JP2641710B2 - 構造物の打ち込み方法 - Google Patents

構造物の打ち込み方法

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JP2641710B2 JP3714395A JP3714395A JP2641710B2 JP 2641710 B2 JP2641710 B2 JP 2641710B2 JP 3714395 A JP3714395 A JP 3714395A JP 3714395 A JP3714395 A JP 3714395A JP 2641710 B2 JP2641710 B2 JP 2641710B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】杭、矢板等の構造物を地盤中に打
ち込む際に用いられる構造物の打ち込み方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に杭や矢板等の構造物の打ち込み方
法として、打撃、振動、圧入によるものが知られてい
る。本出願人は、先に打ち込まれた構造物から反力を取
って構造物を油圧により圧入する杭打ち機(圧入・引き
抜き機)を既に提案した。上記圧入・引き抜き機による
杭打ちは、打撃や振動による杭打ちとは異なり、騒音及
び振動が極めて低く、ほとんど公害を出さないものであ
った。しかし、構造物を地盤中に圧入する場合に、地質
によっては極めて大きな力が必要となることがある。
【0003】従来、このような場合には、構造物の先端
部からジェット噴流水を噴出させ、構造物の先端部にお
いて上記ジェット噴流水により土砂の掘削及び攪拌を行
うジェット工法を併用して用いていた。圧入・引き抜き
機に上述のジェット噴流水を併用して用いることによ
り、構造物の圧入の際の先端抵抗を減少させ、比較的小
さな力で構造物を打ち込むことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ジェッ
ト噴流水を用いるには、ジェット噴流水用の高圧ポン
プ、この高圧ポンプに水を供給する水槽、上記高圧ポン
プに電力を供給する発電機などの設備を設置する必要が
あった。従って、ジェット噴流水を併用する場合には、
構造物を打ち込む設備に加えて、ジェット噴流水用の比
較的高価な設備を設置する必要があり、コストが増加す
るといった問題があった。
【0005】また、構造物を打ち込む現場には、上記設
備を設置するスペースを確保できない狭い場所も多く、
現場の近傍に上記設備を設置するスペースを確保するた
めにさらにコストがかかる場合があった。また、最悪の
場合には、上記設備を設置するスペースを確保できず
に、ジェット噴流水を併用できない可能性もある。
【0006】さらに、ジェット噴流水を用いた場合に
は、ジェット噴流水が地盤の土砂を掘削・攪拌した後に
地盤上に溢れ出ることになる。地盤上に溢れ出た水は大
量の土砂を含む泥水となっている。この泥水を放置し
て、溢れ出るままにした場合には、現場での作業の妨げ
となるだけではなく、現場の周囲に流れ出て現場周囲を
土砂で汚すことになる。
【0007】そこで、上記ジェット噴流水を用いる場合
には、ジェット噴流水により生じた泥水を回収する必要
がある。また、水の使用量の低減及び泥水を貯水するス
ペースの低減のために、回収した泥水をジェット噴流水
に再利用することが好ましいが、大量の土砂を含む泥水
をそのままジェット噴流水用の高圧ポンプに用いること
ができないので、泥水から土砂を取り除くために、例え
ば濾過設備等が必要となる。
【0008】従って、実際にジェット噴流水を用いる場
合には、上述の高圧ポンプ、水槽、発電機以外に、泥水
を回収するためのポンプと、泥水を貯水するためのピッ
トもしくは貯水槽と、泥水を浄化するための設備等が必
要である。すなわち、ジェット噴流水を用いるジェット
工法は、多くの設備と、これら設備を設置する広いスペ
