JP2656329B2 - フラビンヌクレオチド類の製造法 - Google Patents

フラビンヌクレオチド類の製造法

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JP2656329B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、コリネバクテリウム属またはブレビバクテ
リウム属に属する微生物のフラビンアデニンジヌクレオ
チドシンセターゼ(以下FADSと略す)をコードする遺伝
子を含むDNA断片とベクターDNAとの組換え体DNAを保有
する微生物の菌体、培養液またはそれらの処理物の存在
下、水性媒体中でリボフラビンおよび/またはフラビン
モノヌクレオチド(以下FMNと略す)とアデノシン−
5′−3リン酸(以下ATPと略す)とを反応させてFMNま
たはフラビンアデニンジヌクレオチド(以下FADと略
す)を生成させ、該反応液から生成したFMNまたはFADを
採取することを特徴とするFMNまたはFADの製造法に関す
る。
従って、本発明はバイオインダストリーの産業分野に
関し、特にビタミンB2の補酵素型として栄養剤原料、各
種医薬品原料としてのみならず生化学研究試薬としても
重要な物質であるFMNおよびFADの製造分野に関する。
従来の技術 バイオインダストリー分野に関するFMN,FADなどのフ
ラビンヌクレオチド類の製造法としては酵素反応法、直
接発酵法が知られている。FMNに関しては、特公昭38−8
737、特公昭49−30113、特公昭51−23596、特開昭59−1
32898、FADに関しては、特公昭52−14319、特開昭60−1
41295に記載されている。
発明が解決しようとする課題 従来の技術では、用いる微生物の菌体を乾燥処理する
必要があったり、フラビンヌクレオチド類の蓄積量が低
いなど工業的製法としては必ずしも満足すべきものでは
ない。フラビンヌクレオチド類をより高収率で安価に製
造するために、製造法の改良が常に望まれている。
課題を解決するための手段 本発明者は、効率よくフラビンヌクレオチド類を製造
する方法を開発するために研究を行った結果、コリネバ
クテリウム属またはブレビバクテリウム属に属する微生
物に、該属微生物由来のFADシンセターゼ(以下FADSと
略す)をコードする遺伝子を含むDNA断片とベクターDNA
との組換え体DNAを保有させることによりFADS活性を増
大させた微生物を得ることができ、さらに該微生物の培
養液、菌体またはそれらの処理物を用いてリボフラビン
またはFMNから効率よくフラビンヌクレオチド類を生成
できることを見出し本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、コリネバクテリウム属またブレビバクテリ
ウム属に属し、FMNまたはFADの合成に関与する遺伝情報
を担うDNA断片を含む組換え体DNAを保有する微生物の菌
体、培養液またはそれらの処理物の存在下、水性媒体中
でフラビンヌクレオチド類前駆体とATPとを反応させて
フラビンヌクレオチド類を生成させ、該反応液から生成
したフラビンヌクレオチド類を採取することを特徴とす
るフラビンヌクレオチド類の製造法を提供する。
該DNA断片としては、コリネバクテリウム属またはブ
レビバクテリウム属に属する微生物由来で、かつFADSを
コードする遺伝子を含むDNA断片があげられる。
本発明におけるFADSをコードする遺伝子を含むDNA断
片の供給源となるコリネバクテリウム属またはブレビバ
クテリウム属に属する微生物としては、FADS活性を有す
る該属微生物ならばいかなる微生物でも使用できる。具
体的に好適な例としては、ブレビバクテリウム・アンモ
ニアゲネスATCC6872およびその変異株があげられる。該
微生物のFADSは、FMNとATPとからFADを生成する活性の
みならず、リボフラビンとATPとからFMNを生成する活性
をも併せ持っていることが知られている〔D.J.Manstein
ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
(J.Miol.Chem.)261,16169−16173(1989)〕。このこ
とは、該微生物がリボフラビンとATPとからFMNを経由し
てFADを生成する活性を有していることを示している。
従って、基室としてFMNはもちろんリボフラビンをも有
効に用いることができ、リボフラビンからのFMNおよびF
AD生産およびFMNからのFAD生産のいずれにも有効であ
る。
本発明に用いる宿主微生物としては、コリネバクテリ
ウム属またはブレビバクテリウム属に属し、DNA取込み
能を有する微生物であれば野生株の他に薬剤耐性、栄養
要求性などを有する変異株などいかなる菌株を用いても
よい。好適にはブレビバクテリウム・アンモニアゲネス
ATCC6872や、この菌株を親株として変異誘導された変異
株、たとえばブレビバクテリウム・アンモニアゲネスAT
CC21170およびコリネバクテリウム・グルタミカムATCC2
1171などがあげられる。
本発明に用いるベクターとしては、コリネバクテリウ
ム属またはブレビバクテリウム属菌種中で自律複製でき
るものであればいずれでも用いることができる。たとえ
ば、pCG1(特開昭57−134500)、pCG2(特開昭58−3519
7)、pCG4、pCG11(いずれも特開昭57−183799)、pCE5
4、pCB101(特開昭58−105999)、pCE51、pCE52、pCE53
