JP2667036B2 - レーザー光用電子写真平版印刷版材料 - Google Patents

レーザー光用電子写真平版印刷版材料

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、レーザー光用電子写真平版印刷版材料に関
するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は半導体レーザー
光に対して分光増感された電子写真平版印刷版材料に関
するものである。
〔従来の技術〕
近年、小型オフセット印刷機の発展および自動印刷機
の開発に伴い、軽印刷の主流はオフセット印刷に移行し
つつある。
このようなオフセット印刷版材料については数多くの
研究開発がなされ、種々の改良された材料が実用化され
ている。
これらの材料の中でも、酸化亜鉛を主成分とする光導
電層を有する電子写真平版印刷源版は、安価であり、か
つ、製版工程が簡易であるという理由により、軽印刷用
版材の主流を占めている。電子写真平版印刷版を製造す
るには、通常、その印刷版材料に、製版機を用いて所望
のパターンに従ってコロナ帯電、露光、現像および定着
プロセスを施し、それによってその光導電層に所望パタ
ーンの顕像を形成する方法が用いられている。
上記現像工程には、トナーと鉄粉等のキャリヤーとの
混合物を用いる乾式現像方式と、トナーを高沸点石油溶
剤などの有機溶剤中に分散させて得られる現像液を用い
る湿式現像方式とがある。
上記湿式現像方式を用いて製版した場合、中間調画像
形成の再現性が良好であり、解像性がすぐれでおり、製
版所要時間が短く、形成された画像に修正を要しないな
どの利点がある。このために、本邦においては湿式現像
方式による電子写真平版印刷版の製造方法が広く実用さ
れている。
上記のような電子写真平版印刷版において、光導電性
顔料として用いられる光導電性酸化亜鉛自体の感光波長
域は370nmの紫外線にのみ存在している。このため光導
電性酸化亜鉛を利用した電子写真平版印刷版およびオフ
セットマスターにおいては、光導電層の感光波長域を露
光光源の波長域に適合させるために、光導電層にローズ
ベンガル、ウラニン、BPB(ブロムフェノールブルー)
ニグロシン等の増感染料を添加して感光波長域を広大す
ることが広く研究され、実施されている。一方、一般的
に使用されている電子製版機は原稿をハロゲンランプで
露光し、その反射光をコロナ帯電後の印刷版材料に露光
して、現像〜乾燥過程を経て印刷版材が得られている。
近年のコンピューターの発達により、コンピューター
のデーターをCRT上で編集して、一端ハードーコピーを
取ることなしで直接版材を作製する、いわゆるコンピュ
ーターツウプレートの動きが盛んである。
このような技術の発展への推進力になってきたものは
レーザー光線の進歩であり、とくにその中で半導体レー
ザーは装置を小型化にすることが可能で、かつ安価であ
り、又直接変調可能であるという長所を生かして近年半
導体レーザーを使用した製版システムが開発される様に
なってきた。レーザー光線に対して用いられる電子写真
印刷版材料は700〜1000nmの長波長光に対して感度を持
つことが必要である。
このような半導体レーザー光の波長域に感度を有する
電子写真感光体としては、例えば、特開昭57−46245
号、同58−58554号、同58−59453号、同59−22053号、
同59−78358号公報等に記載されている。
この様な酸化亜鉛系電子写真感光体は、光導電層中に
ポリメチン系シアニン染料等の増感染料を配合し長波長
域まで分光増感を行ったものである。しかしながら、こ
れらの例の様に、増感染料を添加しただけのものでは、
その感度は実用上十分な水準に達していなかった。
そこで、増感助剤を更に用いることが検討されるよう
になった。増感染料と増感助剤を併用した例として特開
平1−161253号公報において、両端のジメチルインドー
ル環のN−置換基にアルキルスルフォン酸基を有するタ
イプのポリメチレン系シアニン染料と、増感助剤として
無水マレイン酸とを併用する、処方が開示されている。
