JP2653585B2 - 負荷時タップ切換器 - Google Patents

負荷時タップ切換器

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JP2653585B2
JP2653585B2 JP3238503A JP23850391A JP2653585B2 JP 2653585 B2 JP2653585 B2 JP 2653585B2 JP 3238503 A JP3238503 A JP 3238503A JP 23850391 A JP23850391 A JP 23850391A JP 2653585 B2 JP2653585 B2 JP 2653585B2
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征支 小川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタップ切換方式として、
限流インピーダンスに抵抗を用い、しゃ断要素として真
空バルブを用いた負荷時タップ切換器に関する。
【0002】
【従来の技術】変圧器の巻線にタップを設け、このタッ
プを変圧器の負荷を切らないままで切換えを行って電圧
調整を行うために負荷時タップ切換器が用いられる。近
年この負荷時タップ切換器はより小形化、信頼性を向上
させるために油中しゃ断方式に代って真空バルブをしゃ
断要素として用いたものが使用されるようになってきて
いる。
【0003】真空バルブは周知の通り、セラミック等の
絶縁物で作られた真空容器の中に電流しゃ断用接点を内
蔵し、その可動側には真空を保持するための伸縮自在な
ベローズを用いた構成のものである。このように構成さ
れた真空バルブは電流しゃ断能力が気中式、あるいは油
中式接点などと比較して格段に優れていることから、多
方面に利用されている。
【0004】しかし反面、一般的に高価であること、ま
たセラミック等の絶縁物で作られることから、やや機械
的強度が低く、更にベローズの機械的寿命から、可動−
固定接点間の接点間隙を数ミリメートル程度しか取れな
いため、接点間の耐電圧値に難点がある。
【0005】特に負荷時タップ切換器のように多頻度開
閉を必要とする機器に真空バルブをしゃ断要素として適
用する上では、必要最小限にとどめておくことによっ
て、機器全体の信頼性を確保することができる。どのよ
うな機器においても同じであるが、機器全体をコンパク
トに構成するためには、構成する要素数を最小限とし、
基本性能を維持することである。
【0006】負荷時タップ切換器に真空バルブを用いた
例を示せば、特公昭62-16004号公報に見られるように2
抵抗4バルブ方式の切換回路がある。この切換回路は真
空バルブの弱点の一つである接点間の耐電圧値が低いこ
とをカバーするため2個の真空バルブを直列接続しAN
D条件を作ることによってカバーしている。
【0007】しかしこの方式では三相構成するには、6
個の抵抗と、12個の真空バルブを用いる必要があり、大
容量器のように信頼性を第1優先とするものには適して
いるが小容量器には構成要素が多く、高価となる上、コ
ンパクトな製品を提供できない要因となっている。この
課題を解決する公知技術として1抵抗3バルブ方式が特
開昭57-194509 号公報で紹介され、更には1抵抗1バル
ブ方式が特開昭60-47405号公報で紹介されて既に知られ
ている。
【0008】上記の方式は回路要素数としては先に述べ
た2抵抗4バルブ方式に比較して少なく有利であるが、
1抵抗3バルブ方式では真空バルブの接点間耐電圧保護
が必要であり、1抵抗1バルブ方式では、機械的構成か
らして限流抵抗の通電時間が長くなり、熱容量の大きい
抵抗器を用いる必要が生じるなど、必ずしも満足できる
ものが得られていない。
【0009】この点を図面を参照して説明する。図12
(A),(B)に1抵抗3バルブ方式の切換回路及びそ
の切換シーケンスを示す。図12(A)においてTWはタ
ップ巻線、T1 とT2 はそのタップである。M1 とM2
は前記タップT1 ,T2 に接続されるタップ選択器であ
る。HAとHBはタップ選択器M1 ,M2 と各々直列接
続された主バルブで、他端が星形結線の中性点Nに接続
されている。Rは限流抵抗で一端がタップ選択器M2