〔いずれもモレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネ
ティクス(Mol.Gen.Genet.)196,175(1984)〕および
それらから誘導されたプラスミドを使用することができ
る。
FADSコードをする遺伝子を含むDNA断片とベクターDNA
との組換え体DNAは試験官内で両DNAを同一切断末端を与
える制限酵素で切断した後、DNAリガーゼで連結反応を
行うことによって種々の組換え体混成物と共に得ること
ができる。
得られた組換え体混成物を用いて、コリネバクテリウ
ム属またはブレビバクテリウム属に属する微生物を形質
転換し、FADSをコードする遺伝子を含む組換え体プラス
ミドを保有する形質転換株を選択し、その株よりプラス
ミドを単離することによりFADSをコードする遺伝子を含
む組換え体プラスミドを取得することができる。
コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に
属する微生物の形質転換法としてはプロトプラストを用
いる方法(特開昭57−186492、特開昭57−186489または
特開昭62−83998)により実施することができる。
目的の酵素をコードする遺伝子を含む組換え体プラス
ミドを保有する形質転換株の選択法としては、該遺伝子
を欠く変異株を宿主として形質転換を行い欠損形質が相
補された形質転換株を選択する方法、目的酵素のアミノ
酸配列の全部または一部から明らかな場合に、そのアミ
ノ酸配列に対応する塩基配列を有するDNAプローブを合
成し、このDNAとハイブリダイズする性質を指標にして
選択する方法などが用いられる。
コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属菌
種の宿主・ベクター系を用いるかわりに、たとえば大腸
菌などの他の菌種の宿主・ベクター系を用いても、上記
と同様の方法によりFADSをコードする遺伝子を含む組換
え体プラスミドを取得することができる。
FADS欠損変異株は、今までのところ得られていないの
で、FADSのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するDN
Aプローブを合成し、該DNAプローブを用いて以下のよう
にして、FADSをコードする遺伝子を含む組換え体プラス
ミドを取得することができる。
すなわち、コリネバクテリウム属またはブレビバクテ
リウム属に属する微生物の全染色体DNA標品を調製し、
これを適当な制限酵素で切断し、得られたDNA断片を大
腸菌のベクターDNAに挿入した後、宿主の大腸菌を形質
転換して組換え体プラスミドを導入することにより該微
生物のジーンバンクを調製する。得られた形質転換株を
ニトロセルロースフィルター上で生育させ、コロニー形
成後、水酸化ナトリウム溶液で処理し、得られた処理物
とFADSのアミノ酸配列より予想されるDNA配列を有する
合成DNAプローブとをハイブリダイゼーションさせ、強
くハイブリダイズするものを選択する〔Grunstein−Hog
nessの方法、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミイ・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sc
i.)USA.,72,3961(1975)〕。DNAプローブの合成は、
リン酸アミダイド法による固相合成法〔S.L.Beaucage
ら、テトラヒドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)2
2,1859(1981)、L.J.McBrieら、同書24,245(1983)〕
に従って行う。
合成DNAプローブによる選択はサザンらの方法〔ジャ
ーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジイ(J.Mol.Bi
ol.),98,503(1975)〕によってさらに確実にでき、
この方法でFADSをコードする遺伝子を含む組換え体プラ
スミドDNAを同定できる。
次に該組換え体プラスミドより、適当な制限酵素でFA
DSをコードする遺伝子を含むADNA断片を切り出し、この
DNA断片をコリネバクテリウム属またはブレビバクテリ
ウム属菌種中で自律複製できるベクターDNAに挿入する
ことにより、FADSをコードする遺伝子を含む組換え体プ
ラスミドを作製し、上記のプロトプラストを用いる方法
によりコリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム
属に属する微生物を形質転換し、形質転換株を得る。
このようにして取得したコリネバクテリウム属または
ブレビバクテリウム属菌種由来のFADSをコードする遺伝
子を含むDNA断片とベクターDNAとの組換え体プラスミド
を保有するコリネバクテリウム属またはブレビバクテリ
ウム属に属する菌株の培養は、通常用いられる合成培地
または天然培地を用いて行うことができる。
培地に用いる炭素源としては、たとえばグルコース、
フラクトース、シュクロース、糖蜜、澱粉加水分解物な
どの炭水化物、エタノール、グリセロール、ソルビトー
ルなどのアルコール類、ピルビン酸、乳酸、酢酸などの
有機酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラ
ギン酸などのアミノ酸など、該使用菌株が資化可能なも
のであればいずれも使用可能である。これらの使用濃度
としては5〜30%が好ましい。窒素源としては、アンモ
ニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アン
モニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸
アンモニウムなどの各種無機および有機アンモニウム
塩、尿素、ペプトン、NZ−アミン、肉エキス、酵母エキ
ス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解、フィッ
シュミールあるいはその消化物などの窒素含有有機物、
グリシン、グルタミン酸などの各種アミノ酸など種々の
ものが好適である。無機物としては燐酸第一カリウム、
燐酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、燐酸マグネシウ
ム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸
亜鉛、炭酸カルシウムなどを用いることができる。用い
る菌がアミノ酸、核酸、ビタミンなどの特定の栄養素を
生育に要求する場合には培地にこれらの物質を適当量添
加する。
培養は、振盪培養あるいは通気撹拌培養などの好気的
条件下に行う。培養温度は、一般に20−40℃が好適であ
る。培養期間は、通常2−7日間である。培地のpHはア
ンモニア、尿素、水酸化ナトリウム溶液などで中性付近
に保つことが望ましい。
このようにして得られる微生物の培養液は、そのまま
でも反応に使用できるし、さらに、該培養物を種々処理
して得られる処理物を反応に用いてもよい。処理物とし
ては、培養物の濃縮物、乾燥物、界面活性剤処理物もし
くは溶菌酵素処理物さらに培養物を遠心分離機で処理し
て得られる菌体、菌体の乾燥物、アセトン処理物、界面
活性剤処理物、溶菌酵素処理物、固定化菌体などがあげ
られる。
反応は水性媒体中であればいずれも行うことができ
る。好適には微生物の培養液中にリボフラビンまたはFM
NおよびATPさらに必要に応じて界面活性剤および/また
は有機溶剤を同時に存在させるか、または培養終了後に
培養液、菌体、もしくはそれらの処理物にリボフラビン
またはFMNおよびATPさらに必要に応じて界面活性剤およ
び/または有機溶剤を加え、20−50℃にて1〜48時間反
応させることにより、培地中または反応液中にフラビン
ヌクレオチド類を蓄積させることができる。この際、pH
を6〜9に調節することが望ましい。培地中および反応
液中の各基質濃度は通常FMN0.1〜20g/、リボフラビン
0.1〜2g/、ATP 0.1〜80g/である。なおリボフラビ
ンは水に難溶性であるが、リボフラビンが水に溶解して
いなくても懸濁の状態で目的を達することができる。
ATP源としては、高度精製標品のほか、アデニンをエ
ネルギー供与体存在下に微生物菌体と接触させることに
より得られるATP含有液(特開昭59−51799)、またはそ
の菌体除去液、さらにはそれらの濃縮液などを用いるこ
ともできる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンステアリル
アミン(例えばナイミーンS−215、日本油脂社製)、
セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルピリ
ジウムクロライドなどのカチオン性界面活性剤、ナトリ
ウムラウリル硫酸ナトリウムオレイルアミド硫酸などの
アニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン
モノステアレート(例えばノニオンST221、日本油脂社
製)などの非イオン性界面活性剤、ラウリルベタイン
(例えばアノンBF、日本油脂社製)などの両性界面活性
剤などが用いられ、これらは通常0.1〜50g/、好まし
くは1〜20g/の濃度にて用いられる。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、アセトン、
脂肪族アルコール、酢酸エチルなどが用いられ、これら
は通常0.1〜50ml/、好ましくは1〜20mlがよい。
前記したように、ブレビバクテリウム属菌種由来のFA
DSは、FMNとATPとからFADを生成する活性のみならず、
リボフラビンとATPとからFMNを生成する活性をも併せ持
っているため、リボフラビンを基質として用いた場合、
反応液中にFMNが生成蓄積するが、さらに反応を続ける
と、反応液中に生成蓄積したFMNを基質としてFAD生成反
応が行われ、反応液中には、FMNとFADが生成蓄積され
る。この際、反応液中に金属イオン、例えばZn2+やCo2+
を存在させて反応を行うことにより、FMNを基質としてF
ADを生成させる反応を抑えることができ、反応液中に著
量のFMNを生成させることができる。
反応液中に存在させる金属イオンとしては、Zn2+、Co
2+、Ni2+およびCu2+があげられる。これらは、反応液中
でイオンの形で存在していればよく、反応液中に前記の
金属イオンの硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、塩化物などの
各種の無機および有機の塩を添加すればよい。反応液中
に存在させる金属イオンの濃度は、それぞれ、Zn2+の場
合0.5〜100mM好ましくは2.0〜50mM、Co2+の場合0.05〜1
