JP2657734B2 - Cr系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

Cr系ステンレス鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Nbを含むCr系(フ
ェライト系)ステンレス鋼の熱延板表面に発生すること
がある、所謂スケール疵を効果的に防止する熱処理方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼熱延板の表面
にスケール疵が生じると、この疵は熱延板の酸洗後も残
存し、さらに冷間圧延後の材料表面にも引き継がれ、こ
の種ステンレス鋼薄板の重要な特性である表面の美観を
著しく損なうのみならず、発銹の起点にもなるところか
ら、これを除去すべく酸洗回数を増加するか或いは材料
表面研削工程を増加する等の処理を施すことを余儀なく
されていた。熱延板表面に生じるスケール疵には幾つか
の形態が認められるが、その断面は微小なヘゲ状を呈し
ており、金属の“かぶさり”の下に酸化物が食い込む形
で存在しているものが大多数である。
【0003】従来から熱延板表面にこうした疵が生じる
ことを抑制する技術が幾つか開示されている。例えば特
開昭58−29897号公報には、スケール疵および割
れ疵が熱間圧延中のロールと材料間の機械的作用および
そこでの環境に支配される電気化学的な作用に影響され
るという考え方から、燐酸塩、酢酸塩、炭酸塩、安息香
酸塩、金属石鹸および燐酸エステルの1種または2種以
上を適度な範囲で含む水溶液の適当量を、粗熱間圧延機
入り側で材料表面に塗布して熱延板表面に微小疵が生じ
ることを抑制する技術が開示されている。また、特開昭
58−116903号公報には、Fe2 3 、Fe3
4 の潤滑作用を利用してマルテンサイト系ステンレス鋼
の熱延疵の発生を抑制すべく、仕上圧延に先立って上記
酸化物(スケール)生成過程を採る方法が開示されてい
る。
【0004】さらに、特開昭60−170503号公
報、特開昭60−174201号公報、特開昭60−1
74202号公報、特開昭60−184405号公報、
特開昭60−187404号公報および特開昭63−2
54195号公報には、熱延疵の発生は、材料表面と圧
延ロール表面の焼付きにその原因があるとの観点から、
スケールが完全に剥離して金属表面が露出した部分に圧
延中にスケールを再生させるべく、パス間で材料を加熱
すること、パス間で材料を加熱するに際して水蒸気、酸
素ガスの1種または2種を吹き付けてスケールの再生を
助長させること、さらに鉄の水酸化物を水または圧延油
に懸濁したものを材料表面に適用してスケールの再生を
助長させること、鉄の水酸化物に代えてカルボン酸を水
または圧延油に懸濁したものを材料表面に適用してスケ
ールの再生を助長させること、また鉄の酸化物の潤滑作
用を利用する熱間圧延潤滑剤として酸化鉄粉末を水溶性
でない高分子化合物と混合させた組成物を材料表面に適
用することが開示されている。
【0005】また、特開昭61−44120号公報に
は、熱延板の表面疵は粒界割れに起因するという立場か
ら、粒界割れを抑えるためにスラブ表面にMo化合物を
適当量付着させてから加熱し、熱間圧延するようにした
プロセスが開示されている。一方、特開昭61−111
703号公報には、微小な粒界割れを防止するという意
図から、鋼中N量を0.02%以上とし{(スラブ加熱
温度(℃)+(スラブ加熱時間(分))}≦1240と
することによって加熱時に生じるスラブ表層部の粗大粒
の深さを500μm以下とする方法が開示されている。
【0006】しかしながら、これら先行技術は、何れも
圧延工程の途中で異物を混入させるか、または特別の加
熱装置或は懸濁液等の吹き付け、塗布過程を必要とし、
熱間圧延工程における作業負荷の増大が避けられない。
また、スラブに塗布剤を付着させる場合には、加熱段階
で、わけてもスラブの下面の塗布剤の剥離によって効果
が消失するという問題がある。さらに、これら先行技術
は、熱延板表面の微小疵が圧延ロールと材料の焼付き或
は粒界割れの何れかに起因するとしたときの対策である
けれども、熱延板表面の微小疵は、このような原因によ
ると考えられるものもあるが、本発明者等の詳細な観察
によれば、大多数は材料最表面の熱間圧延スケールの存
否に拘らず発生しており、前記原因以外の原因によるも
のであることが強く示唆された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に含Nb
フェライト系ステンレス鋼熱延板表面に生じることがあ
るスケール疵の発生を抑え、熱間圧延に次ぐ酸洗後の再
