JP2664977B2 - セラミックスヒータ炉 - Google Patents

セラミックスヒータ炉

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JP2664977B2
JP2664977B2 JP2972789A JP2972789A JP2664977B2 JP 2664977 B2 JP2664977 B2 JP 2664977B2 JP 2972789 A JP2972789 A JP 2972789A JP 2972789 A JP2972789 A JP 2972789A JP 2664977 B2 JP2664977 B2 JP 2664977B2
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和彦 鴛海
孝樹 正木
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、セラミックスヒータ炉に関し、特に焼成
炉、熱間静水圧プレス装置(HIP)用炉、超高温試験測
定炉、単結晶溶解炉等の発熱体としてセラミックスヒー
タを使用するセラミックスヒータ炉に関する。
[従来の技術] 従来のセラミックスヒータ炉に使用されているセラミ
ックスヒータは、第4図に示すように、セラミックスヒ
ータエレメント01の上下部に電極05,05が捲装された給
電部02,04と、これらの給電部02,04間の発熱部03とから
なっている。なお、この電極05,05にはリード線06,06が
接続されている。
このセラミックスヒータエレメント01のセラミックス
材料は、第6図に示すように、その特性上、常温下及び
1000℃以下の温度領域で比抵抗値が高いので、本来、発
熱部03の太さがあればよい給電部02,04を発熱部03より
太くして、抵抗値を低く抑えるようにしている。すなわ
ち、抵抗値を低く抑えるために、セラミックスヒータエ
レメント01の線径を太くするようにしている。
このように、抵抗値を低くするために給電部02,04を
発熱部03より太くしている第4図に示す従来のセラミッ
クスヒータでは、給電部02,04に印加する電圧を高くす
る必要があり、この通電により給電部02,04が発熱し熱
膨張して熱応力が発生し、早期に破損すると言う問題が
あった。
この問題を解決すべく、本発明者らは、先に第5図に
示すようなU字形の棒状セラミックスヒータエレメント
10の両端部に給電部12を設けて、同給電部12の外周面に
電極14を取付けたセラミックスヒータにおいて、該給電
部12の外周面に前記電極の幅よりも広く、かつ電気抵抗
の低い(電気伝導性の良好な)金属被覆層13を形成した
ヒータエレメントを提案した(特願昭62−256316号)。
なお、第5図中、11は発熱部、15はリード線である。
また、上記の棒状セラミックスヒータエレメント10
材料には、例えば純度が99.5%以上のジルコニア(Zr
O2)をイットリア(Y2O2)、カルシニア(CaO)又はマ
グネシア(MgO)で安定化させたものが使用される。
上記の棒状セラミックスヒータエレメント10は、1600
〜2000℃程度の超高温領域で使用するのに適している
が、本発明者等の実験により、実際には、このような超
高温域で使用すると、ヒータエレメント材料(ジルコニ
ア焼結体)の高温強度が低下して変形(クリープ)が生
じるため、ヒータエレメントを自立型にしてヒータを構
成することは困難であることが明らかになった。
そこで、本発明者らは、別途上記のような超高温領域
でも安定して使用することのできるセラミックスヒータ
エレメントの構成を考案し、このセラミックスヒータエ
レメントを用いたセラミックスヒータ炉を提案した。
第1図(a)〜(b)は、この提案に係るセラミック
スヒータ炉の構成を示す図で、第1図(a)が全体構造
を、第1図(b)が第1図(a)のセラミックスヒータ
エレメントを、第1図(c)が第1図(a)のA−A線
断面矢視図をそれぞれ示している。
第1図(a)〜(c)において、1は予熱用金属ヒー
タエレメント、2は棒状(中実又は中空)セラミックス
ヒータエレメント、3が単層又は複層の断熱シェル、4
及び4′は棒状セラミックスヒータエレメントを包込む
筒状断熱体(エレメント支持体)で、内側エレメント支
持体4と外側エレメント支持体4′に分割可能に構成さ
れ、これらのエレメント支持体4,4′の中に棒状セラミ
ックスヒータエレメント2が内蔵されている。
また、上記の断熱シェル3は、断熱効果を向上させる
ために、ジルコニアやアルミナ等の高純度の緻密化され
た焼結体等で調製される。
なお、5は上蓋、6は温度センサ、7は棒状セラミッ
クスヒータエレメント2両端部への給電線、8は炉室、
9は被加熱材料を載せるための炉床、10は炉架台であ
る。
[発明が解決しようとする課題] ところで、第1図(a)〜(c)に示すセラミックス
ヒータ炉の断熱シェル3は、予熱ヒータ1によりほぼ均
一に加熱された後、棒状セラミックスヒータエレメント
2により更に加熱される。
この場合、セラミックスヒータエレメント2は、給電