主バルブHBの接続点に接続され、他端を抵抗バルブW
に接続されている。抵抗バルブWの他端は中性点Nに接
続して回路を構成する。
【0010】図12(B)は切換動作順序を示した切換シ
ーケンス図である。図12(A)に示すタップT1 が接続
されている状態からタップT2 へ切換える場合の動作
は、まず抵抗バルブWが閉じ、タップ間短絡回路を作
る。抵抗バルブW閉によって限流抵抗Rにタップ間の循
環電流が流れる。次にt2 時間後に主バルブHAが開
き、負荷電流IL を抵抗バルブWと限流抵抗Rに移す。
そして最後にt3 時間後反対側の主バルブHBが閉じて
負荷電流IL を主バルブHBに移し、タップT2 への切
換を終了する。この瞬間限流抵抗Rへの負荷電流IL
零となる。
【0011】この方式の最大の弱点は前述したように真
空バルブの接点間の耐電圧値が低いため、外雷等の異常
電圧が浸入すると真空バルブの接点間の絶縁が破壊され
タップ間短絡となる可能性が他方式より高いという点で
ある。図12(A)で示せば、この状態で主バルブHBが
外雷によって接点間で絶縁破壊すれば真空バルブHAを
通して直接タップ間短絡回路が形成されて大電流が流
れ、通電経路の接点等が熱破損に至る。一方限流抵抗R
の通電時間Tは3個の真空バルブをカム等を用いた機構
により切換制御することにより各切換時間t1 ,t2
3 が一定の時間を確保できることから2抵抗4バルブ
方式と同等の値に抑えることができる。したがって限流
抵抗Rの熱容量は同等となるので、特に大形化すること
はない。
【0012】前述した短絡回避策として特開昭57-19450
9 に見られるようにタップ選択器M1 ,M2 と主バルブ
HA,HB間に短絡電流によって瞬時に溶断するフュー
ズを挿入して保護する方法をとったり、また特開昭50-5
2525号公報のように主バルブHA,HBに直列に補助ス
イッチを設けて接点間耐電圧値の低い弱点を保護する手
段がとられている。このため、1抵抗3バルブ式では、
回路要素数は減少するものの、保護装置を付加しなけれ
ばならず、満足すべきコンパクト化,低価格を実現する
ことが困難であった。次に1抵抗1バルブ方式について
述べる。
【0013】図13(A)は切換回路図で図13(B)がそ
の切換シーケンス図である。TWはタップ巻線、T1
2 はそのタップでタップ選択器M1 ,M2 に接続され
る。SA,SBは通電接点で、選択的に真空バルブVC
Bと直列に接続され、その可動接点Smはコモン接点構
成となっており、通電接点SA,SBを交互に選択でき
る。Kは限流抵抗Rの切換接点で可動接点Cは固定接点
A,Bを交互に選択することができる。
【0014】真空バルブVCBと限流抵抗Rの一端は中
性点Nに接続して回路を構成する。図13(A)の状態か
らタップT2 への切換動作はまず切換接点Kが固定接点
AからBへと移り、限流抵抗Rを通してのタップ間短絡
回路を作る。この時、限流抵抗Rにタップ間の循環電流
が流れる。次にt2時間後真空バルブRVCBが開き、
負荷電流IL をしゃ断し、負荷電流IL を限流抵抗Rに
移す。次いで無電流となった状態で可動接点Smが、通
電接点SAからSBに切換り、更に真空バルブVCBが
閉じて負荷電流IL をタップT2 側に移し切換動作を終
了する。
【0015】この方式では真空バルブVCBに直列接続
された通電接点SA,SBにタップ間の電圧が課電され
るのみで真空バルブVCBは運転状態では必ず閉じてい
るので、前述したVCB接点間の絶縁破壊によるタップ
間短絡の懸念は全くない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、限流抵
抗Rの通電時間Tは切換接点Kが特開昭60-47405号公報
の一実施例に見られるように真空バルブVCBと同期的
に瞬発動作を行わせることが困難で、別駆動方法をとら
なければならない。このため図13(B)に示す各切換時
間t1 ,t2 の時間が長くなる傾向が生じ、限流抵抗R
の通電時間Tが長くなってくる結果、熱容量の大きい限
流抵抗器を設ける必要が生じ、コンパクト化の目的を達
し得ない欠点がある。
【0017】更に切換接点KにはタップT1 ,T2 間の
タップ電圧が印加されているために切換投入時投入アー
クを生じる。この現象は油中式の場合はさほど影響はな
