JP3155304B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JP3155304B2
JP3155304B2 JP22218291A JP22218291A JP3155304B2 JP 3155304 B2 JP3155304 B2 JP 3155304B2 JP 22218291 A JP22218291 A JP 22218291A JP 22218291 A JP22218291 A JP 22218291A JP 3155304 B2 JP3155304 B2 JP 3155304B2
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聡 石垣
裕 横山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】熱可塑性エラストマーは自動車内
装、エクステリア、家電、建築といった広範囲な産業分
野に於いて各種構造材料として用いられている。本発明
は塗装性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関する
ものである。さらに詳しくはトリクロロエタン処理およ
びプライマー処理なしでポリウレタン塗装が可能な熱可
塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
は射出成形、シート成形のごとき各種成形性に優れ広範
囲な分野で構造材料として用いられている。これら熱可
塑性エラストマーの成形体は、未塗装で用いられる場合
もあるが、表面の保護、彩色といった目的でしばしば塗
装が施される。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
は主としてポリオレフィンを原料とする非極性のポリマ
ーからなる組成物であり、塗料との親和性が低いため、
その塗装にあたっては各種の前処理を必要とする。これ
ら前処理としてはプライマー処理、コロナ処理が一般的
に知られている。
【0003】プライマー処理とは、塩素化ポリオレフィ
ンのようなポリオレフィン系熱可塑性エラストマーと塗
料の両者に対して親和性を有する化合物を熱可塑性エラ
ストマー成形体に塗布し、成形体と塗料との親和性を向
上させるものである。また、コロナ処理等により成形体
表面の性質を改質し、塗料との親和性を向上させた後に
塗装を施すことも行われている。
【0004】しかしながらプライマーは高価であり、多
量の溶剤を含むためこれを除去するための工程が必要で
ある。この工程は高温、長時間の工程が必要である。さ
らにプライマー処理に於いては、プライマーを塗布する
前にトリクロロエタン(トリクレン)の蒸気処理を行
い、成形体とプライマーの密着性を向上させる必要があ
る。プライマー処理はこのような問題を有しており、特
にトリクレンの使用は環境汚染の問題で近年その使用が
規制される方向にある。
【0005】コロナ処理等の成形体表面を改質する方法
は成形体の形状に制限を受け、また処理装置のための高
額の設備投資が必要である。従ってこれら処理を行うこ
となく熱可塑性エラストマー成形体に塗装を施すことが
可能な熱可塑性エラストマーが開発できれば工程の短縮
等の利点があるのみならず、溶剤やトリクレンのような
有害性物質を使用しないですむため非常に好ましいもの
である。
【0006】熱可塑性エラストマーに前処理を必要とせ
ず塗装性を付与する試みとしては例えば、特開平1−2
59047、特開平1−259048、特開平1−25
9049が挙げられる。特開平1−259047ではペ
ルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム、ポリオレ
フィン系樹脂および1個以上のアミノ基を有する単量体
からなる混合物を有機過酸化物で動的に熱処理されてな
る熱可塑性エラストマー組成物に不飽和カルボン酸誘導
体を加熱下にブレンドする方法が開示されている。
【0007】また特開平1−259048、特開平1−
259049ではペルオキシド架橋型オレフィン系共重
合体ゴム、オレフィン系樹脂および不飽和カルボン酸ま
たはこれらの誘導体からなる混合物を有機過酸化物で動
的に熱処理されてなる熱可塑性エラストマー組成物に少
なくとも1個以上のアミノ基を含有する単量体を加熱下
にブレンドする方法が開示されている。しかしながらこ
れらにおいて塗装性の向上は十分なものでなく、塗膜密
着強度の値は大きくない。
【0008】本発明のようなヒドロキシル基を有する化
合物で変性された熱可塑性エラストマーとしては特開昭
64−85206のものが挙げられる。ここではペルオ
キシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム、オレフィン系
樹脂および不飽和エポキシ単量体もしくは不飽和ヒドロ
キシ単量体を有機過酸化物で動的に熱処理されてなる熱
可塑性エラストマー組成物が開示されているが、その効
果は金属との接着性であり、プライマー処理なしで塗装
可能かどうかといった塗装性については開示されていな
い。
【0009】また特開昭58−191706、特開昭6
0−55012および特開昭60−55052には本発
明のようなグラフト変性ポリプロピレンとエチレンプロ
ピレン共重合体ゴムの組成物が開示されている。これら
はポリプロピレンを主体とした耐衝撃性プラスチックで
あり、グラフト変性ポリプロピレン100重量部に対し
てエチレンプロピレン共重合体ゴムは多くとも80重量
部である。
【0010】該発明は熱可塑性エラストマー、すなわち
上記のものよりゴム含量の高い柔軟な組成物、即ちエラ
ストマーに関するものであり、組成物としてのカテゴリ
ーは全く異なっている。また本発明においては変性ポリ
オレフィン系樹脂の他に、均一な塗膜密着強度を得るた
め未変性ポリオレフィン系樹脂の添加が必須である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はトリクレン処
理およびプライマー処理の両者またはコロナ処理等の前
処理を行うことなく、直接ポリウレタン塗装ができる熱
可塑性エラストマーを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは塗装性に優
れた熱可塑性エラストマーを得るべく検討を重ねた結
果、不飽和ヒドロキシ化合物でグラフト変性した変性ポ
リオレフィン系樹脂(a)とポリオレフィン系樹脂
(b)および非架橋ゴムからなる組成物が、トリクレン
処理およびプライマー処理の両者またはコロナ処理等の
前処理を行わずに直接ポリウレタン塗装が可能なことを
見いだし本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明は、 [1] (a)不飽和ヒドロキシ化合物でグラフト変性
された変性ポリオレフィン系樹脂99.1〜60重量部
および(b)未変性ポリオレフィン系樹脂0.1〜40
重量部からなる樹脂成分(A)10〜55重量%と非架
橋ゴム(B)45〜90重量%とからなり、トリクロロ
エタン処理およびプライマー処理なしでポリウレタン塗
装可能な熱可塑性エラストマー組成物、 [2] 熱可塑性エラストマー組成物中のヒドロキシ基
含有量が7×10ー3mmol/g以上である上記
[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物、および [3]有機スズ化合物または第3級アミンを組成物10
0重量部に対し、0.005〜10重量部配合した上記
[1]または[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成
物である。以下本発明について詳細に説明する。
【0014】本発明における樹脂成分とは不飽和ヒドロ
キシ化合物でグラフト変性された変性ポリオレフィン系
樹脂と未変性ポリオレフィン系樹脂の混合物である。
【0015】不飽和ヒドロキシ化合物でグラフト変性さ
れた変性ポリオレフィン系樹脂は、本熱可塑性エラスト
マー組成物とポリウレタン系塗料との塗膜密着強度を発
現させるための主体となるものである。不飽和ヒドロキ
シ化合物でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹
脂は、ポリオレフィン系樹脂を有機過酸化物の存在下、
不飽和ヒドロキシ化合物と共に熱処理する事により得ら
れるものである。具体的にはポリオレフィン系樹脂、有
機過酸化物および不飽和ヒドロキシ化合物をヘンシェル
ミキサー等で予め混合した後、通常の2軸押出機や単軸
押出機、バンバリーミキサー等の混練機で加熱混練する
ことにより調製することができる。混練時の温度は用い
る樹脂、有機過酸化物の種類によって異なるが、一般的
には100℃〜300℃の間である。
【0016】ここで用いることが出来るポリオレフィン
系樹脂の例としては低密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、
プロピレン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン
−エチレンランダムコポリマー、ポリブテン等、および
これらの混合物が挙げられる。これらのうち耐熱性の点
からプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブ
ロックコポリマー、プロピレン−エチレンランダムコポ
リマー等のポリプロピレン系プラスチックおよびこれら
の混合物が好ましく、なかでも熱可塑性エラストマー組
成物に要求される柔軟性や塗装性向上のためには、プロ
ピレン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン−エ
チレンランダムコポリマーのうちすくなくとも1以上を
含むものが好ましい。該プロピレン−エチレンブロック
コポリマーおよびプロピレン−エチレンランダムコポリ
マーのエチレン含量は20重量部以下が好ましく、エチ
レン含量が20重量部を越えると耐熱性が低下する。耐
熱性と柔軟性のバランスという点では、該プロピレン−
エチレンブロックコポリマーおよびプロピレン−エチレ
ンランダムコポリマーのエチレン含量は3重量部から1
5重量部が好適であり、さらに好適には5重量部から1
0重量部である。
【0017】これらポリプロピレン系樹脂をポリオレフ
ィン系樹脂として用いると有機過酸化物の作用により分
子量低下が起こるため、メルトフローレート(MFR)
は50以下、好ましくは10以下のものを使用する。こ
れは分子量低下が破断強度の低下やフローマーク発生の
原因となる場合があることを防止するのに有効である。
【0018】有機過酸化物としてはジベンゾイルパーオ
キサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−
ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサ
ン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−
ジメチル−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
t−ブチルパーオキシベンゾエート等が使用可能であ
り、これらは可塑剤や、炭酸カルシウム、ホワイトカー
ボン等の不活性物質で希釈されていてもかまわない。配
合量はポリオレフィン系プラスチック100重量部に対
して0.01〜3重量部であり、不飽和ヒドロキシ化合
物のグラフト量を高くするために0.2以上かつポリオ
レフィン系プラスチックの著しい架橋や分子量低下を防
ぐため2重量部以下であることが好ましい。
【0019】本発明における不飽和ヒドロキシ化合物と
は、同一分子内にエチレン性2重結合とヒドロキシル基
を同時に有する化合物で、例えばヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキ
シプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポ
リエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピ
レングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリ
コールモノメタクリレート、グリセロールモノまたはジ
アクリレート、グリセロールモノまたはジメタクリレー
ト、トリメチロールプロパンモノまたはジアクリレー
ト、トリメチロールプロパンモノまたはジメタクリレー
ト、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレ
ングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモ
ノアリルエーテル、オルト、メタ、およびパラヒドロキ
シメチルスチレン等またはこれらの混合物をあげること
ができる。
【0020】これらのうち、ヒドロキシエチルアクリレ
ート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、オキシエチレン鎖重合度10以下のポリエチレング
リコールモノアクリレート、オキシエチレン鎖重合度1
0以下のポリエチレングリコールモノメタクリレート、
オキシプロピレン鎖重合度10以下のポリプロピレング
リコールモノアクリレート、オキシプロピレン鎖重合度
10以下のポリプロピレングリコールモノメタクリレー
トがグラフト変性が容易であることおよび塗装性が特に
良好であることから好ましい。
【0021】これらの配合量としては、変性に用いるポ
リオレフィン系樹脂100重量部に対し0.1〜10重
量部であり好ましくは1〜5重量部である。配合量が
0.1重量部未満では塗装性の向上に必要なヒドロキシ
ル基の量は導入することはできない。配合量を増やすこ
とで変性ポリオレフィン系樹脂中のヒドロキシル基含有
