JP2648301B2 - 真核細胞の形質転換のための補助dnaを含むベクター - Google Patents

真核細胞の形質転換のための補助dnaを含むベクター

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は真核細胞による興味ある蛋白質の産生に関す
る。特に、蛋白質および選択しうるマーカーをコードす
る遺伝子で形質転換された真核細胞培養物から分泌され
た商業的に有用な蛋白質を高収量で得ることに関し、よ
り詳細には蛋白質の発現を高める補助DNA(accessory D
NA)と関連させて蛋白質をコードする遺伝子を含有する
形質転換用ベクターに関する。
次の定義は本発明の理解を容易にするために提供され
る。当技術分野で流通している意味から少しはずれた程
度にまで下記の定義は及ぶべきである。
増幅(amplification)は細胞がそれらの染色体DNA内
で遺伝子複製を生ずる過程を意味する。
同時形質転換(cotransformation)は細胞にとつて異
質の1つ以上の外来性遺伝子(そのうちの1つは選択し
うる表現型を細胞に付与する)で細胞を形質転換する過
程を意味する。
下流(downstream)はヌクレオチド配列の3末端の方
へ行く方向を意味する。
促進因子(enhancer)は遺伝子の本性、遺伝子に対す
るそのヌクレオチド配列の位置またはその配列の方向性
とは無関係に遺伝子の転写を増強することができるヌク
レオチド配列のことである。
遺伝子は目的の成熟蛋白質をコードするデオキシリボ
ヌクレオチド配列である。本明細書においては、遺伝子
はRNA転写開始信号、ポリアデニレーシヨン付加部位、
プロモーターまたは促進因子のような翻訳されない側面
領域(flanking region)を含まないだろう。
選択遺伝子(selection gene)は検出できる蛋白質と
して遺伝子を発現する細胞に表現型を付与する遺伝子の
ことである。
選択因子(selection agent)は選択遺伝子の発現を
検出可能にする条件または物質である。
表現型(phenotype)は細胞の遺伝子型により発現し
た細胞の観察しうる諸性質を意味する。
生産物遺伝子(product gene)は診断上または治療上
有用であるような望ましい特性を有する蛋白質産物をコ
ードする遺伝子のことである。
遺伝子型(genotype)は表現型として観察されるその
発現に対立するものとして細胞内に包含される遺伝情報
を意味する。
結合(ligation)は2つのDNA鎖の5′末端と3′末
端との間にホスホジエステル結合を形成する過程を意味
する。これはT4DNAリガーゼによる平滑末端の結合を含
むいくつかのよく知られた酵素的操作により達成され
る。
方向性(orientation)はDNA配列におけるヌクレオチ
ドの順序を意味する。DNA配列の反対の方向性は、他の
配列に関してその配列の5′−3′順序が、その配列が
得られたDNAの基準的に比較した場合反対になつている
ものである。この種の基準点にはDNA源における他の特
定のDNA配列の転写方向またはその配列を含む複製可能
なベクターの複製開始点が含まれる。
転写(transcription)はDNA鋳型からのRNAの合成を
意味する。
形質転換(trans formation)は細胞が外来性DNAを取
り込むことにより細胞の遺伝子型を変化させることを意
味する。形質転換は一時的であるかまたは安定であつ
て、いくつかの場合には細胞の表現型の変化により検出
できる形質転換された細胞は形質転換体と呼ばれる。前
形質転換細胞は母細胞と称される。
翻訳(translation)はメツセンジヤーRNAからのポピ
ペプチドの合成を意味する。
真核細胞へのDNAの導入は一般によく知られた方法で
あり、各種の標準方法により達成することができる。こ
れらにはプロトプラスト融合、DNAの微小注射、染色体
トランスフエクシヨン、溶菌および非溶菌ウイルスベク
ター〔例えば、Mulliganらの“Nature"(ロンドン)27
7:108〜114(1979)〕、細胞−細胞融合〔Fournierらの
“Proc.Nat.Acad.Sci."74:319〜323(1977)〕、脂質構
造(米国特許第4394448号)およびDNA沈殿物の細胞エン
ドサイトーシス〔Bachettiらの“Proc.Nat.Acad,Sci."7
4:1590〜1594(1977)〕の使用が含まれる。
細胞は一時的にDNAを取り込むことができるか、また
はそのDNAは取り込まれて諸条件に応じて安定な細胞系
列を産生することができる。安定な細胞系列を得るため
の1つの方法は、目的の蛋白質遺伝子を含むDNAととも
に選択遺伝子を挿入し、そしてその細胞系列を選択圧力
下に保持することである。いずれにしても、形質転換さ
れた細胞からの蛋白質の発現を高める方法を見つけるこ
とが望ましい。
発明の要約 本発明は真核細胞内での異種蛋白質の発現を高める手
段を提供する。本発明によれば、真核細胞内で異種蛋白
質の発現を高める方法は、真核細胞内に異種の非ウイル
ス性蛋白質をコードするDNAおよび補助DNAを導入し、そ
してその細胞を培養して前記蛋白質を発現させることか
ら成つている。本発明はまた異種の非ウイルス性蛋白質
を発現させるべく真核細胞内で使用するための補助DNA
を含む形質転換用ベクターを提供することである。好適
な実施態様においては、増幅しうる選択可能な表現型を
発現する遺伝子が真核細胞内に導入されて、目的の異種
蛋白質をコードする導入DNAおよび補助DNAの増幅が促進
される。
発明の詳細な記述 本発明によれば、補助DNAおよび目的の蛋白質をコー
ドするDNA(すなわち生産物遺伝子)が真核細胞内に導
入される。補助DNAは意図する蛋白質の発現を高める。
例えば、補助DNAは転写または翻訳の効率を増加させる
か、または目的の蛋白質の発現を高めるための他の作用
をもつことができる。
本発明によれば、補助DNAは形質転換用ベクター系の
一部分である。それは目的の異種蛋白質をコードするDN
Aの導入前に、導入と同時に、あるいは導入後に細胞内
に導入される。補助DNAは形質転換された細胞系列によ
り合成される生産物の安定性を改善し、その細胞系列内
に導入された外来性遺伝子の増幅を高め、また転写もし
くは翻訳の効率を増すDNAである。補助DNAは母細胞によ
り認識される諸機能を含む。こうして、補助DNAは形質
転換において以前に用いられた単なるキヤリヤーDNAま
たは嵩高DNA以上のものである。
補助DNAの1つの部類は翻訳活性化因子をコードするD
NAからなる。翻訳活性化遺伝子は蛋白質、または翻訳の
効率を高めるように生産物のためのメツセンジヤーRNA
と相互に作用する短い非翻訳RNA産物を生ずる。1つの
例はウイルスに関係のある(VA)RNAをコードするアデ
ノウイルスDNAである〔Thimmappayaらの“Cell"31:543
〜551(1981)〕。このDNAは小型の非翻訳RNAの2つの
物質(VA1およびVA2)を生産する。VA DNAのRNA産物は
目下のところ不確かな方法でアデノウイルスの主後期プ
ロモーター(major late promoter)の3部分リーダー
配列と関係して、そのリーダー配列を含むmRNAからの翻
訳を高めると考えられる。VA RNAはまた他の初期アデノ
ウイルスmRNAの翻訳可能性を高める〔SvenssonおよびAk
usjaruの“MoI.Cell Bio.":736〜742(1984)〕。VA1
またはVA2DNAはよく知られている。それは、そのプロモ
ーターとともに、連鎖ベクター内に(好ましくは生産物
遺伝子のプロモーターから上流またはポリアデニレーシ
ヨン部位から下流に)直接結合されるか、あるいは生産
物遺伝子または選択遺伝子へ結合されないままでトラン
スフエクトされてもよい。
VA RNAにより高められた翻訳は、後期アデノウイルス
mRNAの3部分リーダー構造がそのmRNAに存在する場合、
最も劇的である。
補助DNAのもう1つの部類は母細胞からの真核細胞ゲ
ノム性DNAを含む。このDNAは複製開始点またはDNAの安
定性を促進する配列を含むと考えられるが、この種のDN
Aの有益な作用をうながすそのメカニズムは知られてい
ない。このDNAは細胞系列のゲノム性DNAをランダムに切
断するかまたはエンドヌクレアーゼで消化することによ
り得ることができる。ゲノム性補助DNAは大きさが約50
〜5000塩基対の断片からなるべきである。これらの断片
はその後形質転換用ベクターのプロモーターから上流
(好ましくはいずれの促進因子からも上流)またはポリ
アデニレーシヨン部位から下流の利用しうる制限部位で
結合させる。こうしてこれらのベクターは形質転換に適
するものとなり、この後形質転換体は1つまたはそれ以
上の望ましい特性(例えば、形質転換体の段階的培養後
の生産物合成の安定性および/または生産物の高収量)
について選別される。
形質転換体からの生産物の収量は、トランス−作働性
転写活性化因子と名づけた1部類の補助DNAで細胞を形
質転換することにより改善できる。この種のDNAは転写
を刺激する蛋白質または蛋白質誘導体をコードする。転
写活性化因子の1つの部類はそれらが無限の連続した子
孫形成を可能にするので不滅性遺伝子と称され、この種
の遺伝子を含む細胞は所定の数の分裂後も死滅しない。
これらの活性化因子は転写速度を増すために生産物遺伝
子と同じDNA鎖内に結合される必要はなく、この点にお
いてこれらは促進因子と異なる〔Imperialeらの“Cell"
35:127〜136(1983)、Greenらの“Cell"35:137〜148
(1983)〕。本発明で用いる数種のトランス−作働性転
写活性化因子はそれら自体既知であつてクローン化され
ている。最も広く研究された例にはヒトC−myc、SV40
大型T抗原、ポリオーマ大型T抗原およびアデノウイル
スE1A遺伝子が含まれる。
使用することができる生産物遺伝子は本質的に無限で
ある。蛋白質をコードする遺伝子、または酵素転化のよ
うな蛋白質に基づいた反応により作ることができる物質
をコードする遺伝子が適当である。毒素を合成するかま
たは宿主蛋白質を加水分解することによつて宿主細胞に
悪影響を与える蛋白質(例えば原核細胞または下等な真
核細胞源からのいくつかの酵素)をコードする遺伝子
は、例えば抗毒素を培地に加えるかまたは最適と行われ
るより低い発現レベルを選択するなどの制限を加えて使
用することができる。活性を示す蛋白質または酵素の遺
伝子は、哺乳動物または脊推動物などの高等動物の細胞
内に見出される。大抵の治療用蛋白質をコードする興味
ある遺伝子はこの部類に属するだろう。
生産物遺伝子の例は、血液凝固性または線維素溶解性
蛋白質(例えば抗血友病性因子、組織プラスミノゲン活
性化因子、ウロキナーゼおよび凝血因子II、VII、IX、
XまたはXIII)、血液蛋白質(例えばフイブロネクチン
またはアルブミン)、プロテアーゼ阻害因子(例えば抗
トロンビンIII、アルフア−1−抗トリプシンおよび2
マクログロブリン)、ホルモンまたは調節蛋白質(例え
ばエリスロポエチンおよび他のT−細胞活性物質などの
リンフオカイン、成長ホルモンおよび血小板誘導成長因
子)、腫瘍遺伝子産物、細胞表面抗原、免疫蛋白質(例
えばIgG、IgEおよびIgM)および補体、ならびに他の商
業上興味ある蛋白質をコードする遺伝子である。
形質転換用ベクター 本発明による形質転換に用いるベクターは一般に補助
DNAと生産物遺伝子とを含むだろう。さらに、形質転換
用ベクターには通常促進因子、プロモーター、イントロ
ン、ポリアデニレーシヨン部位および以下で述べる3′
非コード領域などの他の要素が存在するだろう。選択遺
伝子を用いる場合、それはベクター内の生産物遺伝子へ
結合されるか、またはその生産物遺伝子を含むベクター
と同時形質転換される別のベクター内に存在することが
できる。
選択遺伝子は3つのカテゴリー:検出可能に増幅され
る選択遺伝子、優性の選択遺伝子、および検出可能に増
幅される優性選択遺伝子に区分される。
検出可能に増幅される選択遺伝子は、宿主細胞を選択
因子へさらすことにより増幅を検出し得るものである。
検出可能に増幅される非優性遺伝子は一般に遺伝子型と
して選択遺伝子を欠く母細胞系列を必要とする。例とし
てはアスパラギンシンセターゼ;アスパラギン酸トラン
スカルバミラーゼ〔Kempらの“Cell":541(197
6)〕;アデニル酸デアミナーゼ〔DeBatisseらの“Mol
and Cell Biol."2(11):1346〜1353(1982)〕;アデ
ノシンデアミナーゼ〔YeungらのJ.B.C.258:15185(198
3)〕;マウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)およ
びマウスチミジンキナーゼ(TK)(欠損プロモーターを
もつ)をコードする遺伝子類が含まれる。
優性の選択遺伝子は母細胞の遺伝子型にかかわらず形
質転換体において発現されるものである。大抵の優性選
択遺伝子は検出可能に増幅されない、というのはその表
現型が選択因子を処理するのに非常に効果的であるの
で、その遺伝子を増幅した細胞系列を増幅しなかつた細
胞系列とに識別するのが困難であるからである。この型
の優性選択遺伝子の例はキサンチン−グアニン ホスホ
リボキシルトランスフエラーゼ〔Mulliganらの“Proc.N
at.Acad.Sci."78(4):2072〜2076(1981)〕およびア
ミノグリコシド3′−ホスホトランスフエラーゼ〔Colb
ere−Garapinらの“J.Mol.Biol."150:1〜14(1981)〕
などの原核動物の酵素をコードする遺伝子類である。
いくつかの優性選択遺伝子はまた検出可能に増幅され
る。適当な例にはHaberらの“Somatic Cell Genet":4
99〜508(1982)に記載された当然変異DHFR遺伝子、HLA
抗原のような細胞表面マーカー、および当技術分野で知
られた螢光原または色素原基質から螢光産物または着色
産物を生ずる酵素(例えば特異なエステラーゼ類)をコ
ードする遺伝子が含まれる。
本発明においては検出可能に増幅される優性の選択遺
伝子を使用するのが好ましい。いくつかの場合の優性選
択遺伝子は、その遺伝子内での適当な突然変異によつ
て、検出可能に増幅される遺伝子に転化できると理解す
べきである。
選択因子は選択遺伝子の不存在下で細胞増殖を抑制す
るものであるのが好ましい。こうして、選択遺伝子(お
よび恐らくは生産物遺伝子)を欠くか、またはその選択
遺伝子をもはや発現しない長期培養の復帰突然変異細胞
はその集団を増殖し過ぎることがないだろう。しかしな
がら、治療目的のための蛋白質産物の商業的生産におい
ては、細胞毒素の使用を避けてその産物の精製工程を簡
単にすることが望ましいだろう。それ故、望ましい選択
遺伝子は、形質転換体が選択遺伝子を欠く場合に用いる
ことのできない増殖にとつて不可欠な栄養素を形質転換
体に使用させ得るものであるだろう。1つの例としては
先に述べたTK遺伝子がある。
選択遺伝子はまた生産物遺伝子であり得ることに留意
すべきである。例えば、治療剤または診断剤として使用
するための選択遺伝子の生産物を収穫することが望まれ
る。生産物遺伝子は、もし形質転換体の環境が変更され
てその生産物が形質転換体にいくつかの選択利益を付与
することができるならば、選択遺伝子として機能するこ
とができるようになるだろう。例えば、生産物遺伝子は
細胞培地中の他の方法では使用できない不可欠な基質に
作用してその不可欠な基質(例えば必須栄養素)を放出
させる酵素を産生することができる。
