JP2666636B2 - 輸送用ラック - Google Patents

輸送用ラック

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JP2666636B2
JP2666636B2 JP3353428A JP35342891A JP2666636B2 JP 2666636 B2 JP2666636 B2 JP 2666636B2 JP 3353428 A JP3353428 A JP 3353428A JP 35342891 A JP35342891 A JP 35342891A JP 2666636 B2 JP2666636 B2 JP 2666636B2
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鉄雄 藤村
孝 市村
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川崎製鉄 株式会社
川鉄物流 株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、H形鋼、鋼矢板、フラ
ットバー、鋼管、鋼棒さらには帯状薄鋼板を巻回したコ
イル等の鋼製品を海上輸送する際に使用するラックに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、H形鋼等の鋼製品を船舶によって
海上輸送する場合は、製品を2〜3本単位でクレーン等
によってハンドリングし、船倉にばら積みしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来方法
にあっては、1回のハンドリングで対処できる製品の本
数が少ないため作業効率が悪く、長時間、船を岸壁に係
船する必要があった。また、積み込んだ製品を船倉に保
定するため、作業員が船倉に入ってその保定作業を行う
必要があり、常に危険が伴っていた。
【0004】本発明は、こうした問題に鑑み創案された
もので、H形鋼等の鋼製品を効率良く安全に船舶に船積
み又は水揚げして海上輸送することの出来るラックを提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのための手段として、
少なくとも二つのラック体2を、前後に所望間隔を開け
て平行に配置して構成した。各ラック体2は、底梁部材
3の両側端に側梁部材4を立設し、両側梁部材4に、上
端部に係合孔10を有すると共に、下端縁から上端部付
近までの中央部に切欠き9を形成した懸垂プレート8を
立設して構成した。そして、両側梁部材4を、前後に間
隔を開けて平行に立設された一対の梁柱部5で構成する
ことにより、各側梁部材4に、積み重ね時に下位のラッ
ク体2の懸垂プレート8が下方から侵入係合する、下方
および外方に開放した係合空間7を形成し、さらに係合
空間7の下端開口部の側方方向の開口幅を増大させる方
向に傾斜したガイド板11を設けた。さらに、各梁柱部
5に、側梁部材4上に搭載してこの側梁部材4の高さ幅
を一定量増大させるスペーサブロック15を回動昇降変
位自在に取付けた。
【0006】
【作用】および
【実施例】本発明の作用を、実施例を示す図を参照しな
がら以下説明する。本発明による海上輸送用ラック1で
H形鋼等の製品25を船積みする場合、まず製品25を
搭載した複数のラック体2より成るラック1がクレーン
等によって吊り上げ搬送され船倉の床上に載置される。
この場合、ラック体2はその係合孔10に吊り上げ治具
等が係合されて吊り上げ搬送されるが、係合孔10は円
形等の孔として形成されており、フックのような開放部
分を有さない。従って、吊り上げ治具との係合が外れる
ことなく確実に達成され、安全性の点で優れており、吊
り上げ治具の出入りするピンと係合するので、吊り上げ
治具の単純な昇降変位によりその着脱が達成され、着脱
時に吊り上げ治具の細かい横方向の調整変位を必要とす
ることがない。
【0007】船倉の床上に載置されたラック1上に、同
じく製品25を搭載したラック1が積み上げられるが、
その場合、上位のラック1のラック体2の係合空間7に
下位のラック1のラック体2の懸垂プレート8が係合す
べく積み上げられる。この係合空間7と懸垂プレート8
とを係合させることによって、ラック1はそのラック体
