JP2664372B2 - ポリアミド系合成繊維用油剤 - Google Patents
ポリアミド系合成繊維用油剤Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、ポリアミド系合成繊維用の油剤に関する。
さらに詳しくは、製糸性に優れ、紡糸、延伸及び仮撚後
の後加工の各工程におけるヒーター上でのタール状物質
の生成蓄積が極めて少なく、かつ長期貯蔵安定性に優れ
たポリアミド系合成繊維用油剤に関する。 〔従来の技術〕 ポリアミド系合成繊維は紡糸、延伸及び製織、製編、
仮撚等の後加工の各工程を円滑に進めるために紡糸直後
に油剤が付与される。しかしながら、近年、生産性向上
を目的として繊維糸条はかなりの高速で処理されること
が多く、その処理条件もますます苛酷となりつつある。
従って、紡糸での製糸性向上、すなわち、毛羽・断糸の
減少による収率向上はもとより、ボビンにおける巻形状
をいかにして保つか、綾落をいかに少なくするかが延
伸、後加工での収率向上と品位の向上に非常に重要であ
る。そして、油剤に対しては、特に潤滑性能を向上せし
め、かつヒーター上でタール化しない性能が強く要求さ
れている。 そこで、高温時の潤滑性能に優れると共にヒーター上
に蓄積されるタール状物質の少ない潤滑成分として、近
年特開昭48−64294号公報等に示されるごとく、アルキ
レンオキシド共重合体を使うことが提案されている。と
ころが、アルキレンオキシド共重合体は高速時の潤滑性
能が充分ではないため満足な製糸性が得られず、高速で
紡糸、仮撚、整経、編織する場合に接触体、例えば、ガ
イド類、仮撚ディスク等に堆積物(白粉、スカム)を生
じ、糸条と接触体間の摩擦変動を大きくする。摩擦変動
が大きくなると、糸のデニール斑及び染斑の増大等の糸
品質への悪影響が生じたり、糸切れが頻発したりするよ
うになる。 これらの問題を解決するために特開昭60−231872号公
報等にアルキレンオキシド共重合体の誘導体を適用する
ことが提案されているが未だ不充分である。 一方、油剤を付与された繊維は長期間貯蔵される場合
が多いので、油剤には繊維が長期間貯蔵されてもその間
変化しないという安定性も合わせて要求される。ところ
が、アルキレンオキシド共重合体及びその誘導体はター
ル化が少ない反面、酸化分解、熱分解を受け易く、繊維
が長期間貯蔵された場合に変化し、長期安定性に劣ると
いう問題があった。さらに、アルキレンオキシド共重合
体及びその誘導体が、カルボキシル末端基板とアミノ末
端基量とが特定の関係にあるポリアミド系合成繊維に付
与される場合には、その長期間安定性が一層劣ることが
判明した。 油剤が繊維に付与された後、貯蔵中に変化すると、潤
滑性能が悪くなり、毛羽・断糸が著しく増加したり、糸
と接触する金属部、例えば編針を腐食したりして、大き
な損害を与える。 この点に関する改善は従来から行なわれており、例え
ば、ヒンダードフェノール系化合物を使用することが知
られている。しかしながら、この化合物は繊維を着色さ
せたり、紡糸、延伸、後加工の各工程において脱落し
て、糸物性の斑の発生や毛羽・断糸の原因になるという
欠点を有する。また、価格が高いという問題も有する。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明の目的は、ヒーター上でのタール化物の生成が
少なく、長期貯蔵安定性に優れ、繊維を着色させること
がなく、かつ製糸性の良好な、比較的低価格のポリアミ
ド系合成繊維用油剤を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、ポリアミド系合成繊維の紡糸、延伸及
び仮撚等の後加工の各工程において、ヒーター上におけ
るタール状物質の生成が少なく、製糸性が良好で、かつ
長期間の貯蔵安定性に優れたポリアミド系合成繊維用油
剤を得るべく鋭意検討した結果、本発明を完成するにい
たった。 すなわち、本発明は、下記〔A〕成分を30〜50重量
%、下記式〔B〕で示される化合物を10重量%以上と、
下記式〔I〕で示される化合物を0.1〜10重量%含有す
ることを特徴とするポリアミド系合成繊維用油剤であ
