JP2655587B2 - 光磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2655587B2
JP2655587B2 JP25418192A JP25418192A JP2655587B2 JP 2655587 B2 JP2655587 B2 JP 2655587B2 JP 25418192 A JP25418192 A JP 25418192A JP 25418192 A JP25418192 A JP 25418192A JP 2655587 B2 JP2655587 B2 JP 2655587B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報の書き換えが可能
な光磁気記録媒体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気光学効果(カー効果及びファラデー
効果)を利用して情報を記録し、その書き換えも可能で
ある光磁気記録媒体は、高密度で大容量の記録が行える
と共に、可搬性があることなどの多くの利点を持ってお
り、近年、文書ファイル、ビデオ・ファイル、コンピュ
ータ用外部メモリ、オーディオ用メモリなどの多くの分
野で利用されつつある。
【0003】特に最近は、記録の高密度化や動作の高速
化を、更に進めるためにオーバーライト技術の研究・開
発が活発になされている。光磁気ディスクの場合、オー
バーライトの方法としては、書き込みレーザパワーを変
化させる光変調方式、及び外部磁界を変化させる磁界変
調方式が提案されている。特に、磁界変調方式は、ピッ
ト長を短くできるために高密度記録が容易に実現でき、
さらには、光変調方式の記録媒体と比較して、記録媒体
の膜構成が簡単にできる等の利点があるので、その実用
化が急がれている。
【0004】磁界変調方式における課題は、いかに高速
に磁界を変化させることができるかということである。
これを解決するためには、磁界コイルを小さくする必要
があり、また、磁気コイルと記録媒体との距離を縮め
る、あるいは、少ない磁界で書き込みが行えるように、
記録媒体の磁気的な感度を向上させることが重要であ
る。これについては、従来、記録媒体の磁界感度を良く
するために、記録膜組成を調整したり、磁性膜を多層化
する、もしくは磁性膜の表面を酸化処理する等の方法が
提案されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た記録膜組成を調整する方法では、磁界感度特性を十分
に向上させることができず、また、磁性膜を多層化する
方法には、製造プロセスが複雑になるという問題があっ
た。一方、磁性膜の表面酸化処理を行う方法は、その効
果発生の原理が不明であったために、装置もしくは製造
プロセスが違うと再現性がほとんどなく、適用するのが
困難であった。本発明は、このような問題点を解決する
ためになされたものであり、磁性膜の酸化処理のプロセ
スを解明して再現性を良くし、さらに、酸化処理による
効果を大きくしたことによって、磁界感度の優れた光磁
気記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、磁性膜の
酸化処理のプロセスを解明するために、種々の検討を行
った。その結果、光磁気記録媒体の磁界感度特性を十分
に向上させ、しかも、その再現性を高めるためには、磁
性膜における表面組成の条件が極めて重要であることが
解明された。すなわち、磁性膜の表面を酸化処理する際
に、酸化され易い金属が、磁性膜表面に所定濃度で含有
されていれば、その酸化され易い金属によって酸化材料
が捕捉されるので、酸化が磁性膜の深部にまで進行せ
ず、極表面のみが酸化され、しかも、該酸化処理が極め
て再現性良く進行する。それに対して、酸化され易い金
属が磁性膜表面に全く含有されていない場合には、磁性
膜の深部にまで酸化が進行してしまうので、磁界特性の
改善が見られず、該酸化処理による効果が現れない。ま
た、酸化され易い金属が磁性膜表面に過剰に含有されて
いる場合は、酸化され易い金属のみが酸化され、磁性膜
が酸化され難いので、磁界特性を十分に改善することが
できない。
【0007】図4及び図5は、酸化処理効果がある場合
とない場合と比較した、外部磁界に対するCNRの特性
図であり、図4は光変調方式、図5は磁界変調方式にお