ースとを必要とし、上述のようにコスト、確保すべきス
ペースの点で大きな問題点を有している。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、上記ジェット噴流水を用いなくとも同様な効果が
得られ、構造物を打ち込む際の力を低減することができ
る構造物の打ち込み方法を提供することを目的とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
構造物の打ち込み方法は、構造物の打ち込みと引き上げ
とを繰り返すことにより構造物を地盤中に打ち込むもの
であり、構造物の引き上げに際し、構造物の打ち込みと
引き上げとにより生じる地盤中の空洞に水を注入し、次
いで、構造物を打ち込むことを上記課題の解決手段とし
た。
【0011】また、本発明の請求項2記載の構造物の打
ち込み方法は、構造物を地盤中に打ち込むものであり、
筒状の構造物を地盤中に少し打ち込み、次いで、該構造
物を引き抜かない状態で引き上げ、再び該筒状の構造物
をさらに地盤中に打ち込むことを繰り返すとともに、該
筒状構造物を引き上げながらもしくは引き上げた後に、
該筒状の構造物内に水を充填し、次いで、該筒状の構造
物の上端部を密閉した状態で筒状の構造物を打ち込む
ことを上記課題の解決手段とした。
【0012】また、本発明の請求項3記載の構造物の打
ち込み方法は、構造物の打ち込みに際し、既に打ち込ま
れた構造物から反力を取って、地盤中に打ち込むべき構
造物の圧入及び引き抜きを行う圧入・引き抜き機を用い
ることを上記課題の解決手段とした。
【0013】
【作用】上記請求項1記載の構成によれば、構造物の打
ち込みと引き上げとにより生じる地盤中の空洞に水を注
入した後に構造物を打ち込んだ場合には、地盤中の空洞
が構造物に塞がれることになる。そうなると、地盤中の
空洞の水が逃げ場を無くして高圧になるとともに、有る
程度、水圧が高くなったところで、水は強度の低い場所
へ噴出することになるが、この場合には、構造物と構造
物の周囲の地層との間から上方に水が噴出することにな
る。
【0014】そして、構造物の周囲を高圧の水が流れる
ことにより、構造物の周囲の土砂の掘削と攪拌が行われ
て水とともに土砂が噴出することになり、構造物を打ち
込む際の側面抵抗及び先端抵抗が減少することになる。
従って、構造物を打ち込む際に必要となる力が減少し、
比較的小さな力で構造物を打ち込むことが可能となり、
引き続き、構造物の引き上げ、水の注入、構造物の打ち
込みを繰り返すことにより、固い地盤にも容易に構造物
を打ち込むことができる。
【0015】また、上記請求項2記載の構成によれば、
筒状の構造物内に水を充填した後に、上端部を密閉した
状態で筒状の構造物を打ち込むことにより、筒状の構造
物内に水が閉じこめられた状態となるとともに、構造物
内に下端部から侵入する土砂により水が圧迫されること
になる。
【0016】そうなると、筒状の構造物内の水は、上記
請求項1記載の構成の場合と同様に、筒状構造物の下端
から、土砂と筒状の構造物の側面との間に高圧で噴出す
ることになる。そして、筒状の構造物の周囲を高圧の水
が上方に流れることにより、構造物の周囲の土砂の掘削
と攪拌が行われることになり、構造物を打ち込む際の側
面抵抗及び先端抵抗が減少することになる。
【0017】なお、筒状の構造物内に土砂が侵入してい
る場合には、構造物の内面と土砂の間も高圧の水が流れ
ることになり、筒状構造物の内面で発生する側面抵抗も
減少することができる。また、筒状の構造物内への土砂
の侵入が継続している間は、水が噴出し続けることにな
り、構造物を打ち込む際に、上記請求項1記載の構成に
比較して継続的に側面抵抗及び先端抵抗の軽減を図るこ
とができる。従って、筒状の構造物を打ち込む際に必要
となる力が減少し、比較的小さな力で構造物を打ち込む
ことが可能となり、固い地盤にも容易に構造物を打ち込
むことができる。
【0018】また、上記請求項3記載の構成によれば、