酸洗や表面研削等の作業負荷の増大の問題を効果的に解
決し、良好な表面性状を有するフェライト系ステンレス
鋼板を可及的に低いコストで製造し得るフェライト系ス
テンレス鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、重量で、(C+N)≦0.04%、Cr≧13
%、Nb:0.3〜1%、TiおよびMoを(5×Ti
+Mo)≦1%、残部Feおよび不可避的不純物からな
るフェライト系ステンレス鋼スラブを、残留酸素濃度
(O2 %)≦4vol%、露点(DP):39℃以上6
0℃未満、かつDP(℃)≧8.44×log O2
+41を満足する雰囲気中、下記式を満足する加熱温
度、均熱時間で加熱および均熱する過程を有することに
より、外層がFeに富む酸化物、内層がCrに富む酸化
物からなる2層の酸化スケールでスラブ全面を覆い、ス
ラブの金属表面を平滑にすることを特徴とする加熱時の
異常酸化ノジュールによる表面疵を防止するNb含有
r系ステンレス鋼の製造方法ある。
【0009】 T≧1180℃ t>4.8(Cr%−13)+2680/(T−1150)−10 ここで、T:スラブ加熱温度(℃) t:スラブ均熱時間(分) Cr%:スラブのCr濃度(%) 以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明者等は、上記熱延板表面のスケール
疵発生の原因を解明すべく、加熱炉出側、熱間圧延工程
における粗圧延機出側、仕上圧延後および酸洗後の各段
階における材料表面を徹底的に調査し、幾つかの再現実
験も試みた結果、以下のような知見を得た。 1)実験室的に耐酸化性が良好な鋼種において、疵が発
生し易い。
【0011】2)加熱炉出側におけるスラブ表面は、疵
が発生し易い鋼種では瘤状の形態のスケールが多数認め
られるか若しくはスケールが極端に厚いところと薄いと
ころが混在した表面であり、瘤状のスケールや厚いスケ
ールの下は周りよりも酸化が深く進行しているため、結
果として金属表面はその部分で窪んでいる。これに対し
疵の出難い鋼種では、全面が一様なかなり厚いスケール
で覆われ、結果として金属表面は凹凸が少ない。
【0012】3)前記厚いスケールと瘤状のスケール
は、疵の出易さによらず何れも二層であり、外層は剥離
し易いFeに富む酸化物であって、内層は密着性の良い
Crに富む酸化物である。 4)スラブ加熱炉の出側におけるスラブ表面に存在する
前記酸化起因の金属表面の窪みは、粗熱間圧延でその縁
が延ばされて「かさぶた」状になってその下の酸化物を
覆う形となり、さらに仕上熱間圧延においてこの形態が
広がるとともに板厚方向においては浅くなり、微小なヘ
ゲ状でその下に酸化物が食い込んだ形の表面疵となる。
この状況は、実験室的にも再確認された。
【0013】5)酸洗後の材料表面に認められるスケー
ル疵は、大部分が前記4)項に述べた表面疵と酷似して
おり、微小ヘゲ状でその下には酸化物が存在している。 6)上記2)で説明した材料金属表面に激しい凹凸をも
たらす不均一な酸化形態は、実験室的には耐酸化性が良
好な鋼種の中でもとりわけNbを含有する鋼種において
発生し易く、また実際の熱延板の表面疵も含Nb鋼にお
いて表面疵の発生頻度が高い。
【0014】7)加熱炉雰囲気における残留酸素濃度の
実測値が低い場合に、表面疵の発生が軽微になる傾向が
ある。 これらの知見に基づいて、本発明者等は、熱延板表面に
発生するスケール疵は、スラブ加熱段階での酸化によっ
て生じる表面の凹凸が圧延によって延ばされて発生する
ものであるとの結論を得た。また、本発明者等は、スラ
ブ加熱段階でのこうした酸化形態を制御し一様な厚さの
酸化物(スケール)を形成すると、含Nbフェライト系
ステンレス鋼においてはスラブ表面の形状がより平滑な
ものとなり、こうした状態で熱間圧延を開始した場合、
鋼の成分や熱間での変形抵抗の如何に拘らずスケール疵
の発生を著しく抑制し得るとの結論を得、本発明を完成
した。
【0015】前述のように、本発明者等は、加熱炉中で
のスラブの酸化によって生じるスラブ金属表面の凹凸
が、続く熱間圧延によって疵となること、また金属表面
の凹凸がより少ないスラブを熱間圧延工程に供給すれ
ば、微小ヘゲ状疵の発生を抑制し得ること、さらに前記
スラブ金属表面の凹凸は加熱炉中における酸化によって
形成されるものであるとの知見を得て本発明を完成する
に至った。
【0016】一般に、加熱炉中におけるステンレス鋼の
酸化は、ステンレス鋼の耐熱特性を発揮せしめる使用環
境下での酸化に比し非常に速度が高く、従って耐熱特性
を発揮せしめる使用環境下で問題となる、所謂異常酸化
