JP2652665B2 - 気相エピタキシャル層成長法 - Google Patents

気相エピタキシャル層成長法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、気相エピタキシャル成長法によりIII−V
族化合物、特に半導体レーザに使用するInP系化合物半
導体を埋込用基板に埋込層として成長させる方法、なら
びにInP系化合物半導体を埋込用基板に素子間分離層と
して成長させる方法に関する。
[従来の技術] 化合物半導体埋込形レーザは光通信、情報処理として
使用される。このレーザの出力を上げ、また、容量を下
げるために、気相エピタキシャル成長法により103Ω・c
m以上の高抵抗化合物半導体埋込層、特にInP埋込層を作
ることが必要である。
この埋込層を形成するには、気相エピタキシャル成長
法を使用して高抵抗のFeドープInPエピタキシャル層をI
nP基板上に成長させる方法が使用されているが実用に至
っていない。
このような従来の成長方法では、Feをドーピングする
ことが難しく、例えばフェロセン(Fe(C5H5)ガス
によりドーピングする場合、クロライド気相エピタキシ
ャル成長法では反応管に入る前に途中の導管で熱分解し
てFeが析出する。
また、金属Feを塩化水素によりエッチングする方法で
は、Feの純度が悪く高抵抗にならないという問題点があ
った。
[発明が解決しようとする課題] 上述のようにFeドープInPエピタキシャル層成長法に
は問題点が多いため、ZnドープInPエピタキシャル層成
長法を考えた。
このZnドープInPエピタキシャル層成長法は、Feドー
プエピタキシャル成長法と比較して微少量ドーピングす
れば103Ω・cm以上の比抵抗が得られるという利点があ
る。
従って、ZnドープInPエピタキシャル成長法を使用し
てエピタキシャル層を形成することが望ましく、例えば
第3図のInソース(5)に金属Znを添加する方法があ
る。
しかしながら、上記従来法では石英反応管(7)がZn
で汚染され、高濃度のZnをドーピングするという問題点
が存在し、この問題点を克服することが本発明の課題で
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明の課題は、クロライド気相エピタキシャル成長
法によりZnドープエピタキシャル層を成長させるに際
し、気相エピタキシャル成長反応管において、基板に対
して相対的に上流側にZnドープ基板を配置することを特
徴とする気相エピタキシャル層成長法により解決される
ことが見出された。
本明細書において、「上流」なる語はエピタキシャル
成長反応管中の反応ガスの流れ方向を基準にしている。
本発明の成長法は、III−V族化合物、特にInP化合物
半導体に適当であるが、例えばGaAs化合物半導体にも適
用できる。
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
第1図に本発明の一具体例を示す。
図示した具体例は、エピタキシャル成長反応管内に配
置する基板ホルダー(1)を示す。埋込用基板(3)に
対して上流側にZnドープInP基板(2)を配置してい
る。
第1図に示した態様では、ZnドープInP基板(2)と
埋込用基板(3)が隣接しているが、本発明はこの態様
のみに限定されるものではなく、双方の基板の位置関係
において、ZnドープInP基板が埋込用基板に対して相対
的に上流側に位置すれば十分である。
[作用] クロライド気相エピタキシャル成長法では、例えばIn
P系の場合、InClおよびP4の結晶成長ガスと共に結晶を
エッチングするHClがエピタキシャル成長反応管に供給
され、HClの供給量が相対的に少ないために基板上で結
晶成長が起こる。
従って、本発明の方法を使用してエピタキシャル成長
反応管に反応ガスを供給してInPエピタキシャル成長さ
せる場合、基板ホルダーの上流側に配置したZnドープIn
P基板およびその下流側に配置した埋込用基板の双方にI
nPエピタキシャル層が成長する。
エッチング用HClは、ZnドープInP基板に成長したInP
エピタキシャル層の一部をエッチングするので、このエ
ピタキシャル層には基板からZnが拡散し、従って、基板
上に形成されたエピタキシャル層はZnドープされてい
る。
従って、HClは、ZnドープInPエピタキシャル層をエッ
チングすることになり、エッチングにより生じるガスに
はInおよびPだけではなく、Znも含まれることになり、
このZnが埋込用基板のドーパントとなり、埋込層はZnド
