JP2650520B2 - 廃棄物焼却装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、廃棄物焼却装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から使用されている廃棄物焼却炉で
は、一つの燃焼室で廃棄物を一次空気により燃焼させ、
未燃ガスには二次空気を供給することにより燃焼させて
廃棄物を焼却するようにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の燃焼炉による焼
却方法では、一つの燃焼室で廃棄物を燃焼していたた
め、燃焼室に空気を導入するだけでは可燃ガスと空気と
の混合が良好でなく、また可燃ガスは燃焼室内の空間を
有効に活用することなく排出され、燃焼に必要とする十
分な滞留時間がとれないため、燃焼室内でガスが十分混
合せずに燃焼室内の各部で温度差が生じ、一様な高い燃
焼温度雰囲気とならないために、完全燃焼せずに有害な
ダイオキシン及びその前駆物質がそのまま排出されてし
まう欠点があった。

【０００４】本発明はこのような従来の欠点を改善し、
可燃ガスを完全燃焼させてダイオキシン及びその前駆物
質を分解し、有機有害物質が排出されないようにした廃
棄物焼却装置を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、廃棄物投入口
を有する熱分解部と、該熱分解部の上方に設けられたガ
ス燃焼部と、前記熱分解部の上部をガス燃焼部に接続す
る搾流通路と、該搾流通路の長手方向に所要の間隔を隔
てた位置に接続された複数の二次空気供給管と、該二次
空気供給管に備えた制御弁と、前記搾流通路におけるガ
ス燃焼部入口のガス温度を検出して前記制御弁の開閉を
制御する温度計とを備えたことを特徴とする廃棄物焼却
装置、に係るものである。

【０００６】

【作用】熱分解部で生じた可燃ガスは搾流通路出口ガス
温度を監視しながら搾流通路の適切な箇所から供給され
る二次空気と混合し、ガス燃焼部で十分な滞留時間のも
とに高温で燃焼し、有害なダイオキシン及びその前駆物
質である有機有害物質を分解する。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。

【０００８】図１は本発明装置の一実施例の縦断面図、
図２は図１のＩＩ−ＩＩ断面図であって、図１に示すよ
うに熱分解部１の上方にはガス燃焼部２が設けられてい
て、熱分解部１の上部には直径の小さいパイプ状の搾流
通路３の下端が開口しており、搾流通路３はガス燃焼部
２の下部に向って延び、搾流通路３の上端は図２に示す
ように、ガス燃焼部２の接線方向からガス燃焼部２の下
部に接続されている。

【０００９】図１に示すように熱分解部１には廃棄物投
入口４とバーナ５とが設けられていて、廃棄物投入口４
から熱分解部１の内部に投入された廃棄物は、予めバー
ナ５で予熱された砂等の流動媒体６によりガス、油、チ
ャー（炭）に熱分解される。熱分解により生成したチャ
ー（炭）は散気装置７からの流動用空気により燃焼し、
廃棄物の熱分解に必要な熱を供給する。

【００１０】８は二次空気供給管であって複数の流路に
途中から分岐し、それぞれ制御弁９を通って搾流通路３
の長手方向の異なる箇所に接続されている。図示の実施
例では３個の二次空気供給管を設けてある。１０は温度
計であって制御弁９を開閉するようになっており、検出
する温度により搾流通路３に供給する二次空気の位置を
決定するようになっている。なお可燃ガス成分が一定の
ときは１個の二次空気供給管でよい。

【００１１】ガス燃焼部２には、二次空気が混合した可
燃ガスの着火用バーナ１１が、ガス燃焼部２の温度が低
い操業開始時、あるいは失火時のために取付けられてお
り、更にガス燃焼部２にはダスト排出口１２、燃焼ガス
排出口１３が設けられている。

【００１２】次に作用を説明する。

【００１３】図１に示すバーナ５を点火し、熱分解部１
内の散気装置７からの流動用空気により流動媒体６が流
動している流動層に、廃棄物投入口４から廃棄物を投入
する。

【００１４】流動媒体６はバーナ５によって予め熱せら
れているため、廃棄物投入口４から熱分解部１に投入さ
れた廃棄物は加熱されて、ガス、油、チャー（炭）に分
解し、チャーが散気装置７からの流動用空気により流動
層で燃焼し、この燃焼による熱によって廃棄物の熱分解
が促進される。このとき、熱分解部１とガス燃焼部２と
が分離独立しているので、熱分解部１ではガス燃焼部２
の温度の影響を受けずに廃棄物の熱分解速度を一定とす
ることができる。

