。そこで、バインダー繊維として、鞘に低融点のバインダー成分を使用した熱接着性複合繊維を使用することが考えられる(例えば、特許文献1参照。)。これは、繊維表面の少なくとも一部を構成する熱接着性成分が、紙を構成する繊維同士を結合させる役割を担う一方、配向・結晶化した、剛性を有する繊維形成性成分を持つため、上述の未延伸繊維をバインダー繊維として用いた場合と比較して紙剛性の低下を招きにくい利点がある。しかし、かかる複合繊維を使用した場合、抄紙後、ローラーで熱圧加工する工程で、鞘に使用される低融点バインダー成分が、加熱ローラー上に移行・付着する問題が生じるため、未だ広く用いられるには至っていない。
特開2002−227089号公報
本発明は、上記背景に基づきなされたものであり、剛性の高いポリエステル不織布に関するものである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、繊維形成性成分と熱接着性成分とからなるポリエステル複合繊維であり、熱接着性成分および繊維形成性成分が共に融点230℃以上のポリエステルからなり、少なくとも該熱接着性成分が表面に露出するように両成分が複合化されたポリエステル複合繊維であって、熱接着性成分のポリエステルの複屈折率が、0.03以下、繊維形成性成分の複屈折率が0.1以上であるポリエステル複合繊維と、ポリエステルを主成分とする主体繊維から構成され、下記(1)〜(2)の要件を同時に満足することを特徴とするポリエステル不織布により、剛性に優れたポリエステル不織布を得られることを見出し、本発明に到達した。
(1)主体繊維とポリエステル複合繊維との重量比が80/20〜20/80の範囲内である。
(2)ポリエステル不織布の目付けが、5〜100g/mの範囲内である。
本発明にて得られたポリエステル不織布は、逆浸透膜やフィルター等の支持体に好適に使用される、剛性の高いポリエステル繊維紙を提供することにある。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明に用いるポリエステルは、全繰り返し単位の85モル%以上、好ましくは95モル%以上がテレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体(テレフタル酸等成分)とエチレングリコールを反応させてなるエチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであることが好ましい。テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の成分例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、5−スルホイソフタル酸テトラブチルアンモニウム、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールなどを少量(通常は、テレフタル酸等成分に対して15モル%以下)ランダム共重合もしくはブロック共重合したものであってもよい。中でも本願発明のポリエステル繊維を構成する熱接着性成分は5−スルホイソフタル酸ナトリウムを0.5モル%以上共重合したポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。当該成分が共重合されていると、本発明のポリエステル複合繊維を用いて湿式不織布を製造する場合に水への分散性がより良好になるからである。なお、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、抗菌剤、消臭剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでもよい。
上記複合繊維を形成する熱接着性成分および繊維形成性成分は、共に融点が230℃以上のポリエステルである必要がある。融点が230℃未満であると、ポリエステル不織布を製造する際、抄き上げ紙をローラーで熱圧加工する際に、ローラーにポリマー成分が移行・付着して工程性が著しく悪化する可能性がある。
また上記複合繊維のうち、熱接着性成分の固有粘度は0.50dL/g以下、より好ましくは、0.45dL/g以下であることが望ましい。0.50dL/gより大きいと延伸工程で熱接着性成分の配向が進行し、後述する複屈折率値を得ることが困難となる。一方繊維形成性成分の固有粘度は、0.50dL/g以上が望ましい。0.50dL/g未満であると、延伸工程で繊維形成性成分の配向を十分に上げることができず、所期の繊維弾性を得ることができない。