構造物の打ち込みに、既に打ち込まれた構造物から反力
を取って構造物の圧入及び引き抜きを行う圧入・引き抜
き機を用いた場合には、構造物の圧入に際する力を上述
の方法により軽減することができるので、圧入・引き抜
き機を油圧で作動するものとした場合に、比較的低い油
圧で圧入・引き抜き機による構造物の圧入を行うことが
できる。従って、高い油圧を必要とする圧入・引き抜き
機の油圧の上限を引き下げることができ、圧入・引き抜
き機にかかるコストを低減することができる。
【0019】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を図面を参照して
説明する。図1はこの実施例の構造物の打ち込み方法を
用いて構造物を地盤e中に打ち込んだ状態を示す図面で
あり、図2及び図3はこの実施例の構造物の打ち込み方
法の工程を示す図面である。図1に示すように、この実
施例の構造物の打ち込み方法においては、構造物の打ち
込み及び引き上げに既に打ち込まれた構造物から反力を
取って、構造物の圧入及び引き抜きを行う圧入・引き抜
き機1を用いるようになっている。
【0020】ここで、構造物の打ち込み方法を説明する
前に、上記圧入・引き抜き機1について説明する。上記
圧入・引き抜き機1は、図1に示すように、既に打ち込
まれた構造物を掴持するクランプ部2と、該クランプ部
2上に配置され、油圧シリンダ等の動力装置(図示
略)、制御装置(図示略)等を有する本体部3と、該本
体部3の前面に構造物を掴んだ状態で上下動自在な昇降
部4とを基本構成とするものである。
【0021】上記クランプ部2は、既に打ち込まれた構
造物を掴持することにより、新たに構造物を打ち込む際
もしくは構造物を引く抜く際に、既に打ち込まれた構造
物から反力をとることができるようになっている。な
お、この実施例に用いられる圧入・引き抜き機1は、鋼
管5専用のものであり、既に打ち込まれた構造物から反
力を取る際に、外側から鋼管5を挟み込んで挟持するの
ではなく、クランプ部2の各クランプ2aを鋼管5内部
に挿入し、各クランプ2aが鋼管5を内側から外側に押
圧することにより、鋼管5を掴持するようになってい
る。また、打ち込むべき構造物が鋼管5でない場合に
は、クランプ部2を構造物を外側から挟持する構造とす
れば良い。
【0022】また、上記昇降部4は、杭、矢板等の構造
物を掴んだ状態で上下動することにより、杭、矢板等の
構造物の地盤eへの圧入と上記構造物の地盤eからの引
き抜きとを行えるようになっている。なお、上述のよう
に構造物の地盤eへの圧入及び地盤eからの引き抜きに
際しては、既に打ち込まれた構造物から反力を取るよう
になっている。
【0023】また、上記昇降部4は、本体部3に対して
前後動できるようになっており、クランプ部2を固定し
た状態で数本の構造物を一列に打ち込むことができるよ
うになっている。また、上記昇降部4を、本体部3に対
して前後動できることから、圧入中の構造物を昇降部4
で掴んだ状態で、クランプ部2により既に打ち込まれた
構造物の掴持を解除し、次に昇降部4に対して本体部3
を持ち上げて、本体部3を昇降部4に近づけるように移
動することで、圧入・引き抜き機1を構造物上で移動さ
せることができるようになっている。
【0024】さらに、上記昇降部4は、掴んだ構造物を
鉛直方向を軸として回動させることができるとともに、
昇降部4全体を回動させられるようになっており、例え
ば矢板を矩形枠状に打ち込む際に、一列に打ち込まれた
矢板にクランプ部2を固定した状態で、上記一列の矢板
に対して直角方向に矢板を打ち込むことができるように
なっている。
【0025】なお、この実施例において、上記圧入・引
き抜き機1により打ち込まれる構造物は鋼管5であり、
該鋼管5には、打ち込みに際し、その上端部に蓋6が取
り付けられるとともに、該蓋6に給水ホース7が接続さ
れ、鋼管5内に水が注入できるようになっている。ま
た、給水ホース7の蓋6に接続された端部には、開閉弁
8が設けられている。そして、上記蓋6と開閉弁8とに
