JP2665213B2 - 紙シート用カレンダ - Google Patents

紙シート用カレンダ

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、相互間にロール間
隙を形成する少なくとも２つのロール、すなわち平滑表
面を有する金属からなる「硬質」ロールと、弾性合成樹
脂からなる外被を担持する「軟質」ロールとを備えた紙
シート用カレンダに関する。
【０００２】
【従来の技術】かかるカレンダは「ソフトカレンダ」の
名称で販売されている。硬質ロールは表面が平滑である
ため紙シートの平滑性と光沢性とをもたらす。軟質ロー
ルは弾力性外被により紙に均一な圧搾をもたらす。紙シ
ートの両面に光沢性と平滑性を付与するには、紙シート
を少なくとも２つのロール間隙に通さねばならず、その
とき２つの間隙の硬質ロールは紙シートに対して相反す
る側に配置される。軟質ロールの合成樹脂外被は紙製の
外被に比べて傷みにくく、運転中止して旋削再生するこ
とが稀であるため、かかるカレンダは抄紙機におけるイ
ンラインカレンダとしても利用することができる。
【０００３】更に、合成樹脂外被を備えたロールが、そ
の外側に良熱伝導性材料からなる薄膜を備えて、ロール
間隙に熱を供給したり、ロール間隙から熱を除去するこ
とができるカレンダロールが公知である（ドイツ公開特
許公報第 41 26 232号）。特にこの外被は高平滑高光沢
表面を有する金属で構成されている。
【０００４】更に、その中空円筒形ロール体が炭素繊維
強化合成樹脂からなり、またその外被が遠心力に対して
抵抗力のある厚さ10〜1000μｍの金属で被覆されたロー
ルも公知である（ドイツ実用新案公報第 84 06 019
号）。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、硬質
ロールと軟質ロールの間で形成される単一のロール間隙
内において、紙シートの両面を同時に圧搾して平滑化す
ることができる紙シート用カレンダを提供することであ
る。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、本発明に
よれば、請求項１に記載のとおり、軟質ロールの外被
が、第１の合成樹脂からなる内層と第２合成樹脂からな
る外層とから構成され、外層が第１の合成樹脂よりも低
い弾力性と高い硬度とを有し、外層の表面が硬質ロール
の表面と同等の平滑性を有し、通常の操業条件のもと
で、外層の表面の平均粗度Ｒａが0.5μｍの値を超えな
いような摩耗特性を備えていることによって解決され
る。
【０００７】この外被構成では、従来かかる弾力性外被
として一般に用いられる合成樹脂を内層用に使用するこ
とができる。他方、外層用には加工によって硬質ロール
と同様の平滑表面を付与することができ、且つ通常の操
業時における摩耗条件のもとでも同じ平滑表面を維持す
る合成樹脂が使用される。それ故、このカレンダはイン
ラインカレンダとして使用することができる。但しこれ
らの特性は、第２の合成樹脂が内層の第１の合成樹脂よ
りも高い硬度及び低い弾力性を有することが前提とな
る。しかしこれは問題とならない。なぜならば、外層
が、内層で支えられロール作業時に変形はするが裂ける
ことはないからである。両ロールの表面が平滑であり、
その一方の表面が可撓性であるため、単一のロール間隙
において紙シートの両面で光沢性及び平滑性の向上が同
時に達成される。
【０００８】請求項２に記載のとおり、第２の合成樹脂
としては、特にシリコーンゴムが望ましい。この材料
は、意外なことに、平滑表面を絶えず保証する摩耗特性
を有する。更に、この合成樹脂は知られているようにさ
まざまな硬度で製造することができる。それ故、通常の
操業条件のもとでも高平滑化の要請を満たすことができ
る。
【０００９】請求項３に記載のとおり、第１の合成樹脂
は、望ましくは、ソフトカレンダの軟質ロールにおける
弾力性外被として知られているエポキシ樹脂である。し
かしポリエステル樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹
脂等も考えられる。
【００１０】請求項４に記載のとおり、外層表面の平均
粗度が最大約0.1 μｍであることが有利である。それ
故、外層の合成樹脂は、硬質ロールの表面のように平滑
で、且つそれを維持する表面を実際に備えることができ
る。
【００１１】請求項５に記載のとおり、外層は好ましく
は厚さが１〜10mm、好ましくは３mmである。この層厚は
公知の金属層よりも厚く、このことは一方で、例えば流
し込み成形、吹付け成形又は圧延による被着を、特に熱
の供給なしでも、容易とし、他方で裂けに対する外層の
安定性を高める。
【００１２】請求項６に記載のとおり、内層は弾性係数
が3000〜30000 、好ましくは6000〜7000であるのが有利
である。こうした範囲内で最良の圧搾効果が得られる。
【００１３】更に、請求項７に記載のとおり、外層はシ
ョアＤ硬度が65〜95、好ましくは85〜92であるのが望ま
しい。この硬度範囲は圧搾及び平滑化に関して最良の結
果をもたらす。
【００１４】請求項８に記載のとおり、軟質ロールがた
わみ調整ロールであり、硬質ロールが加熱可能であるこ