このような無水マレイン酸、無水フタール酸等の増感
助剤を使用して化学増感を行う方法は、電子写真材料の
技術としてはよく知られたものであるが、まだ十分に満
足できる水準に達していない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、波長700〜1000nmの長波長光線に対して高
い感度を有し、従って半導体レーザー光用として実用的
な高感度を有し印刷地汚れのない、又は少ない電子写真
平版印刷版材料を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のレーザー光用電子写真平版印刷版材料は、支
持体と、この支持体の表面上に形成され、かつ光導電性
顔料と電気絶縁性粘着剤との混合物を主成分として含有
する光導電層とを含み、前記光導電層が、下記一般式
(I)および(II): 〔ただし上式中、R1,R2は、それぞれ他から独立に、−C
H3,−C2H5および−CH2−CH=CH2基から選ばれた1員を
表し、Xはハロゲン原子を表す〕 および 〔ただし上式中、m,nは1以上の整数を表し、R3は−SO3
,−COO 、および−0−PO3H 基から選ばれた1員
を表し、R4は第4級アンモニウム基およびアルカリ金属
原子から選ばれた1員を表す〕 によって表わされる色素化合物から選ばれた少くとも1
員と、Co塩およびMn塩から選ばれた少なくとも1員とを
含有することを特徴とするものである。
本発明に用いられる上記一般式(I)および(II)で
表わされるポリメチン系シアニン色素化合物は、暗減衰
が少なく、熱安定性および感度が良好という特徴を有し
ている。
光導電層に含まれる色素化合物(I)および(II)の
合計配合量は、酸化亜鉛の重量に対して0.001〜0.5%の
範囲にあることが好ましく、0.01〜0.2の範囲にあるこ
とがより好ましい。Co塩およびMn塩の添加効果は、得ら
れる光導電層の感度が向上し、非画像部へのトナーの付
着が少なく、かつ、耐カブル性が良好となり、従って鮮
明な画像が得られること、および、印刷地汚れの良好な
印刷物を得ることができることなどである。Coの塩とし
ては塩化コバルト、臭化コバルト、フッ化コバルト、ヨ
ウ化コバルト、ナフテン酸コバルトおよびシュウ酸コバ
ルトを挙げることが出来る。
又Mn塩としては、塩化マンガン、ナフテン酸マンガン
を挙げることが出来る。
本発明において用いられるCo塩およびMn塩は、それぞ
れ単独で用いても良く、また両者を併用しても良い。ま
た、これら金属塩の含有量は、酸化亜鉛の重量に対して
0.001〜0.5%の範囲にあることが好ましい。
光導電層は、一般に光導電性顔料としての酸化亜鉛、
或は、酸化チタン等と、絶縁性粘着材と、増感染料と、
および溶剤とからなる塗料を中間層の上に塗布し、乾燥
して形成される。
光導電層用絶縁性粘着剤としては、一般に親水性の良
いアクリル酸エステル共重合体、メタアクリル酸エステ
ル共重合体、酢酸ビニール共重合体、シリコーン樹脂、
およびプチラール樹脂などの合成樹脂が使用されてい
る。このような合成樹脂は印刷の際に発生する地汚れを
防止するのに有効である。これらの地汚れ防止に有効な
樹脂には、その画像品質、塗料物性、塗膜の機械的強度
を改善する目的で、アクリル酸、メタアクリル酸マレイ
ン酸等の官能基を有するモノマーが共重合されているの
が普通である。又印刷版材料のエッチング・カールを防
止するために、又は、湿式の現像時のトナーの浸透を防
止する目的で、光導電層の反対面にバック層が形成され
るのが普通である。
光導電層中に含まれる結合剤樹脂の固型分含有量は、
酸化亜鉛の重量に対して10〜30%が好ましく15〜25%の
範囲内にあることがより好ましい。本発明の印刷版材料
の支持体は、耐水性を有するものであって、紙、紙とア
ルミ箔又はポリエチレンフィルムとの積層シート、又は
プラスチックフィルム、蒸着金属層を有する紙、合成紙
等から選ぶことが出来る。
支持体の厚さは一般に100〜170μm程度であることが
好ましい。
印刷版材料の耐水性を向上させるために支持体と、光