ここで用いる選択遺伝子および生産物遺伝子はそれら
の野性型の翻訳されない側面配列の全てまたは一部分を
同伴してもよいが、通常この種の配列は以下で述べるよ
うに同伴されないだろう。連鎖ベクターの場合に、生産
物収量の特に有益な結果は選択遺伝子の翻訳領域から上
流でかつこの領域に接近して生産物遺伝子を位置させる
ことにより得られる。このことは一般に野性型生産物遺
伝子から下流に見出される3′非翻訳領域および野性型
選択遺伝子から上流に見出される5′非翻訳領域の全部
でないとしても大部分が適当な制限エンドヌクレアーゼ
によつて切断されるか、あるいは本明細書の他の処で示
すM13でのオリゴヌクレオチドプライミングを経る欠失
によつて切断されることを意味している。その結果、両
方の遺伝子は生産物遺伝子と選択遺伝子との間にプロモ
ーターが挿入されることなく直接結合される。
ここで用いる遺伝子は一般に成熟生産物の構造、安定
性および/または分泌にとつて望ましいプレプロ−ポリ
ペプチド(例えば分泌リーダー)をコードする野性型翻
訳配列を含むだろう。しかしながら、野性型の翻訳リー
ダー配列が形質転換体内で適切に作用しない場合には、
この種のプレプロ配列はベクターへの組込みおよびその
後の宿主細胞の同時形質転換以前に欠失されるか、また
はベクター内で適切に作用する他のプレプロ配列によつ
て置換されてもよい。
一般に、ベクターまたはベクター内に含まれる遺伝子
がイントロンで中断されることは、ベクターからのメツ
センジヤーRNA転写物が形質転換体によつて適切に切り
出されて成熟蛋白質および目的のリーダー配列へ翻訳さ
れるメツセンジヤーRNAを生ずる限り、重要なことでな
い。これは他の高等真核細胞によりプロセシングされる
はずの所定の高等真核細胞の遺伝子に見出されるイント
ロンの場合であるだろう。ここで用いる大部分の遺伝子
はcDNA逆転写物であるのでイントロンは全く存在せず、
まちがつた転写後切り出し(post−transcriptional sp
licing)の可能性は相当減少するだろう。
連鎖ベクターの場合、選択遺伝子および生産物遺伝子
のためのコード鎖は生産物遺伝子の停止コドンを選択遺
伝子の開始コドンへ直接結合することによつて接合され
るのが好ましい。これとは別に、これらの両遺伝子はグ
アニンデオキシリボヌクレオチド(G)およびシトシン
デオキシリボヌクレオチド(C)に富むオリゴデオキシ
リボヌクレオチド橋を介して結合される。この橋はRNA
へアピンループの形成可能性を減ずるために、終止コド
ンおよび開示コドン、ならびにパリンドローム構造(pa
lindrome)を含まない方がよい。
“生産物遺伝子”および“選択遺伝子”という用語
は、ただ1個の各遺伝子または単一の各遺伝子コピーの
みがベクター内で使用されるということを意味するもの
ではない。第一に、所定の選択表現型は1つ以上の別個
の蛋白質の合成を必要とするかも知れない。この場合、
例えば各蛋白質の選択遺伝子は生産物遺伝子または他の
どの選択遺伝子にも共有結合で結合されないベクター内
に存在するだろう。また各選択遺伝子は先に述べたごと
くまたは米国特許第4399216号に記載されるごとく生産
物遺伝子へ結合されるだろう。各選択遺伝子が他のどの
選択遺伝子とも無関係に同じ選択因子のための選択表現
型を与える場合、1個以上の選択遺伝子を使用すること
は好ましくないだろう。
別個の生産物遺伝子を複数含む1つまたはそれ以上の
ベクターを用いて形質転換するのが望ましいかも知れな
い。互いに有益な作用をもつ蛋白質をコードする別個の
生産物遺伝子は特に興味をもたれる。例えば、他の蛋白
質産物を安定化する蛋白質、または生物学的に活性な作
用をもつ多重蛋白質系の一部をなす蛋白質を同時発現さ
せることができる。
さらに、選択遺伝子および生産物遺伝子のいずれか一
方または両方は1つまたはそれ以上のベクター内で反復
されてもよく、すなわち多重の、一般にはタンデム(直
列)のコピーで存在し得る。このような場合に、反復さ
れた遺伝子は各々ただ1個の遺伝子コピーのみを含むベ
クター内に存在するRNAプロセシングおよび転写制御配
列の全てを含むのが有利である。
ベクターはまた促進因子を含むことができる。促進因
子はプロモーターと機能的に異なるが、プロモーターと
協力して作働すると思われる。細胞レベルでのそれらの
機能は充分理解されていないが、それらの特異な性質は
位置や方向性に関係なく転写を活性化させまた増強させ
るその能力にある。プロモーターは遺伝子の上流に存在
する必要があり、一方促進因子はプロモーターから上流
すなわち5′方向に、イントロンとして遺伝子内に、ま
たは遺伝子とポリアデニレーシヨン部位との間の遺伝子
から下流すなわちポリアデニレーシヨン部位から3′方
向に存在していてもよい。逆転プロモーターは機能的で
ないが、逆転促進因子は機能的である。促進因子はシス
ー作働性である、すなわちそれらが同一DNA分子に存在
する時のみプロモーターに効果を及ぼす。促進因子の一
般的概論についてはKhouryらの“Cell"33:313〜314(19
83)を参照されたい。
好適な促進因子はシミアンウイルス40、ポリオーマウ
イルス、ウシ乳頭腫ウイルス、レトロウイルスまたはア
デノウイルスのような動物ウイルスから得られる。理想
的には、促進因子は宿主細胞が許容するウイルス、すな
わち通常宿主型の細胞に感染するウイルスからのもので
ある方がよい。ウイルス性促進因子は公然と入手できる
ウイルス類から簡単に得ることができる。例えば、ラウ
ス肉腫ウイルスやシミアンウイルス40のような数種のウ
イルスの促進因子領域はよく知られている。Luciewらの
“Cell"33:705〜716(1983)を参照されたい。問題のウ
イルスの公表された制限地図に基づいてこれらの領域を
切り取り、必要に応じてそれらの部位を修飾して生産物
遺伝子または選択遺伝子のベクター内にその促進因子を
つなぎ合わせることは慣用的な化学手段であるだろう。
例えば、KaufmanらのMol.Cell Biol.2 1304〜1319頁(1
982)を参照されたい。別の方法として、促進因子は配
列データから合成することができる。ウイルス性促進因
子の大きさ(一般に約150塩基対以下)は十分に小さい
ので、これは実際に達成できるだろう。
促進因子はタンデム型(自然界に見出せるSV40ウイル
ス性促進因子を用いる場合)で、または先に論じた部位
でベクター全体にわたり分離してベクター内に反復させ
ることができる。好ましくは、促進因子は野性型源にお
いてその影響下にある遺伝子に関してそれがもつていた
方向性と同じ方向性を生産物遺伝子および/または選択
遺伝子に関してもつ。促進因子はベクター内に存在する
全てのプロモーターから上流に位置するのが好適であ
る。複数の異なる促進因子を用いてもよく、また促進因
子は形質転換の際に役に立つために生産物遺伝子または
選択遺伝子へ結合される必要はない。非連鎖ベクター系
において、促進因子は生産物遺伝子を含むベクターに存
在することが好ましい。これは生産物遺伝子および選択
遺伝子が同時形質転換体内で物理的に結合される可能性
を増すだろう。この型においては所定量の形質転換DNA
に対して約1〜100倍以上の形質転換体を、選択遺伝子
の転写に用いられるプロモーターに応じて、得ることが
できる。
促進因子はその野性型環境に見出せる側面配列(例え
ばウイルスの複製開始点、TATAボツクスのような関係の
あるプロモーター成分、キヤツプ部位または転写プライ
マー配列)のどれも含む必要はない。しかし、これらの
配列の欠失を可能にする制限酵素部位が存在しない時に
はこれらの配列の全てまたは一部分を組み入れる方が都
合がよい。また、促進因子とその促進因子の野性型制御
下にあるプロモーターとの両方を含むDNA断片を使用す
ることはさらに都合がよいだろう。
促進因子および促進因子−プロモーター領域はウイル
スよりもむしろ真核細胞から選択することができる。こ
れらは源細胞内で大きな構成量の蛋白質を産生する遺伝
子と関連した促進因子であるのが好ましい。それらは野
性型環境において通常制御される遺伝子以外の遺伝子か
ら高収量の生産物を同様に産生することを見出された。
形質転換しようとする宿主細胞は好適には促進因子が得
られた細胞と同じ体細胞系列また生殖細胞系列である。
例えば、Jk−Ckイントロン内の免疫グロブリン遺伝子を
活性化または促進する領域(免疫グロブリン促進因子)
は生産物遺伝子の上流または下流に導入され、そしてこ
の構成物は骨髄腫細胞系列内へ選択遺伝子とともに導入
される。この促進因子についての詳細はGilliesらの“C
ell"33:717〜728(1983)を参照されたい。免疫グロブ
リン促進因子は蛋白質産物を産生させるための骨髄腫細
胞内に挿入される予定のベクターにおいて用いられるの
が有利である。
生産物遺伝子および選択遺伝子は共にプロモーターの
転写制御下におかれるようにプロモーターへ結合される
だろう(ただし先に述べた連鎖ベクターの場合を除
く)。プロモーターは問題の遺伝子のための野性型プロ
モーターであつてもよく、また遺伝子は他の真核細胞系
列または原核生物ウイルスからの形質転換細胞系列内で
他の遺伝子からのプロモーターへ結合されてもよい。明
らかに、そのプロモーターは形質転換細胞内のプロモー
ターとの偶発的組み換えなしに形質転換しようとする宿
主によつて認識されるべきであるが、その他の場合はプ
ロモーターの選択は限定的であると考えない。特に望ま
しいプロモーターは5′非翻訳リーダーへ結合されて、
外来性の因子または条件〔例えば補助遺伝子産物(転写
物およびポリペプチド)、重金属イオン、熱による衝撃
またはウイルス感染〕により転写的にまたは翻訳的に活
性化される。生産物遺伝子発現にとつて好適なプロモー
ターは3部分リーダーをもつアデノウイルスの主後期プ
ロモーターである。
ベクター系は、促進因子と無関係のプロモーター(例
えばマウスアルフアーグロビンのためのプロモーター)
が選択される場合に、促進因子を含む必要はない。しか
し、この種の促進因子−非依存性の強力プロモーターよ
りもむしろ促進因子と促進因子−依存性の強力プロモー
ター(例えばアデノウイルス主後期プロモーター)とを
含むベクターが使用される。強力プロモーターは制御さ
れた条件下でSV40の初期プロモーターと同じかまはそれ
より多い転写物をもたらすものである。
ベクター内に存在する方がよい他の要素はポリアデニ
レーシヨン部位である。これは遺伝子の翻訳領域から下
流に位置するDNA配列であつて、その遺伝子にアデニン
リボヌクレオチドが付加してメツセンジヤーRNAの3′
末端にポリアデニレートの尾を形成する。ポリアデニレ
ーシヨンは細胞の分解、メツセンジヤーRNAのレベルお
よび蛋白質産物のレベルを低下させる現象に対してメツ
センジヤーRNAを安定化させるのに重要である。
真核細胞のポリアデニレーシヨン部位はよく知られて
いる。コンセンサス(consensus)配列が真核細胞遺伝
子の間に存在する:ヘキサヌクレオチドの5′−AAUAAA
−3′はポリアデニレーシヨンが出発するRNAの1つの
点から11−30ヌクレオチドのところに見出される。ポリ
アデニレーシヨン部位を含むDNA配列は発表された報告
書に従つてウイルスから得ることができる。ポリアデニ
レーシヨン配列の例はマウスベーターグロビン、シミア
ンウイルス40の後期または初期領域遺伝子などから得ら
れる。ウイルスのポリアデニレーシヨン部位の方が好ま
しい。これらの配列は知られているので、インビトロで
合成して慣用方法でベクターへ結合させることができ
る。
ポリアデニレーシヨン領域は連鎖または非連鎖ベクタ
ー内で生産物遺伝子から下流に位置するべきである。非
連鎖ベクターにおいてはそれは場合により選択遺伝子か
ら下流に結合される。ポリアデニレーシヨン部位を翻訳
停止コドンから分離する配列は好ましくは促進されない
真核細胞遺伝子のような非翻訳DNA領域である。オリゴ
ヌクレオチドは停止コドンからポリアデニレーシヨン部
位まで相当な距離(約1000塩基以下)を延びるのが好ま
しい。この3′非翻訳ヌクレオチド配列は一般に生産物
の収量を増加させる。ベクターはコンセンサス配列から
約30塩基対下流から終るが、野性型環境内でポリアデニ
レーシヨン部位から下流に見出せる3′配列を保持する
ことが有利である。これらの配列は一般にポリアデニレ
ーシヨン部位から下流へ約200〜600塩基対延びる。
ベクターの非翻訳、転写部分にイントロンが存在する
と生産物の収量が増加するのがわかつた。この種のイン
トロンは宿主細胞または遺伝子源以外の他の源から得て
もよい。例えば、アデノウイルス主後期転写物の非翻訳
領域内にこの転写物のノーマルイントロンの一部分の代
わりに挿入された免疫グロブリン遺伝子からの3′スプ
ライス部位は、生産物の収量増加をもたらすことができ
る。
転写活性化因子、翻訳活性化因子、および強力プロモ
ーターまたはプロモーターと促進因子との組合せによつ
てトランスフエクトされた細胞は最も高められた生産物
合成を提供する。カスケード作用はこの転写および翻訳
活性化因子−形質転換細胞から生ずるだろう。
ベクターは好適にはスーパーコイル状の二本鎖環状構
造物であるだろう。これはベクターが標準原核生物クロ
ーニング法(この方法によつてベクターは作られる)か
ら得られる形体である。しかし、ベクターは線状化され
ていてもよく、すなわちゲノム性補助DNAへの結合のよ
うな他の工程に付随して、ある1つの点で共有結合的に
切断されていてもよい。
次の表は適当な形質転換用ベクター系の代表的な例で
ある。
ベクター合成 生産物遺伝子と選択遺伝子との間に短いオリゴヌクレ
オチド配列をもつか、あるいはこれらの間にオリゴヌク
レオチド配列をもたない連鎖ベクターは、数種の方法で
作ることができる。生産物遺伝子の翻訳停止コドンに隣
接して、あるいはそこから下流の一番近いところに制限
部位が存在しない場合、生産物遺伝子は野性型翻訳停止
コドンの上流の制限部位で切断され、その後そのコドン
は合成結合剤を用いて選択遺伝子断片へ結合される。こ
のようなベクターの別の作成方法は、架橋ヌクレオチド
プローブを使用して生産物遺伝子と選択遺伝子との間に
ある望ましくない配列を欠失させることである。もう1
つの方法として、蛋白質産物のカルボキシ末端アミノ酸
が生物学的活性に必要なものでない場合、合成終止コド
ンが便利な3′末端へ結合されるだろう。ここで遺伝子
断片を使用することは、自然界に見出せるものと出来る
だけ同一の蛋白質産物を合成することが望まれるので、
好適な実施態様とは言えない。
野性型環境内で選択遺伝子の側面にある5′非翻訳領
域は、生産物遺伝子について先に述べた方法と同じ方法
で除去することができ、これは実施例3に示すごとく生
産物遺伝子からの欠失と同時に行われる。しかしなが
ら、選択遺伝子またはその誘導体によつて発現される蛋
白質は野性型と同一である必要はなく、例えば増殖制限
基質に対してより活性であるかまたは野性型蛋白質より
毒素に対してより抵抗性であつてよい。連鎖ベクターに
おいて、選択遺伝子は生産物遺伝子のプロモーターの制
御下にあるのが好ましい。これは、生産物遺伝子を欠く
細胞が形質転換体との組み換え現象がない場合に選択因
子から生きのびることはできないので、細胞の遺伝子型
および蛋白質産物の発現を安定化するのに役立つだろ
う。非連鎖ベクターの場合に反対のことが見出された
が、ここでも同じプロモーターを選択遺伝子および生産
物遺伝子の両方に使用することができる。
この他に、ここに示すベクターは当技術分野において
習熟した者によく知られた技術を用いて合成することが
できる。生産物遺伝子、選択遺伝子、促進因子、プロモ