より鋼管5の上端部側の開口を完全に密閉できるように
なっている。
【0026】なお、鋼管5の下端部が地盤e中に打ち込
まれ、給水ホース7を除いて鋼管5が密閉された状態で
も鋼管5内に水を注入できるように図示しない開閉可能
な空気孔を蓋6に設けるものとしても良い。また、給水
ホース7のもう一方の端部には、水中ポンプ9が接続さ
れており、鋼管5を打ち込む現場の近傍の河川、湖沼等
の水域sから水を汲み上げられるようになっている。
【0027】なお、上記水中ポンプ9は、周知のもので
あり、泥水等も汲み上げ可能なものである。従って、上
記水域sが汚濁したものであっても、水を汲み上げるこ
とができるようになっている。さらに、後述するように
土砂を掘削・攪拌した泥水が溢れ出た場合に、この泥水
を上記水中ポンプ9により、汲み上げて、そのまま再び
鋼管5内に注水したり、一旦汲み上げられて貯水槽やピ
ットに貯められた泥水を浄化することなく、上記水中ポ
ンプ9により鋼管5内に注水することが可能である。
【0028】次に、上述の圧入・引き抜き機1を用いた
構造物の打ち込み方法を説明する。この実施例の構造物
の打ち込み方法においては、上記圧入・引き抜き機1の
昇降部4に鋼管(筒状の構造物)5を掴ませた状態で、
昇降部4を下降させることにより鋼管5を少し打ち込
み、次いで、昇降部4を下降させた距離よりも短い距離
だけ上昇させることにより、鋼管5を完全に引き抜かな
い状態で引き上げ、再び昇降部4を上昇させた距離より
も長く下降させることにより鋼管5をさらに打ち込むこ
とを繰り返すようになっている。
【0029】すなわち、鋼管5の打ち込みと引き上げと
を繰り返しながら、徐々に鋼管5を打ち込むようになっ
ている。そして、鋼管5の打ち込みと引き上げとを繰り
返す際に、上記昇降部4の上下動とともに以下の処理を
行うようになっている。まず、鋼管5を引き上げる際
に、図2に示すように、上記開閉弁8を開とするととも
に、上記給水ホース7と水中ポンプ9(図1に図示)と
を用いて鋼管5内に水を充填する。
【0030】この際には、鋼管5を打ち込んだ後に引き
上げたことにより生じる地盤e中の空洞kにも水が充填
されることになる。また、鋼管5の内部に水を充填する
際には、鋼管5内を略水で満たした状態とする。また、
水の注入は、鋼管5を引き上げながら行っても、鋼管5
を引き上げた後に行っても良い。次に、鋼管5内が水で
満たされた状態で、給水ホース7の先端部の開閉弁8を
閉じて鋼管5の上端部を密閉した状態とする。
【0031】そして、図1に示す圧入・引き抜き機1の
昇降部4を下降させることにより鋼管5を下方に圧入す
る。鋼管5を下方に圧入すると、鋼管5を打ち込んだ後
に引き上げたことにより生じる地盤e中の空洞kが鋼管
5に塞がれるとともに、鋼管5内に土砂が侵入すること
になり、鋼管5内及び上記空洞k内の水が圧迫された状
態となる。
【0032】そして、圧迫された状態で行き場の無い水
は、高圧の状態で鋼管5の内面及外面と土砂との間に侵
入し、図3に示すように鋼管5の外面と土砂との間から
高圧の水が上方に噴出することになる。この際に、鋼管
5の内面、鋼管5の先端、鋼管5の外面に接した土砂を
上記高圧の水が掘削・攪拌し、水とともに土砂を噴出す
ることになる。
【0033】従って、鋼管5の内面及び外面と土砂との
間に生じる側面抵抗と、鋼管5の先端で生じる先端抵抗
が減少することになり、鋼管5を下方に圧入するために
必要な力が軽減されることになる。従って、圧入・引き
抜き機1の限られた油圧でも固い地盤eに鋼管5を圧入
することができる。
【0034】言い換えれば、圧入・引き抜き機1で用い
ることできる油圧の上限を低くしても鋼管5を地盤eに
圧入することが可能となる。また、鋼管5を圧入してい
る間は、鋼管5内に土砂が侵入し続けることになるの
で、その間中鋼管5内の水が圧迫されて鋼管5の外に噴
出し続けることになる。従って、鋼管5を圧入している
間中、側面抵抗と先端抵抗の軽減がなされることにな
