JP2665112B2 - 射出成形方法及び射出成形装置 - Google Patents

射出成形方法及び射出成形装置

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JP2665112B2 JP22583892A JP22583892A JP2665112B2 JP 2665112 B2 JP2665112 B2 JP 2665112B2 JP 22583892 A JP22583892 A JP 22583892A JP 22583892 A JP22583892 A JP 22583892A JP 2665112 B2 JP2665112 B2 JP 2665112B2
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泰樹 大兼政
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂製品の射出成形方
法及び射出成形装置に関し、特に自動車のバンパー等、
比較的薄肉で大型な樹脂製品の射出成形に適した射出成
形方法及び射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車のバンパー等、比較的薄
肉で大型な樹脂製品を射出成形により成形する場合に
は、その製品形状に対応して金型に設けたキャビティに
複数の樹脂注入部(ゲート)から溶融樹脂を射出注入す
るようにしている。
【0003】この場合、複数のゲートから一度に溶融樹
脂を射出注入するようにすると、例えば図4(a)に示
すように、各ゲートaから注入された溶融樹脂bの流頭
同志がキャビティc内でその圧力及び温度が多少低下し
た状態で接触することにより、これらの融合が不完全な
ものとなって、その接触箇所にウェルドマークdが発生
し易いという不都合がある。
【0004】このため、このようなウェルドマークの発
生を防止し得る射出成形技術として、例えば特開昭57
−45039号公報や特開昭63−237920号公報
に開示されているものが提案されている。
【0005】これらの公報に開示されている射出成形技
術においては、まず、複数のゲートのうち、一つのゲー
ト(第1順位のゲート)を除くゲートをバルブにより閉
じた状態で、該第1順位のキャビティ内に溶融樹脂の射
出注入を開始し、その溶融樹脂の流頭が第1順位のゲー
トの隣に位置する第2順位のゲートの箇所に達した後
に、該第2順位のゲートを開放して該第2順位のゲート
からの溶融樹脂の射出注入を開始する、というようにし
て、各ゲートからの溶融樹脂の射出注入をあらかじめ定
めた所定の順位に従って適当な時間間隔をおいて行うよ
うにしている。そして、このようにすることにより、各
ゲートからの溶融樹脂が円滑に融合するようにし、ウェ
ルドマークの発生を防止するようにしている。
【0006】しかしながら、かかる射出成形技術におい
ては、特に第2順位以降の順位のゲートの近傍箇所に所
謂、フローマークを生じやすいという不都合があった。
【0007】この原因は次のように考えられる。すなわ
ち、上記の射出成形技術においては、各ゲートに連通す
る同一の樹脂供給路から複数のゲートに溶融樹脂を分配
・供給するようにしているため、例えば、第1順位のゲ
ートに樹脂供給路から溶融樹脂を供給しつつ、該ゲート
からキャビティに溶融樹脂を射出注入している状態にお
いて、第2順位のゲートを開放すると、その瞬間に今ま
で第1順位のゲートのみ介してキャビティに射出注入さ
れていた溶融樹脂が急激に第2順位のゲートをも介して
キャビティに射出注入されるようになり、このため、第
1順位のゲートからキャビティに射出注入される溶融樹
脂量は急激に減少する。このため、第1順位のゲートか
らキャビティに射出注入されていた溶融樹脂の流頭は、
その流速が一時的に急減し、次いで、第2順位のゲート
からの射出注入により、再びその流速を上昇させてキャ
ビティ内を流動していく。そして、上記のようにキャビ
ティ内を流動している溶融樹脂の流頭の流速が急激に遅
くなると、その後に再び流速が上昇しても、その流速が
遅くなった瞬間に溶融樹脂の流頭が金型との接触により
瞬間的に冷却されてキャビティの内壁に付着し、これが