る。 〔A〕アルキレンオキシド共重合体 〔B〕R1−〔CO(A)pO−R2〕q 上記式〔B〕,〔I〕において、 A:炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 R1:炭素数7〜21のカルボン酸残基、または 炭素数4〜12のジカルボン酸残基、 R2:炭素数4〜22のアルコール残基、 R3:炭素数6〜22のアルキル基、 m及びn:1〜10の整数、 m+n:2〜20の整数、 p:2〜50の整数、 q:1または2の整数 である。 上記式〔I〕で示されるアミン化合物は、アルキレン
オキシド共重合体の長期貯蔵中の変質を防止すると共
に、ヒーター上でのタール化量を減少するのに有効であ
る。このアミン化合物の含有量は0.1〜10重量%である
ことが必要であり、1〜7重量%の範囲が好ましい。含
有量が0.1重量%未満の場合には、繊維の長期貯蔵中に
起こるアルキレンオキシド共重合体の変質の防止効果が
不充分である。含有量が10重量%を超える場合には耐熱
性が悪化しタール化量が増大するので好ましくない。 特に、カルボキシル末端基量とアミノ末端基量との差
が30ミリグラム当量/kg以上であるポリアミド系合成繊
維にアルキレンオキシド共重合体が付与された際に、該
共重合体に起こる長期貯蔵中の大きな変質の防止に、本
発明のアミン化合物は極めて良好な効果を示す。なお、
このようなポリアミド系合成繊維のカルボキシル末端基
量は60〜100ミリグラム当量/kg、アミノ末端基量は30〜
50ミリグラム当量/kgである。 本発明で用いる式〔I〕で示される特定のアミン化合
物は公知の方法で製造することができ、例えば、脂肪族
一級アミンにアルキレンオキシドを付加させることによ
り得られる。脂肪族一級アミンとしては、ヘキシルアミ
ン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミ
ン等の炭素数6〜22のアルキル基を有する一級アミンが
ある。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等がある。
これらは単独または混合付加のいずれであってもよい。
混合付加の場合、ブロック付加様式およびランダム付加
様式のどちらでも採り得る。 式〔I〕において、mまたはnのいずれかが0である
と耐熱性を著しく損なう。また、(m+n)が20より大
きくなると長期貯蔵安定性の向上効果が小さくなる。 油剤を構成する〔A〕成分としてのアルキレンオキシ
ド共重合体は公知の方法によって得られる。一般的に、
一価アルコールまたは二価以上の多価アルコール及びア
ルキルフェノール等の活性水素を有する化合物にエチレ
ンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等
のアルキレンオキシドを付加することにより得られる。
分子量は、仮撚工程における揮散や高温高速下での潤滑
性能を考慮すると、450〜6000が望ましい。 油剤を構成する〔A〕成分の量は30〜50重量%であ
る。〔A〕成分に該当する二種以上の化合物を用いるこ
ともできる。〔A〕成分が50重量%を越えると充分満足
すべき製糸性が得られない。30重量%未満では十分な耐
熱性が得られない。 油剤を構成する〔B〕成分は、炭素数4〜22の一価ア
ルコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブ
チレンオキシドを単独または混合付加し、さらに脂肪酸
とエステル化反応させることによって得られる。また、
一価アルコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシ
ドを単独または混合付加し、さらに二塩基酸でエステル
化させて得られるジエステルでもよい。 〔B〕成分の例としては、ラウリルアルコールのエチ
レンオキシド5モル付加物のラウリン酸エステル、オク
チルアルコールのエチレンオキシド5モル、プロピレン
オキシド5モル付加物のカプリン酸エステル、イソステ
アリルアルコールのエチレンオキシド3モル、プロピレ
ンオキシド2モル付加物のアジピン酸ジエステル等があ
げられる。〔B〕成分に該当する2種以上の化合物を用