00mM好ましくは0.1〜50mM、Ni2+の場合0.1〜100mM好ま
しくは0.5〜50mM、Cu2+の場合0.5〜50mM好ましくは1.0
〜10mMである。
金属イオンの存在下に反応を行う場合、金属イオンを
存在させる以外は、前記と同様の条件で反応を行うこと
ができる。
培地中または反応液中に蓄積したフラビンヌクレオチ
ド類を採取する方法としては、活性炭、イオン交換樹脂
などを用いる通常の方法を用いることができる。
以下に本発明の実施例を示す。
実施例1 (1) FADSのアミノ酸配列に対応する合成DNAプロー
ブとブレビバクテリウム・アンモニアゲネスの染色体DN
Aとのハイブリダイゼーション ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC6872の染
色体DNAは、特開昭58−126789に示された方法に従って
調製した。ただし、溶菌酵素としてリゾチーム溶液のか
わりにリゾチームとアクロモペプチダーゼの混液〔25%
ショ糖、0.1M NaCl、0.05Mトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン(以下トリスと略す)、0.8mg/mlリゾ
チーム、0.3mg/mlアクロモペプチダーゼ、pH8.0〕を使
用した。
ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC6872由来
のFADSは、D.J.Mansteinらにより分離、精製され、その
アミノ酸配列がN末端から4番目、15番目、17番目を除
いて18番目まで第1表のように決定されている〔ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリイ(J.Biol.C
hem.)261,16169−16173(1986)〕。
4番目のXで表示したアミノ酸は未同定であるが、ア
ミノ酸配列決定の困難なシステイン(Cys)と推定し、
このCysを含むN末端14アミノ酸の配列をコードするDNA
プローブを設計した。Met以外のアミノ酸に対応するコ
ドンは複数個あるが、コリネバクテリウム属またはブレ
ビバクテリウム属細菌のコドンの使用頻度を調べ、この
使用頻度の高いコドンを優先的に選んで、上記N末端14
アミノ酸に対応する41塩基からなるDNAプローブを設計
し(第2表上段)、その相補鎖側の塩基配列をもつ第2
表下段に示すDNAプローブを合成した。
DNAプローブの合成はリン酸アミダイド法による固相
合成法〔S.L.Beaucageら、テトラヒドロン・レターズ
(Tetrahedron Lett.)22,1859(1981)、L.J.McBrie
ら,同書24,245(1983)〕に従い、アプライドバイオシ
ステム社のDNA自動合成機380Aを用いて同社の試薬と合
成プログラムを使用して行った。
ハイブリダイゼーションは次のように行った。すなわ
ち、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC6872の
染色体DNA2μgを含む制限酵素Pst I用反応緩衝液(10m
Mトリス、7mM MgCl2、50mM NaCl、pH7.5)20μに10
単位のPst I(宝酒造社製、10単位/μ)を添加し、3
7℃で2時間消化反応させた。該消化物をアガロースゲ
ル電気泳動に供した後、サザンらの方法〔ジャーナル・
オブ・モレキュラー・バイオロジイ(J.Mol.Biol.),9
8,503(1975)〕に従ってニトロセルロース・フィルタ
ーにDNAを吸着させた。
プローブDNAとしては、上記で得られた合成DNA0.2μ
gおよび〔γ−32P〕ATP30μCiを含む緩衝液(50mMトリ
ス、10mMMgCl2、10mMジチオスレイトール)30μに2
単位のT4ポリヌクレオチド・キナーゼ(宝酒造社製)を
添加し、37℃、30分間標識反応を行ったものを用いた。
32Pでラベルした該DNA断片をプローブして、フィルタ
ーに吸着させたブレビバクテリウム・アンモニアゲネス
ATCC6872の染色体DNAとのバイブリダイゼーションを、
マニアティスらにより記述された方法〔モレキュラー・
クローニング(コールドスプリングハーバー研究所編
集)、387−389(1982)〕に従って行った。ただし、ハ
イブリダイゼーションは55℃、16時間行い、ハイブリダ
イゼーション後のフィルターの洗浄には0.1×SSC,0.5%
SDS溶液〔15mM NaCl、1.5mMクエン酸ナトリウム、5mg/
mlドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、pH7.0〕のかわりに
6×SSC溶液(0.9M NaCl、90mMクエン酸ナトリウム、p
H7.0)を用い、55℃で10分間加温した。その結果、約4
キロベース(Kb)の位置と約5Kbの位置に合成プローブ
とハイブリダイズするバンドが見出され、ブレビバクテ
リウム・アンモニアゲネスATCC6872の染色体DNA中に合
成DNAと高い相同性を有する領域が存在することが示さ
れた。
(2) ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC68
72のジーンバンクの作製 ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC6872の染
色体DNAは(1)に示した方法により調製し、宿主とし