導電層との間に中間層を形成してもよい。このような中
間層を形成する成分としては、一般に、ポリビニルアル
コール、カゼイン、澱粉などの水溶性高分子と、アクリ
ル酸エステル共重合体、ウレタン−アクリル酸エステル
共重合体、およびSBR、などの合成樹脂のエマルジョン
と、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、グリオキザー
ル、およびシランカップリング剤などの耐水化剤などが
用いられる。中間層は、一般に5〜10g/m2の乾燥重量を
有することが好ましい。
本発明の印刷版材料を製造するには、支持体の一表面
上に、所要により、所要成分と溶媒とを含む中間層塗料
を塗布乾燥し、この中間層の上に、或は、支持体表面上
に直接に、所要成分と溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブ
チル、トルエン、又はキシレン)とを含む光導電層塗料
を塗布乾燥し、更に、所要成分を含有する塗料裏面層塗
料を支持体の裏面に塗布し、乾燥すればよい。
〔実施例〕
以下実施例によって本発明を更に説明する。
実施例1 下記の工程(1)〜(5)により電子写真平版印刷版
材料を作成し、それから印刷版を製版し、工程(6)に
よりその特製を測定評価した。
(1)坪量100g/m2の原紙の1面上に下記組成のバリヤ
ー層をサイズ・プレス処理により2g/m2(乾燥塗工量)
の重量になるように形成した。
バリヤー層組成 ポリビニルアルコール 80部(固形分重量) ポリアクリル酸ソーダ 20部(固形分重量) (2)上記サイズ・プレス処理された原紙(厚さ110μ
m)のバリヤー層表面に下記組成の中間層塗料を塗布
し、乾燥して乾燥塗工量10g/m2の中間層を形成した。
中間層組成 白雲母(*)1 40部(重量) ポリウレタン水性分散液(*)2 40部(重量) カゼイン水溶液 10部(重量) シランカップンリング剤(*)3 10部(重量) 註(*)1……商標:A−21、山口雲母社製、平均粒子
径:20μm (*)2……商標:アゼラックスS−1072、保土谷化
学社製 (*)3……商標:SH6040、東レシコーン社製 (3)上記支持体の裏面上に下記組成の塗料を塗布・乾
燥し、乾燥塗工量13g/m2の導電性塗料裏面層を形成し
た。
裏面塗料層組成 ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂(*)4 5部(重量) カオリナイト・クレー分散液(*)5 50部(重量) SBRラテックス(*)6 35部(重量) ポリビニールアルコール(*)7 7部(重量) ポリアクリル酸ソーダ(*)8 3部(重量) 註(*)4……商標:エポスターL日本触媒化学工業社
(*)5……商標:HGクレー(米)Huber社製 (*)6……商標:PT−1004日本ゼオン社製 (*)7……商標:T−330日本合成化学社製 (*)8……商標:プライマール850日本アクリル社
製 支持体に中間層および導電製塗料裏面層を形成後、中間
層表面の平滑度が王研ベック平滑度で500秒になる様に
スーパーカレンダー処理を行った。
(4)前記中間層表面上に、下記組成の光導電層塗料を
塗布・乾燥し、乾燥塗工量25g/m2の光導電層を形成し
た。
光導電層組成 光導電性酸化亜鉛(*)9 100 部(重量) シリコーン樹脂(*)10 25 部(重量) 塩化マンガン 0.05部(重量) 註(*)9……商標:SAZEX #2000堺化学 (*)10……商標:KR−683信越化学 この混合溶液に、前記一般式(I)の化合物 〔たざし式(I)中R1,R2はいずれもCH3を、また、Xは
I原子を表す〕からなる増感色素化合物0.02部をメタノ
ール3部に溶解した溶液を加え、この混合溶液をサンド
・グライダーで分散して塗布液とした。
得られた印刷版材料を20℃,65%RHの暗所において24
時間の調湿を行った後に光導電層の表面を−6Vで負コロ
ナ帯電後、所定のパターンに従って半導体レーザー光
(レーザー強度:4,5又は6mW、波長:780nm)に対し、430
dpiでスキャニング露光した。次いでこの露光面を正帯
