JP2659396B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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由紀雄 井手
孝一 大嶋
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Description

【発明の詳細な説明】 [技術分野] 本発明は電子写真用感光体、特に光導電層の表面に表
面保護層を有する電子写真用感光体の改良に関する。
[従来技術] 従来、電子写真用感光体としては、導電性支持体上に
セレンないしセレン合金を主体とする光導電層を設けた
もの、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機光導電材料
をバインダー中に分散させたもの、ポリ−N−ビニルカ
ルバゾールとトリニトロフルオレノンあるいはアゾ顔料
などの有機光導電材料を用いたもの及び非晶質シリコン
を用いたもの等が一般に知られている。
これらの感光体に対して長時間高画質を保つ信頼性の
要求が年々高まっている。しかし光導電層が露出してい
る場合、帯電過程のコロナ放電による損傷と複写プロセ
スで受ける他部材との接触による物理的あるいは化学的
な損傷が感光体の寿命を損なうものであった。
このような欠点を解消する方法として感光体表面に保
護層を設ける技術が知られている。具体的には感光層の
表面に有機フィルムを設ける方法(特公昭38−1544
6)、無機酸化物を設ける方法(特公昭43−14517)、接
着層を設けた後絶縁層を積層する方法(特公昭43−2759
1)、或いはプラズマCVD法・光CVD法等によってa−Si
層、a−Si:N:H層、a−Si:O:H層等を積層する方法(特
開昭57−179859、特開昭59−58437)が開示されてい
る。
しかしながら保護層が電子写真的に高抵抗(1014Ω・
cm以上)になると、残留電位の増大、くり返し時の蓄積
等が問題となり、実用上好ましくない。
上記欠点を補う技術として保護層を光導電層とする方
法(特公昭48−38427、特公昭43−16198、特公昭49−10
258、USP−2901348)、保護層中に色素やルイス酸に代
表される移動剤を添加する方法(特公昭44−834、特開
昭53−133444)、或いは金属や金属酸化物微粒子の添加
により保護層の抵抗を制御する方法(特開昭53−3338)
等が提案されている。
しかし、このような場合には保護層による光の吸収が
生じ感光層へ到達する光量が減少するため、結果とし
て、感光体の感度が低下するという問題が生じる。
このような観点から特開昭57−30846に提案されてい
るように平均粒径0.3μm以下の金属酸化物微粒子を抵
抗制御剤として保護層中に分散させることにより、可視
光に対し実質的に透明にする方法がある。これらの保護
層を持った感光体は感度低下も少なく、保護層の機械的
強度も増し、耐久性が向上する。しかし長期使用した場
合、高湿あるいは急激な湿度変化の環境下で画像流れが
生ずるという欠点を持つことが判明した。この画像流れ
を防止する方法として特開昭62−295066に提案されてい
るように保護層に分散する金属及び金属酸化物微粉末を
発水処理する方法が提案されているが効果が充分でなく
残留電位が上昇する等の副作用が生じる。
[目 的] 本発明の目的は高い透明性、機械的強度を備え、特に
湿度等の環境条件の変化に対して安定な保護層を設ける
ことにより、高画質かつ耐久性のある電子写真用感光体
を提供することにある。
[構 成] 上記の目的を達成するため、本発明の構成は導電性支
持体上に光導電層および表面保護層を順次積層した電子
写真感光体において表面保護層が金属酸化物微粉末を結
着樹脂中に分散した層からなり、かつ金属酸化物微粉末
がC7F15NCO、RnSi(NCO)4-n(Rはアルキル、アリー
ル、アルニケル、nは1〜3の整数)、(RO)nSi(NC
O)4-n(Rおよびnは前記式におけるRおよびnと同
義)、およびSi(NCO)からなる群から選ばれた少な
くとも1種で表面処理されたことを特徴とするものであ
る。
本発明に用いられる金属酸化物微粉末としては、酸化
スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ア
ンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化
スズ、スズをドープした酸化インジウム等の微粉末を用
いることができる。これら金属酸化物微粉末は2種以上
混合しても構わない。金属酸化物微粉末の平均粒径は0.