大腸菌JM109〔ジーン(Gene)33,103〜119(1985)〕を
ベクターとしてpUC19〔ジーン(Gene)33,109〜119(19
85)〕を用いて、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネ
スATCC6872のジーンバンクを以下のようにして作製し
た。
ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC6872の染
色体DNA20μgを含む制限酵素Pst I用反応緩衝液200μ
に100単位のPst Iを添加し、37℃で2時間反応させ
た。該消化物を低融点アガロースゲル電気泳動法〔アナ
リティカル・バイオケストリィ(Analytical Biochemis
try),98,305(1979)〕を用い、約4Kbと約5Kbに相当
するDNA画分を回収した。一方pUC10プラスミドDNA2μg
を含む制限酵素Pst I用反応緩衝液50μに10単位のPst
Iを添加し、37℃で2時間反応させた後、1単位の大腸
菌アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製、0.53単位/
μ)を添加し、65℃で80分間反応させた。該反応物に
50μのフェノーレを加えよく撹拌した後、水層部分を
採取した。この操作をさらに4回繰り返した後、エタノ
ール100μを加え、−80℃で40分間放置し、遠心分離
により沈澱画分を回収した。
以上のようにして回収したブレビバクテリウム・アン
モニアゲネスATCC6872の染色体DNAのPst I消化断片の約
4Kbと約5Kb画分およびのpUC19のPst I消化断片のアルカ
リフォスファターゼ処理物を含むT4リガーゼ緩衝液(66
mMトリス、6.6mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、pH
7.6)100μに、10mM ATP 2μ、T4リガーゼ(宝酒
造社製、350単位/μ)350単位を加え、16℃で24時間
反応させた。得られたリガーゼ反応混合物を大腸菌JM10
9の形質転換に供した。形質転換はコーエンらの方法〔C
ahen et al.プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミイ・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sc
i.)USA,69,2110(1972)〕により実施した。形質転換
株の選択は、アンピシリン100μg/mlを含むXgal寒天平
板〔バクトトリプトン10g、酵母エキス3g、NaCl 8g、
イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド24mg、5
−ブロモ−4−クロロ−インドイル−β−Dガラクトシ
ド40mgおよび寒天14gを純水1に含みpH7.2に調整した
培地〕を用いて行い、ブレビバクテリウム・アンモニア
ゲネスATCC6872の染色体DNAの約4Kbと約5KbのPst I消化
断片がpUC19のPst I部に挿入された組換え体プラスミド
を保持する形質転換株(白色コロニー)を約1万個取得
した。
(3) ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC68
72のジーンバンクからの合成DNAプローブとバイブリダ
イズするコロニーの選択 (2)で取得したジーンバンクのコロニー約2000個の
プラスミドDNAを、Grunstein−Hognessの方法〔プロシ
ーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ
・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA,72,3961(19
75)〕によりニトロセルロースフィルター上に固定し
た。このフィルター上のプラスミドDNAと(1)で作成
した32PでラベルされたDNAプローブとのハイブリダイゼ
ーションを、(1)と同様の方法により行った。その結
果、プローブとハイブリダイズする約4KbのPst I消化断
片を含む組換え体プラスミドと約5KbのPst Iの消化断片
を含む組換え体プラスミドがジーンバンク中に存在する
ことが明らかとなった。
得られた2菌株からアンらの方法〔An.G.et al.ジャ
ーナル・オブ・バクテリオロジイ(J.Bacteriol.),14
0,400(1979)〕によりプラスミドを単離した。これら
プラスミドDNAと第3表に示す合成DNAプローブ、すなわ
ち(1)と同様の方法で合成したFADSのN末端から9〜
14番目のアミノ酸配列に対応する17塩基から成る128種
のDNAの混合物4組(P1,P2,P3,P4)とのハイブリダイゼ
ーションを(1)と同様の方法で行った。ただし、ハイ
ブリダイゼーションおよびフィルターの洗浄は35℃で行
った。
その結果、約4KbのPst I消化断片を含む組換え体プラ
スミドがP1、P2、P3、P4のいずれの合成DNAプローブと
もハイブリダイズし、特にP2と強くハイブリダイズする
ことがわかった。このプラスミドをpFP4と命名した。一
方約5KbのPst I消化断片を含む組換え体プラスミドはP
1、P2、P3、P4のいずれの合成DNAプローブともハイブリ
ダイズしなかった。
(4) 合成DNAプローブとハイブリダイズする約4Kbの