けるものをそれぞれ示す。これらの図に示したような、
光磁気記録媒体の磁界感度特性を向上させるためには、
磁性膜表面に、酸化され易い金属が適正な濃度で含有さ
れていることが必要である。そして、その酸化され易い
金属として、Al,Ti,Crなどを用いた時に、特に
効果が大きい。さらに、酸化処理に対する磁性膜表面の
酸化され易い金属の濃度をESCA分析により測定した
ところ、濃度の適正値が3%以上50%以下(単位:原
子%、以下同じ)の範囲であることが判明した。
【0008】一方、酸化処理に用いる酸化材料について
検討したところ、酸素ガス、もしくは、基板を固定、搬
送する治具から放出される水分を含んだガス(以下、放
出ガス)によって、効果的な酸化処理が行えることが確
認された。また、上記酸素ガスもしくは放出ガスに、ア
ルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスを混合させたも
のを用いた場合でも、同様に良好な結果が得られた。さ
らに、酸化材料の濃度は特に重要ではなく、酸化され易
い金属を含んだ磁性膜の表面を極薄く酸化するに足るだ
けの量が供給されれば良いということも判明した。これ
らのことから、前述の目的を達成するために、以下の手
段を採用した。
【0009】請求項1の発明は、透明樹脂基板の信号面
上に非晶質磁性合金膜及び誘電体保護膜からなる記録層
を積層してなる光磁気記録媒体において、上記非晶質磁
性合金膜の表面に、酸化され易い金属を3%以上50%
以下の範囲で含有し、かつ、該表面が酸化処理されてな
るものである。請求項2の発明は、酸化され易い金属
が、Al,Ti,Crからなる群の中の少なくとも1つ
の金属である請求項1に記載の光磁気記録媒体である。
請求項3記載の発明は、透明樹脂基板の信号面上に、非
晶質磁性合金膜及び誘電体保護膜からなる記録層を積層
してなる光磁気記録媒体の製造方法において、上記非晶
質磁性合金膜の表面に、酸化され易い金属を3%以上5
0%以下の範囲で含有した状態で、該表面を酸化処理す
るものである。請求項4記載の発明は、透明樹脂基板の
信号面上に、非晶質磁性合金膜及び誘電体保護膜からな
る記録層を積層してなる光磁気記録媒体の製造方法にお
いて、上記非晶質磁性合金膜の表面に3%以上50%以
下の範囲で酸化され易い金属を含有するように、上記酸
化され易い金属を上記非晶質磁性合金膜上にスパッタ成
膜し、その非晶質磁性合金膜を酸化処理するものであ
る。請求項5記載の発明は、透明樹脂基板の信号面上
に、非晶質磁性合金膜及び誘電体保護膜からなる記録層
を積層してなる光磁気記録媒体の製造方法において、酸
化され易い金属を非晶質磁性合金ターゲットに混合し、
該ターゲットをスパッタすることにより、上記酸化され
易い金属を3%以上50%以下の範囲で含有した非晶質
磁性合金膜を成膜し、その非晶質磁性合金膜を酸化処理
するものである。
【0010】
【作用】磁性膜の表面を酸化処理する際に、酸化され易
い金属が、磁性膜表面に所定濃度で含有されていれば、
その酸化され易い金属によって酸化材料が捕捉されるの
で、酸化が磁性膜の深部にまで進行せず、極表面のみが
酸化され、また、該酸化処理の再現性が高くなる。これ
により、光磁気記録媒体の磁界感度特性を十分に向上さ
せることができる。なお、上記の各請求項のそれぞれに
特徴的な作用を、以下に記す。
【0011】請求項1,2記載の光磁気記録媒体は、非
晶質磁性合金膜の表面に、所定濃度の酸化され易い金属
を含有させて酸化処理したので、非晶質磁性合金膜の表
面が適度に酸化され、磁界感度特性が良好である。請求
項3記載の光磁気記録媒体の製造方法により、非晶質磁
性合金膜の表面に、所定濃度の酸化され易い金属を含有
させて酸化処理するので、非晶質磁性合金膜の表面が適
度に酸化される。請求項4記載の光磁気記録媒体の製造
方法により、酸化され易い金属が非晶質磁性合金膜上に
スパッタ成膜されて、酸化され易い金属を所定濃度で表
面に含有する非晶質磁性合金膜が得られる。請求項5記
載の光磁気記録媒体の製造方法により、酸化され易い金
属が非晶質磁性合金ターゲットに混合され、該ターゲッ
トがスパッタされて、酸化され易い金属を所定濃度で表
面に含有した非晶質磁性合金膜が成膜される。
【0012】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例を説明す
