JP2645674B2 - 弾性表面波共振子 - Google Patents

弾性表面波共振子

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JP2645674B2 JP2275888A JP27588890A JP2645674B2 JP 2645674 B2 JP2645674 B2 JP 2645674B2 JP 2275888 A JP2275888 A JP 2275888A JP 27588890 A JP27588890 A JP 27588890A JP 2645674 B2 JP2645674 B2 JP 2645674B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の属する技術分野) 本発明は、圧電基板上にすだれ状電極変換器が形成さ
れた弾性表面波共振子に関するものである。
(従来技術とその問題点) 代表例としてラブ波型弾性表面波共振子について述べ
る。
電気機械結合係数(K2)がレーリー(Rayleigh)波型
の表面波(P+SV波)に比べて格段に大きいラブ波(SH
波)型共振子が提案されている。(特開昭63−260213参
照) 第1図は、従来のラブ波型弾性表面波共振子の構成例
を示す平面図である。第1図において、1は圧電基板、
2はすだれ状電極変換器(Interdigital Transducer、
以下IDTと略記する)を示し、3は交差幅を示す。図中
の矢印はラブ波型弾性表面波の伝搬方向を示す。また、
特に断らない限り第2図以降の図には圧電基板の図示を
省略する。
第1図に示す如く、LiNbO3回転Y板のような擬似弾性
表面波の存在する圧電基板1上に金(Au),銀(Ag),
白金(Pt)等の重金属のすだれ状電極を付着させること
により、伝搬減衰の大きな擬似弾性表面波を減衰のない
ラブ波型表面波とし、かつ、電気信号を表面波に変換す
るIDTのみで弾性表面波共振子が構成されている。
第1図の構成の共振子は表面波導波路を形成している
ため、表面波伝搬方向(縦方向,第1図の矢印方向)及
び表面波伝搬方向と垂直な方向にはそれぞれ非調和高次
モードの振動が存在しスプリアスとなる欠点がある。さ
らに、このようなYカット−X伝搬LiNbO3基板では、わ
ずかではあるが、レーリー波型の弾性表面波が誘起され
るため、これもスプリアスとなる欠点がある。
また、第1図の構成ではIDT2の両端付近の電極指から
IDT外部へ表面波エネルギーが放射されるため、共振子
のQが大きくならない欠点があった。
一般に、弾性表面波共振子を用いて電圧制御発振器
(VCO)を構成する場合、前述の縦モード及び横モード
の非調和高次のスプリアスがないことが要求され、さら
に、雑音レベルに対する搬送波レベル(C/N)を大きく
するためにQの高い共振子が望まれる。
第1図の従来の構成では表面波エネルギーがIDT2の両
側端部からIDTの外側へ放射されるためQが低下する。
そのため、IDT2の両外側にグレーティング反射器4を配
置してQの向上が図られている。第2図はその構成例で
ある。但し、グレーティング反射器の電極(ストリッ
プ)の本数は数本でよい。何故ならば、ラブ波型表面波
は電気機械結合係数(K2)が格段に大きいため、電極1
本当りの反射係数は非常に大きいこと、また、反射器の
電極本数を多くすると共振子の容量比が大きくなるから
である。
第3図は、第1図の従来の共振子の特性例図である。
(ロ)は共振点を示し、(ハ)は反共振点を示す。
(イ)はスプリアスである。試料の各定数は次の通りで
ある。圧電基板はY−XLiNbO3、IDT対数は30対、電極ピ
ッチPは5μm、交差幅は45λ(λ=2P)、電極材
料は金(Au)、電極の膜厚は4950Åの場合である。
第4図は第2図の構成による共振子の特性例図であ
り、第1図のIDT2の両側に5本ずつの電極を有する反射
器4を設け他は同一条件とした場合である。
第4図の特性は第3図の特性に比べて共振抵抗Rrは2.