部(金属からなる電極構造をとるため、耐熱性は約900
〜1200℃程度である)よりも上方部がより加熱されるた
め、断熱シェル3も高さ方向に温度差を生じ、これが原
因で断熱シェル3が早急に破損するという問題があっ
た。
また、緻密な焼結体からなる断熱シェル3では、使用
後の冷却過程で熱応力により破損するという問題もあっ
た。
本発明は、このような問題を解決し、耐熱性の高い断
熱シェルの構成を考案し、この断熱シェルを用いたセラ
ミックスヒータ炉を提案することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記の目的を、予熱ヒータと、該予熱ヒー
タに内挿され両端に給電部が設けられた棒状(中実、中
空いずれでも良い)セラミックスヒータエレメントと、
該棒状セラミックスヒータエレメントの外側に配された
単層又は複層のセラミックス材製部材から構成されるセ
ラミックスヒータ炉において、前記予熱ヒータと単層又
は複層のセラミックス部材との間に多孔質なセラミック
ス製の断熱シェルを具備してなることを特徴とするセラ
ミックスヒータ炉により達成するものである。
この断熱シェルの材料である多孔質なセラミックス
は、セラミックス繊維で強化した複合セラミックスであ
り、その母材はジルコニア、マグネシア、アルミナ等の
高温用酸化物や複合酸化物で、強化用繊維は母材と同材
質か異なる材質のウイスカや短又は長繊維が好ましく使
用され、またその気孔率は30〜50%が適している。
[作用] 本発明セラミックスヒータ炉においては、ヒータ炉内
(すなわち、被加熱材料を挿入する所謂炉室、以下、炉
室)が、先ず予熱ヒータにより例えば900〜1200℃程度
に加熱され、次いで棒状セラミックスヒータエレメント
への通電により例えば1500〜2100℃程度に加熱される
が、セラミックスヒータエレメントへの通電による加熱
の際に、該炉室内の熱が予熱ヒータ側へ移行するのを、
本発明に係る断熱シェルが遮断(断熱)する。
但し、予熱ヒータでセラミックスヒータエレメントを
予熱している時には、断熱シェルの断熱性が高いと予熱
を効果的に行うことはできない。
従って、本発明に係る断熱シェルは、セラミックスヒ
ータエレメントの予熱時には断熱性が悪く、セラミック
スヒータエレメントに通電後には断熱性が良好であるこ
とが要求される。
このような要求を満たすべく、本発明では、断熱シェ
ルを、セラミックス繊維で強化した多孔質なセラミック
ス体により構成するのである。
すなわち、セラミックスヒータエレメントを予熱ヒー
タで予熱する際(対流支配時)には、断熱シェルの多孔
内に存在するガスが熱を対流させるため、断熱シェルの
断熱性が悪く、予熱ヒータの熱を効果的にセラミックス
ヒータエレメントに伝える。そして、予熱ヒータ温度=
炉室内温度になりセラミックスヒータエレメントに通電
された後は、セラミックスヒータエレメントの方が予熱
ヒータより高温(輻射支配)となるため、断熱シェルの
多孔内のガスによる熱の対流はなくなり、断熱シェルの
断熱性が良好となって、セラミックスヒータエレメント
の熱が予熱ヒータ側へ移行するのを遮断するのである。
また、この輻射支配時の高温下やセラミックスヒータ
炉運転終了の際の冷却時の熱衝撃応力を、本発明の断熱
シェルに使用される上記のセラミックス繊維強化セラミ
ックス多孔質体は、効果的に緩和する作用をも有する。
この多孔質体の気孔率は、上記のように低温の対流支
配時には該多孔内の空気による熱の対流が生じ、高温の
輻射支配時やセラミックスヒータ炉運転終了後の冷却時
には上記の熱衝撃応力を効果的に緩和し得る最適な範囲
が、上記の30〜50%である。
なお、断熱シェルは、母材粉末と強化用繊維とを所定
の割合で混合した後、鋳込み成形等で必要な形状に加工
し、1650〜1900℃で焼成等して調製される。
[実施例] 第1図(a)〜(c)に示す別途出願のセラミックス
ヒータ炉を用いて本発明セラミックスヒータ炉の一実施
例を説明する。
第1図(a)〜(c)において、予熱ヒータ1は白
金、鉄−クロム−アルミナ合金、炭化ケイ素系材料等
(本例では、白金)からなり、棒状(中実又は中空)セ
ラミックスヒータエレメント2は安定化ジルコニアから
なる。
この安定化ジルコニアからなるセラミックスヒータエ
レメント2の比抵抗値は、第4図に示すように、500℃
以下では大きいが、1000℃付近では小さくなるため、ヒ
ータエレメント2を900℃付近まで昇温させる予熱ヒー
タ1を必要とする。
また、セラミックスヒータエレメント2は、両端の給
電部に白金ロジウム線又は白金線からなる給電線7が巻
付けられ、高温時にその剛性が低下しないように下記す
る断熱シェル3と同様に熱応力に強い多孔質なセラミッ
クス製エレメント支持体4,4′で包込まれている。
2層の断熱シェル3は、ジルコニア繊維で強化した気
孔率50%のジルコニア製多孔質体である。
上蓋5は断熱シェル3と同材からなり、温度センサ6
はB熱伝対(40%又は20%ロジウム)を使用し、その端
子Dはセラミックスヒータ炉外に取出され、図示省略の
記録計に温度測定結果がインプットされる。