量は向上するが、10重量部を越えると熱可塑性エラス
トマー組成物とした場合他の物性や成型外観に悪影響を
及ぼす。
【0022】未変性ポリオレフィン系樹脂(b)は本熱
可塑性エラストマー組成物の成形性を改善し、成形体に
おいて均一な塗膜密着強度を得るため必須の成分であ
る。すなわち未変性ポリオレフィン系樹脂(b)の添加
は、フローマークを改善し成形体の表面状態を均一にす
る役割を有する。未変性ポリオレフィン系樹脂(b)の
例としては低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレ
ン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン−エチレ
ンランダムコポリマー、ポリブテンあるいはこれらの混
合物等である。これらのうち耐熱性の点からプロピレン
ホモポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマ
ー、プロピレン−エチレンランダムコポリマーあるいは
これらの混合物等のポリプロピレン系樹脂が好ましく、
なかでも熱可塑性エラストマー組成物に要求される柔軟
性を得るためにはプロピレン−エチレンブロックコポリ
マー、プロピレン−エチレンランダムコポリマーのうち
すくなくとも1以上を含むものが好ましい。
【0023】該プロピレン−エチレンブロックコポリマ
ーおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーのエ
チレン含量は20重量部以下が好ましい。エチレン含量
が20重量部を越えると耐熱性が低下する。耐熱性と柔
軟性のバランスという点では、該プロピレン−エチレン
ブロックコポリマーおよびプロピレン−エチレンランダ
ムコポリマーのエチレン含量は3重量部から15重量部
が好適であり、さらに好適には5重量部から10重量部
である。これらは230℃、2.16kg荷重における
メルトフローレート(MFR)が0.01以上100以
下であることが望ましい。用いる非架橋ゴムにもよる
が、MFRが0.01未満では組成物の成形性が不良と
なり、100を越えると添加の効果がない。またこれら
は前記変性ポリオレフィン系樹脂より低いMFRを有す
るものであれば、その効果が大きく好ましい。
【0024】本発明に用いることが可能な非架橋ゴムと
しては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体ゴム等のエチレン−α−
オレフィン共重合体ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプ
レン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムやイソブチレ
ン−イソプレン共重合体ゴム(ブチルゴム)、塩素化ブ
チルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム等
があげられるが、耐候性やオレフィン系樹脂との相容性
の点からエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体ゴム等のエチレン−α−
オレフィン共重合体ゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴ
ムが好ましく、これらを併用しても構わない。この場合
のエチレン−プロピレン共重合体ゴムのプロピレン含有
量は、ゴムとして柔軟性を有する範囲であれば良く、一
般には20〜50重量%の範囲が好ましい。
【0025】本発明における熱可塑性エラストマーは、
上記に述べた変性ポリオレフィン系樹脂(a)、未変性
ポリオレフィン系樹脂(b)および非架橋ゴムを通常の
2軸押出機や単軸押出機、バンバリーミキサー等の混練
機で加熱混練することにより調製する。混練時の温度は
使用するポリオレフィン系樹脂の軟化点以上であること
が望ましく、通常100℃〜300℃の間である。また
本発明ではグラフト変性を行う押出機中にグラフト反応
終了後、引き続いて該押出機の中間部から未変性ポリオ
レフィン系樹脂(b)および非架橋ゴムをサイドフィー
ドすることによって熱可塑性エラストマー組成物を調製
することも可能である。
【0026】本発明は樹脂成分と非架橋ゴムからなる熱
可塑性エラストマー組成物であり、樹脂成分は変性ポリ
オレフィン系樹脂(a)と未変性ポリオレフィン系樹脂
(b)とからなる。これら変性ポリオレフィン系樹脂
(a)、未変性ポリオレフィン系樹脂(b)および非架
橋ゴムの配合割合について以下説明する。本発明の熱可
塑性エラストマー組成物に於ける非架橋ゴムの割合は4