る。
【0035】そして、上述のように圧入・引き抜き機1
による鋼管5の圧入及び引き上げと、給水ホース7の開
閉弁8の開閉による水の注水と上端部の密閉とを同期さ
せて繰り返すことにより、鋼管5の圧入時に上述のよう
に側面抵抗及び先端抵抗が軽減されて、比較的小さな油
圧により、最終的に鋼管5を任意の深さまで埋設するこ
とができる。
【0036】また、上述のような鋼管5の打ち込みより
鋼管5内に注水した水が泥水となって溢れ出ることにな
るが、上記水中ポンプ9により溢れ出た泥水を回収して
再び鋼管5内に注水することができる。上述のように、
この実施例の鋼管打ち込み方法によれば、鋼管5を打ち
込む際の力を軽減することができるので、上記圧入・引
き抜き機1の油圧を低いものとしても、固い地盤eに鋼
管5を打ち込むことが可能となる。
【0037】また、上記鋼管打ち込み方法を用いること
により、上記圧入・引き抜き機1の油圧の上限を低く設
定することができ、上記圧入・引き抜き機1自体のコス
トダウンを図ることができる。また、上記鋼管打ち込み
方法を用いることにより、ジェット噴流水を用いたジェ
ット工法を併用しなくとも、固い地盤eに鋼管5を打ち
込むことができるので、低コストで固い地盤eに鋼管5
を打ち込むことができる。
【0038】すなわち、この実施例の構造物の打ち込み
方法は、ジェット工法で用いられる比較的高価な高圧ポ
ンプ等の設備に代えて、通常のポンプ等により施工が可
能なので、ジェット工法を併用した場合に比較して設備
コスト及びランニングコストを低減することができる。
【0039】また、上記鋼管打ち込み方法においては、
水を高圧にして噴出させる必要がないので、水を鋼管5
内に注水可能なポンプならばどのようなポンプでも用い
ることができる。従って、泥水を汲み上げ可能なポンプ
を使用して、泥水を鋼管内に注水して上述の鋼管5の打
ち込みを行うことができる。すなわち、上述の施工方法
により生じる泥水を浄化することなく再利用することが
できる。
【0040】従って、この実施例の構造物の打ち込み方
法においては、ジェット工法を併用した場合のようにジ
ェット噴流水用の高圧ポンプだけではなく、泥水の回収
専用に用いられるポンプや、泥水を再利用するための浄
化設備等が必要となることがなく、極めて狭いスペース
で施工が可能となり、スペースを確保するためのコスト
を削減することができる。
【0041】なお、上記実施例においては、打ち込むべ
き構造物を鋼管5としたが、プレキャストコンクリート
やその他の任意の部材からなる筒状の構造物ならば、上
述の方法と同様の方法により地盤e中に打ち込むことが
できる。また、筒状の構造物でなくとも、構造物の先端
部に水の吐出口を設け、構造物の打ち込みと引き上げに
より生じる構造物の下方の地盤中の空洞に水を充填し、
その後に構造物を打ち込むようにすれば、上記実施例と
略同様の効果を得ることができる。
【0042】すなわち、筒状以外の構造物、例えば、円
柱状や角柱状等の構造物においても、打ち込みと引き上
げとを繰り返し行うとともに、これに同期して引き上げ
時に形成される地盤a中の空洞kに水を充填することに
より、打ち込み時に水が構造物の先端から側面に沿って
上方に噴出して、構造物の周囲の土砂を掘削・攪拌して
先端抵抗及び側面抵抗を軽減し、比較的小さな力で、構
造物を打ち込むことが可能となる。
【0043】また、上記実施例では、構造物の打ち込み
と引き上げに上記圧入・引き抜き機1を用いるものとし
たが、基本的には、構造物の打ち込みと引き抜きとが可
能な装置ならばどのような装置を用いても良い。また、
杭打ち機とクレーンとの組み合わせなどのように複数の
装置を組み合わせて構造物の打ち込みと引き抜きを行う
ようにしても良い。しかし、低騒音、低振動で構造物の
打ち込みと引き抜きとの両方を行うことができる上述の
圧入・引き抜き機を用いることが好ましい。
【0044】
【発明の効果】上記請求項1記載の構成によれば、構造