いることもできる。 〔B〕成分は、分子構造において両末端が長鎖のアル
キル基で封鎖され、かつエステル結合を有しているた
め、〔A〕成分に比較して非常に油性に優れており、常
温のみならず高温での高速、高接圧下においても優れた
潤滑性を発揮でき、しかも、〔B〕成分は分子構造中に
加熱により容易に分解し易いポリアルキレングリコール
基を含有しているため、タール化が通常のエステル、例
えばオレイルオレエート、ジオレイルアジペート等の脂
肪酸と高級アルコールのエステルに比較すると極めて少
ない。 〔B〕成分は400〜2000の分子量をもつものが特に好
ましい。分子量が400以下ではヒーター上で糸上から揮
散し、また、2000以上では粘度上昇によって潤滑性が低
下するため製糸性の点で充分満足すべき結果は得られな
い。 油剤を構成する〔B〕成分の量は、10重量%以上、好
ましくは20〜60重量%である。〔B〕成分が10重量%未
満の場合には潤滑性不足により発明の目的の一つである
製糸性向上に効果を示さない。 本発明の油剤には、本発明の効果を損なわない程度に
おいて合成繊維用油剤に常用される成分、例えば、脂肪
酸アルキルエステル、鉱物油の平滑剤成分;ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、部分エステル、多価アルコールの
エチレンオキシド付加物等の非イオン性乳化剤成分;ア
ルカンスルホネート、アルキルホスフェート、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテルホスフェート等のアルカ
リ金属塩、脂肪酸石けん、アルキルイミダゾリン系活性
剤、ベタイン系活性剤等の帯電防止剤成分を配合しても
かまわない。 本発明の油剤を適用するに際しては、有機溶剤に溶解
するか、または水エマルジョン液として、ローラー給
油、ガイドオイリング等の公知の供給方法で紡糸工程、
延伸工程または延伸後に供給する。 以下に、本発明において用いられる油剤の性能特性の
評価方法について述べる。 <長期安定性> 下記放置条件にて一定期間放置した繊維から四塩化炭
素を溶媒としてソックスレー抽出した後、四塩化炭素を
留去し回収した油剤を、GPC〔東洋曹達(株)製HLC−80
2A型〕を用いてテトラヒドロフランを溶媒として分析
し、アルキレンオキシド共重合体の平均分子量を求め、
該共重合体の分子量低下の有無を評価する。 <繊維の着色> 下記放置条件にて一定期間放置した繊維の着色の有無
を肉眼にて評価する。 繊維の放置条件 繊維をポリエチレン製袋に入れ、口を軽く閉じ、これ
を50℃恒温槽中に放置する。 <タール化率> 試料2gを直径60mm、深さ5mmのステンレス皿に精秤
し、215℃の循環式熱風オーブン中で16時間処理し、残
分をテトラヒドロフランで洗浄後テトラヒドロフラン不
溶分の重量を測定し、次式によりタール化率を求める。 タール化率(%)={テトラヒドロフラン不溶分
(g)} ×100/{試料採取量(g)} <製糸性> 100時間の紡糸中に発生した断糸数及び100個のボビン
の肉眼判定の結果得られた綾落発生ボビン数にて評価す
る。 〔発明の効果〕 本発明の油剤は、製糸時の断糸及び巻取ったボビンの
綾落がほとんどなく、紡糸、延伸、及び仮撚等の後加工
の各工程でのヒーター上でのタール状物質の生成が少な
く、かつ極めて良好な長期安定性を示し、繊維の着色を
生じせしめないという特長を有し、ポリアミド系合成繊
維用油剤としては最適である。 〔実施例〕 次に、本発明を実施例について具体的に説明する。 実施例1 相対粘度(90%の蟻酸溶液に8.4重量%の試料を溶解
し、25℃において常法により測定)40、アミノ末端基量
(90%フェノール水溶液50ml中に試料6gを溶解し、0.05
N−塩酸で中和滴定して測定)34ミリグラム当量/kg、カ
ルボキシル末端基量(ベンジルアルコール50ml中に試料
4gを溶解し、0.1N−水酸化ナトリウムで中和滴定して測
定)87ミリグラム当量/kgのナイロン66を4700m/分の紡
糸速度で溶融紡糸するに際し、紡糸糸条に表1に示す油
剤を、濃度10重量%のエマルジョンとして、付着量が0.
