JP2664960B2 - アバランシェフォトダイオード - Google Patents

アバランシェフォトダイオード

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JP2664960B2
JP2664960B2 JP63272774A JP27277488A JP2664960B2 JP 2664960 B2 JP2664960 B2 JP 2664960B2 JP 63272774 A JP63272774 A JP 63272774A JP 27277488 A JP27277488 A JP 27277488A JP 2664960 B2 JP2664960 B2 JP 2664960B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光通信に用いる光検出器である高速低雑音
アバランシェフォトダイオード(以下、APDという)の
構造に関するものである。
〔従来技術〕
波長1.3マイクロメータ(μm)または1.5μm帯の光
通信用の光検出器としては、従来Ge−APDまたはInP/InG
aAsPヘテロ構造APDが用いられてきた。一般に、APDの増
倍雑音は、電子と正孔のイオン化率が大きく異なるほど
小さいが、これらの材料においては両者がほぼ等しく、
このために雑音が大きいという欠点があった。この欠点
を解消するために増倍層に超格子構造を用いることが従
来より提案されていた。
第4図は、超格子構造によってイオン化率が増大する
メカニズムを説明する図であり、1は伝導帯、2は価電
子帯、3は電子、4は正孔である。第4図において、電
子3はバンドギャップの大きい第2の半導体層からバン
ドギャップの小さな第1の半導体層に移る際に、伝導帯
1の不連続分に相当する運動エネルギーを得るためにイ
オン価を起こる確率が大きくなる。この効果は、伝導帯
1のバンド不連続が価電子帯2のそれよりも大きい場合
には、正孔4よりも電子3において顕著になるため、電
子3のイオン化率は、正孔4よりも大きくなり、このた
め超格子を用いたAPDの増倍雑音は低減される。
しかし、電子3は、イオン化を起こすことによってエ
ネルギーを失ない、電界によって再加速されるが、充分
なエネルギーが得られず、バンドギャップの小さい第1
の半導体層から次のバンドギャップの大きい第2の半導
体層に移る際には、バンド不連続を越えられずに、第4
図に示すように界面にトラップされる可能性が大きい。
トラップされた電子3は、徐々に放出されるためにAPD
の応答速度は、著しく劣化する欠点があった。このよう
な欠点を改善する方法として、従来、超格子の半導体の
組成比を連続的に変化させて、第1の半導体層から第2
の半導体層までバンドギャップを連続的に変化させる構
造が提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記従来の超格子の半導体の組成比を
連続的に変化させて、第1の半導体層から第2の半導体
層までバンドギャップを連続的に変化させる構造では、
電子3はバンドギャップの小さな半導体からバンドギャ
ップの大きな半導体にスムーズに動けるが、半導体の組
成比の連続的変化を繰り返して行わなくてはならず、作
製が非常に困難であるという問題があった。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもの
である。
本発明の目的は、超格子APDにおけるヘテロ界面での
トラップの効果による応答度の劣化を防止し、かつ低雑
音化が可能であり、作製を容易にすることができる技術
を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、
本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであ
ろう。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するために、本発明は、第1の半導体
層と、バンドギャップが前記第1の半導体層より広い第
2の半導体層とが、繰り返して積層されてなる超格子構
造を増倍層とするアバランシェフォトダイオードにおい
て、第1の半導体層と第2の半導体層との界面であっ
て、前記増倍層の走行中に電子が第2の半導体層に乗り
上げる時に通過する界面に接して、第2の半導体層と、
電子のトンネル現象を妨げない厚さの第3の半導体層と
を障壁層とする量子井戸を形成したことを最も主要な特
徴とする。
〔作用〕
前述の手段によれば、超格子構造を増倍層とするアバ
ランシェフォトダイオードにおいて、第1の半導体層と
第2の半導体層との界面であって、増倍層の走行中に電
子が第2の半導体層に乗り上げる時に通過する界面に接
して、第2の半導体層と、電子のトンネル現象を妨ぐな
