JP2661146B2 - 気相成長方法 - Google Patents

気相成長方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はIII−V族化合物半導体の気相成長方法詳し
くは半絶縁性半導体の成長方法に関する。
(従来の技術) III−V族化合物半導体の半絶縁性エピタキシャル成
長層は光電子集積回路の素子分離層として重要である。
この半絶縁性エピタキシャル成長層の成長方法のうちII
I族元素塩化物及びV族元素水素化物を用いて還元性雰
囲気中で成長させる方法(ハイドライド気相成長法)の
例がガリウム砒素関連化合物国際会議(1986年開催、於
合衆国、395ページ)に報告されている。この従来例で
は上流側のソース領域と下流側の成長領域とからなる反
応管を用い、III族材料にはインジウム、V族水素化物
にはホスフィンを用いて鉄ドープInPを成長している。
前記ソース領域ではIII族材料と高純度の鉄が塩化水素
と反応してIII族元素塩化物と塩化鉄がそれぞれ生成
し、また、前記成長領域では半導体基板上で前記塩化物
とV族水素化物から生成したV族元素とが鉄ドープされ
たIII−V族化合物半導体層のエピタキシャル成長を起
こす。トープされた鉄によりInP層に形成された未捕獲
トラップ濃度、及び抵抗率はそれぞれ3×1015cm-3、10
8Ωcmと半絶縁性を示した。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、還元性雰囲気中での鉄と塩化水素との
反応では生成した塩化鉄が水素と反応して鉄と塩化水素
に分解する逆の反応も同時に起こるため、ソース領域温
度830℃では導入した塩化水素のおよそ0.2%しか塩化鉄
を形成せず反応効率が大変に低かった。その結果、素子
分離層等の応用に必要な1016cm-3以上の未捕獲トラップ
濃度を有する半絶縁性半導体層の実現が困難であるとい
う問題があった。
本発明の目的は、素子分離層等の応用に必要な1016cm
-3以上の未捕獲トラップ濃度を有する半絶縁性半導体層
の気相成長方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) III−V族化合物半導体をIII族元素塩化物及びV族元
素水素化物を用いて還元性雰囲気中でエピタキシャル成
長させる方法において、反応管上流で前記半導体に深い
準位を形成する遷移金属元素と塩化水素とを不活性雰囲
気中で反応させ前記元素の塩化物を生成、輸送すること
を特徴とする。
(作用) 本発明による気相成長方法では、反応管上流のソース
領域での遷移金属元素の塩化物を生成させる反応を不活
性雰囲気中で行っている。そのため、生成した塩化物と
水素との反応が抑制され導入した塩化水素の大部分が塩
化物の生成反応に寄与し反応効率が大幅に改善される。
(実施例) 以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
第1図は本発明の実施例を説明する気相成長用反応管
を構成する成長室の模式図である。本実施例ではIII−
V族化合物半導体に深い準位を形成する遷移金属元素と
して鉄を用いた。成長室10はIII族元素11と鉄13をおい
たソース領域と基板支持棒16によって保持された半導体
基板15のある成長領域とからなる。また、上流側のソー
ス領域ではIII族元素11と鉄13とは仕切られた構造とな
っており、III族元素11には入口管12aから水素で希釈さ
れた塩化水素が送られてIII族塩化物が発生し、また、
鉄13には入口管12bから不活性ガスであるヘリウムガス
で希釈された塩化水素が送られて塩化鉄が発生する。更
に、バイパス管14から水素で希釈されたホスフィン(PH
3)が送られ成長領域にV族元素を供給した。なお、III
族元素11及び半導体基板15にはインジウム及びインジウ
ム燐を用い、ソース領域及び成長領域はそれぞれ830℃
及び600℃とした。また、入口管12aには水素100cc/mi
n、塩化水素5cc/minを、入口管12bにはヘリウム100cc/m
in、塩化水素1cc/minを、バイパス管14には水素1000cc/
min、ホスフィン5cc/minを流した。ここで、ソース領域
のうち鉄13ではヘリウム雰囲気下で塩化水素との反応が
起こるため水素分圧が微少となり生成した塩化鉄と水素
との反応が制御され、導入した塩化水素の約74%が塩化
鉄の生成反応を寄与し反応効率が大幅に改善された。そ
の結果、素子分離層等の応用に必要な1016cm-3以上の未
捕獲トラップ濃度を有する半絶縁性半導体層が得られ
た。なお、本実施例で用いた鉄は半導体の電荷担体のう
ち電子を捕獲する作用を有する深いアクセプタ準位を形
成し、この準位の作用で前記半導体を半絶縁性にする。
従って、鉄をドーピングしない時の導電形がn型である
本実施例の場合、鉄のドーピングのみで半導体層は高抵
抗化した。
上記実施例では深い準位を形成する遷移金属元素とし
て鉄を用いたがコバルト等の深いアクセプタ準位を形成
する遷移金属元素を用いてもよい。
上記実施例では深いアクセプタ準位を形成する遷移金
属元素のドーピングについて述べたが、クロム、チタン
等の深いドナー準位を形成する遷移金属元素を用いる場
合には前記遷移金属元素のドーピングと共にn型バック
グラウンド濃度を越える浅いアクセプタ準位を形成し且
つ最小限の量のp型不純物をバイパス管14から導入する
ことにより半絶縁性半導体層を得た。
上記実施例では不活性ガスにヘリウムを用いたが窒
素、アルゴン等のガスを用いても同様の効果がある。
上記実施例ではIII族材料にインジウムを用いたが、
ガリウム、及びインジウムとガリウムを同時に用いても
よい。
上記実施例ではV族材料にホスフィンを用いたが、ア
ルシン、及びホスフィンとアルシンを同時に用いてもよ
い。
(発明の効果) 本発明による気相成長方法は深い準位を形成する不純
物である遷移金属元素の塩化物生成反応を不活性雰囲気
中で行うため、反応効率が大幅に改善される。このため
素子分離層等の応用に必要な1016cm-3以上の未捕獲トラ
ップ濃度を有する半絶縁性半導体層が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例である反応管を構成する成長
室の模式図である。 10……成長室 11……III族元素 12a……入口管 12b……入口管 13……鉄 14……バイパス管 15……半導体基板 16……基板支持棒 を、それぞれ示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】III−V族化合物半導体をIII族元素塩化物
    及びV族元素水素化物を用いて還元性雰囲気中でエピタ
    キシャル成長させる方法において、反応管上流で前記半
    導体に深い準位を形成する還移金属元素と塩化水素とを
    不活性雰囲気中で反応させ前記元素の塩化物を生成させ
    た後に成長領域に輸送することを特徴とする気相成長方
    法。
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