ーター、および補助DNA(例えばトランス−作働性転写
活性化因子、翻訳活性化因子および類似のもの)などの
ベクター成分は天然源から得ることができ、また先に述
べたように合成することもできる。基本的には、ベクタ
ー成分が大量に入手できるDNA中に見出される場合(例
えばウイルス機能のような成分)、またそれらが合成可
能である場合(例えばポリアデニレーシヨン部位)、大
量のベクターは生物源を培養し、そのDNAを適当なエン
ドヌクレアーゼで消化し、そのDNA断片を分離し、興味
ある要素を含むDNAを同定し、そしてそのDNAを当技術分
野でよく知られた方法を用いて回収することにより得る
ことができる。一般に、形質転換用ベクターは少量作ら
れ、その後原核生物のプラスミドまたはフアージのよう
な自律的に複製する合成ベクターへ結合される。pBR322
プラスミドは多くの場合に使用できる。Kaufmanらの上
記文献(1982)を参照されたい。大きな形質転換用ベク
ターはコスミド(cosmid;フアージDNAがフアージカプシ
ド内に封入されているが、受容宿主へトランスフエクト
された場合プラスミドとして複製するベクター)のよう
な収容能力の高い合成ベクターを必要とするかも知れな
い。
合成ベクターは慣用方法で、例えば受容原核生物のト
ランスフエクシヨン、高いコピー数への合成ベクターの
複製、細胞溶解による合成ベクターの回収、および当技
術分野でよく知られた方法による細胞破片からの合成ベ
クターの分離によつて、形質転換用ベクターをクローン
化するのに用いられる。
得られた合成ベクターは真核細胞内へ直接トランスフ
エクトされるか、あるいは形質転換用ベクターが適当な
エンドヌクレアーゼ消化、分子量による分離および形質
転換用ベクターの回収により合成ベクターから単離され
る。形質転換用ベクターの単離は、合成ベクターの残部
が真核細胞遺伝子の増幅、転写または翻訳に悪影響を及
ぼさない限り、必要ない。例えば、ここで用いる好適な
合成ベクターはプラスミドpSR322の突然変異体であり、
これはプラスミドpSR322中の真核細胞にとつて有害な配
列が欠失されたものである。LuskyらのNature293:79〜8
1(1981)を参照されたい。この突然変異体の使用は形
質転換前にプラスミドの残部を欠失させる必要性を取り
除いた。
形質転換 形質転換しようとする細胞は酵母のプロトプラストを
含むどの真核細胞であつてもよいが、好適には真菌細胞
以外の細胞である。原始的移植物(幹細胞のような比較
的未分化な細胞を含む)、および不滅性のかつ/また形
質転換された細胞系列が適している。特に形質転換しよ
うとする細胞は動物細胞が好ましく、ここで動物細胞と
はヒト由来の細胞も含むものである。細胞はその選択遺
伝子が、使用された時、優性に作用する限りその選択遺
伝子を遺伝子型として失う必要がない。
ある実施態様においては、形質転換された安定な細胞
系列を必要としない。このような場合に、適当な形質転
換用ベクターは哺乳動物細胞内へのDNAの一時的導入に
頼ることができる〔P.Mellon,V.Parker,Y,Gluzman,T.Ma
niatisのCell27:279〜288(1981)〕。目的の形質転換
体を単離するために、その集団の全細胞が目的の蛋白質
産物を発現する外来性遺伝子を安定に含むことは要求さ
れない。数日間にわたつて目的の生産物を発現するよう
な細胞のサブ集団へ外来性遺伝子を一時的に導入するこ
とが可能である。本発明によるDNAのトランスフエクシ
ヨンおよび発現系によつて選択しうるマーカーは形質転
換用ベクター内に必要とされないので、外来性遺伝子は
1〜2週間にわたる細胞増殖の際に失われる。しかし、
適当な哺乳動物細胞のトランスフエクシヨンの2〜3日
後に、目的の生産物が合成されたことが見出されそして
検出される。
こうして、哺乳動物蛋白質の遺伝子をクローン化する
ための宿主−ベクター系は、複製開始点−欠損SV40DNA
分子で形質転換されたCV−1サル細胞系列の開発に基づ
いている〔Y.GluzmanのCell23:175〜182(1981)〕。SV
40はサルの細胞内で細胞溶解的に複製する小型のDNA腫
瘍ウイルスである。DNAの複製がない場合に、SV40はサ
ルの細胞を形質転換するだろう。欠損SV40DNAを含む形
質転換されたサルCV−1細胞(COSと称する)はSV40ゲ
ノムの完全なコピーを含まないが、高レベルで大型T抗
原を産生しかつSV40DNAの複製を許容する。それらはま
た初期領域の欠失をもつSV40とSV40の複製開始点を含む
最近プラスミドとの複製を効率よく支持する〔R.M.Myer
sおよびR.TjianのPNAS77:6491〜6495(1980)〕。それ
故、この系は外来性DNAから発現される蛋白質とmRNAの
レベルを増加させるために、SV40仲介DNAの複製を経て
トランスフエクトされた外来性DNA(蛋白質遺伝子およ
び補助DNA)を増幅させる手段を提供する。
他の実施態様では、細胞は安定な不滅化した哺乳動物
細胞系列である。染色体DNA内に選択遺伝子を安定して
組み込むことが知られている細胞系列が好適であり、例
えばチヤイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系列であ
る。この他にヒーラ(Hela)細胞、COSサル細胞、メラ
ノーマ細胞系列〔例えばバウエス(Bowes)細胞系
列〕、マウスL細胞、マウス線維芽細胞、マウスNIH3T3
細胞および類似の細胞が有用である。
非連鎖DNAでの形質転換は段階的にまたは同時に行わ
れる。細胞によるDNAの取り込みを促進させる方法が知
られている。細胞核内へのベクターの微小注射は最高の
形質転換効率を生ずるが、燐酸カルシウム沈降物の形の
DNAを母細胞にさらすことは一般にもつと都合がよいだ
ろう。生産物を発現する形質転換体の頻度は、選択遺伝
子に対してモル過剰の生産物遺伝子(約10:1またはそれ
以上)を用いて形質転換することによりさらに高められ
る。
選択形質転換体はその後それらの染色体内の生産物遺
伝子の結合または生産物それ自体の発現についてスクリ
ーニングされる。前者はサザン(Southern)ブロツト分
析を用いて達成され、後者は標準的な免疫検定法または
酵素検定法によつて達成される。
ひとたび形質転換体が識別されると、一定量または増
加量の選択遺伝子の存在下にサブクローニングすること
により生産物遺伝子の発現をさらに増幅する工程が行わ
れる。一般に、これは形質転換体の細胞集団を取り出
し、そして(a)その細胞集団の他の細胞に比較した場
合により優れた方法で生産物を発現する1つまたはそれ
以上の細胞をその集団から選択し;(b)選択した1つ
またはそれ以上の細胞を、表現型発現における変化によ
つて選択するように設定した条件下で次の細胞集団へと
培養し;そして(c)工程(b)からの集団の他の細胞
に比較した場合により優れた方法で生産物を発現する1
つまたはそれ以上の細胞をその集団からさらに選択す
る;ことを伴う。工程(b)は工程(a)からのクロー
ンを多数用いることにより有利に実施される。この方法
は1983年12月17日付の係属中の米国特許出願第565627号
(参照によりここに引用される)に詳しく記載されてい
る。
次の実施例は本発明をさらに例示するために提供され
るものであり、特許請求の範囲を限定するものではな
い。実施例において用いられる温度は℃である。
実施例 1 細胞培養 SV40形質転換COSサル細胞(クローンM6)はM.Horowit
z(Horowitzら、J.Mol.App.Genet.2,147−9ページ(19
83))より提供を受けた。アデノウイルス2はP.Sharp
より提供を受けた。アデノウイルス感染は37℃で90分間
20pfu/cellを吸収させる事により実施した。洗浄後、細
胞を37℃で18時間インキユベートした。この時間に著し
い細胞症効果が観察された。
DNAトランスフエクシヨンはSompayracおよびDannaに
よりProc.Natl.Acad.Sci.,78,7575−8ページ(1981)
に記載されている方法にクロロキン処理(Luthmanおよ
びMagnusson,Nuc.Acids Res,11,1295−1308ページ(198
3))を加えて実施した。細胞を無血清培地で洗浄し、p
H7.3の0.1Mトリスに加えたDEAEデキストラン(NW5000.0
00Pharmacia,250mg/ml)および2μg/mlのプラスミドDN
Aを含有するDulbecco改良Eagle培地中で12時間37度でイ
ンキユベートする。インキユベーシヨン後、細胞を無血
清培地で洗浄し、血清含有培地中0.1mMクロロキンで37
度にて2時間処理する。細胞は続いて培地に播種し、指
定された時間インキユベートする。
プラスミド構成 アデノウイルス特異的相互作用因子がアデノウイルス
MLPに影響しているかを分析するため、一連のDHFRcDNA
遺伝子を構成してあり、それらは図1(a)−1(e)
に示してある。pAdD26SVpA(3)は第1のリーダーおよ
びアデノウイルス後期mRNAからの5′スプライス部位を
含むアデノウイルスMLPの制御下にあるマウスDHFRcDNA
を含有している。この5′スプライス部位はマウスイム
ノグロブリン遺伝子(KaufmanおよびSharp,Mol.Cell Bi
ol.,2,1304−19ページ(1982))から導入される3′ス
プライス部位と適切にスプライスされる。SV40初期ポリ
アデニル化信号はDHFRコード領域の3′末端に存在す
る。cDNA遺伝子は哺乳類細胞の複製に有害な配列(Lusk
yら、Nature(London);293,79−81ページ(1981))を
欠き、SV40由来または複製物(Mellonら)を含むpBR322
誘導体(pSVOd)中にクローンする。
プラスミドpAdD26SVpA(3)(図1(a))およびpC
VSVL(図1(b))はすでに記載されている(Kaufman
およびSharp,上記文献)。pCVSVL2はXholリンカーの添
加およびアデノウイルスMLP上流のXhol(15.83m.u.)へ
の挿入により導入された重複したSV40Ava II Dフラグメ
ントを含む点を除いてpCVSVLと同一である。SV40後期プ
ロモーターがAd2MLPのように同じ配向をしているごとく
両方のAva II Dフラグメントも配向している。
pCVSVL2はpAdD26SVpA(3)から誘導されるがしか
し、pSVodからのSV40由来物を欠き、アデノウイルスMLP
の上流にSV40エンハンサーおよび複製の起点を含む。pD
20(図1(c))およびpD17(図1(d))はアデノウ
イルスフアイバータンパク質のためのcDNAクローンから
誘導されるアデノウイルス第2および第3の2/3のリー
ダーをコードする138bpDNA配列(Zainら,Cell,16,851−
61ページ(1979))の挿入を除けばpAd26SVpA(3)
(図1(a))と同一である。pD20は5′スプライス部
位に8bp5′のPvu II部位に正しい方向で挿入された138b
p領域を含む。それ故、pD20は完全な第1、第2および
第3の2/3のリーダーをコードしたスプライスした後期m
RNAからの第1の170bpを含み、第1の後期リーダーから
5′スプライス部位へ8bpを含む。pD17(図1(d))
は反対の向きに138bpフラグメントを含む。pD61(図1
(e))はpD20(図1(c))に存在する第2および第
3のリーダー配列を含む点を除いてpCVSVL2と同一であ
る。
pD17およびpD20、pJAW43(Zainら前記文献)を得るた
め、DNAをXholで消化し、DNAポリメラーゼ1のKlenowフ
ラグメントで処理し、その後Pvu IIで消化する。138bp
フラグメントを単離し、前もつてPvu IIで消化したpAdD
26SVpA(3)と連結する。DNAを大腸菌HB101に移入し、
放射性標識したpJAW43からの138bp Xhol−Pvu IIフラグ
メントでスクリーニングする。陽性のハイブリダイズし
たクローンからDNAを調整し、Pvu IIおよびHind IIIで
消化後アクリルアミドゲル電気泳動で向きを検討する。
アデノウイルスMLPの転写方向に対してbD20は138bpフラ
グメントを同じ向きに、pD17はそのフラグメントを逆の
向きで含有している。pCVSVLからのEcoR1−Xhol部分約
1、1KBフラグメントをEcoR1およびXholで完全に消化し
た大きなpD20からのフラグメントに挿入してpD61を構成
する。生成したプラスミドpD61はSV40エンハンサーおよ
び3つの部分のリーダーを持つアデノウイルスプロモー
ター含有する。
これらの組み換え体はこれらのcDNA遺伝子の発現に影
響を及ぼすアデノウイルス因子の研究のために利用す
る。実験工程にはDNAトランスフエクシヨンおよびCOSサ
ル細胞のアデノウイルス重感染が含まれる。DNAトラン
スフエクシヨンの36時間後、トランスフエクトした細胞
をアデノウイルスで感染させ、18時間放置してインキユ
ベートする。その後、細胞を35Sメチオニンで1時間標
識し、免疫沈降およびポリアクリルアミドゲル電気泳動
でDHFR合成を分析する。結果はAdD26SVpA(3)およびp
CVSVL2の両方が偽トランスフエクトした試料に比してDH
FR合成できることを示している。偽トランスフエクトし
たCOS細胞ではマウスDHFRのすぐ上に移動したサルDHFR
を検知することが可能である。
pCVSVL2およびpCVSVLからのDHFR発現をCHO DHFR細胞
の形質転換によりCOS細胞と比べると、2つのプラスミ
ド間には何の差異も観察されなかつた。さらに、アデノ
ウイルスによる重感染もpAdD26SVpA(3)またはpCVSVL
2からのDHFR合成にほとんど効果を示さなかつた。しか
しながらpCVSVL2からの発現はpAdD26SVpA(3)の2倍
以上であつた。これはpCVSVL2においてアデノウイルスM
LPの上流にSV40エンハンサーが導入された結果である。
スプライスしたアデノウイルスの3つに分かれたリーダ
ーからの138bpのリーダー挿入を含むプラスミド(pD20,
pH17およびpD61)もまたDHFRを合成する事が観察され
た。さらに、pD20およびpD61の両者は、別個の実験にお
いてDHFR合成が3−10倍増加する事によりアデノウイル
ス感染に反応する。反対に、逆方向に138bpの3つに分
かれたリーダーセグメントを含むpD17からの表現はアデ
ノウイルス重感染により影響を受けない。これらの結果
は3つに分かれた第2および第3のリーダーセグメント
中の配列が方向に依存した様式でアデノウイルス感染に
対し反応する事を示唆している。
mRNAレベルがアデノウイルス感染により影響されるか
どうかを決定するため、KaufmanらによりMol.Cell Bio
l. 1304−1319(1982)に記載されているごとく3′S
1マツピングを実施した。3′末端標識DNAプローグを合
成し、トランスフエクトおよびアデノウイルス重感染し
たCOSサル細胞から単離された全RNAとハイブリダイズす
る。プラスミドpCVSVL2、pD20およびpD61では単一の550
塩基対フラグメントが観察されそれはSV40ポリアデニル
化部位でポリアデニル化されたmRNAに対応する。SV40エ
ンハンサーを欠くpD20はSV40エンハンサーを持つプラス
ミドに比較して約2倍のより低いDHFR特異的mRNAを示
す。アデノウイルス重感染によつてもどんなcDNA遺伝子
からもDHFRmRNAレベルの変化は認められない。この事は