上記のような特性を有するポリエステルからなる本発明の熱接着性複合繊維は、少なくとも熱接着性成分が該複合繊維の表面に露出するように両成分が複合化されている複合繊維である。より具体的な複合化の態様を列挙すると、熱接着性成分と繊維形成性成分が並列型(サイドバイサイド型)に複合化された複合繊維、熱接着性成分を鞘成分とし繊維形成性成分を芯成分とし、両成分が鞘芯型もしくは偏芯鞘芯型または海島型に複合化された複合繊維である。なかでも本発明の複合繊維を熱接着性複合繊維として用い、別途に主体繊維を用い双方の繊維からなる不織布を製造する際に、主体繊維を均一に濡らすことができる点で鞘芯型に複合化させた複合繊維であるのが特に好ましい。
熱接着性成分の複合繊維に占める割合は、40〜95重量%とする必要がある。40重量%未満では、上述した主体繊維の表面を十分濡らすだけのポリマー量がないため、該主体繊維との熱接着性が不十分となり、十分な強力の湿式不織布が得られない。95重量%を超えると、複合繊維の安定した溶融紡糸が困難となる。上記割合としては45〜90重量%の範囲が好ましく、より好ましくは50〜80重量%の範囲である。
上記ポリエステル複合繊維の熱接着性成分の複屈折率は、0.05以下、好ましくは、0.03以下である必要がある。0.05より大きいと、十分な熱接着性を得ることができず、所期の紙強力を得ることができない。繊維形成性成分の複屈折率は、0.1以上、好ましくは、0.15以上である必要がある、0.1未満であると繊維形成性成分の配向が不十分となり、十分な剛性を得ることができない。このような複屈折率の数値範囲の設定を行うことにより、熱接着性成分は配合が進んでおらず、結晶性が低くより非晶性に近い状態にあるために低温度にて良好な接着性を有することができる。一方繊維形成性成分においては、配向が進み相対的に結晶化が進んでいるので、繊維として十分な強度を有し剛性を得ることができている。以上のように出願人は複屈折率と繊維物性についての作用効果を推定している。そしてこの複合繊維をバインダー繊維として用いた場合であっても、繊維形成性成分が繊維としての十分な強度等の力学特性を有しているので、この複合繊維を用いて得られる不織布も十分な剛性を発現することができる。
本発明の熱接着性複合繊維は、たとえば、以下の方法により製造することができる。すなわち、前述した熱接着性成分および繊維形成性成分を構成するポリエステルをチップ状とし、これらをそれぞれ乾燥した後、溶融して公知の複合紡糸口金に導入し、溶融複合繊維糸条として押し出し、口金下15〜100mmの位置で冷却固化し紡糸速度300〜10000m/分で巻き取り未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、熱接着性成分のガラス転移温度をTgとして、Tg+5〜Tg+25℃の温水中で、1.5〜7.0倍に延伸し、60〜130℃で定長熱処理もしくはオーバーフィード熱処理を行うまたは弛緩熱セットを行って熱接着性複合繊維とすることができる。
上記熱接着性ポリエステル複合繊維は、その繊維長を2〜30mm、好ましくは2〜20mmとする必要がある。繊維長が2mmより短くなると、切断抵抗が大きくなり、繊維同士の絡みが起こり易く、繊維の品質斑が発生する。一方、繊維長が30mmを超えて長くなると、抄紙時、繊維の水中分散性が悪化するので好ましくない。
本発明の熱接着性ポリエステル複合繊維は、その繊維表面に繊維重量を基準としてポリエーテル・ポリエステル共重合体が0.03重量%以上、好ましくは0.05重量%以上付着していることが望ましい。該付着量が0.03重量%未満の場合には、抄紙工程での水中への繊維の分散が不十分となる。なお、付着量があまりに多くなりすぎると、繊維間の接着性が阻害される傾向があるだけでなく、多量のポリエーテル・ポリエステル共重合体は抄紙工程循環水への水質負荷を増大するので、1.5重量%以下とするのが好ましい。