現象、即ちCr2 3 主体の保護性酸化皮膜が破壊され
て外層にはFe3 4 やFe2 3 を主体とする酸化物
層が形成され、内層には保護性が低下したCrリッチの
厚い酸化物層が形成されて酸化に対する抵抗が著しく小
さいスラブ表面となる。ステンレス鋼の加熱初期におい
ては、それらが局所的であるため外観が瘤状に見えると
ころから、異常酸化ノジュールと呼ばれ、図1(a)に
示すように、この部分の金属表面は凹部(1)となる。
このような酸化現象が、スラブ加熱炉においては支配的
であり、この異常酸化ノジュールがスラブ表面に点在し
ている状態でスラブを加熱炉から抽出して熱間圧延する
と、スケール疵が多発する。前記異常酸化ノジュールが
拡大成長するに従い連結してスラブ全面が厚い二層スケ
ールで覆われ、図1(b)に示すような状態となったス
ラブを加熱炉から抽出して熱間圧延すると、スラブの金
属表面はむしろ平滑でスケール疵の発生は著しく少な
い。
【0017】この知見に基づいて、本発明者等は、スラ
ブ全表面を所謂異常酸化形態とし、表面疵の発生し難い
状況とするために、スラブ加熱炉中での表面酸化形態の
制御方法について種々検討した結果、加熱温度および時
間とともに加熱炉中の雰囲気の実際のO2 濃度とH2
濃度(露点)のバランスが重要な役割をもち、さらに鋼
成分に基づく酸化抵抗も関係し、これらの因子を或る範
囲内に制御することによって上述した表面状態を現出し
得ることを解明した。即ち、スラブ加熱炉内雰囲気にお
けるO2 濃度がvol%で4%を超えると、スラブ全面
を所謂異常酸化形態とすることが、O2 濃度がvol%
で4%以下である場合よりも困難であり、雰囲気におけ
るH2 O濃度(露点)を変化させても容易にはスラブ全
面を異常酸化形態とすることができず、加熱温度や均熱
時間を高温長時間とする必要があるが、材料によっては
他の要因、例えば材料の融点や加熱炉のスキッド間での
材料(スラブ)のたわみの発生、炉の昇温能力等の制約
から上記表面酸化形態を得るに足る高温を得難い場合や
操業上均熱時間を十分に採り難い場合がある。従って本
発明においては、スラブ加熱炉内雰囲気における酸素
(O2 )濃度をvol%で4%以下とする。また、スラ
ブ加熱炉内雰囲気における酸素(O2 )濃度がvol%
で4%以下であっても、雰囲気におけるH2 O濃度(露
点)が39℃に満たないと、前記と同様の問題がある。
従って、本発明においては、スラブ加熱炉内雰囲気にお
けるH2 O濃度(露点)を39℃以上とする。一方、目
的とする表面酸化形態を効果的に得るためには、H 2
濃度(露点)を60℃未満とする。また、スラブ加熱炉
内雰囲気における酸素(O2 )濃度とH2 O濃度(露
点:DP)の間には、DP(℃)≧8.44×log
2 %+41なる関係を満足するような炉内雰囲気とす
る必要がある。
【0018】スラブ加熱炉内雰囲気における酸素
(O2 )濃度をvol%で4%以下とする条件下に、雰
囲気におけるH2 O濃度(露点)を39℃以上60℃未
かつ前記式を満足する炉内雰囲気とすることによって
スラブ全面を所謂異常酸化形態とすることができ、熱延
板表面にスケール疵が発生することを抑えることができ
る。このような炉内雰囲気であっても、なお材料成分で
決まる酸化抵抗に基づいてスラブ加熱温度と均熱時間を
ある範囲内に制御する必要がある。本発明者等の検討結
果によれば、材料成分に由来する、加熱炉中でスラブ全
面を所謂異常酸化形態とする上での酸化抵抗は、本発明
における成分系のステンレス鋼にあっては、Cr量で整
理することができ、加熱温度(℃)と加熱炉内での均熱
時間(分)は、鋼中のCr wt%との関係において、
T≧1180℃かつt>4.8(Cr%−13)+26
80/(T−1150)−10なる関係を満足する必要
がある。この温度および均熱時間を満足することによっ
て、スラブ全面を所謂異常酸化形態とすることができ、
熱延板表面にスケール疵が発生することを抑えることが
できる。
【0019】次に、本発明が対象とするフェライト系ス
テンレス鋼の成分組成の限定理由を説明する。本発明に
言うスケール疵は、Nbを含有するフェライト系ステン
レス鋼において発生し易い傾向があり、特に(C+N)
量が0.04%以下と低く、かつNbを0.3%以上含
有する鋼において顕著である。本発明は、このようなフ
ェライト系ステンレス鋼に適用したときに効果が大き
い。しかしながら、Nbを1%を超えて添加するとスラ
ブ表面が割れ易くなり、連続鋳造後の冷却中における表
面割れを原因とするスケール疵が発生し易くなる。従っ
て、本発明においては、Nb含有量を0.3%以上、
1.0%以下とする。Nb含有量が0.3%以上、1.