最終的に得られる樹脂製品にフローマークとなって現れ
ると考えられる。
【0008】具体的には、図4(b)において、キャビ
ティeに溶融樹脂fを射出注入すべく設けた3個のゲー
トg1 〜g3 に同一の樹脂供給路hから溶融樹脂fを分
配・供給するように構成すると共に、まず、中央のゲー
トg1 のみから溶融樹脂fの射出注入を開始し、次い
で、該溶融樹脂fが同図仮想線iで示すように両側のゲ
ートg2 ,g3 の位置に達した時にこれらのゲート
2 ,g3 から溶融樹脂fの射出注入を開始するように
すると、前記仮想線iに沿ってフローマークjが生じ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる不都合
を解消し、比較的大型で薄肉の樹脂製品を、ウェルドマ
ークやフローマークを生じることなく、高品質なものと
して成形することができる射出成形方法及び射出成形装
置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の射出成形方法
は、かかる目的を達成するために、あらかじめ注入順位
を定めた複数の樹脂注入部から溶融樹脂を射出注入可能
に金型に設けられたキャビティと前記複数の樹脂注入部
を連通して設けられた樹脂供給路とを備えた射出成形装
置を用い、前記樹脂供給路から前記複数の樹脂注入部に
溶融樹脂を分配・供給すると共に、該溶融樹脂を前記複
数の樹脂注入部からその注入順位に従って前記キャビテ
ィに射出注入することにより樹脂製品を射出成形する方
法において、前記複数の樹脂注入部のうち、第2順位以
降の後順位の樹脂注入部から前記キャビティに溶融樹脂
を射出注入する際に、当該後順位に先行する先行順位の
樹脂注入部から前記キャビティに射出注入された溶融樹
脂の流頭が当該後順位の樹脂注入部の位置に達した後
に、当該後順位の樹脂注入部を開閉自在に設けた開閉弁
を開放して当該後順位の樹脂注入部から前記キャビティ
への溶融樹脂の射出注入を開始せしめ、この時、前記樹
脂供給路から前記先行順位の樹脂注入部を介して前記キ
ャビティに射出注入されている溶融樹脂量の急激な低下
を抑制すべく前記開閉弁を徐々に開放して、前記第2の
樹脂注入部から前記キャビティに射出注入される溶融樹
脂量を徐々に増加させることを特徴とする。
【0011】また、本発明の射出成形装置は、前記の目
的を達成するために、あらかじめ注入順位を定めた複数
の樹脂注入部から溶融樹脂を射出注入可能に金型に設け
られたキャビティと、前記複数の樹脂注入部を連通して
設けられた樹脂供給路を介して前記複数の樹脂注入部に
溶融樹脂を分配・供給する樹脂供給手段と、前記複数の
樹脂注入部のうち、少なくとも第2順位以降の注入順位
の樹脂注入部を各々開閉自在に設けられた開閉弁と、前
記各樹脂注入部に供給された溶融樹脂を前記注入順位に
従って前記各樹脂注入部から前記キャビティに射出注入
すべく前記開閉弁を所定のタイミングで開放せしめる開
閉弁駆動手段とを備え、該開閉弁駆動手段は、前記複数
の樹脂注入部のうち、先行順位の樹脂注入部から射出注
入された溶融樹脂の流頭が次順位の樹脂注入部の位置に
達した後に、該次順位の樹脂注入部に対応する前記開閉
弁を開放せしめると共に、前記樹脂供給路から前記先行
順位の樹脂注入部を介して前記キャビティに射出注入さ
れている溶融樹脂量の急激な低下を抑制すべく前記次順
位の樹脂注入部に対応する前記開閉弁を徐々に開放せし
めることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の射出成形方法によれば、前記樹脂供給
路から前記複数の樹脂注入部に溶融樹脂を分配・供給す
ると共に、該溶融樹脂を前記複数の樹脂注入部からその
注入順位に従って前記キャビティに射出注入し、この
時、前記後順位の樹脂注入部からの溶融樹脂の射出注入
を、前記先行順位の樹脂注入部から射出注入された溶融
樹脂の流頭が該後順位の樹脂注入部の位置に達した後に
行うことにより、樹脂製品にウェルドマークが生じるの
が防止される。そして、さらに、前記後順位の樹脂注入
部からの射出注入を開始すべく前記開閉弁を開放する際
に、その開放を徐々に行うことにより、前記樹脂供給路
から前記先行順位の樹脂注入部を介して前記キャビティ
に射出注入される溶融樹脂量が急激に減少するのが抑制