炉床9はジルコニアからなり、炉架台10はアルミナか
らなる。
予熱ヒータ1の端子B,B′に電流・電圧を与えて、900
〜1200℃に通電加熱し、温度保持する。
また、上記の炉室8内の温度も、この予熱ヒータ1に
より昇温するが、予熱ヒータ1と炉室8との間に配置さ
れている断熱シェル3により予熱ヒータ1よりも遅れて
昇温する。
予熱ヒータ1の温度を1200℃に制御していると、炉室
8内の温度も次第に等温となる。
等温の状態になると、セラミックスヒータエレメント
2の比抵抗値が低下し、導体となるので、端子C,C′に
電流・電圧を与え、炉室8内を更に加熱する。
この加熱により、炉室8内が予熱ヒータ1よりも高温
となり、熱は予熱ヒータ1側に流動しようとする。この
流動を断熱シェル3により防止する。
具体的には、前述のように、該断熱シェル3は、セラ
ミックスヒータエレメント2に通電するまでは該シェル
3の多孔内のガスによる対流があり断熱性がむしろ悪
く、予熱ヒータ1の熱は効果的にセラミックスヒータエ
レメント2に伝達される。
そして、予熱ヒータ1と炉室8内の温度が等温にな
り、セラミックスヒータエレメント2に通電された後
は、熱の伝達は輻射が支配的となるため、上記のガスに
よる対流がなくなり、断熱シェルは断熱性に優れたもの
となる。
この断熱効果を向上させるためには、緻密化された断
熱シェル(例えば、純度99%のアルミナ又はジルコニア
焼結体)を使用すべきであるが、この緻密化された断熱
シェル3は、熱応力や熱衝撃に弱く脆いという欠点があ
る。
これに対し、多孔質な断熱シェル(例えば、気孔率50
%のアルミナ又はジルコニアセラミックス製)3は、熱
応力には強いが、対流を起こし易く断熱効果が小さいと
いう理由で使用限界がある。
しかし、1200℃以上の高温域では伝熱の主流が対流か
ら輻射に変わるため、このような高温域では多孔質なセ
ラミックス製断熱シェル3の断熱効果を得ることができ
る。
本例では、炉室8内を1800℃以上に加熱しても充分な
断熱効果を得ることができた。
この時の予熱ヒータ1と炉室8内の温度変化を第2図
に示す。
第2図から明らかなように、断熱シェル3の作用によ
り、炉室8内と予熱ヒータ1間に600℃の温度差がつい
ていることが判る。
第3図は、緻密化されたセラミックス製断熱シェルを
使用し、炉室8内を加熱保持中に該断熱シェルが破損し
た時の温度変化を示す図である。
第3図から明らかなように、予熱ヒータ1の温度が上
昇しており、炉室8内の熱が予熱ヒータ1側に流動して
いることが判る。
[発明の効果] 以上のように、本発明セラミックスヒータ炉によれ
ば、予熱ヒータとセラミックスヒータエレメントの間に
セラミックス繊維で強化された多孔質なセラミックス体
からなる断熱シェルが存在するため、超高温域(輻射支
配時)での断熱性能の向上、及び温度不均一に伴う熱応
力による断熱シェルの破損を防止でき、寿命の延長を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明炉及び別途出願の炉の一実施例を
示す縦断面図、第1図(b)は第1図(a)の一部詳細
図、第1図(c)は第1図(a)のA−A線横断面図、
第2〜3図は本発明炉の効果を示す図、第4図は従来の
セラミックスヒータ炉を示す一部縦断面図、第5図は先
願に係る棒状セラミックスヒータエレメントを示す一部
縦断面図、第6図はセラミックスの温度と比抵抗値特性
を示すグラフである。 1:予熱ヒータ 2:棒状(中実又は中空)セラミックスヒータエレメント 3:断熱シェル 4,4′:セラミックス材製部材(エレメント支持体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正木 孝樹 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業所内 (72)発明者 伊藤 俊明 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業所内 (56)参考文献 特開 昭63−48789(JP,A) 特開 昭63−91988(JP,A) 実開 昭52−61844(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予熱ヒータと、該予熱ヒータに内挿され両
    端に給電部が設けられた棒状セラミックスヒータエレメ
    ントと、該棒状セラミックスヒータエレメントの外側に
    配された単層又は複層のセラミックス材製部材から構成
    されるセラミックスヒータ炉において、前記の予熱ヒー
    タと単層又は複層のセラミックス部材との間に多孔質な
    セラミックス製の断熱シェルを具備してなることを特徴
    とするセラミックスヒータ炉。
JP2972789A 1989-02-10 1989-02-10 セラミックスヒータ炉 Expired - Lifetime JP2664977B2 (ja)

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