JPH0536215B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は金型装置に関するもので、特に樹脂成
形を行なう際に用いられる。

（従来の技術） 従来の金型装置を示すものに、例えば特開昭55
−86727号公報や特開昭56−132226号公報がある。

前者に示されるものは、キヤビテイー３に開口
するゲート４を棒体５によつて開閉し、キヤビテ
イー３内に充填される溶融樹脂の量および流れ込
む方向を制御している。

後者に示されるものは、空胴部１４，１５に開
口する流路３３をゲートピン３７によつて開閉
し、空胴部４，１５への物質の供給、停止を行な
つている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、前者に示されるものでは棒体５
及びその駆動機構が移動金型２内に位置し、ゲー
ト４が固定金型１にて開口しているため、棒体５
はキヤビテイー３内を通過してゲート４の開口量
を調整しなければならない。従つて、ゲート４を
完全に閉じようとすると棒体５がキヤビテイー３
内を貫通し、キヤビテイー３内で凝固する製品が
棒体５によつて分離される。結局、棒体５はゲー
ト４を完全に閉じることはできず、製品が凝固し
た後、ゲート部にて凝固した不要部を別工程にて
切除しなければならないという問題がある。

また、後者に示されるものでは、ただ単に空胴
部１４，１５に流入する物質を、ゲートピン３７
によつて流路３３を開閉することによつて、その
供給、停止を行なつているだけであり、その流路
３３の開口量を調整して空胴部１４，１５内に流
入させる物質の量、圧力等を制御するということ
は不可能である。

（問題点を解決するための手段） 本発明は上記問題点を解決することを目的とす
るものであり、以下の様な手段を講じた。つま
り、固定金型と、この固定金型に当接して製品キ
ヤビテイーを形成する可動金型と、前記製品キヤ
ビテイー内に溶融樹脂を導くため前記固定金型を
貫通しゲート部にて前記製品キヤビテイーに開口
するランナーと、このランナー内に少なくともそ
の一部が位置し前記ランナーのゲート部を前記固
定金型側から開閉するトーピードと、前記製品キ
ヤビテイー内に流入された溶融樹脂の圧力を検知
する樹脂圧センサーと、この樹脂圧センサーの検
知信号に基づいて前記ゲート部の開口量を調整す
るため前記トーピードの位置を制御する駆動機構
とを備える金型装置としたのである。

（実施例） 次に本発明の実施例を図に基づいて説明する。
第１図は第１実施例を示す断面図である。図中１
は固定金型で、工場の床等に固定されたベース
（省図示）に固定されている。この固定金型１に
対向する位置には可動金型２が配され、この可動
金型２が固定金型１に当接することによつて、そ
の当接面に第１製品キヤビテイー３と第２製品キ
ヤビテイー４を形成している。この第１、第２製
品キヤビテイー３，４はそれぞれ互いに独立して
いる。

前記固定金型１の背面には固定枠５が配されて
おり、この固定枠５及び前記固定金型１の内部に
はランナー６が穿設されている。このランナー６
の固定枠５側の端部は樹脂注入装置（省図示）に
連結されており、固定枠５内部を貫通した後、固
定金型１内部にて２本の通路に分岐している。そ
して、この２本に分岐したランナー６のそれぞれ
は、前記第１製品キヤビテイー３及び第２製品キ
ヤビテイー４に向つて固定金型１内部を進行し、
その通路面積を急激を減少させて前記第１、第２
製品キヤビテイー３，４に開口している。なお、
上述の進路面積を急激に減少させたランナー６の
部分をゲート７と呼ぶ。

前記可動金型２には、前記第１、第２製品キヤ
ビテイー３，４に対向する位置に、各製品キヤビ
テイー内の樹脂圧力を検知する樹脂圧センサー８
が設置されている。この樹脂圧センサー８は圧電
素子あるいはひずみゲージ等からなり、製品キヤ
ビテイーの最端部とゲート７の開口部との間の略
中央部の樹脂圧力を検知するように設けられてい
る。そして、この樹脂圧センサー８は、製品キヤ
ビテイー内の適正圧力を記憶したコンピユータ９
に結線されている。

前記ランナー６の２本に分岐したそれぞれの内
部には、ゲート７の開口量を調整するための棒体
のトーピード１０が配されている。この棒体のト
ーピード１０のゲート７側の一端は、その径が
徐々に小さくなつており、前記ゲート７を良好に
閉じることができる形状となつている。そして、
トーピード１０がゲート７を完全に閉じた時、ト
ーピード１０の一端面と、前記固定金型１の製品
キヤビテイーに対向する面とは、同一平面上に位
置している。一方、トーピード１０の他端は前記
固定金型１を貫通し、ピストン１０１に連結され
ている。このピストン１０１は、前記固定枠５内
に設けられたシリンダ１１内に摺動可能に挿入さ
れており、このピストン１０１の両側に形成され
る室に導入する流体圧力を変化させることにより
トーピード１０の位置が決定される。