5重量部以上90重量部以下である。非架橋ゴムが45
重量部未満では熱可塑性エラストマーに要求される柔軟
性を満たすことができず、90重量部を越えると耐熱性
が不十分となる。
【0027】樹脂成分中の未変性ポリオレフィン系樹脂
(b)の割合は0.1重量部以上40重量部以下であ
る。未変性ポリオレフィン系樹脂(b)が0.1重量部
未満では射出成形時にフローマークが発生し均一な塗膜
密着強度が得られない。また40重量部を越えて添加し
てもさらなる効果の向上は見られず、逆に熱可塑性エラ
ストマー組成物中のヒドロキシル基の減少をもたらし塗
装性に対して不利となる。
【0028】各成分の配合割合は上記の通りであるが、
さらに各成分は熱可塑性エラストマー組成物中のヒドロ
キシル基含有量が7×10-3mmol/g以上となるよ
うに配合さることが望ましい。ヒドロキシル基含有量が
7×10-3mmol/g未満ではポリウレタン系塗料に
対する塗膜密着強度は著しく低い。良好な塗装性を得る
にはヒドロキシル基含有量が7×10-3mmol/g以
上必要であり、さらに良好な塗装性を得るためには20
×10-3mmol/g以上となるように各成分を配合す
ることが望ましく、特に高い塗膜密着強度が要求される
場合は40×10-3mmol/g以上となるように配合
することが望ましい。
【0029】このためには不飽和ヒドロキシ化合物で変
性された変性ポリオレフィン樹脂中のヒドロキシル基含
有量は目的とする熱可塑性エラストマー中のヒドロキシ
ル基を一定値以上に保持することが必要であるため、こ
のヒドロキシル基含有量が高いほど有利である。即ち、
この数値が高いときは非架橋ゴムの配合をより多くする
ことにより柔軟なエラストマー組成物とすることも可能
となり、また未変性ポリオレフィン系樹脂の配合量を高
めることも可能となるからである。エラストマー組成物
中のヒドロキシル基濃度を7×10-3mmol/g以上
とするための変性ポリオレフィン系樹脂中の最低の濃度
は12.7×10-3mmol/gとなる。
【0030】本発明において、本熱可塑性エラストマー
中のヒドロキシル基とポリウレタン系塗料との反応を促
進させ、塗装膜の密着強度を高める目的で少量の有機ス
ズ化合物や、3級アミンを添加することが望ましい。こ
のようなスズ化合物の例としてはジブチルスズジラウレ
ート、ジブチルスズジマレート、ジブチルスズジオクチ
ルマレート等が挙げられ、3級アミンの例としてはテト
ラメチルエチレンジアミン、N、N−ジアルキルベンジ
ルアミン、N、N−ジアルキルアニリン、N、N−ジア
ルキルエタノールアミン、1,4−ジアザビシクロ
[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ
[5,4,0]−7−ウンデセン、N、N−ジアルキル
アミノピリジン等が挙げられる。これらの添加量は熱可
塑性エラストマー組成物100重量部に対し通常0.0
05重量部から10重量部であり0.02〜5重量部が
好ましく、特に0.05〜3重量部が好適である。0.
005重量部以下では効果が乏しく、10重量部を越え
るとそれ以上の効果はみられず、ブリードアウト等の悪
影響を及ぼす。
【0031】
【作用】ヒドロキシル基化合物で変性した熱可塑性エラ
ストマーにおいては、ゴム成分が架橋されているものよ
り非架橋のほうが(架橋されている場合には架橋密度の
低いものが)塗装性は良好である傾向がある。これは非
架橋ゴムが塗料の溶剤により膨潤し、成形物の表面を粗
面化し、塗料と変性官能基間の反応が容易になるためと
推定している。射出成形などした該熱可塑性エラストマ
ーにおいては、極性の高いヒドロキシル基は表面にあま
り存在せず、溶剤でゴムが膨潤することにより表面が荒
らされ、表面にでてくるものと考えられる。
【0032】本発明においては不飽和ヒドロキシ化合物
の共重合体でなく、変性ポリオレフィン系樹脂を使用し
ているため、耐熱性も比較的よく、非架橋のゴム成分を
使用しているにもかかわらず80℃程度の高温でも使用
できるが、できればこれ以下の通常の使用条件における
使用が好ましく、加工性、塗装性に優れた熱可塑性エラ
ストマーとして使用できる。
【0033】またヒドロキシル基を導入するための変性
ポリオレフィンが、不飽和ヒドロキシ化合物でグラフト
変性された変性ポリオレフィン系樹脂であるため、未変
性のポリオレフィン系樹脂とも相容性もよく、組成物と
して安定しており相分離などは起こさないものである。
【0034】
【実施例】以下に実施例を示すが本発明はこれらに限定
されるものではない。なお実施例に於ける測定方法は以