物を打ち込む際の側面抵抗及び先端抵抗を軽減すること
ができるので、構造物を打ち込む際に必要となる力を軽
減することができるとともに、固い地盤にも容易に構造
物を打ち込むことができる。
【0045】また、このような効果を得る従来の施工方
法としてジェット工法があるが、上記ジェット工法にお
いては、ジェット噴流水用の高圧ポンプだけではなく、
ジェット噴流水を使用することにより生じる泥水を再利
用するために、泥水回収用ポンプ、泥水を高圧ポンプで
使用可能に浄化する設備等が必要となり高いコストと広
いスペースを必要とするのに対して、本発明において
は、泥水を吸い上げ可能なポンプを水を注水するための
ポンプとして使用することができ、構造物の打ち込みに
際して生じる泥水をそのまま汲み上げて再利用すること
ができる。従って、ジェット工法を併用した場合に比較
的して極めて低いコストで施工することができる。
【0046】また、上記請求項2記載の構成によれば、
上記請求項1記載の構成と同様の優れた効果を奏するこ
とができるとともに、筒状の構造物内に水を充填した状
態とすることにより、筒状の構造物内に土砂が侵入する
あいだ、筒状の構造物から下方に水が噴出し続けること
になり、筒状の構造物を打ち込む際に、有る程度持続的
に側面抵抗及び先端抵抗を軽減させることができる。
【0047】また、上記請求項3記載の構成によれば、
構造物の打ち込み及び引き上げに既に打ち込まれた構造
物から反力を取って、地盤中に打ち込むべき構造物の圧
入及び引き抜きを行う圧入・引き抜き機を用いた場合に
は、構造物の圧入に際する力を上述の方法により軽減す
ることができるので、圧入・引き抜き機を油圧で作動す
るものとした場合に、比較的低い油圧で圧入・引き抜き
機による構造物の圧入を行うことができる。従って、極
めて高い油圧を必要とする圧入・引き抜き機の油圧の上
限を引き下げることができ、圧入・引き抜き機の製造コ
スト及びランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構造物の打ち込み方法を説
明するための圧入・引き抜き機の側面図である。
【図2】上記実施例の構造物の打ち込み方法の工程を説
明するための地盤に打ち込まれる鋼管の一部を破断した
側面図である。
【図3】上記実施例の構造物の打ち込み方法の工程を説
明するための地盤に打ち込まれる鋼管の一部を破断した
側面図である。
【符号の説明】
1 圧入・引き抜き機 5 鋼管(構造物) e 地盤 k 地盤中の空洞

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の打ち込みと引き上げとを繰り返
    すことにより構造物を地盤中に打ち込む構造物の打ち込
    み方法であって、 構造物の引き上げに際し、構造物の打ち込みと引き上げ
    とにより生じる地盤中の空洞に水を注入し、 次いで、構造物を打ち込むことを特徴とする構造物の打
    ち込み方法。
  2. 【請求項2】 構造物を地盤中に打ち込む構造物の打ち
    込み方法であって、筒状の構造物を地盤中に少し打ち込み、次いで、該構造
    物を引き抜かない状態で引き上げ、再び該筒状の構造物
    をさらに地盤中に打ち込むことを繰り返すとともに、 該筒状構造物を引き上げながらもしくは引き上げた後
    に、該筒状の構造物内に水を充填し、次いで、該 筒状の
    構造物の上端部を密閉した状態で筒状の構造物を打ち
    込むことを特徴とする構造物の打ち込み方法。
  3. 【請求項3】 構造物の打ち込みに際し、既に打ち込ま
    れた構造物から反力を取って、地盤中に打ち込むべき構
    造物の圧入及び引き抜きを行う圧入・引き抜き機を用い
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の構造
    物の打ち込み方法。
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