7Ωから2.4Ωと小さくなり、反共振抵抗Raは1.64kΩか
ら3.77kΩと大きくなっている。すなわち、Qの目安と
なる共振抵抗と反共振抵抗の比(20logRa/Rr)は55.7dB
から63.9dBと大きくなりQが向上したことがわかる。し
かしながら、第3図,第4図の(B)の位相特性に示す
ように、共振周波数(ロ)の低域側から反共振周波数
(ハ)付近にかけてみられる縦及び横の非調和高次モー
ドによるリップルは改善されていない。
第5図は、このような縦モード及び横モードの非調和
高次のスプリアスを抑圧した共振子の構成例図である。
図のように、IDT2の中央部が最大の交差幅となり両端部
は0となるような菱形の重み付けをすることで上記のス
プリアスを取り除くことができる。第6図は、第5図の
ようにIDTに菱形重み付けをした場合の特性例であり、I
DT対数等他の条件は第3図の場合と同じである。第6図
(B)の特性をみてみると、第3図に見られた共振周波
数の低域側から反共振周波数付近にかけて見られたスプ
リアスによるリップルがなくなっていることがわかる。
また、第5図の構成では、IDT中央部で交差幅が大で両
側へ向かっていく程交差幅が小さくなる重み付けがなさ
れているため、IDT両端部から外側へ放射される表面波
エネルギーが少なく第3図の特性に比べてQが大きくな
っていることがわかる。しかしながら、第3図及び第4
図にみられるようにレーリー波によるスプリアス(イ)
は除かれていない。
次に、このレーリー波によるスプリアスを除く方法を
考える。
第7図及び第8図は第1図による従来の共振子で圧電
基板はY−XLiNbO3、IDT対数を15対とし、電極ピッチ
P′を5μm、交差幅を30λ′(λ′=2P′)とし
た、膜厚だけを変えた場合の特性例であり、第7図では
2300Å、第8図では4280Åである。両者を比較するとレ
ーリー波のスプリアス(イ)が見られるのは膜厚の厚い
第8図であり第7図には見られない。しかしながら、膜
厚が薄いとQは低くなることがわかる。
第9図は電極の膜厚Hと共振周波数frとの関係を示す
特性図であり、横軸は電極ピッチPで規格化してある。
実験によると膜厚が薄くなるとレーリー波の共振による
スプリアス(イ)は小さくなり、しかも、H/P=0.05
(5%)以下になるとほんとどその共振は現れなくな
る。
ラブ波型弾性表面波共振子では、レーリー波はスプリ
アスとなるが、よく知られているように、ラブ波型以外
の弾性表面波(例えばレーリー波型)を利用しても極め
て多数のIDTを設けることにより弾性表面波共振子を構
成することができる。この場合は、レーリー波はスプリ
アスではない。しかし、縦モード及び横モードはラブ波
型弾性表面波共振子と同様スプリアスとなる。
(発明の目的) 本発明の目的は、以上の問題点を解決し、縦モードと
横モード及びラブ波型弾性表面波を利用する場合のレー
リー波によるスプリアスを抑圧し、かつ、Qの高い弾性
表面波共振子を提供することにある。
(発明の構成及び利用) 以下図面により本発明を詳細に説明する。
代表例としてラブ波型弾性表面波共振子について述べ
る。
第10図は本発明の一実施例によるラブ波型弾性表面波
共振子の電極構造を示す平面図であり、圧電基板は図示
を省略した。図において、弾性表面波伝搬方向に沿って
IDT2を配設し、IDT2の両側に数本の電極のグレーティン
グ反射器4を配置し、かつ、IDT2の電極部に交差幅が中
央部で大きく両側に行くに従って前記両グレーティング
反射器の一番外側の電極中央部に頂点をもつような菱形
の各辺に沿って交差幅が直線的に変化するように重み付
けされ、IDT2の両側端部では交差幅が0とならないよう
にしたことを特徴としている。
表現をかえれば、菱形に重み付けをしたIDTの両端の
数対の重み付けを零にし、その数対を電気的に切り離し
て短絡ストリップ電極すなわちグレーティング反射器に
置き換えたことを特徴としている。
第10図に示した本発明のラブ波型弾性表波共振子で
は、IDT2により励振された表面波はIDT電極自身が反射
器の動作をするため多重反射されるが、IDT両側端から
放射される表面波エネルギーは、IDT2の外側にIDTと連
続する等しいピッチで配設された少数の電極を有する反
射器4により更に多重反射されるためエネルギー閉じ込
め効果が上がり共振子のQが向上する。さらに、すだれ
状変換器2の電極部に、弾性表面波導波路を形成するた
めに生じる縦モード及び横モードによる非調和高次スプ
リアスと結合しないように、反射器4を含む導波路の各
辺の中心を結ぶ線にそってつくられる菱形の辺にそって
IDT部分の交差幅に重み付けがされている。
すなわち、上記本発明の構成では、両側のグレーティ
ング反射器4のストリップ電極指のピッチ及びIDT2との
電極指の間隔をIDT2のピッチ(間隔)と等しく形成して
いるため、IDT2及び両側の反射器4全体で表面波導波路
が形成されている。一方、発明者の1人を含む参考文献
(渡辺,清水:「菱形電極による幅縦振動エネルギー閉
込め共振子の高次振動の抑圧」日本音響学会講演論文
集,昭和60年9月〜10月,p687〜688)によれば、IDT電
極に菱形の重み付けを施すことにより基本モードとのみ
結合し、高次モードによる誘起電荷が相殺されて圧電的
に励振されなくなることが明らかにされている。これを
本発明に適用すれば、IDT2及び両側の反射器4全体で形
成された表面波導波路の4辺の中央部に頂点をもつ菱形
の重み付けを施すことになり、反射器4の短絡ストリッ
プ電極の一番外側の電極中央部に両側の頂点が位置する
ことになる。しかしこの場合、両側の反射器4の短絡ス
トリップ電極の本数は、短絡ストリップ電極部分の振動