2同士を積重させて安定姿勢を維持することが出来る。
【0008】本発明においては、ガイド板11を設けた
ので、ラック1同士を積重する際、上下のラック1のラ
ック体2間に多少の位置ずれがあっても、下位のラック
体2の懸垂プレート8が上位のラック体2のガイド板1
1に当接して上位のラック体2を適切な位置に案内する
ので、上位のラック1を下位のラック1上に正確に搭載
させるのが容易である(図3、4参照)。
【0009】本発明に係るラック1は、少なくとも二つ
のラック体2を、互いに分離した状態で前後に所望間隔
を開けて平行に配置して構成する場合(図5)の他、底
梁部材3で一体連結(図6)しても良いが、前者は底梁
部材3の節約や小型化が図れて経済性や収納性そして汎
用性に優れ、後者はH形鋼の長尺状製品25に限らず、
長さの短い製品25さらにはコイル状製品25の搭載も
可能であり、両ラック体2の間隔が一定不変であるの
で、この間隔を一定にセットする手間が省け吊り上げ治
具による吊り上げ作業時の取扱いが便利である。
【0010】ラック体2の側梁部材4にスペーサブロッ
ク15を設けることによって、側梁部材4の高さを増大
させることができる。製品25の高さが側梁部材4より
大きく、上位のラック1を下位のラック1に搭載された
製品25上に直接搭載することが出来ない場合は、スペ
ーサブロック15を回動上昇させて側梁部材4上に搭載
させて側梁部材4の高さを増大し、これによってラック
体2同士を接触積重させ、上位のラック1の荷重が下位
のラック1に搭載された製品25にかかることを防止す
ることができ、またこのスペーサブロック15の利用に
より、船倉内において、多数のラック1を積重して形成
される複数の集合体の横方向に隣合ったラック体2の高
さ位置を合わせることができ、これにより横方向に隣合
ったラック体2間に突っ張り力を作用させる等して、船
倉内における集合体の姿勢を安定したものとすることが
できる(図2、12、13参照)。
【0011】このスペーサブロック15は、側梁部材4
に基端部が回動自在に軸支されたアーム17と、このア
ーム17の先端部に同じく回動自在に軸支された立方体
形状のブロック片16とで構成することができる。アー
ム17をその基端部を軸として回動することによってブ
ロック片16を側梁部材4上に回動上昇させて位置させ
るものである。
【0012】ラック体2の底梁部材3に、横幅に沿って
複数のストッパ片12を設けその自重によって前後に揺
動自在とし、先端部を底梁部材3上面上に突出するよう
にしたことによって、製品25の底梁部材3横幅方向の
荷動きを防止することが出来る。すなわち、底梁部材3
上に搭載された製品25が横幅方向に滑り移動しようと
すると、底梁部材3上面上に突出したストッパ片12の
先端部に当接してその動きが阻止され荷動きが防止され
るものである。
【0013】尚、このストッパ片12は前後に揺動自在
としたので、製品25がストッパ片12上に搭載された
場合、そのストッパ片12は製品25に押圧されて揺動
し底梁部材3の表面下に移動するので製品25の搭載を
何ら妨げることはない(図7および8参照)。
【0014】このストッパ片12を、弾材24の弾力に
よって底梁部材3上面上に突出するとした場合、製品2
5がストッパ片12上に搭載された際に、そき重量によ
って弾材24が収縮してストッパ片12の先端部が底梁
部材3上面下に位置し、製品25が移動した後に弾力の
作用によって上面上に突出するものである(図9および
10参照)。
【0015】ラック体2にガイド面13を設けたことに
よって、製品25をラック1上に搭載する際、製品25
が所定位置よりずれた場合でもガイド面13によって底
梁部材3上に確実に案内される。これによって、製品2
5が側梁部材4の上端面に引っ掛かり、搭載作業に弊害
が生じるといった不都合が発生しない。尚、ガイド面1
3の形成は、側梁部材4の内側端縁に固定した懸垂プレ
ート8の側梁部材4からの立ち上がり端部を外方に傾斜
させて形成するのが最も簡単である(図11参照)。
【0016】又、このガイド面13を、側梁部材4上端
縁と懸垂プレート8との間に補強部材状に取付けられた
ガイド面部材14により形成することによって、ラック
体2における懸垂プレート8の機械的強度を高め、耐久
性の向上を図ることが出来る(図1参照)。
【0017】底梁部材3上面に、転がり止め部材18を