され、前記先行順位の樹脂注入部から射出注入された溶
融樹脂の流頭の流速が急激に低下するのが防止される。
これにより、樹脂製品にフローマークが生じるのが防止
される。
【0013】また、本発明の射出成形装置によれば、射
出成形の際に、前記樹脂供給手段により前記樹脂供給路
を介して前記複数の樹脂注入部に溶融樹脂が分配・供給
されると共に、前記開閉弁駆動手段が前記開閉弁の所定
の順番で開放せしめることにより、各樹脂注入部に分配
・供給された溶融樹脂が各樹脂注入部から所定の注入順
位に従って前記キャビティに射出注入される。この時、
該開閉弁駆動手段が、前記先行順位の樹脂注入部から射
出注入された溶融樹脂の流頭が次順位の樹脂注入部の位
置に達した後に、該次順位の樹脂注入部に対応する前記
開閉弁を開放せしめると共に、その開放を徐々に行うこ
とにより、前述の場合と同様に樹脂製品にウェルドマー
クやフローマークが生じるのが防止される。
【0014】
【実施例】本発明の一例を図1乃至図3に従って説明す
る。図1は射出成形装置のシステム構成図、図2は図1
のII−II線断面図、図3は図1の射出成形装置によ
る射出成形方法を説明するための説明図である。
【0015】図1及び図2で、1は上型1aと下型1b
とからなる金型、2は上型1aと下型1bとの間に形成
されたキャビティ、3はキャビティ2に溶融樹脂Aを射
出注入すべく上型1aに設けられた複数(本実施例では
3個)の樹脂注入部、4は上型1aに形成されたホット
ランナー(樹脂供給路)5を介して各樹脂注入部3に溶
融樹脂Aを供給する樹脂供給手段である。
【0016】この場合、本実施例の射出成形装置は、例
えば平板状の樹脂製品W(図3(c)参照)を成形する
ためのものであり、これに対応してキャビティ2も平板
状に形成されている。また、上型1aと下型1bとの間
には、図2及び図3に示すようにキャビティ2の一側縁
部に沿って延在するランナー部6が形成されており、こ
のランナー部6はキャビティ2の一側縁部にフィルムゲ
ート7を介して連通されている。そして、前記樹脂注入
部3は、ランナー部6にその長手方向に間隔を存して配
置されており、図2に示すように、ランナー部6に連通
して上型1aに形成された注入孔8からランナー部6及
びフィルムゲート7を介してキャビティ2に溶融樹脂A
を射出注入し得るように構成されている。尚、本実施例
では、樹脂注入部3のうち、ランナー部6の中央部に配
置された樹脂注入部3aは、あらかじめ第1順位の射出
注入用として定められ、ランナー部6の両端部に配置さ
れた樹脂注入部3b,3bは第2順位の射出注入用とし
て定められている。
【0017】前記樹脂供給手段4は、図1に示すように
金型1の外部に設けられた樹脂供給源9と、該樹脂供給
源9から導出されて前記ホットランナー5に接続された
供給ノズル10と、上型1a内で前記ホットランナー5
から分岐されて各樹脂注入部3の注入孔8に連通された
分岐供給路11とを備え、樹脂供給源9から供給ノズル
10、ホットランナー5及び分岐供給路11を順に介し
て各樹脂注入部3に溶融樹脂Aを分配・供給するように
している。
【0018】また、図1において、12,12は前記樹
脂注入部3のうち、第2順位の樹脂注入部3b,3bの
注入孔8を開閉する開閉弁、13は各開閉弁12の開閉
駆動を行う開閉弁駆動手段である。
【0019】各開閉弁12は、図2に示すように樹脂注
入部3aの注入孔8に連通する分岐供給路11内で該注
入孔8に向かって同心に昇降自在に設けられたピン状の
ものであり、同図実線示のように上昇されて注入孔8か
ら離反された状態で、該注入孔8を開放し、同図仮想線
示のように下降されて注入孔8に嵌挿された状態で、該
注入孔8を閉塞するようにしている。
【0020】前記開閉弁駆動手段13は、図1に示すよ
うに上型1aの上方から前記各開閉弁12を設けた分岐
供給路11内に挿通されて該開閉弁12に同心に連結さ
れたピストンロッド14aを有する油圧シリンダ14
と、各油圧シリンダ14を作動させるべく該油圧シリン
ダ14に接続された油圧回路網15とを備え、油圧シリ
ンダ14の内部には、ピストンロッド14aに同心に連
結されたピストン14bにより、一対の油室16,17
が形成されている。この場合、油圧シリンダ14は、油