Pst I消化断片のブレビバクテリウム・アンモニアゲネ
スへの導入 (3)で単離したpFP4DNA 5μgを含む制限酵素Pst
I用反応緩衝液50μに25単位のPst Iを添加し、37℃
で2時間反応させた。該消化物より約4KbのDNA断片を
(2)と同様の方法で回収した。
一方、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウ
ム属菌種中で自律複製可能なベクタープラスミドで、ス
ペクチノマイシン、ストレプトマイシンの耐性遺伝子を
有するpCG11〔特開昭57−183799公報参照〕を、それを
保有するブレビバクテリウム・アンモニアゲネスの培養
菌体から下記の方法により単離した。
NB培地(粉末ブイヨン20g/、酵母エキス5g/を含
みpH7.2に調整した培地)で30℃、16時間振盪培養し、
その種培養液4mlをG III培地(第4表に組成を示す)40
0mlに接種し、30℃で振盪培養した。 第 4 表 グルコース 15g/ (NH42SO4 8g/ 尿素 1.2g/ 酵母エキス 1.2g/ KH2PO4 0.5g/ K2HPO4 0.5g/ MgSO4・7H2O 0.1g/ FeSO4・7H2O 2mg/ ZnSO4・7H2O 1mg/ MnSO4・4〜6H2O 1mg/ ビオチン 0.1mg/ サイアミン塩酸塩 2mg/ パントテン酸カルシウム 10mg/ アデニン 100mg/ グアニン 100mg/pH 7.2 対数増殖期の初期(菌体濃度108個/ml)に0.3U/mlに
なるようにペニシリンGを添加し、さらに5時間培養を
続けた。培養液から菌体を集菌しTES緩衝液〔30mMトリ
ス一塩酸、5mMエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(E
DTA)、50mM NaCl、pH8.0〕で洗浄後、リゾチーム−ア
クロモペプチダーゼ液(12.5%シュクロース、0.1M Na
Cl、0.05Mトリス−塩酸、3mg/mlリゾチーム、1mg/mlア
クロモペプチダーゼ、pH8.0)で10mlに懸濁し、37℃で
4時間反応させた。反応後に5M NaCl 2.4ml、0.5M E
DTA(pH8.0)0.6ml、4%ラウリル硫酸ナトリウム0.7M
NaClからなる溶液4.4mlを順次添加し、穏やかに混和
してから氷水中に16時間置いた。溶菌物全体を遠心分離
管に移し、4℃で60分間69,000×gの遠心分離を行い上
清液を回収した。これに重量百分率10%相当のポリエチ
レングリコール(PEG)6.000(半井化学薬品社製)を加
え、静かに混和して溶解後、氷水中に置いた。10時間
後、1,500×gで10分間遠心分離してペレットを回収し
た。TES緩衝液5mlを加えてペレットを静かに再溶解して
から、1.5mg/mlエチジウムブロマイド2.0mlを添加し、
これに塩化セシウムを加えて静かに溶解し密度を1.580
に合わせた。この溶液を20℃、105,000×gで40時間超
遠心分離にかけた。この密度勾配遠心により共有結合で
閉じられた環状のDNAは紫外線照射下に遠心チューブ中
下方の密度の高いバンドとして見出された。このバンド
部分を注射器で遠心チューブの側面から抜き取ることに
よってpCG11プラスミドDNAを含む液を分離した。次いで
分離液を等容量のイソプロパノール〔容量百分率、イソ
プロパノール:TES緩衝液=9:1(なおこのTES緩衝液は飽
和溶解量の塩化セシウムを含む)〕で5回処理してエチ
ジウムブロマイドを抽出除去し、しかる後にTES緩衝液
に対して透析した。このpCG11DNA 2μgを含む制限酵
素Pst I用反応緩衝液50μに10単位のPst Iを添加し、
37℃で2時間反応させた後、1単位の大腸菌アルカリフ
ォスファターゼ(宝酒造社製)を添加し、65℃で80分間
反応させた。次に、(2)と同様にフェノール抽出とエ
タノール沈澱を行い、沈澱画分を回収した。
以上のようにして回収した約4KbのPst I消化断片およ
びpCG11のPst I消化物のアルカリフォスファターゼ処理
物を含むT4リカーゼ緩衝液100μに、100mM ATP2μ
、T4リカーゼ(宝酒造社製)350単位を加え、16℃で2
4時間反応させた。得られたリカーゼ反応混合物をブレ
ビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC6872の形質転換
に供した。
形質転換は下記のようにして調整したATCC21170株の
プロトプラストを用いて行った。ATCC21170株をNB培地
で30℃、16時間振盪培養し、その種培養液0.8mlをG III
培地8mlの入ったL字型試験管に接種し、モノ−型振盪
培養機を用いて30℃で振盪培養した。培地の吸光度を東
京光電比色計にて経時的に測定し、対数増殖期の初期
(培養時間約3時間、菌体濃度約108個/mlに0.3U/mlに
なるようにペニシリンGを添加し、さらに3時間培養を
続けた。培養液から菌体を集菌しG III培地で洗浄後、
2.0mg/ml卵白リゾチーム、0.6mg/mlアクロモペプチダー
ゼ含有P3高張液1mlに再懸濁し、30℃で16時間静置して
プロトプラスト化した。
このプロトプラスト懸濁液0.5mlを小試験管にとり、
2,500×g、10分間遠心分離し、TSMC緩衝液(10mM MgC
l2、30mM CaCl2、50mMトリス−塩酸、0.4Mシュクロー
ス、pH7.5)1mlに再懸濁して遠心洗浄後、TSMC緩衝液0.