る。表1は、本発明の実施例及び比較例による光磁気記
録媒体の一覧を示し、図1は本発明の実施例による光磁
気記録媒体の断面図である。
【0013】第1実施例による光磁気記録媒体について
説明する。図1において、光磁気記録媒体1は、ポリカ
ーボネート樹脂からなる86mmφ,1.2mmtの透
明樹脂基板2の上に、100nmの誘電体保護層3と、
TbFeCoAlからなる25nmの非晶質磁性合金膜
4と、窒化シリコンからなる35nmの誘電体保護膜5
と、アルミニウム合金からなる50nmの反射膜6とを
積層して構成されている。
【0014】上記光磁気記録媒体1の製造手順を説明す
る。ポリカーボネート樹脂を射出成形して透明樹脂基板
2を得る。その透明樹脂基板2に、8インチカソードを
各チャンバーに装着したインライン式マグネトロンスパ
ッタ装置を使用して成膜処理を施す。この成膜処理は、
まず、各チャンバーを5×10- 5 Paとなるまで真空
排気した後、基板ホルダーに装着した透明樹脂基板2を
真空槽内に供給し、1時間真空排気した後、反応性スパ
ッタ法により誘電体保護層3を形成する。その後、スパ
ッタ室に基板を移動させ、TbFeCoAlの非晶質磁
性合金膜4を前記誘電体保護層3上に積層する。次に、
真空室に透明樹脂基板2を移動させ、酸素濃度5%(体
積比)のアルゴンガスを100SCCM、10秒間流す
ことにより、透明樹脂基板2上の非晶質磁性合金膜4の
表面を酸化させる。さらに、透明樹脂基板2をスパッタ
室に移動し、前記誘電体保護層3の形成時と同等の条件
により窒化シリコンの誘電体保護膜5を積層する。最後
に、アルミニウム合金膜6を積層して4層膜構成の光磁
気記録媒体1を作製する。
【0015】上記の手順において、非晶質磁性合金膜4
の成膜時には、組成がTb21Fe70Co6Al3 (原子
%)であるターゲットを用いた。このターゲットを用い
て成膜した非晶質磁性合金膜4の組成をESCA分析し
た結果、Alが3原子%含有されていた。光磁気記録媒
体1の光変調における磁界感度は、150エルステッド
(Oe)であった。また、磁界変調における外部磁界を
100(Oe)とした時のCNRは、48デシベル(d
B)であった(表1参照)。光磁気記録媒体1には、酸
化による特性の劣化は見られず、酸化処理によって磁界
特性が向上していた。
【0016】第2実施例について説明する。本実施例で
は、上記第1実施例で述べた手順において、非晶質磁性
合金膜4の成膜時に用いるターゲットの組成をTb21
68Co6 Al5 (原子%)に変えて、光磁気記録媒体
1を作製した。非晶質磁性合金膜4の組成をESCA分
析した結果、Alは5原子%含有されていた。また、光
変調における磁界感度は150(Oe)であり、磁界変
調における外部磁界を100(Oe)とした時のCNR
は48dBであった。これらの値は、上記第1実施例と
同等である。また、本実施例においても光磁気記録媒体
には、酸化による特性の劣化は見られず、酸化処理によ
って磁界特性が向上していた。
【0017】第3実施例を説明する。本実施例では、組
成がTb21Fe73Co6 (原子%)であるターゲットを
用いて非晶質磁性合金膜4をスパッタ成膜した後、その
非晶質磁性合金膜4上にAlをスパッタ成膜にて0.0
5nm積層させ、酸素ガスを用いて酸化処理することに
より磁性膜を形成した。他は上記第1及び第2実施例と
同様の手順で作製した。Alを成膜した後の非晶質磁性
合金膜4の表面の組成をESCA分析した結果、Alは
原子%であった。この光磁気記録媒体1の光変調にお
ける磁界感度は、150(Oe)であり、磁界変調にお
ける外部磁界を100(Oe)とした時のCNRは48
dBであった。本実施例においても、酸化処理によって
磁界特性が向上していた。
【0018】第4実施例を説明する。上記第3実施例で
は、酸素ガスを流して非晶質磁性合金膜4の表面を酸化
したが、本実施例では、組成がTb21Fe73Co6 (原
子%)であるターゲットを用いて非晶質磁性合金膜4を
スパッタ成膜し、その非晶質磁性合金膜4上にAlを積
層させた後、透明樹脂基板2を別の真空槽へ移動させ、
透明樹脂基板2をホルダーに保持させたまま、10分間
真空排気した。他は上記第3実施例と同様の手順で作製
した。Alを成膜した後の非晶質磁性合金膜4の表面の
