JP2665596B2 - 竹輪の製造方法 - Google Patents

竹輪の製造方法

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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、魚肉塩ずり身を串の外周に付着して成形
し、この成形物を焼炉に通してあぶり焼きし、焼き上が
った成形物から串を抜くようにした竹輪の製造方法に関
する。
「従来の技術」 従来より魚肉練製品の一つとして竹輪が知られてい
る。竹輪は、魚肉塩ずり身を串の外周に付着させ、表面
に焦げ目が付く程度まで焼き上げ、串を抜くことにより
製造されたもので、竹に似た筒状の形態をなしている。
竹輪は、おでんなどの煮込み材料としたり、そのままわ
さびやしょうゆをつけて酒のつまみなどとして賞味され
ている。
竹輪にとって外周の焦げ目(焼色)は、外観をよくす
ること、風味をよくすることなどの重要な意義を有して
いる。このため、焼き上げは、最初弱火で行ない、すり
身が十分にゲル化したら、強火にして焦げ目を付けるよ
うにしている。なお、焦げ目が良好に付くように、焼き
初めに表面に味りんを塗ったりすることも行なわれてい
る。
しかしながら、強火で焼いて表面に焦げ目を付ける際
に、表面の薄皮がふくれ上がる、いわゆる火ぶくれが起
こり、これが竹輪製造上の問題点となっていた。火ぶく
れを起こすと、表面の薄皮が浮き上がって外観が低下す
ると共に、煮込み材料としたときにはこの薄皮が剥離し
て見苦しいものとなってしまう。
そこで、火ぶくれを防止するため、弱火で焼いた後、
表面に針を打ち、その後強火で焼き上げるという方法が
採用されている。表面に針を打って空気が抜けやすくす
ることにより、火ぶくれを防止する方法である。
しかしながら、上記の方法では、すり身がまだゲル化
していない状態で針を打っても孔がすぐに閉じてしまう
ので、針打ちは焼き上げ工程の途中で行なわなければな
らない。このため、工程が複雑化すること、針打ちによ
って途中で冷却されるので加熱効率が悪くなること、針
打ちの孔が製品に残って外観や食感が悪くなること、な
どの問題点があった。
また、竹輪の製造においては、焼き上げた後に串を抜
いて製品とするが、この串を抜くときに串にカスが付着
し、串を繰り返し使用するためにカス取りを行なわなけ
ればならなかった。カスが付いた串を繰り返し用いる
と、衛生的によくないばかりでなく、次第に串を抜くこ
とが困難になってしまうからである。
このため、抜いた串は、ブラシ等でカスを落してから
再び使用するようにしているが、強く付着したカスはな
かなか取れにくく、串の回りにカスが次第にこびり付い
てしまうことがあった。
「発明が解決しようとする課題」 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、針打ちを行なわなくても火ぶく
れを防止できるようにし、さらに好ましくは串抜きも容
易になされるようにした竹輪の製造方法を提供すること
にある。
「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するため、本発明は、魚肉塩ずり身を
串の外周に付着して成形し、この成形物を焼炉に通して
あぶり焼きし、焼き上がった成形物から串を抜くように
した竹輪の製造方法において、前記魚肉塩ずり身として
比重0.98〜0.50になるように気泡を含有させたものを用
いることを特徴とする。
また、本発明の好ましい態様においては、前記魚肉塩
ずり身として、比重0.98〜0.50になるように気泡を含有
させ、かつ、油脂を2〜20重量%含有させたものを用い
る。
「作用」 本発明者は、竹輪の製造における火ぶくれの原因につ
いて鋭意研究した結果、表面に焦げ目をつけるため強火
であぶると、表面部分が急速に乾燥して硬く緻密な薄皮
が形成され、内部の水蒸気の放出がこの薄皮に妨げら
れ、薄皮が剥離して膨張することがわかった。したがっ
て、火ぶくれを防止するためには、薄皮に水蒸気を逃が
す孔を形成すればよいことになる。
魚肉塩ずり身に気泡を含有させて焼くと、加熱によっ
て内部の気泡が膨張し、気泡の一部は外部に放出され
る。このとき、放出される気泡がすり身の内部から表面
に至る多数の微細な通気孔を形成する。そして、表面に
焦げ目を作るため強火で焼くとき、この通気孔が内部の
水蒸気の放出を促進させ、火ぶくれを防止する。
また、魚肉塩ずり身に気泡を含有させて焼くと、気泡
が膨張して魚肉塩ずり身の成形物自体も膨張する。その
結果、串の外周に付着した成形物が膨張して、成形物が
串から離れるように作用するので、串と成形物との密着
度が低下し、焼き上げ終了後の串抜きも容易になる。
なお、比重が0.98より大きい程度の気泡含有量では上
記の効果が乏しくなり、比重が0.5より小さくなるよう
な気泡含有量では食感がソフトになりすぎて竹輪として
適さない製品となってしまう。気泡含有量は、比重が0.