3μm以下好ましくは0.1μm以下にあることが保護層の
透過率の点から好ましい。
又表面処理の方法はC7F15NCO、RnSi(NCO)4-n、(R
O)nSi(NCO)4-n、およびSi(NCO)からなる群から
選ばれた少なくとも1種を0.1〜10%の濃度となるよう
に適当な溶媒で希釈し、その中に金属酸化物微粉末を混
ぜ、撹拌し十分撹拌した後、溶媒を除去し、乾燥すれば
良い。
本発明に使用する上記イソシアネート化合物において
一般式中のRのアルキルとしてはメチル、エチルなど低
級アルキルが好ましい。
アルケニルとしてはエテニル、プロペニルなどの低級
アルケニルが好ましい。
またアリールとしてはフェニル、ベンジル、等が好ま
しい。
本発明に用いられる結着樹脂としては、シリコーン樹
脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹
脂等が例示できる。本発明において保護層は上記イソシ
アネート化合物で表面処理した金属酸化物微粉末を結着
樹脂溶液に分散し、光導電層上に塗布、乾燥することに
より得ることができる。なお保護層中には分散性、接着
性あるいは平滑性を向上させる目的で種々の添加剤を加
えても良い。
本発明に用いられる光導電層としては、Se、Se−Te、
As2Se3等のSe合金、ZnO、CdS、CdSe等のII−VI族化合物
の粒子を樹脂に分散させたもの、ポリビニールカルバゾ
ール等の有機光導電材料あるいはa−Si等が用いられ
る。
本発明の金属酸化物粉末の表面処理に用いられるイソ
シアネート化合物としてはトリメチルシリルイソシアネ
ート(CH33SiNCO、ジメチルシリルジイソシアネート
(CH3・Si(NCO)、メチルシリルトリイソシアネ
ートCH3Si(NCO)、ビニルシリルトリイソシアネート
CH2=CHSi・(NCO)、フェニルシリルトリイソシアネ
ートSi(NCO)、テトライソシアネートシランSi(NC
O)、エトキシシラントリイソシアネートC2H5OSi(NC
O)等が例示できる。
光導電層の構成は特に制約がなく単層でも電荷発生層
と電荷輸送層の積層であってもかまわない。
さらに保護層と光導電層との間に密着性を高めるため
の接着層や電荷注入を阻止するための電気的バリアー層
を設けてもよい。
導電性支持体としては導電体あるいは導電処理をした
絶縁体が用いられる。たとえばAl、Ni、Fe、Cu、Auなど
の金属あるいは合金、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au
等の金属あるいはIn2O3、SnO2等の導電材料の薄膜を形
成したもの、導電処理をした紙等が例示できる。
また導電性支持体の形状は特に制約はなく必要に応じ
て板状、ドラム状、ベルト状のものが用いられる。
以下本発明に於ける実施例および比較例を示す。
比較例 アルミニウム素管(80mmφ×340mmL)を前処理(洗
浄)を施した後、真空蒸着装置内にセットしAs2Se3合金
を支持体上の膜厚が60μmになるように下記条件で抵抗
加熱蒸着を行い光導電層を作製した。
蒸着条件 真空度 3×10-6Torr 支持体温度 200℃ ボート温度 450℃ 次にこの光導電層にシリコーン樹脂(東レシリコーン
社製AY42−441)のリグロイン溶液を乾燥後0.2μmの厚
さになるように塗布し中間層を作製した。
さらにこの上にスチレン−メタクリレート−アクリル
酸−N−メチロールアクリルアミド樹脂液(固形分40wt
%)30重量部と酸化スズ18重量部と適当量の溶媒を加
え、ボールミルにて100時間分散した分散液を浸漬塗布
し120℃で30分間乾燥し5μmの保護層を設けて電子写
真感光体とした。
実施例1 C7F15NCO(三菱金属)5重量部メタノール495重量部
からなる溶液に酸化スズ50重量部を加え2時間撹拌し、
続いて濾過し溶媒を除去した後120℃、2時間の乾燥を
行ってC7F15NCOで表面処理した酸化スズ微粉末を得た。