いがガス絶縁式の負荷時タップ切換器では絶縁媒体であ
るSF6 ガスが熱分解するため絶縁への影響はもちろん
のこと分解生成物により周辺の金属を腐食させる等の影
響もでるなど基本的な欠点を有している。
【0018】また、真空バルブVCBの動作は他方式と
同様カム等の機構によって切換時間t3 ,t4 ,t5
同等に確保できる。このように両方式とも一長一短があ
り、満足できるコンパクト化,低価格の目的を達し得な
かった。
【0019】本発明の目的は、限流抵抗の通電時間は1
抵抗3バルブ方式と同じに、また真空バルブの接点耐電
圧保護は1抵抗1バルブ方式と同等とし限流抵抗の通電
時間の短縮と投入アークの発生を皆無とし、さらに真空
バルブ接点間の耐電圧を向上させ機器全体の信頼性を向
上させたコンパクト・低価格でより実用的な構成を備え
た負荷時タップ切換器を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の負荷時タップ切
換器は、変圧器タップ巻線のタップを限流インピーダン
スに抵抗を用い、しゃ断要素として真空バルブを用いて
構成した負荷時タップ切換器の切換開閉器において、奇
数,偶数タップを選択するタップ選択器と、前記奇数,
偶数タップ選択器と直列に接続した通電接点を個々に設
け、この通電接点の可動側接点は主バルブに直列接続
し、通電接点と主バルブでAND条件を形成するととも
に、可動接点は前記奇数,偶数タップ選択器と直列接続
されている固定接点に所定の順序で交互に接触して選択
するように構成し、さらに限流抵抗は奇数・偶数タップ
選択器と直列接続されている奇数・偶数の通電接点間に
接続し、この限流抵抗は抵抗バルブへ直列接続し、さら
に主バルブと抵抗バルブの他端を変圧器中性点へ接続し
て切換開閉器の切換回路を構成したことを特徴とする。
【0021】
【作用】このように構成することにより限流抵抗の通電
時間は1抵抗3バルブ方式と同じに、また真空バルブの
接点耐電圧保護は1抵抗1バルブ方式と同じにすること
ができ、限流抵抗に直列に真空バルブを接続し、この真
空バルブを他の真空バルブと同軸的に配置し、更に真空
バルブと直列接続した通電接点とを同時に瞬発的に動作
せしめることを可能とし、限流抵抗の通電時間Tの短縮
と投入アークの発生を皆無とすることができる。
【0022】
【実施例】以下本発明の一実施例を図1乃至図11を参
照して詳細に説明する。図1において、TWはタップ巻
線、T1 とT2 はその隣り合うタップ。M1 ,M2 はタ
ップ選択器でタップT1,T2 に接続される。SA,S
Bは切換スイッチSの通電接点でその可動接点Smはコ
モン接点SCを介して主バルブHへ接続され、コモン接
点構成となっている。
【0023】主バルブHは切換スイッチSの切換動作に
より前記通電接点SA,SBと選択的に直列接続され、
他端は変圧器星形結線の中性点Nに接続される。限流抵
抗Rの一端はタップ選択器M2 と通電接点SBとの中間
に接続され、他端は抵抗バルブWへ直列接続し、そして
中性点Nへ接続され回路が形成される。
【0024】切換動作は図2の切換シーケンスに示され
ている。図2は図1中アルファベットで示した切換過程
の状態図を順に追って示したものである。以下順に説明
する。 (A):可動接点Smが通電接点SAに接続され、主バ
ルブHが閉じてタップT1 に接続された運転状態を示
し、負荷電流IL は点線のように流れる。
【0025】(B):切換動作が開始すると、まず抵抗
バルブWが閉じ、主バルブH、切換スイッチSを通して
タップT1 とT2 間の短絡回路が形成され、限流抵抗R
によって制限された循環電流ICが流れる。 (C):主バルブHが開き、負荷電流IL をタップ
2 ,タップ選択器M2 ,限流抵抗R,抵抗バルブWへ
移す。 (D):主バルブHが開いたことにより、無電流となっ
た切換スイッチSの可動接点Smが動き出し、通電接点
SAから離れる。 (E):切換スイッチSの可動接点SmがタップT2
の通電接点SBに接触する。この間限流抵抗Rには負荷
電流IL が流れ続ける。
【0026】(F):次に主バルブHが閉じ、負荷電流
L をタップT2 ,通電接点SB,可動接点Sm,主バ
ルブHに移す。これでタップT2 への切換動作を終了
し、図示の状態で運転を継続する。 以上説明した切換方式は1個の限流抵抗Rと2個の真空