1mlに再懸濁した。この懸濁液にリガーゼ反応混合物を
加えて混和し、次いでTSMC緩衝液中に20%PEG6,000を含
む液0.8mlを添加して混合した。10分後、G III培地2ml
を添加し、2,500×g、10分間遠心分離し上清液を除去
した。沈降したプロトプラストを1mlのG III培地に懸濁
してから、該懸濁液の0.2mlをスペクチノマイシン400μ
g/mlを含むRM寒天培地(グルコース5g、カザミノ酸4g、
酵母エキス0.8g、KH2PO4 3.5g、K2HPO4 1.5g、MgCl2
・6H2O 0.4g、CaCl2・2H2O 0.1g、FeSO4・7H2O 10m
g、ZnSO4・7H2O 1mg、MnSO44〜6H2O 4mg、ビチオン
100μg、サイアミン塩酸塩10mg、パントテン酸カルシ
ウム10mg、コハク酸二ナトリウム170gおよび寒天14gを
純水1に含みpH7.2に調整した培地)に塗布し、30℃
で14日間培養した。
出現したスペクチノマイシン耐性形質転換株から10株
選択し、pCG11を単離したのと同様の方法でプラスミド
を単離した。これらプラスミドを制限酵素Pst Iで消化
後、アガロースゲル電気泳動に供した結果、2株はpCG1
1が自己連結したものを保有する菌株であったが、残り
8株は約4KbのPst I断片がpCG11のPst I部位に挿入され
てできた組換え体プラスミドを保有する菌株であること
が明らかになった。これらのうちの1つをpKH43と命名
した。
(5) pKH43保有菌体のFADS活性の測定(4)で取得
したpKH43がFADSの合成に関与するDNA断片を含んだ組換
え体プラスミドであることを確かめるために、pKH43保
有菌体のFADS活性を測定した。酵素活性の測定はD.J.Ma
nsteinらの方法〔ジャーナル・オブ・バイオロジカル・
ケミストリイ(J.Biol.Chem.),261,16169−16173(19
86)〕に従い、基質としてFMNを用いる場合とリボフラ
ビンを用いる場合の両者で行った。ただし、酵素源とし
ては粗酵素液ではなく菌体を用いた。またその際、基質
などの透過性を向上させるための界面活性剤としてナイ
ミーンS−215 4g/、有機溶媒としてキシレンを10ml
/添加した。その結果、第5表に示されるようにpKH43
を保有する菌株のFADS活性は、FMNを基質とした場合で
約4倍、リボフラビンを基質とした場合で約11倍に増加
することが明らかとなり、該プラスミドがFADSの合成に
関与するDNA断片を含む組換え体プラスミドであること
が確かめられた。
実施例2 グルコース150/、尿素5g/(別殺菌)、KH2PO4 1
0g/、K2HPO4 10g/、MgSO4・7H2O 10g/、CaCl2
・2H2O 0.1g/、ビオチン30μg/、酵母エキス5g/
、肉エキス5g/(pH7.2に調整)の組成からなる発酵
培地300mlを2容振盪フラスコに入れ、加熱殺菌後、
予め種培地〔ブイヨン20g/、酵母エキス5g/、グル
コース5g/(pH7.2に調整)〕10mlで30℃、24時間生育
させたブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC2117
0およびブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC211
70/pKH43を各々接種し、30℃で16時間振盪培養した。AT
CC21170/pKH43の培養においては、培地中にスペクチノ
マイシンを100μg/ml添加した。培養終了後、培養液よ
り遠心分離により菌体を分離し、湿菌体各々8.6g、8.3g
を得た。湿菌体200g/、FMN12g/、ATP24g/、キシ
レン10ml/、ナイミーンS−215 4g/を含む反応液1
0mlを大型試験管(内径21mm)に入れ37℃で20時間、0.2
N水酸化ナトリウム溶液でpH7.0〜7.2に調整し、菌体が
沈降しない程度にときどき振盪しつつ反応させた。生成
したFAD・Na2量を第6表に示す。
実施例3 ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170の
菌体およびブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC
21170/pKH43の菌体を実施例2と同様の方法で取得し、
湿菌体200g/、リボフラビン1g/、ATP 10g/、ナ
イミーンS−215 4g/、キシレン10ml/を含む反応
液10mlを大型試験管に入れ33℃、43時間、0.2N水酸化ナ
トリウム溶液でpH7.0〜7.2に調整し、菌体が沈降しない
程度ときどき振盪しつつ反応させた。生成したFAD・Na2
量を第7表に示す。
実施例4 ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170の
菌体およびブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC
21170/pKH43の菌体を実施例2と同様の方法で取得し、
湿菌体200g/、リボフラビン1g/、ATP 10g/、ナ
イミーンS−215 4g/、キシレン10ml/を含む反応
液10mlを大型試験管に入れ40℃、45時間、0.2N水酸化ナ
トリウム溶液でpH7.8〜8.0に調整し、菌体が沈降しない
程度にときどき振盪しつつ反応させた。生成したFMN・N
a量を第8表に示す。