室16に作動油が供給されると共に油室17から作動油
が排出された時にピストン14b及びピストンロッド1
4aを介して開閉弁12を下降させて樹脂注入部3bの
注入孔8を閉塞し、これと逆に油室17に作動油が供給
されると共に油室16から作動油が排出された時に開閉
弁11を上昇させて樹脂注入部3bの注入孔8を開放す
るようにしている。
【0021】前記油圧回路網15は、作動油タンク18
と、3ポート切換弁19と、各油圧シリンダ14の油室
16,17から導出されて切換弁19に接続された流体
経路20,21と、作動油タンク18から導出されて切
換弁19に接続された流体経路22,23とを備え、流
体経路22の途中には、ポンプ24が設けられ、流体経
路21の途中には、流量調整弁25と、これに並列に接
続された逆止弁26とが設けられている。
【0022】この場合、切換弁19は、図示しないコン
トローラの制御により、開閉弁12を開く際には、流体
経路22,23をそれぞれ流体経路20,21に接続
し、開閉弁12を閉じる際には、流体経路22,23を
それぞれ流体経路21,20に接続するようにしてい
る。
【0023】また、流量調整弁25は、油室16から作
動油を排出する際に、図示しないコントローラの制御に
より、その作動油の排出量を適宜調整するようにしてい
る。
【0024】尚、流量調整弁25と並列に流体経路21
に接続された逆止弁26は、該逆止弁26の箇所で、切
換弁19側から油室16側への作動油の流動を許容する
一方、油室16側から切換弁19側への作動油の流動を
阻止するようにしている。次に、かかる射出成形装置の
作動を説明する。
【0025】図1において、樹脂製品W(図3(c)参
照)を成形する際には、まず、前記油圧回路網15の切
換弁19により、前記流体経路22,23がそれぞれ流
体経路21,20に接続され、ポンプ24が作動され
る。この時、作動油タンク18内の作動油が流体経路2
2、切換弁19及び流体経路21を介して各油圧シリン
ダ14の油室16に供給されると共に各油圧シリンダ1
4の油室17内の作動油が流体経路20、切換弁19及
び流体経路23を介して作動油タンク18に排出され
る。これにより、前述したように各油圧シリンダ14が
作動して前記各開閉弁12を閉側に駆動し、該開閉弁1
2により第2順位の各樹脂注入部3bの注入孔8が閉塞
される。
【0026】次いで、上記のように第2順位の各樹脂注
入部3bの注入孔8が閉塞された状態で、前記樹脂供給
源9から供給ノズル10、ホットランナー5及び各分岐
供給路11を介して溶融樹脂Aが各樹脂注入部3に分配
・供給される。
【0027】この時、図3(a)に示すように、樹脂注
入部3のうち、第1順位の樹脂注入部3aに供給された
溶融樹脂Aaは、樹脂注入部3aの注入孔8から前記ラ
ンナー部6に射出注入され、該ランナー部6をほぼ充填
した後に、樹脂注入部3aの近傍箇所において、前記フ
ィルムゲート7を介してキャビティ2内に流動してい
く。
【0028】そして、樹脂注入部3aから射出注入され
た溶融樹脂Aaが、ランナー部6に充填されて第2順位
の樹脂注入部3b,3bの位置に達すると共に、ある程
度該ランナー部6からフィルムゲート7を介してキャビ
ティ2に流動すると、次に、図示しないコントローラの
制御により、切換弁19が作動されて、前記流体経路2
2,23がそれぞれ流体経路20,21に接続される。
【0029】この時、前記作動油タンク18から流体経
路22、切換弁19及び流体経路20を介して各油圧シ
リンダ14の油室17に作動油が供給されると共に、油
室16内の作動油が流体経路21の流量調整弁25、切
換弁19及び流体経路23を介して作動油タンク18に
排出される。これにより前述したように、各油圧シリン
ダ14が作動して前記各開閉弁12を開側に駆動し、第
2順位の各樹脂注入部3bの注入孔8が開放される。そ
して、この開放により、樹脂注入部3bにホットランナ
ー5から分配・供給されていた溶融樹脂Aがその液圧に
より、各樹脂注入部3bからランナー部6に射出注入さ
れるようになる。
【0030】この時、流量調整弁25は、図示しないコ
ントローラの制御により、各油圧シリンダ14の油室1
6から排出される作動油の量を徐々に増加させる。これ