本発明で用いられる上記ポリエーテル・ポリエステル共重合体は、テレフタル酸および/またはイソフタル酸、低級アルキレングリコール並びにポリアルキレングリコールおよび/またはそのモノエーテルからなることが好ましい。好ましく用いられる低級アルキレングリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールがあげられる。これらの化合物の中でエチレングリコールがより好ましい。一方、ポリアルキレングリコールとしては、平均分子量が600〜6000のポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコールが例示できる。さらにポリアルキレングリコールのモノエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノフェニルエーテル等があげられる。なお、該共重合体はテレフタレート単位とイソフタレート単位のモル比が95:5〜40:60の範囲内が水中分散性の点から好ましいが、アルカリ金属塩スルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を少量共重合していてもよい。以上の成分からなるポリエーテル・ポリエステル共重合体の平均分子量は、使用するポリアルキレングリコールの分子量にもよるが、通常1000〜20000、好ましくは3000〜15000である。平均分子量が1000未満では水中分散性の向上効果が十分でなく、一方20000を越えると該重合体の乳化分散が難しくなる。
このようなポリエーテル・ポリエステル共重合体は、通常水分散液として繊維表面に付着させるが、該共重合体は比較的容易に水中へ分散させることができる。なお、得られる水性分散液の安定性をより向上させるため、界面活性剤や有機溶媒を少量添加してもよく、また油剤等の各種処理剤を混合使用しても何ら差しつかえない。付着方法はディップ、スプレー、ローラータッチ等の通常の方法が採用されるが、均一に付着させるためにはディップによる方法が適している。
本発明におけるポリエステル不織布を構成する主体繊維と熱接着性ポリエステル複合繊維(以下、バインダー繊維と称することがある。)の重量比率は、80/20〜20/80、好ましくは65/35〜35/65である。主体繊維が80重量%を超える(バインダー繊維が20重量%未満)と、不織布の形態を構成する接着点が少なくなり過ぎ、強度不足となるため好ましくない。一方、主体繊維が20重量%未満(バインダー繊維が80重量%以上)では、接着点が多くなり過ぎるため、不織布そのものが硬くなるため、好ましくない。
なお、ポリエステル不織布を構成するバインダー繊維としては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記熱接性複合繊維以外に各種バインダー繊維、例えば、未延伸繊維、低融点熱接着性芯鞘複合繊維を、バインダー繊維全体の重量を基準として50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度、少量添加しても問題ない。
さらに、本発明のポリエステル不織布の目付は、5〜100g/m、好ましくは10〜60g/mである。5g/m未満では、不織布を構成する繊維の構成本数の割合が少なすぎるため、得られる不織布の濾過性能のバラツキが生じたり、塗工された溶液の裏抜けが生じるため好ましくない。一方、100g/mを超えると、濾過効率は高いものの、寿命が短くなったり、コスト高となり、またインク通過阻害となるため好ましくない。
また、本発明のポリエステル不織布の通気度は、1〜10cc/cm/secであることが好ましい。さらに好ましくは、2〜8cc/cm/secである。1cc/cm/sec未満では、異物除去などのろ過効率は高いものの寿命が短いため好ましくない。一方、100cc/cm/secでは寿命は長いものの、上記の効率が低くなるため好ましくない。通気度を上記範囲内にするには、熱処理条件(抄紙後のドライヤーやカレンダー)の最適化を行うことで調整可能である。
本発明のポリエステル不織布を製造する装置としては、通常の長網抄紙機、短網抄紙機、丸網抄紙機、あるいはこれらを複数台組み合わせて多層抄きなどにしても何ら問題ない。
本発明のポリエステル不織布について、熱処理工程としては、抄紙工程後、ヤンキードライヤー、あるいはエアースルードライヤーのどちらでも可能である。また、金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどのカレンダー/エンボスを施しても良い。ここで、熱カレンダー処理は、通常、温度が150〜230、好ましくは180〜200℃で、圧力は80〜240kg/cm、好ましくは120〜180kg/cmである。
以下に本発明の構成および効果を具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明は、これら実施例になんら限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)固有粘度:[η]