バルブ(主バルブHと抵抗バルブW)で構成されている
ので1抵抗2バルブ方式と呼ぶ。
【0027】この切換方式では1抵抗1バルブ方式のよ
うに限流抵抗Rを切換える切換スイッチSが別駆動源か
ら駆動する必要はなく、真空バルブの駆動源と同軸的に
配置できるので他方式と同等の通電時間が確保できる。
この結果限流抵抗Rは従来と同じ熱容量のものでよい。
【0028】さらに1抵抗3バルブ方式の欠点であった
真空バルブ接点間へタップ間電圧および外雷浸入時の高
電圧課電の問題も図1に示すとおり、通電接点SA,S
Bが負担する回路構成としている上真空バルブは常時運
転状態では閉路しているので完全に解消される。
【0029】次に本発明の1抵抗2バルブ方式負荷時タ
ップ切換器の具体的構成の一実施例について説明する。
図3において1は図示しない電動操作機構からの動力を
受けてコイルばねを蓄勢し、所定蓄勢量に達した後瞬発
的にそのエネルギーを放勢する蓄勢装置である。2は駆
動軸で前記蓄勢装置1の出力軸に直結され、上サポート
6および下部の絶縁サポート17に設けたベアリング7
a,7bによって回動自在に軸支されている。この駆動
軸2には真空バルブH,Wを開閉するカム8および絶縁
サポート17の下側に第1のアーム21が固着されていて駆
動軸2とともに回動する。カム8には主バルブH14bお
よび抵抗バルブW14aを所定の順序で開閉を行わせる溝
8a,8bが形成されており、この溝8a,8bと係合
するローラ9a,9b、このローラ9a,9bを取付け
た取付台11a,11b、及びロッド12a,12bを介して真
空バルブ14a,14bの可動接点15aに連結され、可動接
点15aはカム8の動きに伴って固定接点15bと開閉
動作を行なう。10a,10bはワイプばねで真空バルブ14
a,14bの投入時に可動接点15aと固定接点15b間に通
電に必要な接触力を与えている。13は真空バルブの可動
接点15aに接続された可撓導帯で、一端を中性点Nに接
続され開閉する可動接点15aに電流を流す役割をもって
いる。16は真空バルブの固定接点15bを固定し、さらに
切換スイッチSのコモン接点27(SC)に接続するため
の導電性の接続板である。
【0030】絶縁サポート17は円板状を成しており、こ
の絶縁サポート17上に等配に3相分の真空バルブ14a,
14bおよび接続板16が配設されている。18はブラケット
で絶縁サポート17の下面に取付けられ、中心部にベアリ
ング20を設けて第1のアーム21を回動自在に保持してい
る。34, 24はV形溝付のリンク22を回動自在に保持する
ための、ボスとベアリングでスタッド32および受け台25
によって上、下から絶縁サポート17に締付、固定されて
いる。図5に詳しく示すように第1のアーム21にはリン
ク22のV形溝に係合し転動するローラ23を備えており、
駆動軸2からの動力を第1のアーム21を介してリンク22
へ伝達する。50は切換スイッチSの可動部で詳細を図4
(A),(B)に示している。19は絶縁筒でブラケット
18にボルト締め等の手段で支えられ内周部にコモン接点
27(SC)および通電接点28(SA,SB)を上、下に
ボルト締めによって配設し、図5に示すように可動部50
のローラ接点58(Sm)と接触して切換スイッチSを構
成する。
【0031】また上部サポート6の上部にはタップ間短
絡時の循環電流を抑制するための限流抵抗3(R)が絶
縁板4およびボルト5によって取付けられている。この
限流抵抗3(R)は円板状を成す絶縁板4上に3相分3
個等配に配置されている。図4において51は第2のアー
ムでリンク22の細長溝36に回転自在に係合するローラ52
を備え、かつ絶縁板53にボルト54によって図示のとおり
固定されている。そしてリンク22からの動力をローラ5
2、第2のアーム51、絶縁板53へと伝達する。絶縁板53
は図示のとおり略々三角形の形状を成しており、各々の
頂点にはU形溝53Aを形成しこの中に接点支え56、ピン
57, 59によって回動自在に保持された可動接点Smを成
すローラ接点58が取付けられている。このローラ接点28
へはばね受け61を介してワイプばね60によって電流容量
に応じた接触力が与えられている。第2のアーム51の中
心部に備えたベアリング55は駆動軸2とは無関係な回動
