JP2644339B2 - 耐熱電線 - Google Patents

耐熱電線

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JP2644339B2
JP2644339B2 JP1211272A JP21127289A JP2644339B2 JP 2644339 B2 JP2644339 B2 JP 2644339B2 JP 1211272 A JP1211272 A JP 1211272A JP 21127289 A JP21127289 A JP 21127289A JP 2644339 B2 JP2644339 B2 JP 2644339B2
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雅己 西口
義昭 大石
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Furukawa Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐熱電線に関し、更に詳しくは、その被覆層
が、耐熱性,可塑性,柔軟性,耐薬品性,老化特性に優
れていて、しかも安価で加工性に富み、皮むき性に優れ
た耐熱電線に関する。
(従来の技術) 近年、電子機器や輸送機器における要求特性が厳しく
なるにつれて、これら機器に組込まれる電線の被覆材料
に関しては、各種の難燃剤や老化防止剤等を配合したポ
リ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートのような従
来使用されている材料に代えて、耐熱性,耐薬品性,電
気特性などが優れているフッ素系の材料が用いられはじ
めている。
このようなフッ素系の材料としては、例えば、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレンと6
フッ化プロピレンとの共重合体(FEP)、4フッ化エチ
レンとパーフルオロエチレンとの共重合体(PFA)、ポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)のようなフッ素樹脂;フッ
化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体、テトラフ
ルオロエチレン−プロピレン共重合体のようなフッ素ゴ
ム;が広く用いられている。
(発明が解決しようとする課題) 上記した材料のうち、前者のフッ素樹脂は、導体を被
覆する際の押出し成形性や加工性の点では優れている
が、しかし、硬く柔軟性がないため製造された電線の可
撓性は悪く、また非常に高価である。
他方、後者の材料は、柔軟性こそ有するが、しかし成
形性に乏しく、また加硫が必要であるという欠点を有し
ている。このような架橋は、通常、化学架橋剤を配合し
て所定形状に成形したのち、高温で加熱することによっ
て行なわれているが、架橋時間が比較的長いことや、架
橋中に変形が起こるなどの問題が生じている。
このような問題を解決するためには、導体の被覆後、
その被覆層に電子線を照射して材料の架橋を促進せしめ
るという方法が提案されている。
この電子線架橋が有効な材料としては、現在、フッ化
ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体が主に用
いられている。しかし、この材料は非常に高価であると
いう問題がある。
このため、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共
重合体を用いる場合には、これに各種の添加剤を加えて
低コスト化の試みがなされている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、添加剤を多量に加えていくと、得られた材料
の加工性が低下し、例えば電線の被覆材料として押出し
被覆を行なったとき、その被覆層には著しい加工歪みが
発生する。
また、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合
体で導体を直接被覆して被覆層を形成すると、被覆層と
導体とは強固に密着して、皮むき性が著しく低下する。
そのため、電線の皮むき時に電線には傷が入ったり、一
部が残ってしまったりしてハンダの乗りが悪くなるとい
う問題が生ずる。
このような問題を解決するために、フッ化ビニリデン
−6フッ化プロピレン共重合体にシリコーンゴムを配合
することが提案されている。しかし、フッ化ビニリデン
−6フッ化プロピレンとシリコーンゴムとの相溶性は悪
く、そのため押出し被覆成形時に、被覆層の外観不良を
招いたり、また被覆層はその伸び率や抗張力が低下す
る。
本発明は、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共
重合体を電線被覆材料にしたときの上記問題を解決し、
耐熱性,可撓性,柔軟性,耐薬品性,老化特性が優れ、
しかも皮むき性も良好で、安価で加工性に富む被覆材料
の被覆層を有する耐熱電線の提供を目点とする。
(課題を解決するための手段) 上記した目的を達成するために、本発明においては、
フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体60〜99
重量%、およびシリコーン樹脂とポリオレフィン系樹脂
のグラフト共重合体1〜40重量%を必須成分とするエラ
ストマー組成物の押出し被覆層が導体の周囲に形成さ
れ、前記押出し被覆層は電子線架橋されていることを特
徴とする耐熱電線が提供される。
導体の被覆材料であるエラストマー組成物において、
前記したように、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレ
ン共重合体は導体と強固に密着して皮むき性を低下せし
めるので、この問題を回避することを目的として、前記