9〜0.7となるような量とすることがより好ましい。
また、魚肉塩ずり身に油脂を2〜20重量%含有させた
ものを用いると、魚肉塩ずり身に気泡を含有させやすく
なり、食感がソフトでしなやかになり、魚肉のえぐみな
どのくせを低減させる効果が得られる。なお、油脂が2
重量%未満では上記の効果が乏しくなり、20重量%を超
える場合には製品が油ぽくなって食味が低下する。油脂
含有量は、5〜15重量%にすることがより好ましい。
「実施例」 第1図には、本発明を実施するための竹輪製造装置の
一例が示されている。
この竹輪製造装置11では、まず、成形装置12が設けら
れており、ここで魚肉塩ずり身を串に巻き付けるように
なっている。この成形装置12は、第2図に示すように、
ホッパー13と成形ドラム14と巻き付けドラム15とを有
し、ホッパー13より成形ドラム14の凹部16に魚肉塩ずり
身が充填されるようになっている。そして、成形ドラム
14および巻き付けドラム15が図中矢印の如く回転して、
成形ドラム14の凹部16が巻き付けドラム15に近接する
と、成形ドラム14のピストン17が作動して凹部16内の魚
肉塩ずり身18を巻き付けドラム15に転写するようになっ
ている。さらに、搬送ルート19に沿って移動してくる串
20が巻き付けドラム15に接触し、その外周に魚肉塩ずり
身18が巻き付けられるようになっている。こうして魚肉
塩ずり身18を巻き付けられた串20は、搬送ルート19によ
って次の工程に運ばれる。なお、搬送ルート19の搬送手
段としては、例えばチェーンコンベアなどの通常のもの
が使用される。
搬送ルート19は、坐り装置26内に導入されており、串
20を坐り装置26内でジグザグ状に搬送するようになって
いる。坐り装置26は、蒸気、ガス等の手段によって魚肉
すり身の坐りを促進するようになっている。
搬送ルート19に連続して、串20を回転させつつ移動さ
せる回転搬送手段21が設けられている。この回転搬送装
置21としては、例えば第3図に示すようなものが使用さ
れる。すなわち、一対の回転コイル22(図においては一
方のみを示している)が所定間隔をおいて平行に配置さ
れ、魚肉塩ずり身18を巻き付けられた串20の両端部が、
この回転コイル22に支持されている。そして、回転コイ
ル22の回転に伴って串20が回転しつつ移動するようにな
っている。また、回転搬送装置21としては、第4図に示
すようなものを用いることもできる。すなわち、串20の
両端部にギヤ23が固着され(図においては一方のみを示
している)、このギヤ23が搬送ルートに沿って配設され
たラック24上に設置される。さらに、ラック24と平行に
ベルト25が配設されている。そして、ベルト25を例えば
図中矢印で示す如く移動させることにより、ギヤ23が回
転しつつラック24上を同じく矢印方向に移動し、それに
伴って串20も回転しつつ移動するようになっている。
回転搬送装置21は、ガス、電気等の加熱手段を有する
焼炉28内に導かれている。焼炉28は、串20の移動経路の
前半部分に配置された弱火で加熱する第1の焼炉28a
と、串20の移動経路の後半部分に配置された強火で加熱
する第2の焼炉28bとからなっている。串20に巻き付け
られた魚肉塩ずり身18は、回転搬送装置21により回転し
つつこれらの焼炉を順次通過し、第1の焼炉28aにおい
てはすり身のゲル化がなされ、第2の焼炉28bにおいて
は表面に焦げ目が形成される。
焼炉28から取出された串20は、移動経路29に沿って移
動する。移動経路29はジグザグ状をなし、串20がこの経