振幅分布が小さく、その部分の重み付けを零にしても実
用上問題にならない本数に実験的に確かめて設定され
る。
また、レーリー波によるスプリアス(イ)を抑圧する
ために、電極の膜厚Hは、電極ピッチPiで規格化したH/
Pi=0.05以下に設定されている。
第11図は第10図に示した本発明の構成例により試作し
た共振子の特性例図である。IDT対数=50対、反射器電
極本数=5本、電極材料=金(Au)、電極ピッチP″=
7.1μm、交差幅26λ″(λ″=2P″)電極膜厚H
=3380Åの場合である。縦モードと横モード及びレーリ
ー波によるスプリアスはみられず、共振抵抗Rrは2.0
Ω、反共振抵抗Raは3.29kΩでありそのレベル差(20log
Ra/Rr)は64dBとなり極めて高いQが得られている。
ここで、グレーティング反射器4のストリップ電極の
本数について説明する。
第12図は両端の反射器のそれぞれの短絡ストリップ電
極の本数に対する容量比(γ)の実測例であり、実測に
供した共振子は、Y−XLiNbO3基板、IDT対数30対(電極
指本数61本)、電極ピッチ5μm(表面波の波長λ
10μm)、交差幅45λ、電極膜厚4950Åであり、IDT
に重み付けしていない正規型の場合である。ここで容量
比γとは、反共振周波数をfa、共振周波数をfrとする
と、γ=fr 2/(fa 2−fr 2)で定義される値である。この
容量比は、例えばVCO(電圧制御発振器)に用いる場
合、広帯域化の要求に応えるために、誘導性として動作
するfaとfrの間隔が広い方がよい。すなわち容量比γが
小さい方がよい。第12図の実測例によれば、反射器のス
トリップ電極の本数を増していくと容量比が次第に大き
くなる傾向が見られ、15本ではその傾向がさらに大きく
なる。従って、容量比からみて、反射器のストリップ電
極の本数は、10〜15本の間で10本に近い値(12本)以下
が好ましく、IDTの電極指の本数(61本)の1/5(12本)
以下に設定すればよいと判断した。以上のことから、グ
レーティング反射器4のストリップ電極指の本数がIDT
の電極指の本数の1/5以下ならば十分本発明の効果が得
られる。
ラブ波型以外の弾性表面波共振子に於いても同様な効
果が得られることは明白である。この場合、K2がラブ波
型弾性表面波に比べ格段に小さいためIDT対数が極めて
大きくなる。
(発明の効果) 以上詳細に説明したように、本発明によれば、縦モー
ド,横モード及びラブ波型弾性表面波を利用した場合の
レーリー波によるスプリアスが抑圧され、しかも、Qの
高い弾性表面波共振子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来のラブ波型弾性表面波共振子の構成例図、
第2図は従来の反射器付ラブ波型弾性表面波共振子の構
成例図、第3,7,8図は第1図の構成による共振子の特性
例図、第4図は第2図の構成による共振子の特性例図、
第5図は従来のIDT重み付けラブ波型弾性表面波共振子
の構成例図、第6図は第5図の構成による共振子の特性
例図、第9図は電極膜厚と共振周波数との関係を示す特
性例図、第10図は本発明のラブ波型弾性表面波共振子の
構成例図、第11図は第10図の構成による共振子の特性例
図、第12図は反射器の短絡ストリップ電極の本数に対す
る容量比(γ)の実測例図である。 1……圧電基板、 2……すだれ状電極変換器(IDT)、 3……交差幅、 4……グレーティング反射器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 洋 宮城県仙台市太白区八木山本町1丁目22 ―12 (72)発明者 鈴木 勇次 山梨県甲府市和田町2870 (56)参考文献 特開 昭62−200814(JP,A) 特開 平2−11012(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電基板上にすだれ状電極変換器が形成さ
    れた弾性表面波共振子において、 前記すだれ状電極変換器の両側の表面波伝搬路上に該す
    だれ状電極変換器と等しい電極幅,等しいピッチですだ
    れ状電極指の本数の1/5以下の電極指を有するグレーテ
    ィング反射器が前記ピッチと等しい間隔で配置され、 前記すだれ状電極変換器の電極部に、該電極部の交差幅
    が中央部で大きく両側にいくに従って一様に小さくなり
    前記両グレーティング反射器の一番外側の電極中央部に
    頂点をもつような菱形の重み付けが施されたことを特徴
    とする弾性表面波共振子。
  2. 【請求項2】特定の回転角でカットされた高結合圧電基
    板上に重金属によるすだれ状電極変換器が形成されたラ
    ブ波型弾性表面波共振子において、 前記すだれ状電極変換器の両側の表面波伝搬路上に該す
    だれ状電極変換器と等しい電極幅,等しいピッチですだ
    れ状電極指の本数の1/5以下の電極指を有するグレーテ
    ィング反射器が前記ピッチと等しい間隔で配置され、 前記すだれ状電極変換器の電極部に、該電極部の交差幅
    が中央部で大きく両側にいくに従って一様に小さくなり
    前記両グレーティング反射器の一番外側の電極中央部に
    頂点をもつような菱形の重み付けが施されたことを特徴
    とするラブ波型弾性表面波共振子。
  3. 【請求項3】前記すだれ状電極変換器の電極膜厚が隣接
    する電極間隔の5%以下であることを特徴とする特許請
    求の範囲第2項記載のラブ波型弾性表面波共振子。
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