JP2657607B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその塗装体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその塗装体

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JP2657607B2
JP2657607B2 JP5608093A JP5608093A JP2657607B2 JP 2657607 B2 JP2657607 B2 JP 2657607B2 JP 5608093 A JP5608093 A JP 5608093A JP 5608093 A JP5608093 A JP 5608093A JP 2657607 B2 JP2657607 B2 JP 2657607B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗装性に優れたポリオレ
フィン系熱可塑性樹脂組成物およびその塗装体に関する
ものである。さらに詳しくはトリクロロエタン処理およ
びプライマー処理なしで塗装が可能なポリオレフィン系
熱可塑性樹脂組成物およびその塗装体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物は
各種成形性に優れ、自動車、船舶等輸送用機器の内装や
外装、家電、事務機器、家具、日用品、雑貨、建築とい
った広範囲な産業分野における各種構造材料として用い
られている。これら熱可塑性樹脂組成物の成形物は、表
面の保護、彩色といった目的のためしばしば塗装が施さ
れ塗装体として供与される。しかしポリオレフィン系熱
可塑性樹脂組成物は非極性の材料であり塗料との親和性
が低いため、その塗装にあたっては各種の前処理を必要
とする。これら前処理としてはプライマー処理、コロナ
処理等が一般的に知られている。
【0003】プライマー処理は塩素化ポリオレフィンの
ようなポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物と塗料の両
者に対して親和性を有する化合物を成形体に塗布し、成
形体と塗料との親和性を向上させるものである。
【0004】しかしながらプライマーは高価であり、多
量の溶剤を含むためこれを揮散するための高温、長時間
の乾燥工程が必要である。さらにプライマー処理に於い
ては、プライマーを塗布する前にトリクロロエタン(T
CE)の蒸気処理を行い、成形体とプライマーの密着性
を向上させる必要がある。プライマー処理はこのような
短所を有しており、特にTCEの使用は環境汚染の問題
で、近年その使用が規制される方向にある。
【0005】コロナ放電処理は成形体表面を改質し塗料
と成形体の親和性を改善する方法であるが、成形体の形
状的な制限、処理装置のための設備投資が必要である。
【0006】これら処理を行うことなく熱可塑性樹脂組
成物成形体に直接塗装を施せれば、工程の短縮の利点が
あるのみならず、溶剤やTCEのような有害性物質を使
用しないで塗装体を与えることが可能なため、工程の削
減、設備投資が不要となるなど非常に好ましいものであ
る。
【0007】熱可塑性樹脂組成物に塗装性を付与する試
みとしては、例えば特開平1−259047、特開平1
−259048、特開平1−259049などの提案が
挙げられる。
【0008】特開平1−259047ではペルオキシド
架橋型オレフィン系共重合体ゴム、オレフィン系樹脂お
よび1個以上のアミノ基を有する単量体からなる混合物
を有機過酸化物で動的に熱処理されてなる熱可塑性樹脂
組成物に不飽和カルボン酸誘導体を加熱下にブレンドす
る方法が提案されている。
【0009】また特開平1−259048および特開平
1−259049ではペルオキシド架橋型オレフィン系
共重合体ゴム、オレフィン系樹脂および不飽和カルボン
酸またはこれらの誘導体からなる混合物を有機過酸化物
で動的に熱処理されてなる熱可塑性樹脂組成物に少なく
とも1個以上のアミノ基を含有する単量体を加熱下にブ
レンドする方法が開示されている。しかしながらこれら
において塗装性の向上は十分なものでなく、その指標の
一つである塗膜密着強度の値は大きくない。
【0010】更にヒドロキシル基を有する化合物で変性
された熱可塑性樹脂組成物としては特開昭64−852
06のものが挙げられる。この発明においてはペルオキ
シド架橋型オレフィン系共重合体ゴム、オレフィン系樹
脂および不飽和エポキシ単量体もしくは不飽和ヒドロキ
シ単量体を有機過酸化物で動的に熱処理されてなる熱可
塑性樹脂組成物が開示されているが、この熱可塑性樹脂
組成物の塗装性についてはなにも開示されていない。
【0011】また特開昭58−191706、特開昭6
0−55012および特開昭60−55052には不飽
和ヒドロキシ化合物で変性された変性ポリプロピレンと
エチレンプロピレン共重合体ゴムからなる組成物が開示
されているが、その塗膜密着強度は必ずしも高くない。
特開平4−272938および特開平4−272948
は、ポリオレフィン樹脂に(i)末端水酸基を有するジ
エンポリマー又はその水素添加物あるいはエチレンと水
酸基含有不飽和化合物との共重合体、(ii)有機スズ化
合物、(iii) 第3級アミン化合物と、更に任意成分とし
てスチレン系あるいはオレフィン系(たとえばエチレン
系)エラストマーを配合することにより塗装性を向上し
た樹脂組成物を開示している。しかしながらこれら組成
物の塗装性もいまだ充分満足のいくものではない。この
ようにこれら樹脂組成物から得られる成形体は、そのま
ま塗装を施しても塗膜の剥離が起こり易いため、前記の
ような前処理なしで彩色や表面保護といった目的を達成
することが困難である。
【0012】塗装方法、塗装された成形体としては特開
平3−151768、特開平3−151769、特開平
3−278862、特開平3−278863、特開平4
−7112、特開平4−93330、特開平4−103
640が開示されている。しかしながら、これらはプラ
イマーを用いないことを明示してはいるが、ほとんどが
TCE処理を施しており、前処理なしでは十分な塗装体
を得ることができない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はTCE処理お
よびプライマー処理の両者とも行うことなく成形体に直
接塗装、特にウレタン塗装が施せるポリオレフィン系熱
可塑性樹脂組成物および該組成物からなる成形体を塗
料、特にウレタン塗料により塗装された塗装体を提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは塗装性に優
れた熱可塑製樹脂組成物を得るべく検討を重ねた結果 (a)不飽和ヒドロキシ化合物あるいは不飽和カルボン
酸でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含