7重量%になるように定量オイリング装置を用いて付着
させて、36デニール/10フイラメントの糸条を得た。 この糸条を、50℃の温度下に56日間放置したときのア
ルキレンオキシド共重合体の平均分子量の変化及び糸条
の着色状況を表2に示す。また、製糸性及び油剤のター
ル化率を表3に示した。 本発明の油剤が長期安定性に優れ、着色も生じず、か
つ製糸性に優れると共にタール化が少ないことは表2,3
から明らかである。 実施例2 実施例1と同様にして、表4に示す末端基量のナイロ
ン66に、表1のNo.4,7の油剤を付着させた糸条を50℃の
温度下に56日間放置したときのアルキレンオキシド共重
合体の平均分子量の変化状況を表5に示した。 カルボキシル末端基量とアミノ末端基量との差が30以
上であるポリアミド糸条にアルキレンオキシド共重合体
が用いられる際には該共重合体の長期安定性が大きく劣
ること及びその際の長期安定性の向上に本発明の油剤が
極めて大きな効果を有することは表5より明らかであ
る。
さらに詳しくは、製糸性に優れ、紡糸、延伸及び仮撚後
の後加工の各工程におけるヒーター上でのタール状物質
の生成蓄積が極めて少なく、かつ長期貯蔵安定性に優れ
たポリアミド系合成繊維用油剤に関する。 〔従来の技術〕 ポリアミド系合成繊維は紡糸、延伸及び製織、製編、
仮撚等の後加工の各工程を円滑に進めるために紡糸直後
に油剤が付与される。しかしながら、近年、生産性向上
を目的として繊維糸条はかなりの高速で処理されること
が多く、その処理条件もますます苛酷となりつつある。
従って、紡糸での製糸性向上、すなわち、毛羽・断糸の
減少による収率向上はもとより、ボビンにおける巻形状
をいかにして保つか、綾落をいかに少なくするかが延
伸、後加工での収率向上と品位の向上に非常に重要であ
る。そして、油剤に対しては、特に潤滑性能を向上せし
め、かつヒーター上でタール化しない性能が強く要求さ
れている。 そこで、高温時の潤滑性能に優れると共にヒーター上
に蓄積されるタール状物質の少ない潤滑成分として、近
年特開昭48−64294号公報等に示されるごとく、アルキ
レンオキシド共重合体を使うことが提案されている。と
ころが、アルキレンオキシド共重合体は高速時の潤滑性
能が充分ではないため満足な製糸性が得られず、高速で
紡糸、仮撚、整経、編織する場合に接触体、例えば、ガ
イド類、仮撚ディスク等に堆積物(白粉、スカム)を生
じ、糸条と接触体間の摩擦変動を大きくする。摩擦変動
が大きくなると、糸のデニール斑及び染斑の増大等の糸
品質への悪影響が生じたり、糸切れが頻発したりするよ
うになる。 これらの問題を解決するために特開昭60−231872号公
報等にアルキレンオキシド共重合体の誘導体を適用する
ことが提案されているが未だ不充分である。 一方、油剤を付与された繊維は長期間貯蔵される場合
が多いので、油剤には繊維が長期間貯蔵されてもその間
変化しないという安定性も合わせて要求される。ところ
が、アルキレンオキシド共重合体及びその誘導体はター
ル化が少ない反面、酸化分解、熱分解を受け易く、繊維
が長期間貯蔵された場合に変化し、長期安定性に劣ると
いう問題があった。さらに、アルキレンオキシド共重合
体及びその誘導体が、カルボキシル末端基板とアミノ末
端基量とが特定の関係にあるポリアミド系合成繊維に付
与される場合には、その長期間安定性が一層劣ることが
判明した。 油剤が繊維に付与された後、貯蔵中に変化すると、潤
滑性能が悪くなり、毛羽・断糸が著しく増加したり、糸
と接触する金属部、例えば編針を腐食したりして、大き
な損害を与える。 この点に関する改善は従来から行なわれており、例え
ば、ヒンダードフェノール系化合物を使用することが知
られている。しかしながら、この化合物は繊維を着色さ
せたり、紡糸、延伸、後加工の各工程において脱落し
て、糸物性の斑の発生や毛羽・断糸の原因になるという
欠点を有する。また、価格が高いという問題も有する。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明の目的は、ヒーター上でのタール化物の生成が
少なく、長期貯蔵安定性に優れ、繊維を着色させること
がなく、かつ製糸性の良好な、比較的低価格のポリアミ
ド系合成繊維用油剤を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、ポリアミド系合成繊維の紡糸、延伸及