路に沿って移動する間に、焼き上がった竹輪18′が放冷
されるようになっている。
移動経路29は、串抜き装置30に導かれている。串抜き
装置30は、竹輪18′から串20を抜き取るものであり、そ
の構造は、例えば第5図に示すようになっている。すな
わち、両側に保持板34、34を有するベルトコンベア35が
図中矢印方向に向かって移動するようになっており、串
20はその両端部を保持板34、34に挿通支持されている。
一方、ベルトコンベア35の一側方には、ベルトコンベア
35の進行方向に向かって斜め方向に延びるチェーンコン
ベア36が配置されている。そして、串20の一端には係合
部20aが形成されており、ベルトコンベア35による搬送
経路の途中で係合部20aがチェーンコンベア36に引き掛
かるようになっている。チェーンコンベア36は、図中矢
印方向に移動するので、串20は次第に側方に抜き出され
る。串20を抜き取られた竹輪18′は、搬送ベルト31によ
って所定箇所に搬送されるようになっている。
また、竹輪18′を取外された串20は、移動経路32に沿
って搬送され、途中で串カス除去装置33によりカスを除
去された後、成形装置12に返送されるようになってい
る。なお、串カス除去装置33は、例えばブラシ等によっ
て串20の外周に付着した食品素材のカスを取り除くよう
になっており、除去されたカスは下方に配置されたホッ
パー34に集められる。
本発明において、魚肉塩ずり身の調整は、例えばスケ
ソウダラ、グチ、サメ、ヒラメ、ホッケ等の原料魚また
はそれらより製造したすり身に、食塩を2〜4%添加
し、さらに必要に応じて澱粉、油脂、グルタミン酸ナト
リウム、みりん、砂糖、卵白、水等の副材料を添加し、
撹拌機によって練成して調整することができる。なお、
上記魚肉塩ずり身中には、大豆蛋白、蓄肉ペースト、イ
カ、タコ、貝、のり、えびなどを混合してもよい。
本発明においては、この魚肉塩ずり身の調整時に所定
の割合で気泡を含有させるようにする。このため、上記
魚肉塩ずり身中に卵白、山芋、カラギーナン、グアーガ
ムなどの気泡保持剤を添加して気泡を抱き込ませるよう
に混合したり、あるいは発泡機、撹拌機などを用いて上
記魚肉塩ずり身中に強制的に空気などの気体を混合した
りする。気泡の混合量は、気泡保持剤を用いる場合に
は、気泡保持剤の量、撹拌時間、回転数などで調整する
ことができ、強制的に気体を混合する場合には、気体の
圧力、撹拌時間、回転数などで調整することができる。
このような方法で気泡を含有させ、本発明では前述した
ように比重0.98〜0.50となるように調整する。なお、気
泡含有量をx容量%としたとき、比重は約(100−x)/
100となる。
本発明の好ましい態様においては、前述したように上
記魚肉塩ずり身中に油脂を2〜20重量%含有させる。こ
の油脂としては、例えば大豆油、ナタネ油、ゴマ油、ト
ウモロコシ油、綿実油、バターなどの各種食用油が用い
られる。
実施例1 スケソウダラの無塩すり身1500g、食塩50g、グルタミ
ン酸ナトリウム10g、みりん20g、澱粉100g、水1350gを
配合し、これらをエアミキサーを用いて混合すると共
に、強制的に空気を混入した。このとき、エアミキサー
による空気混入量を調整して、第1表に示すような各種
の比重を有する魚肉塩ずり身を調整した。また、比較の
ため、上記原料を通常のミキサーで空気を混入すること
なく混合して比重1.0の魚肉塩ずり身を調整した。
こうして得られた各種の魚肉塩ずり身を用いて前述し