を行なわせるために設けてあり、可動部全体は駆動軸2
とはそれぞれ別個の回転が行なわれる。26はベアリング
受けでベアリング26によって駆動軸2の下端部を保持し
ている。図5は切換スイッチSの平面図で図1(A)の
状態を示している。ここで図5〜図11において2つの通
電接点28はSA,SB、この通電接点に接触するローラ
接点58はSm、さらにコモン接点27はSCと図1に示す
回路図の記号に合せて記してある。また通電接点SA,
SBとコモン接点SCとの位置関係は図3ではコモン接
点SCが上、通電接点SA,SBが下の構成となってい
るが、図5〜図11では接触状態を明らかにするため上、
下逆の図示としている。
【0032】図5において駆動軸2と第1のアーム21は
固着されていて同期して回動する。第1のアーム21には
リンク22のV形溝に回動自在に係合するローラ23が備え
てある。リンク22のV形溝35の中心線上には細長溝36が
設けられており、この細長溝36に第2のアーム51のロー
ラ52が回動自在に係合している。したがって蓄勢装置1
からの動力は駆動軸2、第1のアーム21、ローラ23、リ
ンク22のV形溝35、リンク22の細長溝36、ローラ52、第
2のアーム51、絶縁板53を経てローラ接点58へと伝達さ
れるように構成されている。
【0033】次にこのように構成した一実施例の動作、
作用について図1の切換動作順序と照らして図6〜図11
を用いて説明する。図6(A)は駆動軸2に固着されて
いるカム8と主バルブH,抵抗バルブWの接点の開閉関
係を展開して示した図である。θはカム8の動作範囲を
示す角度でこの間を往復動作を行なう。
【0034】まず図6は図1(A)の状態を示してい
る。すなわち主バルブHは閉、抵抗バルブWは開、切換
スイッチSは可動接点Smが通電接点SAに接触し、負
荷電流をタップT1 を通して通電した運転状態を示して
いる。図中U,V,Wの符号は三相の相記号を示す。こ
の状態では第1のアーム21のローラ23はリンク22のV形
溝35の図上側端部に位置しているためリンク22は図示の
位置に静止している。したがってリンク22の細長溝36に
係合しているローラ52と第2のアーム21も図示のとおり
の位置に静止している。
【0035】リンク22のV形溝35の両片はその位置を変
えることにより第1のアーム21のローラ23が駆動軸2を
中心として回転する際の回転軌跡半径rと同一とした円
弧状に溝が切られており、図6および図11の運転状態に
おいては第1アーム21のローラ23の回転軌跡半径rと中
心点が一致するように形成されている。この両片の溝を
ローラ23が通過する初期動作(図6から図7)および終
期動作(図10から図11)においてリンク22は一切動作し
ない。リンク22が駆動される状態は図8,図9の位置、
すなわちV形溝35の三角形の頂点にローラ23が到達した
時のみである。このように構成した理由は第1に主バル
ブHが開き、閉じる動作中は一切切換スイッチSを動作
させないようにしている。なぜなら、主バルブHが動作
中は機械的な振動をともなっているため、切換スイッチ
Sの可動接点Smと通電接点SA,SB接点間が開離す
るようなことがあれば負荷電流による発弧をともない、
絶縁ガスを分解させる等の障害をともなうためである。
第2に主バルブHと切換スイッチSの切換シーケンス
(図2参照)をより確実にするために、主バルブHの開
閉動作中は切換スイッチSを一切動作させず、逆に切換
スイッチSが動作中は主バルブHは一切開閉動作を行な
われないようにするためである。第3には図6および図
11の運転状態においては切換スイッチSの可動部50が変
圧器励磁振動等によって自転することも考えられるがロ
ーラ23がこのV形溝35と係合しているためにストッパー
の作用を成し、自転を阻止する機能をもたせるためであ
る。次に図6〜図11までの切換動作を順を追って説明す
る。図6は前述とおり、図1(A)の運転状態である。
図示しない電動操作機構からの動作を受けて蓄勢装置1
が蓄勢を開始し、所定のエネルギーを蓄勢すると放勢し
てその動力を駆動軸2を反時計方向(図中矢印)に回転
させ、カム8および第1のアーム21も同時に回転を始め
る。図6(A)に示すθはカム8の動作範囲を表わす。
カム8がθ1 度回転するとローラ9aが溝8aの下り斜