む樹脂成分 ・・・20〜80重量部 (b)エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、イソプ
レン−イソブチレン共重合体ゴム及びスチレン系エラス
トマ−の中から選ばれる少なくとも一つの共重合体ゴム
を含むゴム成分 ・・・80
〜20重量部 (c)末端に官能基を有するオリゴマーを(a)成分と
(b)成分の両者の合計量100重量部に対し、0.1
〜20重量部配合されていることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物を開発することにより上記の目的を達成し
た。
【0015】以下本発明について詳細に説明する。本発
明において樹脂成分に含まれる不飽和ヒドロキシ化合物
あるいは不飽和カルボン酸化合物(以下変性剤という)
でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂(以下
変性ポリオレフィン系樹脂という。)は、本熱可塑性樹
脂組成物とウレタン塗料との塗膜密着強度を発現させる
ための主体となるものである。
【0016】変性ポリオレフィン系樹脂は、未変性のポ
リオレフィン系樹脂を有機過酸化物の存在下、変性剤と
共に熱処理する事により得られるものである。具体的に
は例えばポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物および変
性剤をヘンシェルミキサー等で予め混合した後、通常の
2軸押出機や単軸押出機、バンバリーミキサー等の混練
機で加熱混練することにより調製することができる。混
練時の温度は用いる樹脂、有機過酸化物の種類によって
異なるが、一般的には100℃〜300℃の間である。
【0017】ここで用いることが出来るポリオレフィン
系樹脂の例としては低密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−
プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン等、および
これらの混合物が挙げられる。これらのうち耐熱性の点
からプロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンブ
ロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポ
リマー等の結晶性ポリプロピレン系樹脂およびこれらの
混合物が好ましく、なかでも熱可塑性樹脂組成物に要求
される塗装性向上のためには、エチレン−プロピレンブ
ロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポ
リマーのうちすくなくとも1以上を含むものが好まし
い。
【0018】エチレン−プロピレンランダムコポリマー
中のエチレン含量は20重量%未満が好ましく、エチレ
ン含量が20重量%以上では耐熱性が低下する。耐熱性
と弾性のバランスという点では、エチレン−プロピレン
ランダムコポリマーのエチレン含量は3重量%から15
重量%が好適であり、さらに好適には5重量%から10
重量%である。
【0019】また、これらエチレン成分とプロピレン成
分以外の任意の共重合体単量体成分として、発明の効果
を著しく損なわない範囲(例えば、15重量%以下、好
ましくは10重量%以下)で1−ブテン、3−メチル−
1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、4−メチル−1
−ペンテン、1−ヘキセン、1−ペンテン等のα−オレ
フィンが共重合されたものであってもよい。
【0020】有機過酸化物としてはジベンゾイルパーオ
キサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−
ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサ
ン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−
ジメチル−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
t−ブチルパーオキシベンゾエート等が使用可能であ
り、これらは可塑剤、炭酸カルシウム、ホワイトカーボ
ン等の不活性物質で希釈されていてもかまわない。配合
量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.0
1〜3重量部であり、変性剤である不飽和ヒドロキシ化
合物や不飽和カルボン酸化合物のグラフト量を高くする
ために0.2以上かつポリオレフィン系樹脂の著しい架
橋や分子量低下を防ぐため2重量部以下であることが好
ましい。
【0021】また変性剤として用いられる不飽和ヒドロ
キシ化合物としては、ヒドロキシエチルアクリレート、
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピル
アクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポ
リエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレン
グリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコ
ールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノ
メタクリレート、グリセロールモノまたはジアクリレー
ト、グリセロールモノまたはジメタクリレート、トリメ
チロールプロパンモノまたはジアクリレート、トリメチ
ロールプロパンモノまたはジメタクリレート、エチレン
グリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコール
モノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエー
テル、オルト、メタ、およびパラヒドロキシメチルスチ
レン等およびこれらの混合物があげられる。
【0022】これらのうちヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、オキシエチレン鎖重合度10以下のポリエチレング
リコールモノアクリレート、オキシエチレン鎖重合度1
0以下のポリエチレングリコールモノメタクリレート、
オキシプロピレン鎖重合度10以下のポリプロピレング
リコールモノアクリレート、オキシプロピレン鎖重合度
10以下のポリプロピレングリコールモノメタクリレー
トがグラフト変性が容易であることおよび塗装性が特に
良好であることから好ましい。
【0023】また本発明における変性ポリオレフィン系
樹脂の他の様態には次のものがある。すなわちヒドロキ
シ基を有さない不飽和化合物で未変性のポリオレフィン