組成をESCA分析した結果、Alは5原子%であっ
た。この光磁気記録媒体1の光変調における磁界感度
は、150(Oe)であり、磁界変調における外部磁界
を100(Oe)とした時のCNRは48dBであっ
た。本実施例においても、酸化処理によって磁界特性が
向上した。一方、真空中で放置している時の、真空中の
ガスを分析した結果、透明樹脂基板2もしくは、これを
固定、搬送する治具から放出されたと考えられるH2
ガスが検出された。
【0019】第5実施例を説明する。本実施例では、組
成がTb21Fe73Co6 (原子%)であるターゲットを
用いて非晶質磁性合金膜4を成膜した後、Alをスパッ
タ成膜にて0.1nm積層し、他は上記第3実施例と同
様の手順で作製した。Alを成膜した後の非晶質磁性合
金膜4の表面の組成をESCA分析した結果、Alは1
原子%であった。この光磁気記録媒体1の光変調にお
ける磁界感度は、150(Oe)であり、磁界変調にお
ける外部磁界を100(Oe)とした時のCNRは48
dBであった。本実施例においても、酸化処理によって
磁界特性が向上していた。
【0020】第6実施例を説明する。本実施例では、組
成がTb21Fe73Co6 (原子%)であるターゲットを
用いて非晶質磁性合金膜4を成膜した後、Alをスパッ
タ成膜にて0.5nm積層し、他は上記第3実施例と同
様の手順で作製した。Alを成膜した後の非晶質磁性合
金膜4の表面の組成をESCA分析した結果、Alは5
原子%であった。この光磁気記録媒体1の光変調にお
ける磁界感度は、150(Oe)であり、磁界変調にお
ける外部磁界を100(Oe)とした時のCNRは48
dBであった。本実施例においても、前記第1乃至第5
実施例と同様に酸化処理によって磁界特性が向上してい
た。
【0021】第7実施例について説明する。本実施例で
は、上記第1実施例で述べた手順において、非晶質磁性
合金膜4の成膜時に用いるターゲットの組成をTb21
65Co6 Cr8 (原子%)に変えて、光磁気記録媒体
1を作製した。上記第1及び第2実施例では、非晶質磁
性合金膜4に含有させる酸化され易い金属として、Al
を用いたが、本実施例ではCrを用いた。非晶質磁性合
金膜4の組成をESCA分析した結果、Crは8原子
含有されていた。また、光変調における磁界感度は16
0(Oe)であり、磁界変調における外部磁界を100
(Oe)とした時のCNRは46dBであった。これら
の値から判るように、本実施例においても光磁気記録媒
体には、酸化による特性の劣化は見られず、酸化処理に
よって磁界特性が向上していた。
【0022】第8実施例を説明する。本実施例は、上記
第3実施例における酸化され易い金属をTiに代えたも
のである。すなわち、組成がTb21Fe73Co6 (原子
%)であるターゲットを用いて非晶質磁性合金膜4をス
パッタ成膜した後、その非晶質磁性合金膜4上にTiを
スパッタ成膜にて0.05nm積層させ、酸素ガスを用
いて酸化処理することにより磁性膜を形成した。他は上
記第3実施例と同様の手順で作製した。Tiを成膜した
後の非晶質磁性合金膜4の表面の組成をESCA分析し
た結果、Tiは6原子%であった。光変調における磁界
感度は、140(Oe)であり、磁界変調における外部
磁界を100(Oe)とした時のCNRは47dBであ
った。本実施例においても、酸化処理によって磁界特性
が向上していた。
【0023】次に、比較例を説明する。以下に示す各比
較例において、光磁気記録媒体の構成は、上記図1に示
したものと同等である。第1比較例では、組成がTb21
Fe73Co6 (原子%)であるターゲットを用いて非晶
質磁性合金膜4をスパッタ成膜し、その非晶質磁性合金
膜4上にAlをスパッタ成膜にて0.05nm積層させ
た後、酸化処理をしなかった。他は、前記第3実施例と
同様の手順で作製した。Alを成膜した後の非晶質磁性
合金膜4の表面の組成をESCA分析した結果、Alは
原子%であった。この光磁気記録媒体の光変調におけ
る磁界感度は、250(Oe)であり、磁界変調におけ
る外部磁界を100(Oe)とした時のCNRは42d
Bであった。本比較例における光磁気記録媒体は、磁界
特性が悪いものであった。
【0024】さらに、第2比較例を説明する。本比較例
では、組成がTb21Fe73Co6 (原子%)であるター
ゲットを用いて非晶質磁性合金膜4をスパッタ成膜した