0%以下であって、Cr含有量が13%未満である場合
は疵の発生はそれほど顕著ではなく、また熱間圧延後の
酸洗工程で酸による表面溶解が速く、通常の操業条件下
で、事実上、疵の発生が問題となることが殆どない。従
って、Cr<13%の鋼は本発明の対象外とする。
【0020】TiおよびMnについては、本発明が対象
とする(C+N)量が0.04%以下と低い、所謂高純
フェライト系ステンレス鋼においては、通常Nbととも
に添加されることも少なくないが、本発明者等の検討結
果によれば、TiおよびMoは加熱炉中でのスラブの酸
化形態に強く影響し、所謂異常酸化の発生を抑える傾向
が認められ、スラブ全面を異常酸化形態とする上で障害
となる。本発明者等は種々検討した結果、(5×Ti%
+Mo%)≦1%であれば、本発明を適用してその効果
を損なうことがないことを確かめた。
【0021】また本発明は、加熱炉内でのスラブの金属
表面の酸化形態を制御することによってその効果を引き
出すものであるから、酸化形態に強く影響する他の成分
元素の含有量によってもその効果が左右されるが、通常
のこの種フェライト系ステンレス鋼の成分範囲内であれ
ば問題はない。より具体的には、Siは1%まで、Mn
は1.5%まで、Alは1%程度までであれば、本発明
を適用することができる。また、これ以外の元素につい
ては、通常この種フェライト系ステンレス鋼に添加され
る成分範囲或いは不可避的に混入する範囲内であれば問
題はない。
【0022】一方、加熱前のスラブの表面状態も加熱炉
中での酸化形態に影響することがあるが、本発明の方法
は、鋳放しままの鋳肌或はグラインダ等によって手入れ
した研削表面等通常のフェライト系ステンレス鋼の製造
プロセスにおけると同様のスラブを出発材料とすること
ができる。また、本発明に規定するスラブ加熱条件以外
の条件、即ち加熱炉からのスラブ抽出を含めた熱間圧延
条件は規定しない。
【0023】
【実施例】表1にその化学組成を示すA、B、C、D、
EおよびFの各フェライト系ステンレス鋼の内、A〜C
の3鋼種は実験室的に2ton溶解し、厚さ150m
m、幅200mm、長さ400mmの角材を切り出して
採取し、2スタンドの実験室的な熱間圧延機にて厚さ6
mmにまで圧延して得られた熱延板を、長手方向に50
0mmに切断し、各々を酸洗して表面のスケール疵の発
生程度を検査した。また、D〜Fは生産工場の連続鋳造
にて厚さ250mm、幅1050mm、単重約11to
nのスラブとし、これを工場ラインにて最終厚さ3.8
mmの熱延コイルに熱間圧延した後、酸洗し表面のスケ
ール疵の発生状況を検査した。さらにその際、予め連鋳
スラブ表層から採取したサンプルを同時に加熱炉に装入
し、抽出時のスラブ表面の酸化状況を調査した。
【0024】これらの結果を加熱条件とともに表2に示
す。熱延前の加熱は、実験室的に実施したA〜Cは、プ
ロパンガス燃焼雰囲気の電気炉を用い、残留酸素濃度は
プロパンガスバーナーの空気比と加湿空気(露点75
℃)で調整し、露点は同時吹き込みの加湿N2 ガス(露
点75℃)で調整した。またD〜Fについては、LNG
燃焼雰囲気の通常の生産用の加熱炉を用いた。この場
合、燃焼効率から空気比は通常1.1〜1.2程度で操
炉し、理論計算では残留酸素濃度は4%を超えることは
ないが、現実にはスラブの装入・抽出時の炉蓋の開閉操
作により、或いは炉帯のシール部から外気が混入してO
2 濃度は計算される値よりもかなり高くなり、その結果
スラブが曝される雰囲気での実測O2 濃度は4%を超え
ることも珍しくない。
【0025】表2中、実験室的に調べた圧延No.A−
1では加熱温度が1160℃と低いためノジュール状酸
化形態が激しく、疵の発生も顕著であった。また均熱時
間が不十分なA−2では程度は数は少ないものの、個々
の大きさが長手方向に大きい疵が認められた。また、O
2 濃度と露点との相関関係が本発明の範囲外にあるA−
3でもA−2と同様の疵発生が認められた。さらに、O
2 濃度が高いA−5では加熱温度が高いものの、全面に
点状の疵が発生しており、この時加熱直後の素材表面に