系樹脂をグラフト変性した後、グラフトされた該不飽和
化合物に化学反応を施す事により、ヒドロキシ基を導入
する方法である。例えば無水マレイン酸等の不飽和ジカ
ルボン酸無水物でグラフト変性した後、該変性物にエタ
ノールアミン等を反応させヒドロキシ基を導入した樹脂
であってもよい。
【0024】もう一つの変性剤である不飽和カルボン酸
化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルネン−5,6−ジ
カルボン酸およびこれらの混合物があげられる。
【0025】また本発明における変性ポリオレフィン系
樹脂の他の様態には次のものがある。すなわち不飽和ジ
カルボン酸無水物化合物で未変性のポリオレフィン系樹
脂をグラフト変性した後、グラフトされた該不飽和化合
物に化学反応を施すことにより、カルボキシル基を導入
する方法である。例えば無水マレイン酸でグラフト変性
した後、該変性物に水、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール等アルコール類を反応させカルボ
キシル基を導入する。これら不飽和ジカルボン酸化合物
としては、無水マレイミド酸、無水イタコン酸、無水シ
トラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸無水物等および
これらの混合物があげられる。アルコール類としては、
1級、2級、3級のアルキルアルコールが好ましく用い
られる。
【0026】変性ポリオレフィン系樹脂のこれら変性剤
の配合量としては、変性に用いる未変性のポリオレフィ
ン系樹脂に対し0.1〜10重量%であり、好ましくは
1〜5重量%である。配合量が0.1重量%未満では塗
装性の向上に必要なヒドロキシル基もしくはカルボキシ
ル基の量は導入することはできない。配合量を増やすこ
とで該変性ポリオレフィン系樹脂中のヒドロキシル基も
しくはカルボキシル基の含有量は向上するが、10重量
%を越えると熱可塑性樹脂組成物とした場合他の物性や
成型外観に悪影響を及ぼす。
【0027】本発明における樹脂成分中の変性ポリオレ
フィン系樹脂含有量は100%であっても良いが、少な
くとも1重量%以上であり、好ましくは5重量%以上、
さらに好ましくは10重量%以上である。1重量%未満
では塗装性が不十分である。
【0028】本発明における樹脂成分のうち、変性ポリ
オレフィン系樹脂以外の樹脂成分としては、例えばグラ
フト変性されていない、すなわち未変性のポリオレフィ
ン系樹脂がある。これは上記のグラフト変性に用いるこ
とができると例示したものと同様のものが使用可能であ
る。これらのうち耐熱性の点からプロピレンホモポリマ
ー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレ
ン−プロピレンランダムコポリマー等の結晶性ポリプロ
ピレン系樹脂およびこれらの混合物が好ましく、なかで
も熱可塑性樹脂組成物に要求される塗装性向上のために
は、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレ
ン−プロピレンランダムコポリマーのうちすくなくとも
1以上を含むものが好ましい。
【0029】エチレン−プロピレンランダムコポリマー
のエチレン含量は20重量%未満が好ましく、エチレン
含量が20重量%以上では耐熱性が低下する。耐熱性と
弾性率のバランスという点では、エチレン−プロピレン
ランダムコポリマーのエチレン含量は3重量%から15
重量%が好適であり、さらに好適には5重量%から10
重量%である。
【0030】上記以外の未変性ポリオレフィン系樹脂と
して低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、ポリブテンおよびエチレンとその
他の共重合性単量体(例えば、酢酸ビニル等)との共重
合体等を含むものであってもよい。
【0031】本発明のゴム成分に用いることが可能な共
重合体ゴムとしては、弾性率が1000kg/cm2
下のもので、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、
イソプレン−イソブチレン共重合体ゴムおよびスチレン
系エラストマーを挙げることができる。エチレン−α−
オレフィン共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレ
ン共重合体ゴム(以下EPMと略)、エチレン−ブテン
共重合体ゴム(以下EBMと略)、エチレン−プロピレ
ン−ジエン共重合体ゴム(以下EPDMと略)およびこ
れらの混合物等をあげることができる。これらのエチレ
ン含量は20〜85wt%の範囲であり、良好なゴム的性
質を示すために好ましくは35〜75wt%、更に好まし
くは45〜70wt%である。
【0032】EPDMにおけるジエン成分としては、
1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロ
ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン
−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0033】またここで言うエチレン−α−オレフィン
共重合体ゴムとしては、プロピレン系ブロックコポリマ
ー中のゴム成分、例えばエチレン−プロピレン共重合体
ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン−プロ
ピレン−ブテン共重合体ゴム等をも包含する。プロピレ
ン系ブロックコポリマー中のゴム成分量は以下の方法に
より求めることができる。該ポリマー5gをキシレン5
00mlに135℃で撹拌しながら溶解させる。20分
後に溶液を撹拌しながら25℃まで冷却した後、30分
静置する。沈澱物を濾紙で濾過し、溶液を窒素気流中で
蒸発させ、残留物は真空下80℃で恒量に達するまで乾
燥させる。この方法で室温キシレンに可溶性のポリマー
の重量%を計算し、ゴム成分量とする。
【0034】またこれらエチレン−α−オレフィン共重
合体ゴムは公知の方法で得られる非晶性のもの、あるい
は部分的に結晶性を有するもののいずれも用いる事が可
能であるが、熱可塑性樹脂組成物とした場合の機械的強
度の点から部分的に結晶性を有するものが望ましい。こ
れらの結晶性はX線回析(例えば、JOURNALOF
POLYMER SCIENCE PART A−2
VOL9,127−141(1971))より求めら
れ、通常0%以上25%以下であり、好ましくは2%以
上20%以下、更に好ましくは5%以上15%以下の範
囲である。
【0035】またこれらエチレン−α−オレフィン共重
合体ゴムのMFR(JIS K7210 230℃、
2.16kg荷重で測定)は100以下0.001以上
であることが好ましく、MFRが100を越えると熱可
塑性樹脂組成物とした場合の機械的強度が低下し、0.