後、Al膜を積層せずに酸化処理を行った。他は、前記
第3実施例と同様の手順で作製した。非晶質磁性合金膜
4の表面の組成をESCA分析した結果、Alは0原子
%であった。この光磁気記録媒体1の光変調における磁
界感度は、250(Oe)であり、磁界変調における外
部磁界を100(Oe)とした時のCNRは42dBで
あった。本比較例においても、磁界特性が悪いものであ
った。
【0025】第3比較例を説明する。本比較例では、組
成がTb21Fe73Co6 (原子%)であるターゲットを
用いて非晶質磁性合金膜4をスパッタ成膜した後、その
非晶質磁性合金膜4上にAlをスパッタ成膜にて1nm
積層させた後、酸化処理を行った。他は、前記第3実施
例と同様の手順で作製した。非晶質磁性合金膜4の表面
の組成をESCA分析した結果、Alは70原子%であ
った。この光磁気記録媒体1の光変調における磁界感度
は、250(Oe)であり、磁界変調における外部磁界
を100(Oe)とした時のCNRは42dBであっ
た。本比較例による光磁気記録媒体は、磁界特性が悪い
ものであった。
【0026】第4比較例を説明する。本比較例では、上
記第7実施例と同様に、Crを混合した非晶質磁性合金
ターゲットを用いて非晶質磁性合金膜4をスパッタ成膜
した後、酸化処理を行い、他は前記第7実施例と同様の
手順で作製した。用いたターゲットの組成は、Tb21
71Co6 Cr2 (原子%)であり、非晶質磁性合金膜
4の表面の組成をESCA分析した結果、Crは2原子
%であった。この光磁気記録媒体の光変調における磁界
感度は、240(Oe)であり、磁界変調における外部
磁界を100(Oe)とした時のCNRは42dBであ
った。本比較例においても、作製された光磁気記録媒体
は、磁界特性が悪いものであった。
【0027】上述した第1比較例では、非晶質磁性合金
膜の表面を酸化しなかったので、他の条件は同等である
第3実施例と比較して、記録媒体の磁界感度が著しく悪
い。このことから、記録媒体の磁界特性を向上させるた
めには、非晶質磁性合金膜の表面を酸化処理することが
重要であり、しかも、その酸化処理のためには、Alな
どの酸化され易い金属が含有されているだけでは足ら
ず、酸素ガスなどの酸化材料を用いて、積極的に酸化処
理を施す必要があることが判る。
【0028】また、第1乃至第8実施例と第2乃至第4
比較例とを比較すれば、酸化処理する時の、非晶質磁性
合金膜の表面の組成によって、磁界感度の良否が決定さ
れることが明らかである。すなわち、第1乃至第8実施
例のように、酸化処理時に、非晶質磁性合金膜の表面に
Alが3%以上50%以下の範囲で含有されていた場合
には、作製された記録媒体の磁界感度特性が良好であ
り、酸化処理の効果が大きいことが解る。それに対し
て、第2乃至第4比較例のように、含有されるAlが過
不足して上記の範囲外である場合には磁界感度が悪く、
酸化処理の効果が小さい。
【0029】非晶質磁性合金膜の表面に、Al,Cr,
Tiなどの酸化され易い金属を含有させる方法として
は、第1、第2、及び第7実施例において説明したよう
に、酸化され易い金属を混合した非晶質磁性合金のター
ゲット設け、このターゲットを用いてスパッタすること
により、所定濃度の酸化され易い金属を含有する非晶質
磁性合金膜を形成してもよいし(図2)、第3乃至第
6、及び第8実施例のように、非晶質磁性合金膜上に酸
化され易い金属をスパッタ成膜してもよく(図3)、両
者共に良好な結果が得られた。
【0030】酸化材料については、第1乃至第3実施例
や第5乃至第8実施例のように、酸素ガスを非晶質磁性
合金膜1の表面に流して供給する構成の他、第4実施例
にて示したように、透明樹脂基板2や、それを固定もし
くは搬送するための治具などから放出されるガスを用い
て酸化させる方法があり、後者の場合も、他の実施例と
同等の良好な結果が得られた。
【0031】以上、本発明の一実施例を説明したが、こ
れに限られるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記実施例構成で用いた、非晶質磁性合金膜4
に含有させる酸化され易い金属としては、AlやTi,
Cr,もしくは、それらの混合物などのうち、作製する
記録媒体の用途や品質基準、製造設備などを考慮して、
最も適切なものを選択して用いればよく、場合によって