い厚さの第3の半導体層とを障壁層とする量子井戸を形
成して、超格子ヘテロ界面を量子井戸内の量子準位を介
したトンネル効果によってキャリアがヘテロ界面を通過
する確率を増大するようにしたので、従来のアバランシ
ェフォトダイオードに比して、界面におけるキャリアの
トラップの効果が小さくなり、超格子APDにおけるヘテ
ロ界面でのトラップの効果による応答速度の劣化を防止
することができ、かつ低雑音化をはかることができる。
また、第1の半導体層と第2の半導体層との界面であ
って、増倍層の走行中に電子が第2の半導体層に乗り上
げる時に通過する界面に接して、第2の半導体層と、電
子のトンネル現象を妨げない厚さの第3の半導体層とを
障壁層とする量子井戸を形成し、このような多層構造を
繰り返すことによって超格子増倍層が構成されるので、
従来の超格子APDのように半導体の組成比の連続的変化
を繰り返して行う必要がないので、アバランシェフォト
ダイオードの製造が容易となる。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の一実施例を図面を用いて具体的に説明
する。
なお、全図において、同一機能を有するものは同一符
号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
第1図は、本発明の一実施例の光検出器の概略構成を
説明する要部断面図である。
第1図において、5はn型InP基板、6はn型InPバッ
ファ層、7はノンドープのInGaAs/InAlAs超格子増倍
層、8はP型InGaAs層、9はAuGeNi電極、10はAnZu電極
である。
また、第2図は、第1図に示すノンドープのInGaAs/I
nAlAs超格子増倍層7の構造を拡大した断面図であり、1
1は厚さ300ÅのIn0.52Al0.48As層(d1=300Å)から成
る第2の半導体層、12は厚さ300ÅのIn0.53Ga0.47As層
(d2=300Å)から成る第1の半導体層、13は厚さ30Å
のIn0.52Al0.48As層(d3=30Å)から成る第3の半導体
層、14は厚さ30ÅのIn0.53Ga0.47As層(d4=30Å)から
成り、第2の半導体層11と第3の半導体層13とを障壁層
とする量子井戸の井戸層となる。
ノンドープのInGaAs/InAlAs超格子増倍層7は、第2
図に示すように、厚い第1の半導体層(In0.53Ga0.47As
層)12の下に薄い第3の半導体層(In0.52Al0.48As層)
13と井戸層(In0.53Ga0.47As層)14があり、続いて厚い
第2の半導体層(In0.52Al0.48As層)11が配置され、即
ち、第1の半導体層12と第2の半導体層11との界面であ
って、増倍層の走行中に電子が第2の半導体層に乗り上
げる時に通過する界面に接して、第2の半導体層11と、
電子のトンネル現象を妨げない厚さの第3の半導体層13
とを障壁層とする量子井戸を形成し、このような多層構
造を繰り返すことによって超格子増倍層が構成されたも
のである。
第3図は、第2図に示すInGaAs/InAlAs超格子増倍層
7のバンド構造を示した図であり、15はInAlAsに挟まれ
た薄いInGaAsの井戸層14に形成された量子準位である。
増倍層には電界が印加されているために、バンドは傾斜
している。
第2図に示すInGaAs/InAlAs超格子増倍層7は、電子
3が第2の半導体層(In0.52Al0.48As層)11から第1の
半導体層(In0.53Ga0.47As層)12へ入ったときに運動エ
ネルギーを得るために、イオン化が増大することは従来
構造の超格子APDと同様であるが、第3図に示すよう
に、第1の半導体層12のInGaAs層内でイオン化を起こ
し、エネルギーを失った電子3は、井戸層(In0.53Ga
0.47As層)14に形成された量子準位15を介したトンネル
効果によって、第2の半導体層11へトラップされること
なく入ることができる。
このトンネル効果について、さらに詳細に説明する。
一般に、第1の半導体層は、電子3が価電子帯2の電
子をイオン化するために、通常数100Å(第2図の例で
は300Å)の厚さを備える必要があり、このような、厚
い層には、量子準位は形成されない。
しかしながら、第1の半導体層12と第2の半導体層11
の界面近傍に量子井戸を形成すると、その量子準位15
は、第1の半導体層12の伝導帯端の底にある電子3が、
第2の半導体層11の伝導帯の底に、トンネル効果によっ
て遷移するための中間準位として働く。
即ち、第1の半導体層12の伝導帯端の底にある電子3
は、まずエネルギー差が小さくそのためトンネル確率が
高くなっている量子準位15に遷移する。その後、同じく
量子準位15とのエネルギー差が小さくトンネル確率が高
くなっている第2の半導体層11の伝導帯の底に遷移す
