JP2654486B2 - エンジンバルブの成形方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、軸部の一端に傘部を備えるエンジンバルブ
を、棒状の素材から、熱間搾出法により成形する方法に
関する。

〔従来の技術〕

第７図〜第10図は、傘表の平坦なエンジンバルブの中
間体を、棒状の素材から、熱間搾出法により成形する従
来の方法を示す。

まず、第７図に示すように、プレスの下型（１）に高
温の棒状素材（２）を挿入し、押圧面（4a）の平坦な上
型（４）を下降させて強圧を加え、第８図に示すような
第１次中間体（５）を成形する。

なお第８図において、（5a）は軸部、（5b）は、軸部
（5a）の上方に連なる拡径部で、拡径部（5b）の上端面
（5c）は平坦である。

ついで、第９図に示すように、上記第１次中間体
（５）を別の下型（６）に挿入し、その上端面（5c）
に、粘度の高いペースト状の黒鉛離型剤（３）を付着さ
せた上、押圧面（7a）の平坦な上型（７）を下降させて
強圧を加え、第10図に示すような第２次中間体（バルブ
原形品）（８）を成形する。第10図における（8a）は軸
部、（8b）は傘部、（8c）は傘表である。

〔発明が解決しようとする課題〕

上述した従来の第１次中間体（５）のように、拡径部
（5b）の上端面（5c）を平坦に成形すると、次工程にお
いて第２次中間体（８）をプレス成形する際、拡径部
（5b）の上端面（5c）に付着した粘度の高い離型剤
（３）が、上型（７）との間に閉じ込められて残留する
おそれがある。

そのため、第２次中間体（８）の傘表（8c）には、第
10図に示すように、離型剤（３）の圧力によって凹陥部
（９）が生成させられ、製品品質は著しく低下したり、
不良品が発生したりすることがある。

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、上記
離型剤の流動性を高めることにより、凹陥部が発生する
のを防止して、製品たるエンジンバルブの品質の安定化
を図るようにした成形方法を提供することを目的として
いる。

〔課題を解決するための手段〕

本発明によると、上記目的は、軸部の上端に傘部を備
えるエンジンバルブを、棒状の素材より、熱間搾出法に
よって成形するに際し、まず、棒状の素材より、軸部の
上端に拡径部を備え、かつその上面に球面状の上向膨出
部を有する高温の中間体を成形し、ついで、この高温の
上向膨出部の上面にペースト状の離型剤を付着させ、こ
の離型剤の大部分が上向膨出部の上面より外周方向へ流
れ落ちてから、プレス加工により、前記上向膨出部を平
坦に成形することにより達成される。

〔作 用〕

本発明の方法によれば、まず高温の中間体の拡径部の
上端に上向膨出部を形成するため、次のプレス加工のた
めの離型剤の大部分は、上向膨出部の外周方向に流れ落
ち、かつ次の加工時、離型剤は周辺へ排除されて、表面
に凹陥部がない平坦な傘表を備える製品が成形される。

〔実施例〕

本発明の実施に際しては、第１図に示すように、プレ
スの上型（４）の上面である押圧面を、球面状の凹入面
（4b）としておく。

従来と同じ要領で、高温の棒状素材（２）より、第２
図に示すような第１次中間体（５）を成形する。この
際、第１次中間体（５）の拡径部（5b）の上面には、球
面状の上向膨出部（5d）が形成される。

この高温の第１次中間体（５）を、第３図に示すよう
に、別の下型（６）へ挿入するとともに、第１次中間体
（５）の拡径部（5b）の上面における上向膨出部（5d）
の上面にペースト状の離型剤（３）を付着させてから、
押圧面（7a）の平坦な上型（７）を下降させて押圧す
る。

この際、第１次中間体（５）は高温であるため、付着
直後の離型剤（３）の大部分は、上向膨出部（5d）の上
面より自然に外周方向へ流れ落ち、上向膨出部（5d）の
上面には、ごく僅かの量しか残留しない。

上型（７）の下降時には、第１次中間体（５）の上向
膨出部（5d）の中央部が、まず上型（７）と圧接し、つ
いで上向膨出部（5d）が徐々に平坦とさせられるため、
その表面に残留している僅かの離型剤（３）は、外周方
向へ強制的に押し出される。その結果、第４図に示すよ
うに、従来のような凹陥部のない平坦な傘表（8c）を備
える第２次中間体（８）が成形される。

なお、本発明は、第５図に示す第２次中間体（10）の
ように、傘表（10a）が盆状に凹入するもの、あるいは
第６図に示す第２次中間体（11）のように、傘表（11
a）が椀状に押入するものにも、効果的に適用すること
ができる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、従来の上型の押圧面の形状を若干変
更するだけで、傘表の表面に凹陥部を発生するのを防止
でき、品質の安定したエンジンバルブを製造することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の方法によるエンジンバルブの第１次
中間体の成形状況を示す中央縦断正面図、 第２図は、同じく第１次中間体の中央縦断正面図、 第３図は、同じく第２次中間体の成形状況を示す中央縦
断正面図、 第４図は、同じく第２次中間体の中央縦断正面図、 第５図と第６図は、本発明を適用しうるエンジンバルブ
の第２次中間体の他の例を示す中央縦断正面図、 第７図は、従来の方法によるエンジンバルブの第１次中
間体の成形状況を示す中央縦断正面図、 第８図は、同じく第１次中間体の中央縦断正面図、 第９図は、同じく第２次中間体の成形状況を示す中央縦
断正面図、 第10図は、同じく第２次中間体の中央縦断正面図であ
る。 （１）下型 （２）素材 （３）離型剤 （４）上型 （4a）押圧面 （５）第１次中間体 （5a）軸部 （5b）拡径部 （5c）端面 （5d）上向膨出部 （６）下型 （７）上型 （7a）押圧面 （８）第２次中間体 （8a）軸部 （8b）傘部 （8c）傘表 （９）凹陥部 （10）第２次中間体 （10a）傘表 （11）第２次中間体 （11a）傘表

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸部の上端に傘部を備えるエンジンバルブ
   を、棒状の素材より、熱間搾出法によって成形するに際
   し、まず、棒状の素材より、軸部の上端に拡径部を備
   え、かつその上面に球面状の上向膨出部を有する高温の
   中間体を成形し、ついで、この高温の上向膨出部の上面
   にペースト状の離型剤を付着させ、この離型剤の大部分
   が上向膨出部の上面より外周方向へ流れ落ちてから、プ
   レス加工により、前記上向膨出部を平坦に成形すること
   を特徴とするエンジンバルブの成形方法。