は、ノジュール状酸化が多発していた。これに対し、本
発明法によるA−4ではスケール疵の発生が皆無であっ
た。
【0026】同様にCr量が低いB鋼での結果も、本発
明の方法を採用したB−3には疵は認められなかった。
一方、5×Ti%+Mo%が1%を超えるC鋼では、本
発明の方法の範囲内の条件で加熱したにも拘わらず、多
数の疵が発生した。次に実機生産ラインで試験した結果
について説明する。D−3、E−2、F−2は前述した
ような外気の混入を想定して、空気比をやや低めて0.
9程度として操炉したものである。本発明法による、D
−1、D−2、E−1、F−1およびF−3では、いず
れもスラブ加熱直後の表面には、いわゆる異常酸化ノジ
ュールの点在、即ち酸化によって生じる金属表面の凹凸
がなく、全面が均一な厚さの厚い二層の酸化スケールで
覆われており、このうち外層側のスケールは熱延前に容
易に剥離し、除去されるのであるが、これらの熱延後の
表面にはスケール疵は認められなかった。これらのこと
より、本発明によれば熱延板表面のスケール疵が有効に
防止できることが明らかである。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明によってNbを
含有するCr系ステンレス熱延板の表面に生じるスケー
ル疵の発生を抑制できる。これにより、含Nb−Cr系
ステンレス鋼熱延板の表面品質は向上し、またスケール
疵を除去するための工程を省略することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェライト系ステンレス鋼をスラブ加熱炉内で
熱延のために加熱した際、その表面に発生する酸化状況
の一例を示す断面の金属顕微鏡写真の模式図で、(a)
は加熱初期におけるスラブ表面の局所的な異常酸化ノジ
ュールの生成状態を示し、(b)は異常酸化ノジュール
が拡大成長した状態を示す。
【符号の説明】
1 酸化によって形成された金属表面の凹部 2 金属部(スラブ) 3 スラブ金属表面 4 異常酸化ノジュール 5 異常酸化が全面を覆った厚い二層スケール5−1 Feリッチ酸化スケール層 5−2 Crリッチ酸化スケール層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久禮 幸弘 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 三上 尚史 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭63−123516(JP,A) 「鉄と銅」69〔6〕(1963)富士川, 村山,藤野 P.678〜685

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で、(C+N)≦0.04%、Cr
    ≧13%、Nb:0.3〜1%、TiおよびMoを(5
    ×Ti+Mo)≦1%、残部Feおよび不可避的不純物
    からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを、残留酸素
    濃度(O2 %)≦4vol%、露点(DP):39℃以
    上60℃未満、かつDP(℃)≧8.44×log O
    2 %+41を満足する雰囲気中、下記式を満足する加熱
    温度、均熱時間で加熱および均熱することにより、外層
    がFeに富む酸化物、内層がCrに富む酸化物からなる
    2層の酸化スケールでスラブ全面を覆い、スラブの金属
    表面を平滑にすることを特徴とする加熱時の異常酸化ノ
    ジュールによる表面疵を防止するNb含有Cr系ステン
    レス鋼の製造方法。 T≧1180℃ t>4.8(Cr%−13)+2680/(T−1150)−10 ここで、T:スラブ加熱温度(℃) t:スラブ均熱時間(分) Cr%:スラブのCr濃度(%)
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