次に、このトーピード１０の位置を決定するた
め前記シリンダ１１内に供給する油圧を制御する
駆動機構について述べる。なお、第１図には第１
製品キヤビテイー３側のトーピード１０を駆動す
る駆動機構のみが描かれているが、第２製品キヤ
ビテイー４側のトーピード１０についても全く同
様であり、以下の説明も同様である。

前記シリンダ１１内は前記ピストン１０１によ
つて第１室１２と第２室１３とに区画される。こ
の第１室１２には配管５１が、第２室１３には配
管５２がそれぞれ接続されており、この配管５
１，５２は３つの位置を有する電磁方向切換弁１
４に接続されている。そして、この配管５１，５
２は電磁方向切換弁１４によつて配管５３あるい
は配管５６に接続又は遮断される。配管５３は油
圧供給装置（省図示）に接続されており、また配
管５６は配管５４と配管５５の２本の管に分岐し
ている。配管５５にはその管通路面積を可変する
流量制御弁１５が配され、さらに、その通路を連
通あるいは遮断を行なう第１電磁弁１６が配され
ており、配管中に流れる作動油を受けいれる油溜
装置（省図示）に接続される。なお、前記第１電
磁弁が開弁した時は、配管５５内の作動油は、前
記電磁方向切換弁１４から油溜装置に向う方向に
しか流れない。

前記配管５４は前記流量制御弁１５及び第１電
磁弁１６をハイパスして前記配管５５に合流して
おり、その通路途中には連通あるいは遮断を行な
う第２電磁弁１７が配されている。

前記電磁方向切換弁１４、第１電磁弁１６、第
２電磁弁１７はそれぞれ前記コンピユータ９に結
線されており、このコンピユータ９の制御信号に
基づいて各弁は駆動される。

なお、前記電磁方向切換弁１４は、配管５１と
配管５３、配管５２と配管５６との各々を連通さ
れる第１位置、配管５１，５２共に遮断する第２
位置、配管５１と配管５６、配管５２と配管５３
とをそれぞれ連通される第３位置を有している。

次に、本実施例装置の作動について説明する。

製品キヤビテイー内の圧力は、その値が低すぎ
るとでき上つた製品の密度が小さくなつて変形の
原因となつたり、溶融樹脂の流れ不良が起つたり
する。また、圧力が高すぎると可動金型２と固定
金型１との当接面の隙間に溶融樹脂が浸入し、バ
リ発生の原因となる。そこで、ランナー６を通つ
て製品キヤビテイー３，４内に溶融樹脂が流れて
くると、その圧力を樹脂センサー８が検知し、そ
の検知信号をコンピユータ９に送る。コンピユー
タ９には適正樹脂圧力が記憶されており、この適
正樹脂圧力と樹脂圧センサー８から送られてきた
圧力を比較し、前記電磁方向切換弁１４、第１、
第２電磁弁１６，１７に駆動信号を送る。

まず、製品キヤビテイー３，４内の樹脂圧力が
適正値より低い場合は、電磁方向切換弁１４を第
１位置、第１電磁弁１６は連通、第２電磁弁１７
は遮断となる様に各弁を切換える。すると、作動
油が配管５３、配管５１を介して第１室５１内に
流入し、第２室５２内の作動油は配管５２、配管
５６、配管５５を通つて油溜装置へと流出する。
よつて、第１室１２と第２室１３との圧力バラン
スがくずれ、ピストン１０１及びトーピード１０
は、ゲート７を開く方向（第１図中右方向）に移
動する。そして、ランナー６を流れる溶融樹脂が
さらにゲート７より製品キヤビテイー３，４内に
流入し、製品キヤビテイー３，４内の樹脂圧力を
上昇させる。この時、トーピード１０の移動速度
は流量制御弁１５によつて決定され、この流量制
御弁１５を絞ればトーピード１０の移動速度は遅
くなり、開けば速くなる。また、第１電磁弁１６
を閉じれば、トーピード１０はその位置で停止す
る。

次に、製品キヤビテイー３，４内の樹脂圧力が
適正値よりも大きくなると、電磁方向弁１４を第
３位置、第１電磁弁１６を開、第２電磁弁１７を
閉の位置にする。すると、第１室１２内の作動油
は配管５１，５６，５５を通つて油溜装置に流出
し、第２室１３内には配管５３，５１を通つて作
動油が流入する。よつて、トーピードは第１、第
２室１２，１３の圧力差によりゲート７を閉じる
方向（第１図中左方）に移動し、ランナー６から
製品キヤビテイー３，４内に流入する溶融樹脂の
量が減少され、同時に樹脂圧も減少される。な
お、この場合も、トーピード１０の移動速度は流
量制御弁１５によつて制御される。