酸化スズを上記C7F15NCOで表面処理した酸化スズ微粉末
に代えた他は比較例とまったく同様にして感光体を作製
した。
実施例2 80mmφ×340mm(長さ)のAlドラム支持体を真空蒸着
装置内にセットし、またこの装置の蒸着源ボートにAs2S
e3合金を入れ、真空度3×10-6Torr、支持体温度200
℃、ボート温度450℃の条件で蒸着を行い、支持体上に6
0μm厚の光導電層を形成した。次にこの上に、a)ア
ルコキシ基含有ポリシロキサンとb)水酸基含有ポリシ
ロキサンと、c)炭素原子に結合したアミノ基、イミノ
基又はニトリル基を少なくとも1個及びアルコキシ基が
2〜3個結合した珪素原子を有する有機珪素化合物とを
主成分とするシリコーン樹脂A(東レシリコーン社製AY
42−440)と前記a)、b)及びc)の成分比が異なる
シリコーン樹脂B(東レシリコーン社製AY42−441)と
の等量(重量)混合物のリグロイン溶液を塗布し、120
℃で1時間乾燥して0.15μm厚の電気的バリアー層を形
成した。
次にジメチルシリルジイソシアネート(松本製薬工業
社製オルガチックスSI220)3重量部、酢酸nブチル497
重量部から成る溶液に酸化スズ粉末50重量部を混ぜスタ
ーラーで2時間撹拌後、溶剤と酸化スズ粉末を濾別、こ
の酸化スズ粉末に対して酢酸nブチルで洗浄を行った後
120℃、2時間の乾燥を行い、珪素化合物で処理された
酸化スズ粉末を得た。
上記の様に表面処理した酸化スズ粉末18重量部とスチ
レン−メタクリル酸−アクリル酸−N−メチロールアク
リルアミド共重合体の40wt%トルエン−ブタノール(9:
1比)溶液30重量部と適量のトルエン−ブタノール(9:1
比)混合溶媒とをホールミルで120時間分散し、これを
前記電気的バリアー層上に塗布し130℃で30分間乾燥し
て5μm厚の表面保護層を形成することにより、電子写
真用感光体を作製した。
実施例3 酸化スズ粉末の処理溶液をトリメチルシリルイソシア
ネート(松本製薬工業社製オルガチックスSI130)2重
量部テトライソシアネートシラン(松本製薬工業社製オ
ルガチックスSI400)1重量部、酢酸nブチル497重量部
から成る溶液に代えた他は実施例2と全く同様にして電
子写真用感光体を作製した。
上記の様にして得た電子写真用感光体に対して100000
枚の複写を行い、次に30℃90%RH及び22℃56%RHの環境
下で複写を行った。この時の解像力の評価結果を表−1
に示す。
表1より本発明による電子写真用感光体は長期間の使
用後に湿度等環境条件が変化しても安定した高い解像力
を示す良好な電子写真用感光体であることがわかる。
[発明の効果] 本発明によれば長期の使用に際し高湿下で生じる画像
流れを防止でき、信頼性の高い保護層を持つ電子写真用
感光体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大嶋 孝一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 小島 成人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 納所 伸二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に光導電層および表面保護
    層を順次積層した電子写真用感光体に於いて表面保護層
    が金属酸化物微粉末を結着樹脂中に分散した層からな
    り、かつ金属酸化物微粉末がC7F15NCO、RnSi(NCO)4-n
    (Rはアルキル、アリール、アルケニル、nは1〜3の
    整数)、(RO)nSi(NCO)4-n(Rおよびnは前記式に
    おけるRおよびnと同義)、およびSi(NCO)からな
    る群から選ばれた少なくとも1種で表面処理されたこと
    を特徴とする電子写真用感光体。
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