ポリマーサンプル0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール混合溶媒(容量比1/1)に溶解し、35℃における固有粘度(mL/g)を測定した。
(2)融点:Tm
TAインストルメンツ製 TA−2920示差走査熱量測定計DSCを用いた。測定は、試料10mgを窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から260℃まで昇温し、結晶融解吸熱ピークおよび結晶化発熱ピークのピークトップ温度を各々融点および結晶化点と定義した。
(3)複屈折率
干渉顕微鏡を用い、干渉縞法により求めた。浸漬液は所望の屈折率としたものを用いた。得られた干渉縞の写真から、干渉縞の間隔およびそのずれから屈折率を下記式より算出した。この解析を、繊維の半径をA、中心軸からの距離をaとした時の規格化した半径(r=a/A)0〜0.9間で0.1間隔の10点、繊維学会編の「繊維・高分子測定法の技術」:朝倉書店発行に記載の方法に準拠して行ない、サンプルの繊維軸方向に平行方向の屈折率、および垂直方向の屈折率を求め下記式より算出した。
複屈折率(Δn)=平行方向屈折率−垂直方向屈折率
また、複合繊維のr=0におけるポリエステルの複屈折率を芯成分の複屈折率の値とし、複合繊維のr=0.9におけるポリエステルの複屈折率を鞘成分の複屈折率の値とした。
(4)不織布の平均裂断長(5%伸長時)
下記の各例で得られた不織布から縦×横=15mm×200mmの試験片を採取し、その試験片を用いて、JIS P8113(1976)に準拠して、その縦方向および横方向の引張強さを測定し、その5%伸長に対応する引張強さから裂断長を求めた。次いで、縦方向と横方向の裂断長の平均値{(縦方向の5%裂断長+横方向の5%裂断長)/2}を求めて、不織布の平均裂断長(5%伸長時)とした(単位:km)。JIS P8113(紙および板紙の引張強さ試験方法)に基づいて測定した。但し、試長は50mm、幅は15mmとした。なお、カレンダー加工の機械におけるシートの流れ方向(MD方向)と、MD方向と直角方向(CD方向)について同様に測定を行った。
[実施例1]
170℃設備で4時間熱風乾燥した固有粘度[η]が0.365dL/g、融点Tmが249℃の5−スルホイソフタル酸ナトリウムを4.5モル%共重合したポリエステルを二軸エクストルーダーで溶融し、280℃の溶融ポリマー(熱接着性成分)とした。一方、170℃で4時間熱風乾燥した固有粘度[η]が0.64dL/g、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)のチップをエクストルーダーで溶融し、280℃の溶融ポリマー(繊維形成性成分)とした。両溶融ポリマーを、前者を鞘成分A、後者を芯成分Bとし、かつ重量比がA:B=50:50となるように、直径0.3mmの丸穴キャピラリーを1336孔有する公知の芯鞘型複合紡糸口金から、複合化して溶融吐出させた。この際、口金温度は285℃、吐出量は500g/分であった。さらに吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、500m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を93℃の温水中で6.0倍に延伸し、引き続いて70℃の温水中で1.02倍に延伸した後、さらに、98℃温水中で0.98倍に延伸した。酸成分がモル比でテレフタル酸が80モル%、イソフタル酸が20モル%と数平均分子量3000のポリエチレングリコール70重量%とを共重合した数平均分子量が約10000のポリエーテル・ポリエステル共重合体のエマルジョン(濃度2重量%)を通過させ、約17重量%の水分率になるように絞った後、5mmの繊維長にカットした。得られた短繊維の繊維形成性成分の複屈折率は0.12、熱接着性成分の複屈折率は、0.0027であった。得られた繊維をバインダー繊維として用いた。