アデノウイルス重感染により観察されたDHFR合成の増加
はDHFRmRNAレベルの上昇によるものではない事を示して
いる。アデノウイルス重感染によるDHFR合成の増加は増
加した翻訳効率の結果である。
実施例 2 VA RNAの翻訳における効果を分析するため、ヒト ガ
ンマーインターフエロンを発現するプラスミドの新しい
組(図1(a)−2(d))を構成した。オリゴdG−オ
リゴdCテーリング法(Maniatisら)によりヒト末梢血液
リンパ球から単離されたmRNAからクローンしたヒト ガ
ンマーインターフエロンをコードしているcDNAはS.Clar
k博士(Genetic Institute)から提供を受けた。ガンマ
ーインターフエロンをコードしているPst1クローンは前
もつてSV40ポリアデニル化信号のPst I部位3′を消失
させた。pCVSVL2誘導体のPst I部位へ挿入する。生じる
プラスミドp(ガンマーIF)D−6(図2(a))はガ
ンマーインタフエロンコード領域DHFRcDNAの5′および
mRNA続生のための3′スプライス部位の3′を含む。3
つに分かれたリーダーを持つ同様のプラスミドを得るた
め、p(ガンマーIF)D−6およびpD61の両方をSallお
よびEgl IIで消化した。Sallは各々のプラスミドをpBR3
22のテトラサイクリン耐性遺伝子内で一度消化し、Bgl
IIは各々のプラスミドをイムノグロブリン遺伝子からの
3′スプライス部位のまさしく5′を一度消化する。p
(ガンマーIF)D−6からのガンマーIF含有フラグメン
トを3部分リーダーを含むフラグメントpD61と連結し、
続いてDNAは大腸菌HB101をテトラサイクリン耐性に形質
転換するのに使用する。pL58(図2(b))はアデウイ
ルスの3つに分かれたリーダーを含むが他の点ではp
(ガンマーIF)D−6と同一である。
アデノウイルムVA遺伝子はHind III Ad2Bフラグメン
トから単離されpL58に導入する。アデノウイルスのHind
III Bフラグメント(17.1mu−31.7mu)は前もつてpBR3
22中にクローンし、せなわち31.7muのHind III部位をpB
R322のEcoR I部位に結合する。このプラスミドをHpa I
(28.0mu)で消化しEcoR Iリンカーを加える。EcoR I消
化後、1.4KBバンドを単離し、pL58のEcoR I部位中へク
ローンする。PQ2(図2(c))はベクター内にVA遺伝
子が存在するが、アデノウイルスMLPと逆の方向に転写
する。pQ3(図2(d))はVA遺伝子が逆の方向性であ
る点を除いてpQ2と同一である。
ガンマ インターフエロン ガンマーインターフエン検定はCCL54細胞(ATCC番号C
CL54、継代数24)に対する小疱口内炎ウイルスまたは脳
心筋炎ウイルスの細胞症効果からの保護を測定する事に
より実施する(Stewart,W.E.II,インターフエロン体系,
Springer,Berlin、1979)。テンマーインターフエロン
単位はNIHアルフアーインターフエロン標準品に対して
表現した。クロラムフエニコールアセチルトランスフエ
ラーゼはCormanらによりMol.Cell Biol.,2,1044−1051
(1982)に記載されている方法で細胞抽出物から測定し
た。
ガンマーインターフエロンの発現はVA RNAの定量的効
果の感度のよい検定を可能にする。p−ガンマーIF−6
およびpL58は3′スプライス部位およびDHFRcDNAの間の
pst I部位へ適切な方向性でガンマーインターフエロンc
DNAが挿入されている点を除いてpD20およびpD61と同一
である。最後に、pQ2およびpQ3はEcoR I部位にアデノウ
イルスVA遺伝子(アデノウイルスマツプユニツト28.02
および31.00)が両方の方向に挿入されている点を除い
てpL58と同一である。
COS細胞における形質転換 プラスミドpQ2、pQ3、pL58およびp−ガンマーIF−6
は各々COS細胞にトランスフエクトする(表1A)。36時
間後条件付け培地の試料を検定に供し、2つの二重のプ
レートのうちの1つをアデノウイルスで感染せしめる。
感染20時間後試料は再びガンマーIF活性を検定する。p
−(ガンマーIF)D−6は低い活性を示し、アデノウイ
ルス重感染でもわずかに上昇しただけである。pL58はp6
は数倍の活性を示し、アデノウイルスの感染によりガン
マーIF活性が2倍の増加を示した。反対に、pQ2およびp
Q3の両方ともアデノウイルス重感染なしで、有意に高い
水準のガンマーIF活性(p(ガンマーIF)D−6の50−
70倍)を持つていた。アデノウイルス重感染により、ガ
ンマーIF活性は減少した。VA RNAがガンマーインターフ
エンの発現の増加を媒介しているかどうかを決定するた
め、プラスミドpQ2およびp(ガンマーIF)D−6を各
々pSVOdまたはpVASVOd(アデノウイルスVA遺伝子を含む
pSVOdの誘導体)と1:1の比で混合し、COS細胞にトラン
スフエクトした。トランスフエクシヨンして48時間後、
試料はガンマーIF検定に供した。p(ガンマーIF)D−
6はpVSVOdと共トランスフエクトすると活性の2−3倍
の増加を示した。対照的に、pL58はpVASVOdとの共トラ
ンスフエクシヨンにより10倍以上の増加を示した。最後
に、VA遺伝子を含むpQ2はpVASVOdと共トランスフエクシ
ヨンすると高いガンマーIFを持つ。これらの結果はトラ
ンス内のVA遺伝子の存在がアデノウイルス後期mRNAから
の3つに分かれたリーダーの大多数を含むmRNAからの発
現を容易にする。表1にみられたpQ3重感染によるガン
マーIF活性の減少は細胞代謝に対するアデノウイルス感
染による毒性効果またはアデノウイルス後期mRNAと変化
したcDNA遺伝子からの転写物の競合によるものであろ
う。ガンマーインターフエロン活性を検定した結果は免
疫沈降およびプロテインブロツテイング両法でも共に支
持された(データは示していない)。結果はpQ2がトラ
ンスフエクシヨン72時間後1μg/mlのガンマーインター
フエロンを発現したことを示した。
これらの結果はアデノウイルス重感染による発現の増
加にVA RNAが対応している事を確認している。アデノウ
イルスVA RNAによる翻訳の増加はまたSV40初期プロモー
ターからのクロラムフエニコールアセチル トランスフ
エラーゼの発現を増加させる。SV40初期プロモーター制
御下細胞クロラムフエニコールアセチルトランスフエラ
ーゼ(CAT)遺伝子を含むプラスミドとアデノウイルスV
A遺伝子を含むプラスミドの共トランスフエクシヨンで
はVA遺伝子を欠くプラスミドとの共トランスフエクシヨ
ンに比較して5−10倍高い水準のCAT活性を得る。RNAブ
ロツト分析ではVA遺伝子との共トランスフエクシヨンに
よりCATmRNAは増加していないので増加した発現は翻訳
の増加のためである。SV40初期プロモーターの制御下、
細胞キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフエ
ラーゼ遺伝子を含むプラスミドの発現もまたVA遺伝子を
含むプラスミドのトランスフエクシヨンにより増加す
る。
同様に、例えば組織プラスミノーゲン活性化因子のご
とき他の非定型タンパク質の発現もVA遺伝子のごとき付
帯のDNAを用いると著しく増加できる。
SV40ラージT抗原をコードするプラスミドで非形質転
換する事によりサルCV1細胞にpL58およびpQ3を導入する
と翻訳効率の同様な増加が観察される。このように、翻
訳効率の増加はCOS細胞に限定されるわけではない。さ
らに、内部および分泌(DHFRおよびガンマーインターフ
エロン)両タンパク質の翻訳をVA RNAで刺激できる。ガ
ンマーインターフエロンcDNA組換え体(pQ2)でトラン
スフエクトした細胞は、トランスフエクシヨン72時間
後、1μg/106細胞の水準でインターフエロンを産生す
る。5−10%の翻訳効率を仮定するとこては非常に高い
水準の発現である。最後に、翻訳効率の増加はDHFRおよ
びガンマーインターフエロンに独特のものではなく、同
様のベクターでヒト インターロイキン2およびヒト
プロインスリンの両者も効率よく発現される。
表1Aの説明文 トランスフエクトしたおよびアデノウイルスで感染させ
たCOS細胞におけるγ−インターフエロン活性 A. COS細胞を表示したプラスミドDNAでトランスフエク
トした。前に記載したごとく細胞を続いてアデノウイル
スで感染させるかまたは偽感染させる。アデノウイルス
感染時(トランスフエクシヨン後36時間)および感染後
18時間(トランスフエクシヨン後56時間)の時γ−イン
ターフエロン検定のため試料を採取する。前に記載した
ごとく活性を決定し単位/ml/106細胞で表わす。
B. COS細胞を表示したプラスミドDNAでトランスフエク
トし(2u/ml、pSVOdまたはpVASVOd各々と等量で)、ト
ランスフエクシヨンして60時間後にγ−インターフエロ
ン検定のため試料を採取する。
実施例 3 ベクターp91023(B)の構成 形質転換ベクターpAdD26SVpA(3)はKaufmanらによ
りMol.Cell Biol.(11):1304−1319(1982)に記載
されている。それは図3に示した構造を持つ。簡単にい
うとこのプラスミドはアデノウイルス2(Ad2)メジヤ
ー後期プロモーターの転写制御下にあるマウスジヒドロ
葉酸レダクターゼ(DHFR)cDNA遺伝子を含む。5′スプ
ライス部位はアデノウイルスDNAに含まれており、3′
スプライス部位(イムノグロブリン遺伝子から誘導され
る)はAd2メジヤー後期プロモーターおよびDHFRコード
配列の間に存在する。SV40初期ポリアデニル化部位はDH
FRコード配列の下流に存在する。pAdD26SVpA(3)の原
核生物−誘導部はpSVOdからであり(Mellon,P.,Parker,
V.,Gluzman,Y.およびManiatis,T.1981,Cell 27:279−28
8)哺乳類細胞の複製を阻害する事が知られているpBR32
2配列を含んでいない(Lusky,M.およびBotchan,M.1981,
Nature(London)293:79−81)。
pAdD26SVpA(3)は図(3)に図示したごとく、プラ
スミドpTPLに変換する。pAdD26SVpA(3)の2つのBst
I部位の1つを欠失せしめてpAdD26SVpA(3)をプラス
ミドpAdD26SVpA(3)(d)に変換する。これはPst I
により部分消化(酵素活性が不十分なものを用いること
ただ1つのPst I部位が切断された線状にされたプラス
ミドの亜集団が得られる)した後、Klenowで処理し、連
結してプラスミドを再環化し、大腸菌を形質転換して、
SV40ポリアデニル化配列の3′に位置するPst I部位が
欠失しているものをスクリーニングする事により達成さ
れる。
アデノウイルスの3つに分かれたリーダーおよびウイ
ルス付随遺伝子(VA遺伝子)を図3に図示したごとく、
pAdD26SVpA(3)(d)に挿入する。第1にpAdD26SVpA
(3)(d)をPvu IIで切断し、3つの分かれたリーダ
ーからなる3つの要素の第1の3′部分で開いた直線分
子となす。その後、pJAW43(Zainら、1979,Cell 16 85
1)をXho Iで消化し、Klenowで処理し、Pvu IIで消化
し、アクリルアミドゲル上での電気泳動(6%トリスホ
ウ酸緩衝液中;Maniatisら(1982)前記文献)して第2
のリーダーおよび第3のリーダーの一部を含む138塩基
対フラグメントを単離する。138bpフラグメントをPvu I
I消化pAdD26SVpA(3)(d)と連結する。連結生成物
は大腸菌をテトラサイクリン耐性に形質転換するのに使
用し、コロニーは140塩基対フラグメントとハイブリダ
イズする32P標識プローブを使用するGrunstein−Hognes
s法を用いてスクリーニングする。陽性のハイブリダイ
ズしたコロニーからDNAを調製し、挿入された138塩基対
DNAの5′または3′が第2または第3のアデノウイル
ス後期リーダーに特異的に再構成されたPVu II部位にあ
るかどうかを試験する。Pvu II部位の正しい方向は挿入
した138塩基対の5′末端にあるものである。このプラ
スミドを図3のpTPLと称する。
SV40DNAをAva IIで消化し、Xho Iリンカーをフラグメ
ントに連結し、Xho Iで消化してXho I部位を開裂し、ゲ
ル電気泳動により4番目に大きい(D)フラグメントを
単離することにより、SV40エンハンサー配列を含むSV40
のAva II Dフラグメントを得る。リンカーを付けたDフ
ラグメントの挿入によりSV40エンハンサーの単一のダイ
レクト繰返し配列を得る。これは連結においてpAdD26SV
pA(3)の量をXho Iリンカーを付けたDフラグメント
に比例させた結果である。pCVSVL2−TPL中のSV40Dフラ
グメントの方向性は、アデノウイルスメジヤー後期プロ
モーターのごとくSV40後期プロモーターが同じ方向であ
るのと同じである。
pCVSVL2−TPLにアデノウイルス付随(VA)遺伝子を導
入するには、第1にアデノウイルス2型Hind III Bフラ
グメントを含むプラスミドpBR322を構成する。アデノウ
イルス2型DNAをHind IIIで消化しゲル電気泳動後Bフ
ラグメントを単離する。このフラグメントは前もつてHi
nd IIIで消化してあるpBR322に挿入する。大腸菌をアム
ピシリン低抗性に形質転換後、組換え体のHind III Bフ
ラグメントの挿入をスクリーニングし、挿入方向に制限
酵素消化により決定する。pBR322−Ad Hind III Bは図
4に描かれた方向でアデノウイルス2型Hind III Bフラ
グメントを含む。
図4に図示したごとく、プラスミドpBR322−Ad Hind
III BからVA遺伝子を、Hpa Iによる消化EcoR Iリンカー
の添加およびEcoR Iによる消化により便利に得、1.4kb
フラグメントとして回収する。EcoR I付着末端を持つそ
のフラグメントはpTPL(前もつてEcoR Iで消化してあ
る)のEcoR I部位に連結する。大腸菌HB101を形質転換
後、テトラサイクリン耐性で選択し、コロニーはVA遺伝
子に特別なDNAプローブへのフイルターハイブリゼイシ
ヨンによりスクリーニングする。陽性のハイブリダイズ
クローンからDNAを調製し、制限酵素消化により確認す
る。生成プラスミドはp91023と称する。
p91023内の2つのEcoR I部位を除く。p91023はEcoR I
で完全に切断し、2つのDNAフラグメントを発生させる:
1つはAdMLP,TPL,DHFR,SV40pA部位,SV40Ava IIフラグメ
ントおよびpBR322Tet遺伝子および複製起点(毒領域の
ない)約7kbのフラグメントで他はVA遺伝子を含む1.3kb
のフラグメントである。両方のフラグメントの末端をPo
l IのKlenowフラグメントで満たし、両フラグメント
(即ち、1.3kbおよび7kb)を一緒に再連結する。プラス
ミドp91023(A)はp91023同様にVA遺伝子を含有してい
るが、2つのEcoR I部位が欠落している事が、VA遺伝子
を用いるGrunstein−Hognessスクリーニングおよび通常
の制限部位分析により同定された。
p91023(A)内の単一のPst I部位を除き、EcoR I部
位に置き換える(図5)。p91023(A)をPst Iで完全
に切断し、Pol IのKlenowフラグメントで処理して平滑