面を滑り落ち、取付台11a、ワイプばね10a、ロッド12
aを介して抵抗バルブWを投入せしめ、ワイプばね10a
によって所定接触力を可動接点15a、固定接点15bの接
点間に与える。この状態を図7に示す。さらにカム8が
回転しθ2 度回転するとローラ9bが溝8bの上り斜面
を昇り、取付台11b、ロッド12bを介して主バルブHが
開き、負荷電流をしゃ断し、切換スイッチSを無電流状
態とする。一方ローラ23はリンク22のV形溝35を空転し
ながら、移動している。この状態を図8および図1
(C)に示す。続いてカム8がθ3 度回転するとローラ
23はV形溝35の頂点部に当接してリンク22を時計方向に
回転させ、同時に細長溝36、ローラ52を介して切換スイ
ッチSの可動部50を反時計方向に回転させる。前述のと
おり切換スイッチSは主バルブHが開いているので可動
接点Smが通電接点SAから開離する際発弧することは
ない。この状態を図9および図1(D)に示す。さらに
回転が進みθ4 度回転するとローラ23によりリンク22は
さらに回転して切換スイッチSの可動接点Smが通電接
点SBに接触して投入動作を終了する。この間、主バル
ブHおよび抵抗バルブWの開閉用ローラ9bおよび9a
はカム溝8b,8aの平らな部分を移動しており、開閉
動作は一切行なわれない。可動接点Smが投入動作を終
了した位置ではローラ23はV形溝35の頂点を外れ、半径
rとした円弧部にさしかかっている。この状態を図10お
よび図1(E)に示す。さらに回転するとローラ9bは
溝8bの下り斜面を滑り落ち、取付台11b、ワイプばね
10b、ロッド12bを介して主バルブHが投入される。そ
して再び溝8bの平らな面に戻り、θ度に達すると停止
する。一方ローラ23はV形溝35の円弧面を空転しながら
進み、カムの停止とともに停止する。負荷電流は図1
(F)の太線で示すとおり、タップT2 に流れ、運転を
継続する。この状態を図11および図1(F)に示し、こ
れによって1タップ切換動作の全てを終了する。本発明
の具体的構成の一実施例についての詳細を述べた。この
発明を実施することによって次のような効果・利点が生
れる。
【0036】(1)通電接点SA,SBと主バルブHを
直列接続しているので主バルブHに真空度低下、接点の
損傷や電流しゃ断失敗等の異常事態が生じても通電接点
SA,SBが電流しゃ断し、回路を開くため、タップ間
短絡に至ることは完全に回避することができる。 (2)また、タップ間の電圧は通電接点間に課電するよ
うに回路構成しているため、従来装置のような真空バル
ブの接点間には一切課電されない。このため、外雷浸入
に対して保護されており、運転信頼性をより高めること
ができる。
【0037】(3)主バルブH,抵抗バルブWと切換ス
イッチSとの駆動方法が機械的に同軸配置として早切動
作を可能としているため、限流抵抗Rの通電時間は短
く、熱容量の小さい抵抗が使用できる。
【0038】(4)カム8と第1のアーム21を同軸配置
とし、さらに第1のアーム21とリンク22との間の連結方
法に遊び動作が行なえるV形溝を備えているため主、抵
抗バルブH,Wと切換スイッチSとの切換シーケンスが
より確実に確保することができる。
【0039】(5)さらにV形溝35の遊び動作によって
主、抵抗バルブH,W動作時、切換スイッチSは静止の
状態を保つことができ、動作時の機械振動によって切換
スイッチ可動・固定接点間の開離等の現象を皆無にでき
る。
【0040】(6)1相分1個の限流抵抗Rと2個の真
空バルブH,Wそして1組の切換スイッチSとで構成さ
れているので、従来装置に比較し、要素数が少なく、安
価に製作することができる。
【0041】(7)(1)で述べた通電接点SA,SB
で電流しゃ断が行われた時は真空バルブに何らかの異常
が生じた場合であるから、電流しゃ断による圧力上昇を
検出することによって直ちに真空バルブの異常を外部に
出力することが容易にできる。
【0042】(8)V形溝35とローラ23とにより切換ス
イッチ可動部50の動作を強制停止させる停止装置の機能
を持たせているため別個に停止装置を設ける必要はな
く、構成要素数を低減できることからコンパクトそして
安価に製作できる。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば変圧器タッ