る。
このように、2段階のトンネル現象を経て電子3は第
2の半導体層11に移動するが、それぞれのトンネル確率
は高いので、電子3の移動は容易であり、また、第3の
半導体層13は薄いので電子3のトンネル現象を妨ぐるこ
とはない。
さらに、第2の半導体層11は厚いが、電界印加時には
第3図のように伝導帯の底が傾斜するとともに、量子化
された準位15は高い位置にあるので、量子準位15から第
2の半導体層11の伝導帯への実効的な障壁の厚さは薄く
なる。
なお、以上述べたトンネル現象は、始状態(例えば、
量子準位15)と終状態(例えば、第2の半導体層の伝導
帯の底)のエネルギーがフォノンによって供給されるフ
ォノン支援トンネルである。
一方、正孔4はバンドギャップの大きい第2の半導体
層11のInAlAs層からバンドギャップの小さい第1の半導
体層12のInGaAs層へ通過する際、井戸層14内の量子準位
15を介して通過するために瞬間的に運動エネルギーを得
ることができず、フォノンを放出しエネルギーを下げな
がら通過する。このため正孔4のイオン化率は全く増大
されない。
以上説明したように、本実施例によれば、超格子APD
においては、ヘテロ界面におけるキャリアのトラップの
効果が無いので、高速応答が可能であると同時に、従来
の超格子APDに比べて低雑音化の効果が顕著である。
また、第1の半導体層12と第2の半導体層11との界面
であって、増倍層の走行中に電子が第2の半導体層に乗
り上げる時に通過する界面に接して、第2の半導体層11
と、電子トンネル現象を妨げない厚さの第3の半導体層
13とを障壁層とする量子井戸を形成し、このような多層
構造を繰り返すことによって超格子増倍層が構成される
ため、従来の超格子APDのように半導体の組成比の連続
的変化を繰り返して行う必要がないので、アバランシェ
フォトダイオードの製造が容易となる。
なお、本発明は、前記実施例の超格子の各層の厚さ以
外のものでも同様の効果が得られること、および、InGa
As/InP系格子においても同様の構造によって同じ効果が
得られることは言うまでもない。
以上、本発明を実施例にもとづき具体的に説明した
が、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、
その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である
ことは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上、説明したように、本発明によれば、従来の超格
子APDの構造に比べて、界面におけるキャリアのトラッ
プの効果が小さくなるので、超格子APDにおけるヘテロ
界面でのトラップの効果による応答速度の劣化を防止す
ることができ、かつ低雑音化をはかることができる。
また、従来の超格子APDのように半導体の組成比の連
続的変化を繰り返して行うことがないので、作製を容易
にすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の光検出器の概略構成を説
明する要部断面図、 第2図は、第1図に示すノンドープのInGaAs/InAlAs超
格子増倍層の構造を拡大した断面図、 第3図は、第2図に示すInGaAs/InAlAs超格子増倍層の
バンド構造を示した模式図、 第4図は、従来の超格子APDのバンド構造と、イオン化
率が増大し、かつキャリアがヘテロ界面にトラップされ
るメカニズムを説明する模式図である。 図中、1……伝導帯、2……価電子帯、3……電子、4
……正孔、5……n型InP基板、6……n型InPバッファ
層、7……InGaAs/InAlAs超格子増倍層、8……p型InG
aAs層、9……AuGeNi電極、10……AuZn電極、11……In
0.52Al0.48As層、12……In0.53Ga0.47As層、13……In
0.52Al0.48As層、14……In0.53Ga0.47As層、15……量子
準位。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の半導体層と、バンドギャップが前記
    第1の半導体層より広い第2の半導体層とが、繰り返し
    て積層されてなる超格子構造を増倍層とするアバランシ
    ェフォトダイオードにおいて、 第1の半導体層と第2の半導体層との界面であって、前
    記増倍層の走行中に電子が第2の半導体層に乗り上げる
    時に通過する界面に接して、 第2の半導体層と、電子のトンネル現象を妨げない厚さ
    の第3の半導体層とを障壁層とする量子井戸を形成した
    ことを特徴とするアバランシェフォトダイオード。
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