末端を発生させる。EcoR Iリンカーをn91023(A)の切
断したPst I部位に連結する。線状p91023(A)(切断P
st I部位にEcoR Iリンカーが結合している)を結合して
いないリンカーから分離し、EcoR Iで完全に消化し、再
連結する。プラスミドp91023(B)が回収され、p91023
(A)と同様の構造を持つ事が同定されるが、前のPst
I部位にEcoR I部位が位置している。EcoR I部位が挿入
された生成物遺伝子を持つプラスミドp91023(B)はAm
erican Type Culture Collection,Rockville,Maryland,
に大腸菌内pCSF−1としてATCC番号39754で供託されて
おり、入手可能である。
実施例 4 実施例2および3に記載した翻訳活性化因子(アデノ
ウイルスVA遺伝子)を含むベクターの有用性を遷移的に
トランスフエクトした細胞および安定に形質転換した細
胞の両者においてヒトアンチトロンビンIII(AT III)
をコードしたcDNAを用いて実証する。
ヒトアンチトロンビンIII cDNAのクローニング “凝固および線維素溶解の生理的阻害剤”(D.Colle
n,B.WimanおよびM.Verstvaete編集、Elsevier,Amsterda
m,43−54ページ)においてのT.E.Petersen,G.Dudek−Wo
jciechowska,L.Sottvup−Jensen,およびS.Magnusson(1
979)らによるアミノ酸配列から推論した特定のオリゴ
ヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーションによ
りヒト肝臓cDNAライブラリーからヒトアンチトロンビン
IIIをコードした完全長cDNAを単離する。
ヒト肝臓cDNAライブラリーは常法(Maniatisら)によ
り調製する。polyA+mRNAをヒト肝臓から単離し、メチル
水銀で処理し、第1のcDNA鎖合成は逆転写で実施した。
塩基で処理後、第2鎖の合成はDNAポリメラーゼIのKle
nowフラグメントによりなし遂げ、二重鎖cDNAは続いてS
1ヌクレアーゼ、EcoR IメチラーゼおよびDNAポリメラー
ゼIのKlenowフラグメントで処理し、末端を切断する。
EcoR Iリンカーを加え、過剰のリンカーはEcoR I消化に
より除去し、CL4Bカラムを通す。cDNAをg+10に連結し、
インビトロでパツケージして平板培養する(C600hfl,Ro
n Davis,Stanford Universityから得た高頻度溶原化
剤)。総計500,000を243から248のアミノ酸(Met−Met
−Tyr−Gln−Glu−Gly)および304から309のアミノ酸
(Glu−Glu−Met−Met−Leu−Val)から調製された2組
のオリゴマーでスクリーンする。アミノ酸コードの変性
に基づくと、1組のオリゴヌクレオチドは8つの異なっ
た17−mersからなり、他のものは16の異つた17−mersか
らなつている。
5μg/mlの変性サケ精子DNAを含む5XSSC、0.5%SDDお
よび5XDenhart溶液中でハイブリダイゼーシヨンを実施
する。両方のプローブに対してハイブリダイズした38の
陽性のものを単離し、プラークを精製し、オリゴヌクレ
オチドプローブに再ハイブリダイゼーシヨンして同定す
る。これらの実験の経過中に、S.C.Bockら(1982)(Bo
ck,S.C.,Wion,K.L.,Vehar,G.A.およびLawn.R.M.Nuc.Aci
ds Res,10,8113−8125)によりヒトAT IIIのヌクレオチ
ド配列が発表された。従つて、完全長クローンを単離す
るため、イニシエーターATGを取囲む17−mersオリゴヌ
クレオチド(TATTCCAATGTGATAGG〕を合成し、38の陽性
のものとハイブリダイズした。13の陽性物のうち、1つ
を調製し、ラムダーAT III−C3(AT3−(3)と名付
け、それは約1.4kb挿入物を含んでいる。
発現ベクターへのAT III cDNAの挿入 AT III発現に利用する発現ベクターはpQ2(図2
(c))から誘導された。pQ2をPst Iで消化してインタ
ーフエロンcDNAを除き、アガロースゲルから7.5KBフラ
グメントを単離する。AT IIIのためのcDNAは内部にEcoR
I部位を含まないので、EcoR I消化で切断することが可
能であり、アガロースゲル電気泳動によりラムダーAT3
−C3から1.4KBフラグメントを単離する。前もつて合成
アダプター: をつけたベクターにEcoR I AT IIIフラグメントを挿入
する。合成アダプターの付加は10−merの5′末端のみ
をリン酸化して達成される。この事により形質転換体の
バツクグラウンドを低下させる非リン酸化EcoR I末端を
残す。低融点アガロースゲル電気泳動により過剰のアダ
プターを除去後、7.5KBフラグメントを抽出し、EcoR I
AT III cDNAフラグメントに連結する。連結混合物を大
腸菌HB101をテトラサイクリン耐性に形質転換するのに
使用し、AT III cDNAをコードするT4末端標識(Englun
d,P.T.(1971),J.B.C,246,3269−3276)cDNAフラグメ
ントを利用するGrunstein−Hogness法(1975,PNAS,72,3
961−32965)でのスクリーニングにより陽性物を同定す
る。2つのクローンを得た、p91023AT III−C3はAT III
cDNAをアデノウイルスプロモーターに関して適切な方
向で含有し、p91023 4AT III−E1はcDNAを反対の向きで
含んでいる。プラスミドp91023 AT III−C3(pAT III−
C3)(図6)は大腸菌−HB101の株としてAmerican Type
Culture Collection(Rockville,Maryland)に受付番
号ATCC99941として寄託されており、入手可能である。
p91023−AT III−C−3およびp91023−AT III−E1は
大腸菌中での生殖のためのPBR322由来複製物およびテト
ラサイクリン耐性遺伝子およびCOSサル細胞内での複製
のためのSV40由来物およびpBR322“毒”領域の1.1KB欠
失を持つ(Lnsky.M.およびM.Botchan(1981),Nature,2
93,79−81)。COSサル細胞内でのcDNAの発現の活性化の
要素は、アデノウイルスメジヤー後期プロモーター(Ad
MLP;SV40エンハンサー(SV40AVA II Dフラグメント);
アデノウイルスの3つに分かれたリーダーのcDNAコピ
ー;3つに分かれたリーダーの第2のイントロンからの
5′スプライス部位およびマウスイムノグロブリン遺伝
子からの3′スプライス部位からなるハイブリツドイン
トロン(Kaufman,R.J.およびSharp P.A.(1982)(Mol.
Cell Biol.,,1304−1319);SV40初期領域ポリアデニ
ル化信号;およびアデノウイルスVA遺伝子である。ヒト
アンチトロンビンIIIをコードする1.4Kb cDNAの方向を
示した。p91023−AT III−C3はAT IIIKcDNAをAdMLPから
の転写に対し適切な方向で含んでいる。
COS細胞発現 実施例1に記載したごとく、COSサル細胞内へDEAE−
デキストラン開始トランスフエクシヨンによりp91023−
AT III−C3およびp91023−AT III−E1を導入した。トラ
ンスフエクシヨンして24時間後、細胞を無血清Dulbecco
改良Eagle培地で洗い、条件付け培地を24時後に、ウサ
ギ抗−ヒトアンチトロンビンIII(Robert Rosenberg,Ma
ssachusetts Institute of Technology,より得た)を用
いるラジオイムノアツセイのため採取する。もしくは、
トランスフエクシヨン48時間後、細胞を35Sメチオニン
(1mCi/ml)で4時間標識する。条件付け培地を採取
し、実施例1に記載したごとく、免疫沈降およびSDSゲ
ル電気泳動のため細胞抽出物を調製する。トランスフエ
クトしたCOS細胞条件付け培地中のAT IIIの検定結果を
表2に示した。
ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子によるAT III
cDNA遺伝子の増幅 DHFRが欠落したチヤイニーズハムスター卵巣(CHO)
細胞についてはUrlaubおよびChainによりPNAS,77,4216
−4220(1982)に記載されている。プラスミドp91023−
AT III−C3,pSV2Neo(Southern,P.およびP.Berg,1982,
J.Mol.Appl.Genet.,,327−341)およびpAdD26SVpA
(3)(Kaufman,R.J.およびSharp,P.A.Mol.Cell Bio
l.,(1982),,1304−1319)を一緒に混合し(25μg
p91023−AT III−C3,2.5μg pSV2Neoおよび2.5μg pAdD
26SVpA(3))、酢酸ナトリウム(pH4.5)を0.3Mまで
および2.5容量のエタノールを加えて沈殿させる。沈殿
したDNAは放置して風乾し、KaufmanおよびSharpらによ
りJ.Mol.Biol,150:601−621(1982)に記載されている
ごとく2XHEBSS(.5ml)(ChuおよびSharp Gene,13,197
−202(1981))に再懸濁し、.25M CaCl2(。5ml)と激
しく混合する。
カルシウム−リン酸−DNA沈殿は30分室温でインキベ
ートする。5×105細胞/10cm皿で前もつて継代培養した
(トラインスフエクシヨンの前に24時間)CHO DUKX−B1
細胞の培地を除き、DNA−カルシウムリン酸沈殿を単属
の細胞に添加する。室温で30分インキユベーシヨン後、
5mlの10%小牛胎児血清を含むアルフアー培地(Flow La
bs)を供給し、細胞を37゜で4.5時間インキユベートす
る。細胞の単一層から培地を除き、室温(24℃)で3分
間10%グリセロールを含む2mlのアルフアー培地を加
え、除去後細胞を洗い10%子牛胎児血清、各々10μg/ml
のチミジン、アデノシン、デオキシアデノシン、ペニシ
リンおよびストレプトマイシンを含むアルフアー培地に
播種する。2日後細胞を10%透析小牛胎児血清、ペニシ
リンおよびストレプトマイシンを含み、ヌクレオサイド
類を欠き、1mg/mlのG418(GIBCO)を含有するアルフア
ー培地へ1:15で継代培養する。4−5日後細胞を同じ選
択培地(ヌクレオサイドを欠く)に再び播種する。選択
培地へ継代培養して10−12日後コロニーが現れる。
各々の皿からコロニー(約20)をプールし、sPV2Neo
の選択性を保つためのG418の共存を除いてメトトレキセ
ートの濃度を増加させて増やす。しかしながらpSV12Neo
の保持はAT III cDNA遺伝子の増幅には必須ではない。
形質転換体の最初のプールは条件付け培地のラジオイム
ノアツセイまたは35S−メチオニン標識および免疫沈降
に続くSDD−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の両方で
検定してもAT III活性を示さない。しかしながら、0.0
2、0.1および1.0μMメトトレキセート含有培地におけ
る選択後はAT IIIは両方の方法で観察できる(表1)。
以後は希釈プレーテイングでクローン株を得る。COSお
よびCHO細胞で産生されたAT IIIはそのトロンビンへ結
合する能力のため活性であり、ヘパリン存在下結合が促
進される事が示された。
実施例 5 組織プラスミノーゲン活性化因子(ヒト)をコードする
cDNA 目的のmRNAを多量に含む他の細胞に前に使用した常法
に従つてBowesメラノーマ細胞から単離されたmRNAから
逆転写によりヒトtPAをコードするcDNA遺伝子を得た。
tPAタンパク質はBowesメラノーマ細胞株(Rifken博士
(New York UniVersity)より入手可能)より単離され
る。アミノ酸配列分析は、Bowesメラノーマ細胞からの
条件付け培地に見い出されたタンパク質は2つのはつき
り異つたN末端を含む事を示し、1つのN末端は他のも
のより3つ多くアミノ酸を含む。これらの2つのN末端
はグリシンN−末端(Gly−Ala−Arg−Ser−Tyr−Gln−
Val−Ile−Cys−Arg−Asp−Gln−Lys−Thr−Gln−Met−
Ile−Tyr−Gln−Gln−His)およびセリンN−末端(Ser
−Tyr−Gln−Val−Ile−Cys−Arg−Asp−Gln−Lys−Thr
−Gln−Met−Ile−Tyr−Cln−Gln−His)と呼ぶ。
Bowesメラノーマ細胞からメツセンジヤーRNAを単離
し、この分野で一般的に知られているごとく、cDNAの合
成のための鋳型として使用する。cDNAをコピーし、二重
鎖を産生する。この分野でよく知られている単一ポリマ
ーでのテーリングまたは合成リンカーでテトラサイクリ
ン低抗プラスミドベクターを導入する。クローン化した
プラスミドのライブラリー(各々のクローンはBowesメ
ラノーマ細胞中に存在するmRNA種の独特のcDNAコピーを
含有している)をベクターで大腸菌を形質転換して調製
し、抗生物質耐性大腸菌細胞を選択する。
少くともtPAの一部をコードするcDNAを含むcDNAライ
ブラリー中のプラスミドを標準的なGrunsteinおよびHog
nessスクリーニング法(Grunsteinら、1975,PNAS,72,39
61)により同定する。この方法においては、DNAを単一
鎖の型に固定し、放射性標識したプローブへのハイブリ
ダイズまたは結合する能力をスクリーニングする。その
ようなプローブとはtPAタンパク質の小さな一部のアミ
ノ酸配列と一致する配列を持つ短いDNAオリゴヌクレオ
チドである。tPAのN末端から15−20のアミノ酸のアミ
ノ酸配列を使用する(図7に示した)。これらのアミノ
酸のいくつかは1つ以上の3個のヌクレオチドコドンで
コードされるので、以下の常法によりすべての可能性に
わたる17−merプローブをプールする。その後ライブラ
リー中のクローンがプローブにハイブリダイズする事が
観察されるまでGrunsteinおよびHopnessの方法でcDNAラ
イブラリーをスクリーンする。プライマーの上流配列を
決定する部分ジデオキシ プライマー伸長(Wallaceら,
Nuc.Acids Res.,3647−3656(1981))として知られ
ている通常の方法によりクローンがtPAの一部をコード
している事を確認する。これはクローンがtPAのN−末
端アミノ酸配列に対応するコドンを含む事を実証する。
クローン中に存在が観察されたcDNAはプラスミドから
単離し、放射性標識し、順次に、cDNAライブラリー中に
観察される他の重複したtPA cDNAのフラグメントを同定
するプローブとして用いる。一緒に(2重の、重複した
配列は除外して)成熟tPAタンパク質および非翻訳5′
および3′領域の部分をコードするフラグメントが同定
されるまでこの過程を続ける。
2つの異なつたライブラリーをスクリーンして一緒に
tPAの完全なコード配列をおおうcDNAクローンを得た。c
DNAクローンsamlおよびS20が非対称のリンカーを付けた
ライブラリーから単離された。このライブラリーは以下
の常法(Maniatisら、分子クローニング−実験用手引
書、Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Harbor,N.