以上のようにpKH43を保有した菌体を用いることによ
り、FMNまたはFADの生産性が著しく高まることが示され
た。
実施例5 ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170/pK
H43の菌体を実施例2と同様の方法で取得し、湿菌体150
g/、リボフラビン1.5g/、ATP 20g/、MgCl2・6H2
O 0.5g/、ナイミーンS−215 4g/、キシレン10ml
/を含む溶液に、第9表に示す化合物を添加した反応
液10mlを大型試験管に入れ、0.2Nの水酸化ナトリウム溶
液でpH7.8〜8.0に調整しつつ、35℃で45時間菌体が沈降
しない程度に撹拌して反応させた。生成したFMN・Na、F
AD・Na2の量を第9表に示す。
発明の効果 本発明によれば、ブレビバクテリウム属またはコリネ
バクテリウム属に属する微生物のFADSの合成に関与する
遺伝情報を担うDNA断片とベクターDANとの組換えDNAを
保有する該属微生物の生菌体もしくは処理物を利用する
ことにより、より良い効率でFMNおよび/またはリボフ
ラビンとATPとからFADまたはFMNを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はpKH43の制限酵素Pst Iによる切断地図と作成工
程を示す。プラスミドの大きさはキロベース(Kb)で表
示されている。太線部分はブレビバクテリウム・アンモ
ニアゲネスATCC6872の染色体DNAに由来し、合成DNAプロ
ーブと高い相同性を示す配列を有するDNA断片を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:13) (C12N 1/21 C12R 1:13) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:13) (C12P 17/18 C12R 1:13)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスAT
    CC6872の染色体DNAをPst Iで消化して得られ、以下の配
    列: ATGGACATCT GCTACGGAAC CGCCGCCGTC CCAAAGGACC T または該配列の相補鎖とハイブリダイズし、かつフラビ
    ンジヌクレオチドシンセターゼをコードする遺伝子を含
    む約4KbのDNA断片とベクターDNAとからなる組換え体DNA
    を保有する微生物の菌体、培養液またはそれらの処理物
    の存在下、水性媒体中でフラビンヌクレオチド類前駆体
    とアデノシン−5′−3リン酸とを反応させてフラビン
    ヌクレオチド類を生成させ、該反応液から生成したフラ
    ビンヌクレオチド類を採取することを特徴とするフラビ
    ンヌクレオチド類の製造法。
  2. 【請求項2】フラビンヌクレオチド類前駆体としてリボ
    フラビンを用いて反応を行い、反応液中にフラビンヌク
    レオチド類としてフラビンモノヌクレオチドを生成さ
    せ、該反応液からフラビンモノヌクレオチドを採取する
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】フラビンヌクレオチド類前駆体としてリボ
    フラビンおよび/またはフラビンモノヌクレオチドを用
    いて反応を行い、反応液中にフラビンヌクレオチド類と
    してフラビンアデニンジヌクレオチドを生成させ、該反
    応液からフラビンアデニンジヌクレオチドを採取する請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】フラビンヌクレオチド類前駆体としてリボ
    フラビンを用い、水性媒体中にさらに金属イオンを存在
    させて反応を行い、反応液中にフラビンヌクレオチド類
    としてフラビンモノヌクレオチドを生成させ、該反応液
    からフラビンモノヌクレオチドを採取する請求項1記載
    の方法。
  5. 【請求項5】金属イオンが、Zn2+、Co2+、Ni2+またはCu
    2+から選ばれる請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスAT
    CC6872の染色体DNAをPst Iで消化して得られ、以下の配
    列: ATGGACATCT GCTACGGAAC CGCCGCCGTC CCAAAGGACC T または該配列の相補鎖とハイブリダイズし、かつフラビ
    ンジヌクレオチドシンセターゼをコードする遺伝子を含
    む約4KbのDNA断片とベクターDNAとからなる組換え体DNA
    を保有する微生物。
  7. 【請求項7】ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスAT
    CC6872の染色体DNAをPst Iで消化して得られ、以下の配
    列: ATGGACATCT GCTACGGAAC CGCCGCCGTC CCAAAGGACC T または該配列の相補鎖とハイブリダイズし、かつフラビ
    ンジヌクレオチドシンセターゼをコードする遺伝子を含
    む約4KbのDNA断片とベクターDNAとからなる組換え体DN
    A。
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