び仮撚等の後加工の各工程において、ヒーター上におけ
るタール状物質の生成が少なく、製糸性が良好で、かつ
長期間の貯蔵安定性に優れたポリアミド系合成繊維用油
剤を得るべく鋭意検討した結果、本発明を完成するにい
たった。 すなわち、本発明は、下記〔A〕成分を30〜50重量
%、下記式〔B〕で示される化合物を10重量%以上と、
下記式〔I〕で示される化合物を0.1〜10重量%含有す
ることを特徴とするポリアミド系合成繊維用油剤であ
る。 〔A〕アルキレンオキシド共重合体 〔B〕R1−〔CO(A)pO−R2〕q 上記式〔B〕,〔I〕において、 A:炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 R1:炭素数7〜21のカルボン酸残基、または 炭素数4〜12のジカルボン酸残基、 R2:炭素数4〜22のアルコール残基、 R3:炭素数6〜22のアルキル基、 m及びn:1〜10の整数、 m+n:2〜20の整数、 p:2〜50の整数、 q:1または2の整数 である。 上記式〔I〕で示されるアミン化合物は、アルキレン
オキシド共重合体の長期貯蔵中の変質を防止すると共
に、ヒーター上でのタール化量を減少するのに有効であ
る。このアミン化合物の含有量は0.1〜10重量%である
ことが必要であり、1〜7重量%の範囲が好ましい。含
有量が0.1重量%未満の場合には、繊維の長期貯蔵中に
起こるアルキレンオキシド共重合体の変質の防止効果が
不充分である。含有量が10重量%を超える場合には耐熱
性が悪化しタール化量が増大するので好ましくない。 特に、カルボキシル末端基量とアミノ末端基量との差
が30ミリグラム当量/kg以上であるポリアミド系合成繊
維にアルキレンオキシド共重合体が付与された際に、該
共重合体に起こる長期貯蔵中の大きな変質の防止に、本
発明のアミン化合物は極めて良好な効果を示す。なお、
このようなポリアミド系合成繊維のカルボキシル末端基
量は60〜100ミリグラム当量/kg、アミノ末端基量は30〜
50ミリグラム当量/kgである。 本発明で用いる式〔I〕で示される特定のアミン化合
物は公知の方法で製造することができ、例えば、脂肪族
一級アミンにアルキレンオキシドを付加させることによ
り得られる。脂肪族一級アミンとしては、ヘキシルアミ
ン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミ
ン等の炭素数6〜22のアルキル基を有する一級アミンが
ある。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等がある。
これらは単独または混合付加のいずれであってもよい。
混合付加の場合、ブロック付加様式およびランダム付加
様式のどちらでも採り得る。 式〔I〕において、mまたはnのいずれかが0である
と耐熱性を著しく損なう。また、(m+n)が20より大
きくなると長期貯蔵安定性の向上効果が小さくなる。 油剤を構成する〔A〕成分としてのアルキレンオキシ
ド共重合体は公知の方法によって得られる。一般的に、
一価アルコールまたは二価以上の多価アルコール及びア
ルキルフェノール等の活性水素を有する化合物にエチレ
ンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等
のアルキレンオキシドを付加することにより得られる。
分子量は、仮撚工程における揮散や高温高速下での潤滑
性能を考慮すると、450〜6000が望ましい。 油剤を構成する〔A〕成分の量は30〜50重量%であ
る。〔A〕成分に該当する二種以上の化合物を用いるこ
ともできる。〔A〕成分が50重量%を越えると充分満足
すべき製糸性が得られない。30重量%未満では十分な耐
熱性が得られない。 油剤を構成する〔B〕成分は、炭素数4〜22の一価ア
ルコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブ
チレンオキシドを単独または混合付加し、さらに脂肪酸
とエステル化反応させることによって得られる。また、
一価アルコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシ
ドを単独または混合付加し、さらに二塩基酸でエステル
化させて得られるジエステルでもよい。 〔B〕成分の例としては、ラウリルアルコールのエチ