001未満では流動性が不良となる。
【0036】さらにエチレン−α−オレフィン共重合体
ゴムの分子量分布を広げる事が塗装性に対し良好な結果
を与える。この場合(230℃ 21.6kg荷重にお
けるMFR値)/(230℃ 2.16kg荷重におけ
るMFR値)の値(以下 HLMFR/MFRと略)が
通常20以上であり、好ましくは30以上、さらに好ま
しくは40以上である。このような広い分子量分布を有
するものは平均分子量の異なった2種以上のエチレン−
α−オレフィン共重合体ゴムをブレンドして用いても良
い。
【0037】イソプレン−イソブチレン共重合体ゴムと
しては、公知の方法で得られる実質的に非晶性のイソプ
レン−イソブチレン共重合体ゴムを挙げることができ
る。イソプレン−イソブチレン共重合体ゴムとしては通
常0.5〜10重量%、好ましくは1〜4重量%のイソ
プレンを含有するイソプレン−イソブチレン共重合体ゴ
ムであり、0.1〜3.0重量%が塩素、臭素等によっ
て部分的に置換あるいは付加されたゴムも包含する。
【0038】またこれらイソプレン−イソブチレン共重
合体ゴムのMFR(JIS K7210 230℃、
2.16kg荷重で測定)は100以下0.001g/
10分以上であることが好ましく、MFRが100g/10
分を超えると熱可塑性樹脂組成物とした場合の機械的強
度が低下し、0.001g/10分未満では流動性が不良
となる。
【0039】さらにイソプレン−イソブチレン共重合体
ゴムの分子量分布を広げることが塗装性に対し良好な結
果を与える。この場合(230℃ 21.6kg荷重に
おけるMFR値)/(230℃ 2.16kg荷重にお
けるMFR値)の値(以下、HLMFR/MFRと略)
が通常20以上であり、好ましくは30以上、さらに好
ましくは40以上である。このような広い分子量分布を
有するものは平均分子量の異なった2種以上のイソプレ
ン−イソブチレン共重合体ゴムをブレンドして用いても
よい。
【0040】スチレン系エラストマーとしてはスチレ
ン、α−メチルスチレン等のスチレン系化合物と、1,
3ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンとのエラスト
マー状ランダムまたはブロック共重合体およびこれらの
共重合体の水素添加物である。これらスチレン系エラス
トマーの中では、スチレン系化合物と共役ジエン化合物
とのブロック共重合体が好ましく、これらブロック共重
合体は一般式が次式で表わされるものが最適である。 一般式 (A−B)n+1 、または A−(B−A)n 、または B−(A−B)n+1 (上記式中のAはスチレン系化合物よりなる重合体ブロ
ック、Bは共役ジエン重合体ブロックであり、nは1〜
20の整数、Aブロック全体の分子に占める割合は1〜
50重量%である。) これら共重合体の重量平均の平均分子量は10,000
〜1,000,000、好ましくは50,000〜25
0,000である。
【0041】これらスチレン系エラストマーの具体例と
しては、スチレン・ブタジエンランダム共重合体、スチ
レン・イソプレンランダム共重合体、スチレン・ブタジ
エン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・イソ
プレン・スチレントリブロック共重合体、ポリスチレン
ブロックが末端であるスチレン・ブタジエンラジカルブ
ロック共重合体、ポリスチレンブロックが末端であるス
チレン・イソプレンラジカルブロック共重合体、スチレ
ン・ブタジエンマルチブロック共重合体、ブチレン・イ
ソプレンブロック共重合体等のスチレン・共役ジエンブ
ロック共重合体、およびこれらを水素添加した生成物を
挙げることができる。これらのスチレン系エラストマー
の中で好ましいものは水素添加されたスチレン・共役ジ
エンブロック共重合体である。
【0042】本発明におけるゴム成分中の共重合体ゴム
含有量は100%でも良いが、少なくとも20重量%以
上であり好ましくは40重量%、更に好ましくは60重
量%以上である。20重量%未満では熱可塑性樹脂組成
物にした場合、機械的強度の低下をもたらす。
【0043】本発明におけるゴム成分のうち上記共重合
体ゴム以外の成分としては天然ゴム、合成ゴム(例えば
ポリイソプレンゴム)などのゴム成分およびプロセスオ
イル等の軟化剤を共存させてもよい。軟化剤はゴム成分
の可塑化促進や得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性を
向上させる等の目的で添加される。これらはパラフィン
系、ナフテン系、芳香族系のいずれであってもかまわな
い。なお本発明の主旨を逸脱しない範囲において、該樹
脂成分およびゴム成分に上記以外の樹脂やゴム、フィラ
ー、添加剤等他の成分を含んでもよい。
【0044】フィラーとしては炭酸カルシウム、タル
ク、シリカ、カオリン、クレー、ケイソウ土、珪酸カル
シウム、雲母、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、
硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、硫化モリブデ
ン、グラファイト、シラスバルーン等を挙げることがで
きる。また添加剤としては耐熱安定剤、耐候安定剤、着
色剤、帯電防止剤、難燃剤、核剤、滑剤、スリップ剤、
ブロッキング防止剤等である。耐熱安定剤としてはフェ
ノール系、リン系、硫黄系等の公知のものが使用可能で
ある。また耐候安定剤としてはヒンダードアミン系、ト
リアゾール系等の公知のものが使用可能である。着色剤
としてはカーボンブラック、チタンホワイト、亜鉛華、
べんがら、アゾ化合物、ニトロソ化合物、フタロシアニ
ン化合物等が挙げられる。帯電防止剤、難燃剤、核剤、
滑剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤等についてもい
ずれも公知のものが使用可能である。
【0045】本発明における末端に官能基を有するオリ
ゴマーとは、液状ゴムまたはワックス状固体であって1
分子中の少なくとも1つの末端に官能基を有するオリゴ
マーである。
【0046】ここで官能基としては、ヒドロキシ基、ア
ミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、チオール基等で
あり、互いに反応しないものであれば、これらの2種以
上を含んでもよい。これらのうちウレタン塗料との親和
性から、ヒドロキシ基またはアミノ基を含むことが望ま
しい。
【0047】末端に官能基を有するオリゴマーの数平均
分子量は300以上10,000以下であるが、好まし