Y(1982))により作製した、即ちBowes細胞mRNAからの
cDNAを3′未満でEcoR Iリンカーと5′未満でSal Iリ
ンカーと連結し、連結したcDNAを適当なベクターに挿入
する。cDNAクローンEdlはGC−テールドcDNAライブラリ
ー(Maniatisら、前記文献)から単離された。図8aはtP
A完全コード配列にまたがり、部分的に重複している組
からなるcDNAクローンSaml、S20およびEdlを図示してい
る。
3つのフラグメントから単一コード配列を一緒に結合
するのに用いた技術を図8b,8cおよび8dに模式的に示し
た。図8bはフラグメントを受け取るのに使用し、完全な
cDNA遺伝子の複製のためのプラスミドの構成を図示して
いる。プラスミドYIp5の構成はBotsteinらによりGene,
,17−24(1979)に記載されている。2uイーストプラ
スミドは市販品である。指示“+”はプラスミド中の制
限酵素部位を示す。制限酵素および/またはDNAポリメ
ラーゼIのKlenowフラグメント(以後しばしば“Kleno
w"と称する)による処理は矢印の次の名称で示してあ
る。これらの酵素は市販品である。普通の酵素反応条件
を用いる。ある種の制限酵素の消化産物の連結により他
の制限酵素により加水分解されないDNA配列ができる事
に注意されたい。例えばYOp4プラスミドの構成ではHpa
I部位が消失する。図8cおよび8dはライブラリーで同定
された3つのcDNAフラグメントからの完全長cDNAクロー
ンを含むプラスミドの構成を図示している。図8(c)
においてはプラスミドYOp4をXba Iで切断し、末端をKle
nowで平滑にし、直線状プラスミドは再びEcoR Iで切断
する。遺伝子の5′末端を含むtPA cDNAフラグメント
(非翻訳5′末端部分を含む−図7の枠で囲んだSal I
部位を参照されたい)をSal Iでの消化Klenow処理、お
よびEcoR Iでの消化によりそのプラスミドから単離す
る。線状YOp4およびtPA cDNA5′フラグメントSamlを連
結しプラスミドI901を形成するがその際Xba IおよびSal
I部位の連結によりSal I部位が形成される。プラスミ
ドI901を大腸菌で連結し、アムピシリン耐性をスクリー
ンする。
プラスミドI901は図8bに示したごとく処理し、tPA cD
NAの3′フラグメント(Edl)(そのプラスミドの順にB
gl II,KlenowおよびEcoR I処理により得る)と連結す
る。Bgl II部位(図7で枠で囲んで示した)をプラスミ
ドI901のCla I消化物への連結によりこわす。tPA cDNA
のPst I−Bgl IIおよびEcoR I−Pst I副フラグメントは
捨てる、第1のものはなぜなら非コード領域であり、第
2のものは第3のフラグメントS20(図8c)と重複した
領域のためであり、S20により捨てた配列が供給され
る。これらの工程によりプラスミドJ118を得、それは大
腸菌中で複製させ、アンピシリン耐性をスクリーンす
る。
プラスミドJ118をEcoR Iで切断し、図8cに示した中央
のtPA cDNAフラグメントS20と連結する。J205中のS20フ
ラグメントの適切な方向は、この分野で一般に知られて
いる非対称エンドヌクレアーゼ消化により確認する。
このtPA cDNA遺伝子は前に発表されたヒトtPAの配列
と、ヌクレオチドの数が異なり、図7に示したごとく一
つのアミノ酸が置換されている。
実施例 6 形質転換ベクターpLDSGの構成 この実施例の出発プラスミドはpAdD26SVpA(3)(Ka
ufmanら、Mol.Cell Biol.(11):1304−1319(198
2))として知られているものである。それは図9aに記
載した構造を持つ。簡単に記すと、このプラスミドはア
デノウイルス2(Ad2)メジヤー後期プロモーターの転
写制御下にあるマウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHF
R)cDNA遺伝子を含む。5′スプライス部位はアデノウ
イルスDNAに包含されており、イムノグロブリン遺伝子
から誘導された5′スプライス部位はAd2メジヤー後期
プロモーターおよびDHFRコード配列の間に存在する。SV
40初期ポリアデニル化部位はDHFRコード配列の下流に存
在する。pAdD26SVpA(3)の原核生物誘導部はpSVOd(M
ellon,P.,Parker,V.,Glnzman,Y.およびManiatis,T.198
1,Cell,27,279−288)からであり、哺乳類細胞の複製を
阻害する事が知られているpBR322配列(Lnsky,M.,およ
びBatchan,M.1981,Nature(London),293,79−81)を
含んでいない。
pAdD26SVpA(3)を図9aに示した第1の工程でプラス
ミドpCVSVL2に変換する。SV40DNAをAAva IIで消化し、
そのフラグメントにXho Iリンカーを連結し、Xho Iで消
化してXho I部位を開裂させ、ゲル電気泳動により4番
目に大きい(D)フラグメントを単離してSV40のAva II
Dフラグメントを得る。第1の工程に示したごとくリン
カーを結合したDフラグメントを挿入して、SV40エンハ
ンサーの単一直接繰り返しを得る。これは連結の時pAdD
26SVpA(3)の量とXho−Iリンカー結合Dフラグメン
トを比例させた結果である。pCDSVL2中のSV40Dフラグメ
ントの方向はアデノウイルスメジヤー後期プロモーター
の様にSV40後期プロモーターが同じ向きになつているご
とくである。
pCVSVL2を実施例5からのJ205tPA遺伝子でのスプライ
シングのために合致するように計画された3工程過程に
よりプラスミドpB2L2に変換する。第1に、pCVSVL2中の
2つのPst I部位の1つをPst I(ただ1つのPst I部位
が切断された線状プラスミドの亜集団を得る事ができる
ように酵素活性が低下したものを用いる)で部分消化し
て欠失させ、Klenowで処理し、連結してプラスミドを再
環化し、大腸菌を形質転換させ、SV40ポリアデニル化配
列の3′に位置するPst I部位の欠失をスクリーニング
する。
第2に、プラスミドをBgl IIで消化し、Klenowで処理
し、連結し、大腸菌形質転換体コロニーのイムノグロブ
リンイントロンのBgl II部位(図3aの3′スプライス部
位)が破壊されたものをスクリーニングする。
第3にPst Iでの消化、Klenow処理、Bgl IIリンカー
の連結および過剰の(100単位/μgDNA)Bgl IIによる
消化でPst I部位をBgl II部位に変換する。生じる線状D
NAをトリス−酢酸緩衝液中低融点アガロース(1.2%)
ゲルでのゲル電気泳動により単離する。このDNAはイン
ビトロで1μg/mlの濃度で24゜にて連結し、大腸菌HB
101をトランスフエクトするのに使用する(Hanatisらの
前記文献を参照されたい)。テトラサイクリン耐性のコ
ロニーを成長させ、DNAを調製し、Bgl IIおよびPvu II
消化によりDHFR cDNAの5′末端のBgl II部位の存在を
分析し、Pst Iで消化する。多量の規模でのDNA調製はCs
Clで2度DNAをひもで縛つて実施した。
実施例5からのpJ205をHind IIIおよびSal Iで消化
し、Klenowで処理し、BamH Iリンカーを連結した。
生成するDNAはフエノール抽出を行い、クロロホルム
で抽出し、酢酸ナトリウムを0.3M(pH4.5)まで、およ
び2.5容のエタノールを添加してエタノール沈殿する。
遠心分離によりDNAを回収し、ペレツトを乾燥する。ペ
レツトを再懸濁し、BamH Iリンカーを切断するためBamH
I(100単位/DNAμg)で消化する。消化物をアガロー
スゲルに応用し2.1kbバンドを同定する。バンドを回収
し、10mMトリスHCl(pH7.4)および1mM EDTAを含む等量
の緩衝液を加え、68゜で15分間加熱してDNAを得る。DNA
をフエノール抽出し(2X)、クロロホルム抽出して(2
X)、酢酸ナトリウム(pH4.5)の0.3Mまでの添加および
2.5容のエタノールの添加によりエタノール沈殿させ
る。
図9bに図示したごとく、ベクターpB2L2をBgl IIで消
化し、ウシアルカリホスフアターゼで処理し、フエノー
ル(2X)、クロロホルム(2X)で抽出し、0.3MまでのNa
OAc(pH4.5)および2.5容のエタノールの添加によりエ
タノール沈殿する。この沈殿したDNAをpJ205からのBamH
Iリンカーを結合した2.1kbフラグメントと連結する。
連結DNAを大腸菌HB101の形質転換に使用する。テトラサ
イクリン耐性のコロニーをGrunstein−Hogness法により
tPAcDNAに特異的な32P標識プローブを用いてスクリーニ
ングする。J205をHind IIIおよびSal Iで消化し、32P−
アルフア−dcTPを利用してT4DNAポリメラーゼで標識し
てプローブを作製する。陽性のハイブリツドクローンか
らDNAを調製し、Hind III、Pvu IIおよびSac Iを用いる
別々の制限酵素消化によりtPA cDNAの存在をスクリーニ
ングする。これらの消化によりtPA cDNAの存在ばかりで
なく、ベクター内のプロモーターに対するcDNAの方向も
また示される。pLDSGは適切な方向のtPAを含むプラスミ
ドである。
実施例 7 共トランスフエクシヨンおよび増幅 プラスミドpLDSGおよびpAdD26SVpA(3)(実施例
6)を一緒に混合し(50μg pLDSGおよび0.5μg pAdD26
SVpA(3))、0.3MまでのNaOAc(pH4.5)および2.5容
のエタノールの添加により沈殿せしめる。沈殿DNAは放
置して風乾し、2xHEBSS(0.5ml)(ChnおよびSharp Gen
e,13,197−202(1981))に再懸濁しKaufmanおよびShar
pによりJ.Mol.Biol.,150,601−621(1982)に記載され
ているごとく0.25MCaCl2(0.5ml)と激しく混合する。
カルシウム−リン酸−DNA沈殿は室温で30分間そのまゝ
放置し、CHO DUKX−B1細胞(ChasinおよびUrlaub.P.N.