レンオキシド5モル付加物のラウリン酸エステル、オク
チルアルコールのエチレンオキシド5モル、プロピレン
オキシド5モル付加物のカプリン酸エステル、イソステ
アリルアルコールのエチレンオキシド3モル、プロピレ
ンオキシド2モル付加物のアジピン酸ジエステル等があ
げられる。〔B〕成分に該当する2種以上の化合物を用
いることもできる。 〔B〕成分は、分子構造において両末端が長鎖のアル
キル基で封鎖され、かつエステル結合を有しているた
め、〔A〕成分に比較して非常に油性に優れており、常
温のみならず高温での高速、高接圧下においても優れた
潤滑性を発揮でき、しかも、〔B〕成分は分子構造中に
加熱により容易に分解し易いポリアルキレングリコール
基を含有しているため、タール化が通常のエステル、例
えばオレイルオレエート、ジオレイルアジペート等の脂
肪酸と高級アルコールのエステルに比較すると極めて少
ない。 〔B〕成分は400〜2000の分子量をもつものが特に好
ましい。分子量が400以下ではヒーター上で糸上から揮
散し、また、2000以上では粘度上昇によって潤滑性が低
下するため製糸性の点で充分満足すべき結果は得られな
い。 油剤を構成する〔B〕成分の量は、10重量%以上、好
ましくは20〜60重量%である。〔B〕成分が10重量%未
満の場合には潤滑性不足により発明の目的の一つである
製糸性向上に効果を示さない。 本発明の油剤には、本発明の効果を損なわない程度に
おいて合成繊維用油剤に常用される成分、例えば、脂肪
酸アルキルエステル、鉱物油の平滑剤成分;ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、部分エステル、多価アルコールの
エチレンオキシド付加物等の非イオン性乳化剤成分;ア
ルカンスルホネート、アルキルホスフェート、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテルホスフェート等のアルカ
リ金属塩、脂肪酸石けん、アルキルイミダゾリン系活性
剤、ベタイン系活性剤等の帯電防止剤成分を配合しても
かまわない。 本発明の油剤を適用するに際しては、有機溶剤に溶解
するか、または水エマルジョン液として、ローラー給
油、ガイドオイリング等の公知の供給方法で紡糸工程、
延伸工程または延伸後に供給する。 以下に、本発明において用いられる油剤の性能特性の
評価方法について述べる。 <長期安定性> 下記放置条件にて一定期間放置した繊維から四塩化炭
素を溶媒としてソックスレー抽出した後、四塩化炭素を
留去し回収した油剤を、GPC〔東洋曹達(株)製HLC−80
2A型〕を用いてテトラヒドロフランを溶媒として分析
し、アルキレンオキシド共重合体の平均分子量を求め、
該共重合体の分子量低下の有無を評価する。 <繊維の着色> 下記放置条件にて一定期間放置した繊維の着色の有無
を肉眼にて評価する。 繊維の放置条件 繊維をポリエチレン製袋に入れ、口を軽く閉じ、これ
を50℃恒温槽中に放置する。 <タール化率> 試料2gを直径60mm、深さ5mmのステンレス皿に精秤
し、215℃の循環式熱風オーブン中で16時間処理し、残
分をテトラヒドロフランで洗浄後テトラヒドロフラン不
溶分の重量を測定し、次式によりタール化率を求める。 タール化率(%)={テトラヒドロフラン不溶分
(g)} ×100/{試料採取量(g)} <製糸性> 100時間の紡糸中に発生した断糸数及び100個のボビン
の肉眼判定の結果得られた綾落発生ボビン数にて評価す
る。 〔発明の効果〕 本発明の油剤は、製糸時の断糸及び巻取ったボビンの
綾落がほとんどなく、紡糸、延伸、及び仮撚等の後加工
の各工程でのヒーター上でのタール状物質の生成が少な
く、かつ極めて良好な長期安定性を示し、繊維の着色を
生じせしめないという特長を有し、ポリアミド系合成繊
維用油剤としては最適である。 〔実施例〕 次に、本発明を実施例について具体的に説明する。 実施例1 相対粘度(90%の蟻酸溶液に8.4重量%の試料を溶解
し、25℃において常法により測定)40、アミノ末端基量
(90%フェノール水溶液50ml中に試料6gを溶解し、0.05
N−塩酸で中和滴定して測定)34ミリグラム当量/kg、カ
ルボキシル末端基量(ベンジルアルコール50ml中に試料
4gを溶解し、0.1N−水酸化ナトリウムで中和滴定して測
定)87ミリグラム当量/kgのナイロン66を4700m/分の紡
糸速度で溶融紡糸するに際し、紡糸糸条に表1に示す油