た製造装置により竹輪を製造した。なお、焼炉28a、28b
としてはバーナーを用いたものを使用した。得られた竹
輪についてその表面における火ぶくれの状態を観察し
た。この結果を第1表に示す。
第1表に示すように、気泡を混入しない魚肉塩ずり身
を用いた試料No.1は、火ぶくれが激しく、表面の皮が殆
ど剥離していた。これに対して、気泡を混合させた試料
No.2〜7においては、火ぶくれが防止されていることが
わかる。しかし、比重0.45の魚肉塩ずり身を用いた試料
No.7においては、食感がソフトになりすぎて竹輪として
の歯ごたえに乏しかった。
なお、串抜きをしたとき、試料No.1は串にカスがかな
り多く付着し、試料No.2はやや付着していたが、試料N
o.3〜7においてはカスは殆ど付着していなかった。
実施例2 スケソウダラの無塩すり身1500g、食塩50g、グルタミ
ン酸ナトリウム10g、みりん20g、澱粉100g、水1350gの
他に、油脂(トウモロコシ油)300gを配合し、これらを
エアミキサーを用いて混合すると共に強制的に空気を混
入した。空気の混入量は、得られた魚肉塩ずり身の比重
が0.9となるように調整した。なお、比較のため油脂を
含有しない魚肉塩ずり身を上記と同様にして調整した。
これらの魚肉塩ずり身を用いて前述した製造装置によ
り竹輪を製造した。こうして得られた竹輪は、表面の皮
が部分的に剥離したものの、火ぶくれ状態は許容できる
程度であり、串抜きにおけるカスの付着も殆どなかっ
た。しかし、食感においては、油脂を含有させたものの
方がよりソフトでしなやかになっており、かつ、風味も
魚肉に起因するえぐみが除去されていて良好であった。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明によれば、気泡を含有す
る魚肉塩ずり身を用いることにより、竹輪の製造におけ
る火ぶくれや、串抜きにおけるカスの付着を効果的に防
止することができる。また、油脂を含有させることによ
り、食感をよりソフトでしなやかにし、魚肉のえぐみな
どを軽減して風味を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するための竹輪の製造装置の一例
を示す概略正面図、第2図は同製造装置で使用される成
形装置を示す断面図、第3図は同製造装置で使用される
回転搬送装置の一例を示す要部斜視図、第4図は同製造
装置で使用される回転搬送装置の他の例を示す要部斜視
図、第5図は同製造装置で使用される串抜き装置を示す
平面図である。 図中、11は竹輪の製造装置、12は成形装置、28aは第1
の焼炉、28bは第2の焼炉、30は串抜き装置である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】魚肉塩ずり身を串の外周に付着して成形
    し、この成形物を焼炉に通してあぶり焼きし、焼き上が
    った成形物から串を抜くようにした竹輪の製造方法にお
    いて、前記魚肉塩ずり身として比重0.98〜0.50になるよ
    うに気泡を含有させたものを用いることを特徴とする竹
    輪の製造方法。
  2. 【請求項2】前記魚肉塩ずり身として、比重0.98〜0.50
    になるように気泡を含有させ、かつ、油脂を2〜20重量
    %含有させたものを用いる請求項1記載の竹輪の製造方
    法。
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