A.S.,77,4216−4220(1980))に適用する。これらの細
胞の成長の保持はすでに記載されている(Kaufmanおよ
びSharp,J.Mol.Biol.前記文献およびChasinおよびUrlau
b前記文献)。
DUKX−B1細胞はトランスフエクシヨン24時間前に5×
105/10cm皿で継代培養する。培地を除き、DNA−カルシ
ウムリン酸沈殿を単層の細胞に添加する。室温で30分間
インキユベーシヨン後10%子牛胎児血清を含むアルフア
ー培地(Flow)5mlを加え細胞は37℃で4.5時間インキユ
ベートする。培地を細胞の単一層から除き、10%グリセ
ロール含有の2mlのアルフア培地(Flow)を室温(24
゜)で3分間添加し、除去後細胞を洗い、10%子牛胎児
血清、各々10μg/mlのチミジン、アデノシン、デオキシ
アデノシン、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含
むアルフアー培地に播種する。2日後、10%透析子牛胎
児血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むが
ヌクレオサイドを欠くアルフアー培地に1:15で継代培養
する。4−5日後細胞を、再び同一の選択培地(ヌクレ
オサイドを欠く)に播種する。
10−12日後現れたコロニーを選択培地へ継代培養す
る。メトトレキセート(MTX)選択および増幅の2つの
図式を追いかけた。第3の下に示した第1の図式では、
外来性DNA(選択遺伝子)の取り込みに基づいて単一の
独立したクローン化形質転換体を単離し、続いて各々の
クローンは生成物遺伝子の発現を増加させる条件下殖や
す(即ち、メトトレキセートの濃度を増加させての成
長)。第2の図式では、外来性DNA(選択遺伝子)の取
り込みに基づいて多くの独立した形質転換体のプールを
単離し、生成物遺伝子の発現を増加させる条件下殖やす
(即ちメトトレキセートの濃度を増加させての成長)。
集団から個々のクローンを単離し、生成物遺伝子の発現
を分析する。生成物遺伝子発現の最も高い水準を示すク
ローンはさらに生成物発現が増加する条件下再び成長さ
せる(即ち、培養培地中のメトトレキセートの濃度を増
加させて店長させる)。
図式1に従つた結果は表4に示した。ヌクレオサイド
なしのアルフアー培地で成長できる個々のクローンを選
択し、殖やし、tPA活性を検定する。活性はCTAミリ単位
/細胞/日即ちmU/細胞/日で記録した。(以下を参
照)。tPA活性を示すクローンは続いて0.02μMMTX、0.1
μMMTXおよび0.5μMMTXへの連続的耐性で選択した。
MTX選択下ではクローン4C1はtPA活性の増加がなかつ
た。しかしながら、MTX不在下4C1を培養して、サブクロ
ーン(H3BおよびB10A)を発生させるとそれらはMTX耐性
で選択した場合共増幅し、高水準のtPAを発現する。こ
この方法を特定の仮説に制限する事は望んでおらず、こ
れは元々の4C1形質転換体からの兄弟DNA中のtPAに連結
していないDHFR遺伝子の分離のせいであると考えられ
る。tPA遺伝子に連結した単一のDHFR遺伝子を含むサブ
クローンはMTX選択によりこれらのクローンと一緒にDHF
RおよびtPA遺伝子を増幅する。
経路2による結果は表5に示す。ヌクレオシドを含ま
ない培地中での選択による継代培養で得られた約300の
コロニーを持つプールが調製された(選択プレートから
のコロニー)。これらの形質転換体は0.02μM MTXおよ
び0.05μM MTXに対するセクエンシヤル耐性によつてこ
れら形質転換体を選択した。元のプールされた形質転換
体は、0,0.02および0.5μM MTXを含む培地中でのカルチ
ヤーについて、それぞれ0.03,0.9および1.9mU/細胞/日
のtPA活性を得たが、集団内の個々のクローンは表5に
示す量でtPAを発現した。個々のクローンは0.2mU/細胞
/日から10mU/細胞/日の範囲の50培でtPA発現レベルが
変わつた。この経路は大量tPA活性を発現するクローン
を速かに同定するために好しい。経路1は経路2と組合
せてより増殖性の形質転換体を作ることができることは
明らかであろう。
tPA発現のモニター tPAをモニターするtPAの存在についての感受性検定は
フイブリンの存在下でのプラスミノーゲンのプラスミン
への転化を触媒した。プラスミンは、プラスチツクプレ
ートに固定されている125I−フイブリンからの125I−フ
イブリンフラグメントの放出により検出される(Strick
lond等、J.Biol.Cbem.251 5694−5702(1976)か、また
は色素産性基質の分解によつて検出される(Drapir等、
Biochemie 61,403−471(1979)。好適な色素産性基質
(S2251と称される)はKabi(Diagnostics,Inc.Greenwh
icb.CT)から得られる。これらの検定は当業者には良く
知られており、上記Astrup等および上記Drapier等に言
及されている。tPA活性は無血清培地5mlで細胞を有する
プレート(4×105細胞/10cmプレート)をゆすぎ、次い
で無血清培地4mlを加えることによつて測定された。細
胞を37℃で20時間インキユベートし、調質培地中のサン
プルを検定用に取出した。活性の測定はmU/細胞/日の
単位で表わした。このような条件下での検定で、Bowes
メラノーマ細胞ラインは0.02mU/細胞/日を生産した。
ヒトtPAの比活性は100,000ユニツト/mgであつた。125I
−フイブリンまたはS2251の分解速度はプラスミノーゲ
ンからプラスミンへの転化を触媒したtPA量に直接相関
する。tPA発現の欠損している細胞からの調質培地のサ
ンプルはこれらの検定には無視し得るバツクグラウンド
しか生じない。この無視し得るバツクグラウンドは活性
化されたフイブリンではないプロテアーゼによるもので
ある。何故ならば、色素産性基質検定におけるバツクグ
ラウンドは、フイブリンの除去によつても標準検定から
変化しないためである。これに反して、tPA産性CHO細胞
ラインからの活性はBowesメラノーマtPAによつて示され
るのと極めて似ているフイブリン活性化を示す。tPA活
性の定量はウロキナーゼを用いる標準曲線と比較するこ
とによつて得られる(Leo Pharmaceuticals.ベルギ
ー)。活性の単位(CTA;血栓溶解剤委員会)はウロキナ
ーゼのWHO標準サンプルと比較することにより定義され
ている。
tPAの合成は、単増の細胞(2×106/10cm)を5cmのメ
チオニンを含まない培地で2度洗浄し、1mCi35Sメチオ
ニンを含み通常のメチオニンを含まない培地1mlを添加
することによりモニターされる。細胞を37℃で4時間イ
ンキユベートし、調質培地を免疫吸着剤としてスタフイ
ロコツカス アウレウスを用い、うさぎの抗−ヒトtPA
と免疫沈澱させることにより検定した。
コローンH3Bから分泌された標識化された全ての蛋白
をゲル電気泳動して得られる結果によれば、ヌクレオシ
ドを含まない培地中で増殖された元のH3Bサブクローン
と0.1μM MTX中の増殖に関して選択されたH3B細胞との
間における分泌蛋白の唯一の大きな差異は67,000ダルト
ンに泳動する強力なバンドの存在である。このバンドは
うさぎの抗−ヒトtPA抗体と特異的に免疫沈澱し、かつB
owesメラノーマ細胞ラインから同様に調製されたtPAと
共泳動する。これらの結果は、0.1μM MTXに耐性を持つ
H3Bクローンの選択時に、ヒトtPAの発現が10培増加する
ことを示している。
実施例 8 隣接リンクトベクターの造成 この実施例はtPAの停止コドンをDHFRの開始コドンと
直接に結合させた形質転換ベクターの造成を説明するも
のである。これは実施例6で造成されたpLDSGからtPA
3′およびDHFR5′非翻訳領域を除去するものである。本
実施例はM13フアージテンペレートからDNA合成をプライ
ミングするためのDNAオリゴヌクレオチドの使用に基い
ている(Wallace等、「Science」209:1396(1980)、Zo
ller等「Method in Enzymology Vol.100:468−509)。
第10図を参照のこと。
pLDSGはBamH Iで分解され、4.5kbフラグメントをゲル
電気泳動によつて単離した。この領域はpLDSGの非pBR32
2領域の大部分を含んでいる。フアージM13mP8をBamH1で
分解する。次いで、直線化されたフアージをpLDSGの4.5
kbフラグメントと結合し、M13造成物を宿主菌(JM103)
の形質転換に用いる。tPA遺伝子と融合する32Pで標識し
たプローブを用いるBenton−Davisの「Science」196(1
980)の方法によりプラークをスクリーニングする。正
に融合するクローンを増殖し、複製型DNAを作製する。t
PA遺伝子の正しい方向は制限エンドヌクレアーゼによる
分解(BamH1,EcoR1およびPvu II)を用いる公知の技術
で決定することができる。
フアージDNAは、正しい方向を示すプラークから単離
される。この一本鎖DNAは除去されるべきフアージの領
域を架橋する合成プライマーと共に使用できる。プライ
マーの機能は5′および3′の除去領域であるDNAに融
合させるものであり、これによつて位置がくるつている
望ましくないDNAをループ化し、このようなDNAが後のプ
ライマー延長工程においてテンペレートとして作用する
ことを防止する。第10図において、プライマーの5′お
よび3末端およびM13−LDSGにおける対応位置はそれぞ
れBおよびAと命名する。
プライマーは化学合成によつて作られ、DHFR−3′の
アミノ末端におけるtPA遺伝子−TAA−ATG−これに続く
9個の翻訳されたヌクレオチドの5′−末端の9個の翻
訳されたヌクレオチドから成る。
フアージDNAおよびプライマーを混合し、プライマー
はT4DNAリガーゼおよびDNAポリメラーゼIのKlenowフラ
グメントによつて延ばされる。これは上記Wallace等お
よびZoller等の文献に一般的に説明されている。生成物
はJM103を形質転換するのに用いられる。プラークから
の複製型フアージDNAは32P−標識化プライマーに融合さ
れ、Sangerによつて望ましくない領域を除去したジデオ
キシヌクレオチド配列として確認されており(Sanger等
Proc.Natl.Acad.Sci.74pp5463−5467(1977))、これ
はBamH1で分解され、かつtPA遺伝子含有フラグメントを
電気泳動で単離する。このフラグメントはゲルから分離
され、前記のBamH1分解で得たpLDSGの2.5kb BamH1フラ
グメントと結合される。結合生成物はE Coli HB101の形
質転換に用いられ、テトラサイクリン耐性クローンを同
定し、プラスミドDNAを作り、かつ特定する。2.5kbおよ
び4.5kbフラグメントの方向が正しいプラスミドをpLDSG
Lとして同定する。
このプラスミドはpLDSGおよびpAdD26SVpA(3)の代
りに、実施例7におけるリンクトベクターとして使用で
きる。
実施例 9 pLDSGはBamH1で分解され、第10図に示されるように4.
5kbフラグメンが単離される。BamH1分解による2.5kbフ
ラグメントと共に、実質上、全てのpBR322領域が除かれ
る。pAdD26SVpA(3)も同様に分解される。tPAおよびD
HFR遺伝子含有フラグメントはpLDSGおよびpAdD26SVpA
(3)について実施例7に示すようにCHO細胞を形質転
換するのに用いられる。
実施例 10 アデノウイルストリパータイトリーダーおよびVA遺伝子
を含むベクター 本実施例の方法は第11図に説明されている。アデノウ
イルストリパータイトリーダーを含むベクターを造成す
るために、pB2L2から出発し、これをPvu IIで開裂して
直線状分子を作成する。次いで、pJAW43(Zain等「Cel
l」16,851(1979)をXholで分解し、Klenowで処理し、P
vu IIで分解し、更に138塩基対フラグメントをアクリル
アミドによる電気泳動(トリス硼酸塩バツフアー中6
%;Maniatis等(1982))で単離する。138bpフラグメン
トを次いでPvu II分解pB2L2に結合する。結合生成物をE
Coliをテトラサイクリン耐性に形質転換するのに用いら
れ、32Pで標識化され、140塩基対フラグメントに対して
融合するプローブを用いGrunstein−Hogness法でスクリ
ーニングする。正に融合するコロニーからDNAを作成
し、再生されたPvu IIサイトが第2および第3アデノウ
イルス後リーダーに特異的に挿入された138塩基対DNAの
5′であるかまたは3′であるかを試験する。Pvu IIサ
イトの正しい方向では、138塩基対は5′側に挿入され
るであろう。このプラスミドはpB2L2]−TPLと命名す
る。
アデノウイルス関連(VA)遺伝子をpB2L2−TPLに挿入
するために、アデノウイルスタイプ2DNA第1をHind III
で分解する。公知の方法によるゲル電気泳動の後に、E
フラグメントを単離する。このフラグメントをKlenowで
処理し、Hpa Iで分解し、EcoR Iリンカーに結合させ
(協同的)、EcoR Iで分解し、そして1.3kbバンドをア
ガロースゲルから分離する。このフラグメントを予じめ
EcoR Iで分解したpB2L2−TPLのEcoR Iサイトに結合す
る。E Coli HB101の形質転換およびテトラサイクリン耐
性による選択後、VA遺伝子に特異的なDNAプローブに対
するフイルター融合によりコロニーをスクリーニングす
る。正に融合するクローンからDNAを作成し、制限エン
ドヌクレアーゼ分解により特定する。生成プラスミドは
pB2L2−TPLVで分解される。これは実施例6のpB2L2に代
えて好適に使用され、修飾pLDSGを生成し、この生成物
は実施例7の方法におけるpAdD26SVpA(3)と共に使用
される。
実施例 11 免疫グロブリンエンハンサーを含むベクターの造成 ベクターpSerは記述されている(Gillies等、「Cel
l」33:717−728(1983))これはSV40エンハンサーが除
去されているpSV2GPTの誘導物である(Pvu IIからSph1,
塩基対64〜270)。Mulligan等、「Scieuce」209:1422−
1427(1980)を参照されたい。このDNAは、細胞がキサ
ンチンおよびヒポキサンチンの存在下で増殖される場
合、ミコフエノール酸に対する耐性をコード化してい
る。マウス免疫グロブリンの不変部から誘導された免疫
グロブリンエンハンサーを含む1kbフラグメントをpSer
のEcoR Iサイトに挿入し、pSerx2/3を誘導した。
このベクターは1個のBamH Iサイトを持つ。これをBa
mH1で分解し、塩基性ホスホターゼで処理し、次いでpLD
SGのフラグメントに結合する。このフラグメントは実施
例8に示すように、BamH1による分解および大きな(4.5
kb)フラグメントの分離によつて作られる。結合された
DNAはアンピシリン耐性によつて選択されるEcoli HB101
を形質転換するのに使用され、コロニーは32P標識化tPA
プローブに対する交雑によるtPA遺伝子の存在によつてG
runstein−Hogness法によりスクリーニングする。この
プローブはJ205をHind IIIおよびSal Iで分解し、32P−
α−dCTPおよび放射性同位元素を含まないdTTP、dATPお
よびdGTPの存在下にこのNDAにT4DNAポリメラーゼにより
標識化することにより作ることができる。正に交雑する
クローンは増殖され、プラスミドは回収される。第12α
図はこのベクター(p7B1)を説明している。このDNA
は、プロトプラスト融合のSandri−Goldin法の変法であ
る前記Gillies等に説明されているようなミエローマ細
胞J558L中に導入される。プロトプラストの融合36時間
後、細胞を5mg/mlのミコフエノール酸、250μg/mlのキ
サンチンおおび15mg/mlのヒポキサンチンを含む培地中
で増殖され、プラスミドDNAを取込んだ細胞を選択し
た。この方法で単離した1つのクローンはtPAを0.05mU/