【００１５】熱分解部１における廃棄物の熱分解によっ
て発生した可燃ガスは熱分解部１内を上昇して搾流通路
３に導かれ、二次空気供給管８から制御弁９を通って流
入する二次空気と混合する。搾流通路３は狭い通路にな
っているため、熱分解部１から搾流通路３に導かれた可
燃ガスは二次空気と完全に混合する。このとき、熱分解
部１の熱分解速度が一定しているので二次空気の供給量
も安定し、よって二次空気の過不足による燃焼温度の低
下または不完全燃焼の問題を防止できる。

【００１６】搾流通路３で可燃ガスと混合する二次空気
の供給位置は、温度計１０で検出する温度により制御弁
９を開閉して調整し、狭い搾流通路３で可燃ガスが燃焼
して可燃ガスに同伴されるフライアッシュ粒が溶融して
狭い搾流通路３が閉塞しないように制御する。即ち、温
度計１０による検出温度が低いときには搾流通路３の上
流側（熱分解部１側）に接続された二次空気供給管８の
制御弁９を開いて上流側から二次空気を導入して充分な
混合を行わせることにより可燃ガスの燃焼を向上させて
温度を高めることによりダイオキシン及びその前駆物質
が分解されない状態になることを防止し、温度計１０に
よる検出温度が高いときには搾流通路３の下流側（ガス
燃焼部２側）に接続されている二次空気供給管８の制御
弁９を開くように切換えて搾流通路３での燃焼を抑える
ことにより、可燃ガス中のフライアッシュ粒が溶融して
搾流通路３内面に付着することにより搾流通路３が閉塞
する問題を防止する。

【００１７】搾流通路３で二次空気と混合した可燃ガス
はガス燃焼部２の下部側面から接線方向に導入され、ガ
ス燃焼部２で旋回流となり、着火用バーナ１１で着火さ
れて８００℃以上の温度で完全燃焼する。

【００１８】可燃ガスがガス燃焼部２の８００℃以上の
高温雰囲気で旋回流となって攪拌され、完全燃焼するこ
とにより、可燃ガス及び可燃ガスに同伴されるフライア
ッシュ粒に含まれている有害なダイオキシン及びその前
駆物質は、ガス燃焼部２で分解される。その結果、燃焼
ガス排出口１３から排出される排ガス中には、有害なダ
イオキシン及びその前駆物質は殆ど含まれなくなる。可
燃ガスに同伴されたフライアッシュ粒の粗粒子は、ダス
ト排出口１２から排出される。

【００１９】焼却装置の規模が大きい場合には、搾流通
路３を複数個設け、可燃ガスと二次空気との混合が完全
に行われるようにする。

【００２０】図３ないし図５は、それぞれ本発明装置の
他の実施例の縦断面図であって、図１と同一部分には同
一符号を付してある。

【００２１】図３の実施例においては、搾流通路３の上
端をガス燃焼部２の上部側面から接線方向に接続し、燃
焼ガス排出口１３はガス燃焼部２の下部側面に接線方向
に設けられている。

【００２２】図３の実施例においては、搾流通路３で二
次空気と混合した可燃ガスはガス燃焼部２の上部側面か
ら接線方向に導入され、高温雰囲気で旋回流となって攪
拌されて下降しながら完全燃焼し、ダイオキシン及びそ
の前駆物質はガス燃焼部２で分解される。そしてダイオ
キシン及びその前駆物質を殆ど含まなくなった排ガス
は、ガス燃焼部２の下部側面の燃焼ガス排出口１３から
排出され、粗粒子は下部のダスト排出口１２から排出さ
れる。

【００２３】図４の実施例においては、搾流通路３の上
端をガス燃焼部２の頂部に接続し、ガス燃焼部２の下端
に設けたダスト排出口１２の側方に燃焼ガス排出口１３
を設けている。