剤を、濃度10重量%のエマルジョンとして、付着量が0.
7重量%になるように定量オイリング装置を用いて付着
させて、36デニール/10フイラメントの糸条を得た。 この糸条を、50℃の温度下に56日間放置したときのア
ルキレンオキシド共重合体の平均分子量の変化及び糸条
の着色状況を表2に示す。また、製糸性及び油剤のター
ル化率を表3に示した。 本発明の油剤が長期安定性に優れ、着色も生じず、か
つ製糸性に優れると共にタール化が少ないことは表2,3
から明らかである。 実施例2 実施例1と同様にして、表4に示す末端基量のナイロ
ン66に、表1のNo.4,7の油剤を付着させた糸条を50℃の
温度下に56日間放置したときのアルキレンオキシド共重
合体の平均分子量の変化状況を表5に示した。 カルボキシル末端基量とアミノ末端基量との差が30以
上であるポリアミド糸条にアルキレンオキシド共重合体
が用いられる際には該共重合体の長期安定性が大きく劣
ること及びその際の長期安定性の向上に本発明の油剤が
極めて大きな効果を有することは表5より明らかであ
る。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.下記〔A〕成分を30〜50重量%、下記式〔B〕で示
される化合物を10重量%以上と、下記式〔I〕で示され
る化合物を0.1〜10重量%含有することを特徴とするポ
リアミド系合成繊維用油剤。 〔A〕アルキレンオキシド共重合体 〔B〕R1CO(A)pO−R2〕q 上記式〔B〕,〔I〕において、 A:炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 R1:炭素数7〜21のカルボン酸残基または 炭素数4〜12のジカルボン酸残基、 R2:炭素数4〜22のアルコール残基、 R3:炭素数6〜22のアルキル基、 m及びn:1〜10の整数、 m+n:2〜20の整数、 p:2〜50の整数、 q:1または2の整数 である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62084863A JP2664372B2 (ja) | 1987-04-08 | 1987-04-08 | ポリアミド系合成繊維用油剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62084863A JP2664372B2 (ja) | 1987-04-08 | 1987-04-08 | ポリアミド系合成繊維用油剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63256770A JPS63256770A (ja) | 1988-10-24 |
JP2664372B2 true JP2664372B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=13842643
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62084863A Expired - Lifetime JP2664372B2 (ja) | 1987-04-08 | 1987-04-08 | ポリアミド系合成繊維用油剤 |
Country Status (1)
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---|---|
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Families Citing this family (2)
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JPS58220822A (ja) * | 1982-06-17 | 1983-12-22 | Teijin Ltd | 合成繊維の製造法 |
-
1987
- 1987-04-08 JP JP62084863A patent/JP2664372B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63256770A (ja) | 1988-10-24 |
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