設けることによって、製品25の荷動きを防止すること
ができる(図6参照)。この転がり止め部材18は、適
宜自在に設けるもので、製品25の底梁部材3幅方向の
動きのみでなく、前後方向の動きも防止出来るものであ
る。製品25が短いもので図6に示すラック1に搭載す
る場合に、特に有効である。
【0018】側梁部材4の上面に、上位のラック体2の
滑りを防止すべく、凹凸部19を形成すると共に、側梁
部材4の下面に、下位のラック体2の凹凸部19と嵌合
する嵌合部20を形成することによって、下位のラック
体2に対する上位のラック体2の滑り変位を確実に阻止
することができ、もって積重されたラック1の荷崩れを
防止することが出来る。上下のラック体2同士は、その
懸垂プレート8と係合空間10とが係合することによっ
てその積重組付きが維持されるが、両者の組付きにはい
わゆる遊びがあり、特に底梁部材3の幅方向の遊びは大
きい。従って、海上輸送時の船舶の揺れによってラック
1間に同一方向のずれが発生すると、最下位のラック1
に対して最上位のラック1の変位が大きくなり、ラック
1の積重姿勢が不安定となると言う不都合が生じる場合
がある。凹凸部19と嵌合部20とは、この不都合を確
実に防止するためのものである(図14参照)。
【0019】側梁部材4の上面に形成する凹凸部19を
突片21とすると共に、側梁部材4の下面に形成する嵌
合部20を下位のラック体2の突片21の上端が嵌合す
る凹部22とし、突片21をスプリング23の弾力によ
って側梁部材4の上面に突出自在とすることによって、
製品25の高さに関係なく、突片21と凹部22とを嵌
合させることが出来る。これによって、いかなる大きさ
の製品25を搭載した場合でも、上下のラック体2同士
の積重組付きを確実にし、船舶の揺れによる上下のラッ
ク1間のずれ発生を防止することが出来る。
【0020】尚、図1および図2に示す実施例において
は、懸垂プレート8を山形形状とすると共に、切欠き9
も同じく山形形状とし、下位のラック体2の懸垂プレー
ト8の上位のラック体2の係合空間7内への侵入係合
に、上位のラック体2の懸垂プレート8が邪魔となるこ
とがないようにしている。
【0021】以下に、本発明のラック1を使用して製品
25を海上輸送した場合と、従来手段によって海上輸送
した場合を比較した結果を示す。まず、1時間当たりの
船積み量は、従来手段では50トンであったものが本発
明のラック1を使用した場合では150トンと3倍向上
した。同じく1時間当たりの水揚げ量は、従来が90ト
ンであったのに対し本発明のラック1を使用した場合で
は180トンと2倍となった。次に船積み時における船
の停泊時間においては、従来が1隻当たり32.9時間
必要としていたものを本発明のラック1を使用して行っ
た場合においては14.7時間と1/2以上短縮され
た。同じく、水揚げ時においては従来が35.8時間で
あったのが本発明のラック1を使用して行った場合では
14.9時間と約40%に短縮された。こうした結果か
ら、本発明のラック1を使用して海上輸送した場合にお
いては作業効率が、従来より著しく向上したことが分か
る。
【0022】又、荷役時(船積み、水揚げ時)に必要と
する作業員は、従来手段では1台のクレーンに対して4
人(岸壁2人、船内2人)必要であったものが、本発明
のラック1を使用した場合では1人で良い。これは、従
来手段では、2〜3本の製品25をいわゆるばら積みす
るものであったため、船積み、水揚げ時における岸壁や
船内での玉掛け、はずし、クレーン合図、保定、現品確
認等の作業を必要としていたのに対し、本発明のラック
1に製品25を搭載して船積み等することによって、こ
うした作業を省略出来るからである。これによって、本
発明のラック1を使用した場合は、作業の安全性が従来
より向上したことが分かる。
【0023】なお、本発明の輸送用ラック1は、海上輸
送だけにその使用が限定されるものではなく、一般の陸
上輸送にも使用が可能である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、上下の
ラック体間に相対的に傾斜が発生していても、下位のラ
ック体に対する上位のラック体の安全で確実な積重係合
組付けを円滑に達成することができ、これにより製品の
船積み、水揚げ等の取扱いを簡単にかつ安全にそして円