【００２４】図４の実施例においては、二次空気と混合
した可燃ガスは燃焼によるガス密度に逆って流線を画く
ので、混合ガスの攪拌が助長されて燃焼が活発になる。

【００２５】図５の実施例においては、搾流通路３の上
端をガス燃焼部２の中間部側面から接線方向に接続し、
上下に向う旋回流が生ずるようにしたものである。

【００２６】図６は前記図１に示したものの別の実施例
を示すもので、流動床式の熱分解部１に代えてストーカ
炉式の熱分解部１４を適用したものであり、その他の搾
流通路３、二次空気供給管８及びガス燃焼部２の構成は
図１と同一となっている。

【００２７】ストーカ炉式の熱分解部１４は、廃棄物投
入口４と、ストーカ１５と、前記廃棄物投入口４から投
入された廃棄物を前記ストーカ１５上に定量的に供給す
る供給装置１６と、バーナ５と、前記ストーカ１５の下
側に燃焼用空気を供給する燃焼空気供給管１７を備えて
おり、前記ストーカ１５上で廃棄物の熱分解によって生
じた可燃ガスは、搾流通路３を介してガス燃焼部２に導
かれるようになっている。

【００２８】図６の実施例では、熱分解部１４がストー
カ炉式となっていてストーカ１５上で熱分解が行われ、
熱分解によって生じた可燃ガスは図１の場合と同様に、
ガス燃焼部２に導かれて完全燃焼され、有害なダイオキ
シン及びその前駆物質は十分に分解される。

【００２９】又、図６の実施例に示したストーカ炉式の
熱分解部１４に、図３、図４、図５のようなガス燃焼部
２を組合せて適用することも勿論可能である。

【００３０】

【発明の効果】本発明は、熱分解部とガス燃焼部とを分
離独立させたので、熱分解部ではガス燃焼部の温度の影
響を受けずに廃棄物の熱分解速度を一定とすることがで
き、従って、可燃ガス発生量の変動をおさえ、よって二
次空気の供給量を安定させることができ、よって搾流通
路にて適量の二次空気を均一に混合し、ガス燃焼部で充
分な滞留時間をもたせて高温で完全燃焼させることによ
り、ダイオキシン及びその前駆物質を十分に分解するこ
とができる。

【００３１】搾流通路におけるガス燃焼部入口に備えた
温度計による検出温度が低いときには、搾流通路の上流
側に接続された二次空気供給管の制御弁を開いて上流側
から二次空気を導入して充分な混合を行わせることによ
り可燃ガスの燃焼を向上させて温度を高めることにより
ダイオキシン及びその前駆物質が分解されない状態にな
るのを防止することができ、温度計による検出温度が高
いときには搾流通路の下流側に接続されている二次空気
供給管の制御弁を開くように切換えて搾流通路での燃焼
を抑えることにより、可燃ガス中のフライアッシュ粒が
溶融して搾流通路内面に付着することにより搾流通路を
閉塞するといった問題を防止することができる。

【００３２】さらにガス燃焼部においては混合ガスの攪
拌が活発になり、可燃ガスを完全燃焼させて、有害なダ
イオキシン及びその前駆物質を十分に分解することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の一実施例の縦断面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ断面図である。

【図３】本発明装置の他の実施例の縦断面図である。

【図４】本発明装置のさらに他の実施例の縦断面図であ
る。

【図５】本発明装置のさらに他の実施例の縦断面図であ
る。

【図６】本発明装置のさらに別の実施例を示す縦断面図
である。

【符号の説明】

１ 熱分解部 ２ ガス燃焼部 ３ 搾流通路 ４ 廃棄物投入口 ５ バーナ ８ 二次空気供給管９ 制御弁 １０ 温度計 １１ 着火用バーナ １４ 熱分解部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅井 稔 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川 島播磨重工業株式会社 技術研究所内 (72)発明者 安藤 安則 神奈川県横浜市磯子区新中原町１番地 石川島播磨重工業株式会社 技術研究所 内 (56)参考文献 実開 昭49−127065（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭49−121372（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 廃棄物投入口を有する熱分解部と、該熱
   分解部の上方に設けられたガス燃焼部と、前記熱分解部
   の上部をガス燃焼部に接続する搾流通路と、該搾流通路
   の長手方向に所要の間隔を隔てた位置に接続された複数
   の二次空気供給管と、該二次空気供給管に備えた制御弁
   と、前記搾流通路におけるガス燃焼部入口のガス温度を
   検出して前記制御弁の開閉を制御する温度計とを備えた
   ことを特徴とする廃棄物焼却装置。