により、各油圧シリンダ14のピストン14b及びピス
トンロッド14aは徐々に上昇し、従って、開閉弁12
は徐々に各樹脂注入部3bの注入孔8を開放する。
【0031】このため、第2順位の樹脂注入部3b,3
bからランナー部6に射出注入される溶融樹脂Aは、そ
の量が徐々に増加していき、これに従って、ホットラン
ナー5から第2順位の樹脂注入部3b,3bに分配・供
給される溶融樹脂量が徐々に増加していくことにより、
第1順位の樹脂注入部3aから射出注入される溶融樹脂
量、換言すれば、該ホットランナー5から第1順位の樹
脂注入部3aに分配・供給される溶融樹脂量が徐々に減
少していく。
【0032】従って、第1順位の樹脂注入部3aから射
出注入される溶融樹脂量は、第2順位の樹脂注入部3
b,3bの開放により、急激に減少するようなことはな
い。そして、このように、第1順位の樹脂注入部3aか
ら射出注入される溶融樹脂量が急激に減少することがな
いので、該樹脂注入部3aからランナー部6及びフィル
ムゲート7を介してキャビティ2に供給されていた溶融
樹脂Aaの流頭がその流速を急激に変化させるようなこ
とはなく、スムーズにキャビティ2内に拡散していく。
【0033】尚、ホットランナー5から各樹脂注入部3
に分配・供給される溶融樹脂量、すなわち、各樹脂注入
部3からランナー部6に射出注入される溶融樹脂量は、
最終的には、第2順位の樹脂注入部3b,3bが全開に
されると、各樹脂注入部3の注入孔8の開口径等によっ
て定まる量に概ね定まる。
【0034】上記のように、第2順位の樹脂注入部3
b,3bからの射出注入が開始すると、該樹脂注入部3
bからランナー部6内に射出注入された溶融樹脂Ab
は、図3(b)に示すように、ランナー部6内において
第1順位の樹脂注入部3aから射出注入された溶融樹脂
Aaと融合しつつ、各樹脂注入部3bの近傍箇所でラン
ナー部6からフィルムゲート7を介してキャビティ2内
に流動していく。そして、キャビティ2内に拡散してい
た溶融樹脂Aは、各樹脂注入部3からの溶融樹脂Aの射
出注入圧により、最終的に図3(c)に示すようにキャ
ビティ2内の全体に拡散し、該キャビティ2を充填す
る。これにより、該キャビティ2に平板状の樹脂製品W
が得られる。そして、かかる後には、上型1aと下型1
bとが開かれて、キャビティ2から樹脂製品Wが取り出
される。
【0035】以上説明したように、本実施例の射出成形
においては、第1順位の樹脂注入部3aからランナー部
6に射出注入された溶融樹脂Aaがランナー部6を充填
し、第2順位の樹脂注入部3b,3bの位置に達した後
に、該第2順位の樹脂注入部3b,3bからの溶融樹脂
Abの射出注入を開始するようにしているので、樹脂製
品Wにウェルドマークが生じるのが防止される。
【0036】そして、第2順位の樹脂注入部3b,3b
からの溶融樹脂Abの射出注入に際しては、該樹脂注入
部3bの注入孔8を徐々に開放するようにしているの
で、第1順位の樹脂注入部3aからランナー部6及びフ
ィルムゲート7を介してキャビティ2に射出注入されて
いる溶融樹脂Aaの量が急激に減少することが避けら
れ、該溶融樹脂Aaの流頭は急激な流速変化を生じるこ
となくスムーズにキャビティ2内に拡散していく。従っ
て、樹脂製品Wに所謂、フローマークが生じるのも防止
される。
【0037】また、本実施例においては、各樹脂注入部
3から直接的にキャビティ2に溶融樹脂Aを注入せず、
ランナー部6及びフィルムゲート7を介してキャビティ
2に射出注入するようにしているので、各樹脂注入部3
からランナー部6に射出注入された溶融樹脂Aが該ラン
ナー部6において確実に融合した状態でキャビティ2に
フィルムゲート7の各所を介して射出注入され、従っ
て、均質な樹脂製品Wを得ることができる。
【0038】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
の射出成形方法によれば、同一の樹脂供給路から複数の
樹脂注入部に溶融樹脂を分配・供給すると共に、該複数
の樹脂注入部からあらかじめ定めた注入順位に従って溶
融樹脂をキャビティに射出注入して樹脂製品を成形する
際に、先行順位の樹脂注入部から射出注入された溶融樹
脂が後順位の樹脂注入部の位置に達した後に、該後順位