とも望ましい。このことから最新ソフトカレンダの最も
安価な解決策が得られる。なぜならば、加熱機能とたわ
み調整機能とは相互に別のものであるが、後者の機能が
軟質ロールの操業と充分に両立するからである。
【００１５】
【発明の実施の形態】以下、図１に示された１実施形態
に基づいて本発明を詳しく説明する。紙シート１は、硬
質ロール３と軟質ロール４との間に形成されるロール間
隙２を通過する。硬質ロール３は金属、特に鋼からな
り、粗度Ｒaが約0.1 μｍの平滑表面５を有する。硬質
ロールは加熱用の縦穴６を備えている。
【００１６】軟質ロール４は安定した金属製内被７から
なり、この内被は周知の仕方で支持要素８により回転不
能の支持体９で支えられており、これらの支持要素は軸
方向に多数並置されて個々に制御可能である。内被７上
に弾力性外被10が設けられている。この外被は、ガラス
繊維又は炭素繊維強化エポキシ樹脂からなる内層11と少
なくとも表面に繊維のないシリコーンゴムからなるかな
り薄い外層12とで構成されている。外層12の表面13の平
滑度はやはりＲa 約0.1 μｍである。シリコーンゴムの
摩耗特性は、前記平滑度が通常の操業条件のもとでも失
われないように選定されている。用語「操業条件」は、
通常約３ヶ月の間隔で行われる２つのロール交換の間の
期間内に加わる操業上の負荷を意味する。
【００１７】１実施形態のデータを以下に示す。 硬質ロール３の直径 600 mm 軟質ロール４の直径 800 mm ロールの周速度 1400 m/min 硬質ロール３の温度 110 ℃ 内層９ 材料：繊維強化エポキシ樹脂 厚さ 10 mm 弾性係数 6500 外層10 材料：シリコーンゴム 厚さ ３mm 硬度（ショアＤ） 90 表面の平均粗度 0.1 μｍ 線荷重 250 N/mm これらのデータは被加工紙又はその希望する特性に応じ
て選定することができる。符号14で示すように硬質ロー
ル３が駆動される。軟質ロール４も独自の駆動装置を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による紙シート用カレンダの側断面図
である。
【符号の説明】
１・・・紙シート ２・・・ロール間隙 ３・・・硬質ロール ４・・・軟質ロール ７・・・内被 ８・・・支持要素 １０・・・外被 １１・・・内層 １２・・・外層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−260198（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−331793（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−76890（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−57988（ＪＰ，Ａ)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】相互間に一つのロール間隙を形成する２つ
    のロール、即ち平滑表面を有する金属からなる硬質ロー
    ル(3)と、弾力性合成樹脂からなる外被を担持する軟質
    ロール(4)とを備えた紙シート用カレンダにおいて、軟
    質ロール(4)の外被(10)が、第１の合成樹脂からなる内
    層(11)と第２の合成樹脂からなる外層(12)とから構成さ
    れ、外層が第１の合成樹脂よりも低い弾力性と高い硬度
    とを有し、外層(12)の表面(13)が硬質ロール(4)の表面
    (5)と同等の平滑性を有し、通常の操業条件のもとで、
    外層の表面(13)の平均粗度Ｒａが0.5μｍの値を超えな
    いような摩耗特性を備えていることを特徴とする紙シー
    ト用カレンダ。
  2. 【請求項２】 前記の第２の合成樹脂がシリコーンゴム
    であることを特徴とする請求項１に記載のカレンダ。
  3. 【請求項３】 前記の第１の合成樹脂がエポキシ樹脂で
    あることを特徴とする請求項１又は２に記載のカレン
    ダ。
  4. 【請求項４】 前記の平均粗度Ｒaが最大約0.1μｍであ
    ることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載
    のカレンダ。
  5. 【請求項５】 前記の外層(12)が厚さ１〜10mm、好まし
    くは３mmであることを特徴とする請求項１〜４のいずれ
    か１項に記載のカレンダ。
  6. 【請求項６】 前記の内層(11)の弾性係数が3000〜3000
    0 、好ましくは6000〜7000であることを特徴とする請求
    項１〜５のいずれか１項に記載のカレンダ。
  7. 【請求項７】 外層(12)のショアＤ硬度が65〜95、好ま
    しくは85〜92であることを特徴とする請求項１〜６のい
    ずれか１項に記載のカレンダ。
  8. 【請求項８】 前記の軟質ロール(4)がたわみ調整ロー
    ルであり、硬質ロール(3)が加熱可能であることを特徴
    とする請求項１〜７のいずれか１項に記載のカレンダ。
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