下の通りである。 MFR JIS K7210(荷重2.16kg 230℃) HLMFR JIS K7210(21.6kg 230℃) ヒドロキシル基含有量 赤外線吸収スペクトルにより算出 有機スズ(ジブチルスズマレート系安定剤) スタンBM(N)三共有機合成(株) 塗装性評価 試料は2mm厚の射出成型平板を用いた。塗料は日本ビ
ーケミカル製2液ポリウレタン系塗料R−271を用い
た。剥離試験は塗膜に10mm幅の切れ込みをいれ、剥
離速度50mm/分、180度剥離で行った。
【0035】 〔変性ポリオレフィン系樹脂(a)の調製〕 変性PP1 ポリプロピレン単独重合体 100重量部 (MFR 0.5g/10分) 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 4重量部 (以下HEMAと略) ジクミルパーオキサイド 1.5重量部 (以下DCPと略) 上記の配合物を2軸押出機により180℃で混練し、グ
ラフト変性した。
【0036】 変性PP2 プロピレン−エチレンランダムコポリマー 100重量部 (MFR 0.1g/10分 エチレン含量7重量部) HEMA 4重量部 DCP 1.5重量部 上記の配合物を2軸押出機により180℃で混練し、グ
ラフト変性した。
【0037】 変性PP3 プロピレン−エチレンランダムコポリマー 100重量部 (MFR 0.1g/10分 エチレン含量7重量部) ポリエチレングリコールモノメタクリレート 3重量部 (日本油脂製 エチレングリコール鎖重合度4〜5) DCP 1.5重量部 上記の配合物を2軸押出機により180℃で混練し、グ
ラフト変性した。
【0038】 変性PP4 ポリプロピレン単独重合体 100重量部 (MFR 0.5g/10分) ポリエチレングリコールモノメタクリレート 3重量部 (日本油脂製 エチレングリコール鎖重合度4〜5) DCP 1.5重量部 上記の配合物を2軸押出機により180℃で混練し、グ
ラフト変性した。上記変性ポリオレフィン系樹脂の特性
を表1に示した。
【0039】(実施例1〜8、比較例1〜2) 〔熱可塑性エラストマー組成物の調製〕上記変性ポリオ
レフィン系樹脂(a)と未変性ポリオレフィン系樹脂
(b)および非架橋ゴムを表2に示した割合(重量部)
で配合し、2軸押出機を用い180℃で混練し熱可塑性
エラストマー組成物を得た。得られた変性熱可塑性エラ
ストマー組成物の特性およびポリウレタン系塗料との密
着強度を表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明はトリクレン処理、プライマー処
理なしでポリウレタン塗装が可能な変性熱可塑性エラス
トマー組成物を提供するものであり、環境汚染の原因の
一つであるトリクレンや高価なプライマーを使用せずに
すみ、また処理行程が省略できる等の利点がある。本発
明における熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形品
における塗装性が良好であり自動車内装、エクステリ
ア、家電といった幅広い分野で利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−272255(JP,A) 特開 昭59−184246(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 21/00 C08K 5/17 C08K 5/57 C08L 23/00 C08L 51/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)不飽和ヒドロキシ化合物でグラフ
    ト変性された変性ポリオレフィン系樹脂99.1〜60
    重量部および(b)未変性ポリオレフィン系樹脂0.1
    〜40重量部からなる樹脂成分(A)10〜55重量%
    と非架橋ゴム(B)45〜90重量%とからなり、トリ
    クロロエタン処理およびプライマー処理なしでポリウレ
    タン塗装可能な熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマー組成物中のヒドロ
    キシ基含有量が7×10ー3mmol/g以上である請
    求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】有機スズ化合物または第3級アミンを組成
    物100重量部に対し、0.005〜10重量部配合し
    た請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。
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