の樹脂注入部からの溶融樹脂の射出注入を開始し、この
時、該後順位の樹脂注入部を開閉する開閉弁を徐々に開
放するようにしたことによって、ウェルドマークが樹脂
製品に生じるのを防止することができると共に、後順位
の樹脂注入部の開放時に先行順位の樹脂注入部から射出
注入される溶融樹脂が急激に減少するのを防止して、樹
脂製品にフローマークが生じるのも防止することがで
き、従って、高品質の樹脂製品を得ることができる。
【0039】また、本発明の射出成形装置によれば、上
記の射出成形方法に従って射出成形を行い得るように構
成したことによって、樹脂製品にウェルドマークやフロ
ーマークが生じるのを防止することができ、高品質の樹
脂製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を適用して構成した射出成形装置
のシステム構成図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1の射出成形装置による射出成形方法を説明
するための説明図。
【図4】従来の射出成形方法を説明するための説明図。
【符号の説明】
1…金型、2…キャビティ、3…樹脂注入部、4…樹脂
供給手段、5…ホットランナー(樹脂供給路)、12…
開閉弁、13…開閉弁駆動手段、A…溶融樹脂、W…樹
脂製品。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】あらかじめ注入順位を定めた複数の樹脂注
    入部から溶融樹脂を射出注入可能に金型に設けられたキ
    ャビティと前記複数の樹脂注入部を連通して設けられた
    樹脂供給路とを備えた射出成形装置を用い、前記樹脂供
    給路から前記複数の樹脂注入部に溶融樹脂を分配・供給
    すると共に、該溶融樹脂を前記複数の樹脂注入部からそ
    の注入順位に従って前記キャビティに射出注入すること
    により樹脂製品を射出成形する方法において、前記複数
    の樹脂注入部のうち、第2順位以降の後順位の樹脂注入
    部から前記キャビティに溶融樹脂を射出注入する際に、
    当該後順位に先行する先行順位の樹脂注入部から前記キ
    ャビティに射出注入された溶融樹脂の流頭が当該後順位
    の樹脂注入部の位置に達した後に、当該後順位の樹脂注
    入部を開閉自在に設けた開閉弁を開放して当該後順位の
    樹脂注入部から前記キャビティへの溶融樹脂の射出注入
    を開始せしめ、この時、前記樹脂供給路から前記先行順
    位の樹脂注入部を介して前記キャビティに射出注入され
    ている溶融樹脂量の急激な低下を抑制すべく前記開閉弁
    を徐々に開放して、前記第2の樹脂注入部から前記キャ
    ビティに射出注入される溶融樹脂量を徐々に増加させる
    ことを特徴とする射出成形方法。
  2. 【請求項2】あらかじめ注入順位を定めた複数の樹脂注
    入部から溶融樹脂を射出注入可能に金型に設けられたキ
    ャビティと、前記複数の樹脂注入部を連通して設けられ
    た樹脂供給路を介して前記複数の樹脂注入部に溶融樹脂
    を分配・供給する樹脂供給手段と、前記複数の樹脂注入
    部のうち、少なくとも第2順位以降の注入順位の樹脂注
    入部を各々開閉自在に設けられた開閉弁と、前記各樹脂
    注入部に供給された溶融樹脂を前記注入順位に従って前
    記各樹脂注入部から前記キャビティに射出注入すべく前
    記開閉弁を所定のタイミングで開放せしめる開閉弁駆動
    手段とを備え、該開閉弁駆動手段は、前記複数の樹脂注
    入部のうち、先行順位の樹脂注入部から射出注入された
    溶融樹脂の流頭が次順位の樹脂注入部の位置に達した後
    に、該次順位の樹脂注入部に対応する前記開閉弁を開放
    せしめると共に、前記樹脂供給路から前記先行順位の樹
    脂注入部を介して前記キャビティに射出注入されている
    溶融樹脂量の急激な低下を抑制すべく前記次順位の樹脂
    注入部に対応する前記開閉弁を徐々に開放せしめること
    を特徴とする射出成形装置。
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