別途、170℃で4時間熱風乾燥した固有粘度[η]が0.64dL/g、融点Tmが256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)のチップをエクストルーダーで溶融し、直径0.18の丸穴キャピラリーを3000孔有する公知の紡糸口金から、溶融吐出させた。この際、口金温度は285℃、吐出量は522g/分であった。さらに吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、1350m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を72℃の温水中で2.08倍に延伸し、引き続いて70℃の温水中で1.16倍に延伸した。酸成分がモル比でテレフタル酸が80モル%、イソフタル酸が20モル%と数平均分子量3000のポリエチレングリコール70重量%とを共重合した数平均分子量が約10000のポリエーテル・ポリエステル共重合体のエマルジョン(濃度2重量%)を通過させ、約17重量%の水分率になるように絞り、常温下で120分間弛緩熱処理した後、水付与付与ローラー5mmの繊維長にカットした。繊度0.62dtex、破断強度4.05cN/dtex、破断伸度52.4%、油剤付着量0.204%、得られた繊維を主体繊維として用いた。
上記の主体繊維およびバインダー繊維を75/25の重量比率で混合攪拌し、TAPPI(熊谷理機工業製角型シートマシン、以下同じ)により75g/mを抄紙した後、ヤンキードライヤー乾燥(120℃×2分)、カレンダー加工(160℃×120kg/cm、金属/金属)を施してシートを得た。評価結果を表1と表2に示した。
[比較例1]
170℃設備で4時間熱風乾燥した固有粘度[η]が0.365dL/g、融点Tmが249℃の5−スルホイソフタル酸ナトリウムを4.5モル%共重合したポリエステルを一軸エクストルーダーで溶融し、280℃の溶融ポリマーとし、直径0.18mmの丸穴キャピラリーを1192孔有する公知の紡糸口金から、溶融吐出させた。この際、口金温度は285℃、吐出量は180g/分であった。さらに吐出ポリマーを30℃の冷却風で冷却し、500m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を未延伸状態のまま、酸成分がモル比でテレフタル酸が80%、イソフタル酸が20%と数平均分子量3000のポリエチレングリコール70重量%とを共重合した数平均分子量が約10000のポリエーテル・ポリエステル共重合体のエマルジョン(濃度2重量%)を通過させ、約17重量%の水分率になるように絞った後、5mmの繊維長にカットした。得られた短繊維の複屈折率は0.015であった。上記のバインダー繊維と実施例1記載の主体繊維を25/75の重量比率で混合攪拌し、TAPPIにより75g/mを抄紙した後、ヤンキードライヤー乾燥(120℃×2分)、カレンダー加工(160℃×120kg/cm、金属/金属)を施してシートを得た。評価結果を表1と表2に示した。
[比較例2]
主体繊維とバインダー繊維の重量比率を90/10とすること以外は、実施例1と同様にし、シートを得た。評価結果を表1に示す。バインダー繊維の十分な強度が得られず、所期の剛性を得られなかった。評価結果を表1と表2に示した。
Figure 2012067408
Figure 2012067408
本発明によって、剛性に優れたポリエステル不織布を得ることができる。この発明により得られる不織布は、半透膜やフィルターの支持体等の用途に好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 繊維形成性成分と熱接着性成分とからなるポリエステル複合繊維であり、熱接着性成分および繊維形成性成分が共に融点230℃以上のポリエステルからなり、少なくとも該熱接着性成分が表面に露出するように両成分が複合化されたポリエステル複合繊維であって、熱接着性成分のポリエステルの複屈折率が、0.03以下、繊維形成性成分の複屈折率が0.1以上であるポリエステル複合繊維と、ポリエステルを主成分とする主体繊維から構成され、下記(1)〜(2)の要件を同時に満足することを特徴とするポリエステル不織布。
    (1)主体繊維とポリエステル複合繊維との重量比が80/20〜20/80の範囲内である。
    (2)ポリエステル不織布の目付けが、5〜100g/mの範囲内である。
  2. ポリエステル複合複合繊維が、熱接着性成分を鞘、繊維形成性成分を芯とする芯鞘型複合繊維であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル不織布。
  3. 繊維形成性成分がポリエチレンテレフタレートである請求項1〜2のいずれかに記載のポリエステル不織布。
  4. 熱接着性成分が、5−スルホイソフタル酸ナトリウムを0.5モル%以上共重合したポリエチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル不織布。
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