くは500以上8,000以下で、さらに好ましくは5
00以上6,000以下である。数平均分子量が10,
000を越えると塗装性の向上が見られず添加の効果が
ない。
【0048】これら末端に官能基を有するオリゴマーは
内部に不飽和結合を有するものが一般に安価に入手可能
である。該オリゴマーのヨウ素価(オリゴマー100g
中にヨウ素が付加するg数)は0以上50以下であるこ
とが好ましく、更に好ましくは0以上30以下、より更
に好ましくは0以上10以下である。ヨウ素価が低い方
が本発明の樹脂組成物成形体とウレタン塗膜との密着強
度に優れ、特に剥離速度が速い領域においても良好な塗
膜密着性を示す。
【0049】これら末端に官能基を有するオリゴマー
は、それぞれ単独でも複数を混合物としても使用するこ
とができる。
【0050】本発明における末端に官能基を有するオリ
ゴマーを具体的に例示すると、ポリブタジエン(重合様
式は1,2−または1,4−のどちらでもよく、後者の
場合は2重結合がシス、トランスの何れであっても良
い。)、ポリイソプレン、イソブチレン−イソプレン共
重合体(ブチルゴム)、ポリブテン、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体
(ブロック、ランダムの何れでも良い。)、石油樹脂及
びこれらを部分的もしくは完全に水素添加したもの等で
あって、1分子中の少なくとも一つの末端に官能基を有
する数平均分子量が10,000以下のオリゴマーであ
る。
【0051】これらのオリゴマーは本発明の樹脂組成物
の性能を損なわない範囲に於いて重合性の単量体、例え
ば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソ
プレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、ピペリ
レン、2−メチルブテン−1、2−メチルブテン−2、
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イン
デンなどが共重合されていてもよい(共重合体は環構造
をとってもよい)。また、これら共重合体は部分的にま
たは完全に水添されている物でもよい。
【0052】これらの末端に官能基を有するオリゴマー
は周知の方法によって製造することが可能である。これ
らの市販品として三菱化成(株)製ヒドロキシ基末端水
素添加1,4−ポリブタジエン 商品名ポリテールH、
ポリテールHA、出光石油化学(株)製ヒドロキシ基末
端水素添加ポリオレフィン 商品名エポール、日本曹達
(株)製ヒドロキシ基末端1,2−ポリブタジエン 商
品名NISSO−PBG−1000、日本曹達(株)製
ヒドロキシ基末端水素添加1,2−ポリブタジエン 商
品名NISSO−PB GI−1000、宇部興産
(株)製アミノ基末端アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム 商品名Hycar−ATBN等が入手容易であり、
好適に用いることが可能である。
【0053】本発明は少なくとも不飽和ヒドロキシ化合
物あるいは不飽和カルボン酸化合物でグラフト変性され
た変性ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂成分、少なくと
も共重合体ゴムを含むゴム成分および末端に官能基を有
するオリゴマーからなる熱可塑性樹脂組成物である。
【0054】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、該
樹脂成分と該ゴム成分の合計量100重量部に対する末
端に官能基を有するオリゴマーの添加量は0.1重量部
以上20重量部以下であり、好ましくは0.5重量部以
上10重量部以下で、さらに好ましくは1重量部以上5
重量部以下である。0.1重量部未満では塗装性の向上
が見られず、添加の効果がない。20重量部を越えると
成形体の表面に著しくブリードアウトし外観や感触を損
ねる。
【0055】なお、末端に官能基を有するオリゴマーと
して、ワックス状の結晶性を有する固体を用いた方が多
量に配合した場合においても感触を損ねることが少な
く、好ましく用いられる。該オリゴマーとして用いるワ
ックス状の結晶性を有する固体の融点はDSC測定値で
40℃以上100℃以下の範囲であることが望ましい。
【0056】該樹脂成分(a)と該ゴム成分(b)の合
計量100重量部に対する該ゴム成分(b)の配合割合
は20重量部以上80重量部以下、好ましくは30重量
部以上70重量部以下、さらに好ましくは40重量部以
上60重量部以下である。該ゴム成分が20重量部未満
では十分な塗装性が得られず、80重量部を越えると耐
熱性が不十分となる。
【0057】また樹脂成分(a)とゴム成分(b)の合
計量に対し、樹脂成分中のヒドロキシ基あるいはカルボ
キシル基の含量は、それぞれヒドロキシエチルメタクリ
レート換算あるいはアクリル酸換算で0.01重量%以
上、好ましくは0.1重量%以上となるように配合する
ことが塗装性の上で望ましい。
【0058】本発明において、本熱可塑性樹脂組成物中
のヒドロキシ基もしくはカルボキシル基とウレタン塗料
との反応を促進させ、塗装膜の密着強度を高める目的で
イソシアナート基との反応を促進する化合物(以下、促
進剤という)を少量配合することが好ましく、そのよう
な化合物としては例えば有機スズ化合物、3級アミン化
合物、鉛化合物、チタン化合物、コバルト化合物、アル
ミニウム化合物、亜鉛化合物、鉄化合物、アルカリ金属
のカルボン酸塩、ビスマス化合物などを用いることがで
きる。
【0059】このような有機スズ化合物の例としては、
ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジステアレー
ト、ジブチルスズマレート、ジブチルスズジオクチルマ
レート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズ2−
エチルヘキサノエート、トリブチルスズアセテート、ジ
ブチルスズジブトキシド等のモノまたはジまたはトリア
ルキルスズカルボキシレートまたはアルコキシドやテト
ラブチル1,3−ジアセトキシジスタノキサン等のテト
ラアルキルジスタノキサン化合物などが挙げられる。こ
こでいうアルキル基とは炭素数1から30の範囲の炭化
水素基であり、直鎖であっても分岐を有していてもよ
く、また不飽和結合を有しているものも含む。さらには
ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジ2−エチル
ヘキシルスズオキサイド等の有機スズ化合物も有効であ