は、その他の金属材料を用いてもよい。さらには、酸化
処理に用いる酸化材料として、上記した酸素ガスや放出
ガスの他、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用い
てもよい。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び2記載の光
磁気記録媒体は、磁性膜が効果的に酸化処理されている
ので、磁界感度が良好な光磁気記録媒体が提供できる。
また、請求項3乃至8記載の製造方法によれば、光磁気
記録媒体を製造する際、磁性膜の表面を酸化処理する時
に、酸化が磁性膜の深部にまで進行せず、極表面のみが
酸化されるので、磁性膜が効果的に酸化処理され、磁界
感度が良好な光磁気記録媒体を容易に製造することがで
きる。しかも、その再現性が高く、また、実施方法も簡
便なので、光磁気記録媒体の製造設備などに適用し易
く、高品質な光磁気記録媒体の量産化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による光磁気記録媒体の断面
構成図である。
【図2】非晶質磁性合金とAlを混合したターゲットを
スパッタして成膜した非晶質磁性合金膜のモデル図であ
る。
【図3】表面にAlをスパッタ成膜して積層した非晶質
磁性合金膜を示すモデル図である。
【図4】酸化処理効果がある場合とない場合とを比較し
た、光変調方式における外部磁界対するCNRの特性図
である。
【図5】酸化処理効果がある場合とない場合とを比較し
た、磁界変調方式における外部磁界対するCNRの特性
図である。
【符号の説明】
1 光磁気記録媒体 2 透明樹脂基板 3 誘電体保護層 4 非晶質磁性合金膜4 5 誘電体保護膜 6 反射膜

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明樹脂基板の信号面上に非晶質磁性合
    金膜及び誘電体保護膜からなる記録層を積層してなる光
    磁気記録媒体において、 上記非晶質磁性合金膜の表面に、酸化され易い金属を3
    %以上50%以下(単位:原子%)の範囲で含有し、か
    つ、該表面が酸化処理されてなること特徴とする光磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 酸化され易い金属が、Al,Ti,Cr
    からなる群の中の少なくとも1つの金属であることを特
    徴とした請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 透明樹脂基板の信号面上に、非晶質磁性
    合金膜及び誘電体保護膜からなる記録層を積層してなる
    光磁気記録媒体の製造方法において、 上記非晶質磁性合金膜の表面に、酸化され易い金属を3
    %以上50%以下(単位:原子%)の範囲で含有した状
    態で、該表面を酸化処理することを特徴とする光磁気記
    録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 透明樹脂基板の信号面上に、非晶質磁性
    合金膜及び誘電体保護膜からなる記録層を積層してなる
    光磁気記録媒体の製造方法において、 上記非晶質磁性合金膜の表面に3%以上50%以下(単
    位:原子%)の範囲で酸化され易い金属を含有するよう
    に、上記酸化され易い金属を上記非晶質磁性合金膜上に
    スパッタ成膜し、その非晶質磁性合金膜を酸化処理する
    ことを特徴とした光磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 透明樹脂基板の信号面上に、非晶質磁性
    合金膜及び誘電体保護膜からなる記録層を積層してなる
    光磁気記録媒体の製造方法において、 酸化され易い金属を非晶質磁性合金ターゲットに混合
    し、該ターゲットをスパッタすることにより、上記酸化
    され易い金属を3%以上50%以下(単位:原子%)
    範囲で含有した非晶質磁性合金膜を成膜し、その非晶質
    磁性合金膜を酸化処理することを特徴とする光磁気記録
    媒体の製造方法。
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