細胞/日の割合で発現した。他の適当な親細胞はATCC C
RL1580または他の非分泌性ミエローマ細胞株である。
実施例 12 転写的に活性化されたベクターの造成 転移活性転写性アクチベーターE1Aを、アデノウイル
ス初期領域2プロモーターを含むベクターと共に使用す
る。
pCVSVLはKanfman等「Mol.Cel.Biol」(11)1304−1
319(1982)に開示されている。pCVSVLをBalで分解し、
Klenowで処理し、Xholリンカー(共働的)に結合し、Xh
olで分解し、EcoR1で分解し、ゲル電気泳動により4.2kb
フラグメントを単離する。
アデノウイルス2DNAをEcoR1で分解し、EcoR1Fフラグ
メント(マツプユニツト70.7〜75.9)を回収する。Fフ
ラグメントをXho1で分解し、かつE2プロモーターサブフ
ラグメントをゲル電気泳動で単離した。このサブフラグ
メントはEcoR1およびXho1粘着末端を有し、上記で得ら
れたpCVSVLの4.2kbフラグメントのEcoR1およびXho1未満
に結合される。得られるプラスミドは細菌を形質転換す
るのに使用される。標識化E2プローブに交雑するクロー
ンはpE2−7として回収される。pE2−7はアデノウイル
ス初期領域プロモーターを利用するDHFR cDNA遺伝子で
ある。pE2−7の造成はR.KingstonおよびP.Sharpの方法
によつて与えられる。Mol.Cell Biol.,Vol.4,pp1970−1
977(1984)を参照のこと。
pE2−7はPst1で部分分解され、Klenowで処理され、B
gl IIリンカーに結合され、Bgl IIで分解される。これ
によつて、pJ205(第9b図)からのtPA遺伝子を常法によ
りpE2−7に挿入できる。
tPA遺伝子を持つpJ205の一部を第9b図に示すようにpJ
205から切除し、BamH1粘差末端をpE2−7のBgl II接着
末端に結合し、第12(b)図に示すプラスミドpE2−7PA
を得る。pE2−7PAはアデノウイルス初期領域2プロモー
ターを利用するtPA遺伝子である。E1A遺伝子およびプロ
モーターはアデノウイルス2のKpn1フラグメント(10〜
5.8マツプユニツト)として得られる。
pE2−7PA,pE2−7およびE1A遺伝子ベクターは20:1:4
のモル比で使用され実施例7に更に開示されているよう
にCHO細胞を形質転換する。このように単離された形質
転換体によりtPA活性が0.008mU/細胞/日生産される。E
1A遺伝子を省略して得られる形質転換体(20:1の比率で
pE2−7を持つpE2−7PA)では僅かに0.0003mU/細胞/日
を発現する。
実施例 13 tPA発現の増加に関連する細胞形態学における変化 tPA合成の最適条件下での増殖および選択により、組
織培養皿に付着できない形態の異つた細胞が得られる。
低水準のtPA(0.01mU/細胞/日)を生産する無ヌクレオ
シド培地(実施例7、表4に説明されているようなも
の)中で増殖された300個の形質転換体のプールでは平
らな形態上の特徴を持つCHO細胞である。0.05μM以下
のMTX中での増殖について表4に説明したような選択を
行つた場合、tPAの水準は0.6mU/細胞/日に増加し、形
態上の変化は明らかになつた。このような変化は1.2mU/
細胞/日以上を生産するクローン(例えば、クローン
9、12および20)においても明らかである。これらの細
胞は組織培養皿に付着せず、したがつてより高い水準の
tPA発現による選択は困難である。これはアプロチニン
(シグマ)を培地に添加(0.5〜5%V/V)することによ
り、またはプラスミノーゲンを含まない胎児子牛血清を
用いることによつて克服された。これらの処理の結果
は、高水準のtPAを生産する細胞に負荷された毒性を転
減することである。無プラスミノーゲン血清はDeutscb
アンドMertz「Science」(1970)p1095に説明されるよ
うに血清をリジン−セフアロース4B(フアルマシア社
製)のカラムに通過させることによつて得られる。
実施例 14 COS細胞におけるEPOの発現 エリスロポエチン(EPO)遺伝子を含むクローンを遺
伝子光学的手法によりヒト胎児肝臓ライブラリーから作
成した。ラムダーHEPOFL13を命名するEPOクローンは第1
3図に示すヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を持
つ。クローンラムダーHEPOFL13はp91023(B)ベクター
に挿入され、当業者には公知の遺伝子光学的手法を用い
てCOS−1細胞に感染させた。精製プラスミドDNAのそれ
ぞれ8μgを用いてDEAE−デキストラン法により5×10
6COS−1細胞に感染させた(Sompayrac等,「Proc.Nat
l.Acad.Sci.」78:7575−7578(1981)およびLuthman等
「Nuc.Acids Res.,」11:1295−1308(1983))。12時間
後、細胞を洗浄し、クロロキン−(0.1mM)で2時間、3
7℃処理し、再度洗浄し、10%胎児牛血清10%を含む10m
lの培地に24時間曝した。この培地を4mlの無血清培地に
変え、48時間後に回収した。
免疫活性EPO(α)の生産をSherwoodおよびGoldwasse
r(Blood,54:885−893(1979))に説明されているよう
なラジオイムノアツセイによつて定量し、300ng/mlであ
ることが判明した。
ラムダーHEPOFL13を含むp91023(B)ベクターも、ク
ロロキン処理無しでCOS−1細胞に感染させ、前記と同
様に増殖させた。EPOのインビトロ生物活性は、CFU−E
の供給源であるマウスの胎児肝臓細胞によるコロニー形
成検定によるか、またはフエニルヒドラジン注射マイス
からの脾細胞を用いる。3H−チミジン取込み検定によつ
て測定され、それぞれ2U/m、および3U/mlの値を得た。
また、EPOのインビボ生物活性は、低酸素状マウス法ま
たは絶食ラツト法を用いて測定し、それぞれ、1(CFU
−E)および2(3H−Thy)U/mlの値を得た。
実施例 15 CHO細胞におけるEPOの発現 (ベクターPK1−4の造成) マウスのジヒドロ葉酸還元酵素に隣接するSV40初期領
域プロモータ、SV40エンハンサー、小t抗原イントロン
およびSV40ポリアデニル配列を含むプラスミドpSV2DHFR
(Subramani等、「Mol Cell Biol」1:854−864(1981)
からのBamH I−Pvu IIフラグメント(フラグメントA)
を単離した。残りのフラグメントは以下のようにベクタ
ーp91023(A)から得た。p91023(A)をアデノウイル
スプロモーター付近の単一Pst IサイトにおいてPst I分
解してプラスミドを直線化し、次いで合成Pst I−EcoR
Iコンバーターに結合し、再閉環(元のPst IサイトにPs
t I:EcoR Iサイトを作る:91023(B′))するか、また
はDNAポリメラーゼIの大フラグメントで処理してPst I
サイトを消去し、合成EcoR Iリンカーに結合し、再閉環
(元のPst IサイトにEcoR Iサイトを作る:91023
(B))した。p91023(B)由来のフラグメントAとフ
ラグメントp91023(B′)とを結合して、2つの新しい
プラスミドを作つた。これらのプラスミドはEcoR I−Ps
t IサイトかまたはPst I−EcoR Iサイトのいずれかを元
のPst Iサイトに持つていた。Pst Iサイトがアデノウイ
ルス主後期プロモーターに最も近いPst I−EcoR Iサイ
トを含むプラスミドをp91023(C)と名付けた。
ベクターp91023(C)をXho Iで完全に分解し、接着
末端を持つ得られた直線化DNAを、DNAポリメラーゼIの
Ecoliの大フラグメントによる末端フイリング反応で平
滑化した。以下のように作られるSV40エンハンサーを含
む340bpHind III−EcoR Iフラグメントを上記のDNAに結
合した。
複製のSV40オリジンを含むSV40からのHind III−Pvu
IIフラグメントをプラスミドπlacに挿入した(Little
等、Mal Biol Med.1:473−488(1983))。このπlacベ
クターは、BamH IでπlacDNAを分解し、DNAポリメラー
ゼIの大フラグメントで接着末端をフイルインし、この
DNAをHind IIIで分解することにより作製された。得ら
れたプラスミド(πSVHPlac)はPvu II平滑末端に結合
することによつてBamH Iサイトを再生した。EcoR I−Hi
nd IIIフラグメントをSVHPlacから作り、複製のプラス
ミドオリジンを含むPSVOd(上記Mellon等)のEcoR I−H
ind IIIフラグメントに結合し、得られたプラスミドpSV
HPodを選択した。SV40オリジン/エンハンサーを含むPS
VHPodの340bp EcoR I−Hind IIIフラグメントを作り、D
NAポリメラーゼIの大フラグメントでその両末端を平滑
にした。Hind III−EcoR I1フラグメントの方向は、そ
のフラグメント内のBamH IサイトがVA遺伝子に最も近い
ようになつているプラスミド(p91023(CO/Xho/平滑化
+EcoR I/Hind III/平滑化SV40オリジン+エンハンサ
ー)をpES105と命名した。プラスミドpES105をBamH Iお
よびPvu IIで、およびPvu II単独で分解し、アデノウイ
ルス主後期プロモーターを含むBamH I−Pvu IIフラグメ
ント(フラグメントB)、および耐性遺伝子(テトラサ
イクリン耐性)を持つプラスミドおよびその他のDNA配
列を有するPvu IIフラグメント(フラグメントC)を単
離した。フラグメントA、BおよびCを結合し、第14図
に示された得られたプラスミドを単離し、RK1−4と命
名した。プラスミドRK1−4は米国メリーランド州、ロ
ツクビルのATCCにATCC No.39940として寄託された。
EPOの発現 クローン ラムダHEPOFL13からのDNAをEcoR Iで分解
し、EPO遺伝子を含む小RIフラグメントをプラスミドRK1
−4のEcoR Iサイトにサブクローンした。このDNA(RKF
L13)はDHFR−欠損CHO細胞を直接に(分解することな
く)感染させるのに使用され、以下のように選択、拡大
された。2日間の増殖の後、少くとも1つのDHFR遺伝子
を取込んだ細胞はヌクレオシドを含まず、10%透析胎児
牛血清を補充したアルフアー培地中で選択した。選択培
地中での2週間の増殖の後、コロニーを元のプレートか
ら除き、各プール10−100コロニーのグループ中にプー
ルし、再プレートし、ヌクレオシドを含まないアルフア
ー培地中に全面増殖した。メトトレキゼート選択の前に
増殖されたプールからの培地上清をRIAによりEPOに関し
て検定した。陽性のEPO生産を示したプールは直ちにサ
ブクローンし、再検定し、更に陽性のものは段階的選択
(以下参照)を行つた。RIAにより陰性であるプールに
関して、メリトレキゼート(mlthotrexate,0.2μm)の
存在において増殖された対応する培養物から得たメリト
レキゼート耐性コロニーはRIAによりプール中EPOについ
て検定した。陽性であつたこれらの培養物をサブクロー
ンし、更にメソトレキゼートの濃度を増加して増殖させ
た。
段階的メソトレキゼート(MTX)選択を、濃度を増し
たMTXの存在下に細胞を培養する繰返しサイクルによつ
て行つた。各段階において、EPOを、RIAにより、および
インビトロ生物活性により培養上清について測定した。
各段階の濃度増加に使用されるMTXは0.2μM,0.1μMお
よび0.5μMであつた。
RKFL13DNAはミクロインジエクシヨンによりCHO細胞内
に挿入された。得られたEPO発現の程度は表6に示す。
本発明は好ましい態様を含み詳細に説明した。しかし
ながら、これらの開示を検討することにより当業者は、
本発明の範囲内で変更および改良を行うことができるこ
とが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
第1a図はプラスミドpAdD26SVpA(3)の構造を説明する
ものである。 第1b図はプラスミドpCVSVLの構造を説明するものであ
る。 第1c図はプラスミドpD20の構造を説明するものである。 第1d図はプラスミドpD17の構造を説明するものである。 第1e図はプラスミドpD61の構造を説明するものである。 第2a図はプラスミドpIFD−6の構造を説明するものであ
る。 第2b図はプラスミドpL58の構造を説明するものである。 第2c図はプラスミドpQ2の構造を説明するものである。 第2d図はプラスミドpQ3の構造を説明するものである。 第3図はプラスミドpAdD26SVpA(3)からプラスミドpT
PLの造成を図解説明するものである。 第4図はプラスミドpTPLからプラスミドp91023の造成を
第3図に引続いて図解説明するものである。 第5図は第4図に続く図解図であり、p91023からプラス
ミドp91023(B)の造成を説明するものである。 第6図はp91023−AT IIIを図解説明するものである。 第7図はヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(tP
A)およびその非コード化フランキング領域のヌクレオ
チド配列を示すものである。 第8a図はエンテイーtPA蛋白配列をコードする4個の重
なり合うcDNAクローンを説明する図である。 第8b〜8d図はヒトtPAの複製型cDNAを得るための適当な
方法を図解的に表わす図である。 第9a〜9b図はtPA形質転換ベクターを作る方法を図解的
に示す図である。 第10図はリンクされたベクターを作るための方法を図解
的に示す図である。 第11図は翻訳アクチベーターを含む共形質転換ベクター
を作るための方法を図解的に示す図である。 第12a図は真核生物のエンハンサーを含む形質転換用ベ
クターの図解図である。 第12b図はトランス−アクテイング転写アクチベーター
に感受性の領域を含む形質転換用ベクターの図解図であ
る。 第13図は、EPOクローンラムダーHEPOFL13のヌクレオチ
ド配列およびそれから生じるアミノ酸配列を示す。 第14図は形質転換用ベクターpRK1−4を説明する図解図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結合していない複数のベクターであってそ
    のうちの1つのベクターは目的とする生産物遺伝子を含
    むベクターである複数のベクターによって同時トランス
    フェクションする技術によって、動物細胞を形質転換し
    て生産物遺伝子を導入する方法であって、 (a)促進因子、第1のプロモーター、及び該第1のプ
    ロモーターの転写調節下にある生産物遺伝子を含む第1
    のベクターであって、該第1のベクターは該第1のプロ
    モーターの調節下に選択遺伝子を含まない該第1のベク
    ター;及び (b)上記促進因子に依存する第2のプロモーターの転
    写調節下にある選択遺伝子を含む、結合していない第2
    のベクターであって上記促進因子を含まない第2のベク
    ター、 を用いて動物細胞を同時トランスフェクションする上記
    方法。
  2. 【請求項2】かくして産生される同時形質転換細胞であ
    って、生産物遺伝子と選択遺伝子の両者を発現し得る該
    同時形質転換細胞を選択し、そのようにして選択された
    細胞を他の細胞から分離する、特許請求の範囲第1項記
    載の方法。
  3. 【請求項3】それぞれのベクターが、それぞれ生産物遺
    伝子及び選択遺伝子の下流にポリアデニレーション部位
    を有する特許請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】生産物遺伝子がヒト組織プラスミノーゲン
    活性化因子をコードする特許請求の範囲第1項記載の方
    法。
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