る。
【0060】3級アミンの例としては、テトラアルキル
エチレンジアミン、N,N−ジアルキルベンジルアミ
ン、N,N−ジアルキルアニリン、N,N−ジアルキル
エタノールアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,
2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]
−7−ウンデセン、N,N−ジアルキルアミノピリジン
等が挙げられる。ここでいうアルキル基とは炭素数1か
ら30の範囲の炭化水素基であり、直鎖であっても分岐
を有していてもよく、また不飽和結合を有しているもの
も含む。
【0061】鉛化合物の例としては安息香酸鉛、オクチ
ル酸鉛、ステアリン酸鉛、オレイン酸鉛等である。チタ
ン化合物としてはチタン酸テトラ2−エチルヘキシル、
チタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロピル等が挙
げられる。またコバルト化合物としてはナフテン酸コバ
ルト、オクチル酸コバルト、安息香酸コバルト、オレイ
ン酸コバルト、ステアリン酸コバルト等である。アルミ
ニウム化合物としては酢酸アルミニウム、オレイン酸ア
ルミニウム、アルミニウムプロポキシド、アルミニウム
ブトキシド、ステアリン酸アルミニウム等である。亜鉛
化合物としてはナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレ
イン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等である。また鉄化合物
としては、オクチル酸鉄、オレイン酸鉄、ステアリン酸
鉄、鉄アセチルアセトナート、塩化鉄等の鉄化合物があ
げられる。アルカリ金属のカルボン酸塩としては酢酸、
プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸等
のカルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビ
ジウムまたはセシウム塩である。ビスマス化合物として
は硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等が挙げられる。これら
以外にも例えば、J.Appl,Polym,Sci,
第4巻11号207頁から211頁(1960年)に記
載されているような化合物をも包含する。またこれらの
混合物を使用することも可能である。
【0062】これら促進剤の添加量は、樹脂成分(a)
およびゴム成分(b)の合計量100重量部に対し通常
0.005重量部から10重量部が配合され、0.02
〜5重量部が好ましく、特に0.05〜3重量部が好適
である。0.005重量部以下では効果が乏しく、10
重量部を越えるとそれ以上の効果はみられず、ブリード
アウト等の悪影響を及ぼす。
【0063】本発明における熱可塑性樹脂組成物は上記
に述べた変性ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂成分、共
重合体ゴムを含むゴム成分および末端に官能基を有する
オリゴマー、さらに必要により上記の促進剤をヘンシェ
ルミキサー等で予め混合した後、通常の2軸押出機や単
軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機で加熱混練す
ることにより調製できる。
【0064】混練時の温度は使用するポリオレフィン系
樹脂の軟化点以上であることが望ましく、通常100℃
〜300℃の間である。また本発明ではグラフト変性を
行う押出機中にグラフト反応終了後、引き続いて該押出
機の中間部から共重合体ゴムおよび末端に官能基を有す
るオリゴマーをサイドフィードすることによって熱可塑
性樹脂組成物を調製することも可能である。
【0065】このようにして得られた熱可塑性樹脂組成
物は押出成形、射出成形、プレス成形等の通常の成形法
で成形する事が可能である。これら成形体に彩色や表面
保護のため塗装を施すことにより、塗装成形体が得られ
る。ここで塗装に使用される塗料はアクリル系、ウレタ
ン系などの塗料、好ましくはウレタン塗料であり、2液
系、1液系のいずれでもよい。またウレタン塗料以外で
もヒドロキシ基やアミノ基のような官能基に親和性を有
する塗料であれば使用可能である。
【0066】このような塗料を塗布する方法としては一
般に行われている方法が可能であり、例えばスプレーガ
ンを用いて塗布する方法、刷毛塗りによる方法、ロール
コーター等を用いる方法がある。
【0067】塗料の厚さは成形体の使用目的に応じて変
化させることが可能であり特に制限はないが、通常乾燥
後において1ミクロンから500ミクロンの範囲であ
る。
【0068】本発明における熱可塑性樹脂組成物を塗装
して得られる塗装体は、外観や表面の物理的特性に優れ
ている。すなわち本発明における熱可塑性樹脂組成物か
らの成形体はポリオレフィン系樹脂であるため耐摩耗
性、耐傷つき性等は必ずしも十分ではないが、塗装する
ことによりこれら外観、表面の物理的特性は大幅に改善
され意匠性に優れた塗装体を提供する。
【0069】このように塗装された成形体は、各種工業
用部品例えば自動車のバンパー、コーナーバンパー、バ
ンパーエアーダムスカート、マッドガード、サイドモー
ル、ホイールキャップ、スポイラー、サイドステップ、
ドアミラーベース等の自動車外装部品、インスツルメン
トパネル、レバー、ノブ、ダッシュボード、ドアライナ
ー等の自動車内装部品、コネクター、キャッププラグ、
ポット、冷蔵庫、照明器具、オーディオ機器、OA機器
等の電気製品、カラーボックス、収納ケース等の日用雑
貨品等として利用することができる。
【0070】
【実施例】以下に実施例を示すが本発明はこれらに限定
されるものではない。なお実施例における測定方法およ
び使用した樹脂等は以下の通りである。 MFR JIS K7210(荷重2.16kg 230℃) HLMFR JIS K7210(21.6kg 230℃) <変性ポリオレフィン樹脂> PP1 2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMA)
変性ポリプロピレン単独重合体(後述の合成例1により
得たもの) PP2 HEMA変性エチレン−プロピレンランダムコポリマー
(後述の合成例2により得たもの) PP3 水酸基含有プロピレンオリゴマー(MPX1201、三
洋化成製、数平均分子量4,000、水酸基価15mg
KOH/g、HEMA換算3.6wt%) PP4 HEMA変性ポリプロピレン単独重合体(MFR20.