電液体トナー(Itek社製)を用いて現像した。
印刷試験において、エッチ液としてItek社エッチ液を
使用し、湿し水はItek社エッチ液を10倍に希釈して使用
した。また、印刷インキとしてニューチャンピオンFグ
ロス墨(大日本インキ)を使用し、現像された印刷版を
印刷機(リョービ2800CD)に装着して印刷を実施した。
供試印刷版の印刷特性を、上記3段階のレーザー強度
の露光において版上に残留するトナーに起因する印刷地
汚れを観察して、評価した。
また、製版品質を評価するために、レーザー強度6mW
の場合のベタ画像部および非画像部のトナー付着濃度を
測定した。
測定結果を第1表に示す。
実施例2 実施例1と同じ操作を行った。ただし塩化マンガンに
替えて塩化コバルトを使用した。
評価結果を第1表に示す。
実施例3 実施例1と同じ操作を行った。ただし塩化マンガンに
替えてナフテン酸マンガンを用いた。
評価結果を第1表に示す。
実施例4 実施例1と同じ操作を行った。ただし増感色素化合物
として前記一般式(II)の化合物(ただし式(II)中m,
nはそれぞれ整数3を表わし、R3は−SO3 基を表わし、
そして、R4は−HN(C2H5基を表す〕を使用した。
評価結果を第1表に示す。
実施例5 実施例1と同じ操作を行った。ただし金属塩として、
臭化コバルトと塩化マンガンを同量配合した混合物を合
計0.05部用いた。
評価結果を第1表に示す。
実施例6 実施例1と同じ操作を行った。ただし増感色素化合物
として一般式(I)の化合物〔ただし式(I)中R1,R2
はいずれも−CH3基を表わし、XはI原子を表す〕から
なる色素化合物0.01部と、一般式(II)の化合物〔ただ
し式中m,nはそれぞれ整数3を表わし、R3は−SO3 基を
表わし、R4は−HN(C2H5を表す〕からなる色素化合
物0.01部を使用した 評価結果を第1表に示す。
比較例1 実施例1と同じ操作を行った。
ただし増感色素化合物として下記の構造式の化合物を
用いた。
評価結果を第1表に示す。
比較例2 実施例1と同じ操作を行った。
ただし塩化マンガンを用いることなく光導電層塗料を
作製した。
評価結果を第1表に示す。
第1表に示すように、本発明に係る実施例1〜6の電
子写真平版印刷版材料は半導体レーザー光に対して高い
感度を有し、印刷試験における耐地汚れ性も良好であっ
た。これに対して、比較例1〜2の電子写真平版印刷版
材料は半導体レーザーに対する感度が不十分であり、印
刷版として使用した場合には印刷地汚れが甚しく、印刷
版材としては実用的ではなかった。
〔発明の効果〕
本発明の電子写真平版印刷版材料は、半導体レーザー
光に対して高い感度を示し、印刷版材料として印刷地汚
れのない印刷版材料を製造するに好適なものである。
本発明の電子写真平版印刷版材料は、それを使用する
ことにより印刷製版のデジタル化が可能になり、従っ
て、コンピューターツウプレートが可能となり実用上極
めて有用なものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体と、この支持体の表面上に形成され
    かつ光導電性顔料と電気絶縁性結着剤との混合物を主成
    分として含有する光導電層とを含み、 前記光導電層が、下記一般式(I)および(II): 〔ただし上式中、R1,R2は、それぞれ他から独立に、−C
    H3,−C2H5および−CH2−CH=CH2基から選ばれた1員を
    表し、Xはハロゲン原子を表す〕 および 〔ただし上式中、m,nは1以上の整数を表し、R3は−SO3
    ,−COO 、および−0−PO3H 基から選ばれた1員
    を表し、R4は第4級アンモニウム基およびアルカリ金属
    原子から選ばれた1員を表す〕 によって表わされる色素化合物から選ばれた少くとも1
    員と、Co塩およびMn塩から選ばれた少なくとも1員とを
    含有することを特徴とするレーザー光用電子写真平版印
    刷版材料。
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