プ巻線のタップを切換える切換方式として、限流インピ
ーダンスに抵抗を用い、しゃ断要素として真空バルブを
用いて構成した負荷時タップ切換器において、奇数,偶
数タップを選択するタップ選択器と、前記奇数,偶数タ
ップ選択器と直列に接続した切換スイッチの通電接点を
個々に設け、この切換スイッチの可動接点は主バルブの
一端に直列接続し、通電接点と主バルブでAND条件を
形成するとともに、前記奇数・偶数タップ選択器と直列
接続されている固定接点に所定の順序で交互に選択的に
接触するように構成し、前記主バルブの他端を中性点に
接続し、さらに限流抵抗Rの一端は奇数・偶数タップ選
択器の一方のタップ選択器に接続し、この限流抵抗の他
端を中性点に接続するようにしたので限流抵抗の通電時
間は1抵抗3バルブ方式と同じに、また真空バルブの接
点耐電圧保護は1抵抗1バルブ方式と同等とし、限流抵
抗の通電時間の短縮と投入アークの発生を皆無とし、真
空バルブの接点間の耐電圧を向上させ機器全体の信頼性
を向上させた負荷時タップ切換器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)から(F)は本発明の一実施例による負
荷時タップ切換器の切換動作を順次追って示す回路図。
【図2】本発明の一実施例の切換シーケンス図。
【図3】本発明の一実施例を示す断面図。
【図4】本発明の一実施例における切換スイッチの詳細
図で(a)は断面図、(b)は平面図。
【図5】図3をV−V線に沿って矢印方向に見た断面
図。
【図6】本発明の動作説明図で(A)は切換スイッチの
平面図、(B)はカムの展開図。
【図7】本発明の動作説明図で(A)は切換スイッチの
平面図、(B)はカムの展開図。
【図8】本発明の動作説明図で(A)は切換スイッチの
平面図、(B)はカムの展開図。
【図9】本発明の動作説明図で(A)は切換スイッチの
平面図、(B)はカムの展開図。
【図10】本発明の動作説明図で(A)は切換スイッチ
の平面図、(B)はカムの展開図。
【図11】本発明の動作説明図で(A)は切換スイッチ
の平面図、(B)はカムの展開図。
【図12】従来の1抵抗3バルブ方式の負荷時タップ切
換器を示す図で(A)は回路図、(B)は切換シーケン
ス図。
【図13】従来の1抵抗1バルブ方式の負荷時タップ切
換器を示す図で(A)は回路図、(B)は切換シーケン
ス図。
【符号の説明】
TW…タップ巻線 T1 ,T2 …タップ M1 ,M2 …タップ選択器 SA,SB…通電接点 Sm…可動接点 SC…コモン接点 H…主バルブ W…抵抗バルブ R…限流抵抗 2…駆動軸 8…カム 14a…抵抗バルブ 14b…主バルブ 21…アームI 22…リンク 23…ローラ 35…V形溝 36…細長溝 50…切換スイッチ可動部 S…切換スイッチ 51…アームII 52…ローラ 53…絶縁板 58…ローラ接点

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】変圧器タップ巻線の複数のタップを切換え
    る切換方式として1個の限流抵抗と2個の真空バルブと
    前記真空バルブの1個と直列接続され前記隣接タップを
    選択する切換スイッチとで構成し蓄勢装置の早切り動作
    によってタップ切換えを行う負荷時タップ切換器におい
    て、前記蓄勢装置に直結した駆動軸とこの駆動軸に真空
    バルブを所定の順序で開閉するカムに切換スイッチを作
    動するアームを同時に配設し、前記アームに備えた
    ローラと係合したV形溝と切換スイッチを作動させる細
    長溝とを設けたリンクと前記細長溝に係合するローラを
    有したアームIIと前記アームIIは切換スイッチの可動部
    に連結して、 2個の固定接点を交互に選択する可動接点
    を作動するように形成した切換スイッチとから成り前記
    アームのローラと係合したリンクのV形溝は前記カム
    による真空バルブの開閉動作中はリンクを駆動しない遊
    び動作を行ない、開閉動作が行なわれていない時のみ前
    記切換スイッチを作動するように構成したことを特徴と
    する負荷時タップ切換器。
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