ープInPエピタキシャル層となる。
このエピタキシャル層のキャリア濃度は低く、1015cm
-3以下であり、比抵抗にして≧103Ω・cmである。
[実施例] エピタキシャル埋込層の特性を直接測定するのは困難
であるため、本発明の方法を使用してSドープInP基板
および埋込成長用基板の双方にエピタキシャル成長させ
て比較した。
最初に、第2図のように基板ホルダー(1)の上流側
にZnドープ(濃度1×1018cm-3)2インチInP基板
(2)の1/2を置き、その下流にSドープ(濃度3×10
18cm-3)2インチInP基板(3)の1/2を配置し、クロラ
イドVPEエピタキシャル成長装置内に基板ホルダーを配
置して気相エピタキシャル成長させた。
反応系を模式的に第3図に示す。反応管は内径10cmで
あり、金属Inを配置した部分を750℃、基板を配置した
部分を650℃とした。H2ガスをキャリアガスとしてPCl3
を反応管内に導入するとPCl3はH2と反応してHClとP4
なる。このとき、PCl3の蒸気圧は36mmHgであり、全流量
は100cc/分である。ここで発生したHClは第3図のInPク
ラスト(6)と反応してInClとなり、P4と共に下流に運
ばれ、InPとなりエピタキシャル成長する。
上記方法により、双方の基板には厚さ約1〜10ミクロ
ンのZnドープInPエピタキシャル層が形成された。Sド
ープInP基板に形成されたエピタキシャル層のZnの濃度
は5×1014cm-3で、比抵抗は103Ω・cmであった。
次に、上記方法と同一の装置を使用して、同一条件
下、下流のSドープInP基板の代わりに、埋込成長用半
導体レーザ基板を配置してエピタキシャル成長を実施し
た。
この埋込成長用半導体レーザ基板に、第4図に示すよ
うに、メサ形状をした半導体レーザー基板にInPを埋め
込んだものである。
埋込成長用半導体レーザ基板に形成されたエピタキシ
ャル埋込層は、ZnドープInPエピタキシャル埋込層であ
り、その特性は、EBIC(electron beam induced curren
t)で測定したところ、PタイプのZnドープ層となって
おり、SドープInP基板上と同じであり、先に得たSド
ープInP基板に成長させたエピタキシャル層と同様の特
性を有した。
また、先に得たSドープ基板に成長させたエピタキシ
ャル層の比抵抗が103Ω・cmであることを考慮すると、
同じエピタキシャル層成長している半導体レーザ基板上
のエピタキシャル層も同じZnドープであるので比抵抗は
103Ω・cmであるので、エピタキシャル埋込層の比抵抗
は約103Ω・cm以上であるのは明確であり、半導体レー
ザの埋込層としては良好な値である。
[発明の効果] 上述のように、クロライド気相エピタキシャル成長に
おいて、ZnドープInP基板に対して下流側にInP基板を配
置すると、InP基板上にZnドープエピタキシャル層を形
成できる。従って、下流側に埋込成長用半導体レーザ基
板を配置すると、光通信、情報処理などに用いられる化
合物半導体レーザの電流狭窄層に利用できる、高抵抗
(≧103Ω・cm)のエピタキシャル埋込層を得ることが
できるので効果的である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ZnドープInP基板と埋込成長用半導体レーザ
基板との位置関係を示す図、第2図は、実施例で使用し
た基板の位置を示す図、第3図は、エピタキシャル成長
に使用する反応系の模式図、第4図は、埋込成長用半導
体レーザ基板の模式図である。 1……基板ホルダー、2……ZnドープInP基板、 3……埋込成長用半導体レーザ基板、 4……Inソースボート、5……Inソース、 6……InPクラスト、7……石英反応管、 8……埋込層、9……半導体レーザ基板。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロライド気相エピタキシャル成長法によ
    りZnドープエピタキシャル層を成長させるに際し、気相
    エピタキシャル成長反応管において、基板に対して相対
    的に上流側にZnドープ基板を配置することを特徴とする
    気相エピタキシャル層成長法。
  2. 【請求項2】Znドープエピタキシャル層は、ZnドープIn
    Pエピタキシャル層である特許請求の範囲第1項記載の
    気相エピタキシャル層成長法。
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