0g/10分、HEMA1.6wt%) PP5 HEMA変性エチレン−プロピレンランダムコポリマー
(MFR100g/10分、エチレン含量7重量%、HE
MA1.6wt%) PP6 ヒドロキシ基含有プロピレンオリゴマー(MPX120
1、三洋化成製、数平均分子量15,000、水酸基価
15mgKOH/g、HEMA換算3.6wt%) PP7 アクリル酸変性ポリプロピレン単独重合体(MFR2
0.0g/10分、アクリル酸6wt%) PP8 アクリル酸変性エチレン−プロピレンランダムコポリマ
ー(MFR100g/10分、エチレン含量7wt%、アク
リル酸6wt%)
【0071】<共重合体ゴム> EPM1 エチレン−プロピレンゴム(MFR1.0g/10分、H
LMFR/MFR=43、エチレン含量62wt%) EPM2 エチレン−プロピレンゴム(MFR0.01g/10分、
HLMFR/MFR=53、エチレン含量62wt%) EPM2 油展エチレン−プロピレンゴム(油展量10%、MFR
2.0g/10分、HLMFR/MFR=45、エチレン
含量62wt%) IIR イソプレン−イソブチレン共重合体ゴム(JSR Bu
ty1365、日本合成ゴム(株)製)MFR1.0g
/10分、HLMFR/MFR=90 SEBS スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体
水添物(スチレン含量29wt%、MFR2.0g/10
分) SEPS1 スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体
水添物(スチレン含量30wt%、MFR30g/10分) SEPS2 スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体
水添物(スチレン含量13wt%、MFR2.7g/10
分)
【0071】<末端に官能基を有するオリゴマー> HTBR1 液状両末端ヒドロキシ化1,2−ポリブタジエン(1,
2−結合92%、数平均分子量1,350、ヨウ素価4
00、平均ヒドロキシ基数1.6個/分子) HTBR2 液状両末端ヒドロキシ化1,2−ポリブタジエン(1,
2−結合92%、数平均分子量3,000、ヨウ素価4
00、平均ヒドロキシ基数1.6個/分子) HTBR3 液状両末端ヒドロキシ化1,4−ポリブタジエン(1,
4−結合80%、数平均分子量1,200、ヨウ素価4
00、水酸基価46.6mgKOH/g) HTBR4 液状水素添加両末端ヒドロキシ化1,2−ポリブタジエ
ン(1,2−結合92%、数平均分子量1,400、ヨ
ウ素価10.3、平均ヒドロキシ基数1.6個/分子) HTBR5 ワックス状水素添加両末端ヒドロキシ化1,4−ポリブ
タジエン(1,4−結合80%、数平均分子量2,80
0、ヨウ素価1.5、平均ヒドロキシ基数2.3個/分
子)「融点72.5℃(PERKIN−ERMER社製
DSC DSC7により測定 昇温速度10℃/分)」 HTBR6 液状水素添加両末端ヒドロキシ化1,4−ポリブタジエ
ン(1,4−結合80%、数平均分子量2,200、ヨ
ウ素価1.5、平均ヒドロキシ基数2.3個/分子) HTBR7 液状水素添加両末端ヒドロキシ化ポリオレフィン(数平
均分子量2,500、ヨウ素価8、平均ヒドロキシ基数
2.3個/分子) HTBR8 水素添加液状両末端ヒドロキシ化1,2−ポリブタジエ
ン(1,2−結合92%、数平均分子量3,000、ヨ
ウ素価10.3、平均ヒドロキシ基数1.6個/分子) ATBN 両末端アミノ化ブタジエン−ニトリルゴム(アクリロニ
トリル含有量16.5%、数平均分子量4,000、ヨ
ウ素価330、アミン等量900)
【0072】<変性ポリオレフィン系樹脂の調製>合成例1 PP1 ポリプロピレン単独重合体 100重量部 (MFR0.5g/10分) HEMA 4重量部 2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ) −2,5−ジメチルヘキサン 1重量部 (以下POと略) 上記の配合物を2軸押出機により180℃で混練し、グ
ラフト変性した。得られた変性ポリオレフィン系樹脂中
のHEMAグラフト量1.5wt%、MFR130g/10
分であった。合成例2 PP2 エチレン−プロピレンランダムコポリマー 100重量部 (MFR0.1g/10分、エチレン含量7重量%) HEMA 4重量部 PO 1重量部 上記の配合物を2軸押出機により180℃で混練し、グ
ラフト変性した。得られた変性ポリオレフィン系樹脂中
のHEMAグラフト量1.5wt%、MFR130g/10
分であった。
【0073】(実施例1〜23、比較例1〜3) 《熱可塑性樹脂組成物の調製》上記変性ポリオレフィン
系樹脂とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、末端
に官能基を有するオリゴマーおよびイソシアナート基と
の反応を促進する化合物(促進剤)を表1に示した割合
で混合し、2軸押出機を用い180℃で混練し熱可塑性
樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物は以下
に従って塗装した。
【0074】《塗装性評価》塗料は2液ウレタン塗料
(日本ビーケミカル製 R−278)を用いた。試料は
2mm厚の射出成型平板を用い、該平板の表面をイソプ
ロピルアルコールで払拭後塗膜が100ミクロン程度の
厚みになるよう塗装した。剥離試験は塗膜に10mm幅
の切れ込みをいれ、剥離速度50mm/分および100
0mm/分の各々につき、180度剥離で行った。この
塗装体の塗膜密着強度を表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表1】
【0077】(実施例24〜53、比較例4〜6)表2
に示すごとく、変性ポリオレフィン系樹脂および促進剤
を変更した他は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成
物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同
様に塗装した。その塗膜密着強度を評価し、その結果を
表2に示した。
【0078】
【表2】
【0079】(実施例54〜75、比較例7〜9)表3
に示すごとく、変性ポリオレフィン系樹脂を変更した他
は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。得
られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様に塗装し、