グラフト共重合体が配合される。
このエラストマー組成物におけるグラフト共重合体の
配合量は1〜40重量%(したがって、フッ化ビニリデン
−6フッ化プロピレン共重合体は60〜99重量%)に設定
される。この配合量が1重量%未満の場合は、導体との
密着性は強く皮むき性の改善はなされず、また40重量%
を超えると、電線の抗張力が著しく低下するからであ
る。エラストマー組成物におけるこのグラフト共重合体
の好適な配合量は、2〜30重量%(したがって、フッ化
ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体の好適な配合
量は70〜98重量%)である。
このグラフト共重合体において、シリコーン樹脂にグ
ラフト重合せしめるポリオレフィン系樹脂としては、例
えばポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−メタク
リル酸メチル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合
体,ポリスチレンをあげることができる。また、このグ
ラフト共重合体を配合したエラストマー組成物は、他の
添加剤を多量に配合した場合であっても、加工性の低下
を抑制することができる。このグラフト共重合体の市販
品としては、住友化学工業(株)製の商品名スミカセン
SPシリーズがある。
本発明にかかるエラストマー組成物においては、上記
した2つの必須成分の外に、必要に応じて加硫助剤が配
合される。これは、後述する電子線架橋時に、前記した
エラストマー組成物の架橋を円滑に進めるためである。
加硫助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート,
トリアリルイソシアヌレート,トリアクリルホルマー
ル,トリアリルトリメリテート,ジプロバギルテレフタ
レート,ジアリルフタレート,トリアリルホスフェー
ト,テトラアリルテレフタールアミドをあげることがで
き、またその配合量は上記2成分の合量100重量部にた
いし2〜15重量部であることが好ましい。2重量部未満
のときはエラストマー組成物の架橋反応が著しく遅くな
り、また15重量部を超えると耐老化特性の低下を招き、
また、導体への押出し被覆時に焼けのはいることがある
からである。
また、必要に応じては、ポリフッ化ビニリデン,テト
ラフルオロエチレン−エチレン共重合体のようなフッ素
樹脂;フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体
のようなフッ素ゴム;更には、酸化亜鉛,酸化チタン,
酸化アルミニウム,シリカ,炭酸カルシウム,炭酸アル
ミニウムなどを添加してもよい。その場合の添加量は、
格別限定されるものではないが、前記した必須2成分の
合量100重量部にたいし、120重量部以下に制限されるこ
とが好ましい。あまり多量に添加すると、耐老化特性の
低下を招くからである。
本発明においては、上記した各成分の所定量を充分に
混合して均一なエラストマー組成物を調製する。このと
きの混合は、バンバリーミキサーまたはゴム混練り用ロ
ールを用いて行なうことが好ましく、また170℃以上の
温度で10分以上混合することが好ましい。
このようにして調製されたエラストマー組成物を押出
し成形機により導体周囲に押出し被覆成形して押出被覆
層を形成する。
このときの押出し温度は、エラストマー組成物の成形
機のスクリューとの摩擦によって昇温するので、成形機
のシリンダー3個所のうち、2個所を200℃程度とし、
ヘッドは210℃程度とし、ホッパーの下を水冷にすれば
よい。
このようにして導体に形成された被覆層に電子線を照
射してそれを架橋せしめ、本発明の耐熱電線が得られ
る。
そのときの電子線の照射量は、格別限定されるもので
はないが、通常6〜20Mrad程度でよい。
(発明の実施例) 実施例1〜5,比較例1〜3 第1表で示した割合(重量部)で表示の各成分を、バ
ンバリーミキサー,ゴム混練り用ロールで順次混合して
エラストマー組成物を調製し、この組成物を線径0.5mm
の裸銅線に0.5mmの肉厚で押出し被覆した。そして、最
後に、この被覆層に15Mradで電子線を照射した。
得られた各電線につき、その被覆層の引張り試験によ
る伸び率(%)および抗張力(kg f/mm2)、皮むき性を
規定する導体と被覆層との間の密着の度合、ならびに電
線を250℃の温度下でそれぞれ4日間放置したときの被
覆層の引張り試験による伸び率(%)と抗張力(kg f/m
m2)および皮むき性を測定した。なお、皮むき性に関し
ては、自動機および手動で皮むきを行い、密着良好の場
合を○、密着が若干多い場合を△、密着過多の場合を
×、密着過少の場合をとした。以上の結果を一括して
第1表に示した。
(発明の効果) 以上の説明で明らかなように、本発明の電線は、その
導体に形成される被覆層が耐熱性,耐油性,導体からの
剥離性に優れ、しかも加工性に富み、また接着性も少な
いエラストマー組成物から成るため、可撓性,柔軟性,
老化特性,耐熱性,耐油性が優れ、皮むき性も良好で接
着性も小さく、かつ安価であるため、その工業的価値は
大である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共
    重合体60〜99重量%、およびシリコーン樹脂とポリオレ
    フィン系樹脂のグラフト共重合体1〜40重量%を必須成
    分とするエラストマー組成物の押出し被覆層が導体の周
    囲に形成され、前記押出し被覆層は電子線架橋されてい
    ることを特徴とする耐熱電線。
JP1211272A 1989-08-18 1989-08-18 耐熱電線 Expired - Lifetime JP2644339B2 (ja)

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