滑に達成でき、作業効率の大幅な向上を達成して、製品
出荷能力や海上輸送能力の向上に大きく貢献し、製品の
高さ寸法に応じてラック同士の安定した積重状態を得る
ことができるので、製品を搭載したラックの安全な積重
を達成維持することができる。
【0025】製品のラックに対する搭載作業、ラックの
吊り上げ作業、ラックの船積みおよび水揚げ作業、ラッ
クの積重作業等の諸作業における人手による作業の殆ど
を無くすことができるので、H形鋼、棒鋼、コイル状鋼
板等の大重量製品の搬送取扱いの安全性を飛躍的に高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるラック体の一実施例を示す正面
縦断面図。
【図2】図1に示す一実施例の側面図。
【図3】本発明のラック体の、スペーサブロックを図示
省略した一実施例を積重した状態を示す側面図。
【図4】図3図示実施例の正面縦断面図。
【図5】本発明のラックの、スペーサブロックを図示省
略した一実施例を示す全体斜視図。
【図6】本発明のラックの、スペーサブロックを図示省
略した他の実施例を示す全体斜視図。
【図7】本発明に施されるストッパ片の一実施例を示す
要部拡大側面図。
【図8】図7に示すストッパ片の要部拡大正面図。
【図9】本発明に施されるストッパ片の他の実施例を示
す要部正面縦断面図。
【図10】本発明に施されるストッパ片のさらに他の実
施例を示す要部正面縦断面図。
【図11】本発明に施されるガイド面の他の実施例を示
す正面図。
【図12】本発明のスペーサブロックの一実施例を示す
要部拡大側面図。
【図13】図12に示したスペーサブロックの正面図。
【図14】本発明に施される凹凸部と嵌合部の一実施例
を示す要部側面図。
【図15】本発明に施される凹凸部と嵌合部の他の実施
例を示す正面縦断面図。
【図16】図15に示す実施例の側面図。
【符号の説明】
1; ラック 2; ラック体 3; 底梁部材 4; 側梁部材 5; 梁柱部 6; 側面壁部 7; 係合空間 8; 懸垂プレート 9; 切欠き 10; 係合孔 11; ガイド板 12; ストッパ片 13; ガイド面 14; ガイド面部材 15; スペーサブロック 16; ブロック片 17; アーム 18; 転がり止め部材 19; 凹凸部 20; 嵌合部 21; 突片 22; 凹部 23; スプリング 24; 弾材 25; 製品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B66C 1/62 9528−3F B66C 1/62 C (72)発明者 藤村 鉄雄 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所 内 (72)発明者 市村 孝 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川鉄運輸株式会社 水島製鉄所 内 (56)参考文献 実開 昭63−157087(JP,U) 実開 昭63−84028(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】底梁部材(3)の両側端に側梁部材(4)
    を立設し、該両側梁部材(4)に、上端部に係合孔(1
    0)を有すると共に下端縁から上端部付近までの中央部
    に切欠き(9)を形成した懸垂プレート(8)を立設
    し、前記両側梁部材(4)を、前後に間隔を開けて平行
    に立設された一対の梁柱部(5)で構成することによ
    り、前記各側梁部材(4)に、積み重ね時に下位のラッ
    ク体(2)の懸垂プレート(8)が下方から侵入係合す
    る、下方および外方に開放した係合空間(7)を形成
    し、該係合空間(7)の下端開口部の側方方向の開口幅
    を増大させる方向に傾斜したガイド板(11)を設け
    前記各梁柱部(5)に、前記側梁部材(4)上に搭載し
    て該側梁部材(4)の高さ幅を一定量増大させるスペー
    サブロック(15)を回動昇降変位自在に取付けた少な
    くとも二つのラック体(2)を、前後に所望間隔を開け
    て平行に配置して成る輸送用ラック。
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