以上の様にトーピードの位置を繰り返し制御す
ることによつて製品キヤビテイー３，４内の樹脂
圧力を適正値に保つことができるのである。

その後、製品キヤビテイー３，４内への溶融樹
脂の充填が完了すると、電磁方向切換弁１４を第
３位置、第１電磁弁１６を閉、第２電磁弁１７を
開とする。すると、第１室１２内の作動油は配管
５１，５６，５４を介し、流量制御弁１５をバイ
パスして油溜装置に流出するので、トーピード１
０を高速にて第１図中左方向に移動させゲート７
を閉じることができる。

そして、所定時間経過後、製品キヤビテイー
３，４内の樹脂が完全に凝固したら、可動金型２
を固定金型１より引き離し製品を取り出して樹脂
成形が完了する。

第２図は本発明の第２実施例を示すもので、第
１実施例装置に樹脂温センサー２０、固定型温度
センサー２１、可動型温度センサー２２を、さら
に設けたものである。樹脂温センサー２０は、固
定金型１のランナー６に対向する位置に設けら
れ、ランナー６内の溶融樹脂の温度を検知してい
る。また、固定型温度センサー２１、可動型温度
センサー２２は各々固定金型１及び可動金型２内
部に設置されており、各金型の温度を検知してい
る。なお、各センサー２０，２１，２２はコンピ
ユータ９に結線されている。

この第２実施例の様な装置を用いれば、型温
度、樹脂温度が変動した場合でも、充分製品キヤ
ビテイー内の樹脂圧を適正に保つことができる。

なお、第１、第２製品キヤビテイー３，４の容
量が特に異つている場合、通常の成形法では小さ
い製品にバリが、大きい製品に量不足を生ずるこ
とが多い。そこで、大きい製品のゲートを先に開
いて射出を開始し、後に小さい製品のゲートを遅
れて開くことにより、両製品とも良品を得ること
が可能である。

また、多点ゲートの製品の場合、各ゲートから
流れてきた樹脂が接した所にウエルドラインが発
生するが、その位置を製品上のある箇所（目立ち
やすい所等）から遠ざけたい場合がある。この場
合、各ゲートを開くタイミングを適切に設定する
ことにより、ウエルドラインを所望の位置にする
ことができる。

また、前述の実施例ではトーピード５を油圧で
動かしていたがモータと歯車機構を組合せた動力
源等を使用することも可能である。

また、前述の実施例では、樹脂圧が良品時の波
形値に従う様、ゲート開度の制御を行なつて射た
が、樹脂圧が設定した値になつたらゲートを閉じ
るといつた制御方法も可能である。この場合、コ
ンピユータ１４を使わず、簡単な制御回路を使用
すれば良い。

（発明の効果） 以上述べた様に、本発明の金型装置を用いれば
固定金型に設けたランナーのゲート部を、固定金
型側からトーピードによつて開閉しているので、
製品の全く悪影響なしにゲート部の開閉を行なう
ことができる。そして、このゲート部の開閉は、
製品キヤビテイー内の樹脂圧力に応じてその開口
量を調整されるため、常に樹脂圧力を適正値に保
つことができ、溶融樹脂の流れ不良、あるいはバ
リの発生等の不具合は生じることはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例を示す断面図、第
２図は第２実施例を示す断面図である。 １……固定金型、２……可動金型、３……第１
製品キヤビテイー、４……第２製品キヤビテイ
ー、６……ランナー、７……ゲート部、８……樹
脂圧センサー、１０……トーピード、１４……電
磁方向切換弁、１５……流量制御弁、１６……第
１電磁弁、１７……第２電磁弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定金型と、 この固定金型に当接して製品キヤビテイーを形
   成する可動金型と、 前記製品キヤビテイー内に溶融樹脂を導くため
   前記固定金型を貫通し、ゲート部にて前記製品キ
   ヤビテイーに開口するランナーと、 前記ランナー内に少なくともその一部が位置
   し、前記ランナーのゲート部を前記固定金型側か
   ら開閉するトーピードと、 前記製品キヤビテイー内に流入した溶融樹脂の
   圧力を検知する樹脂圧センサーと、 この樹脂圧センサーの検知信号に基づいて前記
   ゲート部の開口量を調整するため前記トーピード
   の位置を制御する駆動機構とを備える金型装置。