その塗膜密着強度を評価し、その結果を表3に示した。
【0080】
【表3】
【0081】(実施例76〜99、比較例10〜12) 《熱可塑性樹脂組成物の調製》表4に示すごとく、共重
合体ゴムを変更した他は実施例1と同様にして熱可塑性
樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施
例1と同様に塗装し、その塗膜密着強度を評価し、その
結果を表4に示した。
【0082】
【表4】
【0083】
【表4】
【0084】
【発明の効果】本発明はトリクロロエタン処理、プライ
マー処理なしでウレタン塗装が可能な熱可塑性樹脂組成
物を提供するものであり、環境汚染の原因の一つである
トリクロロエタンや高価なプライマーを使用せずにす
み、また処理行程が省略できる等の利点がある。本発明
における熱可塑性樹脂組成物は、従来直接塗装が困難で
あった射出成形品における塗装性が特に良好であり自動
車内装、外装、家電といった幅広い分野で利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/08 LCY C08L 23/08 LCY 23/22 LCZ 23/22 LCZ 51/06 LLE 51/06 LLE 53/00 LLY 53/00 LLY //(C08L 23/26 23:08 9:06 53:00 23:22 101:02) (C08L 51/06 23:08 9:06 53:00 23:22 101:02) 23:26 51:06 (72)発明者 山本 晃一 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内 (72)発明者 御手洗 信幸 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内 (72)発明者 泉 善一郎 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)不飽和ヒドロキシ化合物あるいは
    不飽和カルボン酸でグラフト変性された変性ポリオレフ
    ィン系樹脂を含む樹脂成分・・・20〜80重量部 (b)エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、イソプ
    レン−イソブチレン共重合体ゴム及びスチレン系エラス
    トマ−の中から選ばれる少なくとも一つの共重合体ゴム
    を含むゴム成分 ・・・80
    〜20重量部 (c)末端に官能基を有するオリゴマーを(a)成分と
    (b)成分の両者の合計量100重量部に対し、0.1
    〜20重量部配合されていることを特徴とする熱可塑性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 該成分(a)が不飽和ヒドロキシ化合物
    でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含む
    請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 樹脂成分とゴム成分の合計量に対し、変
    性ポリオレフィン系樹脂に含まれる不飽和ヒドロキシ化
    合物中のヒドロキシ基の含量が、ヒドロキシエチルメタ
    クリレート換算で0.01重量%以上である請求項2記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 該成分(a)が不飽和カルボン酸でグラ
    フト変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含む請求項
    1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂成分とゴム成分の合計量に対し、変
    性ポリオレフィン系樹脂に含まれる不飽和カルボン酸化
    合物中のカルボキシル基の含量が、アクリル酸換算で
    0.01重量%以上である請求項4記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 該成分(b)がエチレン−α−オレフィ
    ン共重合体ゴムを含む請求項1、2または4記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 該成分(b)がイソプレン−イソブチレ
    ン共重合体ゴムを含む請求項1、2または4記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 末端に官能基を有するオリゴマーのヨウ
    が50以下である請求項1、2または4記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 末端に官能基を有するオリゴマーの融点
    が40℃以上100℃以下の範囲である請求項1、2ま
    たは4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 (d)ヒドロキシ基またはカルボキシ
    ル基とイソシアナート基の反応を促進する化合物とし
    て、有機スズ化合物、3級アミン化合物、鉛化合物、チ
    タン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、亜
    鉛化合物、鉄化合物、アルカリ金属のカルボン酸塩、ビ
    スマス化合物の中から選ばれる少なくとも一つを樹脂成
    分とゴム成分の合計量100重量部に対し、0.005
    〜10重量部の範囲で含む請求項1、2または4のいず
    れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 (a)少なくとも不飽和ヒドロキシ化
    合物あるいは不飽和カルボン酸でグラフト変性された変
    性ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂成分20〜80重量
    部 (b)少なくとも共重合体ゴムを含むゴム成分80〜2
    0重量部の両者の合計量100重量部に対し、 (c)末端に官能基を有するオリゴマーを0.1〜20
    重量部配合された熱可塑性樹脂組成物からなる成形体に
    ウレタン塗料が塗装された塗装体。
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